(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
無線LANでは、2.4GHz帯に加えて5GHz帯も使用可能となり、より高速にデータを通信できるようになっている。また、2.4GHz帯、5GHz帯とも、2つのチャネルを用いて広帯域の通信が行えるようになってきている(チャネル・ボンディング)。5GHz帯では、5.15〜5.35GHzを使うチャネル36ch、40ch、44ch、48ch(W52と総称される)、チャネル52ch、56ch、60ch、62ch(W53と総称される)と、5.475〜5.725GHzを使うチャネル100ch、104ch、108ch、112ch、116ch、120ch、124ch、128ch、132ch、136ch、140ch(W56と総称される)がある。W52、W53は屋内のみで使用でき、W56は屋内・屋外の双方で使用することができる。
【0003】
ところで、5GHz帯のW53及びW56では、気象レーダ、船舶レーダといったレーダ波の周波数領域と重なることがある。このため、無線LAN通信機器が使用しているチャネルでレーダ波を検出すると(以下、「レーダを検波する」という)、電波の送出を停止し、レーダ波であることが明らかになった場合には、他のチャンネルに移動する機能(Dynamic Frequency Selection(以下DFSと略称する))の搭載が、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11hにて義務づけられている。
【0004】
このDFSでは、チャネルを移動した後も、1分間そのチャネルでレーダが検波されないか監視する必要があり、移動先のチャネルが使用できるチャネルであっても、レーダ波を検知してからチャネルを移動し、通信が再開できるまでに1分以上の時間がかかってしまう。このような通信の中断は、例えば走行する車両の監視等リアルタイム性が必要な場合には、大きな問題となってしまう。
【0005】
DFS機能を備えた無線LANアクセスシステムとしては、特許文献1に記載したものが知られている。特許文献1では、レーダを検波したチャネルをレーダ検出チャネル管理テーブルに登録することにより、レーダの検波が登録されていないチャネルを選択して通信を行う技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載の無線LANシステムでは、チャネルを決定する場合に、単にレーダの検出がされていないチャネルから選ぶということのみ記載されており、どのようにチャネルを選ぶかについて特に開示はされていない。また、一度レーダを検波したチャネルでも、レーダ検波から30分経過した後、そのチャネルでレーダが検波されなくなっておれば、そのチャネルの運用は認められる。そのため、単にレーダ波の検出があっただけでなく、レーダの検波あってからの経過時間も管理しなければならず、処理が複雑化する問題点があった。
【0008】
本発明の課題は、通信するチャネルの決定を容易に行え、また、チャネルを管理する処理の簡略化を図れる無線LAN通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の無線LAN通信機器は、DFS機能を有した無線LAN通信機器において、5GHz帯で通信が可能な無線LAN通信部と、記憶部と、制御部を備えている。前記制御部は、下記の動作を実行するようことを特徴とする。前記無線LAN通信部のドライバを動作させ、各チャネルについてレーダ波の有無を検出させ、チャネルステータステーブルを生成し、前記チャネルステータステーブルを前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶されたチャネルステータステーブルから、レーダ波が検出されていない第1のチャネルのリストを作成し、第1のチャネルリストを前記ドライバに出力し、第1のチャネルリストに基づいて無線LAN通信部が通信を行うチャネルを決定させ通信を開始させる。
【0010】
この発明の無線LAN通信機器では、無線ドライバは、制御部より第1のチャネルリストを受け取り、第1のチャネルリストの順に通信チャネルを決定すればよいので、チャネルの探索の処理が簡略化される。また、第1のチャネルリストには、レーダが検波されなかったチャネルのみ記載されるので、レーダ検波からの経過時間を管理する必要がなくなる。
【0011】
また、この発明の無線LAN通信機器は、前記制御部は、前記記憶部に記憶されたチャネルステータステーブルより、レーダが検波されたチャネルのリストである第2のチャネルリストを作成し、第1のチャネルリストの最後尾に第2のチャネルリストを結合して前記ドライバに出力し、第1のチャネルリストに含まれるチャネル全てでレーダ波を検出した場合には、前記記憶部に記憶された前記チャネルステータステーブルの全チャネルのステータスをレーダ検波なしとし、前記ドライバに第2のチャネルリストに含まれるチャネルで通信を試行させることを特徴とする。
【0012】
この発明の無線LAN通信機器は、第1のチャネルリストの全てのチャネルでレーダを検波した場合に、第2のチャネルリストで試行し、レーダを検波しないチャネルを使用して通信する。第2のチャネルリストに含まれるチャネルでは一旦レーダが検波されているが、レーダを検波してから30分が経過し現在は運用可能なチャネルが含まれる可能性がある。
【0013】
さらに、この発明の無線LAN通信機器は、前記無線LAN通信部は2.4GHz帯の通信も可能であり、前記制御部は、第1のチャネルリスト及び第2のチャネルリストに含まれる全てのチャネルにおいてレーダ波を検出した場合には、2.4GHz帯の所定のチャネルで通信を行うこができる。すなわち、この発明の無線LAN通信機器は、5GHz帯の全てのチャネルでレーダを検波した場合には、レーダの影響を受けない2.4GHz帯のチャネルを用いて通信を行うことができる。
【0014】
さらに、この発明の無線LAN通信機器は、前記チャネルステータステーブルは不揮発性のメモリに記憶させるため、電源がオフしてもチャネルステータステーブルが保存される。電源オン後に、新たにチャネルステータステーブルを生成する必要がなく、速やかに通信を開始することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を
図1〜
図9を参照しながら以下に説明する。この実施の形態では、屋外で主に使用される車両に取り付けられる無線LAN通信機器を例に挙げて説明する。無線LAN通信機器1は、無線LAN通信部2、制御部3を備えている。無線LAN通信部2はPCI(Peripheral Component Interconnect)バス12で制御部3に接続され、制御部3の制御に基づき、IEEE802.11の規格に準拠したインフラストラクチャーモードのアクセスポイントとして動作する。無線LAN通信部2には、ステーションとして例えばノート型パーソナルコンピュータPCが接続するが、ノート型パーソナルコンピュータPCに代えて、スマートフォンやダブレッと通信することも可能である。なお、2aは、無線LAN通信部用のアンテナである。
【0017】
制御部3は、SOC(Sytem On Chip)から構成され、CPUコア3a、PCIインターフェース(I/F)3b、CAN(Control Area Network)I/F3c等の各種I/Fがひとつのチップの上に形成されている。CANI/F3cは、車両内の図示しないECU(Engine Control Unit)等とCANバス11により接続され、CANバス11上のデータを受信し外部のPCに送信する、また、外部のPCからのコマンドやデータをCAN11バスに送信することができる。
【0018】
制御部3には、記憶装置として、DDRSDRAM(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access memory)4、フラッシュメモリ5、eMMC(Embeded Multi Media Card)6が接続されている。DDRSDRAM4は、制御部3のワークエリアとして使用され、展開されたオペレーションシステム(OS)、無線ドライバ、アプリケーションや、処理中のデータが記憶される。
【0019】
フラッシュメモリ5には、電源オフ状態でも保持しておきたいデータ、例えば後述のチャネルステータステーブルCSTなどが記憶される。eMMC6には、OS、無線ドライバ、アプリケーションのプログラムが記憶されており、起動時に、制御部3はこれらのプログラムを読み出しDDRSDRAM4に展開する。
【0020】
制御部3には、LED表示部7、スイッチ8が接続される。LED表示部7は、複数の多色LED(Light Emitting Diode)7a,7b,7c,7dを備え、電源状態や、無線通信状態をユーザーに報知することができる。スイッチ8は、防水構造のスイッチであり、無線LANの自動設定(Wi-Fi(登録商標) Protected Setup(WPS))を起動するのに用いられる。
【0021】
制御部3には、画像処理部9が接続されている。画像処理部9には、車両の適所に取り付けられた4台のビデオカメラ10−1、10−2、10−3、10−4で撮影された画像を、一つの画面に合成して制御部3に出力する。この合成された画像は、制御部3で圧縮され無線LAN通信部2からPCに送信され、PCの表示部で各ビデオカメラの撮影した画像を表示することができる。
【0022】
なお、無線LAN通信機器1は、防水構造のケース1a内に収められ、前記アンテナ2aの端子,LED表示部7、スイッチ8のボタン、CANバス11の端子、カメラ接続端子、電源端子のみが外部に露出する。なお、電源は車両の図示しないバッテリーから供給され、車両のイグニッションキーがオンの間だけ電源が供給される。言い換えると、イグニッションキーがオフの場合には、無線LAN通信機器1は完全な停止状態となる。
【0023】
次に、無線LAN通信機器1の動作について説明する。まず、無線LAN通信機器1のシステム構成の概略を、
図2を用いて説明する。制御部3は、無線ドライバ3dと通信アプリケーション3eを実行する。無線ドライバ3dは、無線LAN通信部2と通信アプリケーション3eを橋渡しするプログラムである。無線LAN通信部2でレーダが検知された等のイベントは、無線ドライバ3dを介して通信アプリケーション3eに伝えられる。通信アプリケーション3eは、後述のチャネルリスト等が無線ドライバ3dに与えられる。
無線ドライバ3dは、チャネルリスト内のチャネルで通信を試行することを無線LAN通信部2に伝達する。以下の説明では、制御部3の通信アプリケーション3eの動作を、制御部3の動作として説明する。
【0024】
次に、チャネルステータステーブルの作成について
図3〜5を参照しながら説明する。以下の説明では、屋外で使用可能なW56のチャネルについて説明する。W53についても同様であるので、W53についての説明は省略する。
【0025】
図4(a)は、チャネルステータステーブルCSTが示されている。チャネルステータステーブルCSTの「チャネル」列には、周波数の低い方のチャネル100chから順にチャネルが割り当てられている。「ステータス」列には、レーダの検波の有無が記入される。このチャネルステータステーブルCSTは、前記フラッシュメモリ5に記憶される。
【0026】
図3のステップS1では、制御部3は開始チャネルを設定する。
図4(a)に示すように、チャネルステータステーブルCSTの一番上のチャネルは100chであるので、制御部3は開始チャネルとして100chを設定する。無線LAN通信部2は、100chで電波を受信(Listen)しレーダが検波されたか否かを無線ドライバ3dを介して制御部3に伝える。
【0027】
制御部3は、100chでレーダが検波されたか否かを判定し(ステップS2)、レーダが検波された場合(Yesの場合)には、ステップS3の処理に分岐し、チャネルステータステーブルCSTの100chの行に「1」を記入する。また、レーダが検波されなかった場合(Noの場合)には、ステップS4の処理に分岐し、チャネルステータステーブルCSTの100chの行に「0」を記入する。
図4(b)では、100chでレーダが検波されたので、ステータスに検波を示す「1」が記入されている。
【0028】
次に、制御部3は、全ての対象チャネルについてレーダ検波をチェックしたかどうか判定する(ステップS5)。100chの検波をチェックした段階では、当然この判定はNoとなるので、制御部3は、次のチャネル104chに移行し(ステップS6)、ステップS2に戻りレーダが検波されたか否か判定する。104chでレーダが検波されなかったものとすると、ステップS2の判定は「No」となりステップS4に分岐する。そして、チャネルステータステーブルCSTの104chのステータスに、レーダを検波しなかったことを示す「0」を記入する。
図4(b)では、チャネルステータステーブルCSTの104chについて「0」が記入されたことが示されている。
【0029】
制御部3は、対象チャネルの全てのチャネルについてチェックを終了した場合には、ステップS7の判定に分岐する。
図5(a)には、全てのチャネルについてチェックが完了した状態のチャネルステータステーブルCSTが示されている。
図5(a)では、100chと128chでステータスが「1」となっており、100chと128chとでレーダが検波されたことが判る。その他のチャネルでは、レーダが検波されていないのでステータスは「0」となっている。
【0030】
次に、制御部3はチャネルステータステーブルCSTのステータスが全て「1」か判定する(ステップS7)。ステップS7の判定が「Yes」の場合には、ステップS8に分岐し、チャネルステータステーブルCSTのステータスを全て「0」に変更する。そして、制御部8はステップS9の処理に進み、チャネルリストを作成する。ステップ7の判定が「No」の場合には、制御部8はステップ9の処理に分岐し、チャネルリストを作成する。
【0031】
ステップS9では、チャネルリストCLの作成が行われる。
図5用いてチャネルリストの作成を説明する。
図5(b)では、ステータスが「0」のchが上にくるようチャネルを並べ替えたものである。ステータスが「0」のチャネルが並んだ部分をホワイトチャネルリストWCLとする。また、ステータスが「1」のチャネルをブラックチャネルリストBCLと呼ぶことにする。ホワイトチャネルリストが「第1のチャネルリスト」に対応し、ブラックチャネルリストが「第2のチャネルリスト」に対応する。
図5(b)は、説明の便宜上テーブルの配列を変えているが、フラッシュメモリ5に記憶されているチャネルステータステーブルCSTを並べ替える必要はない。
【0032】
図5(c)に示すように、ホワイトチャネルリストWCLとブラックチャネルリストBCLを結合したチャネルリストCLが無線ドライバ3dに渡される。なお、ホワイトチャネルリストWCLのみを無線ドライバ3dに渡すようにしてもよい。無線ドライバ3dは、チャネルリストCLの上のチャネルから通信を試行する。
図5(c)の例では、まずチャネル104chで通信が試行される。チャネル104chでレーダが検波されなければ104chを用いて通信を行う。
【0033】
図5(c)は、帯域が20MHz(HT20)の場合に使われるチャネルリストを示しているが、
図5(d)、(e)は帯域が40MHz(HT40)の場合のチャネルリストを示している。
図5(d)のチャネルリストCL1で、例えば108chは、108chと112chを使用して広い帯域で通信を行うことを示している。
図5(a)のチャネルステータステーブルCSTでは、108chと112chは共にステータスが「0」であるので、これらの2つのチャネルを結合して通信を行うことが可能となっている。116ch、132chも同様にHT40で通信を行うことが可能である。すなわち、108ch、116ch、132chがホワイトチャネルリストWCL1を構成する。
【0034】
チャネルリストCL1の下から2番目の100chは、
図5(a)のチャネルステータステーブルCSTのステータスが「1」であるので、104chでレーダが検波されていなくても、100chと104chを結合してHT40で通信を行うことができない。チャネルリストCL1の一番下の124chは、124ch自体は
図5(a)のチャネルステータステーブルCSTのステータスが「0」なのでレーダを検波していないが、128chがレーダを検波しているので、124chと128chを結合してHT40の通信を行うことはできない。すなわち、100ch、124chがブラックチャネルリストBCL1を構成する。
【0035】
図5(e)のチャネルリストCL2の一番上のチャネル104chは、
図5(a)のチャネルステータステーブルCSTによればステータスが「0」でありレーダが検波されていない。また、108chも同様にレーダが検波されていないので、104chと108chを結合してHT40の通信を行うことが可能である。同様に、112ch、120ch、136chでHT40の通信が可能である。すなわち、104ch、112ch、120cg、136chがホワイトチャネルリストWCL2を構成する。
【0036】
図5(e)のチャネルリストCL2の一番下の128chは、
図5(a)のチャネルステータステーブルCSTのステータスが「1」であるので、132chがレーダを検波していなくとも、128chと132chを結合してHT40の通信を行うことができない。この132chが、ブラックチャネルリストBCL2を構成する。
【0037】
次に、チャネルステータステーブルCSTの更新処理を、
図6〜
図9を参照しながら説明する。この更新処理は、常時実行されている。制御部3は、無線ドライバ3dからイベントを取得する(
図6、ステップS11)。次に、制御部3は、イベントの種類を判別する(ステップS12)。イベントが「1つのチャネルでレーダを検波」であった場合には、制御部3はステップS13の処理に分岐する。制御部3は、無線ドライバ3dからレーダを検波したチャネルXを取得する(ステップS13)。
【0038】
制御部3は現在の帯域がHT20か、HT40のいずれであるか判定する(ステップS14)。制御部3は、帯域がHT20の場合にはS18の処理に分岐し、チャネルステータステーブルCSTのXchのステータスを「0」から「1」に更新する。
図8(a)は、104chでレーダを検波した場合を示している。この場合には、
図8(b)に示すように、制御部3はチャネルステータステーブルCSTの104chのステータスを「1」に更新する。その後、制御部3はステップS11の処理に戻る。
【0039】
制御部3がステップS14の判定で帯域がHT40であると判定した場合には、当該Xchが下側のチャネルか、上側のチャネルのいずれかを判定する(ステップS15)。下側のチャネルであった場合にはS16に分岐し、チャネルステータステーブルのXchと(X+4)chのステータスを「1」に更新する。また、上側のチャネルであった場合にはステップS17に分岐し、チャネルステータステーブルCLTのXchと(X−4)chのステータスを「1」に変更する。ステップS16又はステップS17の処理が終わると、制御部3はステップS11の処理に戻る。
【0040】
HT40の場合を、さらに
図9を参照しながら説明する。
図9(a)には、
図5(d)に示したチャネルリストCL1が図中左側に示されており、チャネルステータステーブルCSTが図中右側に示されている。なお、チャネルステータステーブルCSTは一部を省略して示している。ここで、「108ch」とは、108chと112chを用いてHT40の通信を行うことを示している。この場合、108chと112chの両方ともレーダが検波されていないことが要件となる。
【0041】
図9(a)では、108chでレーダが検波されたとしている。すなわち、ステップS15の判定で、下側のチャネルと判定された場合に該当する。この場合チャネルステータステーブルCSTの108chのステータスを「1」に更新するだけでなく、レーダの検波されていない112chのステータスも「1」と更新される(ステップS16)。
【0042】
図9(b)では、112chでレーダが検波されたとしている。すなわち、ステップS15の判定で、上側のチャネルと判定された場合に該当する。この場合チャネルステータステーブルCSTの112chのステータスを「1」に更新するだけでなく、レーダの検波されていない108chのステータスも「1」と更新される(ステップS17)。ここでは、チャネルリストCL1について説明したが、
図5(e)に示すチャネルリストCL2についても同様であるので説明は省略する。
【0043】
再び
図6に戻り、ステップS12で使用可能と判定された、すなわちホワイトチャネルリストWCLの全てのチャネルでレーダが検波された場合には、制御部3は、
図7のステップS19に移行し、チャネルステータステーブルCSTの全てのチャネルのステータス「0」に変更する。これは、ブラックチャネルリストBCLに含まれるチャネルが、その後レーダを検波していない状態となっているかもしれないので、全てのチャネルをリセットして通信できるチャネルを探すためである。
【0044】
ステップS12で、WCL及びBCLすべてのチャネルについてレーダが検波された場合には、
図7のステップS20の処理に進み、この場合もチャネルステータスリストCSTの全てのステータスを「0」とする。そして、5GHz帯から2.4GHz帯に変更し、1chで通信を試みる(ステップS21)。なお、ここでは2.4GHz帯の1chに移行しているが、2ch〜13chのいずれかのチャネルであっても良い。
【0045】
無線LAN通信機器1は、電源がオフされた状態でも、フラッシュメモリ5内にチャネルステータステーブルCSTはそのまま保持される。次に電源がオンされたときに、制御部3は記憶されているチャネルステータステーブルCSTからチャネルリストCLを作成し、無線ドライバ3dに出力する。レーダが、気象レーダなど位置が固定されている場合には、常に同じチャネルでレーダが検波されるので、再起動したとき、そのようなチャネルで無駄に通信を試行することがなく、速やかに通信可能なチャネルで通信を開始することができる。
【0046】
上記実施の形態では、車両に搭載する無線LAN機器について説明したが、本発明は、オフィスや工場で使われる無線LANアクセスポイントなど、5GHz帯W53、W56を用いて無線LANを構築する機器に広く適用可能なものである。