特許第6645523号(P6645523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645523
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】電力変換装置及び制御回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   H02M3/155 B
   H02M3/155 X
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-23930(P2018-23930)
(22)【出願日】2018年2月14日
(65)【公開番号】特開2019-13130(P2019-13130A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2018年6月7日
(31)【優先権主張番号】特願2017-128793(P2017-128793)
(32)【優先日】2017年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】高田 潤一
(72)【発明者】
【氏名】吉永 充達
(72)【発明者】
【氏名】中野 利浩
(72)【発明者】
【氏名】今井 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】大竹 修
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−038361(JP,A)
【文献】 特開平08−211972(JP,A)
【文献】 特開平06−164464(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0141964(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータにより制御される出力回路とを備え、
前記出力回路は、入力電力を所定の電力に変換して出力する出力部と、
前記マイクロコンピュータに電源を供給する内部電源と、
前記マイクロコンピュータからの信号により前記出力部を駆動するドライブ回路と、
電力変換装置の動作を停止させる場合に、前記電力変換装置の動作を停止させる信号を検知した場合に、マイクロコンピュータ停止信号を前記マイクロコンピュータに出力して前記マイクロコンピュータの停止処理を安全に実施する停止状態に移行させるマイクロコンピュータ停止移行部とを備え、
前記マイクロコンピュータ又は前記出力回路は、前記マイクロコンピュータ停止移行部が前記マイクロコンピュータの動作を停止状態に移行させた後、前記内部電源の出力を停止させることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記マイクロコンピュータは、前記マイクロコンピュータが停止出来る状態になると、前記内部電源に内部電源停止信号を出力し、前記内部電源停止信号により、前記内部電源の出力を停止させることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記出力回路は、前記マイクロコンピュータ停止移行部が前記マイクロコンピュータ停止信号を前記マイクロコンピュータに出力した時から所定時間を計時し、前記所定時間を計時した後に、前記内部電源の出力を停止させる計時部を備えることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記所定時間は、前記マイクロコンピュータ停止信号を入力した時から前記マイクロコンピュータが停止できる状態を作る時間以上の時間に設定されることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記マイクロコンピュータ停止移行部は、イネーブル信号により、前記電力変換装置の出力をオンオフさせるとともに、前記イネーブル信号を前記マイクロコンピュータ停止信号として前記マイクロコンピュータに出力するイネーブル回路であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれ1項記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記マイクロコンピュータ停止移行部は、前記内部電源の入力電圧が閾値以下になると低入力信号を前記マイクロコンピュータ停止信号として前記マイクロコンピュータに出力する低入力検出回路からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれ1項記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記マイクロコンピュータ停止移行部は、前記電力変換装置の入力電圧が閾値以下になると低入力信号を前記マイクロコンピュータ停止信号として前記マイクロコンピュータに出力する低入力検出回路からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記マイクロコンピュータ停止移行部は、前記電力変換装置の出力電圧が閾値以下になると低入力信号を前記マイクロコンピュータ停止信号として前記マイクロコンピュータに出力する低入力検出回路からなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記マイクロコンピュータ停止移行部は、前記出力部の温度が閾値以上になると過熱検知信号を前記マイクロコンピュータ停止信号として前記マイクロコンピュータに出力する過熱検知回路からなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記マイクロコンピュータ停止移行部は、前記出力部の温度が閾値以上になると過熱検知信号を前記マイクロコンピュータ停止信号として前記マイクロコンピュータに出力する過熱検知回路からなることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記マイクロコンピュータ停止移行部は、第1の閾値と、前記第1の閾値よりも高い第2の閾値を備えた過熱検知回路からなり、前記過熱検知回路は、前記出力部の温度が上昇し、前記第1の閾値を超えると第1過熱検知信号を前記マイクロコンピュータ停止信号として前記マイクロコンピュータに出力し、前記第2の閾値を超えると前記内部電源の出力を停止させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記過熱検知回路が前記過熱検知信号を前記マイクロコンピュータに出力した後、前記内部電源の内部電源出力を監視し、一定時間経過後に、前記内部電源出力が出力されている場合には、前記内部電源の出力を停止させる内部電源判定回路を備えることを特徴とする請求項9記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記出力回路と前記マイクロコンピュータが、同一パッケージに組み込まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれ1項記載の電力変換装置。
【請求項14】
マイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータにより制御される出力回路とを備え、
前記出力回路は、前記マイクロコンピュータに電源を供給する内部電源と、
入力電力を所定の電力に変換して出力する出力部を前記マイクロコンピュータからの信号により駆動するドライブ回路と、
電力変換装置の動作を停止させる場合に、前記電力変換装置の動作を停止させる信号を検知した場合に、マイクロコンピュータ停止信号を前記マイクロコンピュータに出力して前記マイクロコンピュータの停止処理を安全に実施する停止状態に移行させるマイクロコンピュータ停止移行部とを備え、
前記マイクロコンピュータ又は前記出力回路は、前記マイクロコンピュータ停止移行部が前記マイクロコンピュータの動作を停止状態に移行させた後、前記内部電源の出力を停止させることを特徴とする制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置及び制御回路の動作停止時の動作に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力変換装置として、特許文献1に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された電力変換装置としてのDC/DCコンバータは、マイクロコンピュータで制御される。マイクロコンピュータを駆動する電源には、商用AC入力からトランス、整流平滑部、スイッチ、レギュレータを介し、DC電圧が供給される。トランスは、レギュレータの損失を抑えるため、商用AC入力を降圧させている。スイッチは、マイクロコンピュータの動作停止に使用する。DC/DCコンバータの出力が異常状態となった場合、マイクロコンピュータは、DC/DCコンバータとスイッチに遮断信号を出力し、DC/DCコンバータと、レギュレータの動作を停止させる。マイクロコンピュータは、レギュレータの出力が低下するまでの間に、停止の処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−38361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のDC/DCコンバータにおいては、レギュレータの出力が低下するまでに、マイクロコンピュータは、データ退避等、停止の処理を行う必要があり、レギュレータの出力が低下する時間が短い場合には、データ退避等が終了しない可能性がある。データ退避等が正常に行われない場合、安全にマイクロコンピュータの停止の処理を行えない可能性がある。その対策として、レギュレータの出力が低下する時間を長くする必要があり、DC/DCコンバータの動作を速やかに停止できない。
【0006】
また前述のトランスは、商用ACトランスのためサイズが大きくなる。トランスを使用せずに、レギュレータの損失を低下させるためには、DC/DCコンバータの出力電圧が低い場合においては、レギュレータの入力をDC/DCコンバータの出力電圧に接続すると、損失は低減する。しかし、DC/DCコンバータが過熱等の保護動作で、DC/DCコンバータの出力が低下する場合、マイクロコンピュータの電源が低下し、マイクロコンピュータはデータ退避等、停止の処理を安全に実施出来ない可能性がある。マイクロコンピュータに電源を供給するレギュレータについては、同等の機能が、DC/DCコンバータにも必要となり、チップサイズの増大につながる。
【0007】
本発明の目的は、従来技術の上記問題を解決し、動作停止状態になってから、すみやかかつ、安全に電力変換装置の動作停止が出来る電力変換装置及び制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電力変換装置は、マイクロコンピュータと、前記マイクロコンピュータにより制御される出力回路とを備え、前記出力回路は、入力電力を所定の電力に変換して出力する出力部と、前記マイクロコンピュータに電源を供給する内部電源と、前記マイクロコンピュータからの信号により前記出力部を駆動するドライブ回路と、電力変換装置の動作を停止させる場合に、前記電力変換装置の動作を停止させる信号を検知した場合に、マイクロコンピュータ停止信号を前記マイクロコンピュータに出力して前記マイクロコンピュータの停止処理を安全に実施する停止状態に移行させるマイクロコンピュータ停止移行部とを備え、前記マイクロコンピュータ又は前記出力回路は、前記マイクロコンピュータ停止移行部が前記マイクロコンピュータの動作を停止状態に移行させた後、前記内部電源の出力を停止させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の制御回路は、マイクロコンピュータと、前記マイクロコンピュータにより制御される出力回路とを備え、前記出力回路は、前記マイクロコンピュータに電源を供給する内部電源と、入力電力を所定の電力に変換して出力する出力部を前記マイクロコンピュータからの信号により駆動するドライブ回路と、電力変換装置の動作を停止させる場合に、前記電力変換装置の動作を停止させる信号を検知した場合に、マイクロコンピュータ停止信号を前記マイクロコンピュータに出力して前記マイクロコンピュータの停止処理を安全に実施する停止状態に移行させるマイクロコンピュータ停止移行部とを備え、前記マイクロコンピュータ又は前記出力回路は、前記マイクロコンピュータ停止移行部が前記マイクロコンピュータの動作を停止状態に移行させた後、前記内部電源の出力を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マイクロコンピュータで制御される電力変換装置が、停止信号を検知してから、動作停止までの動作を速やかに行うことが出来る。また、マイクロコンピュータに搭載する電源がないことからチップサイズの縮小が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係るDC/DCコンバータの実施の形態の回路構成図である。
図2】本発明の実施例1に係るDC/DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートである。
図3】本発明の実施例2に係るDC/DCコンバータの実施の形態の回路構成図である。
図4】本発明の実施例2に係るDC/DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートである。
図5】本発明の実施例3に係るDC/DCコンバータの実施の形態の回路構成図である。
図6】本発明の実施例3に係るDC/DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートである。
図7】本発明の実施例4に係るDC/DCコンバータの実施の形態の回路構成図である。
図8】本発明の実施例4に係るDC/DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートである。
図9】本発明の実施例5に係るDC/DCコンバータの実施の形態の回路構成図である。
図10】本発明の実施例5に係るDC/DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートである。
図11】本発明の実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5に係るDC/DCコンバータの内部構成を示す図である。
図12】本発明の実施例6に係るDC/DCコンバータの実施の形態の回路構成図である。
図13】本発明の実施例6に係るDC/DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートである。
図14】本発明の実施例7に係るDC/DCコンバータの実施の形態の回路構成図である。
図15】本発明の実施例7に係るDC/DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートである。
図16】本発明の実施例8に係るDC/DCコンバータの実施の形態の回路構成図である。
図17】本発明の実施例8に係るDC/DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例1
以下に本発明の電力変換装置及び制御回路の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施例1に係る電力変換装置としてのDC/DCコンバータ101の回路構成を示す図である。図2は本発明の実施例1に係るDC/DCコンバータ101の各部の動作を示すタイミングチャートである。DC/DCコンバータ101は、待機時や動作モードによっては、EN(イネーブル)信号により、動作を停止させるモードがある。実施例1は、EN信号による電力変換装置の動作停止に関する。
【0013】
本発明のDC/DCコンバータ101の入力電源Vinは、ACを平滑した高圧電圧となる。DC/DCコンバータ101の内部回路に電源供給する内部電源の入力を入力電源Vinに接続した場合、内部電源11の損失が大きくなる。内部電源11の入力をDC/DCコンバータ101の出力電圧に接続した場合、出力電圧が低い場合は、内部電源11の損失は低下するが、高い場合は同様の問題が発生する。
【0014】
この問題を解決するため、スイッチング素子Q1のソースから出力されるスイッチング出力をトランスT1で降圧し、降圧したスイッチング出力をダイオードD1で整流し、コンデンサC2で平滑した直流電圧を内部電源11に入力する。これにより内部電源11の損失を抑えることが出来る。スイッチング素子Q1は高周波で駆動されるため、トランスT1のサイズは、商用ACトランスにくらべ、小型化が可能である。
【0015】
図11に示すようにDC/DCコンバータ1aは、DC/DCコンバータ1aの出力回路である出力チップ2aと、出力回路を制御するためのマイクロコンピュータである制御チップ3、出力チップ2aと制御チップ3を搭載するフレーム4、出力チップ2a、制御チップ3及びリード6を接続するためのワイヤー5、ワイヤー5を外部配線に接続するためのリード6、出力チップ2a、制御チップ3、フレーム4、ワイヤー5及びリード6を保護するためのモールド7で構成される。出力チップ2aと制御チップ3とは、同一フレーム上に搭載され、1パッケージ化される。これにより、DC/DCコンバータの外形の小型化が実現出来る。出力チップは高圧電圧が印加されるため、高圧プロセスで製造され、制御チップ3はマイクロコンピュータであり、微細なプロセスで製造されることから、耐圧は低くなる。出力チップ2aと制御チップ3とを個別のチップで構成することで、最適な耐圧のプロセスでチップが構成出来るため、チップサイズを縮小出来るメリットがある。
【0016】
図1に示すようにDC/DCコンバータ101の出力回路である出力チップ102は、内部電源11、ドライブ回路12、ラッチ回路13、EN回路14と、負荷10に負荷電流を供給する出力部であるスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を備えている。ラッチさせる必要がなければラッチ回路13を省いてもよい。負荷電流が大きい場合には、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2は、出力チップ102から独立したチップで構成され、出力チップ102の外部に接続されても良い。
【0017】
入力電源Vinの両端には、入力コンデンサC1が接続され、入力電圧Vinのプラス側はスイッチング素子Q1のドレインに接続され、入力電源Vinのマイナス側は接地される。スイッチング素子Q1のソースは、スイッチング素子Q2のドレインとトランスT1の1次側巻線の一端に接続される。トランスT1の1次側巻線の他端は、出力コンデンサC3の一端に接続され、出力コンデンサC3の他端は接地される。出力コンデンサC3の両端には負荷が接続される。トランスT1の2次側巻線の一端はダイオードD1のアノードに接続され、トランスT1の2次側巻線の他端は接地される。ダイオードD1のカソードは、内部電源の入力とコンデンサC2の一端に接続され、コンデンサC2の他端は接地される。
【0018】
内部電源11の出力は、出力回路内のドライブ回路12、ラッチ回路13、EN回路14等の各回路とマイクロコンピュータ103に接続され、電源を供給する。スイッチング素子Q1のゲートとスイッチング素子Q2のゲートはドライブ回路12に接続される。マイクロコンピュータ103は、ラッチ回路13を介して、内部電源11に接続される。EN信号が入力されるEN回路14は、マイクロコンピュータ103に接続される。また、マイクロコンピュータ103は、出力コンデンサC3の一端に接続される。
【0019】
スイッチング素子Q1は入力電源Vinをオンオフし、スイッチング素子Q2は、スイッチング素子Q1オフ時に、トランスT1の1次側巻線に蓄えられたエネルギーを回生し、負荷10に負荷電流を供給する。
【0020】
マイクロコンピュータ103は、出力コンデンサC3の両端電圧を出力電圧として検出し、出力電圧が一定になるようドライブ回路12に信号を出力する。ドライブ回路12は、Q1ドライブ信号を出力し、Q1ドライブ信号により、スイッチング素子Q1を駆動する。マイクロコンピュータ103は、スイッチング素子Q1のオンオフのデューティ比を上記の信号に合わせて変化させることで、出力電圧を一定になるように制御する。ドライブ回路12は、さらにQ1ドライブ信号と逆相のQ2ドライブ信号により、スイッチング素子Q2を駆動する。
【0021】
従来LoレベルのEN信号がEN端子104を経由しEN回路14に印加され、DC/DCコンバータ101の動作を停止させる場合、EN回路14の出力がドライブ回路12に入力され、スイッチング素子Q1をカットオフさせることで、負荷10に流れる負荷電流を停止する。負荷電流が停止するとトランスT1に電流が流れないことから、出力チップの内部電源11の入力に電源が供給されないため、内部電源11の動作が停止する。内部電源11の動作が停止すると、制御チップ3への電源も供給されなくなる。制御チップ3は、マイクロコンピュータのため、動作状態で電源が停止されると、データ退避等が出来ないため、正常に動作が停止出来ない。場合によっては、DC/DCコンバータ101が異常動作となる可能性がある。このため、本発明ではEN信号によりDC/DCコンバータ101の動作を停止させる場合でも、マイクロコンピュータ103を正常に停止させている。
【0022】
図2にDC/DCコンバータ101の動作を停止させる場合のタイミングチャートを示す。EN端子に入力されるEN信号がHiレベルの時は、DC/DCコンバータ101の出力電圧が出力され、EN端子に入力されるEN信号がLoレベルの時は、DC/DCコンバータ101の出力電圧が出力を停止する。時刻t10においては、EN端子104には、HiレベルのEN信号が入力され、EN回路14は、マイクロコンピュータ103に対し、HiレベルのMC停止信号、すなわちマイクロコンピュータ停止信号を出力している。MC停止信号がHiレベルであることから、マイクロコンピュータ103は正常に動作し、DC/DCコンバータ101は、出力電圧を出力している。時刻t11ではEN端子104には、LoレベルのEN信号が入力され、EN回路14は、本発明のマイクロコンピュータ停止移行部に対応し、マイクロコンピュータ103に対し、LoレベルのMC停止信号を出力している。マイクロコンピュータ103は、EN回路14からLoレベルのMC停止信号を受信すると、時刻t11〜t12の間で、メモリーへの書き込み等を行い、シャットダウン動作に移行する。時刻t12でマイクロコンピュータ103がメモリーへの書き込み等が終了し、マイクロコンピュータ103がシャットダウン出来る状態、すなわち内部電源出力を停止出来る状態になる。時刻t12になるとマイクロコンピュータ103から、内部電源11にHiレベルの内部電源停止信号を出力し、時刻t13で内部電源停止信号がLoレベルに切り替わる。ラッチ回路13は、内部電源停止信号の立下がりエッジを検出し、内部電源11を停止させる。内部電源11が停止することで、ドライブ回路12の電源が遮断されるため、Q1ドライブ信号、Q2ドライブ信号が停止し、出力電圧が低下する。
【0023】
上記の方法で、内部電源11を停止させるため、DC/DCコンバータ101はすばやく、安全に出力電圧を停止することが出来る。また上記の構成にすることで、出力チップ2aと制御チップ3の耐圧の最適化が出来るため、チップサイズの縮小が可能となる。
【0024】
実施例2
図3は本発明の実施例2に係るDC/DCコンバータ201の回路構成を示す図である。図4は本発明の実施例2に係るDC/DCコンバータ201の各部の動作を示すタイミングチャートである。実施例2は、過熱検知によるDC/DCコンバータ201の動作停止に関する。実施例2のDC/DCコンバータ201は、実施例1のEN回路14を、過熱検知回路A24に変更した。過熱検知回路A24以外の動作は、実施例1と同じである。過熱検知回路A24は、スイッチング素子Q1の近傍にレイアウトされ、検知した温度が、閾値Ttsd0を超えると過熱検知回路A24は、本発明のマイクロコンピュータ停止移行部に対応し、過熱検知信号1を、マイクロコンピュータ停止信号としてマイクロコンピュータ103に出力する。
【0025】
実施例2の動作を、図4のタイミングチャートを用い説明する。時刻t20では、負荷10の異常等で負荷電流が増加し、スイッチング素子Q1の接合温度が上昇する。時刻t21では、スイッチング素子Q1の接合温度が過熱検知回路A24の閾値Ttsd0に達すると、過熱検知回路A24は、マイクロコンピュータ103にHiレベルの過熱検知信号1を出力する。マイクロコンピュータ103はHiレベルの過熱検知信号1を受信すると、時刻t21〜t22の間では、メモリー等への書き込み等を行い、マイクロコンピュータ103は、シャットダウン動作に移行する。時刻t22では、マイクロコンピュータ103がシャットダウン出来る状態になり、内部電源出力を停止出来る状態になる。マイクロコンピュータ103はラッチ回路23にHiレベルの内部電源停止信号を出力する。時刻t23では、内部電源停止信号が、HiレベルからLoレベルに切り替わる。これにより、過熱検知回路A24が発する過熱検知信号1はLoレベルになる。ラッチ回路23は内部電源停止信号の立下がりエッジでセットされ、ラッチ回路23の出力は、Hiレベルに固定される。ラッチ回路23の出力は内部電源21に入力され、内部電源21の出力が停止する。内部電源21が停止することで、ドライブ回路22の電源が遮断されるため、Q1ドライブ信号、Q2ドライブ信号が停止し、出力電圧が低下し、負荷10に流れる負荷電流が流れなくなることで、スイッチング素子Q1の接合温度が低下する。
【0026】
内部電源21はラッチ回路23により、停止される。これはDC/DCコンバータ201が過熱状態となるのが、配線のショートや負荷の破壊による負荷短絡等の負荷10の異常状態により発生することが多く、多くの場合はスイッチング素子Q1の過熱状態が継続する。このため、スイッチング素子Q1が過熱状態になった場合は、ラッチ回路23により、DC/DCコンバータ201の出力を停止し、再起動させないことで、DC/DCコンバータ201が高温になる時間を減少させる。負荷10の異常が取り除かれると、入力電源Vinを再起動させることでDC/DCコンバータ201の動作が再開する。上記のような、動作をさせることで、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0027】
実施例3
図5は本発明の実施例3に係るDC/DCコンバータ301の回路構成を示す図である。図6は本発明の実施例3に係るDC/DCコンバータ301の各部の動作を示すタイミングチャートである。実施例3は、過熱検知によるDC/DCコンバータ301の動作停止に関する。実施例3のDC/DCコンバータ301は、実施例2の過熱検知回路A24を過熱検知回路B34に変更した。過熱検知回路B34は、マイクロコンピュータ303、ラッチ回路33に接続される。過熱検知回路B34の動作以外の動作は、実施例2と同じである。過熱検知回路B34は、過熱検知の閾値をTtsd1、Ttsd2の2つを有している。Ttsd2は、Ttsd1に比べ、過熱検知の閾値が高い温度に設定されている。
【0028】
実施例3の動作を、図6のタイミングチャートを用い説明する。時刻t30では、負荷10の異常等で負荷電流が増加し、スイッチング素子Q1の接合温度が上昇する。時刻t31では、スイッチング素子Q1の接合温度が過熱検知回路B34の第1の閾値であるTtsd1に達すると、過熱検知回路B34は、本発明のマイクロコンピュータ停止移行部に対応し、マイクロコンピュータ303にHiレベルの過熱検知信号1をマイクロコンピュータ停止信号として出力する。マイクロコンピュータ303は過熱検知信号1を受信すると、実施例2と同様にシャットダウン動作に移行するが、マイクロコンピュータ303の破壊や誤動作等で、本来、時刻t32で出力される内部電源停止信号が出力されない場合がある。この場合、出力回路が動作を継続するため、スイッチング素子Q1の接合温度は、さらに上昇する。時刻t33で、スイッチング素子Q1の接合温度が過熱検知回路B34の第2の閾値であるTtsd2に達すると、過熱検知回路B34は、ラッチ回路33にHiレベルの過熱検知信号2を出力する。時刻t34で出力チップが内部電源出力の停止とともに、過熱検知信号2、HiレベルからLoレベルに切り替る。ラッチ回路は、過熱検知信号2の立下がりエッジでセットされ、ラッチ回路33の出力は、Hiレベルに固定される。ラッチ回路33の出力は内部電源31に入力され、内部電源31の出力である内部電源出力が停止する。内部電源31が停止し、ドライブ回路32の電源が遮断されるため、Q1ドライブ信号、Q2ドライブ信号が停止し、出力電圧が低下し、負荷10に流れる負荷電流が流れなくなることで、スイッチング素子Q1の接合温度が低下する。
【0029】
上記のような、動作をさせることで、実施例1,2と同様の作用効果が得られるとともに、マイクロコンピュータ303が、誤動作した場合でも安全に電力変換装置301を停止させることができる。
【0030】
実施例4
図7は本発明の実施例4に係るDC/DCコンバータ401の回路構成を示す図である。図8は本発明の実施例4に係るDC/DCコンバータ401の各部の動作を示すタイミングチャートである。実施例4は、過熱検知によるDC/DCコンバータ401の動作停止に関する。実施例4のDC/DCコンバータは、実施例2に内部電源判定回路45を追加した。内部電源判定回路45は、過熱検知回路A44、内部電源41、ラッチ回路43に接続される。
【0031】
実施例4の動作を、図8のタイミングチャートを用い説明する。時刻t40では、負荷10の異常等で負荷電流が増加し、スイッチング素子Q1の接合温度が上昇する。時刻t41では、スイッチング素子Q1の接合温度が過熱検知回路A44の閾値であるTtsd0に達すると、過熱検知回路A44は、本発明のマイクロコンピュータ停止移行部に対応し、マイクロコンピュータ403にHiレベルの過熱検知信号1をマイクロコンピュータ停止信号として出力する。マイクロコンピュータ403はHiレベルの過熱検知信号1を受信すると、マイクロコンピュータ403は実施例2と同様にシャットダウン動作に移行するが、マイクロコンピュータ403の破壊や誤動作等で、本来、時刻t42で出力される内部電源停止信号が出力されない場合がある。この場合、スイッチング素子Q1の接合温度は、さらに上昇する。内部電源判定回路45は過熱検知信号1が出力された後、内部電源41の出力である内部電源出力を監視する。過熱検知信号1が出力されてから、所定の時間が経過しても、内部電源41の出力である内部電源出力が出力されている場合、時刻t43で、内部電源判定回路45はHiレベルの判定信号をラッチ回路43に出力する。時刻t44で出力チップが内部電源出力の停止とともに、判定信号、HiレベルからLoレベルに切り替る。ラッチ回路43は、判定信号の立下がりエッジでセットされ、ラッチ回路43の出力は、Hiレベルに固定される。ラッチ回路43の出力は内部電源41に入力され、内部電源41の出力である内部電源出力が停止する。内部電源41が停止することで、ドライブ回路42の電源が遮断されるため、Q1ドライブ信号、Q2ドライブ信号が停止し、出力電圧が低下し、負荷10に流れる負荷電流が流れなくなることで、スイッチング素子Q1の接合温度が低下する。内部電源判定回路45を用いず、過熱検知信号1が出力され、所定の時間を経過したのちに過熱検知回路A44が内部電源41を停止させても良い。
【0032】
上記のような、動作をさせることで、実施例1,2と同様の作用効果が得られるとともに、マイクロコンピュータ403が誤動作した場合でも安全にDC/DCコンバータ401を停止させることができる。
【0033】
実施例5
図9は本発明の実施例5に係るDC/DCコンバータ501の回路構成を示す図である。図10は本発明の実施例5に係るDC/DCコンバータ501の各部の動作を示すタイミングチャートである。実施例5は、低入力検出によるDC/DCコンバータ301の動作停止に関する。実施例5のDC/DCコンバータ501は、実施例2の過熱検知回路A24を低入力検出回路54に置き換えた。低入力検出回路54は、内部電源51の入力である内部電源入力とマイクロコンピュータ503に接続される。低入力検出回路54は、本発明のマイクロコンピュータ停止移行部に対応し、内部電源51の入力である内部電源入力が閾値Vthを下回るとマイクロコンピュータ503に低入力信号をマイクロコンピュータ停止信号として出力する。また低入力検出回路54の入力は、入力電源Vinもしくは、出力電圧すなわち出力コンデンサC3に接続されてもよい。
【0034】
実施例5の動作を、図10のタイミングチャートを用い説明する。時刻t50〜t51では、入力電源Vinの電圧低下等で、内部電源51の入力電圧が低下する。時刻t51では、低入力検出回路54の閾値であるVthに達し、低入力検出回路54は、マイクロコンピュータ503にHiレベルの低入力信号を出力する。マイクロコンピュータ503はHiレベルの低入力信号を受信すると、時刻t51〜t52においては、メモリー等への書き込み等を行い、マイクロコンピュータ503は、シャットダウン動作に移行する。時刻t52では、マイクロコンピュータ503がシャットダウン出来る状態になり、内部電源出力を停止出来る状態になると、マイクロコンピュータ503はラッチ回路53にHiレベルの内部電源停止信号を出力する。時刻t53では、内部電源停止信号は、HiレベルからLoレベルに切り替わる。ラッチ回路53は内部電源停止信号の立下がりエッジでセットされ、ラッチ回路53の出力は、Hiレベルに固定される。ラッチ回路53の出力は内部電源51に入力され、内部電源51の出力が停止する。内部電源51が停止することで、ドライブ回路52の電源が遮断されるため、Q1ドライブ信号、Q2ドライブ信号が停止し、出力電圧が低下する。
【0035】
上記のような、動作をさせることで、実施例1と同様の作用効果が得られるとともに、内部電源51の入力である内部電源入力が低下しても、安全に電力変換装置501を停止させることができる。
【0036】
実施例6
図12は本発明の実施例6に係るDC/DCコンバータ101aの回路構成を示す図である。図13は本発明の実施例6に係るDC/DCコンバータ101aの各部の動作を示すタイミングチャートである。実施例6は、タイマによるDC/DCコンバータ101aの動作停止に関する。実施例6は、図1に示す実施例1に係るDC/DCコンバータ101に対して、マイクロコンピュータ103からの内部電源停止信号と、ラッチ回路13を削除し、タイマ15を備えた。
【0037】
タイマ15は、本発明の計時部に対応し、EN回路14がマイクロコンピュータ停止信号をマイクロコンピュータ103に出力した時から所定時間を計時し、所定時間を計時した後に、タイマ信号により内部電源11の出力を停止させる。所定時間は、マイクロコンピュータ103がEN回路14からマイクロコンピュータ停止信号を入力した時からマイクロコンピュータ103が停止できる状態を作る時間以上の時間に設定される。マイクロコンピュータ103が停止できる状態を作る時間以上の時間は、例えばマイクロコンピュータ103内部において、ランダムアクセスメモリ等の揮発性メモリに記憶されたデータを不揮発性メモリに書き込むために必要な時間以上である。EN回路14の出力はタイマ15の入力端子に接続され、タイマ15の出力端子は、内部電源11に接続される。
【0038】
実施例6の動作を、図13のタイミングチャートを用い説明する。時刻t60においては、EN端子104には、HiレベルのEN信号が入力され、EN回路14は、マイクロコンピュータ103に対し、HiレベルのMC停止信号、すなわちマイクロコンピュータ停止信号を出力している。MC停止信号がHiレベルであることから、マイクロコンピュータ103は正常に動作し、DC/DCコンバータ101aは、出力電圧を出力している。時刻t61ではEN端子104には、LoレベルのEN信号が入力され、EN回路14は、マイクロコンピュータ103に対し、LoレベルのMC停止信号を出力している。また、時刻t61では、EN回路14は、タイマ起動信号をタイマ15に出力する。マイクロコンピュータ103は、EN回路14からLoレベルのMC停止信号を受信すると、時刻t61〜t62の間で、メモリーへの書き込み等を行い、シャットダウン動作に移行する。時刻t62でマイクロコンピュータ103がメモリーへの書き込み等が終了する。
【0039】
一方、タイマ15は、EN回路14からタイマ起動信号を受信すると、タイマ信号がHiレベルとなり、カウントを開始し、所定時間Ta(=t63−t61)をカウントする。タイマ15は、所定時間Taのカウントが終了した時刻t63に、Loレベルのタイマ信号を内部電源11に出力して、内部電源11を停止させる。内部電源11が停止することで、ドライブ回路12の電源が遮断されるため、Q1ドライブ信号、Q2ドライブ信号が停止し、出力電圧が低下する。
【0040】
上記の方法で、実施例1のDC/DCコンバータと同様に、内部電源11を停止させるため、DC/DCコンバータ101aはすばやく、安全に出力電圧を停止することが出来る。
実施例7
【0041】
図14は本発明の実施例7に係るDC/DCコンバータ201aの回路構成を示す図である。図15は本発明の実施例7に係るDC/DCコンバータ201aの各部の動作を示すタイミングチャートである。実施例7は、タイマによるDC/DCコンバータ101aの動作停止に関する。実施例7は、図3に示す実施例2に係るDC/DCコンバータ201に対して、マイクロコンピュータ203からの内部電源停止信号と、ラッチ回路23を削除し、タイマ25を備えた。
【0042】
タイマ25は、本発明の計時部に対応し、過熱検知回路A24が過熱検知信号1をマイクロコンピュータ203に出力した時から所定時間を計時し、所定時間を計時した後に、タイマ信号により内部電源21の出力を停止させる。所定時間は、マイクロコンピュータ203が過熱検知回路A24から過熱検知信号1を入力した時からマイクロコンピュータ203が停止できる状態を作る時間以上の時間に設定される。マイクロコンピュータ203が停止できる状態を作る時間以上の時間は、例えばマイクロコンピュータ103内部において、ランダムアクセスメモリ等の揮発性メモリに記憶されたデータを不揮発性メモリに書き込むために必要な時間以上である。過熱検知回路A24の出力はタイマ25の入力端子に接続され、タイマ25の出力端子は、内部電源21に接続される。
【0043】
実施例7の動作を、図15のタイミングチャートを用い説明する。時刻t70では、負荷10の異常等で負荷電流が増加し、スイッチング素子Q1の接合温度が上昇する。時刻t71では、スイッチング素子Q1の接合温度が過熱検知回路A24の閾値Ttsd0に達すると、過熱検知回路A24は、マイクロコンピュータ203にHiレベルの過熱検知信号1を出力する。マイクロコンピュータ203はHiレベルの過熱検知信号1を受信すると、時刻t71〜t72の間では、メモリー等への書き込み等を行い、マイクロコンピュータ203は、シャットダウン動作に移行する。時刻t72では、マイクロコンピュータ203がシャットダウン出来る状態になる。
【0044】
一方、タイマ25は、時刻t71において、過熱検知回路A24からタイマ起動信号を受信すると、タイマ信号がHiレベルとなり、カウントを開始し、所定時間Tb(=t73−t71)をカウントする。タイマ25は、所定時間Tbのカウントが終了した時刻t73に、Loレベルのタイマ信号を内部電源21に出力して、内部電源21を停止させる。内部電源21が停止することで、ドライブ回路12の電源が遮断されるため、Q1ドライブ信号、Q2ドライブ信号が停止し、出力電圧が低下する。負荷10に流れる負荷電流が流れなくなることで、スイッチング素子Q1の接合温度が低下する。
【0045】
内部電源21はタイマ25により、停止される。これはDC/DCコンバータ201aが過熱状態となるのが、配線のショートや負荷の破壊による負荷短絡等の負荷10の異常状態により発生することが多く、多くの場合はスイッチング素子Q1の過熱状態が継続する。このため、スイッチング素子Q1が過熱状態になった場合は、タイマ25により、DC/DCコンバータ201aの出力を停止し、再起動させないことで、DC/DCコンバータ201aが高温になる時間を減少させる。負荷10の異常が取り除かれると、入力電源Vinを再起動させることでDC/DCコンバータ201aの動作が再開する。上記のような、動作をさせることで、実施例1と同様の作用効果が得られる。
実施例8
【0046】
図16は本発明の実施例8に係るDC/DCコンバータ501aの回路構成を示す図である。図17は本発明の実施例8に係るDC/DCコンバータ501aの各部の動作を示すタイミングチャートである。実施例8は、タイマによるDC/DCコンバータ501aの動作停止に関する。実施例8は、図9に示す実施例5に係るDC/DCコンバータ501に対して、マイクロコンピュータ503からの内部電源停止信号と、ラッチ回路53を削除し、タイマ55を備えた。
【0047】
タイマ55は、本発明の計時部に対応し、低入力検出回路54が低入力検出信号をマイクロコンピュータ503に出力した時から所定時間を計時し、所定時間を計時した後に、タイマ信号により内部電源51の出力を停止させる。所定時間は、マイクロコンピュータ503が低入力検出回路54から低入力検出信号を入力した時からマイクロコンピュータ503が停止できる状態を作る時間以上の時間に設定される。マイクロコンピュータ503が停止できる状態を作る時間以上の時間は、例えばマイクロコンピュータ103内部において、ランダムアクセスメモリ等の揮発性メモリに記憶されたデータを不揮発性メモリに書き込むために必要な時間以上である。低入力検出回路54の出力はタイマ55の入力端子に接続され、タイマ25の出力端子は、内部電源51に接続される。
【0048】
実施例8の動作を、図117のタイミングチャートを用い説明する。時刻90〜t91では、入力電源Vinの電圧低下等で、内部電源51の入力電圧が低下する。時刻t91では、低入力検出回路54の閾値であるVthに達し、低入力検出回路54は、マイクロコンピュータ503にHiレベルの低入力信号を出力する。マイクロコンピュータ503はHiレベルの低入力信号を受信すると、時刻t91〜t92においては、メモリー等への書き込み等を行い、マイクロコンピュータ503は、シャットダウン動作に移行する。時刻t92では、マイクロコンピュータ503がシャットダウン出来る状態になる。
【0049】
一方、タイマ55は、時刻t91において、低入力検出回路54からタイマ起動信号を受信すると、タイマ信号がHiレベルとなり、カウントを開始し、所定時間Td(=t93−t91)をカウントする。タイマ55は、所定時間Tdのカウントが終了した時刻t93に、Loレベルのタイマ信号を内部電源51に出力して、内部電源51を停止させる。内部電源51が停止することで、ドライブ回路52の電源が遮断されるため、Q1ドライブ信号、Q2ドライブ信号が停止し、出力電圧が低下する。負荷10に流れる負荷電流が流れなくなることで、スイッチング素子Q1の接合温度が低下する。
【0050】
上記のような、動作をさせることで、実施例1と同様の作用効果が得られるとともに、内部電源51の入力である内部電源入力が低下しても、安全にDC/DCコンバータ501を停止させることができる。
【0051】
なお、以上では、実施例1乃至実施例8の電力変換装置を説明したが、本発明は、実施例1乃至実施例8の電力変換装置に備えられた制御回路にも適用可能である。制御回路は、マイクロコンピュータ103〜503と、出力回路102〜502,102a〜502aからスイッチング素子Q1,Q2からなる出力部を除く出力回路とを備えている。例えば、図1に示す実施例1の制御回路は、マイクロコンピュータ103と、出力回路102から出力部を除く内部電源11、ドライブ回路12、ラッチ回路13、EN回路14を備える。また、例えば、図12に示す実施例6の制御回路は、マイクロコンピュータ103と、出力回路102aから出力部を除く内部電源11、ドライブ回路12、EN回路14、タイマ15を備える。
【0052】
以上、本発明を具体的な実施形態で説明したが、上記実施形態は一例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更して実施できることは言うまでも無い。例えば、本発明における電力変換装置は、実施例1乃至実施例8で例示されたDC/DCコンバータに限定されず、AC電圧を出力するDC/ACコンバータ又はAC/ACコンバータでも良く、入力電力を所望の出力電力に変換する電力変換装置であれば良い。また、信頼性等さらなる性能の向上を目的として、実施例1乃至実施例8で例示されたDC/DCコンバータ及び制御回路同士を組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0053】
Vin 入力電源
Q1、Q2 スイッチング素子
C1、C2、C3 コンデンサ
D1 ダイオード
T1 トランス
10 負荷
1a、101、201、301、401、501 DC/DCコンバータ
2a 出力チップ
102、202、302、402、502 出力回路
3 制御チップ
103、203、303、403、503 マイクロコンピュータ
104 EN端子
11、21、31、41、51 内部電源
12、22、32、42、52 ドライブ回路
13、23、33、43、53 ラッチ回路
14 EN回路
15、25、35、55 タイマ
24、34、44 過熱検知回路
45 内部電源判定回路
54 低入力検出回路
4 フレーム
5 ワイヤー
6 リード
7 モールド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17