(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記姿勢情報は、前記撮像手段を基準とした互いに直交するx軸、y軸及びz軸を含むローカル座標と、互いに直交するX軸、Y軸及び鉛直方向のZ軸を含むグローバル座標との間の回転変位量を表す情報であって、
前記補正量算出部は、前記姿勢情報に基づいて前記全天球フレームデータの座標を、前記グローバル座標に補正するためのグローバル座標補正量を補正量データとして作成し、前記グローバル座標補正量は、全天球フレームデータの鉛直方向に対する傾きを補正し、鉛直方向軸周りの回転に対しては揺れの高周波成分のみを補正する補正量である、
請求項2に記載の全天球撮影システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、全天球撮影画像をグローバル座標に変換することで、鉛直方向に対する傾きを補正した変換画像を作成している。しかしながら、鉛直方向に対する傾きを補正するのみでは、水平方向の回転(鉛直方向の軸周りの回転)が補正されず、視認性に欠ける画像となる。たとえば、撮像装置をユーザーの頭部に装着して自転車に乗りながら動画撮影を行なうような場合、鉛直方向に対する傾きは補正されるが、水平方向の回転揺れが残ってしまうため、視認性に欠ける動画となる。
【0007】
本発明の目的は、視認性を高めつつ、臨場感に溢れる全天球画像を作成できる全天球撮影システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る全天球撮影システムは、
画像データを出力する複数の撮像手段と、
前記複数の撮像手段の少なくとも1の撮像手段の姿勢情報を検出する姿勢検出手段と、
前記画像データを前記姿勢検出手段により出力された前記姿勢情報に基づいて座標変換した全天球画像を生成する制御手段と、
を具え、
前記制御手段は、前記画像データについて、グローバル座標における鉛直方向に対する傾き補正と、グローバル座標における水平面内での揺れは微小揺れ成分を除いた補正による座標変換を行なって全天球画像を生成する。
【0009】
前記複数の撮像手段によって撮影された画像データから全天球フレームデータを作成する画像合成部と、
前記姿勢検出手段から前記少なくとも1の撮像手段の姿勢情報に基づいて、前記全天球フレームデータの座標を変換する補正量データを作成する補正量算出部と、
前記全天球フレームデータと前記補正量データを関連付けて全天球画像を得る関連付け手段と、
を具え、
前記補正量算出部は、前記全天球フレームデータについて、グローバル座標における鉛直方向に対する傾き補正と、グローバル座標における水平面内での揺れは微小揺れ成分を除いた補正を行なう補正量データを作成する構成とすることができる。
【0010】
前記姿勢情報は、前記撮像手段を基準とした互いに直交するx軸、y軸及びz軸を含むローカル座標と、互いに直交するX軸、Y軸及び鉛直方向のZ軸を含むグローバル座標との間の回転変位量を表す情報であって、
前記補正量算出部は、前記姿勢情報に基づいて前記全天球フレームデータの座標を、前記グローバル座標に補正するためのグローバル座標補正量を補正量データとして作成し、前記グローバル座標補正量は、全天球フレームデータの鉛直方向に対する傾きを補正し、鉛直方向軸周りの回転に対しては揺れの高周波成分のみを補正する補正量とすることができる。
【0011】
前記関連付け手段は、前記補正量データを前記全天球フレームデータのヘッダ情報として関連付けることができる。
【0012】
前記撮像手段は、動画像を撮影し、
前記補正量算出部は、前記姿勢検出手段から入力される1フレーム前の全天球フレームデータの姿勢情報に基づいて補正量データを作成することができる。
【0013】
また、本発明の全天球撮影システムは、
複数の撮像手段と、
前記複数の撮像手段の少なくとも1の撮像手段の姿勢情報を検出する姿勢検出手段と、
前記複数の撮像手段の出力である画像データと、
前記姿勢検出手段の出力である姿勢検出信号に基づいて画像信号を生成して表示する制御手段と、
を具え、
互いに直交するX軸、Y軸及び鉛直方向のZ軸を含むグローバル座標に対し、
前記複数の撮像手段をX軸方向に第1の角度だけ回転して撮影することにより生成した第1の画像信号、
前記複数の撮像手段をY軸方向に前記第1の角度だけ回転して撮影することにより生成した第2の画像信号、
前記複数の撮像手段をZ軸方向に前記第1の角度だけ回転して撮影することにより生成した第3の画像信号、
から前記制御手段で画像信号を生成して表示したとき、
前記制御手段は、前記第1の画像信号及び第2の画像信号は略回転動きのない画像を表示し、前記第3の画像信号は略前記第1の角度の回転動きのある画像を表示する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の全天球撮影システムによれば、画像データから作成される全天球画像は、鉛直方向が補正されていることは勿論、撮像手段の水平面内の回転に追従するから臨場感に溢れ、水平面内における微小な振動である手振れも補正されているから視認性にもすぐれる画像とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の全天球撮影システム10について、図面を参照しながら説明を行なう。
【0017】
本発明は、全天球(全方位)を撮像し、得られた画像を全天球フレームデータに変換して全天球画像を得る全天球撮影システム10において、撮像装置20の姿勢に関わらず、作成される全天球画像を鉛直方向に合わせて変換すると共に、水平方向については撮像装置20の姿勢に合わせて回転方向に追従した補正を行ないつつ、水平方向の全天球画像のぶれ(手振れ)を小さくする揺れ補正を行なうものである。これにより、臨場感に富みつつ、視認性の高い全天球画像を提供するものである。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態を示す全天球撮影システム10のブロック図、
図2は、撮像装置20の外観概略図である。なお、
図1は、本発明を判り易く説明するために、本発明に関連する機能ブロックのみを描いているが、これらは、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリーなどのメモリー、バッファ、これらに記録された各種プログラム等の連繋によって実現することができる。これら機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウエアのみ又はこれらの組合せによって実現可能であり、これら機能どうしは無線、有線によって通信可能に接続できることは当然理解されるべきである。また、これら機能は、1の装置によって実現することもできるし、たとえば撮像と表示など複数の機能を複数の装置によって個別に実現したシステムとすることもできる。
【0019】
全天球撮影システム10は、撮像手段として、1又は複数のイメージセンサー22,22(撮像素子)を具える。イメージセンサー22,22は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーであって、光学レンズ24,24が装着される。光学レンズ24は、広角レンズや超広角レンズ、又は、複数のレンズ群から構成することができ、イメージセンサー22,22によって全天球の画像データの取得が可能となっている。
【0020】
たとえば、イメージセンサー22,22が2つの場合、光学レンズ24,24は、180°以上の画角を撮影できる広角レンズまたは超広角レンズを採用し、
図2に示すように、イメージセンサー22,22は、撮像装置20の正面側と背面側が撮影可能になるように配置する。
【0021】
イメージセンサー22,22から逐次出力される画像データは、制御手段11に送信される。制御手段11は、たとえば、
図1に示すように、画像合成部30、姿勢算出部50、補正量算出部60、関連付け手段70、メモリー80及び表示機器82を含む構成とすることができる。
【0022】
イメージセンサー22,22から出力された画像データは、画像合成部30に送信され、順次歪み補正及び合成を行なうことで、全天球フレームデータが作成される。たとえば、画像合成部30は、得られた画像データの歪み補正を行なって、正距円筒画像からなる全天球フレームデータを作成する。作成された全天球フレームデータは、後述する関連付け手段70に送信される。
【0023】
一方、撮像装置20の姿勢情報、すなわち、撮像装置20のグローバル座標に対する傾きや回転は、姿勢検出手段40によって所定のサンプリング周期で検出され、姿勢算出部50にて演算される。
【0024】
たとえば、姿勢検出手段40は、
図1に示すように、角速度センサー42と加速度センサー44とすることができる。また、姿勢検出手段40は、これらセンサーと共に、方位センサーを含む構成としてもよい。
【0025】
姿勢情報として、
図3に示すように、撮像装置20を基準とした互いに直交するx軸、y軸及びz軸を含むローカル座標と、互いに直交するX軸、Y軸及び鉛直方向のZ軸を含むグローバル座標との関係で例示することができる。ローカル座標のy軸は、何れか1のイメージセンサー22の光軸に一致するよう設定し、ローカル座標の原点は、イメージセンサー22,22間の中央に設定している。なお、
図3中、Z軸は、グローバル座標の鉛直方向(重力方向)を示している。
【0026】
姿勢検出手段40として、角速度センサー42と加速度センサー44を採用した場合、
図3に示すように、撮像装置20のx軸、y軸及びz軸に対し、角速度センサー42からは、撮像装置20のローカル座標の各軸周りの回転角速度(gx,gy,gz)が出力され、加速度センサー44からは、重力加速度を撮像装置20のローカル座標の各軸方向に分解した各軸方向の重力加速度成分(ax,ay,az)が出力される。
【0027】
姿勢算出部50は、センサー42,44から得られた出力(回転角速度と重力加速度成分)に基づいて、撮像装置20の姿勢情報を算出する。姿勢情報は、たとえば、グローバル座標上での撮像装置20の姿勢を表わすクオータニオン(四元数)を用いて表現することができる。クオータニオンqは、4変数q
0,q
1,q
2,q
3と基底ベクトルi,j,kを用いて以下で定義することができる。
【0028】
q=q
0+q
1i+q
2j+q
3k
i
2=j
2=k
2=ijk=−1
ij=−ji=k,jk=−kj=i,ki=−ik=j
【0029】
ここで、クオータニオンqの4変数q
0,q
1,q
2,q
3は次式で与えることができる。
q
0=cos(θ/2)
q
1=nx・sin(θ/2)
q
2=ny・sin(θ/2)
q
3=nz・sin(θ/2)
nx
2+ny
2+nz
2=1
【0030】
なお、上記式中、nx、ny、nzは、
図4に示すように、グローバル座標上での方向ベクトル(nx,ny,nz)であり、θは、方向ベクトル周りの回転角を表わしている。
【0031】
このとき、ローカル座標上での撮像装置20の姿勢ベクトルpとグローバル座標上での姿勢ベクトルPの関係は、次式で定義される。
P=R・p
ここで、Rは3×3の回転行列であり、クオータニオンqから次式で算出される。
【0033】
撮像装置20の1つのイメージセンサーの光軸方向をローカル座標系のy軸方向に設定すると、撮像装置20の光軸方向ベクトルはp=[0,1,0]
Tで表される。このとき、撮像装置20の姿勢クオータニオンをqcとすると、撮像装置のグローバル座標系における姿勢ベクトルPは次式で算出されることになる。
P=Rc・p
【0034】
これにより、撮像装置20のローカル座標(x,y,z)の姿勢角度(傾きと回転角度)は、グローバル座標(X,Y,Z)で定義される。角速度センサー42及び加速度センサー44の出力から撮像装置20のクオータニオンqcを算出する手法は、種々の方法を採用できる。また、姿勢情報は、クオータニオンqc以外で算出しても構わない。
【0035】
姿勢算出部50にて算出された撮像装置20の姿勢情報(クオータニオンqc)は、補正量算出部60に送信される。補正量算出部60は、全天球フレームデータの座標をグローバル座標に補正する補正量(クオータニオンqs)を算出する。ここで算出される補正量は、撮像装置20の鉛直方向を示すZ軸に対する傾きは完全に補正し、鉛直方向を示すZ軸周り、すなわち、グローバル座標における水平面内での揺れに対しては、微小揺れ成分を除いた補正を行なうための補正量データを作成する手段である。
【0036】
補正量算出部60は、たとえば、
図1に示すように、遅延保持部61、回転角度抽出部62、ローパスフィルター63、座標変換部64及び座標乗算部65から構成することができる。
【0037】
補正量算出部60に入力された姿勢情報は、座標乗算部65に送信されると共に、遅延保持部61に送信される。
【0038】
遅延保持部61は、入力された座標情報について、前サンプリング時間t−1のクオータニオンqc(t−1)を保持する。
【0039】
そして、回転角度抽出部62は、クオータニオンqc(t−1)から、グローバル座標のZ軸周りの回転角度θ
Zを算出する。たとえば、回転角度θ
Zは、クオータニオンqc(t−1)をオイラー角R
zxyに変換し、得られたオイラー角R
zxyから算出することができる。
【0040】
図5(a)は、算出された回転角度θ
Zの波形Wの一例を示している。
図5(a)を参照すると、回転角度θ
Zは、低周波成分に高周波成分が重畳した波形であることがわかる。このような波形Wは、たとえば、ユーザーが撮像装置20を頭部に取り付けて、自転車に乗りながら撮影を行なうような場合、自転車の進行方向を変えたりユーザーが頭部を水平面内で動かした場合に検出される。
【0041】
波形W中の高周波成分は、撮像装置20のグローバル座標における水平面内での微小な振動、すなわち、手振れや振動などのユーザーが意図していない微小揺れ成分である。
【0042】
一方、波形W中の低周波成分は、撮像装置20自体の向きを変えたときに検出される。すなわち、上記例において、ユーザーが自転車の進行方向を変えたり頭部を水平面内で動かした場合に検出される意図的な向きの変化を意味する。
【0043】
本発明では、臨場感を保持するために、撮像装置20の向きに追従すべく低周波成分の揺れを残し、視認性の低下を招く高周波成分の揺れを除去することで、Z軸周りの座標補正を行なう。
【0044】
具体的には、回転角度抽出部62で算出された回転角度θ
Zをローパスフィルター63に通して高周波成分を除去し、低周波成分のみとした回転角度θ
Z_lpfを作成する。
図5(b)にローパスフィルター63を通過して得られた回転角度θ
Z_lpfの波形を示す。
【0045】
回転角度θ
Z_lpfの波形wには、手振れ等の高周波成分が除去されているから、回転角度θ
Z_lpfは、撮像装置20の意図的な向きの変化のみを含むZ軸周りの姿勢量となる。
【0046】
座標変換部64は、得られた回転角度θ
Z_lpfから、撮像装置20のZ軸周りの回転量を減衰させる減衰量を算出する。たとえば、次式で示すように、回転角度θ
Z_lpfの符号を反転してクオータニオンを算出する。このクオータニオンをセンタリングクオータニオンqdと称する。
qd
0=cos(−θ
z_lpf/2)
qd
1=0
qd
2=0
qd
3=sin(−θ
z_lpf/2)
【0047】
そして、上記回転角度θ
Z_lpfを反映したセンタリングクオータニオンqdを、撮像装置20の姿勢情報となるグローバル座標補正量(クオータニオンqc(t))に適用することで、グローバル座標の水平面内における微小な振動、すなわち、手振れを抑えつつ、撮像装置20の向きに追従した姿勢情報の補正量データを得ることができる。
【0048】
上記演算は、座標乗算部65にて実施する。座標乗算部65は、現サンプリング時間tのグローバル座標補正量(クオータニオンqc(t))に算出されたセンタリングクオータニオンqdを乗算し、全天球画像に適用される補正量データとなる姿勢補正量クオータニオンqsを算出する。
qs=qd*qc(t)
ここで、*はクオータニオン乗算を表し、各要素を用いて次式で定義される。
qs
0=qd
0・qc
0−qd
1・qc
1−qd
2・qc
2−qd
3・qc
3
qs
1=qd
0・qc
1+qd
1・qc
0+qd
2・qc
3−qd
3・qc
2
qs
2=qd
0・qc
2−qd
1・qc
3+qd
2・qc
0+qd
3・qc
1
qs
3=qd
0・qc
3+qd
1・qc
2−qd
2・qc
1+qd
3・qc
0
【0049】
得られた補正量データ(姿勢補正量クオータニオンqs)は、関連付け手段70に送信される。
【0050】
関連付け手段70では、画像合成部30で作成された現サンプリング時間tにおける全天球フレームデータと、補正量データの関連づけを行なう。補正量データは、本実施形態では、上記のとおり、現サンプリング時間tにおけるグローバル座標補正量を前サンプリング時間t−1におけるセンタリングクオータニオンqdで補正した姿勢補正量クオータニオンqsである。関連付け手段70は、たとえば、全天球フレームデータのヘッダ情報に補正量データを書き込むことでこれらの関連付けを行なうことができる。この関連付けによって作成された画像を全天球画像と称する。
【0051】
得られた全天球画像は、
図1に示すように、メモリー80などの記録媒体や外部ストレージに転送されて記憶することができる。また、全天球画像をスルー画像として直接表示機器82に表示することもできる。
【0052】
表示機器82として、たとえば、デジタルカメラやスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型電子機器、モニターなどを例示できる。この場合、表示機器82は、再生表示用のソフトやアプリケーションをインストールしておき、全天球画像のヘッダ情報から補正量データを読み出し、全天球フレームデータに補正量データを適用して、グローバル座標に変換する共ともに、水平面内での補正を行なって、全天球画像の表示を行なえばよい。
【0053】
図6は、全天球フレームデータに補正量データを適用して得られる全天球画像の一例を示している。なお、
図6では、本発明をより判り易く説明するために、時系列的に連続する2つの撮影画像、全天球フレームデータを重ねて表示している。
【0054】
図6(a)及び
図6(b)は、イメージセンサー22,22によって夫々取得された画像データを示している。図に示すように、時系列的に連続する2つの撮影画像は、手振れによって被写体90が振れていることがわかる。
【0055】
画像合成部30は、これら画像データに歪み補正と合成を行ない、
図6(c)に示すような正距円筒画像の如き全天球フレームデータを作成する。
図6(c)では、
図6(a)が中心となるように全天球フレームデータを作成している。図を参照すると、撮影画像の振れに伴い、全天球フレームデータ中の被写体90も振れていることがわかる。また、撮像装置20の傾きにより、全天球フレームデータの水平線92が傾斜している。
【0056】
そして、得られた全天球フレームデータに補正量データを適用し、撮像装置20のローカル座標をグローバル座標補正量に基づいて鉛直方向に対する傾きを補正する(参考
図6(d))と共に、鉛直方向について微小な振れを除去しつつ(参考
図6(e))、撮像装置20のy軸方向を中心とする変換を施すことで、
図6(f)に示すような全天球画像が作成される。
図6(f)に示すように、得られた全天球画像は、全天球フレームデータ(
図6(c))に対して、水平線92の傾斜の補正、撮像装置20のy軸方向を中心とする水平面内の回転補正、及び、水平面内における高周波成分の揺れの補正が行なわれていることがわかる。
【0057】
その結果、得られた全天球画像は、鉛直方向が補正されていることは勿論、撮像装置20の水平面内の比較的周波数の小さい大きな揺れ(回転)には追従するから臨場感に溢れ、水平面内における手振れ等の微小な揺れは補正されているからから視認性にもすぐれる画像となる。
【0058】
なお、必要に応じて、
図6(f)中一点鎖線で示すように、作成された全天球画像の所定範囲を切り出した画像に加工することもできる。
【0059】
上記では変換の手順をわかりやすくするために、
図6(c)〜
図6(e)を含めているが、実際には、
図6(c)に示す全天球フレームデータに補正量データを適用することで、
図6(f)に示す全天球画像が直接作成される。
【0060】
すなわち、本発明では、撮像手段20の姿勢の如何に拘わらず、撮像手段20がグローバル座標に対して水平面内での回転となるZ軸に対する回転に追従するが、水平面内以外の回転であるX軸方向、Y軸方向の回転には追従しないようにしている。従って、撮像手段20をX軸方向やY軸方向に所定角度(第1の角度)だけ回転して撮影して得られた第1の画像信号、第2の画像信号を表示機器にて表示したときには、水平面内では殆んど回転しないものとなる一方、撮像手段20をZ軸に所定角度(第1の角度)だけ回転して撮影して得られた第3の画像信号は、その回転に追従して略所定角度の回転動きのある画像とすることができる。これら第1乃至第3の画像信号を切り出した画像についても同様である。
【0061】
<補正量算出のその他の方法>
上記実施形態では、一旦姿勢クオータニオンqをオイラー角R
zxyに変換し、Z軸周りの回転量θzを算出し、再度センタリングクオータニオンqdを算出しているが、姿勢クオータニオンqcから直接センタリングクオータニオンqdを算出しても構わない。例えば、姿勢クオータニオンqcの成分において、Z軸周りの回転を表す成分q
zを
q
z=qc
02+qc
32
で定義すると、q
zが1に近い場合は、Z軸周りの回転が支配的になる。このとき、センタリングクオータニオンqdを
qd
0=−k・q
z・q
0
qd
1=0
qd
2=0
qd
3=(1−qd
02)
1/2
kは減衰係数(0<k<1)
としてセンタリングクオータニオンを算出しても構わない。
【0062】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。