特許第6645207号(P6645207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645207
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】区画装置及び閉鎖領域の形成方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/54 20170101AFI20200203BHJP
【FI】
   A01K61/54
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-8647(P2016-8647)
(22)【出願日】2016年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-127238(P2017-127238A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 暢
(72)【発明者】
【氏名】及川 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】中本 健二
(72)【発明者】
【氏名】井上 智子
(72)【発明者】
【氏名】仁科 晴貴
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−177057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/00
E02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌の所定の範囲に外領域から区画された閉鎖領域を形成する区画装置であって、
前記所定の範囲の周囲を囲むように設置されて、内側に前記閉鎖領域を形成する平面視閉じた形状の装置本体を備え、
前記装置本体は、通水可能な多孔性を有する金網又は薄板からなる複数の壁部材と、隣接する壁部材間に一体に、当該壁部材の上下端よりもそれぞれ上方及び下方に突出するように設けられるとともに、上方から加えられた荷重によって土壌に押し込み可能な、管状部材からなる押込部材とを備えていることを特徴とする区画装置。
【請求項2】
前記壁部材の下端には、先端が尖った形状の刃部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の区画装置。
【請求項3】
前記押込部材の内側を挿通して下端部が前記土壌に押し込まれた状態で、上端部が前記押込部材の上端に引っ掛け可能な固定部材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の区画装置。
【請求項4】
前記土壌は干潟等の砂泥地であって、該砂泥地に前記装置本体が設置されることを特徴とする請求項請求項1〜3の何れか1項に記載の区画装置。
【請求項5】
土壌の所定の範囲に外領域から区画された閉鎖領域を形成する閉鎖領域の形成方法であって、
通水可能な多孔性を有する金網又は薄板からなる複数の壁部材と、隣接する壁部材間に一体に、当該壁部材の上下端よりもそれぞれ上方及び下方に突出するように設けられるとともに、上方から加えられた荷重によって土壌に押し込み可能な、管状部材からなる押込部材とを備えた平面視閉じた形状の装置本体を用い、前記装置本体を前記土壌の所定の範囲に搬入し、前記押込部材に上方から荷重を加えて前記土壌に押し込むことにより、前記押込部材に追従して前記壁部材を前記土壌に押し込むことにより、前記装置本体の内側に前記閉鎖領域を形成することを特徴とする閉鎖領域の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、区画装置及び閉鎖領域の形成方法に関し、特に、土壌の所定の範囲に外領域から区画された閉鎖領域を形成するのに有効な区画装置及び閉鎖領域の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土壌の所定の範囲に外領域から区画された閉鎖領域を形成する方法として、干潟等の砂泥地の所定の範囲の周囲を囲むように周壁を設置することにより、周壁の内側に外領域から通水可能に区画された閉鎖領域を形成する方法が知られている。
【0003】
このような構成の閉鎖領域を形成するには、まず、図7に示すように、砂泥地11の所定の範囲を掘削して砂泥12を除去し、その位置に所定の深さの穴15を形成する。次に、図8に示すように、掘削した穴15内に通水可能な機能を有する複数枚の金網16を平面視多角形状をなすように仮に設置する。次に、図9に示すように、隣接する金網同士を固定金具17によって固縛して金網16を平面視多角形状に固定する。そして、図10に示すように、掘削した穴15内に砂泥12を埋め戻して金網16の下端部を砂泥地11に埋設させ、砂泥地11の所定の範囲の周囲を囲むように複数枚の金網16からなる周壁18を立設する。
【0004】
このようにして、砂泥地11の所定の範囲の周囲を囲むように複数枚の金網16からなる周壁18を立設することにより、周壁18の内側に外領域13から区画された通水可能な閉鎖領域14を形成することができ、この閉鎖領域14を例えば二枚貝等の貝類の育成実験を行う実験領域14として使用することができる。
【0005】
ところで、上記のような閉鎖領域14を形成する方法にあって、砂泥地11を掘削して穴15を形成する作業、穴15内に複数枚の金網16を仮に設置する作業、隣接する金網16同士を固定金具17で固縛する作業、掘削した穴15内に砂泥12を埋め戻す作業が必要になり、それらの作業に多大な労力と時間を要することになる。
【0006】
また、砂泥地12の所定の範囲の砂泥12を掘削して穴15を形成し、穴15内に掘削した砂泥12を埋め戻しているため、閉鎖領域14を実験領域14として使用する場合に、実験領域14の性状が局所的に変化してしまい、本来の砂泥地11とは異なる環境で育成実験を行うことになり、二枚貝等の貝類の育成実験の精度に影響を与えることになる。
【0007】
特許文献1には、二枚貝等の貝類の育成装置に関する技術が記載されている。この育成装置は、二枚貝等の貝類を育成する被覆エリアを上方から覆う上部被覆網と、上部被覆網と海底との間に空間を形成するためのスペーサ手段とを備えている。
【0008】
スペーサ手段は、被覆エリアを区画するように間隔をおいて海底に立設される鉄鋼管からなる複数本の周囲支持支柱と、周囲支持支柱の内側の中心に立設される鉄鋼管からなる中央支持支柱と、周囲支持支柱に沿って円形に設けられるプラスチック製の帯状の壁網と、壁網の円周方向に間隔をおいて立設されるとともに、上部が壁網に係合される鉄筋からなる複数の保持部材とから構成されている。
【0009】
このような構成の育成装置を用いることにより、干潟等の砂泥地の所定の範囲に性状を局所的に変化させることなく、外領域から区画された通水可能な二枚貝等の貝類の実験領域を形成することができる。
【0010】
しかし、特許文献1に記載の育成装置は、複数の周囲支持支柱を海底に立設する作業、周囲支持主柱の周囲に沿って壁網を取り付ける作業、複数の保持部材を海底に立設して壁網を押さえる作業が必要になるため、育成装置の設置に多大な労力と時間を要することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2014−150770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、土壌の所定の範囲に土壌の性状を変化させることなく、外領域から区画された閉鎖領域を容易に短時間で形成することができる区画装置及び閉鎖領域の形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、土壌の所定の範囲に外領域から区画された閉鎖領域を形成する区画装置であって、前記所定の範囲の周囲を囲むように設置されて、内側に前記閉鎖領域を形成する平面視閉じた形状の装置本体を備え、前記装置本体は、通水可能な多孔性を有する金網又は薄板からなる複数の壁部材と、隣接する壁部材間に一体に、当該壁部材の上下端よりもそれぞれ上方及び下方に突出するように設けられるとともに、上方から加えられた荷重によって土壌に押し込み可能な、管状部材からなる押込部材とを備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明の区画装置によれば、装置本体の押込部材に上方から荷重を加えて押込部材を土壌に押し込むことにより、押込部材に追従して押込部材と一体に設けられている壁部材が土壌に押し込まれ、装置本体の内側に外領域から区画された閉鎖領域が形成されることになる。
従って、土壌を掘削して性状が変化するようなことはなく、本来の土壌の性状を保った状態で、装置本体の内側に外領域から区画された閉鎖領域を形成することができる。
また、装置本体は、複数の壁部材と隣接する壁部材間に一体に設けられる押込部材とから構成されているので、現場で装置本体を組み立てる作業が不要となる。また、装置本体の押込部材に上方から荷重を加えることにより、押込部材に追従して壁部材を土壌に押し込むことができるので、装置本体の土壌への設置に要する時間と手間を削減することができる。
【0015】
また、本発明において、前記壁部材の下端には、先端が尖った形状の刃部が一体に設けられていることとしてもよい。
【0016】
本発明の区画装置によれば、壁部材の下端には先端が尖った形状の刃部が設けられているので、押込部材に追従して壁部材を土壌に押し込む際に、壁部材を容易に土壌に押し込むことができる。
【0017】
また、本発明において、前記押込部材の内側を挿通して下端部が前記土壌に押し込まれた状態で、上端部が前記押込部材の上端に引っ掛け可能な固定部材を備えていることとしてもよい。
【0018】
本発明の区画装置によれば、固定部材によって押込部材を土壌に固定することができるので、装置本体に外部から荷重が作用しても、その荷重によって押込部材が土壌から浮き上がるようなことはなく、装置本体で土壌の所定の範囲の周囲を囲んだ状態を維持し続けることができる。
【0019】
また、本発明において、前記土壌は干潟等の砂泥地であって、該砂泥地に前記装置本体が設置されることとしてもよい。
【0020】
本発明の区画装置によれば、装置本体によって干潟等の砂泥地に外領域から区画された閉鎖領域を形成することができ、この閉鎖領域を二枚貝等の貝類の育成実験を行う実験領域として使用することができる。また、実験領域の性状を変化させることなく、二枚貝等の貝類の育成実験を行うことができるので、育成実験の精度を高めることができる。
【0021】
また、本発明は、土壌の所定の範囲に外領域から区画された閉鎖領域を形成する閉鎖領域の形成方法であって、通水可能な多孔性を有する金網又は薄板からなる複数の壁部材と、隣接する壁部材間に一体に、当該壁部材の上下端よりもそれぞれ上方及び下方に突出するように設けられるとともに、上方から加えられた荷重によって土壌に押し込み可能な、管状部材からなる押込部材とを備えた平面視閉じた形状の装置本体を用い、前記装置本体を前記土壌の所定の範囲に搬入し、前記押込部材に上方から荷重を加えて前記土壌に押し込むことにより、前記押込部材に追従して前記壁部材を前記土壌に押し込むことにより、前記装置本体の内側に前記閉鎖領域を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上、説明したように、本発明の区画装置及び閉鎖領域の形成方法によれば、土壌の性状を変化させることなく、土壌の所定の範囲に外領域から区画された閉鎖領域を形成することができる。従って、干潟等の砂泥地の所定の範囲に二枚貝等の貝類の育成実験を行う閉鎖領域としての実験領域を形成する場合に、育成実験の精度を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による区画装置の一実施の形態の全体を示した斜視図である。
図2図1のA矢視図である。
図3】本発明による閉鎖領域の形成方法の一実施の形態を示した概略図であって、装置本体を砂泥地に搬入した状態を示した概略図である。
図4】装置本体の押込部材にハンマーにより荷重を加えて、装置本体の押込部材に追従して壁部材を砂泥地に押し込んでいる状態を示した概略図である。
図5】装置本体の押込部材の内側に固定部材を挿通させ、固定部材のフック部にハンマーにより荷重を加えて固定部材を砂泥地に押し込んでいる状態を示した概略図である。
図6】装置本体を砂泥地に押し込み、押込部材の上端に旗を取り付けた状態を示した概略図であるである。
図7】従来の閉鎖領域を形成する方法の一例を示した説明図であって、砂泥地を掘削して穴を形成した状態を示した説明図である。
図8】砂泥地に形成した穴内に金網を設置した状態を示した説明図である。
図9】隣接する金網同士を固定金具によって固縛した状態を示した説明図である。
図10】掘削した砂泥を砂泥地の穴内に埋め戻している状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1図6には、本発明の区画装置及び閉鎖領域の形成方法の一実施の形態が示されている。
本実施の形態の区画装置1及び閉鎖領域の形成方法は、例えば、干潟等の砂泥地11の所定の範囲に外領域13から区画された通水可能な閉鎖領域14を形成するのに適用されるものであって、本実施の形態においては、閉鎖領域14を二枚貝等の貝類の育成実験を行う実験領域14として使用している。
【0025】
区画装置1は、図1及び図2に示すように、平面視閉じた形状に形成される複数の壁部材4からなる周壁3と、周壁3の隣接する壁部材4、4間にそれぞれ設けられる押込部材6とからなり、砂泥地11に外領域13から区画された閉鎖領域14としての実験領域14を形成する装置本体2と、装置本体2を砂泥地11に固定する固定部材7とから構成されている。
【0026】
なお、本実施の形態においては、周壁3を4枚の壁部材4を用いて平面視四角形状に形成しているが、図示はしないが、周壁3を3枚以下又は4枚以上の壁部材4を用いて、平面視三角形状、五角形状、六角形状、八角形状等の多角形状に形成してもよい。
【0027】
壁部材4は、砂泥地11に押し込み可能な剛性を有するとともに、通水性を有する多孔性の金網又は薄板からなるものであって、例えば、多孔性を有する鋼製の金網や、多孔性を有する鋼製のエキスパンドメタル、パンチングメタル等の薄板から形成されている。
【0028】
壁部材4としては、実験領域14と外領域13との間での通水を可能とするとともに、貝類が実験領域14から外領域13に流出するのを防止するために、例えば、5〜12mm程度の網目又は開口孔を有するものが用いられる。
【0029】
周壁3の各壁部材4の下端には、先端が尖った形状の板状の刃部5が一体に設けられ、この刃部5によって周壁3の各壁部材4を砂泥地11に押し込み易くしている。
【0030】
本実施の形態においては、刃部5として、底辺の長さが壁部材4の幅と同一寸法、厚さが壁部材4の厚さと同一厚さの二等辺三角形板状のものを用い、この刃部5を表裏面が壁部材4の表裏面と面一となり、かつ頂点が壁部材4の幅方向の中心の延長線上に位置するように、底辺部を壁部材4の下端部に溶接等の接合手段によって一体に接合している。
【0031】
押込部材6は、パイプ状をなすものであって、例えば、鋼管から形成されている。押込部材6は、壁部材4と略同一長さを有するものであって、上端が壁部材4の上端から上方に所定の長さ突出し、下端が壁部材4の下端よりも上方に位置するように、隣接する壁部材4、4間に溶接等の接合手段によって一体に接合されている。
【0032】
なお、押込部材6としては、ハンマー9によって上端を叩いても変形しない剛性のものを用いるのが好ましい。また、押込部材6として、パイプ状のものに限らず中空状のものを用いてもよい。
【0033】
押込部材6を隣接する壁部材4、4間に一体に設けることにより、隣接する壁部材4、4間が押込部材6によって支持された平面視四角形状の閉じた形状の装置本体2が構成され、この装置本体2を砂泥地11の所定の範囲に配置して、各押込部材6の上端をハンマー9で叩くことにより、装置本体2の各押込部材6及び各壁部材4を砂泥地11に押し込むことができる。
【0034】
固定部材7は、鋼製の丸棒等からなるアンカー7であって、押込部材6の内側に挿通可能な太さのものが用いられている。固定部材7の上端には、押込部材6の上端に引っ掛けるための逆U形状のフック部8が設けられている。固定部材7は、上端のフック部8を押込部材6の上端に引っ掛け、この状態で下端が押込部材6の下端から下方に所定の長さ突出するように全長が設定されている。固定部材7を押込部材6の内側に挿通させ、上端のフック部8をハンマー9で叩いて砂泥地11に押し込み、上端のフック部8を押込部材6の上端に引っ掛けることにより、各押込部材6を砂泥地11に固定することができる。
【0035】
上記のように構成した本実施の形態の区画装置1を用いて干潟等の砂泥地11の所定の範囲に外領域13から区画された通水可能な実験領域14を形成するには、まず、図3に示すように、砂泥地11の所定の範囲に区画装置1の装置本体2を搬入し、装置本体2の下端部を人力により砂泥地11に押し込める深さまで押し込む。
【0036】
次に、図4に示すように、装置本体2の各押込部材6の上端をハンマー9で叩いて、装置本体2の各押込部材6を砂泥地11の所定の深さまで押し込み、各押込部材6に追従させて各壁部材4を砂泥地11の所定の深さまで押し込む。この場合、各壁部材4の下端には、先端が尖った形状の刃部5が一体に設けられているので、各壁部材4を各押込部材6の押し込みに追従して、砂泥地11の所定の深さまで容易に押し込むことができる。
【0037】
次に、図5に示すように、各押込部材6の内側に固定部材7をそれぞれ挿通させ、固定部材7の上端のフック部8をハンマー9で叩くことにより固定部材7の下端部を砂泥地11に押し込み、上端のフック部8を押込部材6の上端に引っ掛ける。
【0038】
これにより、図6に示すように、固定部材7を介して各押込部材6を砂泥地11に固定することができ、各押込部材6及び各壁部材4が砂泥地11から浮き上がるのを防止でき、砂泥地11の所定の範囲に区画装置1によって外領域14から区画された平面視四角形状の閉じた形状の実験領域14を形成することができる。
【0039】
そして、実験領域14において、例えば、Hiビーズ(登録商標:石炭灰にセメントと水とを加えて造粒した商品、中国電力株式会社製)を撒いて二枚貝等の貝類の育成実験を行うことにより、Hiビーズの育成環境への影響を調査することができる。
【0040】
なお、各押込部材6の上端に旗10をねじ止め等の手段によって取り付けておくことにより、満潮時に旗10を海水面から上方に突出させることができるので、実験領域14の付近を航行する船舶から実験領域14を保護することができる。
【0041】
上記のように構成した本実施の形態の区画装置1及び閉鎖領域の形成方法にあっては、予め、平面視四角形状の閉じた形状に形成した装置本体2をそのまま現場に搬入して、対象の砂泥地11に押し込むように構成したので、区画装置1を対象の砂泥地11に設置する場合に、砂泥地11を掘削して穴を形成する必要がなくなる。
【0042】
従って、砂泥地11を掘削することによって性状が局所的に変化するようなことはなく、装置本体2の周壁3内側に形成される実験領域14を砂泥地11の本来の性状に保つことができ、実験領域14で行う二枚貝等の貝類の育成実験の精度を大幅に高めることができる。
【0043】
また、予め、装置本体2を平面視四角形状の閉じた形状に形成しているので、現場で装置本体2の隣接する壁部材4、4間を固定金具等によって固縛する作業が不要となり、装置本体2の現場での組み立て作業が不要となる。
【0044】
また、装置本体2を砂泥地11に所定の深さまで押し込む場合に、押込部材6の上端をハンマー9で叩くことにより、押込部材6に追従して壁部材4を砂泥地11の所定の深さまで押し込むことができるので、装置本体2を砂泥地11に押し込む作業に要する時間と手間を削減することができる。
【0045】
また、壁部材4の下端には、先端が尖った形状の刃部5が一体に設けられているので、押込部材6に追従して壁部材4を砂泥地11に押し込む際に、壁部材4を容易に砂泥地11に押し込むことができる。
【0046】
従って、区画装置1の対象の砂泥地11への設置に要する時間と手間を大幅に削減することができる。
【0047】
また、押込部材6の内側に固定部材7を挿通させて、固定部材7の下端部を砂泥地11に押し込み、フック部8を押込部材6の状態に引っ掛けているので、装置本体2が潮流等による荷重によって浮き上がるようなことはなく、装置本体2の周壁3で実験領域14の周囲を囲み続けることができる。
【0048】
また、固定部材7の上端に旗10を取り付けることにより、満潮時に旗10を海面の上方に突出させることができるので、実験領域14の付近を航行する船舶から実験領域14を保護することができる。
【0049】
なお、上記の説明においては、本発明による区画装置1及び閉鎖領域の形成方法を干潟等の砂泥地11に外領域13から区画された実験領域14を形成するのに適用したが、その他の各種の土壌に外領域から区画された閉鎖領域を形成するのに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 区画装置
2 装置本体
3 周壁
4 壁部材
5 刃部
6 押込部材
7 固定部材(アンカー)
8 フック部
9 ハンマー
10 旗
11 砂泥地
12 砂泥
13 外領域
14 閉鎖領域(実験領域)
15 穴
16 金網
17 固定金具
18 周壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10