(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機(21)及び室外熱交換器(24)を有する室外ユニット(2)と室内熱交換器(42、42a、42b)を有する室内ユニット(4、4a、4b)とを液冷媒連絡管(5)及びガス冷媒連絡管(6)を介して接続することによって構成した冷媒回路(10)を含んでおり、前記液冷媒連絡管を含めた前記室外ユニットの液側端から前記室内熱交換器の液側端に至るまでの液冷媒管(50)、及び、前記ガス冷媒連絡管を含めた前記室外ユニットのガス側端から前記室内熱交換器のガス側端に至るまでのガス冷媒管(60)に対して冷媒の漏洩が検知された際に閉止される液側遮断弁(7、7a、7b)及びガス側遮断弁(8、8a、8b)を設けた空気調和システムにおいて、
前記室外ユニットには、前記圧縮機の吸入側における前記冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ(35)が設けられており、
前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁を含む構成機器を制御するシステム制御部(11)は、前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の動作確認を行う遮断弁点検処理を行うことが可能であり、
前記遮断弁点検処理は、前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の開操作を行った状態で、前記室外熱交換器を前記冷媒の放熱器として機能させる状態で前記圧縮機の運転を行い、前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の一方を閉操作した際の前記吸入圧力センサが検出する前記冷媒の圧力値の変化に基づいて、前記閉操作された前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の一方が正常に動作しているかどうかを判定しており、
前記室内ユニット(4a、4b)は、複数あり、
前記液側遮断弁(7a、7b)及び前記ガス側遮断弁(8a、8b)は、前記各室内ユニットに対応するように前記液冷媒管(50)及び前記ガス冷媒管(60)に設けられており、
前記システム制御部(11)は、前記複数の室内ユニットのうちの1つの室内ユニットを対象として、対応する前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁について前記遮断弁点検処理を行いつつ、前記複数の室内ユニットのうち前記遮断弁点検処理の対象ではない室内ユニットについては、運転を停止する、
空気調和システム(1)。
圧縮機(21)及び室外熱交換器(24)を有する室外ユニット(2)と室内熱交換器(42、42a、42b)を有する室内ユニット(4、4a、4b)とを液冷媒連絡管(5)及びガス冷媒連絡管(6)を介して接続することによって構成した冷媒回路(10)を含んでおり、前記液冷媒連絡管を含めた前記室外ユニットの液側端から前記室内熱交換器の液側端に至るまでの液冷媒管(50)、及び、前記ガス冷媒連絡管を含めた前記室外ユニットのガス側端から前記室内熱交換器のガス側端に至るまでのガス冷媒管(60)に対して冷媒の漏洩が検知された際に閉止される液側遮断弁(7、7a、7b)及びガス側遮断弁(8、8a、8b)を設けた空気調和システムにおいて、
前記室外ユニットには、前記圧縮機の吐出側における前記冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ(36)が設けられており、
前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁を含む構成機器を制御するシステム制御部(11)は、前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の動作確認を行う遮断弁点検処理を行うことが可能であり、
前記遮断弁点検処理は、前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の開操作を行った状態で、前記室外熱交換器を前記冷媒の蒸発器として機能させる状態で前記圧縮機の運転を行い、前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の一方を閉操作した際の前記吐出圧力センサが検出する前記冷媒の圧力値の変化に基づいて、前記閉操作された前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の一方が正常に動作しているかどうかを判定しており、
前記室内ユニット(4a、4b)は、複数あり、
前記液側遮断弁(7a、7b)及び前記ガス側遮断弁(8a、8b)は、前記各室内ユニットに対応するように前記液冷媒管(50)及び前記ガス冷媒管(60)に設けられており、
前記システム制御部(11)は、前記複数の室内ユニットのうちの1つの室内ユニットを対象として、対応する前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁について前記遮断弁点検処理を行いつつ、前記複数の室内ユニットのうち前記遮断弁点検処理の対象ではない室内ユニットについては、運転を停止する、
空気調和システム(1)。
前記遮断弁点検処理は、前記閉操作された前記液側遮断弁(7、7a、7b)及び前記ガス側遮断弁(8、8a、8b)の一方が正常に動作しているかどうかを判定した後に、前記閉操作された前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の一方の開操作を行い、その後、前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の他方を閉操作した際の前記吸入圧力センサ(35)が検出する前記冷媒の圧力値の変化に基づいて、前記閉操作された前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の他方が正常に動作しているかどうかを判定する、
請求項1に記載の空気調和システム(1)。
前記遮断弁点検処理は、前記閉操作された前記液側遮断弁(7、7a、7b)及び前記ガス側遮断弁(8、8a、8b)の一方が正常に動作しているかどうかを判定した後に、前記閉操作された前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の一方の開操作を行い、その後、前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の他方を閉操作した際の前記吐出圧力センサ(36)が検出する前記冷媒の圧力値の変化に基づいて、前記閉操作された前記液側遮断弁及び前記ガス側遮断弁の他方が正常に動作しているかどうかを判定する、
請求項2に記載の空気調和システム(1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の動作音や振動による遮断弁の動作確認の手法では、遮断弁を閉操作した際に、閉操作された遮断弁が実際に閉状態になっており、かつ、所望の遮断性能(閉状態における弁漏れ量等)が確保されているかを見極めることができない。
【0004】
本発明の課題は、圧縮機及び室外熱交換器を有する室外ユニットと室内熱交換器を有する室内ユニットとを冷媒連絡管を介して接続することで構成した冷媒回路を含んでおり、液冷媒管及びガス冷媒管に対して冷媒の漏洩が検知された際に閉止される遮断弁を設けた空気調和システムにおいて、遮断弁の遮断性能を含めた動作確認を確実に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点にかかる空気調和システムは、圧縮機及び室外熱交換器を有する室外ユニットと室内熱交換器を有する室内ユニットとを液冷媒連絡管及びガス冷媒連絡管を介して接続することによって構成した冷媒回路を含んでいる。空気調和システムには、液冷媒連絡管を含めた室外ユニットの液側端から室内熱交換器の液側端に至るまでの液冷媒管、及び、ガス冷媒連絡管を含めた室外ユニットのガス側端から室内熱交換器のガス側端に至るまでのガス冷媒管に対して冷媒の漏洩が検知された際に閉止される液側遮断弁及びガス側遮断弁が設けられている。そして、空気調和システムでは、液側遮断弁及びガス側遮断弁を含む構成機器を制御するシステム制御部が、液側遮断弁及びガス側遮断弁の動作確認を行う遮断弁点検処理を行うようになっている。ここで、室外ユニットには、圧縮機の吸入側における冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサが設けられている。そして、遮断弁点検処理は、液側遮断弁及びガス側遮断弁の開操作を行った状態で、室外熱交換器を冷媒の放熱器として機能させる状態で圧縮機の運転を行い、その後、液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方を閉操作した際の吸入圧力センサが検出する冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方が正常に動作しているかどうかを判定するものである。
【0006】
上記のように、液側遮断弁及びガス側遮断弁の両方の開操作を行った状態にして室外熱交換器を冷媒の放熱器として機能させる状態(冷房サイクル状態)で圧縮機の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方を閉操作すると、閉操作された遮断弁が正常に動作していれば、圧縮機の吸入側における冷媒の圧力が急激に低下する傾向を示すが、閉操作された遮断弁が正常に動作していなければ、圧縮機の吸入側における冷媒の圧力が急激に低下する傾向を示さない。このように、冷房サイクル状態で圧縮機の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方を閉操作すれば、この際における吸入圧力センサが検出する冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方が遮断性能を含めて正常に動作しているかどうかを判定することができる。
【0007】
これにより、ここでは、液側遮断弁及びガス側遮断弁の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。
【0008】
第2の観点にかかる空気調和システムは、第1の観点にかかる空気調和システムにおいて、遮断弁点検処理は、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方が正常に動作しているかどうかを判定した後に、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方の開操作を行い、その後、液側遮断弁及びガス側遮断弁の他方を閉操作した際の吸入圧力センサが検出する冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の他方が正常に動作しているかどうかを判定するものである。
【0009】
ここでは、上記のように、液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方の動作確認を行った後に、液側遮断弁及びガス側遮断弁の両方を開状態にして冷房サイクル状態で圧縮機の運転を行っている状態に戻して、動作確認を行っていない液側遮断弁及びガス側遮断弁の他方を閉操作して、この際の吸入圧力センサが検出する冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の他方が正常に動作しているかどうかを判定している。
【0010】
これにより、ここでは、液側遮断弁及びガス側遮断弁の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。
【0011】
第3の観点にかかる空気調和システムは、圧縮機及び室外熱交換器を有する室外ユニットと室内熱交換器を有する室内ユニットとを液冷媒連絡管及びガス冷媒連絡管を介して接続することによって構成した冷媒回路を含んでいる。空気調和システムには、液冷媒連絡管を含めた室外ユニットの液側端から室内熱交換器の液側端に至るまでの液冷媒管、及び、ガス冷媒連絡管を含めた室外ユニットのガス側端から室内熱交換器のガス側端に至るまでのガス冷媒管に対して冷媒の漏洩が検知された際に閉止される液側遮断弁及びガス側遮断弁が設けられている。そして、空気調和システムでは、液側遮断弁及びガス側遮断弁を含む構成機器を制御するシステム制御部が、液側遮断弁及びガス側遮断弁の動作確認を行う遮断弁点検処理を行うようになっている。ここで、室外ユニットには、圧縮機の吐出側における冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサが設けられている。そして、遮断弁点検処理は、液側遮断弁及びガス側遮断弁の開操作を行った状態で、室外熱交換器を冷媒の蒸発器として機能させる状態で圧縮機の運転を行い、その後、液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方を閉操作した際の吐出圧力センサが検出する冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方が正常に動作しているかどうかを判定するものである。
【0012】
上記のように、室外熱交換器を冷媒の蒸発器として機能させる状態(暖房サイクル状態)で圧縮機の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方を閉操作すると、閉操作された遮断弁が正常に動作していれば、圧縮機の吐出側における冷媒の圧力が急激に上昇する傾向を示すが、閉操作された遮断弁が正常に動作していなければ、圧縮機の吐出側における冷媒の圧力が急激に上昇する傾向を示さない。このように、暖房サイクル状態で圧縮機の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方を閉操作すれば、この際における吐出圧力センサが検出する冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方が遮断性能を含めて正常に動作しているかどうかを判定することができる。
【0013】
これにより、ここでは、液側遮断弁及びガス側遮断弁の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。
【0014】
第4の観点にかかる空気調和システムは、第3の観点にかかる空気調和システムにおいて、遮断弁点検処理は、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方が正常に動作しているかどうかを判定した後に、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方の開操作を行い、その後、液側遮断弁及びガス側遮断弁の他方を閉操作した際の吐出圧力センサが検出する冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の他方が正常に動作しているかどうかを判定するものである。
【0015】
ここでは、上記のように、液側遮断弁及びガス側遮断弁の一方の動作確認を行った後に、液側遮断弁及びガス側遮断弁の両方を開状態にして暖房サイクル状態で圧縮機の運転を行っている状態に戻して、動作確認を行っていない液側遮断弁及びガス側遮断弁の他方を閉操作して、この際の吐出圧力センサが検出する冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁及びガス側遮断弁の他方が正常に動作しているかどうかを判定している。
【0016】
これにより、ここでは、液側遮断弁及びガス側遮断弁の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。
【0017】
第5の観点にかかる空気調和システムは、第1〜第4の観点のいずれかにかかる空気調和システムにおいて、室内ユニットが、複数あり、液側遮断弁及びガス側遮断弁が、各室内ユニットに対応するように液冷媒管及びガス冷媒管に設けられている。ここで、システム制御部は、複数の室内ユニットのうちの1つの室内ユニットを対象として、対応する液側遮断弁及びガス側遮断弁について遮断弁点検処理を行いつつ、複数の室内ユニットのうち遮断弁点検処理の対象ではない室内ユニットについては、運転を停止する。
【0018】
複数の室内ユニットを有する空気調和システムにおいて各室内ユニットに対応する液側遮断弁やガス側遮断弁を設け、複数の液側遮断弁やガス側遮断弁を対象にして同時に遮断弁点検処理を行うと、複数の液側遮断弁やガス側遮断弁の閉操作による圧力値の変化が同時に発生してしまい、どの遮断弁が正常に動作しているか(又は、どの遮断弁が正常に動作していないか)を区別することができない。
【0019】
そこで、ここでは、上記のように、複数の室内ユニットのうちの1つの室内ユニットを対象として、対応する液側遮断弁及びガス側遮断弁について遮断弁点検処理を行いつつ、複数の室内ユニットのうち遮断弁点検処理の対象ではない室内ユニットについては、運転を停止するようにしている。このため、遮断弁の閉操作による圧力値の変化の有無を遮断弁点検処理の対象となっている遮断弁によるものであると区別した上で正常に動作しているかどうかを判断することができる。
【0020】
これにより、ここでは、複数の室内ユニットのそれぞれに対応する液側遮断弁及びガス側遮断弁を設けた構成であっても、複数の遮断弁について遮断性能を含めた動作確認を順次行うことで、各遮断弁について正常に動作しているかどうかを判定することができる。
【0021】
第6の観点にかかる空気調和システムは、第1〜第5の観点のいずれかにかかる空気調和システムにおいて、システム制御部には、冷媒の漏洩の有無を検知する冷媒漏洩検知装置が接続されている。ここで、システム制御部は、遮断弁点検処理において、冷媒漏洩検知装置から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号をシステム制御部に模擬的に入力することによって液側遮断弁及びガス側遮断弁の開閉操作を行うことを許可するための模擬入力許可部を有している。
【0022】
上記のように、液側遮断弁及びガス側遮断弁の開閉操作を冷媒漏洩検知装置から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号を模擬的に入力することによって遮断弁点検処理を行う場合には、システム制御部は、この冷媒漏洩検知装置から出力される信号が模擬的な入力によるものか、実際の冷媒の漏洩の有無を示す信号であるかを区別できるようにする必要がある。なぜなら、冷媒漏洩検知装置から冷媒の漏洩が発生していることを示す信号が入力されると、液側遮断弁やガス側遮断弁が閉操作されるが、このとき、システム制御部は、本当に冷媒の漏洩が発生しているものと判断して、液側遮断弁やガス側遮断弁を閉操作してしまい、冷房サイクル状態で圧縮機の運転を行う等の遮断弁点検処理に必要な動作を行えなくなってしまうからである。
【0023】
そこで、ここでは、上記のように、遮断弁点検処理において、冷媒漏洩検知装置から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号をシステム制御部に模擬的に入力することによって液側遮断弁及びガス側遮断弁の開閉操作を行うことを許可するための模擬入力許可部をシステム制御部に設けるようにしている。このため、模擬入力許可部を用いて冷媒漏洩検知装置から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号を入力することによって遮断弁点検処理を行うことを許可して、システム制御部が本当に冷媒の漏洩が発生しているものと判断してしまうのを防ぎ、冷房サイクル状態や暖房サイクル状態で圧縮機の運転を行う等の遮断弁点検処理に必要な動作を行うことができる。
【0024】
これにより、ここでは、冷媒漏洩検知装置から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号をシステム制御部に模擬的に入力することによって遮断弁点検処理を行うことができるようになり、システム制御部と冷媒漏洩検知装置との通信接続の確認とともに、液側遮断弁及びガス側遮断弁の動作確認を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、圧縮機及び室外熱交換器を有する室外ユニットと室内熱交換器を有する室内ユニットとを冷媒連絡管を介して接続することで構成した冷媒回路を含んでおり、液冷媒管及びガス冷媒管に対して冷媒の漏洩が検知された際に閉止される遮断弁を設けた空気調和システムにおいて、遮断弁の遮断性能を含めた動作確認を確実に行えるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明にかかる空気調和システムの実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかる空気調和システムの実施形態の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0028】
<第1実施形態>
(1)構成
−全体−
図1は、本発明の第1実施形態にかかる空気調和システム1の概略構成図である。
【0029】
空気調和システム1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行うシステムである。空気調和システム1は、主として、室外ユニット2と室内ユニット4とを液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続することによって構成された蒸気圧縮式の冷媒回路10を含んでいる。室外ユニット2は、室外に設置されており、主として、圧縮機21及び室外熱交換器24を有している。室内ユニット4は、室内に設置されており、室内熱交換器42を有している。冷媒回路10には、冷媒として、R32のような微燃性を有する冷媒、又は、R290のような強燃性を有する冷媒が充填されている。
【0030】
また、空気調和システム1には、液冷媒連絡管5を含めた室外ユニット2の液側端から室内熱交換器42の液側端に至るまでの液冷媒管50、及び、ガス冷媒連絡管6を含めた室外ユニット2のガス側端から室内熱交換器42のガス側端に至るまでのガス冷媒管60に対して冷媒の漏洩が検知された際に閉止される液側遮断弁7及びガス側遮断弁8が設けられている。ここで、室外ユニット2の液側端及びガス側端には、手動で開閉操作される液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27が設けられている。また、室内ユニット4は、液冷媒連絡管5と室内熱交換器42の液側端とを接続する室内液冷媒管43と、ガス冷媒連絡管6と室内熱交換器42のガス側端とを接続する室内ガス冷媒管44と、を有している。このため、液冷媒管50は、液冷媒連絡管5及び室内液冷媒管43からなる冷媒管を意味しており、ガス冷媒管60は、ガス冷媒連絡管6及び室内ガス冷媒管44からなる冷媒管を意味している。液側遮断弁7及びガス側遮断弁8は、冷媒の漏洩が検知された際に閉止される弁であり、ここでは、液側遮断弁7は、液冷媒管50のうち液冷媒連絡管5の室内ユニット4寄りの部分に設けられており、ガス側遮断弁8は、ガス冷媒管60のうちガス冷媒連絡管6の室内ユニット4寄りの部分に設けられている。また、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8は、液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27のような手動弁とは異なり、外部からの冷媒の漏洩の有無を示す信号や開閉指令の信号等を受けて開閉操作される自動弁からなる。尚、ここでは、冷媒の漏洩の有無を検知するために、冷媒漏洩検知装置9が室内に設けられている。
【0031】
そして、空気調和システム1には、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8を含む構成機器を制御するシステム制御部11が設けられている。システム制御部11は、室外ユニット2の構成機器を制御する室外制御部20と、室内ユニット4の構成機器を制御する室内制御部40と、液側遮断弁7を制御する液側遮断制御部70と、ガス側遮断弁8を制御するガス側遮断制御部80と、が通信線を介して接続されることによって構成されている。室外制御部20は、室外ユニット2に設けられている。室内制御部40は、室内ユニット4に設けられている。液側遮断制御部70は、液側遮断弁7に設けられ、ガス側遮断制御部80は、ガス側遮断弁8に設けられている。また、システム制御部11には、冷媒漏洩検知装置9を制御する冷媒漏洩検知制御部90も接続されている。この冷媒漏洩検知制御部90は、冷媒漏洩検知装置9に設けられている。尚、ここでは、制御部20、40、70、80、90間が通信線を介して接続された有線通信が採用されているが、これに限定されるものではなく、無線通信等の他の通信形式であってもよい。
【0032】
−室外ユニット−
室外ユニット2は、上記のように、冷媒連絡管5、6を介して室内ユニット4に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0033】
室外ユニット2は、主として、圧縮機21と、切換機構23と、室外熱交換器24と、室外膨張弁25と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27と、を有している。
【0034】
圧縮機21は、冷媒を圧縮する機構であり、ここでは、ケーシング(図示せず)内に収容されたロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)が、同じくケーシング内に収容された圧縮機モータ22によって駆動される密閉式圧縮機が採用されている。
【0035】
切換機構23は、室外熱交換器24を冷媒の放熱器として機能させる冷房サイクル状態と室外熱交換器24を冷媒の蒸発器として機能させる暖房サイクル状態とを切り換え可能な四路切換弁である。ここで、冷房サイクル状態は、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器24のガス側端とを連通させるとともに、ガス冷媒連絡管6と圧縮機21の吸入側とを連通させる切り換え状態である(
図1の切換機構23の実線を参照)。暖房サイクル状態は、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡管6を連通させるとともに、室外熱交換器24のガス側端と圧縮機21の吸入側とを連通させる切り換え状態である(
図1の切換機構23の破線を参照)。尚、切換機構23は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上記と同様の冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
【0036】
室外熱交換器24は、冷媒と室外空気との熱交換を行うことで冷媒の放熱器又は蒸発器として機能する熱交換器である。この室外熱交換器24において冷媒と熱交換を行う室外空気は、室外ファンモータ29によって駆動される室外ファン28によって供給されるようになっている。
【0037】
室外膨張弁25は、冷媒を減圧する機構であり、ここでは、開度制御が可能な電動膨張弁が採用されている。
【0038】
液側閉鎖弁26及びガス側閉鎖弁27は、上記のように、室外ユニット2の液側端及びガス側端に設けられた手動で開閉操作される弁である。
【0039】
また、室外ユニット2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外ユニット2の圧縮機21周辺には、圧縮機21の吸入側における冷媒の圧力Psを検出する吸入圧力センサ35と、圧縮機21の吐出側における冷媒の圧力Pdを検出する吐出圧力センサ36と、が設けられている。
【0040】
−室内ユニット−
室内ユニット4は、上記のように、冷媒連絡管5、6を介して室外ユニット2に接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
【0041】
室内ユニット4は、主として、室内熱交換器42を有している。
【0042】
室内熱交換器42は、冷媒と室内空気との熱交換を行うことで冷媒の蒸発器又は放熱器として機能する熱交換器である。この室内熱交換器42において冷媒と熱交換を行う室内空気は、室内ファンモータ46によって駆動される室内ファン45によって供給されるようになっている。
【0043】
また、室内ユニット4には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室内ユニット4には、室内熱交換器42の液側端における冷媒の温度Trlを検出する室内熱交液側センサ47と、室内ユニット4内に吸入される室内空気の温度Traを検出する室内空気センサ48と、が設けられている。
【0044】
−システム制御部及び冷媒漏洩検知制御部−
図2は、空気調和システム1の制御ブロック図(室外制御部20及び室内制御部40を詳細に図示)であり、
図3は、空気調和システム1の制御ブロック図(遮断弁制御部70、80及び冷媒漏洩検知部90を詳細に図示)である。
【0045】
室外制御部20は、室外ユニット2の運転制御を行っており、システム制御部11の一部を構成している。室外制御部20は、主として、室外CPU121と、室外通信部122と、室外記憶部123と、室外操作部124と、室外表示部125と、を有している。室外CPU121は、室外通信部122、室外記憶部123、室外操作部124及び室外表示部125に接続されている。室外通信部122は、室内制御部40の間で制御データ等の通信を行う。室外記憶部123は、制御データ等を記憶する。室外操作部124は、制御指令等の入力を行う。室外表示部125は、運転状態等の表示(出力)を行う。そして、室外CPU121は、室外通信部122や室外操作部124を介して制御指令等の入力の受け付けや制御データ等の通信を行い、室外記憶部123に制御データ等の読み書きを行い、室外表示部125に運転状態等を表示しつつ、各種センサ35、36による状態量の検出や室外ユニット2の構成機器21、23、25、28等の運転制御を行う。
【0046】
室内制御部40は、室内ユニット4の運転制御を行っており、システム制御部11の一部を構成している。室内制御部40は、主として、室内CPU141と、室内通信部142と、室内記憶部143と、室内操作部144と、室内表示部145と、を有している。室内CPU141は、室内通信部142、室内記憶部143、室内操作部144及び室内表示部145に接続されている。室内通信部142は、室外制御部20や液側遮断制御部70、ガス側遮断制御部80、冷媒漏洩検知制御部90との間で制御データ等の通信を行う。室内記憶部143は、制御データ等を記憶する。室内操作部144は、制御指令等の入力を行う。室内表示部145は、運転状態等の表示(出力)を行う。そして、室内CPU141は、室内通信部142や室内操作部144を介して制御指令等の入力の受け付けや制御データ等の通信を行い、室内記憶部143に制御データ等の読み書きを行い、室内表示部145に運転状態等を表示しつつ、各種センサ47、48による状態量の検出や室内ユニット4の構成機器45等の運転制御を行う。尚、室内ユニット4に対応してリモコンが設けられる場合には、そのリモコンも室内制御部40を構成することになる。
【0047】
液側遮断制御部70は、液側遮断弁7の開閉制御を行っており、システム制御部11の一部を構成している。液側遮断制御部70は、主として、液側遮断CPU171と、液側遮断通信部172と、液側遮断記憶部173と、を有している。液側遮断CPU171は、液側遮断通信部172及び液側遮断記憶部173に接続されている。液側遮断通信部172は、室内制御部40の間で制御データ等の通信を行う。液側遮断記憶部173は、制御データ等を記憶する。そして、液側遮断CPU171は、液側遮断通信部172を介して制御データ等の通信を行い、液側遮断記憶部173に制御データ等の読み書きを行い、液側遮断弁7の開閉制御を行う。
【0048】
ガス側遮断制御部80は、ガス側遮断弁8の開閉制御を行っており、システム制御部11の一部を構成している。ガス側遮断制御部80は、主として、ガス側遮断CPU181と、ガス側遮断通信部182と、ガス側遮断記憶部183と、を有している。ガス側遮断CPU181は、ガス側遮断通信部182及びガス側遮断記憶部183に接続されている。ガス側遮断通信部182は、室内制御部40の間で制御データ等の通信を行う。ガス側遮断記憶部183は、制御データ等を記憶する。そして、ガス側遮断CPU181は、ガス側遮断通信部182を介して制御データ等の通信を行い、ガス側遮断記憶部183に制御データ等の読み書きを行い、ガス側遮断弁8の開閉制御を行う。
【0049】
冷媒漏洩検知制御部90は、冷媒漏洩検知装置9の検知制御を行っており、システム制御部11に接続されている。冷媒漏洩検知制御部90は、主として、検知CPU191と、検知通信部192と、検知記憶部193と、を有している。検知CPU191は、検知通信部192及び検知記憶部193に接続されている。検知通信部192は、室内制御部40の間で制御データ等の通信を行う。検知記憶部193は、制御データ等を記憶する。そして、検知CPU191は、検知通信部192を介して制御データ等の通信を行い、検知記憶部193に制御データ等の読み書きを行い、冷媒漏洩検知装置9の検知制御を行う。
【0050】
また、ここでは、室内制御部40の室内CPU141に、冷房運転や暖房運転を含む通常運転処理を実行するための通常運転処理部146と、冷媒の漏洩が検知された際に行われる遮断弁7、8の閉止を含む冷媒漏洩処理を実行するための冷媒漏洩処理部147と、定期点検等に行われる遮断弁7、8の動作確認を含む遮断弁点検処理を実行するための遮断弁点検処理部148と、が設けられている。
【0051】
(2)動作
−通常運転−
空気調和システム1では、通常運転として、冷房運転及び暖房運転が行われる。
【0052】
まず、冷房運転について説明する。室内制御部40の室内操作部144等を介してシステム制御部11に冷房運転の指示がなされると、室内CPU141の通常運転処理部146によって、以下の冷房運転が実行される。
【0053】
具体的には、切換機構23が冷房サイクル状態(
図1の切換機構23の実線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン45が起動する。また、ここでは、冷媒の漏洩が発生していないため(すなわち、冷媒漏洩検知装置9において冷媒の漏洩が検知されていないため)、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8は、いずれも開状態になっている。すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、切換機構23を経由して、室外熱交換器24に送られる。室外熱交換器24に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室外熱交換器24において、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この冷媒は、室外膨張弁25に送られる。室外膨張弁25に送られた冷媒は、室外膨張弁25において減圧され、液側閉鎖弁26及び液冷媒管50(液冷媒連絡管5、液側遮断弁7及び室内液冷媒管43)を経由して、室内熱交換器42に送られる。室内熱交換器42に送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器42において、室内ファン45によって室内から供給される室内空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する。この冷媒は、ガス冷媒管60(室内ガス冷媒管44、ガス冷媒連絡管6、ガス側遮断弁8)、ガス側閉鎖弁27及び切換機構23を経由して、圧縮機21に吸入される。一方、室内熱交換器42において冷却された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の冷房が行われる。
【0054】
次に、暖房運転について説明する。室内制御部40の室内操作部144等を介してシステム制御部11に暖房運転の指示がなされると、室内CPU141の通常運転処理部146によって、以下の暖房運転が実行される。
【0055】
具体的には、切換機構23が暖房サイクル状態(
図1の切換機構23の破線で示された状態)に切り換えられて、圧縮機21、室外ファン28及び室内ファン45が起動する。また、ここでは、冷媒の漏洩が発生していないため(すなわち、冷媒漏洩検知装置9において冷媒の漏洩が検知されていないため)、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8は、いずれも開状態になっている。すると、圧縮機21から吐出された冷媒は、切換機構23、ガス側閉鎖弁27及びガス冷媒管60(ガス冷媒連絡管6、ガス側遮断弁8、室内ガス冷媒管44)を経由して、室内熱交換器42に送られる。室内熱交換器42に送られた冷媒は、冷媒の放熱器として機能する室内熱交換器42において、室内ファン45によって室内から供給される室内空気と熱交換を行って冷却されることによって凝縮する。この冷媒は、液冷媒管50(室内液冷媒管43、液冷媒連絡管5及び液側遮断弁7)及び液側閉鎖弁26を経由して、室外膨張弁25に送られる。一方、室内熱交換器42において加熱された室内空気は、室内に送られ、これにより、室内の暖房が行われる。室外膨張弁25に送られた冷媒は、室外膨張弁25において減圧され、室外熱交換器24に送られる。室外熱交換器24に送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器24において、室外ファン28によって供給される室外空気と熱交換を行って加熱されることによって蒸発する。この冷媒は、切換機構23を経由して、圧縮機21に吸入される。
【0056】
−冷媒漏洩処理−
上記の通常運転において、冷媒の漏洩が検知された場合には、室内への冷媒の漏洩量を低減するために、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の閉止等を行う必要がある。そこで、冷媒漏洩検知装置9(冷媒漏洩検知制御部90)から出力される冷媒の漏洩が発生していることを示す信号がシステム制御部11(室内制御部40)に入力されると、室内CPU141の冷媒漏洩処理部147によって、以下の冷媒漏洩処理が実行される。
【0057】
具体的には、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8を閉止して、室外ユニット2から室内ユニット4への冷媒の流れをなくす。また、圧縮機21も停止する。これにより、室内への冷媒の漏洩量を低減することができ、ここでは、可燃性を有する冷媒が可燃濃度を超えないようにして、室内における着火事故の発生を抑えることができる。
【0058】
−遮断弁点検処理−
上記の遮断弁7、8を用いた冷媒漏洩処理は、冷媒の漏洩による事故を防止するために有効な手段であるが、この冷媒漏洩処理が確実に行われるようにするためには、冷媒の漏洩が検知された際の閉操作によって、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8が実際に閉状態になり、かつ、所望の遮断性能が確保されることが必要である。これに対して、定期点検等の際には、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8について動作確認を行うことが考えられるが、特許文献1のような開閉操作時の遮断弁の動作音や振動による動作確認の手法では、遮断弁を閉操作した際に、閉操作された遮断弁が実際に閉状態になっており、かつ、所望の遮断性能(閉状態における弁漏れ量等)が確保されているかを見極めることができず、遮断弁の遮断性能を含めた動作確認を行うことができないという問題がある。
【0059】
そこで、ここでは、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の動作確認を行う遮断弁点検処理として、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の開操作を行った状態で圧縮機21の運転を行い、その後、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作した際の冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された遮断弁が正常に動作しているかどうかを判定するようにしている。少し詳しく説明すると、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の両方の開操作を行った状態にして圧縮機21の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作すると、閉操作された遮断弁が正常に動作していれば、圧縮機21の吸入側や吐出側における冷媒の圧力が急激に変化するが、閉操作された遮断弁が正常に動作していなければ、圧縮機21の吸入側や吐出側における冷媒の圧力が急激に変化する傾向を示さない。このように、圧縮機21の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作すれば、この際における冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が遮断性能を含めて正常に動作しているかどうかを判定することができるのである。したがって、ここで説明する遮断弁点検処理は、このような技術思想によるものである。
【0060】
次に、遮断弁点検処理について、
図1〜
図5を用いて、詳細に説明する。ここで、
図4は、冷房サイクル状態での圧縮機21の運転を伴う遮断弁点検処理のフローチャートであり、
図5は、暖房サイクル状態での圧縮機21の運転を伴う遮断弁点検処理のフローチャートである。室内制御部40の室内操作部144や室外制御部20の室外操作部124等を介してシステム制御部11に遮断弁点検処理の指示がなされると、室内制御部40の遮断弁点検処理部148によって、以下の遮断弁点検処理が実行される。また、ここでは、冷房サイクル状態での圧縮機21の運転による遮断弁点検処理、及び、暖房サイクル状態での圧縮機21の運転による遮断弁点検処理のいずれかを選択して行うことが可能になっている。
【0061】
まず、冷房サイクル状態での圧縮機21の運転を伴う遮断弁点検処理について説明する。
【0062】
遮断弁点検処理部148は、ステップST1において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の開操作を行った状態で、室外熱交換器24を冷媒の放熱器として機能させる状態(冷房サイクル状態)で圧縮機21の運転を行い、その後、ステップST2において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作する。すなわち、冷媒が冷媒回路10内を冷房サイクル状態で循環する冷房運転と同様の運転を行い、その後、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作することで、圧縮機21の運転を継続しながら冷媒の循環を止めようとするのである。
【0063】
ここで、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の両方の開操作を行った状態にして冷房サイクル状態で圧縮機21の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作すると、閉操作された遮断弁が正常に動作していれば、圧縮機21の吸入側における冷媒の圧力Ps(吸入圧力Ps)が急激に低下する傾向を示すが、閉操作された遮断弁が正常に動作していなければ、吸入圧力Psが急激に低下する傾向を示さない。このように、ステップST1、ST2では、上記のように、冷房サイクル状態で圧縮機21の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作することで、閉操作された遮断弁が正常に動作している限り、吸入圧力Psが急激に低下する傾向を示す状態を作り出すようにしているのである。
【0064】
そして、遮断弁点検処理部148は、ステップST1、ST2の処理後に、ステップST3において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作した際の吸入圧力センサ35が検出する冷媒の圧力値(吸入圧力Ps)の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作しているかどうかを判定する。ここでは、ステップST2における液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方の閉操作によって、吸入圧力Psが急激に低下する傾向を示した場合には、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作しているものと判定するようにしている。ここで、吸入圧力Psが急激に低下する傾向を示したかどうかは、例えば、ステップST2における液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方の閉操作を行う前後の吸入圧力Psの低下幅ΔPsが所定の低下幅ΔPss以上になったかどうかによって判定することができる。
【0065】
そして、ステップST3において、上記の吸入圧力Psの条件を満たして閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作しているものと判定された場合には、ステップST4において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作している旨を室内制御部40の室内表示部145への表示等を通じて報知し、上記の吸入圧力Psの条件を満たさず閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作していないものと判定された場合には、ステップST5において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作していない旨を室内制御部40の室内表示部145への表示等を通じて報知する。
【0066】
このように、ステップST1〜ST5の処理によって、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。
【0067】
そして、遮断弁点検処理部148は、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作しているかどうかを判定した後に(すなわち、ステップST1〜ST5の処理後に)、ステップST6において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁の一方の開操作を行い、その後、ステップST7において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方を閉操作する。すなわち、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方の動作確認を行った後に、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の両方を開状態にして冷房サイクル状態で圧縮機21の運転を行っている状態に戻して、動作確認を行っていない液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方を閉操作することで、圧縮機21の運転を継続しながら冷媒の循環を再び止めようとするのである。
【0068】
そして、遮断弁点検処理部148は、ステップST6、ST7の処理後に、ステップST8において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方を閉操作した際の吸入圧力センサ35が検出する冷媒の圧力値(吸入圧力Ps)の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作しているかどうかを判定する。ここでは、ステップST7における液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方の閉操作によって、吸入圧力Psが急激に低下する傾向を示した場合には、ステップST3と同様に、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作しているものと判定するようにしている。
【0069】
そして、ステップST8において、上記の吸入圧力Psの条件を満たして閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作しているものと判定された場合には、ステップST9において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作している旨を室内制御部40の室内表示部145への表示等を通じて報知し、上記の吸入圧力Psの条件を満たさず閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作していないものと判定された場合には、ステップST10において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作していない旨を室内制御部40の室内表示部145への表示等を通じて報知する。
【0070】
このように、ステップST6〜ST10の処理によって、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。すなわち、ステップST1〜ST10の処理によって、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。
【0071】
次に、暖房サイクル状態での圧縮機21の運転を伴う遮断弁点検処理について説明する。
【0072】
遮断弁点検処理部148は、ステップST11において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の開操作を行った状態で、室外熱交換器24を冷媒の蒸発器として機能させる状態(暖房サイクル状態)で圧縮機21の運転を行い、その後、ステップST12において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作する。すなわち、冷媒が冷媒回路10内を暖房サイクル状態で循環する暖房運転と同様の運転を行い、その後、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作することで、圧縮機21の運転を継続しながら冷媒の循環を止めようとするのである。
【0073】
ここで、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の両方の開操作を行った状態にして暖房サイクル状態で圧縮機21の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作すると、閉操作された遮断弁が正常に動作していれば、圧縮機21の吐出側における冷媒の圧力Pd(吐出圧力Pd)が急激に上昇する傾向を示すが、閉操作された遮断弁が正常に動作していなければ、吐出圧力Pdが急激に上昇する傾向を示さない。このように、ステップST11、ST12では、上記のように、暖房サイクル状態で圧縮機21の運転を行っている際に、開状態の液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作することで、閉操作された遮断弁が正常に動作している限り、吐出圧力Pdが急激に上昇する傾向を示す状態を作り出すようにしているのである。
【0074】
そして、遮断弁点検処理部148は、ステップST11、ST12の処理後に、ステップST13において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方を閉操作した際の吐出圧力センサ36が検出する冷媒の圧力値(吐出圧力Pd)の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作しているかどうかを判定する。ここでは、ステップST12における液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方の閉操作によって、吐出圧力Pdが急激に上昇する傾向を示した場合には、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作しているものと判定するようにしている。ここで、吐出圧力Pdが急激に上昇する傾向を示したかどうかは、例えば、ステップST12における液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方の閉操作を行う前後の吐出圧力Pdの上昇幅ΔPdが所定の上昇幅ΔPds以上になったかどうかによって判定することができる。
【0075】
そして、ステップST13において、上記の吐出圧力Pdの条件を満たして閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作しているものと判定された場合には、ステップST14において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作している旨を室内制御部40の室内表示部145への表示等を通じて報知し、上記の吐出圧力Pdの条件を満たさず閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作していないものと判定された場合には、ステップST15において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作していない旨を室内制御部40の室内表示部145への表示等を通じて報知する。
【0076】
このように、ステップST11〜ST15の処理によって、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。
【0077】
そして、遮断弁点検処理部148は、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方が正常に動作しているかどうかを判定した後に(すなわち、ステップST11〜ST15の処理後に)、ステップST16において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁の一方の開操作を行い、その後、ステップST17において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方を閉操作する。すなわち、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の一方の動作確認を行った後に、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の両方を開状態にして暖房サイクル状態で圧縮機21の運転を行っている状態に戻して、動作確認を行っていない液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方を閉操作することで、圧縮機21の運転を継続しながら冷媒の循環を再び止めようとするのである。
【0078】
そして、遮断弁点検処理部148は、ステップST16、ST17の処理後に、ステップST18において、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方を閉操作した際の吐出圧力センサ36が検出する冷媒の圧力値(吐出圧力Pd)の変化に基づいて、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作しているかどうかを判定する。ここでは、ステップST17における液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方の閉操作によって、吐出圧力Pdが急激に上昇する傾向を示した場合には、ステップST13と同様に、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作しているものと判定するようにしている。
【0079】
そして、ステップST18において、上記の吐出圧力Pdの条件を満たして閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作しているものと判定された場合には、ステップST19において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作している旨を室内制御部40の室内表示部145への表示等を通じて報知し、上記の吐出圧力Pdの条件を満たさず閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作していないものと判定された場合には、ステップST20において、閉操作された液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方が正常に動作していない旨を室内制御部40の室内表示部145への表示等を通じて報知する。
【0080】
このように、ステップST16〜ST20の処理によって、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の他方の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。すなわち、ステップST11〜ST20の処理によって、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の遮断性能を含めた動作確認を確実に行うことができる。
【0081】
(3)変形例
空気調和システム1の定期点検等の際には、冷媒の漏洩が検知された場合の遮断弁7、8の閉止等の冷媒漏洩処理が確実に行われるようにするために、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の動作確認だけでなく、システム制御部11と冷媒漏洩検知装置9との通信接続の確認も行うことが望ましい。
【0082】
このため、冷媒漏洩検知装置9から冷媒の漏洩の有無を示す信号を模擬的に出力し、この冷媒の有無を示す模擬的な信号をシステム制御部11に入力することによって液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の開閉操作を行うようにして、上記実施形態の遮断弁点検処理を行うことが考えられる。
【0083】
しかし、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の開閉操作を冷媒漏洩検知装置9から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号を模擬的に入力することによって遮断弁点検処理を行う場合には、システム制御部11は、この冷媒漏洩検知装置9から出力される信号が模擬的な入力によるものか、実際の冷媒の漏洩の有無を示す信号であるかを区別できるようにする必要がある。なぜなら、冷媒漏洩検知装置9から冷媒の漏洩が発生していることを示す信号が入力されると、システム制御部11は、本当に冷媒の漏洩が発生しているものと判断して、液側遮断弁7やガス側遮断弁8を閉操作してしまい、冷房サイクル状態や暖房サイクル状態で圧縮機21の運転を行う等の遮断弁点検処理に必要な動作を行えなくなってしまうからである。すなわち、システム制御部11に冷媒漏洩検知装置9から冷媒の漏洩が発生していることを示す信号が入力されると、その信号が模擬的な入力かどうかにかかわらず、システム制御部11の冷媒漏洩処理部147によって冷媒漏洩処理(液側遮断弁7及びガス側遮断弁8を閉操作して圧縮機21を停止する処理)が行われてしまい、システム制御部11の遮断弁点検処理部148による遮断弁点検処理を行えなくなるということである。
【0084】
そこで、ここでは、
図6に示すように、遮断弁点検処理において、冷媒漏洩検知装置9から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号をシステム制御部11に模擬的に入力することによって液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の開閉操作を行うことを許可するための模擬入力許可部149をシステム制御部11(ここでは、室内制御部40の室内CPU141)に設けるようにしている。そして、遮断弁点検処理を行うのに先立って、室内制御部40の室内操作部144等を通じて、冷媒漏洩検知装置9から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号の模擬的な入力によって液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の開閉操作を行う旨を模擬入力許可部149に入力しておくことで、冷媒漏洩処理部147による冷媒漏洩処理が行われないようにするとともに、遮断弁点検処理部148が遮断弁点検処理を行うことを許可するのである。このようにすることで、冷媒漏洩検知装置9から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号の模擬的な入力によってシステム制御部11が本当に冷媒の漏洩が発生しているものと判断してしまうのを防ぎ、冷房サイクル状態や暖房サイクル状態で圧縮機21の運転を行う等の遮断弁点検処理に必要な動作を行うことができる。
【0085】
この場合においては、冷媒漏洩検知装置9から出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号をシステム制御部11に模擬的に入力することによって遮断弁点検処理を行うことができるようになり、システム制御部11と冷媒漏洩検知装置9との通信接続の確認とともに、液側遮断弁7及びガス側遮断弁8の動作確認を行うことができる。
【0086】
<第2実施形態>
上記第1実施形態及びその変形例においては、1つの室内ユニット4が冷媒連絡管5、6を介して室外ユニット2に接続されており、この室内ユニット4に対応して液側遮断弁7及びガス側遮断弁8が液冷媒管50及びガス冷媒管60に設けられた構成(
図1〜
図3及び
図6参照)が採用されている。
【0087】
しかし、複数の室内ユニットが冷媒連絡管5、6を介して室外ユニット2に接続され、各室内ユニットに対応して液側遮断弁及びガス側遮断弁が液冷媒管50及びガス冷媒管60に設けられた構成が採用される場合もある。
【0088】
このような構成として、例えば、
図7〜
図9に示すように、複数(ここでは、2つ)の室内ユニット4a、4bが冷媒連絡管5、6を介して室外ユニット2に接続され、各室内ユニット4a、4bに対応して液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bが液冷媒管50及びガス冷媒管60に設けられた構成がある。
【0089】
(1)構成
次に、複数の室内ユニット4a、4bを有する空気調和システム1の構成について、第1実施形態の1つの室内ユニット4が冷媒連絡管5、6を介して室外ユニット2に接続された構成と異なる部分を中心に説明する。
【0090】
具体的には、複数の室内ユニット4a、4bを有する空気調和システム1は、第1実施形態と同様に、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、ビル等の室内の冷房や暖房を行うシステムである。空気調和システム1は、主として、室外ユニット2と室内ユニット4a、4bとを液冷媒連絡管5及びガス冷媒連絡管6を介して接続することによって構成された蒸気圧縮式の冷媒回路10を含んでいる。そして、冷媒回路10には、冷媒として、R32のような微燃性を有する冷媒、又は、R290のような強燃性を有する冷媒が充填されている。
【0091】
室外ユニット2は、室外に設置されており、第1実施形態と同様に、主として、圧縮機21及び室外熱交換器24を有している。ここで、室外ユニット2の構成は、第1実施形態の室外ユニット2と同様であるため、第1実施形態のものと同じ符号を付して、ここでは説明を省略する。
【0092】
室内ユニット4aは、室内Aに設置されており、室内熱交換器42aを有しており、室内ユニット4bは、室内Bに設置されており、室内熱交換器42bを有している。ここで、室内ユニット4a、4bの構成は、第1実施形態の室内ユニット4と基本的には同様であるため、第1実施形態のものと同じ符号に添字「a」や「b」を付して、ここでは説明を省略する。但し、ここでは、第1実施形態とは異なり、各室内ユニット4a、4bにおいて、個別に冷房運転や暖房運転を行うことができるようにするために、室内ユニット4aの室内液冷媒管43aに室内膨張弁41aを設け、室内ユニット4bの室内液冷媒管43bに室内膨張弁41bを設けるようにしている。これらの室内膨張弁41a、41bは、開度制御が可能な電動膨張弁である。
【0093】
また、ここでは、液冷媒連絡管5を含めた室外ユニット2の液側端から室内熱交換器42a、42bの液側端に至るまでの液冷媒管50、及び、ガス冷媒連絡管6を含めた室外ユニット2のガス側端から室内熱交換器42a、42bのガス側端に至るまでのガス冷媒管60に対して冷媒の漏洩が検知された際に閉止される液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bが設けられている。ここで、液側遮断弁7aは、液冷媒管50のうち室内ユニット4aに対応して分岐している液冷媒分岐管50aに設けられており、液側遮断弁7bは、液冷媒管50のうち室内ユニット4bに対応して分岐している液冷媒分岐管50bに設けられている。また、ガス側遮断弁8aは、ガス冷媒管60のうち室内ユニット4aに対応して分岐しているガス冷媒分岐管60aに設けられており、ガス側遮断弁8bは、ガス冷媒管60のうち室内ユニット4bに対応して分岐しているガス冷媒分岐管60bに設けられている。これらの遮断弁7a、7b、8a、8bの構成は、第1実施形態の遮断弁7、8と同様であるため、第1実施形態のものと同じ符号に添字「a」や「b」を付して、ここでは説明を省略する。
【0094】
また、ここでは、室内ユニット4a側の冷媒の漏洩の有無を検知するために、冷媒漏洩検知装置9aが室内Aに設けられており、室内ユニット4b側の冷媒の漏洩の有無を検知するために、冷媒漏洩検知装置9bが室内Bに設けられている。ここで、冷媒漏洩検知装置9a、9bの構成は、第1実施形態の冷媒漏洩検知装置9と同様であるため、第1実施形態のものと同じ符号に添字「a」や「b」を付して、ここでは説明を省略する。
【0095】
そして、ここでは、液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bを含む構成機器を制御するシステム制御部11が設けられている。システム制御部11は、室外ユニット2の構成機器を制御する室外制御部20と、室内ユニット4a、4bの構成機器を制御する室内制御部40a、40bと、液側遮断弁7a、7bを制御する液側遮断制御部70a、70bと、ガス側遮断弁8a、8bを制御するガス側遮断制御部80a、80bと、が通信線を介して接続されることによって構成されている。室外制御部20は、室外ユニット2に設けられている。室内制御部40a、40bは、室内ユニット4a、4bに設けられている。液側遮断制御部70a、70bは、液側遮断弁7a、7bに設けられ、ガス側遮断制御部80a、80bは、ガス側遮断弁8a、8bに設けられている。また、システム制御部11には、冷媒漏洩検知装置9a、9bを制御する冷媒漏洩検知制御部90a、90bも接続されている。この冷媒漏洩検知制御部90a、90bは、冷媒漏洩検知装置9a、9bに設けられている。ここで、室外制御部20は、第1実施形態の室外制御部20と同様であるため、第1実施形態のものと同じ符号を付して、ここでは説明を省略する。また、制御部40a、40b、70a、70b、80a、80b、90a、90bは、第1実施形態の制御部40、70、80、90と同様であるため、第1実施形態のものと同じ符号に添字「a」や「b」を付して、ここでは説明を省略する。
【0096】
(2)動作
−通常運転−
ここでは、第1実施形態と同様に、通常運転として、冷房運転及び暖房運転が行われる。具体的には、室内制御部40a、40bの室内操作部144a、144b等を介してシステム制御部11に冷房運転や暖房運転の指示がなされると、室内CPU141a、141bの通常運転処理部146a、146bによって、第1実施形態と基本的には同様の冷房運転や暖房運転が実行される。但し、各室内ユニット4a、4bに室内膨張弁41a、41bが設けられており、冷房運転や暖房運転において開度制御が行われる点のみが異なる。
【0097】
−冷媒漏洩処理−
上記の通常運転において、冷媒の漏洩が検知された場合には、室内への冷媒の漏洩量を低減するために、液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bの閉止等を行う必要がある。そこで、冷媒漏洩検知装置9a、9b(冷媒漏洩検知制御部90a、90b)から出力される冷媒の漏洩が発生していることを示す信号がシステム制御部11(室内制御部40a、40b)に入力されると、室内CPU141a、141bの冷媒漏洩処理部147a、147bによって、第1実施形態と同様の冷媒漏洩処理が実行される。
【0098】
具体的には、液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bを閉止して、室外ユニット2から室内ユニット4a、4bへの冷媒の流れをなくす。また、圧縮機21も停止する。これにより、室内A、Bへの冷媒の漏洩量を低減することができ、ここでは、可燃性を有する冷媒が可燃濃度を超えないようにして、室内における着火事故の発生を抑えることができる。
【0099】
−遮断弁点検処理−
ここでは、基本的には、第1実施形態と同様に、液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bの動作確認を行う遮断弁点検処理として、液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bの開操作を行った状態で圧縮機21の運転を行い、その後、液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bの一方を閉操作した際の冷媒の圧力値の変化に基づいて、閉操作された遮断弁が正常に動作しているかどうかを判定するようにしている。
【0100】
但し、複数の室内ユニット4a、4bを有する空気調和システム1において各室内ユニット4a、4bに対応する液側遮断弁7a、7bやガス側遮断弁8a、8bを設け、複数の液側遮断弁7a、7bやガス側遮断弁8a、8bを対象にして同時に遮断弁点検処理を行うと、複数の液側遮断弁7a、7bやガス側遮断弁8a、8bの閉操作による圧力値の変化が同時に発生してしまい、どの遮断弁が正常に動作しているか(又は、どの遮断弁が正常に動作していないか)を区別することができないという問題がある。
【0101】
そこで、ここでは、複数の室内ユニット4a、4bのうちの1つの室内ユニット(例えば、室内ユニット4a)を対象として、対応する液側遮断弁7a及びガス側遮断弁8aについて遮断弁点検処理を行いつつ、複数の室内ユニット4a、4bのうち遮断弁点検処理の対象ではない室内ユニット(例えば、室内ユニット4b)については、運転を停止するようにしている。このため、遮断弁の閉操作による圧力値の変化の有無を遮断弁点検処理の対象となっている遮断弁によるものであると区別した上で正常に動作しているかどうかを判断することができる。
【0102】
具体的には、遮断弁点検処理は、基本的には第1実施形態と同様の処理からなる
図10及び
図11のフローチャートに示されたステップST1〜ST10やステップST11〜ST20の処理にしたがって、点検対象の室内ユニットに対応する液側遮断弁及びガス側遮断弁について実行される。但し、このとき、点検対象でない室内ユニットについては、ステップST1、ST6及びステップST11、ST16に示すように、対応する室内膨張弁を閉状態にすることで運転を停止しておく。このようにして、複数の室内ユニット4a、4bのうちの1つの室内ユニットを対象として、対応する液側遮断弁及びガス側遮断弁について遮断弁点検処理を行いつつ、複数の室内ユニット4a、4bのうち遮断弁点検処理の対象ではない室内ユニットについては、運転を停止するのである。このため、遮断弁の閉操作による圧力値(吸入圧力Psや吐出圧力Pd)の変化の有無を遮断弁点検処理の対象となっている遮断弁によるものであると区別した上で正常に動作しているかどうかを判断することができる。
【0103】
これにより、ここでは、複数の室内ユニット4a、4bのそれぞれに対応する液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bを設けた構成であっても、複数の遮断弁7a、7b、8a、8bについて遮断性能を含めた動作確認を順次行うことで、各遮断弁7a、7b、8a、8bについて正常に動作しているかどうかを判定することができる。
【0104】
(3)変形例1
上記実施形態においても、第1実施形態の変形例と同様に、
図12に示すように、冷媒漏洩検知装置9a、9bから出力される冷媒の漏洩の有無を示す信号をシステム制御部11に模擬的に入力することによって液側遮断弁7a、7b及びガス側遮断弁8a、8bの開閉操作を行うことを許可するための模擬入力許可部149a、149bをシステム制御部11(ここでは、室内制御部40a、40bの室内CPU141a、141b)に設けるようにしてもよい。
【0105】
(4)変形例2
上記実施形態及び変形例1においては、液冷媒管50(50a、50b)に各室内ユニット4a、4bに対応する液側遮断弁7a、7bを設けるようにしている。しかし、ここでは、液冷媒管50(50a、50b)に各室内ユニット4a、4bに対応する室内膨張弁41a、41bが設けられているため、室内膨張弁41a、41bを閉状態にした場合の遮断性能(閉状態における弁漏れ量等)が遮断弁で必要な遮断性能を満たす場合には、室内膨張弁41a、41bを液側遮断弁7a、7bと兼用するようにしてもよい。
【0106】
<他の実施形態>
上記第1及び第2実施形態やこれらの変形例においては、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うことが可能な構成を採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、切換機構23を有しない冷房専用の構成等の他の構成であってもよい。
【0107】
また、上記第1及び第2実施形態やこれらの変形例においては、冷媒漏洩検知装置9、9a、9bが室内に設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、室内ユニット4、4a、4b内等の他の場所に設けられていてもよい。