(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る表示装置について、図を参照しながら説明する。
【0011】
表示装置10は、例えば自動車用計器パネルに採用されるものである。表示装置10は、
図1(a)、(b)、
図2に示すように、意匠部21を備える文字盤20と、基板30と、基板30上に実装された光源40G、40Wと、光源40G、40Wから入射した光によって面状発光する導光体50と、導光体50を収容するケース60と、光源40G、40Wの光軸上に配置された遮光部材61と、を備える。
【0012】
文字盤20は、意匠部21、運転速度表示部22など、複数の表示部を備え、自動車の各種情報を搭乗者に表示する。文字盤20は、透明なポリカーボネートなど、透光性材料の薄板から構成されるが、透光性材料に限定されず、スモーク材を用いてもよい。意匠部21は、この例では、背後に位置する導光体50により透過照明される領域であり、意匠部21は透明なまま残し、意匠部21以外の部分に不透光性を有する着色層を設けることにより形成される。
【0013】
基板30は、光源40G、40Wに発光用の電力を供給するための配線パターンが設けられたプリント基板であり、光源40G、光源40W、光源40Gおよび40Wの点灯、消灯などを制御するIC(Intergrated Circuit)などが実装されている。
【0014】
図2、
図3に拡大して示すように、2つの光源40G、40Wは、角形チップ状のLED(Light Emitting Diode)から構成され、基板30上に実装される。光源40G、40Wの主な発光方向は、基板30の実装面に垂直な方向(光軸方向)であり、光源40G、40Wは、光軸を中心として、所定の出射角度で放射状に光を出射する。光軸方向に出射した光が最も強い光となる。なお、本実施の形態では、光源40Gが緑色光源であり、光源40Wが白色光源であるものとするが、他の色の光源を配置してもよい。
【0015】
ケース60は、ポリエチレン、ポリカーボネートなどの樹脂製の材料から構成され、基板30上に、光源40G、40Wを内包するように配置される。
【0016】
光源40G、40Wの光軸上には、ケース60と同じ樹脂製の材料で、角柱状の遮光部材61が配置されている。遮光部材61は、光源40G、40Wから出射した光軸付近の光の一部を遮光する。本実施形態では、1本の遮光部材61が光源40G、40Wの光軸上に設けられている。ケース60と遮光部材61とは、例えば射出成型により一体的に形成されている。遮光部材61の詳細は後述する。
【0017】
導光体50は、無色透明のアクリル樹脂などから構成され、例えば射出成型によって所定の形状に形成される。なお、導光体50は、無色透明でなくとも良く、光拡散材であっても良い。導光体50は、文字盤20と基板30とケース60とで形成される空間S内に収容されており、例えば、接着剤によってケース60の段差62に一部を当接して固定される。なお、接着剤による固定でなくともよく、フックによる固定でもよい。
【0018】
導光体50は、
図1(a)に示すように、表示装置10の表示面に垂直な方向から見て、少なくとも文字盤20の意匠部21を内包するような形状を有する。また、
図2、
図3に示すように、導光体50は、その一部が光源40G、40Wに向かって延びるような形状を有しており、その端部に、光源40G、40Wの光軸に垂直な受光面部51を有する。
【0019】
導光体50がケース60内に収容された状態において、光源40G、40Wから出射された光は、光源40G、40Wから直接、または、一旦ケース60の内面で散乱した後、受光面部51から導光体50に入射する。
【0020】
なお、本実施の形態では光源40G、40W間の距離、光源40G、40Wの出射角度などに起因して、受光面部51に、光源40G、40Wの直接光がともに到達する領域と、光源40Gの直接光のみが到達する領域と、光源40Wの直接光のみが到達する領域が生じているものとして説明する。
【0021】
導光体50の表面の一部には、シボ加工が施されており、導光体50の内部を通過する光は、シボ加工が施されている面に到達すると様々な方向に拡散される。これによって、導光体50が面状に発光する。なお、シボ加工は、導光体50、意匠部21などの形状、寸法などを考慮し、最も効率よく意匠部21を発光表示できるように施される。
【0022】
本実施の形態に係る表示装置10は、光源40G、40Wと導光体50の間に設けられた遮光部材61に大きな特徴がある。そこで、遮光部材61の機能について、
図4、
図5を参照しつつ、遮光部材が設けられていない表示装置100と比較しながら説明する。
【0023】
まず、表示装置100について説明する。基板30からの電流の供給を受けると、光源40G、40Wは、主に導光体50の受光面部51に向けて、所定の出射角度θで放射状に光を出射する。なお、理解を容易にするため、光源40Gからの直接光による受光面部51の照度と、光源40Wからの直接光による受光面部51の照度とが概ね等しいものとする。
【0024】
このとき、受光面部51における領域Oには、
図4(a)、(b)に示すように、光源40Gからは、直接光Lg1と、ケース60の内面で反射された間接光Lgoとが届き、光源40Wからは、直接光Lw1とケース60の内面で反射した間接光Lwoと、が届く。
【0025】
間接光Lgoによる領域Oの照度と間接光Lwoによる領域Oの照度とは概ね等しく、直接光Lg1による領域Oの照度と直接光Lw1による領域Oの照度とは概ね等しい。このため、光源40G、40Wから領域Oに到達した光は、概ね等しい照度で均一に混ざり合った状態で領域Oに入射し、導光体50の内部を透過する。
【0026】
領域Mには、光源40Gからは、照度Ig2の直接光Lg2と、照度Igmの間接光Lgmと、が到達する。一方、光源40Wからは、直接光は届かず、照度Iwmの間接光Lwmのみが到達する。
【0027】
ここで、間接光Lwmは、ケース60に衝突した反射光であるため、光源40Gからの直接光Lg2と比較して、非常に弱い。すなわち、Ig2>>Iwmである。このため、領域Mにおける緑色光による照度と白色光による照度とを比較すると、Ig2+Igm>>Iwmとなる。従って、領域Mに到達する光は、ほぼ緑色のまま導光体50に入射し、その内部を透過する。
【0028】
領域Nには、光源40Wからは、照度Iw2の直接光Lw2と、照度Iwnの間接光Lwnと、が到達する。一方、光源40Gからは、直接光は届かず、照度Ignの間接光Lgnのみが到達する。
【0029】
ここで、間接光Lgnは、ケース60で反射した光であるため、光源40Wからの直接光Lw2と比較して、非常に弱い。すなわち、Iw2>>Ignである。このため、領域Nにおける緑色光の照度と白色光の照度とを比較すると、Iw2+Iwn>>Ignとなる。従って、領域Nに到達する光は、ほぼ白色のまま導光体50に入射し、その内部を透過する。
【0030】
このように、遮光部材が設けられていない表示装置100の構成では、光源40G、40Wから受光面部51に到達する光の色が、受光面部51の領域によって異なってしまう。このため、導光体50が面状発光する際、色ムラが生じてしまい、結果として、意匠部21にも色ムラが発生してしまう。
【0031】
一方、本実施の形態に係る表示装置10は、遮光部材61を備える。表示装置10に、前述と同様に光源40G、40Wからそれぞれ光を出射させると、
図5(a)、(b)に示すように、光源40G、40Wからの直接光Lg1、Lg2、Lw1、Lw2の一部は、遮光部材61によって遮光される。このため、これらの光による受光面部51の照度は低減される。
【0032】
領域Oにおいて、直接光Lg1と直接光Lw1とは、遮光部材61によって概ね同程度に弱められる。このため、遮光部材61を設けたとしても、領域O内で色ムラが生じることはない。
【0033】
また、領域Mには、間接光Lgmと、間接光Lwmと、直接光Lg2と、が到達する。直接光Lg2は、遮光部材61によって弱められているため、領域Mに入射する光の色は、表示装置100と比較して、領域Oに入射する光の色により近くなる。
【0034】
同様に、領域Nには、間接光Lgnと、間接光Lwnと、直接光Lw2と、が到達する。直接光Lw2は、遮光部材61によって弱められているため、領域Nに入射する光の色は、表示装置100と比較して、領域Oに入射する光の色により近くなる。
【0035】
このように、遮光部材61を設けた表示装置10では、受光面部51に入射する光の色のばらつきが小さい。このため、表示装置100と比較して、より色ムラの少ない光を導光体50に供給できる。このため、導光体50の面状発光の色ムラを低減できる。すなわち、導光体50に透過照明された意匠部21の色ムラを低減できる。
【0036】
なお、遮光部材61による効果は、
図5(b)に示す、遮光部材61の幅Dに大きく依存する。すなわち、幅Dを広げると、意匠部21の色ムラをより低減できるが、導光体50による意匠部21の照度が低下する。また、幅Dを狭くすると、導光体50による意匠部21の照度は高くなるが、色ムラが生じやすくなる。このように両者はトレードオフの関係にある。このため、遮光部材61の寸法などは、意匠部21、導光体50などの形状寸法、光源40G、40Wの発光輝度などを考慮し、意匠部21の色むらの度合い、輝度などが最適となるように定められる。
【0037】
なお、遮光部材61の材料の遮光率(透過率)、光の散乱の程度等についても同様である。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形および応用が可能である。
【0039】
上記実施の形態において、1本の遮光部材61を光源40G、40Wの光軸上に設けた例によって説明したが、これに限られず、例えば、
図6(a)、(b)に示すように、2本の遮光部材61を光源40G、40Wのそれぞれの光軸上に設けてもよい。
【0040】
上記実施の形態では、遮光部材61の形状が角柱状である例によって説明したが、これに限られず、例えば円柱状であってもよい。
【0041】
さらに、遮光部材61に、遮光だけでなく、光を拡散させる機能をもたせてもよい。例えば、遮光部材61に光透過性を持たせ、多角柱状、円柱状等とし、透過した光が屈折により、拡散するようにしてもよい。また、光源40G、40Wの光軸上に凹レンズを配置してもよい。
【0042】
上記実施の形態において、光を有効に活用するため、遮光部材61の、光源40G、40Wに対向する面、側面等に鏡面加工を施してもよい。鏡面加工の方法としては、例えば真空蒸着によって金属薄膜を形成する方法が挙げられる。
【0043】
遮光部材61の表面部にシボ加工など、表面を荒らす加工を施してもよい。これによって、光源40G、40Wから出射する光がより効率良く散乱する。
【0044】
ケース60の内面の全部又は一部に鏡面加工を施してもよい。鏡面加工の方法としては、例えば真空蒸着によって金属薄膜を形成する方法が挙げられる。これにより、導光体50の受光面部51に入射する光の量を多くできる。
【0045】
ケース60の内面部および/または文字盤20の裏面部の一部にシボ加工など、表面を荒らす加工を施してもよい。これによって、光源40G、40Wから出射する光がより効率良く散乱する。
【0046】
光源40G、40Wから入射した光をより効率良く反射するために、ケース60の内面に白色塗料などを塗布してもよい。また、これに限らず、例えば、白色の樹脂を採用してもよい。
【0047】
上記実施の形態では、2つの光源40G、40Wが基板30上に実装された例によって説明したが、これに限られず、
図7に例示するように、3つの光源40を配置してもよいし、光源を4つ以上配置してもよい。