(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結軸は、前記可動接触子との間に接触スプリングを有するフランジ部が形成されるとともに、該フランジ部が復帰スプリングの作用により前記保護部材の底板部に接触されて前記可動接触子の位置決めがなされることを特徴とする請求項6に記載の電磁接触器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る電磁接触器は、
図1及び
図2に示されている。
図1に示す電磁接触器1は、電流路の開閉を行うものであり、接点装置10と、電磁石ユニット3とを備えている。
【0012】
ここで、接点装置10は、接点機構2と、収納容器4と、保護部材7とを備えている。
先ず、収納容器4は、有底角筒状の第1部材5と、第1部材5の下端に接合された第2部材6とからなっている。第1部材5は、セラミック製であり、略矩形板状の頂板5aと、頂板5aの四辺から下方に延びる角筒状の側板部5bとを備えている。また、第2部材6は、角筒状の金属部材であり、その上端が第1部材5の側板部5bの下端面に接合されている。第1部材5の側板部5bの板厚は第2部材6の板厚よりも厚く構成され、
図1に示すように、第1部材5の側板部5bの下端面は第2部材6の内側面より内側に突出している。そして、第2部材6の下端部は、後述の平板状の上部磁気ヨーク8の上面にシール接合されている。以下、本明細書において、
図1に矢印で示すように、
図1における上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」、
図2における左斜め手前(
図1の紙面に対し手前側)を「前」、右斜め後側(
図1の紙面に対し奥側)を「後」として説明する。
【0013】
そして、収納容器4内には、接点機構2が収納されている。接点機構2は、第1部材5の頂板5aに固定された一対の固定接触子21、22と、これら一対の固定接触子21,22に接離可能な可動接触子23とを備えている。各固定接触子21,22は、導電性金属材料で形成されて第1部材5の頂板5aに左右方向に所定間隔を離して固定される。そして、左側の固定接触子21の下端面には接点21aが形成され、右側の固定接触子22の下端面には、接点22aが形成される。
【0014】
また、可動接触子23は、導電性金属を材料とした左右方向に長く延びる導電板であり、電磁石ユニット3の後述する可動プランジャ35に固定された連結軸36に上下移動可能に支持される。可動接触子23の左端側の上面には、左側の固定接触子21の接点21aに接触する接点23aが形成され、可動接触子23の右端側の上面には、右側の固定接触子22の接点22aに接触する接点23bが形成されている。そして、連結軸36の可動接触子23よりも下側には、フランジ部36aが外方に突出するように形成されている。そして、フランジ部36aと可動接触子23との間には、可動接触子23を上方へ付勢する接触スプリング24が設けられている。可動接触子23の上方への移動は、連結軸36の可動接触子23よりも上側部分に取り付けられた固定部材38によって規制される。
【0015】
また、保護部材7は、接点機構2で発生するアークが第1部材5と第2部材6との接合部位Aに接触するのを防止する絶縁性の部材であり、収納容器4内に収容されている。
この保護部材7は、
図1及び
図2に示すように、第1部材5の下方側をほぼ覆う大きさの略矩形状の底板部7aと、底板部7aの四辺縁から上方向に延びる立壁部7bとを備えている。立壁部7bは、接点機構2の左右方向及び前後方向の外側で第1部材5と第2部材6との接合部位Aに対向する位置に設けられる。また、保護部材7は、立壁部7bから左右方向及び前後方向の外方、すなわち第1部材5と第2部材6との接合部位Aに向けて突出し、立壁部7bと第1部材5の側板部5bとの間の隙間を塞ぐ塞ぎ部cを備えている。この保護部材7は、絶縁性の合成樹脂を成形することにより一体に形成されている。
また、底板部7aには、保護部材7を第2部材6から第1部材5に向けて押し上げる弾性部7dが設けられている。弾性部7dは、底板部7a、即ち保護部材7と一体に形成されている。
【0016】
この弾性部7dは、
図1及び
図2に示すように、可動接触子23が細長く延びる左右方向において所定間隔開けて配置された一対の左側爪7dL及び右側爪7dRで構成されている。左側爪7dLは、底板部7aから先端にかけて左右方向の外側(左側)に向けて傾斜する爪状に形成され、右側爪7dRは、底板部7aから先端にかけて左右方向の外側(右側)に向けて傾斜する爪状に形成されている。左側爪7dL及び右側爪7dRは、
図2に示すように、底板部7aの左右方向の中心に対して対称形状に形成され、それぞれが底板部7aの両端まで、即ち底板部7aの前端から後端に至るまで前後方向に延びている。左側爪7dL及び右側爪7dRの、底板部7aの左右方向の中心からの距離は、同等で底板部7aの左右方向幅の1/4程度である。つまり、各左側爪7dL及び右側爪7dRの左右方向位置は、底板部7aの左右方向の中心から左右方向縁部までの約中間の位置である。そして、左側爪7dL及び右側爪7dRのそれぞれの先端は、
図1に示すように、上部磁気ヨーク8の上面に当接し、上部磁気ヨーク8からの反力により保護部材7に上方向の弾性力を付与する。弾性部7dの作用については後に詳細に説明するが、これにより塞ぎ部7cが第1部材5に押し付けられて第1部材5の側板部5bの下端面の隙間を塞ぐことができるので、接点機構2で発生したアークが第1部材5と第2部材6との接合部位Aに接触するのを確実に防止することができる。
【0017】
なお、可動接触子23を可動プランジャ35に連結する連結軸36は、
図1に示すように、連結軸36から外方に突出するフランジ部36aを保護部材7の底板部7a上に配置した状態で底板部7aに形成された貫通孔7eに挿通される。そして、連結軸36の下端部に固定された可動プランジャ35は後述の復帰スプリング37の作用によって常時下方向に付勢されている。このため、可動接触子23の開極時には、連結軸36も復帰スプリング37の作用によって常時下方に付勢され、フランジ部36aが保護部材7の底板部7aに接触されて可動接触子2
3の位置決めがなされる。これにより、保護部材7が上方向に移動すると連結軸36を介して可動接触子23が上方向に移動するようになる。このため、弾性部7dが保護部材7を第1部材5に向けて押し上げると、保護部材7の上下方向の位置決めがなされて可動接触子23の上下方向の位置決めがなされ、これにより、可動接触子23の開極時における可動接触子23と一対の固定接触子21,22との間のギャップが設定される。
【0018】
可動接触子23の開極時における可動接触子23と一対の固定接触子21,22との間のギャップは、電磁接触器1において非常に重要な技術的意義があり、適正範囲よりも短いとアークを適切に遮断することができない。一方、適正範囲よりも長いと、可動接触子23が固定接触子21,22に接触してからのワイプ量が適正値よりも長くなったり、あるいは可動接触子23の固定接触子21,22に対する接圧が低くなったりする。この接圧が低くなると、可動接触子23の固定接触子21,22に対する溶着しやすくなるおそれがある。従って、可動接触子23の開極時における可動接触子23と一対の固定接触子21,22との間のギャップを適切に設定することが好ましい。本実施形態にあっては、約1.0mmに設定されている。
【0019】
本実施形態においては、保護部材7を第1部材5に向けて押し上げる弾性部7dが、可動接触子23の上下方向の位置決め機能を有し、可動接触子23の開極時における可動接触子23と一対の固定接触子21,22との間のギャップを設定する。このため、弾性部7dにより、可動接触子23の開極時における可動接触子23と一対の固定接触子21,22との間のギャップを適切に設定することができる。
【0020】
次に、電磁石ユニット3は、連結軸36を介して接点機構2を駆動するものであり、
図1に示すように、側面から見てU字形状の下部磁気ヨーク31を備えている。下部磁気ヨーク31の開放端となる上端には、平板状の上部磁気ヨーク8が固定され、この上部磁気ヨーク8の上面に前述の第2部材6の下端部がシール接合される。そして、上部磁気ヨーク8の中央部に貫通孔8aが形成される。
【0021】
また、上部磁気ヨーク8の下面の中央部には、貫通孔8aを囲むように有底円筒状のキャップ9がシール接合される。
このキャップ9内には、上部磁気ヨーク8の貫通孔8aに固定された円柱状の固定鉄心34配置されるとともに、固定鉄心34の下方に可動プランジャ35が上下移動可能に配置される。可動接触子23を上端側で支持する連結軸36は、固定鉄心34の中心に形成された貫通孔を挿通して、下端部で円柱状の可動プランジャ35に固定される。
【0022】
そして、固定鉄心34には、その下端面から上方に凹む復帰スプリング収容凹部34aが形成されている。また、可動プランジャ35には、その上端面から下方に凹む復帰スプリング用凹部35aが形成されている。復帰スプリング収容凹部34a及び復帰スプリング用凹部35a内には、可動プランジャ35を常時下方に付勢する復帰スプリング37が収容されている。
【0023】
収納容器4、収納容器4の第2部材6に接合される上部磁気ヨーク8及び上部磁気ヨーク8に接合されるキャップ9で構成される内部空間は、外部に対して密閉されており、その内部空間内にアーク消弧用のガスが封入される。
そして、キャップ9の外周には、スプール32が配設され、このスプール32の外周には、可動プランジャ35を駆動する励磁コイル33が巻装されている。
【0024】
次に、第1実施形態の電磁接触器1の動作を説明する。
今、一方の固定接触子21が例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、他方の固定接触子22が負荷装置に接続されているものとする。
この状態で、
図1に示すように、電磁石ユニット3における励磁コイル33が非励磁状態にあって、電磁石ユニット3で可動プランジャ35を上昇させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。
【0025】
この釈放状態では、可動プランジャ35が復帰スプリング37によって、下方向に付勢される。このため、可動プランジャ35に連結軸36を介して連結されている主接点機構2の可動接触子23が、一対の固定接触子21,22に対して下方に所定距離だけ離間している。即ち、可動接触子23は、開極状態にあり、この可動接触子23の開極時における可動接触子23と一対の固定接触子21,22との間にギャップが設定されている。このギャップは、前述したように、保護部材7に一体形成された弾性部7dにより、設定されている。この可動接触子23の開極時には、一対の固定接触子21,22の間の電流路が遮断状態にあり、接点機構2が開いた状態となっている。
【0026】
この釈放状態から、電磁石ユニット3の励磁コイル33に通電すると、電磁石ユニット3で励磁力が発生し、可動プランジャ35を復帰スプリング37の付勢力に抗して上方に押し上げる。
このように、可動プランジャ35が上昇することにより、連結軸36が上昇し、連結軸36に支持されている可動接触子23も上昇し、可動接触子23の両接点23a,23bが、一対の固定接触子21,22の両接点21a,22aに対して接触スプリング24の接触圧で接触する。なお、この際に、保護部材7の上下方向位置は変化しない。
【0027】
このため、電力供給源の大電流が、一方の固定接触子21、可動接触子23、他方の固定接触子22を通じて負荷装置に供給され、接点機構2が閉じた状態となる。
そして、接点機構2が閉じた状態から、負荷装置への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット3の励磁コイル33への通電を停止する。
励磁コイル33への通電を停止すると、電磁石ユニット3で可動プランジャ35を上方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ35が復帰スプリング37の付勢力によって下降する。
【0028】
この可動プランジャ35が下降することにより、連結軸36を介して連結された可動接触子23が下降する。これに応じて接触スプリング24で接触圧を与えているときには、可動接触子23が、一対の固定接触子21,22に接触している。その後、接触スプリング24の接触圧がなくなった時点で、可動接触子23が一対の固定接触子21,22から下方に離間する開極開始状態となる。
【0029】
このような開極開始状態となると、可動接触子23の両接点23a,23bと、一対の固定接触子21,22の両接点21a,22aとの間にアークが発生し、アークによって電流の通電状態が継続されることになる。
このアークは、図示しない消弧装置によって消弧される。
そして、アークが消弧され、更に、可動プランジャ35の釈放動作が終了すると、開極終了となる。
【0030】
ここで、接点機構2で発生したアークは、収納容器4内で引き延ばされることになるが、保護部材7の塞ぎ部7cによって保護部材7の立壁部7bと第1部材5の側板部5bとの間の隙間を塞ぎ、弾性部7dによって塞ぎ部7cと第1部材5の側板部5bの下端面との間の隙間を塞いでいる。このため、接点機構2で発生し引き延ばされたアークが第1部材5と第2部材6との接合部位Aに接触するのを確実に防止することができる。
【0031】
そして、第1実施形態に係る接点装置10及び電磁接触器1によれば、保護部材7の底板部7aに、弾性部7dを一体に形成したので、塞ぎ部7cに対して上方向の力を与える別部品を削減できる。このため、部品点数が少なくなり、接点装置10及び電磁接触器1の製造コストを安価なものにすることができる。
また、電磁接触器1を組み立てる際に、弾性部7dは保護部材7に一体に形成されているので、弾性部7dのみを組み込み忘れるおそれもない。
【0032】
また、弾性部7dは、左右方向において所定間隔開けて配置された一対の左側爪7dL及び右側爪7dRからなり、それぞれが底板部7aの両端、即ち前端及び後端まで延長している。このため、安定して塞ぎ部7cと第1部材5の隙間を塞ぐ力を与えることができる。また、各左側爪7dL、右側爪7dRは、底板部7aから先端にかけて左右方向の外側に向けて傾斜する爪状に形成されている。このため、より一層安定して塞ぎ部7cと第1部材5の隙間を塞ぐことができる。なお、各左側爪7dL及び右側爪7dRの左右方向位置は、底板部7aの左右方向の中心から左右方向縁部までの約中間の位置であるが、底板部7aの左右方向の中心からより離れた位置に設置することが好ましい。各左側爪7dL及び右側爪7dRを、底板部7aの左右方向の中心からより離れた位置に設置することにより、塞ぎ部7cに対して上方向の弾性力をより一層安定して加えることができるとともに、保護部材7の製造を容易にすることができる。
【0033】
(保護部材の第1変形例)
次に、保護部材7の第1変形例について
図3(A),(B),(C)を参照して説明する。
図3(A),(B),(C)に示す保護部材7は、
図1及び
図2に示す電磁接触器1の保護部材7と同様に、第1部材5の下方側をほぼ覆う大きさの略矩形状の底板部7aと、底板部7aの四辺縁から上方向に延びる立壁部7bとを備えている。立壁部7bは、接点機構2の左右方向及び前後方向の外側で第1部材5と第2部材6との接合部位Aに対向する位置に設けられる。また、保護部材7は、立壁部7bから左右方向及び前後方向の外方、すなわち第1部材5と第2部材6との接合部位Aに向けて突出し、立壁部7bと第1部材5の側板部5bとの間の隙間を塞ぐ塞ぎ部7cを備えている。この保護部材7は、絶縁性の合成樹脂を成形することにより一体に形成されている。
【0034】
また、保護部材7の底板部7aには、保護部材7を第2部材6から第1部材5に向けて押し上げる弾性部7dが設けられている。弾性部7dは、底板部7a、即ち保護部材7と一体に形成されている。
但し、弾性部7dは、
図1及び
図2に示す電磁接触器1の保護部材7の弾性部7dと異なり、左右方向において所定間隔開けて配置された一対の左側爪7dL及び右側爪7dRと、前後方向において所定間隔開けて配置された一対の前側爪7dF及び後側爪7dBとの二対からなっている。そして、左側爪7dL、右側爪7dR、前側爪7dF及び後側爪7dBは、底板部7aの中心を囲むように配置されている。また、左側爪7dLは、底板部7aから先端にかけて左右方向の外側(左側)に向けて傾斜する爪状に形成され、右側爪7dRは、底板部7aから先端にかけて左右方向の外側(右側側)に向けて傾斜する爪状に形成されている。また、前側爪7dFは、底板部7aから先端にかけて前後方向の外側(前側)に向けて傾斜する爪状に形成され、後側爪7dBは、底板部7aから先端にかけて前後方向の外側(後側)に向けて傾斜する爪状に形成されている。そして、左側爪7dL及び右側爪7dのそれぞれの先端及び前側爪7dF及び後側爪7dBのそれぞれの先端は、図示はしないが、上部磁気ヨーク8の上面に当接し、上部磁気ヨーク8からの反力により保護部材7に対して上方向の弾性力を付与する。
【0035】
そして、一対の左側爪7dL及び右側爪7dRのそれぞれの左右方向位置は、
図1及び
図2に示す電磁接触器1の保護部材7の一対の左側爪7dL及び右側爪7dRと異なり、底板部7aの左右方向縁部の近傍の位置である。また、一対の左側爪7dL及び右側爪7dRのそれぞれの前後方向位置は、底板部7aの前後方向中央部である。また、各左側爪7dL及び右側爪7dRのそれぞれの前後方向長さは、
図1及び
図2に示す電磁接触器1の保護部材7の一対の左側爪7dL及び右側爪7dRと異なり、底板部7aの前縁から後縁に至るまでの長さの約半分程度であり短い。
【0036】
また、一対の前側爪7dF及び後側爪7dBのそれぞれの左右方向位置は、底板部7aの左右方向中央部である。また、一対の前側爪7dF及び後側爪7dBのそれぞれの左右方向長さは、各左側爪7dL及び右側爪7dRのそれぞれの前後方向長さと同程度である。
このように、弾性部7dを一対の左側爪7dL及び右側爪7dRのみならず、一対の前側爪7dF及び後側爪7dBを備えて二対で構成し、底板部7aの中心を囲むように配置することにより、
図1及び
図2に示す第1実施形態の弾性部7dと比較して、弾性部7dの上部磁気ヨーク8に対する接触ポイントが増える。このため、保護部材7を組み込むときの安定性を向上させるとともに、塞ぎ部7cと第1部材5の隙間を塞ぐ力をより一層安定して加えることができる。
【0037】
(保護部材の第2変形例)
次に、保護部材7の第2変形例について
図4(A),(B),(C)を参照して説明する。
図4(A),(B),(C)に示す保護部材7は、
図1及び
図2に示す電磁接触器1の保護部材7と同様に、第1部材5の下方側をほぼ覆う大きさの略矩形状の底板部7aと、底板部7aの四辺縁から上方向に延びる立壁部7bとを備えている。立壁部7bは、接点機構2の左右方向及び前後方向の外側で第1部材5と第2部材6との接合部位Aに対向する位置に設けられる。また、保護部材7は、立壁部7bから左右方向及び前後方向の外方、すなわち第1部材5と第2部材6との接合部位Aに向けて突出し、立壁部7bと第1部材5の側板部5bとの間の隙間を塞ぐ塞ぎ部7cを備えている。この保護部材7は、絶縁性の合成樹脂を成形することにより一体に形成されている。
【0038】
また、保護部材7の底板部7aには、保護部材7を第2部材6から第1部材5に向けて押し上げる弾性部7dが設けられている。弾性部7dは、底板部7a、即ち保護部材7と一体に形成されている。
但し、弾性部7dは、
図1及び
図2に示す電磁接触器1の保護部材7の弾性部7dと異なり、前後方向において所定間隔開けて配置された二対の前側爪7dF及び後側爪7dBからなり、底板部7aの四隅に配置されている。各前側爪7dFは、底板部7aから先端にかけて前後方向の外側(前側)に向けて傾斜する爪状に形成され、各後側爪7dBは、底板部7aから先端にかけて前後方向の外側(後側)に向けて傾斜する爪状に形成されている。そして、二対の前側爪7dF及び後側爪7dBのそれぞれの先端は、図示はしないが、上部磁気ヨーク8の上面に当接し、上部磁気ヨーク8からの反力により塞ぎ部7cに対して上方向の弾性力を付与する。
【0039】
また、一対の前側爪7dF及び後側爪7dBの左右方向位置は、底板部7aの左端部近傍であり、他の対の前側爪7dF及び後側爪7dBの左右方向位置は、底板部7aの右端近傍である。また、一対の前側爪7dF及び後側爪7dBのそれぞれの左右方向長さは、
図3に示す前側爪7dF及び後側爪7dBのそれぞれの左右方向長さの約半分程度である。
【0040】
このように、弾性部7dを二対の前側爪7dF及び後側爪7dBで構成し、底板部7aの四隅に配置することにより、
図1及び
図2に示す第1実施形態の弾性部7dと比較して、弾性部7dの上部磁気ヨーク8に対する接触ポイントが増える。このため、保護部材7を組み込むときの安定性を向上させるとともに、塞ぎ部7cと側板部5bの隙間を塞ぐ力をより一層安定して加えることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る電磁接触器を
図5及び
図6を参照して説明する。
図5及び
図6において、
図1及び
図2に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
本発明の第2実施形態に係る電磁接触器1は、その基本構造は
図1及び
図2に示す第1実施形態に係る電磁接触器1と同様であるが、弾性部7dの形状が相違している。
【0042】
即ち、第2実施形態に係る電磁接触器1における弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、可動接触子23が細長く延びる左右方向において所定間隔開けて配置された一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drで構成されている。一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drの各々は、底板部7aの両端、すなわち底板部7aの前縁から後縁に至るまで前後方向に延びている。また、一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drの各々は、断面が中空の筒状に形成されている。
【0043】
そして、一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drは、
図6に示すように、底板部7aの左右方向の中心に対して対称形状に形成されている。左側筒状部7dl及び右側筒状部7drの、底板部7aの左右方向の中心からの距離は、同等で底板部7aの左右方向幅の1/4程度である。つまり、各左側筒状部7dl及び右側筒状部7drの左右方向位置は、底板部7aの左右方向の中心から左右方向縁部までの約中間の位置である。そして、左側筒状部7dl及び右側筒状部7drのそれぞれの湾曲した先端は、
図5に示すように、上部磁気ヨーク8の上面に当接し、上部磁気ヨーク8からの反力により塞ぎ部7cに対して上方向の弾性力を付与する。これにより、塞ぎ部7cと第1部材5の側板部5bの下端面との間の隙間を塞ぐことができるので、接点機構2で発生したアークが第1部材5と第2部材6との接合部位Aに接触するのを確実に防止することができる。
【0044】
このように、第2実施形態に係る電磁接触器1における弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、断面が中空の筒状に形成された一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drで構成されている。このため、保護部材7の塞ぎ部7cに対し上方向の弾性力を加える別部品を削減できる。このため、部品点数が少なくなり、接点装置10及び電磁接触器1の製造コストを安価なものにすることができる。また、接点装置10及び電磁接触器1を組み立てる際に、弾性部7dは保護部材7に一体に形成されているので、弾性部7dのみを組み込み忘れるおそれもない。
【0045】
また、各左側筒状部7dl及び右側筒状部7drは、断面が中空の筒状で両端固定の梁形状で構成されているため、各左側筒状部7dl及び右側筒状部7drの機械的強度を、片持ち梁状に形成されている第1実施形態の弾性部7dを構成する左側爪7dL及び右側爪7dRよりも強固にすることができる。また、左側筒状部7dl及び右側筒状部7drによる塞ぎ部7cに対して上方向の力を、片持ち梁状に形成されている左側爪7dL及び右側爪7dRよりも安定させることができる。
【0046】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る電磁接触器を
図7及び
図8を参照して説明する。
図7及び
図8において、
図1及び
図2に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
本発明の第3実施形態に係る電磁接触器1は、その基本構造は
図1及び
図2に示す第1実施形態に係る電磁接触器1と同様であるが、弾性部7dの形状が相違している。
【0047】
即ち、第3実施形態に係る電磁接触器1における弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、可動接触子23が細長く延びる左右方向において所定間隔開けて配置された断面がC字状に形成されている一対の左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCで構成されている。ここで、左側C字状部7dLCは、底板部7aから先端に向けてC字状に湾曲する一対の湾曲部7d1,7d2を備えている。また、右側C字状部7dRCも、底板部7aから先端に向けてC字状に湾曲する一対の湾曲部7d1,7d2を備えている。一対のC字状部7dLC及び右側C字状部7dRCの各々は、底板部7aの両端、すなわち底板部7aの前縁から後縁に至るまで前後方向に延びている。
【0048】
そして、一対の左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCは、
図8に示すように、底板部7aの左右方向の中心に対して対称形状に形成されている。また、左側C字状部7dLCを構成する一方の湾曲部7d1の先端と他方の湾曲部7d2の先端との間には、前後方向に延びるスリットが形成されている。また、右側C字状部7dRCを構成する一方の湾曲部7d1の先端と他方の湾曲部7d2の先端との間にも、前後方向に延びるスリットが形成されている。
【0049】
また、左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCの、底板部7aの左右方向の中心からの距離は、同等で底板部7aの左右方向幅の1/4程度である。つまり、各左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCの左右方向位置は、底板部7aの左右方向の中心から左右方向縁部までの約中間の位置である。そして、左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCを構成する一対の湾曲部7d1,7d2の先端は、
図7に示すように、上部磁気ヨーク8の上面に当接し、上部磁気ヨーク8からの反力により塞ぎ部7cに対して上方向の弾性力を付与する。これにより、塞ぎ部7cと第1部材5の側板部5bの下端面との間の隙間を塞ぐことができるので、接点機構2で発生したアークが第1部材5と第2部材6との接合部位Aに接触するのを確実に防止することができる。
【0050】
このように、第3実施形態に係る電磁接触器1における弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、断面C字状に形成された一対の左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCで構成されている。このため、保護部材7の塞ぎ部7cに対し上方向の弾性力を加える別部品を削減できる。このため、部品点数が少なくなり、接点装置10及び電磁接触器1の製造コストを安価なものにすることができる。また、接点装置10及び電磁接触器1を組み立てる際に、弾性部7dは保護部材7に一体に形成されているので、弾性部7dのみを組み込み忘れるおそれもない。
【0051】
また、一対の左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCの各々は、底板部7aから先端に向けてC字状に湾曲する一対の湾曲部7d1,7d2を備えているので、各左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCにおいて、2箇所の接触ポイントで上部磁気ヨーク8に当接することになる。このため、一対の左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCによる塞ぎ部7cに対する上方向の弾性力を、各々が一箇所の接触ポイントで上部磁気ヨーク8に当接する第1実施形態の左側爪7dL及び右側爪7dRよりも安定させることができる。
【0052】
(第1参考例)
図9及び
図10には、第1参考例に係る電磁接触器が示されている。
図9及び
図10において、
図1及び
図2に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図9及び
図10に示す第1参考例に係る電磁接触器1は、基本構成は
図1及び
図2に示す電磁接触器1と同様であるが、塞ぎ部7cに対する上方向の弾性力を付与する構成が相違している。
【0053】
即ち、
図9及び
図10に示す第1参考例に係る電磁接触器1において、塞ぎ部7cに対する上方向の弾性力は、保護部材7の底板部7aの下面と上部磁気ヨーク8の上面との間に別部品として配置されたリング状の弾性ゴム40により付与される。
このため、部品点数が多くなり、接点装置10及び電磁接触器1の製造コストの増大につながる。また、接点装置10及び電磁接触器1を組み立てる際に、弾性ゴム40を組み込む忘れることもある。この場合には、塞ぎ部と7cと第1部材5との間に隙間が発生し、接点機構2で発生するアークが第1部材5と第2部材6との間の接合部位に接触してしまったり、あるいは当該隙間の存在によって塞ぎ部7cと第1部材5とが接触した際に音が発生する等の問題がある。
【0054】
これに対して、
図1及び
図2に示す第1実施形態に係る接点装置10及び電磁接触器1、
図5及び
図6に示す第2実施形態に係る接点装置10及び電磁接触器1及び
図7及び
図8に示す第3実施形態に係る接点装置10及び電磁接触器1の場合には、弾性部7dが保護部材7に一体に形成されている。このため、保護部材7の塞ぎ部7cに対し上方向の弾性力を加える別部品を削減でき、部品点数が少なくなり、接点装置10及び電磁接触器1の製造コストを安価なものにすることができる。また、接点装置10及び電磁接触器1を組み立てる際に、弾性部7dは保護部材7に一体に形成されているので、弾性部7dのみを組み込み忘れるおそれもない。
【0055】
(第2参考例)
図11乃至
図13には、第2参考例に係る電磁接触器が示されている。
図11乃至
図13において、
図1及び
図2に示す部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図11乃至
図13に示す第2参考例に係る電磁接触器1は、基本構成は
図1及び
図2に示す電磁接触器1と同様であるが、塞ぎ部7cに対する上方向の弾性力を付与する構成が相違している。
【0056】
即ち、
図11乃至
図13に示す第2参考例に係る電磁接触器1において、塞ぎ部7cに対する上方向の弾性力は、保護部材7の底板部7aの下面と上部磁気ヨーク8の上面との間に別部品として配置された一対の板ばね41により付与される。
このため、部品点数が多くなり、接点装置10及び電磁接触器1の製造コストの増大につながる。また、接点装置10及び電磁接触器1を組み立てる際に、一対の板ばね41を組み込む忘れることもある。この場合には、塞ぎ部と7cと第1部材5との間に隙間が発生し、接点機構2で発生するアークが第1部材5と第2部材6との間の接合部位に接触してしまったり、あるいは当該隙間の存在によって塞ぎ部7cと第1部材5とが接触した際に音が発生する等の問題がある。
【0057】
これに対して、
図1及び
図2に示す第1実施形態に係る接点装置10及び電磁接触器1、
図5及び
図6に示す第2実施形態に係る接点装置10及び電磁接触器1及び
図7及び
図8に示す第3実施形態に係る接点装置10及び電磁接触器1の場合には、前述したように、弾性部7dが保護部材7に一体に形成されている。このため、保護部材7の塞ぎ部7cに対し上方向の弾性力を加える別部品を削減でき、部品点数が少なくなり、接点装置10及び電磁接触器1の製造コストを安価なものにすることができる。また、接点装置10及び電磁接触器1を組み立てる際に、弾性部7dは保護部材7に一体に形成されているので、弾性部7dのみを組み込み忘れるおそれもない。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、弾性部7dは、保護部材7を押し上げる機能を有すればよく、
図1乃至
図8に示した形状に限られない。
また、第2実施形態に係る電磁接触器1において、弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、可動接触子23が細長く延びる左右方向において所定間隔開けて配置された一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drで構成されて、一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drの各々は、底板部7aの両端、すなわち底板部7aの前縁から後縁に至るまで前後方向に延びている。しかし、この場合に限らず、弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、左右方向において所定間隔開けて配置された一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drと、底板部7aに一体に形成された、前後方向において所定間隔開けて配置された一対の前側筒状部及び後側筒状部との二対で構成され、底板部7aの中心を囲むように配置されていてもよい。この場合、弾性部7dを一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drで構成する場合と比較して、弾性部7dの上部磁気ヨーク8に対する接触ポイントが増える。このため、保護部材7を組み込むときの安定性を向上させるとともに、塞ぎ部7cに対する上方向の弾性力をより一層安定して加えることができる。
【0059】
また、第2実施形態に係る電磁接触器1において、弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、前後方向において所定間隔開けて配置された二対の前側筒状部及び後側筒状部で構成されて、底板部7aの四隅に配置されるようにしてもよい。この場合も、弾性部7dを一対の左側筒状部7dl及び右側筒状部7drで構成する場合と比較して、弾性部7dの上部磁気ヨーク8に対する接触ポイントが増える。このため、保護部材7を組み込むときの安定性を向上させるとともに、塞ぎ部7cに対する上方向の弾性力をより一層安定して加えることができる。
【0060】
また、第3実施形態に係る電磁接触器1において、弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、左右方向において所定間隔開けて配置された一対の左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCで構成されて、一対の左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCの各々は、底板部7aの両端、すなわち底板部7aの前縁から後縁に至るまで前後方向に延びている。しかし、この場合に限らず、弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、左右方向において所定間隔開けて配置された一対の左側C字状部7dLC部及び右側C字状部7dRCと、底板部7aに一体に形成された、前後方向において所定間隔開けて配置された一対の前側C字状部及び後側C字状部との二対で構成され、底板部7aの中心を囲むように配置されていてもよい。この場合、弾性部7dを一対の左側C字状部7dLC及び右側C字状部7dRCで構成する場合と比較して、弾性部7dの上部磁気ヨーク8に対する接触ポイントが増える。このため、保護部材7を組み込むときの安定性を向上させるとともに、塞ぎ部7cに対する上方向の弾性力をより一層安定して加えることができる。
【0061】
更に、第3実施形態に係る電磁接触器1において、弾性部7dは、底板部7aに一体に形成された、前後方向において所定間隔開けて配置された二対の前側C字状部及び後側C字状部で構成されて、底板部7aの四隅に配置されるようにしてもよい。この場合でも、弾性部7dを一対の左側C字状7dLC部及び右側C字状部7dRCで構成する場合と比較して、弾性部7dの上部磁気ヨーク8に対する接触ポイントが増える。このため、保護部材7を組み込むときの安定性を向上させるとともに、塞ぎ部7cに対する上方向の弾性力をより一層安定して加えることができる。