特許第6645152号(P6645152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645152
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】フィルタ洗浄ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/16 20060101AFI20200130BHJP
   B01D 33/06 20060101ALI20200130BHJP
   B63B 13/00 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   B01D35/16
   B01D33/06 D
   B63B13/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-238479(P2015-238479)
(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公開番号】特開2017-104771(P2017-104771A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 泰彦
(72)【発明者】
【氏名】角 宗司
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−199021(JP,A)
【文献】 特表2008−507391(JP,A)
【文献】 実開昭62−179009(JP,U)
【文献】 実開昭58−151414(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00−37/08
B63B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内部に配置される筒状のフィルタであって前記フィルタの内部に流入した被処理水を濾過して前記フィルタの外部へ流出させる前記フィルタの内部に設けられるフィルタ洗浄ヘッドであり、前記フィルタの内面に摺動可能に当接して逆洗水を吸引するフィルタ洗浄ヘッドであって、
前記フィルタの内部に配置された逆洗汚水ラインに接続するヘッド基管と、
前記ヘッド基管の先端側に設けられる吸引ノズルであって、前記フィルタの内面に当接する当接面を有する吸引ノズルと、を備え、
前記当接面には、吸引孔が設けられ、
前記吸引孔は、前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、前記ヘッド基管の流路の内側と外側とに跨がって延びる長孔状であり、
前記吸引ノズルは、前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、前記吸引孔と重なる位置に、前記吸引孔と前記ヘッド基管の流路とを連通させる中空部を有し、
前記中空部は、前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、前記中空部の長手方向の長さが前記吸引孔の長手方向の長さよりも大きな値を有し、又は、前記中空部の長手方向に直交する幅方向の長さが前記吸引孔の長手方向に直交する幅方向の長さよりも大きな値を有する、フィルタ洗浄ヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、長孔状の前記吸引孔の全面積に対する、前記ヘッド基管の流路の外側における前記吸引孔の面積の比率は、50%以上である、
請求項1に記載のフィルタ洗浄ヘッド。
【請求項3】
前記吸引孔は、前記フィルタの軸方向にそれぞれ延びる第1吸引孔と第2吸引孔とを有し、
前記第1吸引孔と前記第2吸引孔とは、前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、前記ヘッド基管の軸方向に対して点対称の位置関係を有する、
請求項1又は2に記載のフィルタ洗浄ヘッド。
【請求項4】
前記第1吸引孔と前記第2吸引孔とは、前記フィルタの周方向においてオーバーラップしている、
請求項3に記載のフィルタ洗浄ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシングの内部に配置される筒状のフィルタであってフィルタの内部に流入した被処理水を濾過してフィルタの外部へ流出させるフィルタの内部に設けられるフィルタ洗浄ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶に貯留されるバラスト水や、その他汚染物質を含んだ汚染水などの被処理水を濾過するものとして、内部に流入した被処理水を濾過して外部へ流出させる円筒状のフィルタを備えた濾過器がある。この濾過器で使用されるフィルタは、例えば、多数の穴を設けた金属薄板を円筒形に形成した支持体の内周面に、金網などの濾過体を円筒状に設けて構成される。
【0003】
このように構成されるフィルタは、一方の開口部が被処理水入口となり、他方の開口部は閉鎖され、被処理水入口からフィルタの内側に流入した被処理水は、内周面側の濾過体を通過し、被処理水中の異物が捕捉される。そのため、フィルタの内面に異物が堆積し、異物の堆積量が多くなるに連れてフィルタの閉塞が進み、そのままにしておくと圧力損失が大きくなり、濾過流量が十分に得られなくなる。このような事態を防止するため、フィルタを洗浄して内面に堆積している異物を除去し、フィルタの濾過能力を維持する必要がある。
【0004】
フィルタを洗浄する方法として、フィルタ二次側から濾過方向と逆方向に処理水を流す逆洗浄が知られている。この逆洗浄によって濾過物が混在した水は、フィルタ内に設けられるフィルタ洗浄ヘッドであって、フィルタの内面に摺動可能に当接し、フィルタの内面を摺動するフィルタ洗浄ヘッドによって、吸引されて排出される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−507391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フィルタ洗浄ヘッドは、1つのフィルタ洗浄ヘッドでフィルタの内面により広い面積で接触するように、フィルタの内面に対向するフィルタ洗浄ヘッドの先端部を構成する吸引ノズルの当接面は、フィルタの軸方向へ長い形状を有している。吸引ノズルの当接面には、フィルタの軸方向に延びる長孔が形成されている。吸引ノズルの当接面の長手方向における中央部分に位置する長孔の部分は、当該中央部分においてフィルタから離間する方向へ延びるヘッド基管の内部空間に連通している。
【0007】
しかし、長孔においては、吸引ノズルの当接面の長手方向における中央部分近傍の部分と、同方向における端部近傍の部分と、では、逆洗水の流れやすさに差が生ずる。そのため、洗浄性にムラが生じていた。
【0008】
本発明は、当接面の長手方向における中央部分近傍の長孔の部分と、当接面の同方向における端部近傍の長孔の部分と、における逆洗水の流れやすさの差を抑制することができるフィルタ洗浄ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ケーシングの内部に配置される筒状のフィルタであって前記フィルタの内部に流入した被処理水を濾過して前記フィルタの外部へ流出させる前記フィルタの内部に設けられるフィルタ洗浄ヘッドであり、前記フィルタの内面に摺動可能に当接して逆洗水を吸引するフィルタ洗浄ヘッドであって、前記フィルタの内部に配置された逆洗汚水ラインに接続するヘッド基管と、前記ヘッド基管の先端側に設けられる吸引ノズルであって、前記フィルタの内面に当接する当接面を有する吸引ノズルと、を備え、前記当接面には、吸引孔が設けられ、前記吸引孔は、前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、前記ヘッド基管の流路の内側と外側とに跨がって延びる長孔状であり、前記吸引ノズルは、前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、前記吸引孔と重なる位置に、前記吸引孔と前記ヘッド基管の流路とを連通させる中空部を有し、前記中空部は、前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、前記中空部の長手方向の長さが前記吸引孔の長手方向の長さよりも大きな値を有し、又は、前記中空部の長手方向に直交する幅方向の長さが前記吸引孔の長手方向に直交する幅方向の長さよりも大きな値を有する、フィルタ洗浄ヘッドに関する。
【0010】
また、前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、長孔状の前記吸引孔の全面積に対する、前記ヘッド基管の流路の外側における前記吸引孔の面積の比率は、50%以上であることが好ましい。
【0011】
また、前記吸引孔は、前記フィルタの軸方向にそれぞれ延びる第1吸引孔と第2吸引孔とを有し、前記第1吸引孔と前記第2吸引孔とは、前記ヘッド基管の軸方向に視た場合に、前記ヘッド基管の軸方向に対して点対称の位置関係を有することが好ましい。
【0012】
また、前記第1吸引孔と前記第2吸引孔とは、前記フィルタの周方向においてオーバーラップしていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、当接面の長手方向における中央部分近傍の長孔の部分と、当接面の同方向における端部近傍の長孔の部分と、における逆洗水の流れやすさの差を抑制することができるフィルタ洗浄ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53を備えるバラスト水処理装置1を示すフロー図である。
図2】本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53を示す斜視図である。
図3図2に示すA−A線断面図である。
図4】本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53の吸引ノズル4を示す平面図である。
図5】本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53の吸引ノズル4を示す正面図である。
図6】本発明の第2実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53Aの吸引ノズル4Aを示す正面図である。
図7】本発明の第3実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53Bの吸引ノズル4Bを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53について、図面を参照しながら説明する。まず、本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53を備えるバラスト水処理装置1について、説明する。図1は、本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53を備えるバラスト水処理装置1を示すフロー図である。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、バラスト水処理装置1は、バラスト水濾過装置2と、紫外線リアクタ61と、逆洗水供給手段7と、制御部9と、を備える。制御部9は、制御対象の各機器を制御可能に、各機器に信号線(不図示)により接続されている。バラスト水処理装置1には、その外部構成として、バラストタンク62が接続されている。
【0016】
バラスト水処理装置1は、ラインとして、被処理水導入ラインL1と、被処理水排出ラインL2と、処理水ラインL11と、逆洗水流通ラインL21と、エア抜きラインL31と、第1貯留処理水排出ラインL51と、第2貯留処理水排出ラインL52と、第3貯留処理水排出ラインL53と、を備える。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0017】
バラスト水濾過装置2は、ケーシング51と、フィルタ52と、フィルタ回転手段3と、吸引ノズル4を有するフィルタ洗浄ヘッド53と、逆洗水噴射ノズル6と、逆洗汚水排出手段5と、を備える。
【0018】
ケーシング51は、円筒状であり、その内部にフィルタ52を収納する。フィルタ52は、全体視で円筒状であり、内部に流入した被処理水(バラスト水)W1(主に海水)を濾過してバラスト水(濾過処理水)W2として外部へ流出させる。フィルタ回転手段3は、フィルタ52を、その軸心を中心に回転させる。フィルタ洗浄ヘッド53は、フィルタ52の内部に設けられる。フィルタ洗浄ヘッド53の吸引ノズル4は、フィルタ52の一次側に設けられ、フィルタ52の内周面(内面)に向かって開口する。フィルタ洗浄ヘッド53の詳細については後述する。
【0019】
逆洗水噴射ノズル6は、フィルタ52の二次側に設けられ、フィルタ52の外周面に向かって、バラスト水処理運転中に逆洗水を噴射する。逆洗水噴射ノズル6からの逆洗水の噴射は、ケーシング51及びフィルタ52の内部にバラスト水(W2,W1)が存在する(満たされる)状態で行われる。
【0020】
逆洗汚水排出手段5は、フィルタ洗浄ヘッド53の吸引ノズル4で吸引された逆洗汚水W11を、ケーシング51の内部から外部へ排出する。制御部9は、フィルタ52の一次側と二次側との差圧などに基づいて、逆洗水の噴射の有無、逆洗水の噴射時の噴射圧力などを制御する。バラスト水濾過装置2の詳細については後述する。
【0021】
紫外線リアクタ61は、バラスト水濾過装置2のフィルタ52により濾過されたバラスト水(濾過処理水)W2に対して紫外線を照射して殺菌を行う。
バラストタンク62は、紫外線リアクタ61により紫外線の照射が行われたバラスト水(濾過処理水)W2を、貯留処理水W3として貯留する。
また、紫外線リアクタ61は、バラストタンク62に貯留されるバラスト水(貯留処理水)W3を船外へ排出する際に、貯留処理水W3に対して紫外線を照射して殺菌を行う。
【0022】
次に、各ラインについて詳述する。被処理水導入ラインL1は、一端部から被処理水W1(主に海水)が導入され、他端部において被処理水導入口20に接続しており、被処理水W1がバラスト水濾過装置2の被処理水導入口20に向けて流通するラインである。被処理水導入ラインL1には、バルブV1、接続部J51、汲み上げポンプP1、接続部J52、バルブV2、接続部J1、被処理水導入口20がこの順で設けられている。
被処理水排出ラインL2は、一端部において被処理水導入ラインL1の接続部J1に接続しており、他端部からフィルタ52内の水(バラスト水W1)が排出されるラインである。
【0023】
処理水ラインL11は、一端部においてバラスト水濾過装置2の処理水流出口26に接続しており、他端部においてバラストタンク62に接続しており、バラスト水濾過装置2で濾過処理されたバラスト水(濾過処理水)W2がバラストタンク62に向けて流通するラインである。処理水ラインL11には、処理水流出口26、接続部J21、バルブV11、接続部J53、紫外線リアクタ61、バルブV12、接続部J54、バルブV13、バラストタンク62がこの順で設けられている。
【0024】
逆洗水流通ラインL21は、一端部において処理水ラインL11の接続部J21に接続しており、他端部において逆洗水噴射ノズル6に接続しているラインである。逆洗水流通ラインL21には、バラスト水(濾過処理水)W2が逆洗水噴射ノズル6に向けて流通する。逆洗水流通ラインL21には、接続部J21、バルブV21、逆洗水加圧ポンプP21、逆洗水噴射ノズル6がこの順で設けられている。
【0025】
第1貯留処理水排出ラインL51は、一端部においてバラストタンク62に接続しており、他端部において被処理水導入ラインL1の接続部J51に接続しているラインである。第1貯留処理水排出ラインL51には、バルブV51、接続部J51がこの順で設けられている。
【0026】
第2貯留処理水排出ラインL52は、一端部において被処理水導入ラインL1の接続部J52に接続しており、他端部において処理水ラインL11の接続部J53に接続しているラインである。第2貯留処理水排出ラインL52には、接続部J52、バルブV52、接続部J53がこの順で設けられている。
【0027】
第3貯留処理水排出ラインL53は、一端部において処理水ラインL11の接続部J54に接続しており、他端部からバラスト水(貯留処理水)W3を系外へ排出するラインである。第3貯留処理水排出ラインL53には、接続部J54、バルブV53がこの順で設けられている。
【0028】
ラインの各所には、各種のバルブ及びポンプが設けられている。具体的には、被処理水導入ラインL1における接続部J51と接続部J52との間には、汲み上げポンプP1が設けられている。汲み上げポンプP1は、被処理水導入ラインL1の一端部から被処理水W1(主に海水)を汲み上げる。また、汲み上げポンプP1は、バラストタンク62からのバラスト水(貯留処理水)W3を、第1貯留処理水排出ラインL51、被処理水導入ラインL1の一部、第2貯留処理水排出ラインL52、処理水ラインL11の一部、及び、第3貯留処理水排出ラインL53を介して、第3貯留処理水排出ラインL53の他端部から排出するように、加圧する。被処理水導入ラインL1における接続部J51よりも上流側には、バルブV1が設けられている。被処理水導入ラインL1における接続部J52と接続部J1との間には、バルブV2が設けられている。被処理水排出ラインL2には、バルブV3が設けられている。
【0029】
処理水ラインL11における処理水流出口26と紫外線リアクタ61との間(詳細には、接続部J21と接続部J53との間)には、バルブV11が設けられている。処理水ラインL11における紫外線リアクタ61とバラストタンク62との間(詳細には、紫外線リアクタ61と接続部J54との間)には、バルブV12が設けられている。処理水ラインL11における接続部J54とバラストタンク62との間には、バルブV13が設けられている。
【0030】
逆洗水流通ラインL21における接続部J21と逆洗水加圧ポンプP21との間には、バルブV21が設けられている。逆洗水流通ラインL21におけるバルブV21と逆洗水噴射ノズル6との間には、逆洗水加圧ポンプP21が設けられている。逆洗水加圧ポンプP21は、逆洗水流通ラインL21を流通する水を加圧する。
【0031】
第1貯留処理水排出ラインL51において、バラストタンク62と接続部J51との間には、バルブV51が設けられている。第2貯留処理水排出ラインL52において、接続部J52と接続部J53との間には、バルブV52が設けられている。第3貯留処理水排出ラインL53における接続部J54よりも下流側には、バルブV53が設けられている。
【0032】
次に、バラスト水濾過装置2の詳細について説明する。ケーシング51は、上部開口部及び下部開口部を有する円筒状に形成されており、上部開口部が蓋部10で密閉され、下部開口部が底部11で密閉されている。蓋部10には、エア抜きラインL31が接続されている。エア抜きラインL31には、ケーシング51の内部のエアを抜くためのエア抜きバルブV31が設けられている。
【0033】
フィルタ52は、上部開口部及び下部開口部を有し、全体視で円筒状に形成されている。フィルタ52の詳細については後述する。ケーシング51とフィルタ52との間には、処理水流出空間27が形成される。上部開口部は、上閉止部13で密閉されている。下部開口部は、下閉止部14及び後述する下部回転軸部材16とで密閉されている。
【0034】
フィルタ回転手段3は、上部回転軸部材15と、下部回転軸部材16と、上部回転軸部材15を回転させるモータ17とで構成されている。上部回転軸部材15は、フィルタ52の上閉止部13に、フィルタ52の軸心位置に軸心方向上向きに突設して設けられている。下部回転軸部材16は、フィルタ52の下閉止部14に、フィルタ52の軸心位置に軸心方向下向きに突設して設けられている。
【0035】
上部回転軸部材15は、ケーシング51の蓋部10を貫通し且つシーリングされた軸受部材18を介して、蓋部10に回転自在に且つ液密に支持されている。下部回転軸部材16は、ケーシング51の底部11を貫通し且つシーリングされた軸受部材19を介して、底部11に回転自在に且つ液密に支持されている。下部回転軸部材16は、フィルタ52の内部と連通する管状体となっており、ケーシング51の底部11からケーシング51の外部に突出する。下部回転軸部材16には、ケーシング51への被処理水導入口20が接続されている。
【0036】
被処理水導入口20には、被処理水導入ラインL1が接続されている。ケーシング51の側部には、処理水流出口26が設けられている。処理水流出口26には、処理水ラインL11が接続されている。
被処理水導入ラインL1を流通し且つ被処理水導入口20から導入された被処理水W1は、下部回転軸部材16を通ってフィルタ52の内部に入る。その被処理水W1は、フィルタ52を通過して濾過されて、ケーシング51とフィルタ52との間に形成される処理水流出空間27に入り、処理水流出口26から流出する。
【0037】
逆洗汚水排出手段5は、逆洗汚水ラインとしての逆洗汚水集合管28と、逆洗汚水ラインとしての逆洗汚水排出管29と、バルブV32とを備える。逆洗汚水集合管28は、フィルタ洗浄ヘッド53に接続する。逆洗汚水集合管28には、フィルタ洗浄ヘッド53の吸引ノズル4で吸引された逆洗汚水W11が集合する。逆洗汚水排出管29は、逆洗汚水集合管28の下端部に接続し、逆洗汚水W11を外部へ排出する。バルブV32は、逆洗汚水排出管29に設けられている。
【0038】
逆洗汚水集合管28においては、上端部が閉鎖し、下端部が開口している。逆洗汚水集合管28は、フィルタ52の軸心に配置されている。逆洗汚水集合管28の上端部は、フィルタ52の上閉止部13の中央に設けられた孔に、嵌合して支持されている。逆洗汚水集合管28の下端部は、フィルタ52の下閉止部14の下部回転軸部材16の内部を、フィルタ52の回転を妨げないように通り、ケーシング51の被処理水導入口20に固定されて支持されている。
【0039】
フィルタ洗浄ヘッド53について詳述する。
図2は、本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53を示す斜視図である。図3は、図2に示すA−A線断面図である。図4は、本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53の吸引ノズル4を示す平面図である。図5は、本発明の第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53の吸引ノズル4を示す正面図である。
【0040】
逆洗水加圧ポンプP21は、濾過処理水W2の一部を逆洗水W2として高圧噴射し、フィルタ洗浄ヘッド53は、フィルタ52の内周面に摺動可能に当接して、フィルタ52の濾過面に付着したSS(浮遊性固形物質)を剥がしながら、逆洗水W2の吸引排水を行う。図2図5に示すように、フィルタ洗浄ヘッド53は、ヘッド基管54と、吸引ノズル4と、内側円盤状部材71と、外側円盤状部材72と、支持バー部材73と、付勢部材としてのコイルバネ74と、シール部材75と、を備える。
【0041】
ヘッド基管54は、逆洗汚水集合管28に連通状態で接続されている。ヘッド基管54は、基端側太径部54aと先端側細径部54bと段差部54cとを備える。基端側太径部54aは、ヘッド基管54における基端側の部分であり、先端側細径部54bよりも太径の部分である。先端側細径部54bは、ヘッド基管54における先端側の部分であり、基端側太径部54aよりも細径の部分である。段差部54cは、基端側太径部54aと先端側細径部54bとの外径の差により形成される。
【0042】
吸引ノズル4は、フィルタ52の一次側に設けられ、ヘッド基管54を介して逆洗汚水集合管28に接続し、フィルタ52の内周面に向かって開口する。吸引ノズル4は、逆洗水噴射ノズル6から噴射され且つフィルタ52を外周面から内周面に向けて通過した逆洗水W2である逆洗汚水W11を吸引する。吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向全域から吸引可能であることが好ましい。なお、吸引ノズル4の構成は特に限定されるものではない。例えば、吸引ノズル4を、フィルタ52の軸方向に直線状及び/又は周方向に角度を変えて複数配置することができる。周方向に角度を変えて複数配置される吸引ノズル4は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。
【0043】
本実施形態においては、複数の吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向(上下方向)に直線状に配置されて、逆洗汚水集合管28と接続している。また、フィルタ52の内周面に対向した位置でフィルタ52に向かって開口している吸引ノズル4の開口部は、フィルタ52の内周面に摺動可能に密着している。
【0044】
上下方向に配置されている複数の吸引ノズル4の間の未吸引部を無くすため、フィルタ52の軸方向に2列に配置され、一方の列の吸引ノズル4の間に他方の列の吸引ノズル4が位置している。具体的には、複数の吸引ノズル4は、逆洗汚水集合管28の左右側に、高さ方向に交互に配置されている。なお、吸引ノズル4をフィルタ52の軸方向に配置する他の例として、複数の吸引ノズル4をフィルタ52の軸方向に、吸引ノズル4の間に未吸引部が存在しない間隔で螺旋状に配置してもよい。
【0045】
吸引ノズル4の開口部がフィルタ52の内周面に摺動可能に密着した状態で、複数の吸引ノズル4は、フィルタ52の軸方向に直線状に配置されて逆洗汚水集合管28に接続している。上下方向に配置されている複数の吸引ノズル4は、各吸引ノズル4の間の未吸引部を無くすため、逆洗汚水集合管28の左右側に、高さ方向に交互に配置されている。そのため、フィルタ52の1回の回転でフィルタ52の内周面全域からの吸引を行うことができる。
【0046】
詳述すると、吸引ノズル4は、ヘッド基管54の先端側に設けられ、フィルタ52の内周面に摺動可能に当接する。吸引ノズル4は、ヘッド基管54の先端側の外周面に、軸方向(延在方向)に移動自在に嵌合している。吸引ノズル4は、ノズル吸引口4aと、ノズル外挿部4bと、接触防止構造としての第1バネ保持環状凹部4cと、シール保持環状凹部4dと、ボルトガイド溝4eと、フランジ部4hと、を備える。
【0047】
ノズル吸引口4aは、吸引ノズル4の先端側に開口し、逆洗水W2を吸引する部分である。ノズル外挿部4bは、吸引ノズル4における基端側の部分であり、ヘッド基管54の先端側細径部54bに外挿されている。ヘッド基管54の先端側細径部54bの外周面54dは、ノズル外挿部4bの内周面よりもわずかに細い。
【0048】
ノズル吸引口4aは、第1吸引孔401aと、第2吸引孔402aと、の2つの長孔(スリット)により構成されており、フィルタ52の内周面に摺動可能に当接する吸引ノズル4の当接面403に設けられている。
【0049】
より具体的には、第1吸引孔401a、第2吸引孔402aは、それぞれフィルタ52の軸方向、即ち、吸引ノズル4の上下方向に延びている。第1吸引孔401a、第2吸引孔402aは、図5に示すように、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、ヘッド基管54の軸方向(図5において紙面の表面と裏面とを結ぶ方向)に対して点対称の位置関係を有している。即ち、第1吸引孔401aは、図5における吸引ノズル4の上下方向における中央部分から上側へ延びており、第2吸引孔402aは、図5における吸引ノズル4の上下方向における中央部分から下側へ延びている。また、第1吸引孔401aは、図5における吸引ノズル4の左右方向における中央よりも左側に位置しており、第2吸引孔402aは、図5における吸引ノズル4の左右方向における中央よりも右側に位置している。
【0050】
図5に示すように、第1吸引孔401a、第2吸引孔402aは、それぞれヘッド基管54の軸方向に視た場合に、ヘッド基管54の流路541の内側と外側とに跨がって延びる長孔状を有している。即ち、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、第1吸引孔401a、第2吸引孔402aそれぞれの全体Xの全面積に対する、ヘッド基管54の流路541の外側における第1吸引孔401a、第2吸引孔402aの部分Yの面積の比率(Y/X)は、50%以上であり、好ましくは70%以上である。同方向に視た場合に、第1吸引孔401a、第2吸引孔402aの多くの部分は、ヘッド基管54の流路541に重なっていない。
【0051】
吸引ノズル4は、中空部404を有している。図5に示すように、中空部404は、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、第1吸引孔401a及び第2吸引孔402aの全体と重なる位置に存在しており、第1吸引孔401a、第2吸引孔402aとヘッド基管54の流路541とを連通させる。より具体的には、中空部404は、円柱形状を有しており、フィルタ52の軸方向(図5における上下方向)に平行に延びている。図5において、中空部404の上端は、第1吸引孔401aの上端に一致し、中空部404の下端は第2吸引孔402aの下端に一致している。ヘッド基管54の軸方向において、当接面403寄りの中空部404の部分(図4における中空部404の下側の部分)は、第1吸引孔401a及び第2吸引孔402aに接続されており、中空部404の長手方向における中央部分(図5における中空部404の上下方向における中央部分)は、ヘッド基管54の流路541に接続されている。従って、第1吸引孔401a及び第2吸引孔402aは、中空部404を介して、ヘッド基管54の流路541に比較的滑らかに連通している。
【0052】
図2図3に示すように、第1バネ保持環状凹部4cは、ノズル外挿部4bにおける基端側の壁部に、ヘッド基管54の先端側細径部54bを包囲するように且つヘッド基管54の基端側に開放するように、環状に設けられている。第1バネ保持環状凹部4cには、コイルバネ74の螺旋状の端部が保持される。
【0053】
シール保持環状凹部4dは、ノズル外挿部4bにおける基端側の壁部に、ヘッド基管54の先端側細径部54bを包囲するように且つヘッド基管54の基端側に開放するように、環状に設けられている。シール保持環状凹部4dは、第1バネ保持環状凹部4cよりも径方向の内側に配置されている。シール保持環状凹部4dには、環状のシール部材75が収容される。
ボルトガイド溝4eは、ノズル外挿部4bの周方向に等間隔で形成されており、ヘッド基管54の軸方向に所定の長さを有している。ボルトガイド溝4eには、ボルト721の先端部が係合している。
【0054】
内側円盤状部材71は、ヘッド基管54の先端側細径部54bに、段差部54cに当接した状態で外挿されて固定されている。内側円盤状部材71は、内周面71aと、外周面71bと、軸方向内側壁71cと、軸方向外側壁71dと、接触防止構造としての第2バネ保持環状凹部71eとを備える。
内周面71aは、内側円盤状部材71の径方向中心に設けられる貫通孔からなる。内周面71aは、ヘッド基管54の先端側細径部54bに外挿される。外周面71bは、内側円盤状部材71の径方向の外周面である。軸方向内側壁71cは、ヘッド基管54の基端側を向く壁である。軸方向内側壁71cは、ヘッド基管54の段差部54cに当接し、これにより、ヘッド基管54の基端側への内側円盤状部材71の移動が規制される。
【0055】
軸方向外側壁71dは、ヘッド基管54の先端側を向く壁である。第2バネ保持環状凹部71eは、軸方向外側壁71dに、ヘッド基管54の先端側細径部54bを包囲するように且つヘッド基管54の先端側に開放するように、環状に設けられている。第2バネ保持環状凹部71eには、コイルバネ74の螺旋状の端部が保持される。第1バネ保持環状凹部4cと第2バネ保持環状凹部71eとは、フィルタ洗浄ヘッド53の軸方向に対向しており、付勢部材としてのコイルバネ74とヘッド基管54の外周面54dとの接触(ヘッド基管54の径方向の接触)を防止可能な接触防止構造を構成する。
【0056】
外側円盤状部材72は、吸引ノズル4のノズル外挿部4bに、径方向に十分な隙間を有して外挿されている。外側円盤状部材72は、内周面72aと、外周面72bと、を備える。内周面72aは、外側円盤状部材72の径方向中心に設けられる貫通孔からなる。内周面72aは、吸引ノズル4のノズル外挿部4bに外挿される。内周面72aは、吸引ノズル4のノズル外挿部4bよりも十分に(径方向に接触しない程度に)太径となっている。そのため、吸引ノズル4は、ボルトガイド溝4eを形成しているノズル外挿部4bの外周部に対して実質的に摺動抵抗を発生させずに、外側円盤状部材72の厚さ方向に移動自在になっている。
【0057】
支持バー部材73は、内側円盤状部材71と外側円盤状部材72との間隔(フィルタ洗浄ヘッド53の軸方向の間隔)を維持するために、設けられる。支持バー部材73の一端部は、内側円盤状部材71に固定されている。支持バー部材73の他端部は、外側円盤状部材72に固定されている。支持バー部材73は、内側円盤状部材71及び外側円盤状部材72の周方向に等しい中心角(90度)で4本配列している。また、支持バー部材73の本数や中心角の大きさは、特に制限されない。
【0058】
コイルバネ74は、ヘッド基管54の先端側細径部54bに、径方向に十分な間隙を有して包囲するように外挿されている。コイルバネ74は、一端部側において、内側円盤状部材71の第2バネ保持環状凹部71eに保持されており、他端部側において、吸引ノズル4の第1バネ保持環状凹部4cに保持されている。コイルバネ74は、ボルト721が、ヘッド基管54の軸方向におけるボルトガイド溝4eの端部4fに当接した場合においても、軸方向外側に向けて付勢力が発現するようになっている。
これにより、吸引ノズル4がヘッド基管54から分離しないと共に、吸引ノズル4が軸方向外側に向けて付勢されるように構成される。そのため、吸引ノズル4は、フィルタ洗浄ヘッド53の軸方向におけるフィルタ52の内周面に向けて、付勢されながら当接する。
【0059】
図3に示すように、シール部材75は、吸引ノズル4の背面側に設けられる。シール部材75は、吸引ノズル4とヘッド基管54の外周面54dとに密接するシール面75aを有し、吸引ノズル4とヘッド基管54の外周面54dとの間をシールする。
【0060】
シール部材75は、環状のゴム等の弾性材料あるいは摺動性の良い高分子材料からなり、断面視で、フィルタ洗浄ヘッド53の基端側に開放する略U字状に形成されている。詳細には、シール部材75は、略U字状で環状のシール凹部75bを備える。シール部材75は、シール保持環状凹部4dの内側に圧入されている。吸引ノズル4の基端側の壁部には、シール保持環状凹部4dに圧入されているシール部材75が抜け出ることを防止するフランジ部4hが、設けられている。シール部材75は、吸引ノズル4と一体となって、ヘッド基管54の外周面54dを軸方向に移動するようになっている。
【0061】
逆洗水噴射ノズル6は、ケーシング51の側部に設けられており、ケーシング51の内部に開口している。逆洗水噴射ノズル6は、フィルタ52の軸方向全域に逆洗水を噴射できることが好ましい。逆洗水噴射ノズル6の構成は特に限定されるものではない。例えば、逆洗水噴射ノズル6を、フィルタ52の軸方向に直線状及び/又は周方向に角度を変えて複数配置することができる。周方向に角度を変えて複数配置される逆洗水噴射ノズル6は、同じ高さに配置してもよく、或いは高さを変えて配置してもよい。本実施形態においては、逆洗水噴射ノズル6は、複数配置された各吸引ノズル4と同周上に位置し、且つ、フィルタ52の回転方向に対向する方向に向かって、吸引ノズル4の前に位置するように設けられている。なお、逆洗水噴射ノズル6は、各吸引ノズル4と対向するそれぞれの位置に設けられていてもよく、或いは、フィルタ52の回転方向に対向する方向に向かって、吸引ノズル4の後に位置するように設けられていてもよい。
【0062】
逆洗水供給手段7は、フィルタ52で濾過処理された濾過処理水W2を加圧して、逆洗水W2として逆洗水噴射ノズル6に供給する。逆洗水供給手段7は、逆洗水加圧ポンプP21、バルブV21などから構成される。
【0063】
逆洗水噴射ノズル6は、フィルタ52の外周面(二次側)に逆洗水W2を噴射して、フィルタ52の一次側に堆積した異物を剥離する。剥離した直後に吸引ノズル4による吸引が行われる。逆洗水噴射ノズル6から噴射された逆洗水W2によりフィルタ52から剥離した異物は、逆洗汚水排出管29に設けられたバルブV32を開くことにより、吸引ノズル4により効果的に吸引される。バルブV32の二次側の圧力は大気圧に開放されているため、逆洗汚水集合管28の内部の圧力がフィルタ52の二次側の圧力よりも低くなり、フィルタ52の二次側にある濾過処理水W2の一部及び逆洗水噴射ノズル6から噴射した逆洗水W2は、逆洗汚水W11となって逆洗汚水集合管28の内部を流通し、逆洗汚水排出管29から外部へ排出される。
【0064】
逆洗水噴射ノズル6に供給される逆洗水としては、本実施形態においては、フィルタ52で濾過処理された濾過処理水W2が用いられる。
【0065】
次に、本実施形態のバラスト水処理装置1の主な動作について簡単に説明する。
(1)バラスト水濾過装置2による被処理水W1の濾過処理(バラスト水処理運転)
バルブV1、バルブV2、バルブV11、バルブV12及びバルブV13を開き、バルブV3、バルブV21、バルブV31、及びバルブV32、バルブV51、バルブV52及びバルブV53を閉じる。この状態で、汲み上げポンプP1を駆動させる。これにより、被処理水導入ラインL1の一端部から流入した被処理水W1は、被処理水導入ラインL1を流通する。被処理水導入口20から導入された被処理水W1は、フィルタ52で濾過処理され、濾過処理水W2として処理水流出口26から排出される。濾過処理水W2は、処理水ラインL11を流通し、紫外線リアクタ61により紫外線処理され、バラストタンク62に貯留処理水W3として貯留される。
【0066】
(2)逆洗水噴射ノズル6によるフィルタ52の逆洗処理(バラスト水処理運転中の逆洗)
バルブV1、バルブV2、バルブV11、バルブV12、バルブV13、バルブV21及びバルブV32を開き、他のバルブを閉じて、濾過処理水W2(逆洗水W2)が逆洗水噴射ノズル6に向けて流通する状態とする。そして、ケーシング51及びフィルタ52の内部にバラスト水(W2,W1)が存在した状態で、逆洗水加圧ポンプP21及び吸引ノズル4の吸引を稼働させる。これにより、逆洗水噴射ノズル6からの逆洗水(濾過処理水)W2は、フィルタ52に向けて噴射され、逆洗が行われる。
【0067】
(3)バラストタンク62から外部への貯留処理水W3の排水処理
バルブV51、バルブV52、バルブV12、バルブV53を開き、バルブV1、バルブV2、バルブV3、バルブV11、バルブV13、バルブV31、バルブV32を閉じる。この状態で被処理水導入ラインL1に設けられた汲み上げポンプP1を稼働させる。これにより、バラストタンク62に貯留される貯留処理水W3は、紫外線リアクタ61により紫外線処理され、第1貯留処理水排出ラインL51、被処理水導入ラインL1の一部、第2貯留処理水排出ラインL52、処理水ラインL11の一部及び第3貯留処理水排出ラインL53を介して外部に排出される。
【0068】
第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53によれば、例えば、次のような効果を奏する。
フィルタ洗浄ヘッド53は、ケーシング51の内部に配置される筒状のフィルタ52であってフィルタ52の内部に流入した被処理水W1を濾過してフィルタ52の外部へ流出させるフィルタ52の内部に設けられ、フィルタ52の内面に摺動可能に当接して逆洗水W2を吸引する。
フィルタ洗浄ヘッド53は、フィルタ52の内部に配置された逆洗汚水ライン(逆洗汚水集合管28)に接続するヘッド基管54と、ヘッド基管54の先端側に設けられる吸引ノズル4であって、フィルタ52の内面に当接する当接面403を有する吸引ノズル4と、を備える。
当接面403には、吸引孔としてのノズル吸引口4aが設けられる。ノズル吸引口4aは、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、ヘッド基管54の流路541の内側と外側とに跨がって延びる長孔状である。吸引ノズル4は、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、ノズル吸引口4aと重なる位置に、ノズル吸引口4aとヘッド基管54の流路541とを連通させる中空部404を有する。
【0069】
そのため、第1実施形態によれば、吸引ノズル4は中空部404を有するため、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、ヘッド基管54から離れた、第1吸引孔401a、第2吸引孔402aの端部において、逆洗水W2が中空部404に流れやすくすることができ、そして、中空部404に流入した逆洗水W2をヘッド基管54の流路541に流れやすくすることができる。この結果、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、ヘッド基管54から離れた、第1吸引孔401a、第2吸引孔402aの端部において、逆洗水W2を、ヘッド基管54の流路541に流れやすくすることができる。例えば、吸引ノズル4の長手方向の長さが100mm程度の場合であっても、このように、第1吸引孔401a、第2吸引孔402aの端部において、逆洗水W2を、ヘッド基管54の流路541に流れやすくすることができる。
このため、当接面403の長手方向における中央部分近傍の第1吸引孔401a、第2吸引孔402aの部分と、当接面403の同方向における端部近傍の第1吸引孔401a、第2吸引孔402aの部分と、における逆洗水W2の流れやすさの差を抑制することができるため、フィルタ52の軸方向において、吸引ノズル4によって、より均一にフィルタ52の濾過面に付着したSS(浮遊性固形物質)を剥がして、逆洗水W2の吸引排水を行うことができる。
【0070】
また、第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53は、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、長孔状のノズル吸引口4aの全面積に対する、ヘッド基管の流路541の外側におけるノズル吸引口4aの面積の比率は、50%以上である。
【0071】
そのため、第1実施形態によれば、第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53において、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、長孔状のノズル吸引口4aの全体の全面積に対する、ヘッド基管54の流路541の外側におけるノズル吸引口4aの部分の面積の比率は高いにもかかわらず、この部分においても、ヘッド基管54の流路541の内側におけるノズル吸引口4aの部分同様に、逆洗水W2を流れやすくすることができる。
【0072】
また、第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53は、ノズル吸引口4aは、フィルタ52の軸方向にそれぞれ延びる第1吸引孔401aと第2吸引孔402aとを有する。第1吸引孔401aと第2吸引孔402aとは、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、ヘッド基管54の軸方向に対して点対称の位置関係を有する。そのため、フィルタ52が吸引ノズル4に対して相対的に回転している際に、フィルタ52の軸方向に延びるフィルタ52の継ぎ目によって、同時に第1吸引孔401aと第2吸引孔402aとが塞がれることを防止することができる。フィルタ52の継ぎ目によって、全部の吸引孔が同時に塞がれると、吸引ノズルの内部で圧力の急変動が生じ、それが水撃作用(衝撃音による騒音)の原因となる。これを抑制することができる。
【0073】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の第2実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53Aの吸引ノズル4Aを示す正面図である。
第2実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については、詳細な説明を省略する。また、第2実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
【0074】
図6に示すように、第2実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53Aの吸引ノズル4Aにおいては、ノズル吸引口4a−2を構成する第1吸引孔401a−2及び第2吸引孔402a−2の長さが、第1実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53の第1吸引孔401a及び第2吸引孔402aの長さよりも長い点で、第1実施形態とは主に異なる。
【0075】
第1吸引孔401a−2及び第2吸引孔402a−2は、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、図6に示すように、フィルタ52の周方向、即ち、図6における左右方向において、重なる部分Zを有しており、オーバーラップしている。
【0076】
第2実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53Aにおいては、吸引ノズル4Aの第1吸引孔401a−2と第2吸引孔402a−2とは、フィルタ52の周方向においてオーバーラップしているため、フィルタ52が回転しているときに、フィルタ52の軸方向において1つの吸引ノズル4Aによって、吸引ノズル4Aの当接面403の図6に示す上部から下部までに当接するフィルタ52(図3等参照)の部分において、ムラ無く、フィルタ52の濾過面に付着したSS(浮遊性固形物質)を剥がして、逆洗水W2の吸引排水を行うことができる。
【0077】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について、図7を参照しながら説明する。図7は、本発明の第3実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53Bの吸引ノズル4Bを示す正面図である。
第3実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。このため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については、詳細な説明を省略する。また、第3実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用される。
【0078】
図7に示すように、第3実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53Bの吸引ノズル4Bにおいては、ノズル吸引口4a−3は、1本の長孔により構成されている。ノズル吸引口4a−3の幅は、第1実施形態の第1吸引孔401a、第2吸引孔402aの幅よりも広く構成されている。また、ノズル吸引口4a−3は、吸引ノズル4Bの長手方向における一端部近傍から他端部近傍に至るまで、吸引ノズル4Bの長手方向に対して所定の角度で交差する方向へ斜めに延びている。ノズル吸引口4a−3の中央部分は、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、ヘッド基管54の流路541に重なる位置関係を有している。
【0079】
中空部404Bは、ヘッド基管54の軸方向に視た場合に、ノズル吸引口4a−3の全体が中空部404Bに含まれる位置関係となるように、ノズル吸引口4a−3の長手方向の長さ、幅のそれぞれよりも大きな値を有する長手方向の長さ、幅を有している。また、中空部404Bは、ノズル吸引口4a−3と同様に、吸引ノズル4Bの長手方向に対して所定の角度で交差する方向へ斜めに延びている。
【0080】
第3実施形態のフィルタ洗浄ヘッド53Bにおいては、ノズル吸引口4a−3は、1本の長孔により構成され、吸引ノズル4Bの長手方向における一端部近傍から他端部近傍に至るまで、吸引ノズル4Bの長手方向に対して所定の角度で交差する方向へ延びているため、第1実施形態と同様に、フィルタ52が吸引ノズル4Bに対して相対的に回転している際に、フィルタ52の軸方向に延びるフィルタ52の継ぎ目によって、同時にノズル吸引口4a−3の全体が塞がれることを防止することができる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、フィルタ洗浄ヘッドの各部の構成は、本実施形態におけるフィルタ洗浄ヘッド53、53A、53Bの各部の構成に限定されない。例えば、ノズル吸引口の形状や数や大きさ等は、本実施形態におけるフィルタ洗浄ヘッドのノズル吸引口4a、4a−2、4a−3の形状や数や大きさ等に限定されない。
【符号の説明】
【0082】
4、4A、4B 吸引ノズル
4a、4a−2、4a−3 ノズル吸引口(吸引孔)
28 逆洗汚水排出管(逆洗汚水ライン)
51 ケーシング
52 フィルタ
53、53A、53B フィルタ洗浄ヘッド
54 ヘッド基管
401a、401a−2 第1吸引孔
402a、402a−2 第2吸引孔
403 当接面
404、404B 中空部
541 流路
W1 被処理水
W2 逆洗水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7