特許第6645093号(P6645093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6645093ゴルフボール用ゴム組成物、及びゴルフボール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645093
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】ゴルフボール用ゴム組成物、及びゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20200130BHJP
【FI】
   A63B37/00 510
   A63B37/00 410
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-189368(P2015-189368)
(22)【出願日】2015年9月28日
(65)【公開番号】特開2017-63815(P2017-63815A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100120570
【弁理士】
【氏名又は名称】中 敦士
(72)【発明者】
【氏名】庄田 恒志
(72)【発明者】
【氏名】田中 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 勇斗
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/075473(WO,A1)
【文献】 特開2014−148685(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0004974(US,A1)
【文献】 特許第5928660(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00 − 47/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合して製造され、かつ下記(A)から(E)に記載の要件を満足するポリブタジエン(I)を含むゴルフボール用ゴム組成物。
(A)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が43〜70
(B)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML1+4,100℃)が0.9〜1.7
(C)ML1+4,100℃測定終了時のトルクを100%としたとき、その値が80%減衰するまでの応力緩和時間(T80)が10.0〜40.0秒
(D)分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.50〜4.00
(E)ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合が94.0〜98.0モル%
【請求項2】
前記ポリブタジエン(I)が、さらに下記(F)から(H)に記載の要件を満足する、請求項1に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
(F)重量平均分子量(Mw)が40.0×10〜75.0×10
(G)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)が42〜160cps
(H)数平均分子量(Mn)が12.5×10〜30.0×10
【請求項3】
前記ポリブタジエン(I)と、共架橋剤とを含む、請求項1又は2に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
【請求項4】
前記ポリブタジエン(I)100重量部に対し、共架橋剤を10〜50重量部の割合で配合してなる、請求項3に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のゴルフボール用ゴム組成物をゴム基材として用いることを特徴とするゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工性及び耐摩耗性が改良されたポリブタジエンをゴム質部分の基材ゴムに用いた、ゴルフボール用ゴム組成物、及び該組成物を用いて得られるゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリブタジエンは、一般に、他のゴムに比べて耐摩耗性が優れているが加工性が劣っている。ところが、耐摩耗性と加工性は二律背反の関係にあり、一方を改善しようとすると他方の性能が低下してしまうことから、これまでさまざまな改良がなされている。
【0003】
例えば、コバルト触媒を用いて合成されたポリブタジエンの5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML)との比(Tcp/ML)を規定することで、耐摩耗性と加工性を両立させるためのタイヤ用ポリブタジエン組成物が報告されている(特許文献1)。さらに、コバルト触媒を用いて合成されたポリブタジエンの5%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML)との比(Tcp/ML)の規定に加え、ムーニー粘度速度依存性指数(n値)を規定することで、耐摩耗性と加工性をより両立させる試みがなされている(特許文献2及び3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−339467号公報
【特許文献2】特開2004−211048号公報
【特許文献3】国際公開第2007/081018号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1〜3において、耐摩耗性と加工性が改良されたポリブタジエンが提案されているが、本発明では、更に耐摩耗性と加工性が改良されたポリブタジエンをゴム質部分の基材ゴムに用いた、ゴルフボール用ゴム組成物、及びゴルフボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、コバルト系触媒を用いて製造され、かつ後述する(A)〜(E)の要件を満足するポリブタジエンを使用することにより、更に耐摩耗性と加工性を向上させたゴルフボール用ゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の(1)ないし(5)に記載する発明を要旨とする。
【0007】
(1)コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合して製造され、かつ下記(A)から(E)に記載の要件を満足するポリブタジエン(I)を含むゴルフボール用ゴム組成物。
(A)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が43〜70
(B)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML1+4,100℃)が0.9〜1.7
(C)ML1+4,100℃測定終了時のトルクを100%としたとき、その値が80%減衰するまでの応力緩和時間(T80)が10.0〜40.0秒
(D)分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が2.50〜4.00
(E)ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合が94.0〜98.0モル%
(2)前記ポリブタジエン(I)が、さらに下記(F)から(H)に記載の要件を満足する、上記(1)に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
(F)重量平均分子量(Mw)が40.0×10〜75.0×10
(G)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)が42〜160cps
(H)数平均分子量(Mn)が12.5×10〜30.0×10
【0008】
(3)前記ポリブタジエン(I)と、共架橋剤とを含む、上記(1)又は(2)に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
(4)前記ポリブタジエン(I)100重量部に対し、共架橋剤を10〜50重量部の割合で配合してなる、上記(3)に記載のゴルフボール用ゴム組成物。
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載のゴルフボール用ゴム組成物をゴム基材として用いることを特徴とするゴルフボール。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゴルフボール用ゴム組成物は、耐摩耗性と加工性に優れる。また、本発明のゴルフボール用ゴム組成物から得られるゴルフボールも同様の効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明のゴルフボール用ゴム組成物、及びゴルフボールについて説明する。
〔1〕ゴルフボール用ゴム組成物
本発明のゴルフボール用ゴム組成物の基材ゴムとして用いられるポリブタジエン(I)、ポリブタジエン(I)の製造方法、及びゴルフボール用ゴム組成物、について説明する。
【0011】
(1)ポリブタジエン(I)
本発明のゴルフボール用ゴム組成物に使用されるポリブタジエン(I)は、以下の特性を有する。
(A)100℃で測定されるムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、43〜70である。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は48〜70であることが好ましく、50〜65であることがより好ましい。ML1+4,100℃を43以上とすることで、耐摩耗性が向上し、一方、70以下とすることで、加工性が向上する。本発明におけるムーニー粘度は、回転可塑度計の一種であるムーニー粘度計を用いて測定される工業的粘度指標であり、本発明において、単位記号として[ML1+4,100℃]を用いる。この場合、Mはムーニー粘度、Lは大ローター(L型)、1+4は予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間をそれぞれ示し、100℃の温度条件下にて測定された値であることを意味する。尚、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
【0012】
(B)5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)とムーニー粘度(ML1+4,100℃)の比(Tcp/ML1+4,100℃)は、0.9〜1.7である。Tcp/ML1+4,100℃は、1.4〜1.7であることが好ましい。Tcp/ML1+4,100℃はポリブタジエンの分岐度の指標となるものであり、Tcp/ML1+4,100℃が0.9未満であると、分岐度が大きすぎて耐摩耗性が低下するおそれがある。一方、Tcp/ML1+4,100℃が1.7を超えると、分岐度が低すぎてコールドフローが生じやすくなり、製品の保存安定性が低下するおそれがある。尚、5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)と(Tcp/ML1+4,100℃)は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
【0013】
(C)ムーニー粘度(ML1+4,100℃)測定終了時のトルクを100%としたとき、その値が80%減衰するまでの応力緩和時間(T80)は、10.0〜40.0秒である。T80は、11.0〜26.0秒であることが好ましく、12.0〜20.0秒であることがより好ましい。T80が10.0秒未満であると、ゴム分子の絡み合いが少なく剪断応力の保持力が不十分になり、良好なフィラーの分散状態が得られにくくなるおそれがある。一方、T80が40.0秒を超えると、成形加工時の残留応力が増大して、寸法安定性が劣り加工性が低下するおそれがある。尚、応力緩和時間(T80)は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。ゴムの応力緩和の推移は、弾性成分と粘性成分の組み合わせにより決まるものであり、応力緩和が遅いことは弾性成分が多いことを示し、応力緩和が速いことは粘性成分が多いことを示す。
【0014】
(D)分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、2.50〜4.00である。該Mw/Mnは、2.60〜3.60であることが好ましく、2.70〜3.20であることがより好ましい。該Mw/Mnが2.50未満であると、加工性が低下するおそれがある。一方、Mw/Mnが4.00を超えると、耐摩耗性が低下するおそれがある。尚、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
【0015】
(E)ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合は、94.0〜98.0モル%であり、95.0〜97.6モル%であることが好ましい。ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合を前記98.0モル%以下とすることで、十分な分岐状ポリマー鎖を有し、必要とする応力緩和時間が得られやすい。一方、ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットの割合が前記94.0未満になると、耐摩耗性が低下する傾向を示す。尚、ミクロ構造分析におけるシス−1,4構造ユニットなどの割合は、後述する実施例に記載された方法により測定される値である。
【0016】
更に本発明のゴルフボール用ゴム組成物(以下、本発明の組成物ということがある)に使用されるポリブタジエン(I)において、(F)重量平均分子量(Mw)が40.0×10〜75.0×10であることが好ましく、46.0×10〜65.0×10であることがより好ましく、52.0×10〜62.0×10であることがさらに好ましい。Mwを40.0×10以上とすることで、耐摩耗性がより向上する。一方、Mwを75.0×10以下とすることで、加工性がより向上する。
【0017】
本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)において、(G)トルエン溶液粘度(Tcp)は42〜160であることが好ましく、55〜135であることがより好ましく、68〜120であることがさらに好ましい。Tcpを42以上とすることで、耐摩耗性がより向上する。一方、Tcpを160以下とすることで、加工性がより向上する。
【0018】
また、本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)において、(H)数平均分子量(Mn)は12.5×10〜30.0×10であることが好ましく、16.0×10〜23.0×10であることがより好ましく、17.0×10〜20.3×10であることがさらに好ましい。Mnを12.5×10以上とすることで、耐摩耗性がより向上する。一方、Mnを30.0×10以下とすることで、加工性がより向上する。
【0019】
また、本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)において、ミクロ構造分析におけるビニル構造ユニットの割合が2モル%以下であることが好ましく、1.8モル%以下であることがより好ましい。ミクロ構造分析におけるビニル構造ユニットの割合を2モル%以下とすることで、分子運動性が良好となり、加硫後の動的粘弾性特性のtanδが良好となる。尚、ミクロ構造分析におけるビニル構造ユニットの割合はできるだけ少ない方が好ましいが、例えば、1.0モル%以上でもよい。
【0020】
本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)において、ミクロ構造分析におけるトランス−1、4構造ユニットの割合が2.0モル%以下であることが好ましく、1.6モル%以下であることがより好ましく、1.3モル%以下であることがさらに好ましい。ミクロ構造分析におけるトランス−1、4構造ユニットの割合を2.0モル%以下とすることで、耐摩耗性がより向上する。尚、ミクロ構造分析におけるトランス−1、4構造ユニットの割合はできるだけ少ない方が好ましいが、例えば1.0モル%以上でもよい。
【0021】
本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)は、二塩化二硫黄、一塩化一硫黄、その他硫黄化合物、有機過酸化物、t−ブチルクロライド等で変性されていてもよく、変性されていなくてもよい。
【0022】
(2)ポリブタジエン(I)の製造方法
本発明の組成物に使用されるポリブタジエン(I)は、コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合して製造される。コバルト系触媒としては、例えばコバルト触媒、有機アルミニウム化合物、及び水からなる触媒系が挙げられる。コバルト触媒としては、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸(エチルヘキサン酸)コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルト等のコバルト塩;コバルトビスアセチルアセトネート、コバルトトリスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステルコバルト、コバルト塩のピリジン錯体及びピコリン錯体等の有機塩基錯体又はエチルアルコール錯体等が挙げられる。なかでも、オクチル酸(エチルヘキサン酸)コバルトが好ましい。コバルト系触媒の使用量に関しては、所望のムーニー粘度を有するポリブタジエンとするように適宜調整することができる。
【0023】
有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイド、アルキルアルミニウムジクロライド、アルキルアルミニウムジブロマイド等のハロゲン含有有機アルミニウム化合物;ジアルキルアルミニウムハイドライド、アルキルアルミニウムセスキハイドライト等の水素化有機アルミニウム化合物等が挙げられる。有機アルミニウム化合物は、1種を単独で用いることもでき、2種以上併用することもできる。
【0024】
トリアルキルアルミニウムの具体的な化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等が挙げられる。
【0025】
ジアルキルアルミニウムクロライドとしては、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。ジアルキルアルミニウムブロマイドとしては、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムブロマイド等が挙げられる。アルキルアルミニウムセスキクロライドとしては、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等が挙げられる。アルキルアルミニウムセスキブロマイドとしては、メチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド等が挙げられる。アルキルアルミニウムジクロライドとしては、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド等が挙げられる。アルキルアルミニウムジブロマイドとしては、メチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイド等が挙げられる。
【0026】
ジアルキルアルミニウムハイドライドとしては、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。アルキルアルミニウムセスキハイドライトとしては、エチルアルミニウムセスキハイドライド、イソブチルアルミニウムセスキハイドライド等が挙げられる。
【0027】
有機アルミニウム化合物と水との混合比に関しては、所望のT80を有するポリブタジエンが得られやすいことから、アルミニウム/水(モル比)で1.5〜3であることが好ましく、1.7〜2.5であることがより好ましい。
【0028】
さらに、所望のムーニー粘度を有するポリブタジエンとするため、シクロオクタジエン、アレン、メチルアレン(1,2−ブタジエン)等の非共役ジエン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン類等の分子量調節剤を用いることもできる。分子量調節剤は、1種を単独で用いることもでき、2種以上を併用することもできる。
【0029】
ブタジエンの重合方法には特に制限はなく、1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物モノマーを重合溶媒としながらモノマーを重合する塊状重合(バルク重合)や、モノマーを溶媒に溶解させた状態で重合する溶液重合等を適用できる。溶液重合で用いる溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素;n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素;ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシン等の石油系溶媒;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。なかでも、トルエン、シクロヘキサン、又はシス−2−ブテンとトランス−2−ブテンとの混合溶媒が好適に用いられる。
【0030】
重合温度は、−30〜150℃の範囲が好ましく、30〜100℃の範囲がより好ましく、所望の応力緩和時間(T80)を有するポリブタジエンが得られやすい点から70〜80℃がさらに好ましい。重合時間は、1分〜12時間の範囲が好ましく、5分〜5時間の範囲がより好ましい。
【0031】
重合反応が所定の重合率に達した後、必要に応じて老化防止剤を添加することができる。老化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)等のフェノール系老化防止剤、トリノニルフェニルフォスファイト(TNP)等のリン系老化防止剤、並びに4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール及びジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(TPL)等の硫黄系老化防止剤等が挙げられる。老化防止剤は、1種を単独で用いることもでき、2種以上併用することもできる。老化防止剤の添加量は、ポリブタジエン(I)100重量部に対して0.001〜5重量部とすることが好ましい。
【0032】
所定時間の重合を行った後、重合槽内部を必要に応じて放圧し、さらに洗浄や乾燥工程等の後処理を行うことで、所望の特性を有するポリブタジエンを製造することができる。
【0033】
(3)ゴルフボール用ゴム組成物
本発明のゴルフボール用ゴム組成物は、上記のとおり、コバルト系触媒存在下にブタジエンを重合して製造され、かつ上記(A)から(E)に記載の要件を満足するポリブタジエン(I)を含む組成物である。本発明のゴルフボール用ゴム組成物に、耐摩耗性と加工性の向上に加えて、さらに低エネルギーロス性等の向上を図るために、本発明のゴルフボール用ゴム組成物には、ポリブタジエン(I)に下記の成分を配合させることができる。
【0034】
<1>共架橋剤
本発明のゴルフボール用ゴム組成物に配合される共架橋剤は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の1価又は2価の金属塩であることが好ましく、その具体例としては、たとえばジアクリル酸亜鉛、塩基性メタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛等が挙げられる。これらのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩は、そのままで基材ゴム等と混合する通常の方法以外に、あらかじめ酸化亜鉛等の金属酸化物を練り混んだゴム組成物中にアクリル酸、メタクリル酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を添加し練り混んでゴム組成物中でα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属酸化物とを反応させて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の金属塩としたものであってもよい。
【0035】
上記共架橋剤の配合量は、基材ゴムであるポリブタジエン(I)100重量部に対して10〜50重量部が好ましい。共架橋剤の配合量が上記範囲の下限未満では、架橋が充分に進行せず、その結果、低エネルギーロス性、反撥性、耐久性等の向上が期待できないおそれがある。また、共架橋剤の配合量が上記範囲の上限を超えると、コンプレッションが大きくなりすぎるため打球感が低下するおそれがある。
【0036】
<2>パーオキサイド類
本発明の組成物において、ゴム質部分を構成することになるゴム組成物には、上記の共架橋剤以外に、パーオキサイド類が配合されることが好ましい。このパーオキサイド類は、ゴムおよび共架橋剤の架橋、グラフト、重合等の開始剤として作用する。このパーオキサイド類の好適な具体例としては、たとえばジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。このパーオキサイド類の配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.2〜5重量部が好ましい。ハーオキサイド類の配合量が上記範囲の下限未満の場合は、架橋等を充分に進行させることができず、その結果、反撥性能、耐久性の向上等が期待できないおそれがある。また、パーオキサイド類の配合量が上記範囲の上限を超えると、オーバーキュアー(過架橋)となって脆くなり、耐久性が低下するおそれがある。
【0037】
本発明の組成物には、共架橋剤がジアクリル酸亜鉛やジメタクリル酸亜鉛の場合に架橋助剤としても作用する酸化亜鉛を配合してもよいし、さらに必要に応じて、硫酸バリウム等の充填剤、ステアリン酸亜鉛等の添加材等を配合しても良い。
【0038】
<3>その他の成分
本発明の組成物には、ジエン系ゴム成分、カーボンブラック、ホワイトカーボン(シリカ)、活性化炭酸カルシウム等のゴム補強材成分を添加することもできる。また、本発明の組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤、加硫剤、加硫促進剤、充填材、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸等、通常ゴム業界で用いられる成分を混練してもよい。尚、加硫剤としては、公知の加硫剤、例えば、硫黄、有機過酸化物、樹脂加硫剤、酸化マグネシウム等の金属酸化物が挙げられ、加硫促進剤としては、公知の加硫助剤、例えば、アルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類等が挙げられる。
【0039】
充填材としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、珪藻土等の無機充填材;再生ゴム、粉末ゴム等の有機充填材が挙げられる。プロセスオイルとしては、アロマティック系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、パラフィン系プロセスオイルのいずれを用いてもよい。また、低分子量の液状ポリブタジエンやタッキファイヤーを用いてもよい。
【0040】
<4>ゴルフボール用ゴム組成物の混練方法
本発明のゴルフボール用ゴム組成物は、上記成分を、通常行われているバンバリー、オープンロール、ニーダー、二軸混練り機等を用いて混練りすることで製造することができる。
【0041】
〔2〕ゴルフボール
本発明のゴルフボールは、前記ゴルフボール用ゴム組成物をゴム基材として用いることを特徴とする。本発明のゴルフボール用ゴム組成物は、耐摩耗性と加工性とが向上したポリブタジエン(I)であるので、該ゴルフボール用ゴム組成物をゴム基材に用いる、本発明のゴルフボールは、耐摩耗性と加工性に優れている。また、本発明のゴルフボール用ゴム組成物に、低エネルギーロス性等を向上するために共架橋剤が含有されている場合には、該ゴルフボール用ゴム組成物をゴム基材として用いる、本発明のゴルフボールは、耐摩耗性と加工性に優れ、更に低エネルギーロス性等の向上を図ることができる。
【実施例】
【0042】
以下に本発明に基づく実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1〜11、及び比較例1〜7においては、ゴルフボール用ゴム組成物に使用するポリブタジエンについての物性等、及び該ポリブタジエンに配合物を添加して得られる組成物について加工性、耐摩耗性等の評価を行った。また、実施例12、及び比較例8〜11において、ゴルフボール用ゴム組成物に使用するポリブタジエンについての物性等、及び該ポリブタジエンに共架橋剤を配合して得たゴルフボール用ゴム組成物について、加工性、硬度、及び低エネルギーロス性(tanδ)の評価を行った。
【0043】
初めに本実施例、比較例における評価方法を記載する。
(1)ムーニー粘度(ML1+4,100℃
ポリブタジエン及び配合物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300に準拠して100℃にて測定した。
(2)トルエン溶液粘度(Tcp)
ポリブタジエンの5重量%トルエン溶液粘度(Tcp)は、ポリマー2.28gをトルエン50mlに溶解させた後、キャノンフェンスケ粘度計No.400を用いて25℃で測定した。尚、標準液としては、粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用いた。
(3)応力緩和時間(T80
ポリブタジエンの応力緩和時間(T80)は、ASTM D1646−7に準じた応力緩和測定により算出した。具体的には、JIS K6300に基づいて測定した100℃におけるML1+4,100℃の測定条件下、測定4分後にローターが停止した時(0秒)のトルクを100%とし、その値が80%緩和するまで(すなわち20%に減衰するまで)の時間(単位:秒)を応力緩和時間T80として測定した。
【0044】
(4)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)
ポリブタジエンの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、GPC法(東ソー(株)製、商品名:HLC−8220)を採用して、標準ポリスチレン換算により算出した。溶媒はテトラヒドロフランを用い、カラムは昭和電工(株)製、カラム(商品名:Shodex(登録商標)KF−805L)を2本直列に接続し、検出器は示唆屈折計(RI)を用いた。
(5)ミクロ構造分析
ポリブタジエンのミクロ構造分析における、シス−1,4構造ユニット、トランス−1,4構造ユニット、及びビニル構造ユニットの割合は、それぞれ赤外吸収スペクトル分析によって算出した。具体的には、ミクロ構造に由来するピーク位置(シス(cis):740cm−1、ビニル(vinyl):910cm−1、トランス(trans):967cm−1)の吸収強度比から、ポリブタジエンのミクロ構造ユニットの割合を算出した。
【0045】
(6)耐摩耗性
ゴム組成物の耐摩耗性の指標として、JIS K6264に準拠したランボーン摩耗係数を、スリップ率20%で測定し、比較例1又は比較例5を100とした指数を算出した(指数が大きいほどランボーン摩耗係数が大きく、耐摩耗性が良好となる)。
(7)硬度
ゴルフボール用ゴム組成物の硬度は、JIS K6253に規定されている測定法に従って、デュロメーター式(タイプD)で測定した。
(8)低エネルギーロス性(tanδ)
ゴルフボール用ゴム組成物の低エネルギーロス性(tanδ)は、アルファテクノロジー社製、ゴム加工性解析装置(商品名:RPA 2000)を用いて、測定温度50℃、周波数15Hz、動的歪み1%で測定した。
【0046】
[実施例1]
窒素ガスで置換した内容1.5リットル(L)の撹拌機つきステンレス製反応槽中に、重合溶液1.0L(ブタジエン(BD):34.2重量%、シクロヘキサン(CH):31.2重量%、残りは2−ブテン類)を投入した。さらに、水(HO)1.52mmol、ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)2.08mmol、トリエチルアルミニウム(TEA)0.52mmol、(全アルミニウム/水=1.71(混合モル比))、コバルトオクトエート(Cocat)20.94μmol、及びシクロオクタジエン(COD)6.05mmolを加え、72℃で20分間撹拌することで、1,4−シス重合を行った。その後、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを含むエタノールを加えて重合を停止し、未反応のブタジエン及び2−ブテン類を蒸発除去することで、ポリブタジエンを得た。得られたポリブタジエンの物性を表1に示す。
【0047】
次に、得られたポリブタジエンを用いてスチレンブタジエンゴム(SBR)を含むゴム組成物を作製した。具体的には、まず、30重量部のポリブタジエンと、70重量部のスチレンブタジエンゴム(SBR)とを、温度90℃、回転数68rpmに設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製、商品名:BR−250型)を用いて30秒間混合した。その後、規定量の半量である32.5重量部のシリカ(エボニック・デグサ社製、商品名:Ultrasil7000GR)と、5.2重量部のシランカップリング剤(エボニック・デグサ社製、商品名:si75)とを混合した。引き続き、残り32.5重量部のシリカと、25重量部のオイル(H&R社製、商品名:VivaTec400)と、3重量部のZnO((株)堺化学工業製、商品名:Sazex1号)と、1重量部のステアリン酸((株)アデカ製、商品名:アデカ脂肪酸SA−300)と、1重量部のAO(酸化防止剤、大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクラック6C)とを投入し、計6分間混練した。
【0048】
次に、得られた混練物を6インチロールにより冷却・放冷した後、再度リミルを行った。さらに、混練物に、1.7重量部の第一の加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクセラーCZ(CBS))と、2重量部の第二の加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクセラーD(DPG))と、1.4重量部の加硫剤(粉末硫黄)とを6インチロールにより混合することで、配合物を作製した。配合物の物性(ムーニー粘度)を表1に示す。
【0049】
そして、得られた配合物を金型に入れてプレス加硫することで、ゴム組成物を作製した。尚、加硫時間は、粘弾性測定装置(アルファテクノロジーズ社製、商品名:RPA 2000)で求めた160℃の加硫特性t90の2倍の時間とした。得られたゴム組成物の物性(ランボーン摩耗係数)を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
[実施例2〜6]
原料配合比及び重合温度を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。尚、実施例4及び5では、トリエチルアルミニウム(TEA)を使用しなかった。
【0052】
【表2】
【0053】
[比較例1]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR150L)を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0054】
[比較例2]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR150B)を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0055】
[比較例3]
試作ポリブタジエンを用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0056】
[比較例4]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR710)を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0057】
[実施例7]
実施例1で得られたポリブタジエンを用いて天然ゴムを含むゴム組成物を作製した。具体的には、まず、50重量部のポリブタジエンと、50重量部の天然ゴム(RSS#1;ML1+4,100℃=70に調整)とを、温度90℃、回転数68rpmに設定したラボプラストミル((株)東洋精機製作所製、商品名:BR−250型)を用いて60秒間混合した。その後、50重量部のカーボンブラック(ISAF)と、3重量部のオイル(H&R社製、商品名:VivaTec400)と、3重量部のZnO(堺化学工業(株)製、商品名:Sazex1号)と、2重量部のステアリン酸((株)アデカ製、商品名:アデカ脂肪酸SA−300)と、2重量部の酸化防止剤(住友化学(株)製、商品名:アンチゲン6C)とを投入し、計4分間混練した。
【0058】
次に、得られた混練物に、1重量部の加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製、商品名:ノクセラーNS)と、1.5重量部の加硫剤(粉末硫黄)とを6インチロールにより混合することで、配合物を作製した。配合物の物性(ムーニー粘度)を表3に示す。
【0059】
得られた配合物を金型に入れてプレス加硫することで、ゴム組成物を作製した。尚、加硫時間は、粘弾性測定装置(アルファテクノロジーズ社製、商品名:RPA 2000)で求めた150℃の加硫特性t90の2倍の時間とした。得られたゴム組成物の物性(ランボーン摩耗係数)を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
[実施例8〜11]
実施例3及び4〜6で得られたポリブタジエンを用いたこと以外は、実施例7と同様に実施した。結果を表3に示す。
【0062】
[比較例5〜7]
比較例1、2、及び4で用いたポリブタジエンを用いたこと以外は、実施例7と同様に実施した。結果を表3に示す。
【0063】
[評価のまとめ]
前記実施例1〜11、及び比較例1〜7の結果から、コバルト系触媒を用いて合成され、前記(A)〜(E)の要件を満足するポリブタジエンをゴルフボール用ゴム組成物に用いることで、より高度に耐摩耗性及び加工性を向上できることが確認された。
【0064】
[実施例12]
(1)ポリブタジエンの調製と評価
窒素ガスで置換した内容1.5Lの撹拌機つきステンレス製反応槽中に、重合溶液1.0L(ブタジエン(BD):35.0重量%、シクロヘキサン(CH):28.0重量%、残りは2−ブテン類)を投入した。更に、水(HO)1.05mmol、ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)1.90mmol(アルミニウム/水=1.81(混合モル比))、コバルトオクトエート(Cocat)20.95μmol、及びシクロオクタジエン(COD)8.06mmolをそれぞれ加え、72℃で20分間撹拌して、1,4−シス重合を行った。
その後、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを含むエタノールを加えて重合を停止し、未反応のブタジエン及び2−ブテン類を蒸発除去することで、ポリブタジエンを得た。得られたポリブタジエンの物性を表4に示す。
【0065】
(2)ゴルフボール用ゴム組成物の作製と評価
次に、得られたポリブタジエンを用いてゴルフボール用ゴム組成物を作製した。具体的には、まず、100重量部のポリブタジエンを温度50℃に設定した6インチロール((株)安田精機製作所製)に巻付け、1分後に20重量部の酸化亜鉛(ZnO)、30重量部のアクリル酸亜鉛を逐次投入し、合計4分間混練した。次に1重量部のジクミルペルオキシド(DCP)を加えて混練りして、ゴルフボール用ゴム組成物を得た。このゴム組成物の配合物ムーニー粘度を表1に示す。次に、このゴム組成物を所定の金型に入れ、155℃で15分間プレス加硫してゴム組成物の加硫物を得た。この加硫物の硬度、tanδを測定した結果を表4に示す。
【0066】
[比較例8]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR150B)を用いたこと以外は、実施例15と同様に実施した。結果を表4に示す。
【0067】
[比較例9]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR150L)を用いたこと以外は、実施例15と同様に実施した。結果を表4に示す。
【0068】
[比較例10]
市販のポリブタジエン(宇部興産(株)製、商品名:BR360L)を用いたこと以外は、実施例12と同様に実施した。結果を表4に示す。
【0069】
[比較例11]
宇部興産(株)製、試作品UBEPOL Z704を用いたこと以外は、実施例12と同様に実施した。結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
[評価のまとめ]
上記から、実施例12で得られたゴルフボール用ゴム組成物は、比較例8〜11で得た組成物と比較して、同一硬度の条件下で配合物ムーニー粘度を低く抑えて良好な加工性を維持しながら、優れた低エネルギーロス性を示すゴム組成物であることが確認される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のゴルフボール用ゴム組成物は、所定の特性を有するポリブタジエン(I)を用いることで、より高度に耐摩耗性及び加工性を向上できるので、ゴルフボール用のゴム基材として有用である。