(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベーターのかごに設けられる第1カメラに撮影され前記かごの床面を含む第1画像、および前記かごに設けられる第2カメラに前記第1カメラと異なる方向から撮影され前記かごの床面を含む第2画像の入力を受け付ける入力部と、
前記第1画像に含まれる前記かごの床面の範囲および前記第2画像に含まれる前記かごの床面の範囲が互いに形状および寸法の等しい範囲として重なるように前記第1画像および前記第2画像にホモグラフィ変換を行う変換部と、
前記変換部によるホモグラフィ変換の後の前記第1画像および前記第2画像の互いに重なる前記かごの床面の範囲の差分に基づいて前記かごの内部の乗客の有無を判定する判定部と、
を備えるエレベーターの乗客検出装置。
前記入力部が受け付けた前記第1画像および前記第2画像に基づいて、前記第1画像および前記第2画像に含まれる前記かごの床面の範囲を定める床面パラメーターを設定する床面パラメーター設定部
を備え、
前記変換部は、前記床面パラメーター設定部が設定した前記床面パラメーターに基づいてホモグラフィ変換を行う
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターの乗客検出装置。
前記判定部は、前記第1画像または前記第2画像の少なくともいずれかにおいて乗客の動きを検出する場合に、前記ホモグラフィ変換の前に前記かごの内部に乗客がいると判定する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のエレベーターの乗客検出装置。
前記判定部は、前記第1画像および前記第2画像から抽出される前記かごの構造に由来する特徴のずれに基づいて、前記第1画像または前記第2画像における前記かごの床面の範囲の位置のずれを検出する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエレベーターの乗客検出装置。
前記変換部は、前記第1画像に含まれる前記床面と重ならない第2平面の閉じた範囲、および前記第2画像に含まれる前記第2平面の閉じた範囲が互いに重なるように前記第1画像および前記第2画像にホモグラフィ変換を行い、
前記判定部は、前記変換部によるホモグラフィ変換の後の前記第1画像および前記第2画像の互いに重なる前記第2平面の範囲の差分に基づいて前記かごの内部の乗客の有無を判定する
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のエレベーターの乗客検出装置。
前記制御盤は、前記かごが前記かごドアを開いて停止している階床において当該かごに乗場呼びが登録されていないときに、入力される判定結果が前記かごの内部に乗客がいないことを表す場合に、前記かごドアが開いている時間を短くする
請求項10または請求項11に記載のエレベーターシステム。
前記変換部は、前記第1画像に含まれる前記床面と重ならない第2平面の閉じた範囲、および前記第2画像に含まれる前記第2平面の閉じた範囲が互いに重なるように前記第1画像および前記第2画像にホモグラフィ変換を行い、
前記判定部は、前記変換部によるホモグラフィ変換の後の前記第1画像および前記第2画像の互いに重なる前記第2平面の範囲の差分に基づいて前記かごの内部の乗客の有無を判定する
請求項10から請求項15のいずれか一項に記載のエレベーターシステム。
前記変換部は、前記かごドアが開いているときに、前記かごが前記かごドアを開いて停止している階床の乗場の床面の少なくとも一部を前記第2平面としてホモグラフィ変換を行い、
前記判定部は、当該第2平面の範囲の差分に基づいて前記乗場の乗客の有無を判定する
請求項16に記載のエレベーターシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターシステムの構成図である。
【0012】
エレベーターシステム1は、かご2と、制御盤3と、乗客検出装置4と、を備える。エレベーターシステム1は、例えば複数の階床を有する建築物に設けられる。建築物において、図示されない昇降路が設けられる。昇降路は、複数の階床にわたって設けられる。複数の階床の各々において、図示されない乗場が設けられる。乗場は、乗場出入口によって昇降路に通じる。乗場出入口は、乗場と昇降路とを繋ぐ開口である。複数の乗場の各々において、乗場ドアが、乗場出入口に設けられる。
【0013】
かご2は、昇降路の内部を鉛直方向に走行することで、乗客を複数の階床の間で輸送する装置である。かご2は、例えば図示されない巻上機によって昇降路の内部を走行する。かご2は、床面5と、壁面6と、天井7と、を有する。かご2の内部の空間は、床面5、壁面6、および天井7によって囲われる。かご2の内部の空間は、例えば直方体状の形状である。かご2の床面5は、水平な平面である。かご2の壁面6は、例えば鉛直な平面である。かご2の天井7は、かご2の床面5より上方において床面5に対向する平面である。かご2は、かごドア8と、照明装置9と、空気調和装置10と、第1カメラ11aと、第2カメラ11bと、を備える。
【0014】
かごドア8は、乗場が設けられる階床にかご2が停止しているときに、乗客が乗場からかご2の内部に乗降しうるように開閉する装置である。かごドア8は、かご2の壁面6に設けられる。かごドア8は、開閉するときに乗場ドアを連動して開閉させる。
【0015】
照明装置9は、かご2の内部の空間を照らす装置である。照明装置9は、例えばかご2の天井7に設けられる。照明装置9は、光量を調整する機能を搭載する。
【0016】
空気調和装置10は、例えば換気、調温、または調湿などによって、かご2の内部の空間の空気を調整する装置である。空気調和装置10は、例えばかご2の上部に設けられる。
【0017】
第1カメラ11aは、第1画像を撮影する装置である。第1画像は、かご2の床面5を含む画像である。第1カメラ11aは、例えばかご2の天井7に設けられる。あるいは、第1カメラ11aは、かご2の壁面6の上部に設けられてもよい。この例において、第1カメラ11aは、かご2の天井7の左奥側に設けられる。第1カメラ11aは、例えば広角カメラであってもよい。
【0018】
第2カメラ11bは、第2画像を撮影する装置である。第2画像は、かご2の床面5を含む画像である。第2カメラ11bは、例えばかご2の天井7に設けられる。あるいは、第2カメラ11bは、かご2の壁面6の上部に設けられてもよい。第2カメラ11bは、第1カメラ11aと異なる方向からかご2の床面5に向けられる。この例において、第2カメラ11bは、かご2の天井7の右奥側に設けられる。第2カメラ11bは、例えば広角カメラであってもよい。
【0019】
図1において、太い実線は、かご2の床面5の範囲を示す。かご2の床面5は、閉じた範囲の平面である。かご2の床面5は、水平な平面である。この例において、かご2の床面5は、矩形の平面である。この例において、かご2の床面5は、第1画像および第2画像の両方に全体が含まれる。
【0020】
図1において、太い破線は、第2平面の閉じた範囲を示す。第2平面は、床面5に重ならない平面である。第2平面は、例えば床面5に垂直な平面である。この例において、第2平面は、かごドア8の表面の一部の矩形の範囲である。なお、第2平面は、かごドア8の表面の全部の範囲であってもよい。第2平面は、かご2の壁面6の一部であってもよい。この例において、第2平面は、第1画像および第2画像の両方に全体が含まれる。
【0021】
制御盤3は、かご2の動作を制御する装置である。かご2の動作は、例えば昇降路における走行、かごドア8の開閉、照明装置9の発光、および空気調和装置10の運転などを含む。制御盤3は、例えば昇降路の上部または下部などに設けられる。
【0022】
乗客検出装置4は、かご2の内部などの乗客の有無を検出する装置である。乗客検出装置4は、入力部12と、変換部13と、パラメーター設定部14と、パラメーター記憶部15と、判定部16と、出力部17と、を備える。
【0023】
入力部12は、第1画像および第2画像の入力を受け付ける部分である。入力部12は、第1画像および第2画像の入力を受け付けうるように、第1カメラ11aおよび第2カメラ11bに接続される。
【0024】
変換部13は、第1画像および第2画像の変換を行う部分である。変換部13による変換は、第1画像に含まれるかご2の床面5の範囲および第2画像に含まれるかご2の床面5の範囲が互いに重なるようなホモグラフィ変換を含む。また、変換部13による変換は、レンズ歪み補正を含む。変換部13は、第1画像および第2画像を取得しうるように、入力部12に接続される。
【0025】
パラメーター設定部14は、変換部13による変換のパラメーターを設定する部分である。パラメーター設定部14によるパラメーターの設定は、例えば第1画像および第2画像に基づいて行われる。このとき、パラメーター設定部14は、第1画像および第2画像を取得しうるように、入力部12に接続される。あるいは、パラメーター設定部14によるパラメーターの設定は、外部の入力装置18からの入力に基づいて行われてもよい。入力装置18は、例えばパーソナルコンピューターなどの情報端末である。入力装置18は、例えばエレベーターシステム1の保守員または管理者などによって操作される。
【0026】
パラメーター設定部14は、床面パラメーター設定部19と、歪みパラメーター設定部20と、を備える。床面パラメーター設定部19は、床面パラメーターを設定する部分である。床面パラメーターは、第1画像および第2画像に含まれるかご2の床面5の範囲を定めるパラメーターである。床面パラメーターは、例えば第1画像および第2画像における床面5の4隅の座標である。歪みパラメーター設定部20は、歪みパラメーターを設定する部分である。歪みパラメーターは、例えば歪み中心および歪み係数などのレンズ歪み補正に用いられるパラメーターである。パラメーター設定部14が設定するパラメーターは、床面パラメーターおよび歪みパラメーターを含む。
【0027】
パラメーター記憶部15は、パラメーター設定部14が設定したパラメーターを記憶する部分である。パラメーター記憶部15は、設定されたパラメーターを取得しうるように、パラメーター設定部14に接続される。パラメーター記憶部15は、記憶しているパラメーターを出力しうるように、変換部13に接続される。
【0028】
判定部16は、変換部13によるホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像の互いに重なるかご2の床面5の範囲の差分に基づいて、かご2の内部の乗客の有無を判定する部分である。判定部16は、ホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像を取得しうるように、変換部13に接続される。
【0029】
出力部17は、判定部16による判定結果を乗客検出装置4の外部の装置に出力する部分である。出力部17は、判定結果を出力しうるように、例えば制御盤3に接続される。
【0030】
続いて、
図2および
図3を用いてパラメーター設定部14によるパラメーターの設定の例を説明する。
図2は、実施の形態1に係る乗客検出装置における床面パラメーターの設定の例を示す図である。
図3は、実施の形態1に係る乗客検出装置における歪みパラメーターの設定の例を示す図である。
【0031】
図2を用いて、第1画像についての床面パラメーターの設定を説明する。
図2において、第1画像の例が示される。
【0032】
床面パラメーターの設定は、例えば初期設定のとき、または保守点検のときに行われる。床面パラメーターを設定するときに、保守員は、かご2の床面5の4隅にマーカー21を配置する。マーカー21は、例えば予め定められた模様が表されるシートである。
【0033】
第1カメラ11aは、第1画像を撮影する。入力部12は、第1カメラ11aからの第1画像の入力を受け付ける。
【0034】
パラメーター設定部14は、第1画像を入力部12から取得する。床面パラメーター設定部19は、パラメーター設定部14が取得した第1画像においてマーカー21を認識する。
図2において、破線の枠は、床面パラメーター設定部19が認識しているマーカー21の位置を示す。床面パラメーター設定部19は、認識したマーカー21の位置によってかご2の床面5の4隅の位置を認識する。床面パラメーター設定部19は、認識した床面5の4隅の位置によって、第1画像における床面5の範囲を床面パラメーターとして設定する。
【0035】
床面パラメーター設定部19は、第1画像についての床面パラメーターの設定と同様にして、第2画像についても床面パラメーターを設定する。
【0036】
パラメーター記憶部15は、床面パラメーター設定部19が設定した床面パラメーターを取得する。パラメーター記憶部15は、取得した床面パラメーターを記憶する。
【0037】
保守員は、配置したマーカー21を回収する。
【0038】
図3において、第1画像についての歪みパラメーターの設定を説明する。
図3において、第1画像の例が示される。この例において、
図3は、広角カメラである第1カメラ11aによって撮影された第1画像である。
【0039】
歪みパラメーターの設定は、例えば初期設定のときに行われる。あるいは、歪みパラメーターの設定は、例えば判定部16がかご2の内部に乗客がいないと判定したときに行われてもよい。
【0040】
第1カメラ11aは、第1画像を撮影する。入力部12は、第1カメラ11aからの第1画像の入力を受け付ける。
【0041】
パネルAは、第1カメラ11aが撮影した第1画像の例を示す。かご2の内部を撮影した画像は、かご2の構造に由来する特徴を含む。かご2の構造に由来する特徴は、例えば床面5と壁面6との境界、または隣接する壁面6の間の境界などの実空間において直線状のエッジ22である。一方、第1カメラ11aが撮影した第1画像は、レンズ歪みによって歪んでいる。このため、実空間において直線状のエッジ22は、第1画像において曲線状のエッジ22となる。
【0042】
パラメーター設定部14は、第1画像を入力部12から取得する。歪みパラメーター設定部20は、パラメーター設定部14が取得した第1画像においてエッジ22を抽出する。
【0043】
パネルBにおいて、破線は、第1画像から抽出されたエッジ22を示す。歪みパラメーター設定部20は、レンズ歪みによって曲線状になっているエッジ22を、例えば折れ線で近似して抽出する。
【0044】
歪みパラメーター設定部20は、折れ線で近似された曲線状のエッジ22が、直線状のエッジ22に近づくように、数値最適化の手法などによって歪みパラメーターを設定する。
【0045】
パネルCは、設定された歪みパラメーターによってレンズ歪み補正が行われた第1画像の例を示す。実空間において直線状のエッジ22は、レンズ歪み補正の後の第1画像において直線状のエッジ22となる。
【0046】
歪みパラメーター設定部20は、第1画像についての歪みパラメーターの設定と同様にして、第2画像についても歪みパラメーターを設定する。
【0047】
パラメーター記憶部15は、歪みパラメーター設定部20が設定した歪みパラメーターを取得する。パラメーター記憶部15は、取得した歪みパラメーターを記憶する。
【0048】
続いて、
図4を用いて、エレベーターシステム1の機能を説明する。
図4は、実施の形態1に係る乗客検出装置における乗客検出の例を示す図である。
【0049】
第1カメラ11aおよび第2カメラ11bは、かご2の内部の第1画像および第2画像を撮影する。このとき、かご2の内部に乗客が乗車している。
【0050】
入力部12は、第1画像および第2画像の入力を受け付ける。変換部13は、入力された第1画像および第2画像を取得する。変換部13は、パラメーター記憶部15が記憶しているパラメーターを取得する。変換部13は、第1画像および第2画像の各々について、パラメーター記憶部15から取得した歪みパラメーターに基づいて、レンズ歪み補正の変換を行う。
【0051】
変換部13は、レンズ歪み補正の変換を行った第1画像および第2画像について、パラメーター記憶部15から取得した床面パラメーターに基づいて、かご2の床面5の範囲が互いに重なるようにホモグラフィ変換を行う。この例において、変換部13は、第1画像および第2画像におけるかご2の床面5の範囲が互いに形状および寸法の等しい矩形の範囲となるようにホモグラフィ変換を行う。ホモグラフィ変換によって、第1カメラ11aおよび第2カメラ11bの方向からかご2の床面5に射影された第1画像および第2画像が得られる。このとき、第1画像および第2画像は、かご2の床面5の範囲の部分が切り出される。
【0052】
第1カメラ11aおよび第2カメラ11bは互いに異なる方向からかご2の床面5を撮影している。このため、かご2の床面5の上に乗客がいる場合に、ホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像は、互いに異なる画像となる。一方、かご2の床面5は平面であるため、かご2の床面5の上に乗客がいない場合に、ホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像は、互いに類似する画像となる。
【0053】
判定部16は、ホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像を取得する。判定部16は、第1画像および第2画像の間の非類似度を算出する。判定部16は、例えば次のように非類似度を算出する。
【0054】
判定部16は、取得した第1画像および第2画像の差分画像を生成する。差分画像は、例えば第1画像および第2画像の間において画素ごとの輝度値の差分をとることによって生成される。判定部16は、例えば差分画像の輝度値の絶対値または平方値の平均値、中央値、または最大値などによって非類似度を算出する。判定部16は、この他の方法によって非類似度を算出してもよい。
【0055】
判定部16は、算出した非類似度が予め設定された閾値より大きい場合に、かご2の内部に乗客がいると判定する。一方、判定部16は、算出した非類似度が予め設定された閾値以下の場合に、かご2の内部に乗客がいないと判定する。
【0056】
出力部17は、かご2の内部の乗客の有無の判定結果を判定部16から取得する。出力部17は、取得した判定結果を制御盤3に出力する。
【0057】
制御盤3は、入力された判定結果に基づいて、かご2の動作を制御する。
【0058】
例えば、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいないことを表すときに、制御盤3は、かご2の走行速度を高くする。あるいは、このときに、制御盤3は、かご2の走行速度の上限を高くしてもよい。
【0059】
例えば、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいないことを表すときに、制御盤3は、空気調和装置10の運転を停止させる。あるいは、このときに、制御盤3は、空気調和装置10の運転を弱くしてもよい。一方、制御盤3は、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいることを表すときに、空気調和装置10の運転を開始させる。
【0060】
例えば、かご2がかごドア8を開いて停止している階床において当該かご2に乗場呼びが登録されていないときに、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいないことを表す場合に、制御盤3は、かごドア8が開いている時間を短くする。
【0061】
また、地震計が地震を検出するときに、機器の異常を診断するための診断運転に移行するエレベーターシステム1がある。このようなエレベーターシステム1において、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいることを表すときに、制御盤3は、診断運転への移行を制限する。すなわち、かご2に乗客が乗車しているときに地震が発生した場合においても、制御盤3は、かご2に乗客が乗車していないと判定されるまで診断運転を行わない。
【0062】
続いて、
図5を用いて乗客検出装置4の動作の例を説明する。
図5は、実施の形態1に係る乗客検出装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0063】
ステップS1において、入力部12は、第1カメラ11aから第1画像を取得する。また、入力部12は、第2カメラ11bから第2画像を取得する。その後、乗客検出装置4の動作は、ステップS2に進む。
【0064】
ステップS2において、変換部13は、入力部12が取得した第1画像および第2画像についてレンズ歪み補正の変換を行う。その後、乗客検出装置4の動作は、ステップS3に進む。
【0065】
ステップS3において、変換部13は、レンズ歪み補正が行われた第1画像および第2画像についてホモグラフィ変換を行う。その後、乗客検出装置4の動作は、ステップS4に進む。
【0066】
ステップS4において、判定部16は、ホモグラフィ変換が行われた第1画像および第2画像の非類似度を算出する。その後、乗客検出装置4の動作は、ステップS5に進む。
【0067】
ステップS5において、判定部16は、算出した非類似度が予め設定された閾値より大きいかを判定する。判定結果がYesの場合に、乗客検出装置4の動作は、ステップS6に進む。判定結果がNoの場合に、乗客検出装置4の動作は、ステップS7に進む。
【0068】
ステップS6において、判定部16は、かご2の内部に乗客がいると判定する。その後、乗客検出装置4の動作は、終了する。
【0069】
ステップS7において、判定部16は、かご2の内部に乗客がいないと判定する。その後、乗客検出装置4の動作は、終了する。
【0070】
以上に説明したように、実施の形態1に係る乗客検出装置4は、入力部12と、変換部13と、判定部16と、を備える。入力部12は、第1画像および第2画像の入力を受け付ける。第1画像は、エレベーターのかご2の床面5を含む。第1画像は、第1カメラ11aに撮影される。第1カメラ11aは、かご2に設けられる。第2画像は、かご2の床面5を含む。第2画像は、第2カメラ11bに第1カメラ11aと異なる方向から撮影される。第2カメラ11bは、かご2に設けられる。変換部13は、第1画像に含まれるかご2の床面5の範囲および第2画像に含まれるかご2の床面5の範囲が互いに重なるように、第1画像および第2画像にホモグラフィ変換を行う。判定部16は、変換部13によるホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像の互いに重なるかご2の床面5の範囲の差分に基づいて、かご2の内部の乗客の有無を判定する。
【0071】
また、実施の形態1に係るエレベーターシステム1は、かご2と、制御盤3と、入力部12と、変換部13と、判定部16と、出力部17と、を備える。かご2は、昇降路の内部を走行することで、乗客を輸送する。昇降路は、複数の階床にわたって設けられる。乗客は、開閉するかごドア8からかご2の内部に乗降する。制御盤3は、入力されるかご2の内部の乗客の有無の判定結果に基づいてかご2の動作を制御する。入力部12は、第1画像および第2画像の入力を受け付ける。第1画像は、かご2の床面5を含む。第1画像は、第1カメラ11aに撮影される。第1カメラ11aは、かご2に設けられる。第2画像は、かご2の床面5を含む。第2画像は、第2カメラ11bに第1カメラ11aと異なる方向から撮影される。第2カメラ11bは、かご2に設けられる。変換部13は、第1画像に含まれるかご2の床面5の範囲および第2画像に含まれるかご2の床面5の範囲が互いに重なるように、第1画像および第2画像にホモグラフィ変換を行う。判定部16は、変換部13によるホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像の互いに重なるかご2の床面5の範囲の差分に基づいて、かご2の内部の乗客の有無を判定する。出力部17は、判定部16による判定結果を制御盤3に出力する。
【0072】
ホモグラフィ変換によって、第1カメラ11aおよび第2カメラ11bの方向からかご2の床面5に射影された第1画像および第2画像が得られる。このとき、第1画像および第2画像の差分は、かご2の床面5の上の乗客の有無によって変化する。かご2に乗車している乗客は、閉じた領域である床面5の上にいる。このため、ホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像の間の差分に基づいて、かご2の内部の乗客の有無が判定できる。このとき、判定部16は、背景画像を必要としない。これにより、かご2の内部の環境が変化する場合においても、乗客の誤検出が抑制される。ここで、かご2の内部の環境の変化は、例えば照明装置9の光量の変化、およびかご2が窓を有する場合の時間または天候による外部の明るさの変化などを含む。また、かご2の内部の環境の変化は、かご2の壁面6または床面5などの内装の変化を含む。内装の変化は、例えばポスターなどの掲示物の変化、またはサイネージなどの動的な表示の変化を含む。
【0073】
また、変換部13は、ホモグラフィ変換の前に第1画像および第2画像の各々についてレンズ歪み補正を行う。
【0074】
かご2の内部を撮影する場合に、かご2の全体を撮影しうるように広角カメラが用いられることがある。この場合においても、判定部16による乗客の有無の検出の精度の低下を抑えることができる。
【0075】
また、乗客検出装置4は、歪みパラメーター設定部20を備える。パラメーター設定部14は、入力部12が受け付けた第1画像および第2画像に基づいて歪みパラメーターを設定する。変換部13は、歪みパラメーター設定部20が設定した歪みパラメーターに基づいてレンズ歪み補正を行う。
また、乗客検出装置4は、床面パラメーター設定部19を備える。床面パラメーター設定部19は、入力部12が受け付けた第1画像および第2画像に基づいて床面パラメーターを設定する。床面パラメーターは、第1画像および第2画像に含まれるかご2の床面5の範囲を定めるパラメーターである。変換部13は、床面パラメーター設定部19が設定した床面パラメーターに基づいてホモグラフィ変換を行う。
【0076】
歪みパラメーター設定部20および床面パラメーター設定部19は、撮影された画像に基づいて歪みパラメーターおよび床面パラメーターを設定する。このため、例えば保守員は、歪みパラメーターまたは床面パラメーターを直接調整しなくてもよい。乗客検出装置4は、エレベーターシステム1に適用しやすくなる。
【0077】
また、床面パラメーター設定部19は、第1画像および第2画像においてマーカー21を認識する場合に、マーカー21の位置に基づいて床面パラメーターを設定する。
【0078】
これにより、床面パラメーターは、マーカー21の配置によって容易に校正される。このため、判定部16による判定の精度を容易に保つことができる。
【0079】
また、制御盤3は、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいないことを表すときに、かご2の走行速度を高くする。
また、制御盤3は、かご2がかごドア8を開いて停止している階床において当該かご2に乗場呼びが登録されていないときに、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいないことを表す場合に、かごドア8が開いている時間を短くする。
【0080】
かご2の内部に乗客がいないときに、制御盤3は、かご2の運行効率を高める運転をさせることができる。これにより、エレベーターシステム1の利用効率が高くなる。
【0081】
また、制御盤3は、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいることを表すときに、診断運転への移行を制限する。
【0082】
これにより、乗客がかご2に乗車しているときに地震が発生した場合においても、診断運転への移行によって乗客がかご2に閉じ込められることが予防される。
【0083】
また、かご2は、内部の空間の空気を調整する空気調和装置10を備える。制御盤3は、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいないことを表すときに、空気調和装置10の運転を停止させる。
【0084】
かご2の内部に乗客がいないときに、制御盤3は、空気調和装置10の無用な運転を控えさせる。これにより、エレベーターシステム1のエネルギー効率が高くなる。
【0085】
なお、判定部16は、第1画像または第2画像の少なくともいずれかにおいて乗客の動きを検出する場合に、ホモグラフィ変換の前にかご2の内部に乗客がいると判定してもよい。乗客の動きは、例えばフレーム差分法などによって検出される。
【0086】
かご2の内部において動くものは、乗客または乗客が持ち込んだ物体であると推定される。このため、かご2の内部において動きが検出されることによって、乗客が乗車していると検出することができる。このとき、乗客検出装置4は、ホモグラフィ変換などの画像処理を行うことなく乗客の有無を検出できる。乗客検出装置4は、乗客検出において、画像処理による計算負荷を低減できる。なお、かご2の内部において乗客が停止している場合においても、ホモグラフィ変換の後の画像の差分に基づいて、判定部16は、乗客の有無を判定できる。
【0087】
また、判定部16は、第1画像および第2画像から抽出されるかご2の構造に由来する特徴のずれに基づいて、第1画像または第2画像におけるかご2の床面5の範囲の位置のずれを検出してもよい。
【0088】
判定部16は、例えば次のようにずれを検出する。判定部16は、かご2の構造に由来する特徴として、例えば床面5と壁面6との境界などの実空間において直線状のエッジ22を第1画像および第2画像から抽出する。判定部16は、抽出されたエッジ22の画像における位置を記憶する。判定部16は、再びエッジ22の位置を抽出するときに、抽出したエッジ22の位置と記憶しているエッジ22の位置との間に差異があるかを判定する。判定部16は、差異があると判定するときに、かご2の床面5の範囲の位置のずれを検出する。判定部16は、検出したずれに基づいてかご2の床面5の範囲の位置を補正してもよい。判定部16は、ずれを検出するときに、管理者などに報知してもよい。これにより、第1カメラ11aおよび第2カメラ11bの位置または姿勢のずれなどによる乗客の誤検出が予防される。
【0089】
また、かご2は、内部の空間を照らす光量が調整可能な照明装置9を備える。制御盤3は、入力される判定結果がかご2の内部に乗客がいることを表すときに、照明装置9の光量を調整してもよい。このとき、変換部13は、照明装置9の光量の調整の後に撮影された第1画像および第2画像についてかご2の床面5の範囲が互いに重なるようにホモグラフィ変換を行う。判定部16は、変換部13による当該ホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像の互いに重なるかご2の床面5の範囲の差分に基づいてかご2の内部の乗客の有無を再び判定する。
【0090】
乗客検出装置4による乗客検出は、第1カメラ11aおよび第2カメラ11bが撮影する画像に基づいて行われる。このため、かご2の内部の照明不足による画像の黒つぶれ、およびかご2の内部の照明過剰による画像の白飛びなどが発生しうる。このとき、実際には乗客が乗車していないにも関わらず、判定部16は、乗客がいるとして誤検出する可能性がある。このような場合に、制御盤3によって、照明装置9の光量が調整される。その後、乗客検出装置4によって再び乗客検出が行われる。これにより、照明条件による乗客の誤検出が抑制される。乗客検出装置4は、乗客が乗車していないことをより確実に検出できる。このため、エレベーターシステム1の運行効率およびエネルギー効率がより効果的に高まる。
【0091】
また、マーカー21は、床面5の範囲を定められるものであればよい。マーカー21は、例えば直線状の模様が表され、矩形である床面5の4辺に沿って配置されるシートであってもよい。あるいは、マーカー21は、かご2の床面5に表される模様であってもよい。
【0092】
また、床面5は、かご2の内部の乗客が上に乗る閉じた平面であればよい。床面5は、例えば円弧などの曲線状の境界をもつ平面であってもよい。
【0093】
また、第1カメラ11aおよび第2カメラ11bから出力される第1画像および第2画像のレンズ歪みが小さい場合に、変換部13は、レンズ歪み補正を行わなくてもよい。例えば、第1カメラ11aおよび第2カメラ11b自体が、レンズ歪み補正の機能を搭載していてもよい。
【0094】
また、エレベーターシステム1が設けられる建築物は、エレベーターシステム1の機械室を有していてもよい。このとき、例えば巻上機および制御盤3は、機械室に設けられていてもよい。
【0095】
また、乗客検出装置4は、例えばかご2の上部、制御装置、昇降路、または機械室などに配置されてもよい。乗客検出装置4の一部または全部の機能は、個別のハードウェアによって実現されてもよい。乗客検出装置4の一部または全部の機能は、例えば第1カメラ11a、第2カメラ11b、もしくはかご2に設けられるその他の機器、制御盤3、またはその他のエレベーターシステム1の機器によって実現されてもよい。
【0096】
続いて、
図6を用いて乗客検出装置4のハードウェア構成の例について説明する。
図6は、実施の形態1に係る乗客検出装置の主要部のハードウェア構成を示す図である。
【0097】
乗客検出装置4の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ4bと少なくとも1つのメモリ4cとを備える。処理回路は、プロセッサ4bおよびメモリ4cと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用のハードウェア4aを備えてもよい。
【0098】
処理回路がプロセッサ4bとメモリ4cとを備える場合、乗客検出装置4の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ4cに格納される。プロセッサ4bは、メモリ4cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、乗客検出装置4の各機能を実現する。
【0099】
プロセッサ4bは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ4cは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等により構成される。
【0100】
処理回路が専用のハードウェア4aを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0101】
乗客検出装置4の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、乗客検出装置4の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。乗客検出装置4の各機能について、一部を専用のハードウェア4aで実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア4a、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで乗客検出装置4の各機能を実現する。
【0102】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0103】
図7は、実施の形態2に係る乗客検出装置における乗客検出の例を示す図である。
【0104】
図7において、第1画像および第2画像の例が示される。
図7の第1画像および第2画像において、太い実線は、床面5の範囲を示す。
図7の第1画像および第2画像において、破線は、第2平面の閉じた範囲を示す。この例において、第2平面は、かごドア8の表面の一部である。
【0105】
変換部13は、ホモグラフィ変換などによって、第1カメラ11aおよび第2カメラ11bの方向からかご2の床面5に射影された第1画像および第2画像を生成する。判定部16は、かご2の床面5に射影された第1画像および第2画像について床面5の差分画像を生成する。
【0106】
この例において、乗客は、かごドア8の前に立って乗車している。かごドア8の前は、床面5の境界の近傍である。このため、床面5の差分画像において、利用者が乗車していることによる差分は小さくなる。
【0107】
ここで、変換部13は、床面5における処理と同様の処理により、ホモグラフィ変換などによって第1カメラ11aおよび第2カメラ11bの方向から第2平面に射影された第1画像および第2画像を生成する。判定部16は、第2平面に射影された第1画像および第2画像について第2平面の差分画像を生成する。
【0108】
判定部16は、床面5の差分画像から算出される非類似度が予め設定された閾値より大きい場合、または、第2平面の差分画像から算出される非類似度が予め設定された閾値より大きい場合に、かご2の内部に乗客がいると判定する。
【0109】
以上に説明したように、実施の形態2に係る乗客検出装置4において、変換部13は、第1画像に含まれる第2平面の閉じた範囲および第2画像に含まれる第2平面の閉じた範囲が互いに重なるように、第1画像および第2画像にホモグラフィ変換を行う。第2平面は、床面5と重ならない平面である。判定部16は、変換部13によるホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像の互いに重なる第2平面の範囲の差分に基づいて、かご2の内部の乗客の有無を判定する。
【0110】
また、実施の形態2に係るエレベーターシステム1において、変換部13は、第1画像に含まれる第2平面の閉じた範囲および第2画像に含まれる第2平面の閉じた範囲が互いに重なるように、第1画像および第2画像にホモグラフィ変換を行う。第2平面は、床面5と重ならない平面である。判定部16は、変換部13によるホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像の互いに重なる第2平面の範囲の差分に基づいて、かご2の内部の乗客の有無を判定する。
【0111】
判定部16は、床面5の差分画像において、床面5の全体の差分に基づいて乗客の有無を検出する。一方、乗客が床面5の境界の近傍に立っている場合に、床面5の差分画像から算出される非類似度が小さいことがある。このとき、乗車している乗客が検出されない可能性がある。この場合に、判定部16は、床面5に重ならない第2平面の差分画像から算出される非類似度などに基づいて乗客の有無を検出する。このため、乗客が床面5の境界の近傍に立っている場合においても、かご2に乗車している乗客の検出漏れが抑制される。
【0112】
なお、第2平面は、かご2の床面5と平行な平面であってもよい。第2平面は、かご2の床面5と高さが異なる平面であってもよい。第2平面は、床面5と異なる方向を向いていてもよい。第2平面は、床面5に垂直な平面であってもよい。乗客検出装置4において、複数の第2平面が設定されていてもよい。
【0113】
また、変換部13は、かご2の壁面6またはかご2のかごドア8の表面の少なくとも一部を第2平面としてホモグラフィ変換を行う。判定部16は、当該第2平面の範囲の差分に基づいてかご2の内部の乗客の有無を判定する。
【0114】
このとき、第2平面は、床面5の境界の上にある。このため、床面5の境界の近傍における乗客の検出漏れが抑制される。また、かご2の壁面6およびかごドア8は、かご2の内部において境界が明確な平面である。このため、パラメーター設定部14による第1画像および第2画像に基づくパラメーターの設定がしやすくなる。
【0115】
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1または実施の形態2で開示された例と相違する点について詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示された例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0116】
図8は、実施の形態3に係る乗客検出装置における乗客検出の例を示す図である。
【0117】
図8において、第1画像および第2画像の例が示される。この例において、かごドア8は開いている。この例において、乗客は、かご2が停止している階床の乗場に立っている。
図8の第1画像および第2画像において、太い実線は、床面5の範囲を示す。
図8の第1画像および第2画像において、破線は、第2平面の閉じた範囲を示す。この例において、第2平面は、乗場の床面5の一部である。この例において、第2平面は、三角形状の平面である。
【0118】
乗客検出装置4は、かごドア8が開いていることを表す信号を例えば制御盤3から入力部12を通じて受け付ける。あるいは、乗客検出装置4は、例えば画像認識によってかごドア8が開いていることを検出してもよい。
【0119】
ここで、変換部13は、床面5における処理と同様の処理により、ホモグラフィ変換などによって第1カメラ11aおよび第2カメラ11bの方向から第2平面に射影された第1画像および第2画像を生成する。このとき、第2平面は、床面5に平行な同じ高さの平面である。このため、変換部13は、床面5における処理と同じパラメーターに基づいてホモグラフィ変換を行ってもよい。また、第1画像および第2画像において切り出される部分は、乗場の床面5の部分である。判定部16は、第2平面に射影された第1画像および第2画像について第2平面の差分画像を生成する。
【0120】
判定部16は、床面5の差分画像から算出される非類似度が予め設定された閾値より大きい場合、または、第2平面の差分画像から算出される非類似度が予め設定された閾値より大きい場合に、乗場に乗客がいると判定する。
【0121】
一方、かごドア8が閉じているときに、乗客検出装置4は、かごドア8が閉じていることを表す信号を例えば制御盤3から入力部12を通じて受け付ける。あるいは、乗客検出装置4は、例えば画像認識によってかごドア8が閉じていることを検出してもよい。このとき、乗客検出装置4は、かご2の壁面6またはかごドア8の表面の全部または一部を第2平面として乗客検出を行う。
【0122】
以上に説明したように、実施の形態3に係るエレベーターシステム1において、変換部13は、かごドア8が開いているときに、かご2がかごドア8を開いて停止している階床の乗場の床面5の少なくとも一部を第2平面としてホモグラフィ変換を行う。判定部16は、当該第2平面の範囲の差分に基づいて乗場の乗客の有無を判定する。
【0123】
これにより、乗客検出装置4は、これからかご2に乗り込む乗客、またはかご2から降りた乗客を検出できる。このため、エレベーターシステム1は、かご2の周辺の状況に応じて、利用効率またはエネルギー効率を高めることができる。例えば、制御盤3は、かご2の内部および乗場の両方に乗客がいないと判定される場合に、かごドア8が開いている時間を短くしてもよい。
かごの内部の環境が変化する場合においても乗客の誤検出を抑制できる乗客検出装置およびエレベーターシステムを提供する。乗客検出装置(4)またはエレベーターシステム(1)において、入力部(12)は、第1画像および第2画像の入力を受け付ける。第1画像は、かご(2)に設けられる第1カメラ(11a)に撮影される。第2画像は、かご(2)に設けられる第2カメラ(11b)に第1カメラ(11a)と異なる方向から撮影される。第1画像および第2画像は、かご(2)の床面(5)を含む。変換部(13)は、第1画像のかご(2)の床面(5)の範囲および第2画像のかご(2)の床面(5)の範囲が互いに重なるように第1画像および第2画像にホモグラフィ変換を行う。判定部(16)は、ホモグラフィ変換の後の第1画像および第2画像の互いに重なるかご(2)の床面(5)の範囲の差分に基づいて、かご(2)の内部の乗客の有無を判定する。