特許第6645461号(P6645461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000002
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000003
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000004
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000005
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000006
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000007
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000008
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000009
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000010
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000011
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000012
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000013
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000014
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000015
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000016
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000017
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000018
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000019
  • 特許6645461-コンベヤシステム 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645461
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】コンベヤシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20200203BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B65G47/52 C
   B65G47/90 B
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-44827(P2017-44827)
(22)【出願日】2017年3月9日
(65)【公開番号】特開2018-145001(P2018-145001A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年6月21日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [展示会名] 国際物流総合展2016 [展示日] 平成28年9月13日 [開催場所] 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1) [刊行物等] [展示会名] TOKYO PACK 2016 [展示日] 平成28年10月4日 [開催場所] 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1)
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】瀬原 大輔
【審査官】 松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−021525(JP,U)
【文献】 特開平05−077927(JP,A)
【文献】 特開2015−042586(JP,A)
【文献】 特開平06−239447(JP,A)
【文献】 特開2014−001078(JP,A)
【文献】 特開2015−042587(JP,A)
【文献】 特開2010−052878(JP,A)
【文献】 実開平05−032319(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/52,47/56−47/62,47/66
B65G 47/90
B65G 1/00−1/20
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段と下段を有する二段構造であって、物品をピッキング位置へ搬送するコンベヤシステムであって、
昇降可能であり、上段に設けられて前記物品を搬送する第1コンベヤと、
前記第1コンベヤの下流側に平面視では前記第1コンベヤに重ならない位置に設けられた複数条の部材であって、前記第1コンベヤと側面視で重なる位置においての上下方向への相対移動により前記第1コンベヤから前記物品を受け取り、次に下流側へスライド移動することによって前記第1コンベヤから下流側に突出することが可能な上段受け渡し部材と、
前記上段受け渡し部材と平面視で重ならない位置に設けられた複数条の部材であって、突出位置にある前記上段受け渡し部材と側面視で重なる位置において相対的に上方へ移動することによって前記上段受け渡し部材から前記物品を受け取り、次に前記上段受け渡し部材が前記第1コンベヤ側の位置へ移動した後に、下降することによって前記物品を下段へ移動させる昇降テーブルと、
下段に前記昇降テーブルとは平面視で重ならない位置に設けられ、前記昇降テーブルと側面視で重なる位置において前記昇降テーブルを相対的に下方へ移動させることによって前記物品を受け取り、その後に前記第1コンベヤとは逆側へ前記物品を搬送する第2コンベヤと、
を備え、
前記第1コンベヤは、前記物品を載せた状態で前記上段受け渡し部材に対して下方に移動することで、前記上段受け渡し部材に前記物品を受け渡し、
前記上段受け渡し部材に設けられ、前記第1コンベヤが前記上段受け渡し部材に対して下方に移動することで前記上段受け渡し部材に前記物品を受け渡すときに、前記上段受け渡し部材の上で前記物品を位置決めするガイドをさらに備える、コンベヤシステム。
【請求項2】
上段と下段を有する二段構造であって、物品をピッキング位置へ搬送するコンベヤシステムであって、
昇降可能であり、上段に設けられて前記物品を搬送する第1コンベヤと、
前記第1コンベヤの下流側に平面視では前記第1コンベヤに重ならない位置に設けられた複数条の部材であって、前記第1コンベヤと側面視で重なる位置においての上下方向への相対移動により前記第1コンベヤから前記物品を受け取り、次に下流側へスライド移動することによって前記第1コンベヤから下流側に突出することが可能な上段受け渡し部材と、
前記上段受け渡し部材と平面視で重ならない位置に設けられた複数条の部材であって、突出位置にある前記上段受け渡し部材と側面視で重なる位置において相対的に上方へ移動することによって前記上段受け渡し部材から前記物品を受け取り、次に前記上段受け渡し部材が前記第1コンベヤ側の位置へ移動した後に、下降することによって前記物品を下段へ移動させる昇降テーブルと、
下段に前記昇降テーブルとは平面視で重ならない位置に設けられ、前記昇降テーブルと側面視で重なる位置において前記昇降テーブルを相対的に下方へ移動させることによって前記物品を受け取り、その後に前記第1コンベヤとは逆側へ前記物品を搬送する第2コンベヤと、
を備え
前記第1コンベヤは、前記物品を載せた状態で前記上段受け渡し部材に対して下方に移動することで、前記上段受け渡し部材に前記物品を受け渡し、
前記昇降テーブルに設けられ、前記昇降テーブルが前記上段受け渡し部材に対して上方に移動することで前記上段受け渡し部材から前記物品を受け取るときに、前記昇降テーブルの上で前記物品を位置決めするガイドをさらに備える、コンベヤシステム。
【請求項3】
前記昇降テーブルの近傍に設けられたピッキングロボットと、
前記上段のさらに上方に設けられた第1の撮像手段と、
前記第1の撮像手段の出力に基づいて前記ピッキングロボットにピッキング動作をさせるコントローラと、
をさらに備える、請求項1又は2に記載のコンベヤシステム。
【請求項4】
前記昇降テーブルが上昇して前記物品を前記昇降テーブルに載せた後に、前記ピッキングロボットがピッキング動作を行い、
前記ピッキング動作中に前記上段受け渡し部材が前記第1コンベヤ側の位置に移動する、請求項3に記載のコンベヤシステム。
【請求項5】
前記昇降テーブルの上方に配置された第2の撮像手段をさらに備え、
前記コントローラは、前記第1の撮像手段及び前記第2の撮像手段の出力に基づいて、前記上段受け渡し部材又は前記昇降テーブルでの動きによる前記ピッキング位置での物品のずれの有無を確認する、請求項に記載のコンベヤシステム。
【請求項6】
前記第1コンベヤ、前記上段受け渡し部材、前記昇降テーブル及び前記第2コンベヤの組は、平行に並んだ2組あり、
前記ピッキングロボットは、前記2組の下流側端部の中央に配置されている、請求項3〜のいずれかに記載のコンベヤシステム。
【請求項7】
前記ピッキングロボットに対して前記第1コンベヤ、前記上段受け渡し部材、前記昇降テーブル及び前記第2コンベヤの反対側に配置され、集品容器を搬送する投入コンベヤをさらに備える、請求項3〜のいずれかに記載のコンベヤシステム。
【請求項8】
前記投入コンベヤに接続された転換コンベヤと、
前記転換コンベヤを介して前記投入コンベヤに接続され、前記第1コンベヤと平行に配置された集品容器搬出入コンベヤとをさらに備える、請求項に記載のコンベヤシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤシステムに関し、特に、物品をピッキング位置へ搬送するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動倉庫において、在庫容器内の荷物を集品容器内に組み合わせて積み込むためのピッキングシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載のピッキング装置3は、ピッキングロボット31を有している。ピッキングロボット31は、単載ライン29上にあるバケット(在庫容器)から混載ライン27上にあるバケット(集品容器)に荷物を移し替える。この結果、混載ライン27の各バケットに複数種類の荷物が移載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−52878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ピッキングシステムではピッキング能力(時間当たりのピッキング数)の向上が強く求められている。その要求を実現するためには、ピッキング位置に物品を搬送するコンベヤシステムの搬送能力の向上が必要である。
【0005】
本発明の目的は、ピッキングシステムにおいてピッキング能力を向上させるために、コンベヤシステムの搬送能力を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係るコンベヤシステムは、上段と下段を有する二段構造であって、物品をピッキング位置へ搬送する。コンベヤシステムは、第1コンベヤと、上段受け渡し部材と、昇降テーブルと、第2コンベヤとを備えている。
第1コンベヤは、上段に設けられて物品を搬送する。
上段受け渡し部材は、第1コンベヤの下流側に平面視では第1コンベヤに重ならない位置に設けられた複数条の部材である。上段受け渡し部材は、第1コンベヤと側面視で重なる位置においての上下方向への相対移動により、第1コンベヤから物品を受け取る。上段受け渡し部材は、次に下流側へスライド移動することによって、第1コンベヤから下流側に突出する。
昇降テーブルは、上段受け渡し部材と平面視で重ならない位置に設けられた複数条の部材である。昇降テーブルは、突出位置にある上段受け渡し部材と側面視で重なる位置において相対的に上方へ移動することによって、上段受け渡し部材から物品を受け取る。昇降テーブルは、次に上段受け渡し部材が第1コンベヤ側の位置へ移動した後に、下降することによって物品を下段へ移動させる。
第2コンベヤは、下段に昇降テーブルとは平面視で重ならない位置に設けられ、昇降テーブルと側面視で重なる位置において昇降テーブルを相対的に下方へ移動させることによって物品を受け取る。第2コンベヤは、その後に第1コンベヤとは逆側へ物品を搬送する。
なお、一例として、「物品」とは在庫容器に入った複数の物である。
このコンベヤシステムでは、上段で物品を搬入し下段から物品を搬出することで、全体の設置スペースをコンパクトにできる。
このコンベヤシステムでは、例えば、上段受け渡し部材が下流側へスライド移動することによって第1コンベヤから下流側に突出したときに、物品がピッキング位置に位置する。そして、昇降テーブルを降下させている間に、第1コンベヤ及び上段受け渡し部材が動作することで次の物品をピッキング位置に搬送する準備ができる。つまり、ピッキング作業を連続実行できる。
【0008】
第1コンベヤは、昇降可能であってもよい。
第1コンベヤは、物品を載せた状態で上段受け渡し部材に対して下方に移動することで、上段受け渡し部材に物品を受け渡してもよい。
このコンベヤシステムでは、第1コンベヤが昇降するので、上段受け渡し部材は昇降する必要がなくスライド移動のみでよい。したがって、上段受け渡し部材を駆動する機構が簡単になる。
【0009】
コンベヤシステムは、
昇降テーブルの近傍に設けられたピッキングロボットと、
上段のさらに上方に設けられた撮像手段と、
撮像手段の出力に基づいてピッキングロボットにピッキング動作をさせるコントローラと、をさらに備えていてもよい。
なお、一例として「ピッキング動作」とは、在庫容器から物を取り出して集品容器に移載することである。
このコンベヤシステムでは、撮像手段を上段のさらに上方に配置することで、余分なスペースを設けることなく全体を視野に含む画像を撮影できる。その結果、ロボットによるピッキング作業がより確実になる。
【0010】
撮像手段は第1コンベヤ又は上段受け渡し部材の上方に設けられていてもよい。
このコンベヤシステムでは、ピッキング位置の手前位置で物品を撮像することにより、事前にロボット動作の計算ができる。その結果、ピッキング作業を連続して行うことができる。
コンベヤシステムは、昇降テーブルの上方に配置された第2の撮像手段をさらに備えていてもよい。
コントローラは、第1の撮像手段及び第2の撮像手段の出力に基づいて、上段受け渡し部材又は昇降テーブルでの動きによるピッキング位置での物品のずれの有無を確認してもよい。
このコンベヤシステムでは、コントローラは第2の撮像手段からの出力に関しては第1の撮像手段からの出力に比べて物品のずれの有無のみを確認するので、画像認識の時間を短縮しつつ正確な物品位置情報を得ることができる。
【0011】
コンベヤシステムは、上段受け渡し部材及び昇降テーブルの少なくとも一方に設けられ、物品の位置決めを行うガイドをさらに備えていてもよい。
この装置では、例えばガイドによって物品が上段受け渡し部材の上で正確に位置決めされる。このように機械的な構成で物品を位置決めすることで、物品を撮像する時間を削減できる。
【0012】
第1コンベヤ、上段受け渡し部材、昇降テーブル及び第2コンベヤの組は、平行に並んで2組あってもよい。
ピッキングロボットは、2組の下流側端部の中央に配置されていてもよい。
このコンベヤシステムでは、一方の組の昇降テーブルの降下準備動作中に、他方の組で物品をピッキングできる。つまり、ピッキング作業を連続して行うことができる。
【0013】
コンベヤシステムは、投入コンベヤをさらに備えていてもよい。投入コンベヤは、ピッキングロボットに対して第1コンベヤ、上段受け渡し部材、昇降テーブル及び第2コンベヤの反対側に配置され、集品容器を搬送する。
このコンベヤシステムでは、ピッキングロボットの動作範囲内に投入コンベヤを備えることで、物品を集品容器に投入する動作も連続して行うことができる。
【0014】
コンベヤシステムは、
投入コンベヤに接続された転換コンベヤと、
転換コンベヤを介して投入コンベヤに接続され、第1コンベヤと平行に配置された集品容器搬出入コンベヤと、
をさらに備えていてもよい。
このコンベヤシステムでは、転換コンベヤを備えることで、物品を搬送するコンベヤと仕分けした物品を搬送するコンベヤを平行に配置できる。この結果、コンベヤシステムは、同一の自動倉庫又は並べて配置した自動倉庫へ物品を入出庫できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るコンベヤシステムでは、搬送能力を向上することで、ピッキングシステムのピッキング能力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態のピッキングシステムの概略平面図。
図2】コンベヤ装置の概略平面図。
図3】コンベヤシステムの制御構成を示すブロック図。
図4】コンベヤシステムにおける個々の在庫バケットの搬送動作の順序を示すフローチャート。
図5】在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図。
図6】在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図。
図7】在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図。
図8】在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図。
図9】在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図。
図10】在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図。
図11】在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図。
図12】在庫バケットの搬送動作を示す模式的平面図。
図13】在庫バケットの搬送動作を示す模式的平面図。
図14】在庫バケットの搬送動作を示す模式的平面図。
図15】撮像された画像の一例を示す図。
図16】第2実施形態の自動倉庫システムを示す模式的平面図。
図17】第3実施形態の昇降テーブルを示す模式的平面図。
図18】第4実施形態の昇降テーブルを示す模式的平面図。
図19】他の実施形態の在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1実施形態
(1)全体構成
図1を用いて、本発明の第1実施形態として、在庫コンベヤ装置5が採用されたピッキングシステム1を説明する。図1は、第1実施形態のピッキングシステムの概略平面図である。なお、図1の左右方向を第1方向(矢印X)とし、図1の上下方向を第2方向(矢印Y)とする。
【0018】
ピッキングシステム1は、要求された物品をピッキングする装置であり、具体的には、複数のバケット(それぞれに別の商品又は物品Aが入っている)から別のバケットに荷物を組み合わせて移載するための装置である。例えば、ピッキングシステム1は、各種工場やいわゆる配送センターに採用され、店舗や他の中間の配送センターからのオーダーを受け取ると、オーダーに応じて物品Aを組み合わせてバケットに投入する。具体的には、商品は、店舗又は他の配送センター別に仕分けされる。
ピッキングシステム1は、在庫コンベヤ装置5を有している。在庫コンベヤ装置5は、在庫バケット7をピッキング位置に搬送する装置である。在庫バケット7には、単種類の物品Aがそれぞれ収納されている。
【0019】
ピッキングシステム1は、集品用コンベヤ装置9を有している。集品用コンベヤ装置9は、集品バケット11をピッキング位置に搬送する装置である。ピッキング動作後には、集品バケット11には、複数の種類の物品Aが混載される。
ピッキングシステム1は、ピッキングロボット15を有している。ピッキングロボット15は、在庫コンベヤ装置5上のピッキング位置にある在庫バケット7内の物品Aを、集品用コンベヤ装置9上の集品バケット11に投入するための装置である。ピッキングロボット15は、ロボットアーム及びそれを駆動するためのピッキング駆動部を有している。さらに、ピッキングロボット15は、先端に吸着保持部及びカメラを有しており、物品Aを吸着保持及び吸着解除が可能である。
なお、以下の説明では物品Aの搬送については、説明の便宜のために、「在庫バケット7を搬送する」、「集品バケット11を搬送する」といった表現を用いる。
【0020】
(2)装置のレイアウト及び基本動作
在庫コンベヤ装置5は、第1在庫コンベヤ装置5Aと第2在庫コンベヤ装置5Bとを有している。第1在庫コンベヤ装置5Aと第2在庫コンベヤ装置5Bは、隣接して配置されており、第1方向に延びて平行に並んでいる。以下、第1在庫コンベヤ装置5Aを説明する。
第1在庫コンベヤ装置5Aは、上段において在庫バケット7を図左側(上流側)から図右側(下流側)に搬送して、図右端のピッキング位置に移動させる。そして、第1在庫コンベヤ装置5Aは、在庫バケット7を下段に移動させ、次に下段において在庫バケット7を図右側から図左側に搬送する。第1在庫コンベヤ装置5Aの構造は、後に詳細に説明される。
【0021】
集品用コンベヤ装置9は、集品バケット搬入コンベヤ9A(物品搬入コンベヤの一例)と、ピッキング用コンベヤ9B(物品投入コンベヤの一例)と、集品バケット搬出コンベヤ9Cとを有している。集品用コンベヤ装置9の搬送面高さは、在庫コンベヤ装置5の上段の搬送面高さ程度である。集品バケット搬入コンベヤ9Aと集品バケット搬出コンベヤ9Cは、第1方向に延びており、第1コンベヤ21と平行に配置されている。ピッキング用コンベヤ9Bは、集品バケット搬入コンベヤ9Aと集品バケット搬出コンベヤ9Cの端部同士を連結するように第2方向に延びている。これにより、集品用コンベヤ装置9は、コの字型になっている。
より具体的には、集品バケット搬入コンベヤ9A及び集品バケット搬出コンベヤ9Cは、在庫コンベヤ装置5の図上下両側に配置されている。さらに、ピッキング用コンベヤ9Bは、在庫コンベヤ装置5の第1方向片側(図右側)に配置されている。なお、集品バケット搬入コンベヤ9Aとピッキング用コンベヤ9Bと間には第1転換コンベヤ10Aが設けられており、ピッキング用コンベヤ9Bと集品バケット搬出コンベヤ9Cとの間には第2転換コンベヤ10Bが設けられている。
なお、ピッキング用コンベヤ9Bは2列からなり、第1転換コンベヤ10A及び第2転換コンベヤ10Bもそれぞれ2組である。つまり、第2転換コンベヤ10B(物品転換コンベヤの一例)は、複数のピッキング用コンベヤ9Bに対応するように複数設けられており、集品バケット搬出コンベヤ9C(物品搬出コンベヤの一例)は、複数の第2転換コンベヤ10Bを介して複数のピッキング用コンベヤ9Bから集品バケット11が搬入されるように配置されている。
【0022】
上記レイアウトの第1の効果として、ピッキングロボット15の稼働範囲B(後述)内にピッキング用コンベヤ9Bを備えることで、物品Aを集品バケット11に投入する動作を連続して行うことができる。
上記レイアウトの第2の効果として、第1転換コンベヤ10A及び第2転換コンベヤ10Bを備えることで、仕分け前の物品Aを搬送するコンベヤと仕分け後の物品Aを搬送するコンベヤを平行に配置できる。この結果、在庫コンベヤ装置5は、同一の自動倉庫又は並べて配置した自動倉庫へ物品Aを入出庫できる。
【0023】
集品バケット搬入コンベヤ9A、ピッキング用コンベヤ9Bと、集品バケット搬出コンベヤ9Cは、ローラコンベヤであって、その駆動機構は公知の技術である。また、第1転換コンベヤ10A及び第2転換コンベヤ10Bも公知の技術である。
集品バケット搬入コンベヤ9Aは、集品バケット11を第1方向において図左側から図右側に搬送する。ピッキング用コンベヤ9Bは集品バケット11を第2方向において図上側から図下側に搬送する。具体的には、ピッキング用コンベヤ9Bは、集品バケット11をピッキングロボット15の近傍のピッキング位置まで移動させ、ピッキング終了後には当該集品バケット11をピッキング位置から第2方向において図下側に移動させる。集品バケット搬出コンベヤ9Cは、集品バケット11を第1方向において図右側から図左側に搬送する。
【0024】
ピッキングロボット15は、第1在庫コンベヤ装置5A及び第2在庫コンベヤ装置5Bの第1方向片側端(図右端)同士の間に配置されている。ピッキングロボット15の稼働範囲Bは円として描かれている。具体的には、ピッキングロボット15は、第1在庫コンベヤ装置5A及び第2在庫コンベヤ装置5Bの下流側端部の中央に配置されている。また、集品用コンベヤ装置9のピッキング用コンベヤ9Bは、ピッキングロボット15に対して、第1在庫コンベヤ装置5A及び第2在庫コンベヤ装置5Bの第1方向反対側に配置されている。ピッキングロボット15は、ピッキング位置にある在庫バケット7内の物品Aを、ピッキング用コンベヤ9Bのピッキング位置にある集品バケット11に移載する。
ピッキングロボット15の動作の一例を説明する。ピッキングロボット15が第1在庫コンベヤ装置5Aにある在庫バケット7から物品をピッキング用コンベヤ9Bの手前側にある集品バケット11に移動している間に、第2在庫コンベヤ装置5Bでは在庫バケット7を入れ替えることで次のピッキングを準備できる。また、ピッキング用コンベヤ9Bの他方では、集品バケット11を入れ替えることができる。
【0025】
(3)コンベヤ装置の詳細説明
図2を用いて、在庫コンベヤ装置5を説明する。図2は、コンベヤ装置の概略平面図である。なお、適宜、図5図14も説明に用いる。図5図11は、在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図である。図12図14は、在庫バケットの搬送動作を示す模式的平面図である。ただし、第1在庫コンベヤ装置5Aと第2在庫コンベヤ装置5Bの構造は同じであるので、以下構造の説明は第1在庫コンベヤ装置5Aについてのみ行う。
第1在庫コンベヤ装置5Aは、図5に示すように、上段と下段を有する二段構造であって、在庫バケット7をピッキング位置へ搬送するための装置である。
【0026】
第1在庫コンベヤ装置5Aは、第1コンベヤ21を有している。第1コンベヤ21は、上段に設けられており、図12及び図13に示すように在庫バケット7を図左の上流側から図右の下流側に搬送するための装置である。具体的には、第1コンベヤ21は、図2図12図14に示すように、第1方向に長く延びる2条のベルトコンベヤである。また、第1コンベヤ21は上下方向に移動可能になっている。なお、第1コンベヤ21の上流側には別のコンベヤ22が設けられているが、公知の技術であるので説明を省略する。
第1在庫コンベヤ装置5Aは、上段受け渡し部材23を有している。上段受け渡し部材23は、第1コンベヤ21から在庫バケット7を受け渡され、次に昇降テーブル25に在庫バケット7を受け渡すための装置である。上段受け渡し部材23は、第1コンベヤ21の下流側に平面視では第1コンベヤ21に重ならない位置に設けられた複数条の部材である。具体的には、上段受け渡し部材23は、第1方向に長く延び第1コンベヤ21の各条と交互に並んだ3条の部材である。上段受け渡し部材23は、図12及び図13に示す第1位置(収納位置)と、図2及び図14に示す第2位置(突出位置)との間で第1方向にスライド可能である。
第1コンベヤ21が、在庫バケット7を載せた状態で、図6に示すように、上段受け渡し部材23と側面視で重なる位置において、第1位置にある上段受け渡し部材23に対して下方に移動することで、上段受け渡し部材23に在庫バケット7を受け渡す。上段受け渡し部材23は、次に下流側へスライド移動して第2位置に移動することで、図2図7及び図14に示すように、第1コンベヤ21から下流側に突出する。これにより、在庫バケット7はピッキング位置に配置される。
【0027】
上段受け渡し部材23には、図13及び図14に示すように、在庫バケット7の位置決めを行うガイド61が設けられている。したがって、ガイド61によって在庫バケット7が上段受け渡し部材23の上で第1方向に正確に位置決めされる。
なお、ガイド61は在庫バケット7の第1方向の位置決めを行っているが、その代わりに又は追加で、在庫バケット7の第2方向の位置決めを行うガイドが設けられていてもよい。
【0028】
第1在庫コンベヤ装置5Aは、昇降テーブル25を有している。昇降テーブル25は、上段受け渡し部材23と平面視で重ならない位置に設けられた複数条(2条)の部材である。昇降テーブル25の近傍には、ピッキングロボット15が設けられている。
昇降テーブル25は、図9に示すように、第2位置にある上段受け渡し部材23と側面視で重なる位置において相対的に上方へ移動することによって、上段受け渡し部材23から在庫バケット7を受け取る。昇降テーブル25は、次に図10に示すように上段受け渡し部材23が第1コンベヤ21側の位置へ移動した後に、図11に示すように下降することによって在庫バケット7を下段へ移動させる。
【0029】
第1在庫コンベヤ装置5Aは、第2コンベヤ27を有している。第2コンベヤ27は、下段に昇降テーブル25とは平面視で重ならない位置に設けられている。第2コンベヤ27は、図11に示すように、昇降テーブル25と側面視で重なる位置において昇降テーブル25が相対的に下方へ移動することによって、在庫バケット7を受け取る。第2コンベヤ27は、その後に第1コンベヤ21とは逆側へ(第1方向の図左側に)在庫バケット7を搬送する。なお、第2コンベヤ27の下流側には別のコンベヤ28が設けられているが、公知の技術であるので説明を省略する。
【0030】
上記構成の第1の効果として、第1在庫コンベヤ装置5Aでは、上段で在庫バケット7を搬入して下段から在庫バケット7を搬出することで、全体の設置スペースをコンパクトにできる。
上記構成の第2の効果として、ピッキング動作を連続実行できる。具体的には、ピッキングが終了した在庫バケット7が昇降テーブル25によって降下させられているときに、第1コンベヤ21及び上段受け渡し部材23が動作することで、次の在庫バケット7をピッキング位置に搬送する準備ができる。つまり、各ピッキング動作の間の時間が短くなる。
【0031】
上記構成の第3の作用効果として、第1コンベヤ21が昇降するので、上段受け渡し部材23は昇降する必要がなくスライド移動のみでよい。したがって、上段受け渡し部材23を移動する機構が簡単になる。
第1在庫コンベヤ装置5Aは、上段のさらに上方に設けられたカメラ31を有している。具体的には、カメラ31は第1コンベヤ21の上方に設けられている。カメラ31は、図5図6及び図14に示すカメラ撮影位置にある在庫バケット7の内容を、上方から撮影する。このようにカメラ31を上段のさらに上方に配置することで、余分なスペースを設けることなく全体を視野に含む画像を撮影できる。その結果、ピッキングロボット15によるピッキング動作がより確実になる。
【0032】
(4)第1コンベヤ装置の制御構成
図3を用いて、第1在庫コンベヤ装置5Aの制御構成を説明する。図3は、コンベヤシステムの制御構成を示すブロック図である。
第1在庫コンベヤ装置5Aは、コントローラ35を有している。
コントローラ35は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。コントローラ35は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0033】
コントローラ35は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
コントローラ35の各要素の機能は、一部又は全てが、コントローラ35を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、コントローラ35の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0034】
コントローラ35には、第1コンベヤ搬送駆動部41が接続されている。第1コンベヤ搬送駆動部41は、第1コンベヤ21のベルトコンベヤを駆動するための機構であり、モータ、駆動力伝達部材などを有している。
コントローラ35には、第1コンベヤ昇降駆動部43が接続されている。第1コンベヤ昇降駆動部43は、第1コンベヤ21のベルトコンベヤ全体を昇降するための機構であり、モータ、駆動力伝達部材などを有している。
【0035】
コントローラ35には、上段受け渡し部材スライド駆動部45が接続されている。上段受け渡し部材スライド駆動部45は、上段受け渡し部材23をスライド駆動するための機構であり、モータ、駆動力伝達部材などを有している。
コントローラ35には、昇降テーブル昇降駆動部47が接続されている。昇降テーブル昇降駆動部47は、昇降テーブル25を昇降するための機構であり、モータ、駆動力伝達部材などを有している。
【0036】
コントローラ35には、第2コンベヤ搬送駆動部49が接続されている。第2コンベヤ搬送駆動部49は、第2コンベヤ27のベルトコンベヤを駆動するための機構であり、モータ、駆動力伝達部材などを有している。
コントローラ35には、ピッキングロボット15が接続されている。コントローラ35は駆動指令をピッキングロボット15に送信する。
コントローラ35には、カメラ31が接続されている。コントローラ35は、カメラ31の動作を制御すると共に、撮像データを受け取って保存する。
【0037】
コントローラ35は、カメラ31の出力(画像)を分析する画像分析手段35aを有している。コントローラ35は、分析結果に基づいてピッキングロボット15にピッキング動作をさせる。
コントローラ35には、図示しないが、対象物の大きさ、形状及び位置検出するセンサ、各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ、並びに情報入力装置が接続されている。
【0038】
コントローラ35には、外部よりピッキング指令が送信されてくる。それに基づき、コントローラ35は、各種装置を制御することでピッキング動作を実行する。
なお、図示していないが、コントローラ35は集品用コンベヤ装置9に駆動指令を送信可能である。
【0039】
(5)第1コンベヤ装置の制御動作
図4を用いて、第1在庫コンベヤ装置5Aの制御動作を説明する。なお、各装置の動作は、コントローラ35から各種駆動装置への指令の結果であり、これらはソフトウェア・アプリケーションの各ステップによって表現される。図4は、コンベヤシステムにおける個々の在庫バケットの搬送動作の順序を示すフローチャートである。
なお、以下に説明する制御フローチャートは例示であって、各ステップは必要に応じて省略及び入れ替え可能である。また、複数のステップが同時に実行されたり、一部又は全てが重なって実行されたりしてもよい。
さらに、制御フローチャートの各ブロックは、単一の制御動作とは限らず、複数のブロックで表現される複数の制御動作に置き換えることができる。
【0040】
ステップS1では、第1コンベヤ21に在庫バケット7が供給される。
ステップS2では、図5及び図13に示すように、第1コンベヤ21が在庫バケット7をカメラ撮影位置に搬送する。具体的には、コントローラ35が、第1コンベヤ搬送駆動部41に駆動指令を送信して上記動作を実行させる。
【0041】
ステップS3では、図6に示すように、第1コンベヤ21が下降して、その結果、在庫バケット7が上段受け渡し部材23に載る。具体的には、コントローラ35が、第1コンベヤ昇降駆動部43に駆動指令を送信して上記動作を実行させる。このときにガイド61によって在庫バケット7を位置決めすることで、在庫バケット7内の物品Aを撮像する時間を削減できる。
ステップS4では、図6に示す状態において、カメラ31が在庫バケット7内を撮影する。具体的には、コントローラ35がカメラ31を駆動して撮影を行い、撮像データを取り込む。ステップS4はステップS3より先に行われてもよい。このようにピッキング位置の手前位置で在庫バケット7内の物品Aを撮像することにより、事前にロボット動作の計算ができる。その結果、在庫バケット7をピッキング位置に搬送してからピッキング動作を開始するまでの時間を短くできる。この結果、ピッキング動作を連続して行うことができる。
【0042】
ステップS5では、画像分析が行われる。具体的には、コントローラ35の画像分析手段35aが画像分析を行い、図15に示すように、在庫バケット7内の物品Aの位置・個数等を把握する。ステップS5のタイミングは特に限定されず、ステップS10のピッキング動作までに終了すればよい。図15は、撮像された画像の一例を示す図である。
ステップS6では、図7及び図14に示すように、上段受け渡し部材23が第2位置に移動する。具体的には、コントローラ35が、上段受け渡し部材スライド駆動部45に駆動指令を送信して、上記動作を実行させる。
【0043】
ステップS7では、図8に示すように、第1コンベヤ21が上昇する。具体的には、コントローラ35が、第1コンベヤ昇降駆動部43に駆動指令を送信して、上記動作を実行させる。ステップS7のタイミングは特に限定されない。
ステップS8では、図9に示すように、昇降テーブル25が上昇して、在庫バケット7が昇降テーブル25に載る。具体的には、コントローラ35が、昇降テーブル昇降駆動部47に駆動指令を送信して、上記動作を実行させる。
【0044】
ステップS9では、図10に示すように、上段受け渡し部材23が第1位置に移動する。具体的には、コントローラ35が、上段受け渡し部材スライド駆動部45に駆動指令を送信して、上記動作を実行させる。なお、ステップS9は後述するステップS10のピッキング動作中に実行されてもよい。
ステップS10では、図10に示すように、ピッキングロボット15がピッキング動作を行う。具体的には、コントローラ35が、ピッキングロボット15のピッキング駆動部に駆動指令を送信して、ロボットアーム、吸着保持部等によって上記動作を実行させる。このピッキング動作において、在庫バケット7は、図13のカメラ撮影位置で上段受け渡し部材23によって位置決めされ、その状態を維持したままで図14のピッキング位置まで搬送されている。したがって、ピッキング動作時の撮像を不要又は簡略化(例えば、在庫バケット7の枠サイズの撮像を省略)しても、正確なピッキング動作が可能である。なお、ステップS10はステップS8より先に実行されてもよい。
【0045】
ステップS11では、図11に示すように、昇降テーブル25が下降して、その結果、在庫バケット7が第2コンベヤ27に載る。具体的には、コントローラ35が、昇降テーブル昇降駆動部47に駆動指令を送信して、上記動作を実行させる。なお、第1在庫コンベヤ装置5Aにおいて昇降テーブル25下降動作中に、ピッキングロボット15は第2在庫コンベヤ装置5Bで在庫バケット7から物品Aをピッキングできる。つまり、ピッキング動作を連続して行うことができる。
ステップS12では、第2コンベヤ27が在庫バケット7を搬送する。具体的には、コントローラ35が、第2コンベヤ搬送駆動部49に駆動指令を送信して上記動作を実行させる。
【0046】
2.第2実施形態
図16を用いて、自動倉庫システム101を説明する。図16は、自動倉庫システムを示す模式的平面図である。
自動倉庫システム101は、自動倉庫103と、前述のピッキングシステム1とを備えている。ピッキングシステム1は、自動倉庫103の背面に沿って複数配置されている。
【0047】
自動倉庫103は、ラック105と、軌道107と、スタッカクレーン109とを備えている。自動倉庫103は、入庫ステーション及び出庫ステーション(図示せず)を有している。ラック105は、直線状に延びており、上下・左右に多数の荷物収納棚を有している。ラック105の荷物収棚は、在庫バケット7及び集品バケット11を収納している。
軌道107は、ラック105の手前にラック105に沿って一直線状に延びている。軌道107の両端には、入庫ステーション及び出庫ステーションが配置されている。
スタッカクレーン109は、走行台車と、それに設けられたマストに昇降自在な昇降台と、それに設けられた荷物移載装置(例えば、前後方向に摺動自在に設けられたスライドフォーク)とを有している。スタッカクレーン109は、入庫ステーション、出庫ステーション、及びラック105の各棚との間で相互にバケットを移載可能である。
【0048】
ピッキングシステム1は、在庫コンベヤ装置5の第1在庫コンベヤ装置5A及び第2在庫コンベヤ装置5Bの端部と、集品用コンベヤ装置9の集品バケット搬入コンベヤ9A及び集品バケット搬出コンベヤ9Cの端部がラック105の背面(側面)に接続されている。ラック105には、前述の装置の端部に接続された複数のコンベヤ111が設けられている。各コンベヤ111は、ラック105内を延びて、軌道107に近接する位置まで延びている。各コンベヤ111は、ピッキングシステム1の各コンベヤに対応する高さに設けられている。
これにより、スタッカクレーン109がコンベヤ111に在庫バケット7を供給すれば、コンベヤ111が在庫バケット7をピッキングシステム1に供給する。また、スタッカクレーン109がコンベヤ111に集品バケット11を供給すれば、コンベヤ111が集品バケット11をピッキングシステム1に供給する。
【0049】
以上により、自動倉庫103で準備した在庫バケット7と集品バケット11をピッキングシステム1に供給することで、集品バケット11への集品を行い、その後に在庫バケット7と集品バケット11を自動倉庫103に戻す。戻された在庫バケット7及び集品バケット11はラック105の各棚に収納される。
以上に述べたように、自動倉庫システム101では、ピッキングシステム1をコンパクトとすることで自動倉庫103の背面に沿って複数配置ができる。その結果、自動倉庫システム101全体として、ピッキング能力を向上できる。
変形例として、各段にシャトル台車を配置した各段台車式自動倉庫の背面に沿ってピッキングシステム1を複数配置してもよい。この場合、複数のコンベヤ111に、各段へ荷物を搬送するための昇降装置を設けることが好ましい。
【0050】
3.第3実施形態
前記実施形態では上段受け渡し部材23にガイド61が設けられていたが、ガイドは省略されてもよい。また、代わり又は追加で、昇降テーブル25にガイドが設けられていてもよい。
昇降テーブル25にガイドが設けられた実施形態を、図17を用いて説明する。図17は、第3実施形態の昇降テーブルを示す模式的平面図である。この装置では、昇降テーブル25にガイド73が設けられ、ガイド73によって在庫バケット7が昇降テーブル25の上で正確に位置決めされる。このように機械的な構成で在庫バケット7を位置決めすることで、ピッキング時間を削減できる。
なお、ガイド73は、在庫バケット7を第1方向に移動不能にしている。
【0051】
4.第4実施形態
昇降テーブル25にガイドが設けられた実施形態を、図18を用いて説明する。図18は、第4実施形態の昇降テーブルを示す模式的平面図である。この実施形態では、上段受け渡し部材23が2条であって、昇降テーブル25Aが3条である。昇降テーブル25Aに第1ガイド75が設けられ、第1ガイド75によって在庫バケット7が昇降テーブル25Aの上で第1方向に正確に位置決めされる。さらに、昇降テーブル25Aに第2ガイド77が設けられ、第2ガイド77によって在庫バケット7が昇降テーブル25Aの上で第2方向に正確に位置決めされる。このように機械的な構成で在庫バケット7を位置決めすることで、ピッキング時間を削減できる。
【0052】
5.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
前記実施形態では物品はバケットつまり容器に収容されたものであったが、容器を用いずに搬送される物品であってもよい。
前記実施形態では集品用コンベヤ装置は在庫コンベヤ装置の周囲を囲うように配置されていたが、集品用コンベヤ装置は省略されてもよい。また、集品用コンベヤ装置のレイアウトは特に限定されない。例えば、集品バケット搬入コンベヤ9Aは、省略されたり、投入コンベヤ9Bと直線状に配置されたりしてもよい。
【0053】
前記実施形態ではカメラはピッキング位置の手前の位置の上方にのみ配置されていたが、それに加えてピッキング位置の上方にもカメラが設けられていてもよい。また、ピッキング位置の上方にのみカメラが設けられていてもよい。
図19に示すように、ピッキング位置の情報つまり昇降テーブルの上方に配置された第2カメラ33を有していてもよい。図19は、他の実施形態の在庫バケットの搬送動作を示す模式的側面図である。コントローラ35は、第1カメラ31及び第2カメラ33の出力に基づいて、上段受け渡し部材23又は昇降テーブル25での動きによるピッキング位置における物品Aのずれの有無を確認する。具体的には、コントローラ35は、第1カメラ31によって得られた画像と第2カメラ33によって得られた画像を比較して、在庫バケット7内の物品Aの位置ずれのみを検出する。
この場合、コントローラ35は第2カメラ33からの出力に関しては物品のずれの有無のみを確認するので、画像認識の時間を短縮しつつ正確な物品位置情報を得ることができる。
前記実施形態では在庫コンベヤ装置はピッキングロボットと組み合わせて使用されたが、在庫コンベヤ装置は人間によるピッキング用として用いられてもよい。
各コンベヤの種類、位置関係、数は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、物品をピッキング位置へ搬送するシステムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0055】
1 :ピッキングシステム
3 :ピッキング装置
5 :在庫コンベヤ装置(コンベヤシステムの一例)
5A :第1コンベヤ装置
5B :第2コンベヤ装置
7 :在庫バケット
9 :集品用コンベヤ装置
9A :集品バケット搬入コンベヤ
9B :ピッキング用コンベヤ
9C :集品バケット搬出コンベヤ
10A :第1転換コンベヤ
10B :第2転換コンベヤ
11 :集品バケット
15 :ピッキングロボット
21 :第1コンベヤ
23 :上段受け渡し部材
25 :昇降テーブル
27 :第2コンベヤ
31 :カメラ(撮像手段の一例)
35 :コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19