特許第6645295号(P6645295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645295
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/29 20180101AFI20200203BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20200203BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20200203BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200203BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20200203BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20200203BHJP
【FI】
   F21S41/29
   F21S41/143
   F21W102:30
   F21Y115:10
   F21Y115:20
   F21Y115:30
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-57717(P2016-57717)
(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公開番号】特開2017-174573(P2017-174573A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100179202
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 誠司
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】田中 義治
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−067391(JP,A)
【文献】 特開2014−113842(JP,A)
【文献】 特開2015−202636(JP,A)
【文献】 特開2000−016166(JP,A)
【文献】 特開2000−159010(JP,A)
【文献】 特開2014−113841(JP,A)
【文献】 特開2014−113843(JP,A)
【文献】 特開2010−287391(JP,A)
【文献】 特開2001−155511(JP,A)
【文献】 特開2014−172440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/29
F21S 41/143
F21W 102/30
F21Y 115/10
F21Y 115/20
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を収容するための第1部材および第2部材と
を備えた照明装置であって、
前記第1部材は、前記光源の放射光を透過する樹脂材料からなるアウタレンズ及び外装パネルの2色成形品であり
前記第2部材は、前記光源が取付固定された箱状のハウジングであり、
前記アウタレンズはその一部分が前記外装パネルの裏面に当設して延出されてなるフランジ部を備え、
該フランジ部の裏面に前記ハウジングの外周側壁の先端部分が接合されている
照明装置。
【請求項2】
前記アウタレンズはその全体が前記光源の放射光を透過する樹脂材料で形成され、前記アウタレンズのフランジ部と前記ハウジングの外周側壁の先端部分との接合部分は前記外装パネルの裏面側に配置されている、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記アウタレンズは前記外装パネルの貫通孔から突出する凸部と該凸部から延出する前記フランジ部とを備え、
前記アウタレンズのフランジ部と前記ハウジングの外周側壁の先端部分とは溶着により接合され、前記フランジ部において、前記接合部分と前記外装パネルの貫通孔の周縁との間に間隔がとられている、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記アウタレンズの側面は、前記アウタレンズの表面から裾野状に広がるように傾斜するテーパー状に形成されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源の出射光を灯具前方へ向けて出射する柱状の導光体と、導光体の前方に配置されて凸部を有するレンズと、レンズとランプボディの接続部を隠蔽する前方部材とを備え、レンズの凸部が前方部材から露出する車両用灯具が開示されている。
【0003】
特許文献2には、透光性を有すると共にメッキ不可能な樹脂材料により目盛部を構成する透光性枠体と、透光性枠体の枠体表面及び目盛部側面を覆うようにメッキ可能な樹脂材料により透光性枠体と2色成形によって一体成形された金属調形成部と、金属調形成部の表面にメッキされたメッキ層とを備えた装飾リングが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−154298号公報
【特許文献2】特開2015−64287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用の照明装置において、凹状のアウタレンズの底面部分を外装パネルの開口部から露出させるよう組み付けた場合、厚さの異なるアウタレンズの外周側壁部分が「たち面」として照明装置の前方側から目視可能であると、外周側壁の端面がアウタレンズに映り込んだり、アウタレンズの外周側壁とハウジングとの接合面が映り込むなどすることから、「たち面」の見栄えが悪いため、照明装置の美観が損なわれてしまう。
特許文献1の技術では、レンズの目視可能が部分が凸部になっており、且つ、レンズの側面が前方部材(外装パネル)により隠蔽されて照明装置の前方側から目視不可能なため、「たち面」が見えることによる美観の低下を回避することができる。
しかし、特許文献1の技術では、レンズの凸部と前方部材の開口部との公差を考慮して、レンズの凸部と前方部材の開口部とに隙間を設ける必要があり、その隙間の見栄えが悪く、レンズと前方部材の一体感を感じ難くなるため、美観が損なわれるという問題がある。
【0006】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、外装パネルとアウタレンズの隙間を無くすことにより、見栄えを良くして美観を高めることが可能な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0008】
<第1局面>
第1局面は、光源と、前記光源を収容するための第1部材および第2部材とを備えた照明装置であって、
前記第1部材は、樹脂材料から成る第1材料部および第2材料部の2色成形によって一体形成され、
前記第1材料部は前記第2部材に接合され、
前記第2材料部は前記光源の放射光を透過しない。
【0009】
第1局面では、第1材料部および第2材料部は2色成形によって一体形成されているため、第1材料部を光源の放射光を透過するアウタレンズとし、第2材料部を外装パネルとした場合、外装パネルとアウタレンズが隙間無く密着した状態になるよう熱融着される。
外装パネルとアウタレンズに隙間があると、その隙間の見栄えが悪く、外装パネルとアウタレンズの一体感を感じ難くなるため、照明装置の美観が損なわれる。
それに対して、第1局面によれば、外装パネルとアウタレンズに隙間が無いため、照明装置の見栄えを良くして美観を高めることができる。
【0010】
または、第1材料部を光源が取付固定されたハウジングとし、第2材料部を外装パネルとし、第2部材を光源の放射光を透過するアウタレンズとし、ハウジングにおける外装パネルの開口部から露出された部分にアウタレンズが接合されている場合、ハウジングおよび外装パネルに対して、アウタレンズだけが別体であり、アウタレンズは外装パネルの開口部に嵌合されるため、外装パネルとアウタレンズの公差を小さくすることが可能であり、外装パネルとアウタレンズの隙間をも小さくすることができる。
外装パネルとアウタレンズに大きな隙間があると、その隙間の見栄えの悪さによって照明装置の美観が損なわれる。
それに対して、第1局面によれば、外装パネルとアウタレンズの隙間が小さいため、見栄えを良くして美観を高めることができる。
【0011】
<第2局面>
第2局面は、第1局面において、
前記第1材料部は、前記光源の放射光を透過するアウタレンズであり、
前記第2材料部は外装パネルであり、
前記第2部材は、前記光源が取付固定されたハウジングであり、
前記アウタレンズにおける前記外装パネルの裏面から露出された部分に前記ハウジングが接合されている。
【0012】
第2局面では、アウタレンズおよび外装パネルが2色成形によって一体形成されているため、照明装置の構成部品点数が、第1部材であるアウタレンズおよび外装パネルと、第2部材であるハウジングとの2点になる。
それに対して、アウタレンズと外装パネルとハウジングとを別個の部品にした場合、照明装置の構成部品点数は3点になる。
従って、第2局面によれば、アウタレンズと外装パネルとハウジングとを別個の部品にした場合に比べて、部品の組み立て工程が減るため製造コストを削減することができる。
【0013】
<第3局面>
第3局面は、第2局面において、前記アウタレンズと前記ハウジングの接合部分は、前記外装パネルの裏面側に配置されている。
第3局面では、アウタレンズとハウジングの接合部分が、外装パネルによって隠蔽され、照明装置の前方側からは視認不能になるため、その接合部分の見栄えの悪さによって照明装置の美観が損なわれるのを回避できる。
【0014】
<第4局面>
第4局面は、第3局面において、前記アウタレンズの一部分が前記外装パネルの裏面に延出され、そのアウタレンズの延出された部分に前記ハウジングが接合されている。
第4局面では、アウタレンズにおける外装パネルの裏面に延出された部分により、アウタレンズと外装パネルの接触面積が増大するため、アウタレンズと外装パネルを強固に熱融着して固定することができる。
また、第4局面では、アウタレンズの延出された部分にハウジングが接合されているため、アウタレンズとハウジングの接合部分が外装パネルによって完全に隠蔽されることから、第3局面の前記作用・効果をより確実に得ることができる。
【0015】
<第5局面>
第5局面は、第2〜第4局面において、前記アウタレンズの表面は、前記外装パネルの表面から突出している。
第5局面では、めっき法またはPVD法を用いて外装パネルの表面に金属薄膜を形成した場合に、金属薄膜がアウタレンズの側面によって係止され、金属薄膜の端部がアウタレンズの表面まで延出されて乗り上げるのを防止することができる。
アウタレンズの表面に金属薄膜の端部が乗り上げると、その金属薄膜の端部がバリ状になるため、触れた人が怪我をするおそれがある上に、見栄えの悪さによって照明装置の美観が損なわれるという欠点があるが、第5局面によれば前記欠点を回避することができる。
【0016】
<第6局面>
第6局面は、第2〜第5局面において、前記アウタレンズの側面は、前記アウタレンズの表面から裾野状に広がるように傾斜するテーパー状に形成されている。
第6局面では、アウタレンズと外装パネルの接触面積が増大するため、アウタレンズと外装パネルを強固に熱融着して固定することができる。
【0017】
<第7局面>
第7局面は、第6局面において、前記アウタレンズと前記ハウジングの接合部分は、前記アウタレンズのテーパー状の部分の裏面側に配置されている。
第7局面では、アウタレンズとハウジングの接合部分が外装パネルによって完全に隠蔽されることから、第3局面の前記作用・効果をより確実に得ることができる。
【0018】
<第8局面>
第8局面は、第1局面において、
前記第1材料部は、前記光源が取付固定されたハウジングであり、
前記第2材料部は外装パネルであり、
前記第2部材は、前記光源の放射光を透過するアウタレンズであり、
前記ハウジングにおける前記外装パネルの開口部から露出された部分に前記アウタレンズが接合されている。
【0019】
第8局面では、ハウジングおよび外装パネルが2色成形によって一体形成されているため、照明装置の構成部品点数が、第1部材であるハウジングおよび外装パネルと、第2部材であるアウタレンズとの2点になることから、第2局面と同様の作用・効果を得ることができる。
【0020】
<第9局面>
第9局面は、第1〜第8局面において、前記第2材料部の少なくとも表面に形成された金属薄膜を備える。
第9局面では、金属薄膜が光源の放射光を遮断するため、第2材料部に透明な樹脂材料を用いた場合でも、第2材料部が光源の放射光を透過しないようにすることができる。
また、第9局面では、金属薄膜の光沢や光反射性により、照明装置の美観を高めることができる。
【0021】
<第10局面>
第10局面は、第9局面において、前記第1材料部は前記金属薄膜を形成困難な樹脂材料から成る。
第10局面では、めっき法またはPVD法を用いて第1部材に金属薄膜を形成した場合に、第1材料部に金属薄膜が形成されるのを防止して、第2材料部にのみ金属薄膜を形成することが可能になり、第9局面の前記作用・効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明を具体化した第1実施形態の照明装置10の縦断面の端面図(図2に示すX−X矢示断面の端面図)。
図2】照明装置10の正面図。
図3】照明装置10の製造方法を説明するための縦断面の端面図。
図4】本発明を具体化した第2実施形態の照明装置20の縦断面の端面図(図5に示すX−X矢示断面の端面図)。
図5】照明装置20の正面図。
図6】照明装置20の製造方法を説明するための縦断面の端面図。
図7】本発明を具体化した第3実施形態の照明装置30の縦断面の端面図(図2に示すX−X矢示断面の端面図)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略する。
また、各図面では、説明を分かり易くするために、各実施形態の構成部材の寸法形状および配置箇所を誇張して模式的に図示してあり、各構成部材の寸法形状および配置箇所が実物とは必ずしも一致しないことがある。
【0024】
<第1実施形態>
図1および図2に示すように、第1実施形態の照明装置10は、外装パネル11(貫通孔11a)、金属薄膜12a,12b、アウタレンズ13(凸部13a、フランジ部13b)、ハウジング14、光源15、接合部分J、テーパー状部分Tなどを備え、車両外装用照明装置(例えば、フォグランプなど)として用いられる。
【0025】
外装パネル11は長尺板状で貫通孔11aを備え、外装パネル11の表面(前面)には金属薄膜12aが形成され、外装パネル11の裏面(背面)には金属薄膜12bが形成されている。
アウタレンズ13は凸部13aおよびフランジ部13bを備え、外装パネル11と2色成形(ダブルモールド、異材質成形)によって一体形成されている。
凸部13aの表面は平坦状であり、凸部13aの側面には鍔状のフランジ部13bが突設され、凸部13aの側面は凸部13aの表面に対して鈍角を成して裾野状に広がるように傾斜する線形テーパー状に形成され、フランジ部13bの裏面はアウタレンズ13の平坦な裏面と面一になっている。
【0026】
アウタレンズ13の凸部13aは外装パネル11の貫通孔11aに嵌合され、凸部13aの表面は外装パネル11の表面から僅かに突出し、アウタレンズ13のフランジ部13bは外装パネル11の裏面に当接して延出され、フランジ部13bを含むアウタレンズ13の裏面は外装パネル11の裏面から露出されている。
金属薄膜12bは、外装パネル11の裏面におけるアウタレンズ13のフランジ部13bから露出した部分に形成されている。
【0027】
ハウジング14は前面側が開口された長尺箱状であり、ハウジング14の底面には複数個の光源15が取付固定されている。
複数個の光源15は、アウタレンズ13の凸部13aと対向する箇所にて、照明装置10の長手方向に間隔を空けて配置されている。
各光源15の放射光は、アウタレンズ13の凸部13aを通し、照明装置10の長手方向に沿ってその前方側に照射される。
【0028】
ハウジング14の外周側壁の先端部分は、アウタレンズ13のフランジ部13bの裏面に溶着または接着により接合固定されている。
ハウジング14の開口部をアウタレンズ13により完全に閉塞して液密構造にすれば、光源15を雨水から保護して照明装置10の信頼性を高めることができる。
【0029】
[照明装置10の構成部材]
外装パネル11は、アウタレンズ13と2色成形可能で、金属薄膜12a,12bを形成可能な樹脂材料から成り、その樹脂材料には、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、PP(PolyPropylene)、AES(Acrylonitrile Ethylene Styrene)、ASA(Acrylate Styrene Acrylonitrile)などがある。
外装パネル11の樹脂材料のうち、ABSは安価で易めっき性であり射出成形性に優れて剛性が高いため最も好適である。
【0030】
金属薄膜12a,12bは、めっき法またはPVD(Physical Vapor Deposition)法によって形成された金属材料(例えば、スズ、銀、金、クロムなど)の光反射性薄膜から成る。
【0031】
アウタレンズ13は、外装パネル11と2色成形可能であると共に、その表面に金属薄膜12a,12bを形成困難であり、十分な透光性を有する樹脂材料から成り、その樹脂材料には、例えば、PC(Polycarbonate)、PMMA(Polymethyl methacrylate)、PET(Polyethylene Terephthalate)などがある。
アウタレンズ13の樹脂材料のうち、PCは安価で射出成形性および耐候性に優れて透明度が高く難めっき性であるため最も好適である。
【0032】
ハウジング14は、アウタレンズ13と溶着または接着が可能な樹脂材料から成り、射出成形により一体形成されている。
光源15は十分な光量が得られるならばどのような光源を用いてもよく、その光源には、例えば、半導体発光素子(例えば、LED(Light Emitting Diode)チップ、EL(Electro Luminescence)チップ、LD(Laser Diode)チップなど)、電球、蛍光灯などがある。
【0033】
[照明装置10の製造方法]
まず、図3(A)に示すように、外装パネル11およびアウタレンズ13を2色成形によって一体形成する。
すなわち、2色成形では一台の射出成形機を用い、一次金型と共通金型を型締めして一次側成形品のアウタレンズ13を射出成形した後に一次金型のみを取り外し、共通金型にアウタレンズ13を残した状態で二次金型と共通金型を型締めして二次側成形品の外装パネル11を射出成形することにより、異なる樹脂材料から成る外装パネル11とアウタレンズ13が隙間無く密着した状態になるよう熱融着させる。
【0034】
2色成形によれば、外装パネル11とアウタレンズ13を別々に射出成形した後に組み立てる場合に比べて、組み立て工程が不要であるため製造コストを削減することができる。
また、2色成形によれば、先に射出成形しておいたアウタレンズ13を、外装パネル11の射出成形時にインサート成形する場合に比べて、アウタレンズ13の変形や破損を防止した上で、外装パネル11とアウタレンズ13との密着度を高めて確実に一体形成できることに加え、射出成形の工程が1回で済むため製造コストを削減することができる。
【0035】
次に、図3(B)に示すように、アウタレンズ13から露出している外装パネル11の表裏面に、めっき法を用いて金属薄膜12a,12bを形成する。
ここで、アウタレンズ13の樹脂材料を難めっき性のPCにし、外装パネル11の樹脂材料を易めっき性のABSにすれば、マスクなどを用いることなく、外装パネル11の表裏面のみに金属薄膜12a,12bを形成することができる。
続いて、図3(C)に示すように、光源15が取付固定されたハウジング14をアウタレンズ13に取付固定すれば、照明装置10が完成する。
【0036】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態の照明装置10によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0037】
[1−1]照明装置10では、アウタレンズ13(第1材料部)および外装パネル11(第2材料部)が2色成形によって一体形成されているため、外装パネル11とアウタレンズ13が隙間無く密着した状態になるよう熱融着される。
外装パネル11とアウタレンズ13に隙間があると、その隙間の見栄えが悪く、外装パネル11とアウタレンズ13の一体感を感じ難くなるため、照明装置10の美観が損なわれる。
それに対して、照明装置10では、外装パネル11とアウタレンズ13に隙間が無いため、見栄えを良くして美観を高めることができる。
【0038】
[1−2]外装パネル11およびアウタレンズ13が2色成形によって一体形成されているため、照明装置10の構成部品点数が、外装パネル11およびアウタレンズ13(第1部材)と、ハウジング14(第2部材)との2点になる。
それに対して、外装パネル11とアウタレンズ13とハウジング14とを別個の部品にした場合、照明装置の構成部品点数は3点になる。
従って、照明装置10によれば、アウタレンズ13と外装パネル11とハウジング14とを別個の部品にした場合に比べて、部品の組み立て工程が減るため製造コストを削減することができる。
【0039】
[1−3]図1に示すように、アウタレンズ13とハウジング14の接合部分Jは、外装パネル11の裏面側に配置されているため、接合部分Jが外装パネル11によって隠蔽され、照明装置10の前方側からは接合部分Jが視認不能になるため、接合部分Jの見栄えの悪さによって照明装置10の美観が損なわれるのを回避できる。
【0040】
[1−4]アウタレンズ13の一部分であるフランジ部13bが外装パネル11の裏面に延出され、フランジ部13bの裏面にハウジング14が接合されており、フランジ部13bによりアウタレンズ13と外装パネル11の接触面積が増大するため、アウタレンズ13と外装パネル11を強固に熱融着して固定することができる。
また、図1に示すように、フランジ部13bの裏面にハウジング14が接合されているため、アウタレンズ13とハウジング14の接合部分Jが外装パネル11によって完全に隠蔽されることから、前記[1−3]の作用・効果をより確実に得ることができる。
【0041】
[1−5]アウタレンズ13の凸部13aは外装パネル11の表面から突出しているため、外装パネル11の表面に形成された金属薄膜12aは、凸部13aの側面によって係止され、金属薄膜12aの端部がアウタレンズ13の表面まで延出されて乗り上げるのを防止することができる。
アウタレンズ13の表面に金属薄膜12aの端部が乗り上げると、金属薄膜12aの端部がバリ状になるため、触れた人が怪我をするおそれがある上に、見栄えの悪さによって照明装置10の美観が損なわれるという欠点があるが、照明装置10によれば前記欠点を回避することができる。
【0042】
[1−6]アウタレンズ13の凸部13aの側面は、凸部13aの表面に対して鈍角を成して裾野状に広がるように傾斜する線形テーパー状に形成されているため、アウタレンズ13と外装パネル11の接触面積が増大することから、アウタレンズ13と外装パネル11を強固に熱融着して固定することができる。
【0043】
[1−7]外装パネル11の表面に形成された金属薄膜12aが光源15の放射光を遮断するため、外装パネル11に透明な樹脂材料を用いた場合でも、外装パネル11が光源15の放射光を透過しないようにすることができる。
また、金属薄膜12aの光沢や光反射性により、照明装置10の美観を高めることができる。
【0044】
尚、めっき法またはPVD法によって金属薄膜を形成する際には、外装パネル11の表裏面に金属薄膜12a,12bが同時に形成されてしまう。しかし、外装パネル11の裏面の金属薄膜12bは形成する必要が無いため、外装パネル11の裏面をマスクすることにより、金属薄膜12bが形成されないようにしてもよい。
【0045】
[1−8]アウタレンズ13は金属薄膜12a,12bを形成困難な樹脂材料から成るため、外装パネル11およびアウタレンズ13(第1部材)に対して、メッキ法またはPVD法を用いて金属薄膜12a,12bを形成する際に、アウタレンズ13に金属薄膜12a,12bが形成されるのを防止して、外装パネル11にのみ金属薄膜12a,12bを形成することが可能になり、前記[1−8]の作用・効果を確実に得ることができる。
【0046】
<第2実施形態>
図4および図5に示すように、第2実施形態の照明装置20は、外装パネル21(開口部21a、枠体部21b)、ハウジング22(外周側壁部22a)、アウタレンズ23、金属薄膜12a,12b、光源15などを備え、車両外装用照明装置として用いられる。
【0047】
外装パネル21は長尺板状で開口部21aを備え、外装パネル21の裏面には、長尺矩形状の開口部21aを囲む額縁状の枠体部21bが突設されている。
ハウジング22は、前面側が開口された長尺箱状であり、外装パネル21と2色成形によって一体形成されている。
ハウジング22の外周側壁部22aは、外装パネル21の枠体部21bに嵌合されている。
ハウジング22の外周側壁部22aの先端部分は、外装パネル21の開口部21a内に埋没され、外周側壁部22aの先端部分と外装パネル21の表面との間には、開口部21aによる段差が形成されている。
【0048】
アウタレンズ23は長尺平板状であり、外装パネル21の開口部21aに嵌合され、アウタレンズ23の裏面の外周縁部は、ハウジング22の外周側壁部22aの先端部分に対して溶着または接着により接合固定されている。
金属薄膜12aは、外装パネル21の表面および開口部21aの内面に形成されている。
金属薄膜12bは、外装パネル21の裏面および枠体部21bの外周面および先端面に形成されている。
【0049】
ハウジング22の底面には複数個の光源15が取付固定されている。
複数個の光源15は、アウタレンズ23と対向する箇所にて、照明装置20の長手方向に間隔を空けて配置されている。
各光源15の放射光は、アウタレンズ23を透過し、照明装置20の長手方向に沿ってその前方側に照射される。
ハウジング22の開口部は外装パネル21およびアウタレンズ23により完全に閉塞された液密構造になっており、光源15が雨水から保護されて照明装置20の信頼性が高められている。
【0050】
[照明装置20の構成部材]
外装パネル21は、ハウジング22と2色成形可能で、金属薄膜12a,12bを形成可能な樹脂材料から成り、その樹脂材料には、第1実施形態の外装パネル11の前記樹脂材料などを用いればよい。
ハウジング22は、外装パネル21と2色成形可能であると共に、金属薄膜12a,12bを形成困難な樹脂材料から成り、であり、十分な透光性を有する樹脂材料から成り、その樹脂材料には、第1実施形態のアウタレンズ13の前記樹脂材料などを用いればよい。
アウタレンズ23は、ハウジング22と溶着または接着が可能で、十分な透光性を有する樹脂材料から成り、その樹脂材料には、第1実施形態のアウタレンズ13の前記樹脂材料などを用いればよい。
【0051】
[照明装置20の製造方法]
まず、図6(A)に示すように、外装パネル21およびハウジング22を2色成形によって一体形成する。
次に、図6(B)に示すように、ハウジング22から露出している外装パネル21の表裏面に、めっき法またはPVD法を用いて金属薄膜12a,12bを形成する。
続いて、図6(C)に示すように、ハウジング22の底面に光源15を取付固定した後に、アウタレンズ23をハウジング22に取付固定すれば、照明装置20が完成する。
【0052】
[第2実施形態の作用・効果]
第2実施形態の照明装置20によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0053】
[2−1]照明装置20では、ハウジング22(第1材料部)および外装パネル21(第2材料部)が2色成形によって一体形成されており、ハウジング22の外周側壁部22aの先端部分(ハウジング22における外装パネル21の開口部21aから露出された部分)にアウタレンズ23の裏面が接合されている。
すなわち、外装パネル21およびハウジング22(第1部材)に対して、アウタレンズ23(第2部材)だけが別体であり、アウタレンズ23は外装パネル21の開口部21aに嵌合されるため、外装パネル21とアウタレンズ23の公差を小さくすることが可能であり、外装パネル21とアウタレンズ23の隙間をも小さくすることができる。
外装パネル21とアウタレンズ23に大きな隙間があると、その隙間の見栄えの悪さによって照明装置20の美観が損なわれる。
それに対して、照明装置20では、外装パネル21とアウタレンズ23の隙間が小さいため、見栄えを良くして美観を高めることができる。
【0054】
[2−2]外装パネル21およびハウジング22が2色成形によって一体形成されているため、照明装置20の構成部品点数が、外装パネル21およびハウジング22(第1部材)と、アウタレンズ23(第2部材)との2点になる。
それに対して、アウタレンズ23と外装パネル21とハウジング22とを別個の部品にした場合、照明装置の構成部品点数は3点になる。
そのため、照明装置20によれば、外装パネル21とハウジング22とアウタレンズ23とを別個の部品にした場合に比べて、部品の組み立て工程が減るため製造コストを削減することができる。
【0055】
[2−3]外装パネル21の表面に形成された金属薄膜12aが光源15の放射光を遮断するため、外装パネル21に透明な樹脂材料を用いた場合でも、外装パネル21が光源15の放射光を透過しないようにすることができる。
また、金属薄膜12aの光沢や光反射性により、照明装置20の美観を高めることができる。
【0056】
<第3実施形態>
図2および図7に示すように、第3実施形態の照明装置30は、外装パネル11(貫通孔11a)、金属薄膜12a,12b、アウタレンズ13、ハウジング14、光源15、接合部分J、テーパー状部分Tなどを備え、車両外装用照明装置として用いられる。
【0057】
第3実施形態の照明装置30において、第1実施形態の照明装置10と異なるのは、アウタレンズ13のフランジ部13bが省かれ、アウタレンズ13の側面全体がテーパー状部分Tになっている点である。
そして、ハウジング14の外周側壁の先端部分は、アウタレンズ13の裏面の外周縁部に溶着または接着により接合固定されている。
従って、第3実施形態によれば、第1実施形態の前記作用・効果のうち前記[1−4]を除く作用・効果を得ることができる。
尚、第3実施形態におけるアウタレンズ13のテーパー状部分Tは、第1実施形態におけるアウタレンズ13のフランジ部13bと同様に機能するため、第3実施形態においても、前記[1−4]と同等の作用・効果を得ることができる。
【0058】
また、第3実施形態では、アウタレンズ13とハウジング14の接合部分Jが、アウタレンズ13のテーパー状部分Tの裏面側に配置されているため、接合部分Jが外装パネル11によって完全に隠蔽されることから、第1実施形態の前記[1−3]の作用・効果をより確実に得ることができる。
【0059】
<別の実施形態>
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0060】
[A]金属薄膜12a,12bを省き、光源15の放射光を透過しない不透明な樹脂材料によって外装パネル11を形成してもよい。
[B]金属薄膜12a,12bを、光源15の放射光を透過しない不透明な塗膜に置き換えてもよい。
[C]第1実施形態において、アウタレンズ13のテーパー状部分Tは、線形テーパー状に限らず、アウタレンズ13の表面から裾野状に広がるように傾斜していれば、どのようなテーパー状に形成してもよい。
【0061】
<用語の説明>
[特許請求の範囲]および[課題を解決するための手段]に記載した構成要素と、[発明を実施するための形態]に記載した構成部材との対応関係は以下のようになっている。
【0062】
「第1部材」は、第1実施形態および第3実施形態では外装パネル11およびアウタレンズ13に該当し、第2実施形態では外装パネル21およびハウジング22に該当する。
「第2部材」は、第1実施形態および第3実施形態ではハウジング14に該当し、第2実施形態ではアウタレンズ23に該当する。
「第1材料部」は、第1実施形態および第3実施形態ではアウタレンズ13に該当し、第2実施形態ではハウジング22に該当する。
「第2材料部」は、第1実施形態および第3実施形態では外装パネル11に該当し、第2実施形態では外装パネル21に該当する。
【0063】
本発明は、前記各局面および前記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0064】
10,20,30…照明装置
11,21…外装パネル
12a,12b…金属薄膜
13,23…アウタレンズ
13a…凸部
13b…フランジ部
14,22…ハウジング
15…光源
J…接合部分
T…テーパー状部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7