特許第6645097号(P6645097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645097
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】密封包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20200130BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20200130BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   B65D77/20 H
   B65D77/20 L
   B32B27/00 C
   B32B27/18 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-191213(P2015-191213)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-65706(P2017-65706A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】澤田 誠
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 清隆
(72)【発明者】
【氏名】大山 和美
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/093458(WO,A1)
【文献】 特開2009−057106(JP,A)
【文献】 特表2007−519576(JP,A)
【文献】 特開2011−148553(JP,A)
【文献】 特開2015−058975(JP,A)
【文献】 特開2013−203052(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0038363(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/20
B32B 27/00
B32B 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製包装体と密封部材とを溶着して成る密封包装体において、
少なくとも前記樹脂製包装体と密封部材の溶着部が、レーザ光を透過可能な透明或いは半透明の層及びレーザ吸収層から成るレーザ溶着部であり、該レーザ溶着部が易開封性を有し、
前記樹脂製包装体がレーザ光を透過可能なポリプロピレンから成り、前記密封部材が少なくとも基材層及びレーザ吸収層から成り、該基材層がポリプロピレンから成ると共に、該レーザ吸収層が、少なくともレーザ吸収剤と、ポリプロピレン,プロピレン−エチレンランダムコポリマー及び低密度ポリエチレンを含有するブレンド物とから成り、前記レーザ吸収層が前記樹脂製包装体及び密封部材の界面側に位置することを特徴とする密封包装体。
【請求項2】
前記レーザ溶着部における接着強度が25N以下、バースト強度が20kPa以上である請求項1記載の密封包装体。
【請求項3】
前記レーザ吸収層を構成するブレンド物が、ポリプロピレンを30〜70重量%、プロピレン−エチレンランダムコポリマーを10〜30重量%、低密度ポリエチレンを20〜40重量%の量で含有する請求項1又は2記載の密封包装体。
【請求項4】
前記レーザ吸収剤が、カーボンブラックである請求項1〜3の何れかに記載の密封包装体。
【請求項5】
前記カーボンブラックが、500〜3000ppmの量で含有されている請求項4記載の密封包装体。
【請求項6】
前記密封部材の基材層に着色剤が配合されている請求項1〜5の何れかに記載の密封包装体。
【請求項7】
前記樹脂製包装体が容器フランジ部を有するフランジ付容器であり、前記密封部材が成形蓋であり、前記レーザ溶着部が前記容器フランジ部に位置しており、該溶着部の幅が1〜3mmである請求項1〜の何れかに記載の密封包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製包装体及び密封部材から成る密封包装体に関するものであり、より詳細には、密封性及び易開封性の両方を備えているレーザ溶着により接合された密封包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
包装体を密封部材で密封するための接合方法としては、一般に接着剤により接着する方法のほか、ヒートシールにより溶着する方法、レーザ照射により溶着する方法が行われている。
ヒートシールによる溶着は、簡便な方法であることから一般的に広く採用されているが、溶着時に間欠駆動等が行わるため生産効率が低く、生産効率の向上が望まれている。また、一般的にヒートシールバーを用いるヒートシール方式においては、溶着部分にある程度の面積が必要であると共に、溶着面が平面状であることが必要である。さらに、溶着部分の外面からシール面に熱が伝導する必要があることから、厚肉の容器では熱の伝導に時間がかかり、生産性が低下するため、肉厚に制約があり、形状の自由度が低いという問題がある。
またヒートシール部が冷却され、完全に密閉されるまでに所定の時間がかかるため、特に自生圧力を有する内容物を充填する場合や熱間充填する場合などでは、シール熱で熱膨張したヘッドスペースの気体が溶融状態のシール部から逃げることで、シール剥離を発生するおそれもある。
【0003】
一方、レーザ溶着による包装体の部材の溶着においては、ヒートシールの溶着に比して、レーザビームを照射した後すぐ溶着されるため、溶着に要する時間が短縮されていると共に、包装体の形状に制約を受けることなく確実に溶着を行うことが可能である。しかし、レーザ溶着による密封は、密封安定性等の性能が要求されていることに起因して、レーザ溶着した部分から開封を行うことが困難であり、レーザ溶着により密封された密封容器においても易開封性を満足することが要求されている。
このような問題を解決するために、本発明者等は、内容物を取出すための易開封性のシール材によって密封された開口部が形成された蓋材を、レーザ溶着により容器に溶着して成る密封容器を提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−148553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記密封容器は、密封性と開封性という相反する性能を満足するものではあるが、ヒートシールにより易開封性のシール材が接合された蓋を予め成形し、この蓋をレーザ溶着によって容器に接合するものであるため、高速シール性を有し、生産性に優れたレーザ溶着の利点を生かすことができず、未だ十分満足するものではなかった。
従って本発明の目的は、樹脂製包装体と密封部材とをレーザ溶着して成る密封包装体において、優れた密封性を有すると共に、レーザ溶着による接合箇所が易開封性を有する密封包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、樹脂製包装体と密封部材とを溶着して成る密封包装体において、少なくとも前記樹脂製包装体と密封部材の溶着部が、レーザ光を透過可能な透明或いは半透明の層及びレーザ吸収層から成るレーザ溶着部であり、該レーザ溶着部が易開封性を有し、前記樹脂製包装体がレーザ光を透過可能なポリプロピレンから成り、前記密封部材が少なくとも基材層及びレーザ吸収層から成り、該基材層がポリプロピレンから成ると共に、該レーザ吸収層が、少なくともレーザ吸収剤と、ポリプロピレン,プロピレン‐エチレンランダムコポリマー及び低密度ポリエチレンを含有するブレンド物とから成り、前記レーザ吸収層が前記樹脂製包装体及び密封部材の界面側に位置することを特徴とする密封包装体が提供される。
【0007】
本発明の密封包装体においては、
1.前記レーザ溶着部における接着強度が25N以下、バースト強度が20kPa以上であること、
2.前記レーザ吸収層を構成するブレンド物が、ポリプロピレンを30〜70重量%、プロピレン−エチレンランダムコポリマーを10〜30重量%、低密度ポリエチレンを20〜40重量%の量で含有すること、
3.前記レーザ吸収剤が、カーボンブラックであること、
4.前記カーボンブラックが、500〜3000ppmの量で含有されていること、
5.前記密封部材の基材層に着色剤が配合されていること、
.前記樹脂製包装体が容器フランジ部を有するフランジ付容器であり、前記密封部材が成形蓋であり、前記レーザ溶着部が前記容器フランジ部に位置しており、該溶着部の幅が1〜3mmであること、
が好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の密封包装体においては、樹脂製包装体と密封部材をレーザ溶着により密封しているにもかかわらず易開封性を有しているため、レーザ溶着による密封性能を維持しつつ、相反する性能である易開封性能をもバランスよく具備している。
また、接着強度(測定方法:JIS S 0022)を25N以下とすることにより、高齢者等にも容易に開封可能なレベルを実現可能であると共に、バースト強度(測定方法:JIS Z 0238,食品衛生法準拠)を20kPa以上とすることにより、密封包装体が落下衝撃等を受けた際にも密封性が維持可能な耐圧性レベルを有している。なお、耐圧性については、食品衛生法に基づいた昭和34年12月28日付け厚生省告示第370号に示されている内圧強度試験の破裂時の最大圧力が20kPa以上という規定を満たす必要があり、包装容器業界では、この最大圧力をバースト強度と称している。
また本発明の密封包装体においては、レトルト殺菌等の高温高湿度条件下におかれた場合にも上記密封性能及び易開封性が維持することが可能である。
更にレーザ溶着により密封を行うことから、従来のヒートシールによる密封などに比して密封部材の肉厚や形状などの制約がなく、しかも高速で溶着操作を行うことができるため、生産性及び経済性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の密封包装体の一例を示す図である。
図2図1に示す密封包装体の溶着部を拡大して示す断面図である。
図3】実施例で得られた密封容器のレトルト前後での開封力の変化を示すグラフである。
図4】実施例で得られた密封容器のレトルト前後でのバースト強度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述したとおり、一般にレーザ溶着による樹脂製包装体と密封部材の接合は大きな接着強度を有することから、従来はレーザ溶着した部位から開封することは困難であった。
本発明の密封包装体においては、樹脂製包装体と密封部材をレーザ溶着するに際して、レーザ吸収層に易開封性を発現可能な樹脂組成物を用いると共に、所定の溶着条件を採用することによって、レーザ溶着による溶着部が密封性能を維持しながら易開封性をも有することが可能になった。
【0011】
本発明の密封包装体の一例を示す図1において、この密封包装体100は、樹脂製包装体としてカップ型容器1、及び密封部材として成形蓋10から成っている。
カップ型容器1は、胴部2、底部3及び容器フランジ部4から成っている。また成形蓋10は、底面11の周縁から上方に延びる側壁部12、及び側壁部12の上端から容器1の容器フランジ部4を覆う蓋フランジ部13から成っている。
図2は、図1に示すカップ型容器1及び成形蓋10をレーザ溶着して成る密封包装体の溶着部を拡大して示す図である。図に示す具体例においては、成形蓋10が、基材層14とレーザ吸収層15から成り、レーザ吸収層15がカップ型容器1側に位置している。一方カップ型容器1は、レーザを透過可能な樹脂からなっており、カップ型容器1の容器フランジ部4の下方からレーザが照射され(矢印LB)、成形蓋10のレーザ吸収層15がレーザを吸収して発熱し、容器フランジ部4の界面も溶融して、容器1の容器フランジ部4と成形蓋10の蓋フランジ部13が接合され、レーザ溶着による溶着部16が形成される。
【0012】
(レーザ吸収層)
本発明の密封包装体において、レーザ吸収層は、レーザを吸収して発熱するレーザ吸収剤、及び易開封性を発現可能な樹脂組成物から成ることが好適である。
易開封性を発現可能な樹脂組成物としては、従来の易開封性包装体においてシール面に用いられ、開封に際して容易に凝集破壊を発生可能な易開封性樹脂組成物等を用いることができる。例えば、これに限定されないが、プロピレン系重合体と環状オレフィン系共重合体を含有する樹脂組成物、ポリスチレンとポリエチレンを含有する樹脂組成物、ポリプロピレンと高密度ポリエチレンを含有する樹脂組成物等を挙げることができるが、本発明においては特に、ポリプロピレン,プロピレン―エチレンランダムコポリマー及び低密度ポリエチレンを含有するブレンド物から成ることが望ましい。
【0013】
上記ブレンド物において、ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等を単独または組み合わせで使用することができ、メルトフローレート(MFR)が0.3〜8g/10分の範囲にあることが好適である。
プロピレン―エチレンランダムコポリマーとしては、メルトフローレート(MFR)が0.5〜3g/10分の範囲にあり、融点が120〜130℃の範囲にあることが好適である。
更に低密度ポリエチレンとしては、融点が120℃以上であり、メルトフローレート(MFR)が3.5〜6.5g/10分の範囲あることが好適である。
上記ブレンド物は、ポリプロピレンを30〜70重量%、特に36〜44重量%、プロピレン―エチレンランダムコポリマーを10〜30重量%、特に12〜20重量%、低密度ポリエチレンを20〜40重量%、特に20〜28重量%の量で含有することが好適である。
【0014】
レーザ吸収剤としては、従来公知の物を使用することができ、カーボンブラック、鉄粉やアルミニウム粉等の金属粉、食用竹炭、或いは顔料等を挙げることができるが、特にカーボンブラックを好適に使用することができる。
レーザ吸収層中のレーザ吸収剤の含有量は、用いるレーザ吸収剤の種類によって異なり、一概に規定できないが、カーボンブラックの場合では、500〜3000ppm、特に750〜1250ppmの範囲にあることが好適であり、上記範囲よりもレーザ吸収剤の量が少ない場合には、十分な発熱量が得られず、レーザ溶着に時間がかかり、生産性に劣るようになる。その一方、上記範囲よりもレーザ吸収剤の量が多いと、加熱時間は短縮化されるが、溶着安定性が劣るおそれがある。
【0015】
レーザ吸収層は、カップ型容器などの樹脂製包装体又は成形蓋等の密封部材の界面に位置する限り、樹脂製包装体又は密封部材の何れに形成されていてもよいが、蓋等の密封部材に形成されていることが特に好適である。
またレーザ吸収層は、前述した具体例のように、樹脂製包装体又は密封部材を構成する材料の一部として設けられていることが、生産性等の点から好適であるが、例えば、成形蓋やカップ型容器のフランジ部分に別途、前述したレーザ吸収剤及びブレンド物から成るレーザ吸収層を隣接させて形成することもできる。
【0016】
(密封部材)
本発明の密封包装体に用いる密封部材としては、前述した具体例に示した落とし蓋形状の成形蓋に限定されず、図1における成形蓋の底面11及び側面12がない、平板状のものであってもよいが、落とし蓋形状であることが、レーザ溶着に際して成形蓋をカップ型容器などの樹脂製包装体に安定して設置できることから望ましい。またカップ型容器などの容器口部に嵌合可能な落とし蓋形状であることにより、開封後にリシールすることもできる。
密封部材としては、上述した樹脂製シートから成る成形蓋等以外にも、可撓性のある樹脂フィルムから成るシール材等であってもよい。
【0017】
密封部材を構成可能な材料としては、従来包装容器に用いられていた公知の熱可塑性樹脂から成形することができ、これに限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等を好適に使用することができ、密封部材に前述したレーザ吸収層を形成する場合には、この熱可塑性樹脂を基材層として、レーザ吸収層を樹脂製包装体側になるように積層することが好ましい。
基材層の厚みは、密封部材の形状等によって一概に規定できないが、落とし蓋形状の成形蓋の場合で、300〜600μmの範囲にあることが好適である。またレーザ吸収層の厚みは、レーザ吸収剤の含有量や溶着範囲などによって異なり、一概に規定できないが、10〜50μmの範囲にあることが好適である。また基材層には、従来公知の着色剤等を配合することもでき、これによりレーザ吸着層に配合されたカーボンブラック等のレーザ吸収剤による着色を隠蔽することもできる。
【0018】
基材層に配合する着色剤としては、酸化チタン等の白色系の着色剤を用いることが好ましい。これは、図2に示すように、カップ型容器1の容器フランジ部4の下方からレーザを照射して溶着を行う場合(矢印LB)、容器フランジ部4と蓋フランジ部13を密に接合させる押圧部材(図示せず)を用いて、成形蓋を押圧しながらレーザ溶着を行う際に、下方から照射したレーザが基材層の白色系の着色剤で反射されるため、押圧部材のレーザ照射による損傷が防止できるためである。
また密封部材は、上記基材層及びレーザ吸着層以外にも、ガスバリア性層、従来公知の他の層を有していてもよい。
【0019】
[樹脂製包装体]
本発明の密封容器に使用される樹脂製包装体は、前述した樹脂製成形蓋とレーザ溶着可能である限り、前述したカップ型容器やトレイ等のフランジ付容器の他、ボトルや、パウチ等の袋状容器等も採用することができ、その成形方法も限定されず、シートからの熱成形、溶融樹脂からの押出成形、射出成形、圧縮成形、ダイレクトブロー成形等、種々の成形方法によって成形された包装体を使用できる。
本発明において樹脂製包装体として特に好適なフランジ付容器は、従来公知の熱成形法により製造することが好ましく、圧空成形、真空成形、或いは真空成形と圧空成形を組み合わせた真空圧空成形、プラグを使用しながら又は使用した後、真空及び/又は圧空成形するプラグアシスト成形等によって成形することが好ましい。
樹脂製包装体は、上述した密封部材と同様の熱可塑性樹脂からなることが好ましく、後述するように容器側からレーザ溶着する場合には、容器フランジ部が透明性を有していることが必要であるが、密封部材同様、単層構造又は多層構造の何れであってもよい。
【0020】
(レーザ溶着)
本発明においては、樹脂製包装体及び密封部材の溶着面において、前述したレーザ吸収層を形成すると共に、レーザ溶着部の幅(シール幅)、或いはレーザ溶着条件を所望の範囲に設定することが、易開封性と共に、密封性能を満足する上で望ましい。
易開封性を発現する上で特に重要な要素となるのは、シール強度に直接関係するシール幅(スポット寸法)であり、樹脂製包装体及び密封部材の溶着面に用いる樹脂にもよるが、1〜3mm、特に1.5〜2.0mmの範囲にあることが好ましい。上記範囲よりもシール幅が狭くなると、密封性能が低下するおそれがあり、一方上記範囲よりもシール幅が広いと易開封性が得られないおそれがある。
またレーザの出力及び照射時間もシール強度に関係し、レーザ発振機の出力は、200〜500Wの範囲の出力であることが好ましく、この範囲の出力で0.2〜0.5秒間照射することが好ましい。
【0021】
溶着に使用するレーザビームとしては、従来レーザ溶着に使用されていた、ガスレーザ、固体レーザ、或いは半導体レーザを使用できるが、特に半導体レーザを好適に使用できる。レーザビームの波長は635nm〜940nmの範囲にあることが好ましい。
また。焦点距離は10〜200mmの範囲にあることが好ましく、掃引速度は400〜1100mm/秒の範囲にあることが好ましい。
【0022】
レーザの照射は、樹脂製包装体及び密封部材を、図1に示した組み合わせとする場合には、レーザ吸収層を容器側に有する成形蓋10を、フランジ同士が接合するようにカップ型容器1に載置して押圧部材を用いて成形蓋を押圧し、カップ型容器1と成形蓋10を回転させながら、容器側から容器フランジ部4に向けてレーザ照射する。もちろん、樹脂製包装体及び密封部材を構成する樹脂を変えて、密封部材側からレーザ照射することもできるが、生産性や経済性の点から、密封部材(成形蓋)にレーザ吸収層が形成されていることが望ましい。
この態様において、レーザビームを透過させる容器フランジ部の厚みは0.5〜2.0mmの範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも厚みが薄い場合には、確実な溶着を行うことができないおそれがあり、一方上記範囲よりも厚みが厚い場合には、レーザビームを通常の条件でレーザ吸収層に到達させることが困難になるおそれがあり、やはり確実な溶着を行うことができないおそれがある。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
1.樹脂製包装体
シート厚:1.2mmの多層シートを用いて真空圧空成形により、外径:80mm、高さ:40mm、容器フランジ部幅:4.0mm、満注内容量:110mlのカップ型容器の樹脂製包装体を成形した。
[層構成]
ポリプロピレン内層(485μm)/接着層(25μm)/EVOH層(58μm)/酸素吸収層(58μm)/EVOH層(58μm)/接着層(25μm)/ポリプロピレン外層(491μm)。
【0024】
2.密封部材
シート厚:0.55mmの多層シートを用いて真空圧空成形により、外径:78mm、高さ:5mmのレーザ吸収層を有する落とし蓋形状とした成形蓋の多層密封部材を成形した。
[層構成]
レーザ吸収層(30μm)/接着層(10μm)/EVOH層(125μm)/接着層(10μm)/外層ポリプロピレン(基材層)(375μm)。
(レーザ吸収層)
ポリプロピレン:40重量%、プロピレン−エチレンランダムコポリマー:16重量%、及び低密度ポリエチレン:24重量%のブレンド物に、レーザ吸収剤としてカーボンブラックを750ppm含有させた。
(基材層)
基材層であるポリプロピレンに、レーザ光を反射する着色剤として白色酸化チタンを5重量%含有させた。
【0025】
3.レーザ溶着条件
レーザ形状:矩形1.5×4mm、出力:300W、シール面圧:1.1Mpa、照射時間:0.2秒、レーザ照射位置:蓋フランジ部の内周端縁から1mmの条件でレーザ照射を行い、樹脂製包装体と密封部材とのシール幅が1.0mmの密封包装体を得た。
【0026】
4.評価
前記密封包装体の開封力とバースト強度を測定し、開封性、耐バースト性を評価した。
(1)開封性
JIS S0022(2001)「高齢者・障害者配慮設計指針−包装・容器−開封性試験方法」に基づいて開封力を測定した。(n数=30)
開封性は、開封力(接着強度)の平均値が、25N以下の場合を○、25Nを超える場合を×として評価した。
(2)バースト強度
JIS Z0238(1998)「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法」に基づいてバースト強度を測定した。(n数=30)
耐バースト性は、バースト強度の平均値が20kPa以上の場合を○、20kPa未満の場合を×として評価した。
【0027】
(実施例2)
実施例1において、レーザ吸収剤のカーボンブラックを1000ppmとし、レーザ形状:矩形2×4mm、出力:300W、照射時間:0.25秒、シール幅を2.0mmとした以外は、同様に密封包装体の開封力とバースト強度を測定し、評価した。
【0028】
(実施例3)
実施例1において、レーザ吸収剤のカーボンブラックを1000ppmとし、レーザ形状:矩形3×4mm、出力:500W、照射時間:0.25秒、シール幅を3.0mmとした以外は、同様に密封包装体の開封力とバースト強度を測定し、評価した。
【0029】
(実験例1)
実施例1において、レーザ吸収剤のカーボンブラックを1000ppmとし、出力:100W、照射時間:0.25秒とし、シール幅を0.5mmとした以外は、同様に密封包装体のシール強度とバースト強度を測定し、評価した。
【0030】
(比較例1)
実施例1において、レーザ吸収剤のカーボンブラックを1500ppmとし、レーザ形状:矩形3.5×4mm、出力:500W、照射時間:0.4秒、シール幅を3.5mmとした以外は、同様に密封包装体の開封力とバースト強度を測定し、評価した。
【0031】
(比較例2)
実施例1において、密封部材の層構成中、レーザ吸収層を形成せずに、基材層であるポリプロピレンにカーボンブラックを750ppm含有させた以外は、同様に密封包装体のシール強度とバースト強度を測定し、評価した。
【0032】
【表1】
【0033】
(実施例4)
実施例1のカップ型の樹脂製包装体に水を80g充填し、出力:300W、シール面圧:1.1Mpa、照射時間:0.2秒、シール幅:1mmのレーザ溶着条件で密封部材を溶着した。
次いで、121℃、30分の熱水シャワーによる殺菌(レトルト)を行い、殺菌前と殺菌後の開封力とバースト強度を測定した。(n数=30個)
図3に開封力の結果を、図4にバースト強度の結果を示す。縦軸は接着強度及びバースト強度、横軸はレトルト殺菌の前後の測定結果を並べて示したものである。また、棒グラフは各測定値の平均値、エラーバーは各測定結果の±3σを示す。
【0034】
(考察)
前記した実施例によれば、本発明のレーザ溶着による密封包装体が、開封性及び耐バースト性に優れていることが判る。
また、実施例4の結果により、本発明のレーザ溶着による密封包装体は、内容物充填後にレトルト殺菌を行った場合においても、優れた開封性と耐バースト性を維持していることが判る。
【符号の説明】
【0035】
1 カップ型容器、2 胴部、3 底部、4 容器フランジ部、10 成形蓋、11 底面、12 側壁部、13 蓋フランジ部、14 基材層、15 レーザ吸収層、16 溶着部、100 密封包装体。
図1
図2
図3
図4