(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645090
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】連結給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/10 20060101AFI20200130BHJP
F23N 3/08 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
F24H1/10 301F
F23N3/08
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-187801(P2015-187801)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-62081(P2017-62081A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002088
【氏名又は名称】特許業務法人プロイスIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】濱上 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕美
(72)【発明者】
【氏名】阿部 祐助
(72)【発明者】
【氏名】堀内 健吾
(72)【発明者】
【氏名】井本 雄一
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−013242(JP,A)
【文献】
特開2003−028417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10
F23N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入水経路と出湯経路との間にそれぞれ並列に介装される複数台の給湯器と、前記複数台の給湯器と通信接続されてその複数の給湯器を対象にして給湯作動させる台数についての台数制御を行う台数制御部とを備え、前記複数台の給湯器のそれぞれが、給排気流路の閉塞度合を判定しその閉塞度合が所定の第1判定レベルまで増大すると給湯作動を強制停止させる安全機能を備え、前記台数制御部が、前記複数台の給湯器に対し、給湯使用が生じたときに最初に給湯作動させるメイン給湯器と、2番目以降に給湯作動させるサブ給湯器とのいずれかの役割を割り付け設定する一方、前記メイン給湯器としての役割を前記サブ給湯器のいずれかと交代させてローテーションさせるように構成されている連結給湯システムにおいて、
前記台数制御部は、メイン給湯器として割り付け設定した給湯器の前記閉塞度合が前記第1判定レベルよりも低レベルの第2判定レベルまで増大した段階で、メイン給湯器としての割り付け設定を解除してサブ給湯器として割り付け設定し、かつ、以後のメイン給湯器としての割り付け設定から除外することによりメイン給湯器として割り付け設定されることを禁止する一方、前記メイン給湯器としての割り付け設定を禁止された給湯器の前記閉塞度合が、時間経過に伴い前記第2判定レベルよりも低レベル範囲に低下すれば、前記割り付け設定の禁止を解除してメイン給湯器としての割り付け設定を許容するように構成されている、
ことを特徴とする連結給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の連結給湯システムであって、
前記台数制御部は、メイン給湯器としての割り付け設定を解除する一方、サブ給湯器として割り付け設定されていた他の給湯器の内から前記閉塞度合が前記第2判定レベルよりも低レベル範囲にある給湯器を新たなメイン給湯器として割り付け設定するように構成されている、連結給湯システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の連結給湯システムであって、
前記複数台の給湯器のそれぞれが、燃焼用空気を供給するための送風ファンと、この送風ファンの作動制御量を制御するファン制御部とを備え、
前記ファン制御部は、所定の閉塞状況が発生していると判定される毎に、前記送風ファンの目標回転数を所定の比率ずつ増大補正するように構成され、
前記第1判定レベル及び第2判定レベルは、前記目標回転数の増大補正後の累積比率に対応して特定される、連結給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入水経路と出湯経路との間にそれぞれ並列に介装されてなる2台以上の給湯器を台数制御する連結給湯システムに関し、特に、給排気通路の閉塞に起因する給湯中断の発生を回避し、給排気閉塞に対処しつつも連続して給湯可能とし得る技術に係る。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1では、給湯要求があれば最初に給湯運転を開始させるメイン給湯器として、2台以上の給湯器の内の1台を選択・設定し、メイン給湯器の積算作動時間が所定時間に到達すると、メイン給湯器の役割を他の給湯器に変更して交代させるというローテーション制御を行う連結給湯システムを対象にして、各給湯器の熱効率に係るデータを収集し、熱効率の高い給湯器を低いものに優先してメイン給湯器として設定することが記載されている。
又、下記の特許文献2では、即湯運転用の構成部品を備えた場合に、各給湯器に備えられた即湯運転用の構成部品に異常発生をいずれかの給湯器が検出すれば、その異常発生が検出された給湯器をメイン給湯器としての割り付け設定対象から除外するようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−298365
【特許文献2】特許第5589610
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、連結給湯システムを構成する各給湯器においては、給湯使用、すなわち、熱交換器に入水される水を、送風ファンにより燃焼用空気の供給を受けて燃焼される燃焼バーナの燃焼熱との熱交換により加熱し、加熱後の湯を給湯するという給湯使用を継続すると、送風ファンにより給気された燃焼用空気が燃焼ガスや燃焼排気となって排気部に流れる給排気流路の抵抗が増大傾向となる。これは、熱交換器の隙間に堆積物の付着や、排気筒から風の流入等による給排気流路の閉塞に起因するものであり、これに対抗して所定の空燃比を維持するために、前記閉塞度合の進行に応じて送風ファンの目標回転数を順次増大補正する補正制御が行われている。そして、その増大補正量が所定の上限値まで到達すれば、給湯運転を強制停止するという制御が行われている。
【0005】
しかしながら、特にメイン給湯器に割り付けられて給湯要求があれば最初に燃焼されて給湯運転が行われる給湯器において前記の閉塞に伴う給湯運転の強制停止が発生すると、メイン給湯器であるため代替がなく、連結給湯システム全体が停止してしまうことになる。こうなると、それまで給湯継続されていた給湯がいきなり停止されてしまい、給湯先の貯湯タンク等において湯切れが生じるおそれがあり、ユーザーに不便をかけるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、連結給湯システムを構成する給湯器に給排気流路が閉塞傾向に陥ったとしても、給湯使用の中断を招くことなく、連結給湯システムによる給湯使用をより長期に亘り継続させ得る連結給湯システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、入水経路と出湯経路との間にそれぞれ並列に介装される複数台の給湯器と、前記複数台の給湯器と通信接続されてその複数の給湯器を対象にして給湯作動させる台数についての台数制御を行う台数制御部とを備え、前記複数台の給湯器のそれぞれが、給排気流路の閉塞度合を判定しその閉塞度合が所定の第1判定レベルまで増大すると給湯作動を強制停止させる安全機能を備え、前記台数制御部が、前記複数台の給湯器に対し、給湯使用が生じたときに最初に給湯作動させるメイン給湯器と、2番目以降に給湯作動させるサブ給湯器とのいずれかの役割を割り付け設定する一方、前記メイン給湯器としての役割を前記サブ給湯器のいずれかと交代させてローテーションさせるように構成されている連結給湯システムを対象にして次の技術的手段を講じた。
【0008】
すなわち、前記台数制御部として、メイン給湯器として割り付け設定した給湯器の前記閉塞度合が前記第1判定レベルよりも低レベルの第2判定レベルまで増大した段階で、メイン給湯器としての割り付け設定を解除してサブ給湯器として割り付け設定
し、かつ、以後
のメイン給湯器としての割り付け設
定から除外することによりメイン給湯器として割り付け設定されることを禁止す
る一方、前記メイン給湯器としての割り付け設定を禁止された給湯器の前記閉塞度合が、時間経過に伴い前記第2判定レベルよりも低レベル範囲に低下すれば、前記割り付け設定の禁止を解除してメイン給湯器としての割り付け設定を許容する構成とした(請求項1)。
【0009】
本発明の場合、連結給湯システムを用いた給湯使用において、湯切れの発生を可及的に回避することが可能となり、連結給湯システムを長期に亘り継続使用することが可能となる。これにより、ユーザーの給湯使用における快適性を向上させることが可能となる。すなわち、メイン給湯器は給湯使用が生じれば最初に給湯運転作動される役割を担い、給湯要求によっては1台だけで給湯運転されることになるため、給排気流路の閉塞状況の進行や、閉塞度合が第1判定レベルに到達してしまうのが、サブ給湯器と比べ早くなる場合がある。1台だけで給湯運転されているときに、強制運転停止に至ってしまうと、湯切れ、つまり給湯使用の中断を余儀なくされて、ユーザーに不便を与える結果を招くことになる。これに対し、本発明では、閉塞度合が第1判定レベルに到達する前の、より低レベル範囲の第2判定レベルに到達した段階でメイン給湯器の割り付け設定を解除するようにしているため、強制運転停止処理に伴う不意の湯切れ発生を回避することが可能となり、ユーザーに不便を与えるおそれも回避することが可能となる。しかも、メイン給湯器の割り付け設定を解除した後も、その給湯器をサブ給湯器として使用継続するようにしているため、連結給湯システムの当初の給湯能力を維持した状態で、より長期に亘り給湯使用を継続させることが可能とな
る。加えて、台数制御部として、メイン給湯器としての割り付け設定を禁止された給湯器の閉塞度合が、時間経過に伴い第2判定レベルよりも低レベル範囲に低下すれば、割り付け設定の禁止を解除してメイン給湯器としての割り付け設定を許容する構成としているため、一旦はメイン給湯器としての割り付け設定が解除されて以後のメイン給湯器としての割り付け設定が禁止されたとしても、閉塞度合の改善によりメイン給湯器として復帰させることが可能となる。この結果、メイン給湯器としての割り付け対象の増加により、連結給湯システムによる継続的な給湯使用をより長期に亘り担保し得る。
【0010】
本発明の連結給湯システムにおいて、台数制御部として、メイン給湯器としての割り付け設定を解除する一方、サブ給湯器として割り付け設定されていた他の給湯器の内から閉塞度合が第2判定レベルよりも低レベル範囲にある給湯器を新たなメイン給湯器として割り付け設定する構成とすることができる(請求項2)。このようにすることにより、メイン給湯器として割り付け設定された給湯器を、より長くメイン給湯器として継続使用することが可能となり、連結給湯システムによる継続的な給湯使用の実現に寄与し得るようになる。
【0012】
さらに、本発明の連結給湯システムにおいて、複数台の給湯器のそれぞれが、燃焼用空気を供給するための送風ファンと、この送風ファンの作動制御量を制御するファン制御部とを備え、前記ファン制御部として、所定の閉塞状況が発生していると判定される毎に、前記送風ファンの目標回転数を所定の比率ずつ増大補正する構成とし、第1判定レベル及び第2判定レベルが前記目標回転数の増大補正後の累積比率に対応して特定されるようにすることができる(請求項
3)。このようにすることにより、本発明をより具体化した連結給湯システムを提供することが可能となり、本発明の作用をより具体的に得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、本発明の連結給湯システムによれば、連結給湯システムを用いた給湯使用において、給湯器の給排気流路が閉塞傾向に陥ったとしても、湯切れの発生を可及的に回避することができ、連結給湯システムを長期に亘り継続使用することができるようになる。これにより、ユーザーの給湯使用における快適性を向上させることができるようになる。すなわち、メイン給湯器は給湯使用が生じれば最初に給湯運転作動される役割を担い、給湯要求によっては1台だけで給湯運転されることになるため、給排気流路の閉塞状況の進行や、閉塞度合が第1判定レベルに到達してしまうのが、サブ給湯器と比べ早くなる場合がある。1台だけで給湯運転されているときに、強制運転停止に至ってしまうと、湯切れ、つまり給湯使用の中断を余儀なくされて、ユーザーに不便を与える結果を招くことになる。これに対し、本発明では、閉塞度合が第1判定レベルに到達する前の、より低レベル範囲の第2判定レベルに到達した段階でメイン給湯器の割り付け設定を解除するようにしているため、強制運転停止処理に伴う不意の湯切れ発生を回避することができ、ユーザーに不便を与えるおそれも回避することができるようになる。しかも、メイン給湯器の割り付け設定を解除した後も、その給湯器をサブ給湯器として使用継続するようにしているため、連結給湯システムの当初の給湯能力を維持した状態で、より長期に亘り給湯使用を継続させることができるようにな
る。加えて、台数制御部として、メイン給湯器としての割り付け設定を禁止された給湯器の閉塞度合が、時間経過に伴い第2判定レベルよりも低レベル範囲に低下すれば、割り付け設定の禁止を解除してメイン給湯器としての割り付け設定を許容する構成としているため、一旦はメイン給湯器としての割り付け設定が解除されて以後のメイン給湯器としての割り付け設定が禁止されたとしても、閉塞度合の改善によりメイン給湯器として復帰させることができる。この結果、メイン給湯器としての割り付け対象を増加させることができ、連結給湯システムによる継続的な給湯使用をより長期に亘り担保することができるようになる。
【0014】
特に、請求項2の連結給湯システムによれば、台数制御部として、メイン給湯器としての割り付け設定を解除する一方、サブ給湯器として割り付け設定されていた他の給湯器の内から閉塞度合が第2判定レベルよりも低レベル範囲にある給湯器を新たなメイン給湯器として割り付け設定する構成とすることにより、メイン給湯器として割り付け設定された給湯器を、より長くメイン給湯器として継続使用することができ、連結給湯システムによる継続的な給湯使用の実現に寄与することができる。
【0016】
さらに、請求項
3の連結給湯システムによれば、複数台の給湯器のそれぞれが、燃焼用空気を供給するための送風ファンと、この送風ファンの作動制御量を制御するファン制御部とを備え、前記ファン制御部として、所定の閉塞状況が発生していると判定される毎に、前記送風ファンの目標回転数を所定の比率ずつ増大補正する構成とし、第1判定レベル及び第2判定レベルが前記目標回転数の増大補正後の累積比率に対応して特定されるようにすることにより、本発明をより具体化した連結給湯システムを提供することができ、本発明の効果をより具体的に得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る制御装置を備えた連結給湯システムの例を示す全体模式図である。
【
図2】
図1の各給湯器の構成例を示す模式図である。
【
図3】
図1の連結給湯システムの作動制御に係る構成を示すブロック構成図である。
【
図4】各給湯器の送風ファンにおいて給排気通路の閉塞の進行に伴い実行される補正処理と、その給湯器がメイン給湯器である場合の処理を示すタイムチャートである。
【
図5】
図1の連結給湯システムのメイン給湯器に対する監視制御の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る連結給湯システムを示す模式図である。この連結給湯システムは、システムコントローラ2により制御される2台以上の所定数の同じ構成の給湯器3,3,…を入水経路5と出湯経路6との間に並列に連結したものである。なお、図例では、連結給湯システムとして6台の給湯器3,3,…により構成された場合を例示し、区別のために順に符号3a,3b,…も併せて付している。
【0020】
各給湯器3は、その入水口32が水道管等から給水を受ける入水経路5に対し接続される一方、その出湯口33が図示省略の貯湯槽や給湯栓等を下流端とする出湯経路6に対しそれぞれ並列に接続されている。連結給湯システムにおいて、各給湯器3は、各給湯器3に内蔵された個別コントローラ31により主として燃焼系の作動制御に基づく給湯運転制御が行われ、各個別コントローラ31はシステムコントローラ2と通信接続ライン71により個別に双方向通信可能に通信接続され、システムコントローラ2から、主として台数制御において割り付けられる役割の設定や、リモコン20に設定された設定出湯温度に係る情報を受けるようになっている。
【0021】
システムコントローラ2と、各給湯器3の個別コントローラ31,31,…とが通信接続ライン71により接続されることにより、システムコントローラ2は、連結給湯システムを構成する給湯器3,3,…の連結台数(図例では6台)と、それぞれの給湯器3a,3b,…とを認識して例えば不揮発性メモリ(
図3の設定記憶部213参照)に記憶するようになっている。又、システムコントローラ2や個別コントローラ31,31,…は、それぞれMPU,メモリ(EEPROM),インターフェース等を備え各種の制御用プログラムが格納されたものであり、それぞれ電源基板を備え、各給湯器3に電源を供給する電源ライン72からの電源電流を前記電源基板を介して受けるようになっている。
【0022】
前記の連結給湯システムを構成する各給湯器3の例について説明する。
図2には、前記給湯器3の例としてガスを燃料として燃焼させるガス給湯器を示している。なお、
図2に例示する給湯器3は燃焼熱により入水口32からの入水を加熱し、加熱後の湯を出湯口33から出湯させるようになっており、このような機能を有する給湯器であれば、後述の熱交換器34を用いない他のタイプの給湯器や、石油類(例えば灯油)を燃料として燃焼させるオイル給湯器を用いて本発明の連結給湯システム2を構成することができる。
【0023】
前記給湯器3は、熱交換器34と、入水経路5からの水を入水口32から前記熱交換器34に入水させるための入水路35と、前記熱交換器34で加熱された湯を出湯口33から出湯経路6に出湯するための出湯路36と、前記熱交換器34から出湯された湯に対し水を混合するためのバイパス路37と、前記熱交換器34を燃焼熱により加熱する燃焼部としての燃焼バーナ38とを備えている。熱交換器34や燃焼バーナ38は缶体39に内蔵され、この缶体39には送風ファン40が取り付けられている。そして、送風ファン40から供給される燃焼用空気を受けて燃焼バーナ38が燃焼されて熱交換器34内の入水を熱交換加熱するようになっている。
【0024】
前記入水路35には、入水流量を検出するための入水流量センサ41及びその入水温度を検出する入水温度センサ42が設けられている。又、前記出湯路36には前記バイパス路37の下流端との合流位置よりも上流側位置において熱交換器34で加熱された直後の缶体温度を検出する缶体温度センサ43が設けられる一方、前記合流位置よりも下流側位置において出湯流量を調整する流量制御弁44と、実際の出湯温度を検出する出湯温度センサ45とが設けられている。また、前記バイパス路37には、出湯路36の出湯に対し入水路35からの水を所定の混合比で混合するためのバイパス流量制御弁46が介装されている。前記流量制御弁44及びバイパス流量制御弁46の内、少なくとも流量制御弁44はシステムコントローラ2からの制御信号に基づき開弁量がゼロの全閉状態に閉止し得る全閉切換機能を有しており、全閉切換状態にすれば入水経路5からの入水が遮断されるようになっている。これにより、台数制御等による給湯使用・不使用の切換えを、前記流量制御弁44を通常の流量調整機能の作動状態にするか、全閉切換機能による全閉切換状態にするかによって行ない、外部の経路等に専用の電磁開閉弁を個別に付設することを不要にしている。
【0025】
そして、各給湯器3に設けられている個別コントローラ31による給湯運転制御としては、給湯要求(例えば給湯栓の開)により入水経路5から入水路35への入水流量が最低作動流量(MOQ)以上になったことが入水流量センサ41により検出されれば、燃焼バーナ38への燃料ガスの供給系(図示省略)及び点火機構を含む燃焼系47(
図3にのみ示す)や送風ファン40等を作動制御することにより、出湯経路6に出湯される出湯温度が設定出湯温度になるように所定の燃焼量で燃焼バーナ38を燃焼させるようになっている。すなわち、所定の空燃比と、要求される燃焼量(要求号数)とに基づいて、対応する燃料ガス供給量及び空気供給量の制御値が割り出され、割り出された燃料ガス供給量になるように燃料ガスの供給系が作動制御される一方、割り出された空気供給量になるように送風ファン40が作動制御されるようになっている。
【0026】
特に送風ファン40は各個別コントローラ31に設けられたファン制御部311(
図3参照)により作動制御並びに補正制御が実行されるようになっている。すなわち、送風ファン40の基本的な作動制御は、具体的には送風ファン40のファンモータの回転数を制御することにより所定の空気供給量になるようにするものであり、ファンモータの回転数制御は、回転数とファン電流値とについて予め定められた制御テーブルに基づいて、所定の目標回転数になるようにファン電流値を制御することにより行われる。そして、送風ファン40からの燃焼用空気の供給を受けて燃焼バーナ38が燃焼作動されると、その燃焼熱との熱交換により熱交換器34内の水が加熱され、熱交換器34を通過した燃焼排気ガスが排気筒から外部に放出されることになる。このような燃焼排気ガスの流れは最上流の送風ファン40からの空気の供給圧に基づいてもたらされるものであり、缶体39内の熱交換器34の燃焼ガスや燃焼排気ガスの流路となる隙間に付着物が堆積したり排気筒から風が流入したりする等により流路抵抗が増大し、この流路抵抗の増大を受けて送風ファン40を同じ回転数に維持しようとしてもファン電流値が低下傾向となる。このため、送風ファン40の回転数検出値と、ファン電流値との関係を見ることで、流路抵抗の増大状況(閉塞状況)について監視し、送風ファン40の基本作動制御量に対し補正を加える補正制御を実行するようになっている。
【0027】
前記のファン制御部311による補正制御は、基本的には流路抵抗の増加に応じて目標回転数を所定比率ずつ(例えば1%ずつ)順次増大補正していき、その補正量が所定の上限値まで到達すれば、給湯運転を規定停止し以後の給湯運転を禁止するようになっている。具体例について
図4を参照しつつ説明すると、まず、燃焼バーナ38の燃焼作動時に送風ファン40のファン電流値の読み値が、そのときの基本の作動制御による目標回転数に対応するファン電流値よりも所定量低下することになれば、流路抵抗が増大変化している、つまり閉塞状況が発生していると判定し、目標回転数を所定比率(図例では1%)増大補正する。この増大補正をしたにも拘わらず、前記のファン電流値が所定量低下すれば、目標回転数についてさらに1%増大補正を追加する。この結果、累積では2%の増大補正量となる。このようにファン電流値の低下の度に1%ずつ追加補正し、その累積補正量が上限値(第1判定値;例えば10%)に到達すれば、給湯運転制御を強制的に終了停止し以後の運転を禁止して、個別コントローラ31からシステムコントローラ2に対しその旨の情報を出力する。そして、システムコントローラ2は、給湯運転制御を強制的に終了停止し以後の運転を禁止した旨の情報の出力を個別コントローラ31から受けると、該当する給湯器3をメイン給湯器及びサブ給湯器としての割り付け設定対象から以後除外し、これを設定記憶部213に記憶する。なお、累積補正量が第1判定値に到達すると給湯運転制御を強制停止させるという前記の処理部分は、個別コントローラ31が備える、図示しない、給湯運転制御部が担当する。又は、これに代えて、この処理部分を、システムコントローラ2の台数制御部21に担当させることができる。
【0028】
以上の基本補正制御の進行過程において、もしも、累積補正量が所定の第2判定値(例えば5%の累積補正量)まで到達すれば、給湯運転制御が実行されている給湯器3の個別コントローラ31からシステムコントローラ2の監視制御部212にその旨の信号を出力するようになっている。そして、この給湯器3がサブ給湯器として作動している場合には、そのまま給湯運転制御とファン制御部311による制御の継続が、前記上限値(第1判定値;例えば10%の累積補正量)に到達するまで許容されるようになっている。この場合の補正制御は、初期の正常時の基本制御量を100%とすれば、その制御量が補正制御により例えば101〜110%(累積補正量10%)まで1%ずつ増大補正されることになる。なお、累積補正量が第2判定値まで到達したことのシステムコントローラ2に対する情報出力は、給湯運転制御が実行されている給湯器3がメイン給湯器として作動している場合に限定し、サブ給湯器として作動している場合には前記の情報出力を省略することができる。以上の例では累積補正量の大小が閉塞度合を表すことになり、第1判定値が請求項における閉塞度合として第1判定レベル、同様に、第2判定値が第2判定レベルを表すことになる。
【0029】
又、各個別コントローラ31は、システムコントローラ2との通信により、台数制御部21から燃焼許可(給湯使用)又は燃焼禁止(給湯不使用)のいずれかの制御信号を受けて対応する制御を実行するようになっている。すなわち、燃焼禁止指令を受けたときにはその燃焼禁止指令と共に受ける全閉切換指令に基づき流量制御弁44を全閉状態に切換えて入水経路5に入水が流れてもその水が入水路35に入水されないようにする一方、燃焼許可指令を受けたときにはその燃焼許可指令と共に受ける開切換指令に基づき流量制御弁44を開切換えして入水経路5から入水路35へ入水可能な状態にしておくようになっている。
【0030】
システムコントローラ2は、
図3に示すように台数制御部21を備え、台数制御部21は基本制御部211と、監視制御部212と、設定記憶部213とを備えている。このようなシステムコントローラ2は各給湯器3とは別に設置することができるし、あるいは、いずれかの給湯器3内に個別コントローラ31と併せて設置することができる。台数制御部21の基本制御部211による台数制御は次のように構成されている。すなわち、システムコントローラ2は、連結給湯システムを構成する全給湯器3a,3b,…の内からいずれか1台の給湯器(例えば3a)を選択し、この1台の給湯器3aを最初に燃焼させるメイン給湯器に、他の給湯器3b,3c,3d,…を給湯要求を満たす上で追加燃焼させるサブ給湯器に、それぞれ役割を割り付け設定し、この設定情報を設定記憶部213に記憶する。そして、給湯待機時にはメイン給湯器3aのみに燃焼許可指令を送出し、他のサブ給湯器3b,3c,3d,…には燃焼禁止指令を送出するようになっている。つまり、給湯待機時にはメイン給湯器3aのみを介して給水経路5と給湯経路6とを連通させ、他のサブ給湯器3b,3c,3d,…は給水経路5と給湯経路6とを遮断状態(通水不能)にしておくようになっている。
【0031】
そして、例えば下流端の給湯栓等が開かれて入水経路5に入水が生じてメイン給湯器3aへの入水流量がMOQ以上になればメイン給湯器3aの燃焼が開始されて給湯運転制御(並行してファン制御)に入り、メイン給湯器3aの給湯能力だけでは給湯要求量に対し不足するようになると、メイン給湯器3aからシステムコントローラ2に対し補完要求が出力され、これを受けたシステムコントローラ2はサブ給湯器として割り付けられた他の給湯器3b,3c,…の内のいずれか1台のサブ給湯器(例えば3c)に燃焼許可指令を送出することになる。これにより、サブ給湯器3cの流量制御弁44が開切換えされ、入水流量センサ41によるMOQ以上の入水流量検知によりサブ給湯器3cもメイン給湯器3aと共に燃焼される。これら2台の給湯器3a,3cの燃焼によっても給湯要求量に対し不足すれば、さらに他のサブ給湯器3(例えば3d)も燃焼されるというように燃焼台数を増加させることになる。同様に、給湯要求が低くなると、それに応じて燃焼禁止指令を順に送出することにより、逆に燃焼台数を順次減らしていくことになる。そして、前記のメイン給湯器3aの役割の割り付けを、所定時間の経過毎に切換えたり、あるいは、給湯器毎の積算燃焼時間に応じて切換えたりするようになっており、これに伴い、これまでサブ給湯器として割り付けられていた他の給湯器3b,3c,…の内の1台が新たにメイン給湯器として割り付け設定されて設定記憶部213に記憶される。
【0032】
一方、前記の台数制御部21の基本制御部211による台数制御の実行に並行して監視制御部212によるメイン給湯器に対する監視制御が実行される。すなわち、
図5に示すように、メイン給湯器に割り付けられた給湯器(例えば3a)のファン制御状況を監視、具体的にはメイン給湯器3aの個別コントローラ31から累積補正量が所定の第2判定値(例えば5%の累積補正量)まで到達したことの情報出力の有無を監視する(ステップS1)。第2判定値まで到達したことの情報出力が有れば(ステップS2でYES)、そのメイン給湯器3aのメイン給湯器としての割り付け設定を解除し、以後のメイン給湯器としての割り付け設定対象から除外することによりメイン給湯器として割り付け設定されることを禁止するものの、サブ給湯器としての割り付け設定対象に入れてサブ給湯器としての使用を許容する(ステップS3)。
【0033】
そして、メイン給湯器3aに対するメイン給湯器としての割り付け設定解除に伴い、サブ給湯器として割り付けられた他の給湯器3b,3c,…の内のいずれか1台をメイン給湯器として新たに割り付け設定する。この新たなメイン給湯器の割り付け設定に際し、前記の第2判定値まで到達したことの情報出力が、メイン給湯器又はサブ給湯器の如何を問わず、各個別コントローラ31からシステムコントローラ2に通信されるようになっている場合には、前記の他の給湯器3b,3c,…の内から、未だそのような情報出力が出ていない給湯器、つまり、給排気流路の閉塞度合が第2判定値(5%)未満に対応する閉塞状態の給湯器(メイン給湯器の割り付け可能対象)の内から選択するようになっている。又、以後の給湯運転継続中において、メイン給湯器としての割り付け設定が解除された前記給湯器3aが、例えば風の流入が止んだなどの理由で、第2判定値である5%未満の補正量範囲で所要の機能(所定の空気供給量)が回復したことをファン電流値の検出により確認できれば、その給湯器3aについてのメイン給湯器としての割り付け設定禁止を解除して、メイン給湯器として割り付け可能対象に復帰させるようになっている。
【0034】
以上の実施形態の場合、連結給湯システムを用いた給湯使用において、湯切れの発生を可及的に回避することができ、連結給湯システムを長期に亘り継続使用することができるようになる。これにより、ユーザーの給湯使用における快適性を向上させることができる。すなわち、メイン給湯器は給湯使用が生じれば最初に給湯運転作動される役割を担い、給湯要求によっては1台だけで給湯運転されることになるため、給排気流路の閉塞状況の進行や、累積補正量が上限値(第1判定値)に到達してしまうのが、サブ給湯器と比べ早くなる場合がある。1台だけで給湯運転されているときに、強制運転停止に至ってしまうと、湯切れ、つまり給湯使用の中断を余儀なくされて、ユーザーに不便を与える結果を招くことになる。これに対し、前記実施形態では、累積補正量が上限値に到達する前の所定の閉塞段階でメイン給湯器の割り付け設定を解除しているため、強制運転停止処理に伴う不意の湯切れ発生を回避することができ、ユーザーに不便を与えるおそれも回避することができる。しかも、メイン給湯器の割り付け設定を解除した後も、その給湯器をサブ給湯器として使用継続するようにしているため、連結給湯システムの当初の給湯能力を維持した状態で、より長期に亘り給湯使用を継続させることができる。
【0035】
<他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、2以上の給湯器3,3,…と、これらを制御するシステムコントローラ2とで連結給湯システムを構成した例を示したが、これに限らず、このような2以上の給湯器と、これらを制御するシステムコントローラとの組み合わせを1単位とした連結給湯システムを2単位以上備え、これら各単位の連結給湯システムのそれぞれのシステムコントローラ(子システムコントローラ)を制御対象とする上位のシステムコントローラ(親システムコントローラ)を備えることにより、いわゆる階層構造のコントロールシステムを構成した連結給湯システムを対象にして、本発明を適用することができる。又、前記実施形態では、メイン給湯器を1台としたが、これに限らず、給湯待機時にメイン給湯器を2台として、双方を通水可能としておき、いずれか一方のメイン給湯器への通水が検知されると、他方のメイン給湯器の通水を停止してサブ給湯器に切り換え、通水が検知された前記一方のメイン給湯器へ通水流量を集中させるという制御構成を備えた連結給湯システムに対し、本発明を適用することができる。
【0036】
又、前記実施形態では、各給湯器3がファン制御部311を備え、このファン制御部311が給排気流路の閉塞状況をファン電流値に基づき判定し、このファン電流値の所定量の低下が生じる度に目標回転数を所定比率(1%)ずつ増大補正するようにし、この累積補正量の大小によって閉塞度合の第1判定レベルや第2判定レベルを表すようにしているが、これに限らず、閉塞状況をファン電流値以外の他の検出パラメータ(例えば燃焼炎の温度)によって判定したり、補正対象を目標回転数以外の他の制御量としたりすることができ、第1又は第2判定レベルを目標回転数の累積補正量以外の他の補正量によって表すことができる。又、第1又は第2判定レベルとして、送風ファン40の回転数についての補正量を用いているが、かかる補正量に限らず、閉塞度合のレベルを示すものであれば他のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
3,3a,3b,3c,3d,3e,3f 給湯器
5 入水経路
6 出湯経路
21 台数制御部
31 ファン制御部
40 送風ファン