特許第6645191号(P6645191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイガー魔法瓶株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6645191-液体容器 図000002
  • 特許6645191-液体容器 図000003
  • 特許6645191-液体容器 図000004
  • 特許6645191-液体容器 図000005
  • 特許6645191-液体容器 図000006
  • 特許6645191-液体容器 図000007
  • 特許6645191-液体容器 図000008
  • 特許6645191-液体容器 図000009
  • 特許6645191-液体容器 図000010
  • 特許6645191-液体容器 図000011
  • 特許6645191-液体容器 図000012
  • 特許6645191-液体容器 図000013
  • 特許6645191-液体容器 図000014
  • 特許6645191-液体容器 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645191
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】液体容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 41/02 20060101AFI20200203BHJP
   A47G 19/22 20060101ALI20200203BHJP
   B65D 21/02 20060101ALI20200203BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20200203BHJP
   B65D 23/00 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   A47J41/02 102B
   A47J41/02 102Z
   A47J41/02 103Z
   A47G19/22 C
   B65D21/02 200
   B65D25/20 E
   B65D23/00 S
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-1733(P2016-1733)
(22)【出願日】2016年1月7日
(65)【公開番号】特開2017-121360(P2017-121360A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【弁理士】
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】水流 猛志
(72)【発明者】
【氏名】盛 惇子
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−033236(JP,U)
【文献】 特開2005−008261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 41/00−41/02
A47G 19/00−19/34
B65D 21/00−25/56
B67D 1/00− 3/14
A47J 31/00−31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱機能を備えた容器本体と、該容器本体内に重構造で収納可能な内容器と、上記容器本体の上端側開口部に着脱可能に嵌合される蓋体と、上記内容器の上端側開口部に着脱可能に螺合される蓋部材とを備え、上記内容器は、外部との断熱が必要な時には上記容器本体内に重構造で収納される一方、液体の注出が必要な時には上記蓋体を介して上記容器本体の上部に2段構造に積み重ねて設置されるようになっていることを特徴とする液体容器。
【請求項2】
内容器は、透明に構成されていることを特徴とする請求項1記載の液体容器。
【請求項3】
内容器には、液体の注出手段が設けられるようになっていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体容器。
【請求項4】
液体の注出手段は、内容器側のコック部材嵌合口と該コック部材嵌合口に対して着脱可能に嵌合されるコック部材により構成されていることを特徴とする請求項3記載の液体容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、容器を、飲料等を収容する容器と該飲料等を収容した容器を収納して保冷又は保温する断熱機能を持った容器本体との独立した2つの部分から構成し、非使用時には飲料等を収容した容器を上記断熱機能のある容器本体内に収納して保冷又は保温できるようにするとともに、使用時には同容器を上記容器本体の上部に設置して使用することができるようにした液体容器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
保冷又は保温等の断熱機能を備えた飲料等を収容する液体容器は、従来から良く知られている。しかし、同従来の液体容器は、飲料等の収容容器そのものが断熱構造の容器本体によって形成されており、断熱構造の容器本体は、通常金属製またはガラス製の内容器と該内容器の外側に所定の断熱空間又は断熱部材を介して設けられた同じく金属製またはガラス製の外容器とからなり、それらを一体化した2重壁構造のものとなっている。
【0003】
そして、同容器本体は、一般に内部から外部への放熱面積を小さくするために、容器開口部の径が小さく絞られたヒートキープ構造に形成され、上記内容器部分に直接飲料等の液体が収容されるようになっている(例えば、特許文献1を参照)
また、同容器本体は、必要な場合には、さらに外装ケースに収納したものとして構成される(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−56472号公報
【特許文献1】実開昭59−151542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような構成の場合、飲料等の収容容器そのものが断熱構造の容器本体によって形成されているために、容器内の飲料の種類、残量等を外部から確認することができず、非常に使い勝手が悪い問題がある。特に1台だけを使用する場合ならともかく、複数台の液体容器を使用し、内部に異なる種類の飲料等を収容した場合、中身を確認することができないので、何らかの表示を付さなければならず、面倒である。コック等を付したものの場合、試しに注出してみることもできるが、それでは飲料が無駄になってしまう。
【0006】
この出願の発明は、そのような問題を解決するためになされたもので、保冷又は保温などの断熱機能を果たす容器本体と飲料等が収容される容器とをそれぞれ別体に形成し、飲料等が収容される容器を、保冷又は保温などの断熱機能が必要な時には、上記断熱機能を持った容器本体内に収納することによって保冷又は保温する一方、飲料等の注出が必要な時には、上記容器本体から取り出して上記容器本体の上部に設置することによって使用しやすくし、また上記飲料等が収容される容器を透明に形成することによって、中身の確認を容易にした液体容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、以上のような課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0008】
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、断熱機能を備えた容器本体と、該容器本体内に重構造で収納可能な内容器と、上記容器本体の上端側開口部に着脱可能に嵌合される蓋体と、上記内容器の上端側開口部に着脱可能に螺合される蓋部材とを備え、上記内容器は、外部との断熱が必要な時には上記容器本体内に重構造で収納される一方、液体の注出が必要な時には上記蓋体を介して上記容器本体の上部に2段構造に積み重ねて設置されるようになっていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によると、断熱機能を備えていて保冷又は保温などの断熱機能を果たす容器本体と飲料等の液体が収容される内容器とがそれぞれ別体に形成されていて、飲料等の液体が収容された内容器は保冷又は保温などの断熱機能が必要な時には、上記断熱機能を有する容器本体内に重構造で収納されて確実に保冷又は保温される。
【0010】
他方、上記内容器は、収納している飲料等の液体の注出が必要な時には、上記容器本体から取り出され、上記容器本体端側開口に嵌合された蓋体を介して上記容器本体の上部(蓋体の上部)2段構造に積み重ねて設置される。したがって、内容器を地面に置く場合に比べて、適度な高さに位置させることができ、内容器からの液体の注出が容易になる。また、ゴミなどが入りにくく、衛生的である。
【0011】
なお、上記内容器の上記蓋体を介した上記容器本体上部への設置は、たとえば上記蓋体部分への載置のほか、蓋体部分への係合、蓋体部分への固定等の各種の安定した設置構造が採用される。
【0012】
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段において、上記内容器は、透明に構成されていることを特徴としている。
【0013】
このような構成によると、上記内容器内の液体の種類、収納量、残量などを外部から見ることができるようになる。したがって、非常に使い勝手が良くなり、また、複数台の液体容器に異なる種類の液体を収納して使用する場合にも、所望の種類の液体を任意に選んで注出することができるようになる。
【0014】
(3)請求項3の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1又は2の発明の課題解決手段において、上記内容器には、液体の注出手段が設けられていることを特徴としている。
【0015】
このような構成によると、液体の注出が必要な時に、液体注出手段を用いて、容易に内容器内の液体を注出することができるようになる。
【0016】
(4)請求項4の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項3の発明の課題解決手段において、上記液体の注出手段は、上記内容器側のコック部材嵌合口と該コック部材嵌合口に対して着脱可能に嵌合されるコック部材により構成されていることを特徴としている。
【0017】
このような構成によると、飲料等の液体が必要な時には、上記液体注出手段を構成するコック部材を上記内容器側のコック部材嵌合口に嵌合し、同コック部材のコック弁を開いて飲料等の液体を容易に注出することができるようになる。したがって、液体の注出操作が容易になる。
【0018】
また、コック部材は着脱可能となっているので、上記容器本体内に上記内容器を収納する時には取り外せばよく、上記内容器を収納する時にも支障とはならない。
【発明の効果】
【0019】
以上の結果、この出願の発明の液体容器の構成によると、内容器非使用状態における容器本体内へのコンパクトな収納、持ち運び(携帯)、確実な保冷又は保温機能と、内容器使用状態における飲料等液体の種類、残量の確実かつ容易な確認、便利な注出作用等が容易に実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願発明の実施の形態に係る液体容器の断熱・収納状態(容器本体内に内容器を収納した状態)における全体構成を示す縦断面図である。
図2】同液体容器を構成している容器本体の構成を示す縦断面図である。
図3】同液体容器を構成している内容器の構成を示すコック部材非嵌合状態の縦断面図である。
図4】同液体容器を構成している内容器の蓋部材の構成を示す縦断面図である。
図5】同液体容器を構成している内容器の蓋部材の上面部の構成を示すコック部材取り付け状態の平面図である。
図6】同液体容器を構成している容器本体の蓋体の構成を示す縦断面図である。
図7】同液体容器を構成している容器本体と同容器本体から取り出された内容器の当該容器本体上部への設置状態(積み重ね状態)の構成を示すコック部材未嵌合状態における平面図である。
図8】同液体容器を構成している容器本体と内容器の積み重ね状態の構成を示すコック部材嵌合状態(液体注出可能状態)の縦断面図である。
図9】同液体容器を構成している内容器のコック部材嵌合口に嵌合されるコック部材の側面図である。
図10】同液体容器を構成している内容器のコック部材嵌合口に嵌合されるコック部材の縦断面図である。
図11】同液体容器を構成している内容器のコック部材嵌合口に嵌合されるコック部材のコック弁開放時の側面図である。
図12】同液体容器を構成している内容器のコック部材嵌合口部分の構成を示す縦断面図である。
図13】同液体容器を構成している内容器のコック部材嵌合口部分にコック部材が嵌合された状態の構成を示す縦断面図(コック部材閉状態)である。
図14】同液体容器を構成している内容器のコック部材嵌合口部分にコック部材が嵌合された状態の構成を示す縦断面図(コック部材開の液体流出状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図14は、この出願の発明の実施の形態に係る液体容器の全体および要部の構成を示している。
【0022】
(1)液体容器全体の基本的な構成(図1および図8を参照)
図中、符号1はこの発明の実施の形態に係る液体容器1を示している。この発明の実施の形態に係る液体容器1は、大きく分けて、真空断熱機能を備えた容器本体2と、該容器本体2内に重構造で収納可能な内容器3と、上記容器本体2の上端側開口部に着脱可能に嵌合(冠合)される蓋体4とを備え、上記内容器3は、保冷又は保温等の外部との断熱が必要な時には、上記容器本体2内に収納される一方、飲料等液体の注出が必要な時には、上記容器本体2上部の蓋体4を介して上記容器本体2の上部に2段構造に積み重ねて設置されるようになっている。
【0023】
そして、この実施の形態の場合、上記内容器3は、例えばシースルーな透明体により形成されており、たとえば家庭で作ったフレーバーウオーターなどの飲料を収納するのに適したものに構成されている。
【0024】
(2)容器本体の構成(図2の構成を参照)
容器本体2は、例えばステンレス製の外板21a、21cと同じくステンレス製の内板21bとを所定の幅の断熱空間21dを介して相互に端部で接続して構成されている。外板21aは底部のない筒状の側板として構成され、上端側で有底筒状の内板(内ケース)21bの上端と一体に接合(溶着)されている一方、下端側では底板を構成する外板21cの周縁と接合(溶着)されている。そして、それにより全体として有底筒状の容器体(外ケース)を形成している。
【0025】
また、外板21a下端の外板21c周縁との接合部24には、樹脂製の底部材22が底部側の外板21cを覆う状態で設けられている。
【0026】
この容器本体2の上端側外板21aの上端と内板21bの上端との接合部23には、樹脂製の口部カバー25が嵌合され、該口部カバー25を介して外周面側に吊りベルト27の取り付け部材26が設けられており、該吊りベルト取り付け部材26のベルト取り付け軸26aを介して所望の吊りベルト27が取り付けられている。
【0027】
上記内板21bは上端側から下端側まで全体として等しい径の有底の筒状体に形成され、上記口部カバー25により本体部分と同じ径の開口縁部が形成されている。そして、その内側の上下方向に等径の空間部が後述するように内容器3の収納部となっている。
【0028】
他方、これに対して、上記外板21a、21bにより形成された有底筒状の外ケース部分は、上端側から下端側にかけて次第に外径を大きくした断面台形の構造体となっており、後述するように上部に内容器3を設置したような場合にも、転倒しにくく、安定した立設状態が維持されるようになっている。
【0029】
(3)内容器の構成(図3を参照)
内容器3は、上記容器本体2の内側の上下方向に等径の空間部に収納することが可能な高さおよび外径寸法の有底筒状体であり、同高さおよび外径寸法の筒状の側壁部31aと同外径寸法(直径)の底壁部31bを有して構成されている。
【0030】
底壁部31bは、側壁部31aの下端部より少し上部に位置して形成されており、側壁部31aの下端部31d部分は、たとえば図1に示すように、容器本体2内に収納された時、および後述するように蓋体4を介して容器本体2の上部に設置された時の脚部機能(嵌合部機能・支持部機能)を果たすようになっている。また、底壁部31bは、全体として上方に向けて球面上に突出しており、逆に、その下面側に球面上の凹部31eを形成している。
【0031】
他方、内容器3の上端側開口部31cの内側には、以下に述べる蓋部材5を螺合するための螺条凸部(内ネジ)32が設けられている。
【0032】
さらに、側壁部31aの底部31b付近の一部は、図示のように、内側に向けて所定の深さだけ水平方向内側に窪まされて凹溝部を形成しており、同凹溝部の縦壁31f部分には、収納されている液体を任意に注出するための液体注出手段であるコック部材7を着脱可能に取り付けるためのコック部材取り付け機構6を設置するための開口部(貫通穴)33が設けられている。そして、該開口部33に対してコック部材取り付け機構6が内外方向に貫通する状態で嵌合固定されている。
【0033】
このコック部材取り付け機構6は、内容器3内には凹溝部を含めて一部が突出しているが、内容器3外には凹溝部の深さにより内容器3の筒体部側壁31a面外には突出しないように構成されている。
【0034】
そして、このコック部材取り付け機構6には、例えば図12に詳細に示されるように構成され、たとえば図9図11に示される構成のコック部材7が、たとえば図13に示されるように、着脱可能な状態で嵌合(装着)される。これらコック部材取り付け機構6およびコック部材7の構成の詳細については、後述する。
【0035】
この内容器3は、すでに述べたように、全体としてシースルーな、例えばアクリルその他の透明体により形成されている。コック部材取り付け機構6についても同様である。
【0036】
(4)内容器の蓋部材の構成(図4および図5を参照)
内容器3の上端側開口部31cには、図4に示すような蓋部材5が着脱自在に螺合されるようになっている。この蓋部材5は、上下長の短い側壁部51aおよび同側壁部51a上端間の天壁部51bよりなる蓋部材本体51と、該蓋部材本体51の天壁部51bの上部に在って、コック部材収納空間55を形成している上方に開放した小径の筒状部52とからなり、それらを図4のような構造および寸法関係に一体に成形して構成されている。そして、上記小径の筒状部52の外周には把手52aが設けられている。
【0037】
また、上記天壁部51bの上記筒状部52の内側部分は、所定の深さ下方に窪んで円形の凹溝部を形成しており、同凹溝部が上記コック部材収納空間55を形成している。
【0038】
そして、このコック部材収納空間55の底部には、例えば図5に示すような配置形態で、後述するコック部材7を係合固定(挟着固定)するための相互に直交する2組の所定の高さの縦壁構造のリブ54a,54b、54c,54dが立設されており、これら2組の縦壁構造のリブ54a,54b、54c,54dを利用してアングル構造のコック部材7が係合固定されている。
【0039】
また、同コック部材収納空間55の中央部には、径は小さいが断面台形状の所定の高さのエア抜き筒53が設けられている。このエア抜き筒53の天板部分中央には、液体注出時の空気を抜くためのエア抜き孔(小孔)53aが設けられている。このエア抜き筒53は、また図1のように、内容器3が上記容器本体2内に収納された状態において、次に述べる容器本体2の蓋体4側のシールおよび押さえ機能を持った押圧パッキン45によって押圧、かつシールされ、容器本体2内への収納状態(図1)において、収納状態を固定するとともに液漏れを阻止する機能を果たす。
【0040】
この蓋部材5および各部の構成も、例えばアクリルその他の透明体により形成されている。
【0041】
そして、同蓋部材5の側壁部51の外周面(上下方向中央部位置)には、上述の内容器3側の螺条凸部(内ネジ)32に係合する螺条凸部(外ネジ)52が設けられ、また、その上部にはシール用のパッキン56が設けられている。
【0042】
(5)容器本体の蓋体の構成(図6を参照)
この蓋体4は、例えば図1に示されるように、容器本体2内に内容器3を収納した保冷又は保温状態において上記容器本体2の上端側開口部に嵌合されて容器本体2内をシールするとともに、上記押圧パッキン45によって内容器3の蓋部材5のエア抜き筒53部分を押圧することによって収納された内容器3の固定機能を実現するとともにエア抜き孔53aをシールして収納状態における液漏れを阻止する作用を果たす。
【0043】
また、例えば図7のように、内容器3を容器本体2内から外部に取り出して、容器本体2の上部に設置して使用する時には、その設置面(載置面・嵌合面)としての機能を果たすようになっている。
【0044】
そのために、同蓋体4は、外装体、カバー体であり、上記内容器3の設置台を構成する木製の骨格部材(本体部材)41と、該骨格部材41の下面側に接合用のスペーサ部材42を介して接合一体化された嵌合部材43とからなっている。
【0045】
骨格部材41は、比較的厚い肉厚の木製部材により構成されており、中央部には所定の高さの凸部41aが、また、その外周部側には周方向に所定の幅のフラットな凹溝部41bが、さらにその外周には縦壁構造の周壁部41cが形成されている。
【0046】
そして、例えば図7に示すように、上記凹溝部41bの外周部位置に上記内容器3の側壁部31aの下端31bが嵌合状態に近い形で、また上記内容器3の底壁部31bの凹溝面31eが上記凸部41a上に対応する形で、それぞれ周方向にガタツクことなく安定して設置される。
【0047】
他方、嵌合部43は、全体として樹脂材よりなり、上記骨格部材41の下面形状に沿ってスペーサ部材42を介して接合一体化され、側壁部が所定の長さ下方に延びた断面ハット型の上板部材43aと、該断面ハット型の上板部材43aの側壁部下端側に周縁部を接合一体化した下板部材43bからなり、それら断面ハット型の上板部材43aと下板部材43bとの間の上下方向に所定の深さの空間部内には、所定の材質、構造の断熱材43cが充填されている。
【0048】
また、同断面ハット型の上板部材43a外周の下方に延びる側壁部の上端部には、上記スペーサ部材42の外周縁との間でパッキン46を嵌合固定するための段部(凹部)が形成されており、該段部を利用してシール用のパッキン46が嵌合されている。このパッキン46は、周方向にパッキン係合用の凸部を備えた内側パッキン係合部材46aと該パッキン係合部材46aに係合されたパッキン46bとからなっている。
【0049】
また、他方、上記下板部材43bの下面側中央部には、下方に向けて所定の高さを有する上述した押圧パッキン45を形成するための中空の押圧部材44が凸設されており、該押圧部材44の外周に同じ形状のラバー製のパッキン部材が一体に嵌合されており、該パッキン部材と上記中空の押圧部材44とで上述した押圧パッキン45が形成されている。
【0050】
そして、この押圧パッキン45が、上記嵌合部43が上記容器本体2の開口部内に嵌合された時に、上記内容器3の蓋部材5のエア抜き筒53の上端を押圧して、蓋部材5を押圧し、内容器3を確実に固定するとともに、エア抜き筒53上端のエア抜き穴53aをシールして液漏れを防止する。
【0051】
(変形例)
なお、この実施の形態では、上記骨格部材41を木製のもので形成したが、これは木製のものに限られるわけではなく、木目印刷を施した合成樹脂、またはその他の色彩の合成樹脂により成型しても良い。
【0052】
(6)内容器を容器本体から取り出して容器本体の上部に設置した使用状態の構成(図7および図8を参照)
容器本体2、蓋体4、内容器3、蓋部材5のそれぞれは、以上のように構成されている。そして、図1のように容器本体2内に収納固定された保冷又は保温状態から、上記蓋体5を外し、収納固定状態を解除して、容器本体2内から取り出された内容器3は、容器本体2上に再嵌合された蓋体4を介して容器本体2上に先ず積み重ねられる(図7)。この状態では、まだコック部材7は、上記内容器3の蓋部材5の筒状部52内に収納固定されたままである。
【0053】
この状態から、続いて蓋部材5上のコック部材7が取り出され、例えば図8に示されるように、その連結パイプ72の先端側が上記内容器3の側壁部31a下端のコック部材取り付け機構6のコック部材嵌合口に嵌合される。これによりコック部材7のコック弁77を開くと、内容器3内に収納されている飲料等の液体の注出が可能となる(図14を参照)。
【0054】
(変形例)
なお、この実施の形態では、図7および図8に示すように、内容器3を容器本体2の蓋体4を介して容器本体2の上部に設置するに際して、上記蓋体4の凹溝部41bの外周部位置に上記内容器3の側壁部31aの下端31bを嵌合状態に近い形で載置するようにしているが、これは、さらに蓋体4側および内容器3側の相互に対応する部分に相互に係合する係合手段(爪部材又はリブ)を設け、容器本体2への載置後に、内容器3を周方向に所定の角度回転させることによって、蓋体4に確実に係合させて固定するようにすることもできる(いわゆるヘリコイド結合構造の採用)。
【0055】
(7)コック部材取り付け機構の構成(図12を参照)
コック部材取り付け機構6は、上記凹溝部の縦壁31f部分に形成したコック部材取り付け機構6設置用の開口部33に嵌合固定されたスリーブ状の嵌合口形成部材61と、該嵌合口形成部材61のスリーブ本体61a先端の内側に設けた小径部61eに前後方向(軸方向)にスライド可能に支持されている栓部材65と、嵌合口形成部材61の内端側を固定している内端側固定部材64と、嵌合口形成部材61の外端側をコイルばね62を介して固定している外端側固定部材63とから構成されている。
【0056】
栓部材65は、例えば合成樹脂製の円柱体65aの先端部外周(内容器内端部外周)にリング状のシール部材65cを嵌合しているとともに、それよりも後端側外周には周方向に所定の間隔を置いて軸方向に平行に延びる複数本のスリット(水通路)65b、65b・・が設けられている。また、同円柱体65a後端には半径方向外方に一部外径を大きくしたコイルばね係止片65cが形成されている。
【0057】
そして、同係止片65cと上記嵌合口形成部材61のスリーブ本体61a先端の内側に設けた小径部61eとの間には所定の弾性のコイルばね65dが介設され、該コイルばね65dにより常に栓部材65(円柱体65a)が外端方向に押圧付勢されており、それによって上記リング状のシール部材65cが上記小径部61eの内容器内の内端に当接してシール状態を維持するように構成されている。もちろん、このシール状態は、後に述べるように、コック部材7の連結パイプ72が嵌合された時は解除されて、内容器3内の液体の流出が可能となる。
【0058】
上記内端側固定部材64は、スリーブ状の本体部64aの内側にシール部材67を介して上記嵌合口形成部材61のスリーブ本体61a先端部を固定しているとともに、同スリーブ本体61a後端側には大径のフランジ部64bを有し、該フランジ部64bと内容器凹溝部の縦壁部31fとの間でもドーナツ状のシール部材66aを嵌合して相互の間をシールしている。
【0059】
また、同様に嵌合口形成部材61のスリーブ本体61aの内容器外端側途中にも大径のフランジ部61dが設けられており、同フランジ部61dと内容器凹溝部の縦壁部31fとの間でもドーナツ状のシール部材66bを嵌合して相互の間をシールしている。
【0060】
また、符号63bは外端側固定部材63のスリーブ状の固定部材本体63aの後端側内周面に設けられたコイルばね係止片であり、コイルばね62は、該コイルばね係止片63bと上記フランジ部61dとの間に係止されている。
【0061】
そして、上記外端側固定部材63内側の上記嵌合口形成部材61のスリーブ本体61a後端側の少し内径が大きく形成された筒体部分61cがコック部材嵌合口69を形成している。
【0062】
また、同コック部材嵌合口69を形成している筒体部分61cの上端側外周には、コック部材7の連結パイプ部72の先端側嵌合部77が挿入嵌合された時に当該嵌合状態をクリック状態で仮止めする係合部材68が係合片68aを有して設けられている。
【0063】
(8)コック部材の構成(図9図11を参照)
コック部材7は、コック弁79を内蔵したコック部本体71と、該コック部本体71の上端部71c上に在ってコック部本体71内のコック弁79を上下方向に開閉作動(昇降作動)させるコックレバー73と、上記コック部本体71内のコック弁79を介した液体流入口71d部分に一体に連通・連結され、その先端側嵌合部77を上記内容器3側のコック部材取り付け機構6のコック部材嵌合口69部分に着脱可能に嵌合される連結パイプ72とから構成されている。
【0064】
コック部本体71は、上部側大径の筒体部71aと、下部側小径の液体注出筒71bと、上記大径の筒体部71aの上端部(薄肉部)71cに嵌合固定された蓋部材78と、上記大径の筒体部71a内に蓋部材78により上端側を係止されたコイルばね76を介して下方に押圧付勢された状態で収納されているラバー製のコック弁79と、該コック弁79を保持しているとともにコックレバー73の上下回動操作に応じて上記コック弁79を上下方向に開閉作動(昇降作動)させるコック弁作動軸75とから構成されている。
【0065】
コック弁79は、下端側に上記液体注出口71fを開閉する大径の弁体部79a、上部側に薄肉の筒状部79bを備え、弁体部79a部分にコック弁作動軸75下端側のフランジ部75aをインサートして連結保持している。他方、弁体部79aの上端部外周から上方に延びる薄肉の筒状部79bは、コック弁本体71の上端部71cの頂部で半径方向外方に延びるフランジ状の縁部を蓋部材78で押さえ付けられて固定されている。
【0066】
コック弁作動軸75は、その上端側をコック弁本体71上端の蓋部材78中央に形成した開口から上方に突出させ、同突出部を逆U字状に曲成してフック部75bを形成し、該フック部75bをコックレバー7のレバー部本体(枢支部)73aの支軸74に係合している。そして、それによりコックレバー73のレバー片73bが水平状態から垂直状態、またその逆に回動操作されると、それに応じて、コイルばね76の付勢力に抗して上下方向に昇降し、上記弁体部79a部分を上下に昇降して上記液体注出口71f(弁座部71eの開口)を開閉する。
【0067】
これにより、上記コック弁本体71側壁の液体流出路開口部71dから流入した液体が液体注出口71fを介して注出されるようになる。
【0068】
このようにして弁体部79aが昇降する時には、上記薄肉の筒状部79bは図14のように褶曲変形して、所望の昇降動作を適切に実現するようになっている。レバー部本体73aは、そのような昇降動作を実現するに必要な回動時のレバー比が得られるように、図示のような、角の丸い方形の形状に形成されている。
【0069】
なお、上記液体注出筒71b内の液体注出口71fの上端には、上記のようにコック弁79の弁体79aが当接する弁座71eが設けられている。
【0070】
他方、上記コック弁本体71側壁の液体流入口71dから直交方向に延びる連結パイプ72は、内側に液体流出路72cを形成しているパイプ本体72aと、該パイプ本体72aの嵌合部側先端部に設けられたシール機能を具備した嵌合部77とからなり、該嵌合部77は、さらに嵌合用のパッキン77a、77aの取り付け部72bと係合用の凸部72dとからなっている。
【0071】
係合用の凸部72dの背面には、コック部材取り付け機構6側のコック部材嵌合口69への嵌合時において、例えば図14のように、コック部材嵌合口69を形成しているコック部材取り付け機構6側の筒体部分61cに設けられている仮止め用の係合部材68の係合片68aが係合されるようになっている。そのために、同係合用の凸部72dの背面側はテーパ面となっており、係合時には容易に係合する一方、取り外し時には容易に取り外すことができるようになっている。
【0072】
(9)コック部材を内容器側コック部材取り付け機構のコック部材嵌合口に嵌合した状態の構成(図13および図14を参照)
以上のように連結用のパイプ72を有して構成されたコック部材7は、その連結パイプ72先端の嵌合部77を介して、例えば図13に示すように、コック部材取り付け機構6のコック部材嵌合口69に嵌合して取り付けられる。この状態では、上述した嵌合部77のパッキン77a、77aが、上記コック部材取り付け機構6の上記嵌合口形成部材61のスリーブ本体61a後端側の筒体部分61c内のコック部材嵌合口69内側にシール性良く嵌合されて固定される。
【0073】
また、同時に、上記筒体部分61cの上端側の係合部材68の係合片68aにより、係合用の凸部72dの背面(テーパ面)が係合されて仮止めされる。
【0074】
そして、その結果、上記連結パイプ72の先端側開口部が、上記コック部材取り付け機構6側の上記栓部材65(円柱体65a)を内容器3内に所定ストローク長だけ押し込み、栓部材65(円柱体65a)のリング状のシール部材65cによるシール状態が解除され、内容器3内の液体は栓部材65のスリット65b、65b・・を介して連結パイプ72内の液体流出路72cに流れ込み、コック部本体71の液体流入口71dからコック弁本体79の弁体部79a部分で滞留される。
【0075】
この状態で、例えば図13の状態から図14の状態にコックレバー73のレバー片73bが回動されると、上記コック弁79の弁体部79aが上方に開放されるので、液体流入口71dと液体注出口71fは弁座部71eの開口部を介して完全に連通し、内容器3内からの液体が連続して注出されることになる。 そして、この注出状態では、上記エア抜き筒52のエア抜き孔52aによるエア抜き作用が生じるから、スムーズな注出を行うことができる。
【0076】
他方、同状態で、上記レバー片73bを元の水平状態に戻すと、弁体部79aが下降して、上記弁座部71eの開口を閉じるので、液体の注出は完全に停止される。
【0077】
(作用〉
このようにして、図14のように、フレーバーウオーターなどの所望の飲料を収納した透明な内容器3を、容器本体2およびその蓋体4を設置台として設置するようにすると、ピクニックなどのアウトドアでの行事に、当該飲料を複数の人々で容易にシェアして飲用することができる。
【0078】
また、種類の違った複数の飲料を複数台の液体容器を用いて使用するようにした場合にも、内容器3が透明な容器であるために、一目で中身を判断することができ、非常に使い勝手が良くなる。
【0079】
また、内容器3を地面やテーブル上に置く場合に比べて、適度な高さに位置させることができるため、注出時に地面にカップを置かなくても良くなり、ゴミなどが入りにくく、衛生的であるとともに、注出操作もしやすい。
【0080】
また、内容器3の蓋部材5には、携帯用の把手52aが設けられているので、内容器3を単独でドリンクサーバーとして所望の場所に持ち運んで使用することもできる。
【0081】
また、内容器3は、樹脂製の1重壁構造で、しかも開口部も広い等径の筒体であることから、丸洗い洗浄も容易で、非常に取り扱いやすい。
【0082】
また、内容器3は、コック部材7を取り外すと、内外共に上端から下端までの全体に亘って等径の筒状体となり、しかも、容器本体2内の内径も上端から下端までの全体に亘って等径の筒状体に形成されている。したがって、内容器3は、取り出し、収納に支障がない範囲で、可及的に容器本体2内の内径に近い外径寸法に形成することができる。
【0083】
したがって、容積効率が高くなり、収納容量を最大限拡大することができる。また、その結果、収納状態でのガタツキも生じにくく、より安定した収納が可能となる。
【0084】
また、コック部材7は、内容器3のコック部材嵌合口69部部分に着脱可能となっているので、コック部材7およびコック部材嵌合口69部分共に洗浄が容易で、清潔に使用することができる。
【0085】
また、取り外したコック部材7は、内容器3の蓋部材5部分の上面に見やすい形で収納されるから、セット時の取り出し操作が容易であるだけでなく、しまい忘れも生じにくい。
【0086】
また、上記容器本体2は、例えばおかしや果物等を収納する収納容器として利用することもでき、また内容器3収納用以外の一般的な保冷又は保温容器として広く利用することもできる。
【0087】
(10)使用完了後の内容器の容器本体内への収納(図8図7図1を参照)
これは、上記内容器3の設置時と逆の操作を行えば良く、先ず図8の使用状態における内容器3からコック部材7を取り外す。すると、上述の栓部材65は、コイルばね65dの付勢作用で、自動的に図7に示す元のシール状態に戻り、内容器3内をシールする。そこで、続いて、取り外したコック部材7を内容器3の蓋部材5のコック部材収納空間55部分に係合セットする(図5の状態)。
【0088】
その後、内容器3を容器本体2上から降ろし、かつ容器本体2上の蓋体4を一旦外し、上記コック部材7を収納セットした蓋部材5を装着した内容器3を容器本体2内に収納して、改めて蓋体4を嵌合し、最終的に、図1のような、蓋体4の押圧パッキン45で内容器3の蓋部材5のエア抜き筒53上端(エア抜き孔53a部分)を押圧固定した保冷又は保温可能な容器本体2内への収納状態に戻す。
【0089】
この状態では、容器本体2だけの大きさのコンパクトな状態で、吊りベルト27を使用して肩にかけ、また手で下げるなどして簡易に携行することができるようになる。
【符号の説明】
【0090】
1は液体容器
2は容器本体
3は内容器
4は蓋体
5は蓋部材
6はコック部材取り付け機構
7はコック部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14