特許第6645679号(P6645679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645679
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】画像誘導放射線治療における動き管理
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   A61N5/10 N
   A61N5/10 H
   A61N5/10 F
   A61N5/10 M
【請求項の数】34
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-560263(P2018-560263)
(86)(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公表番号】特表2019-504738(P2019-504738A)
(43)【公表日】2019年2月21日
(86)【国際出願番号】IB2016001613
(87)【国際公開番号】WO2017137795
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2018年9月4日
(31)【優先権主張番号】62/292,726
(32)【優先日】2016年2月8日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518000132
【氏名又は名称】エレクタ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】ラシェーヌ,マルタン エミール
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−080131(JP,A)
【文献】 特表2015−500053(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0172526(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0021300(US,A1)
【文献】 特表2012−531222(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0212737(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の解剖学的関心領域の画像を取得するように構成された画像取得装置と、
解剖学的関心領域の画像に基づいて放射線の線量を解剖学的関心領域に送達するように構成された放射線治療装置と、
前記解剖学的関心領域の動きの主平面を決定し、
前記解剖学的関心領域の動きの主平面の決定に応じて、前記動きの前記主平面に平行な複数の2次元(2D)スライスを決定し、前記複数の2Dスライスは、前記解剖学的関心領域を実質的に包囲する3次元(3D)ボリュームを画定し、
前記複数の2Dスライスに基づいて複数の2D画像を取得するように画像取得装置を制御し、
前記取得された複数の2D画像の少なくともサブセットに基づいて、前記解剖学的関心領域の動きを決定し、
前記決定された動きに基づいて放射線送達を制御する
ように構成されたプロセッサ装置と
を有することを特徴とする放射線治療システム。
【請求項2】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記画像取得装置は、前記患者の前記解剖学的関心領域の2D磁気共鳴イメージング(MRI)画像を取得するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項3】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記放射線治療装置は、線形加速器(LINAC)を含む
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項4】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記解剖学的関心領域は、前記患者の前立腺、子宮頸部、子宮、直腸、膀胱、陰茎球、乳房の腫瘍摘出腔、腫瘍、またはノードである
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項5】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記動きの主平面が患者に依存する
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項6】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記動きの主平面は、矢状面、冠状面、または横断面を含む
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項7】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記複数の2Dスライスは、前記解剖学的関心領域に関する複数の空間的位置を画定する
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項8】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、それぞれが前記複数の2Dスライスのうちのひとつに対応する一連の2D画像を取得するように前記画像取得装置を制御するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項9】
請求項8記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、前記複数の2Dスライスにわたって掃引することによって前記一連の2D画像を取得するように前記画像取得装置を制御するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項10】
請求項9記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、前記複数の2Dスライスを繰り返し掃引することによって前記一連の2D画像を取得するように前記画像取得装置を制御するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項11】
請求項10記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内の第1の2D画像を、前記第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内であって前記第1の2D画像と異なる時間に取得された第2の2D画像と比較することにより、前記解剖学的関心領域の動きを決定するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項12】
請求項10記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、前記一連の2D画像の少なくともサブセットに基づいて前記3次元(3D)ボリュームの4次元(4D)画像を構築するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項13】
請求項10記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、
第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内の第1の2D画像を受信し、
前記第1の2D画像を前記4D画像の挿入し、
前記第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内の第2の2D画像を受信し、
前記4D画像の内の前記第1の2D画像を前記第2の2D画像に置き換える
ように構成されていることを特徴とする放射線治療システム。
【請求項14】
請求項12記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、前記4D画像の異なる時間の3Dスナップショットを比較することにより、前記解剖学的関心領域の動きを決定するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項15】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記解剖学的関心領域の動きは、位置変化または変形の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項16】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記解剖学的関心領域の動きは、変位または回転のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項17】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、前記決定された動きに基づいて、放射線ビームのゲート、マルチリーフコリメータ(MLC)の変更、または、患者支持システムの動きの少なくともひとつを制御するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項18】
放射線治療システムのプロセッサ装置によって実行され、画像誘導放射線治療セッション中に患者の解剖学的関心領域の動きを管理する方法であって、
前記方法は、
前記解剖学的関心領域の動きの主平面を決定し、
前記解剖学的関心領域の動きの主平面の決定に応じて、前記動きの前記主平面に平行な複数の2次元(2D)スライスを決定し、前記複数の2Dスライスは、前記解剖学的関心領域を実質的に包囲する3次元(3D)ボリュームを画定し、
前記複数の2Dスライスに基づいて複数の2D画像を取得するように画像取得装置を制御し、
前記取得された複数の2D画像の少なくともサブセットに基づいて、前記解剖学的関心領域の動きを決定し、
前記決定された動きに基づいて放射線送達するように放射線治療装置を制御する
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、
前記画像取得装置は、前記患者の前記解剖学的関心領域の2DMRI画像を取得する磁気共鳴撮像装置(MRI)を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18記載の方法において、
前記放射線治療装置は線形加速器(LIAC)を含む。
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項18記載の方法において、
前記解剖学的関心領域は、前記患者の前立腺、子宮頸部、子宮、直腸、膀胱、陰茎球、乳房の腫瘍摘出腔、腫瘍、またはノードである
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項18記載の方法において、
前記動きの主平面は患者に依存する
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項18記載の方法において、
前記動きの主平面は、矢状面、冠状面、または横断面を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項18記載の方法において、
前記複数の2Dスライスは、前記解剖学的関心領域に対する複数の空間的位置を画定する
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項18記載の方法において、
前記方法は、それぞれが前記複数の2Dスライスのうちのひとつに対応する一連の2D画像を取得するように前記画像取得装置を制御することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、
前記方法は、前記複数の2Dスライスを横切って掃引することにより、前記一連の2D画像を取得するように画像取得装置を制御することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法において、
前記方法は、前記複数の2Dスライスを横切って繰り返し掃引することにより、前記一連の2D画像を取得するように画像取得装置を制御することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、
前記解剖学的関心領域の動きを決定することは、第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内の第1の2D画像を、前記第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内であって前記第1の2D画像と異なる時間に取得された第2の2D画像と比較することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、
前記方法は、前記一連の2D画像の少なくともサブセットに基づいて前記3次元(3D)ボリュームの4次元(4D)画像を構築することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法において、
前記4D画像を構築することは、
第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内の第1の2D画像を受信し、
前記第1の2D画像を前記4D画像の挿入し、
前記第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内の第2の2D画像を受信し、
前記4D画像の内の前記第1の2D画像を前記第2の2D画像に置き換える
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29記載の方法において、
前記解剖学的関心領域の動きを決定することは、異なる時間の4D画像の3Dスナップショットを比較することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項18記載の方法において、
前記解剖学的関心領域の動きは、位置変化または変形の少なくとも1つを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項18記載の方法において、
前記決定された動きに基づいて放射線を送達するように前記放射線治療装置を制御することは、放射線ビームのゲートを制御すること、マルチリーフコリメータ(MLC)の変更を制御すること、患者支持システムの動きの制御することの少なくともひとつを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項34】
患者の解剖学的関心領域の磁気共鳴イメージング(MRI)画像を取得するように構成された画像取得装置と、
線形加速器(LINAC)を含み、前記解剖学的関心領域の前記画像に基づいて前記解剖学的関心領域への放射線容量を送達するように構成された放射線治療装置と、
前記解剖学的関心領域の動きの主平面を決定し、前記動きの主平面は、矢状面、冠状面、または横断面を含み、
前記解剖学的関心領域の動きの主平面の決定に応じて、前記動きの前記主平面に平行な複数の2次元(2D)スライスを決定し、前記複数の2Dスライスは、前記解剖学的関心領域を実質的に包囲する三次元(3D)ボリュームと、前記解剖学的関心領域に対する複数の空間的位置とを画定し
複数の2Dスライスを横切って繰り返し掃引することにより、一連の2D画像を取得するように前記画像取得装置を制御し、前記一連の2D画像内の各2D画像は前記複数の2Dスライスのひとつに対応しており、
前記一連の2D画像の少なくともサブセットに基づいて前記3Dボリュームの4次元(4D)画像を構築し、
前記4次元画像を構築することは、
第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内の第1の2D画像を受信し、
前記第1の2D画像を前記4D画像に挿入し、
前記第1の2Dスライスに対応する前記一連の2D画像内の第2の2D画像を受信し、
前記4D画像内の前記第1の2D画像を前記第2の2D画像に置き換えることを含み、
放射線治療セッション中の異なる時間における前記4D画像の3Dスナップショット間の比較に基づいて前記解剖学的関心領域の動きを決定し、前記関心領域の前記動きは位置変化または変形の少なくとも1つを含み、
前記決定された動きに基づいて、放射線の送達を制御し、
前記放射線の送達を制御することは、放射ビームのゲートを制御する、マルチリーフコリメータ(MLC)の修正を制御するまたは患者支持システムの動きを制御することの少なくともひとつを含む
ように構成されているプロセッサ装置と
を含むことを特徴とする放射線治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
[001]
本出願は、2016年2月8日に提出された米国仮出願第62/292,726号の優先権の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
[002]
本開示は、一般に、放射線治療(Radiation Therapy, Radiotherapy)に関する。より詳しくは、本開示は、画像誘導放射線治療における患者の動きを管理するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[003]
放射線治療は、哺乳動物(例えば、ヒトおよび動物)組織における癌および他の病気を治療するために使用される。典型的な放射線治療は、線状加速器(LINAC)を用いて提供され、それによって腫瘍に高エネルギー粒子(例えば、電子、プロトン、イオンなど)が照射される。放射線治療の経過中に、放射線場の配置の精度を向上させるために、画像取得装置を用いて腫瘍および周辺組織の画像を取得することができる。例えば、画像によって明らかにされた情報は、治療または患者の動きに起因する腫瘍の変化を補償するために使用することができる。
【0004】
[004]
治療セッションの前に画像を取得して、セッション間、または治療セッション中に腫瘍の変化を決定して、例えば患者の動きによる腫瘍の変化を決定することができる。その優れた軟部組織のコントラストと高い解像度のおかげで、磁気共鳴イメージング(MRI)技術を用いてそのような画像を生成することができる。しかしながら、MRI画像、特に三次元(3D)MRI画像の取得時間は比較的長い。例えば、3D(3次元)MRI画像は、取得するのに数分かかることがある。そのような長い取得時間は、3D(3次元)MRIを、治療セッション中の動きに関連する腫瘍の変化を追跡するのには不適切である。
【発明の概要】
【0005】
[005]
本開示の特定の実施形態は、放射線治療システムに関する。放射線治療システムは、患者の解剖学的関心領域の画像を取得するように構成された画像取得装置を含むことができる。放射線治療システムは、また、対象の解剖学的領域の画像に基づいて、解剖学的関心領域に線量の放射線を送達するように構成された放射線治療装置を含むことができる。放射線治療システムは、プロセッサ装置をさらに含むことができる。プロセッサ装置は、解剖学的関心領域の動きの主要平面を決定するように構成されてもよい。プロセッサ装置は、また、主平面に平行な複数の2Dスライスを決定するように構成されてもよい。複数の2Dスライスは、解剖学的関心領域を実質的に包囲する3Dボリュームを画定することができる。プロセッサ装置は、複数の2Dスライスに基づいて複数の2D画像を取得するように画像取得装置を制御するように構成することもできる。プロセッサ装置は、また、取得された複数の2D画像の少なくともサブセットに基づいて、解剖学的関心領域の動きを決定するように構成されてもよい。プロセッサ装置は、さらに、決定された動きに基づいて放射線の供給を制御するように構成されてもよい。
【0006】
[006]
本開示の特定の実施形態は、画像誘導放射線治療セッション中に患者の解剖学的関心領域の動きを管理する方法に関する。本方法は、放射線治療システムのプロセッサ装置によって実施することができる。本方法は、解剖学的関心領域の動きの主平面を決定することを含むことができる。本方法は、また、主平面に平行な複数の2Dスライスを決定することを含むことができる。複数の2Dスライスは、解剖学的関心領域を実質的に包囲する3次元(3D)ボリュームを画定することができる。本方法は、また、複数の2Dスライスに基づいて複数の2D画像を取得するように画像取得装置を制御することを含むことができる。本方法は、また、取得された複数の2D画像の少なくともサブセットに基づいて、解剖学的関心領域の動きを決定するステップを含むことができる。本方法は、さらに、決定された動きに基づいて放射線を送達するように放射線治療装置を制御するステップを含むことができる。
【0007】
[007]
本開示の特定の実施形態は、放射線治療システムに関する。放射線治療システムは、患者の解剖学的関心領域のMRI画像を取得するように構成された画像取得装置を含むことができる。放射線治療システムは、また、線形加速器(LIAC)を含み、解剖学的関心領域の画像に基づいて解剖学的関心領域に線量を送達するように構成された放射線治療装置を含むことができる。放射線治療システムは、プロセッサ装置をさらに含むことができる。プロセッサ装置は、解剖学的関心領域の動きの主平面を決定するように構成されてもよい。動きの主平面は、矢状面、冠状面、または横断面を含むことができる。プロセッサ装置は、また、主平面に平行な複数の2Dスライスを決定するように構成されてもよい。複数の2Dスライスは、解剖学的関心領域を実質的に包囲する3Dボリュームを画定することができる。複数の2Dスライスは、また、解剖学的関心領域に対して複数の空間的位置を画定することができる。プロセッサ装置は、画像取得装置を制御して、複数の2Dスライスを繰り返し掃引することによって一連の2D画像を取得するように構成することもできる。シリーズ内の各2D画像は、複数の2Dスライスのうちの1つに対応してもよい。プロセッサ装置は、また、一連の2D画像の少なくともサブセットに基づいて3Dボリュームの4次元(4D)画像を構築するように構成することもできる。プロセッサ装置は、第1の2Dスライスに対応するシリーズ内の第1の2D画像を受信し、4D画像に第1の2D画像を挿入し、第1の2Dスライスにも対応するシリーズ内の第2の2D画像を受信し、4D画像内の第1の2D画像を第2の2D画像に置き換えるように構成することもできる。プロセッサ装置は、また、放射線治療セッション中の異なる時間における4D画像の3Dスナップショット間の比較に基づいて、解剖学的関心領域の動きを決定するように構成されてもよい。解剖学的関心領域の動きは、位置変化または変形の少なくとも1つを含むことができる。プロセッサ装置は、さらに、放射ビームのゲーティアを制御する、マルチリーフコリメータ(MLC)の修正を制御する、または患者支持システムの動きを制御する、のうちの少なくともひとつにより、決定された動きに基づいて放射線の送達を制御するように構成されてもよい。
【0008】
[008]
本開示のさらなる目的および利点は、以下の詳細な説明に部分的に記載され、部分的には説明から明らかになり、または本開示の実施によって習得され得る。本開示の目的および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素および組合せによって実現され、達成されるであろう。
【0009】
[009]
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は例示的で説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[010]
添付の図面は、本明細書の一部を構成し、いくつかの実施形態を示し、説明と共に、開示された原理を説明するためのものである。
【0011】
[011]
図1図1は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な放射線治療システムを示す。
【0012】
[012]
図2図2は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な画像誘導放射線治療装置を示す。
【0013】
[013]
図3図3は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な解剖学的関心領域を示す例示的な画像である。
【0014】
[014]
図4図4は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な動きの1次元面および例示的な2Dスライスを示す。
【0015】
[015]
図5図5は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な2Dスライスの他のセットを示す。
【0016】
[016]
図6A図6Aは、本開示のいくつかの実施形態による、4D画像を構築する例示的プロセスおよび4D画像に基づいて動きを決定する例示的プロセスを示す。
【0017】
[017]
図6B図6Bは、本開示のいくつかの実施形態による、「ブリーディング」現象を低減するための例示的な画像取得プロセスを示す。
【0018】
[018]
図7図7は、本開示のいくつかの実施形態による、2D画像の比較に基づいて動きを決定する例示的なプロセスを示す。
【0019】
[019]
図8図8は、本開示のいくつかの実施形態による、画像誘導放射線治療セッション中に患者の解剖学的関心領域の動きを管理する例示的な方法のフローチャートである。
【発明の詳細な説明】
【0020】
[020]
例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。便宜上、同じ参照番号は、図面全体にわたって同じまたは同様の部分を指すために使用される。開示された原理の例および特徴が本明細書に記載されているが、開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、修正、適応および他の実施が可能である。また、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、および「含む(including)」という言葉および他の同様の形態は、意味が等価であり、オープンエンドと解釈されることを意図している。これらの単語は、そのような項目または項目の網羅的なリストであることを意味するものではなく、リストされた項目または項目のみに限定されることを意味するものではない。単数形「a」、「an」および「the」には、文脈上他に明確に指示されていない限り、複数の参照を含むことが意図されている。
【0021】
[021]
本開示によるシステムおよび方法は、画像誘導放射線治療または放射線治療(IGRT:Image-Guided Radiation Therapy)に関する。本明細書で使用される場合、用語「放射線治療(Radiation Therapy)」、「放射線治療(Radiotherapy)」および「放射線腫瘍学(Radiation Oncology)」は互換的に使用される。IGRTは、頻繁な2Dまたは3Dイメージングを使用して、放射線処置の過程で放射線治療を指示する技術を指す。IGRT技術は、放射線場の配置の精度を向上させ、放射線治療中に健康な組織の暴露を低減するために使用される。
【0022】
[022]
図1は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な放射線治療システム100を示す。放射線治療システム100は、IGRTシステムであってもよい。図1に示すように、放射線治療システム100は、制御コンソール10と、データベース120と、放射線治療装置130と、画像取得装置140とを含むことができる。いくつかの実施形態では、放射線治療装置130および画像取得装置140は、図1の破線のボックス150によって示されるように、単一の画像誘導放射線治療装置150に統合されてもよい。いくつかの実施形態では、放射線治療装置130および画像取得装置140は、別々の装置であってもよい。いくつかの実施形態では、放射線治療装置130と画像取得装置140は、図1の放射線治療装置130と画像取得装置140との間に点線で示すように、物理的にまたは通信可能に互いに接続されてもよい。
【0023】
[023]
制御コンソール110は、放射線治療装置130および画像取得装置140を制御する、および/または、治療計画、処置実行、画像取得、画像処理、動き追跡、動き管理、または放射線治療のプロセスに関与する他のタスクのような、機能または動作を実行するためのハードウェアコンポーネントおよびソフトウェアコンポーネントを含むことができる。ハードウェアコンポーネントは、1つまたは複数のコンピュータ(例えば、汎用コンピュータ、ワークステーション、サーバ、端末、ポータブル/モバイルデバイスなど)、プロセッサデバイス(例えば、中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用または特別に設計されたプロセッサなど)、メモリデバイス(例えば、リードオンリー(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、光ディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)など)、入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイク、ボタン、ノブ、トラックボール、レバー、ハンドル、ジョイスティックなど)、出力デバイス(例えば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ、振動デバイスなど)、回路網、プリント回路基板(PCB)、または他の適切なハードウェアを含むことができる。ソフトウェアコンポーネントは、オペレーティングシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェアなどを含むことができる。例えば、図1に示すように、制御コンソール110は、制御コンソール110のメモリ/格納装置に格納することができる治療計画/送達ソフトウェア115を含むことができる。ソフトウェア115は、コンピュータ可読および実行可能コードまたは命令を含むことができる。制御コンソール110のプロセッサ装置は、コードまたは命令にアクセスして実行するためにソフトウェア115を格納するメモリ/記憶装置に通信可能に接続することができる。コードまたは命令の実行は、開示された実施形態による1つまたは複数の機能を達成するために、プロセッサデバイスに動作を実行させることができる。
【0024】
[024]
制御コンソール110は、データにアクセスするためにデータベース120に通信可能に接続されることができる。いくつかの実施形態では、データベース120は、制御コンソール110の近傍にある1つまたは複数のハードドライブ、光ディスク、および/またはサーバなどのローカルハードウェアデバイスを使用して実装することができる。いくつかの実施形態では、データベース120は、制御コンソール110に関して遠隔に配置されたデータセンターまたはサーバに実装されてもよい。制御コンソール110は、有線または無線通信を介してデータベース120に格納されたデータにアクセスすることができる。
【0025】
[025]
データベース120は、患者データ122を含むことができる。患者データは、患者に関連する画像データ(例えば、MRI、CT、X線、PET、SPECTなど)、解剖学的領域、器官、または関心のあるセグメンテーションデータのボリューム、機能的臓器モデリングデータ(例えば、直列対並列臓器、および適切な用量反応モデル)、放射線量データ(例えば、線量−体積ヒストグラム(DVH)情報を含む)、ラボデータ(例えば、ヘモグロビン、血小板、コレステロール、トリグリセリド、クレアチニン、ナトリウム、グルコース、カルシウム、体重)、バイタルサイン(血圧、温度、呼吸数など)、ゲノムデータ(例えば、遺伝子プロファイリング)、人口統計学的属性(年齢、性別、民族性など)、患者に影響する他の疾患(例えば、心血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、放射線過敏症症候群など)、薬物および薬物反応、ダイエットおよびライフスタイル(例えば、喫煙、または禁煙)、環境リスク要因、腫瘍の特徴(組織学的タイプ、腫瘍グレード、ホルモンおよび他の受容体の状態、腫瘍の大きさ、血管の細胞のタイプ、癌の病期分類、グリーソンスコアなど)、以前の治療(例えば、外科手術、放射線治療、化学療法、ホルモン療法)、リンパ節および遠隔転移の状態、遺伝子/タンパク質バイオマーカー(例えば、MYC、GADD45A、PP1D、BBC3、CDKN1A、PLK3、XPC、AKT1、RELA、BCL2L1、PTEN、CDK1、XIAPなど)、一塩基多型(SNP)分析(例えば、XRCC1、XRCC3、APEX1、MDM2、TNFR、MTHFR、MTRR、VEGF、TGF、TNFαなど)、のような情報を含むことができる。
【0026】
[026]
データベース120は、マシンデータ124を含むことができる。マシンデータ124は、放射線治療装置130、画像取得装置140、MRIパルスシーケンス、または、放射線ビームサイズ、アーク配置、オン/オフ時間、座標系、マルチリーフコリメータ(MLC)構成、MRIパルスシーケンスなどのような、放射線治療に関連する他の機械に関連する情報を含むことができる。
【0027】
[027]
画像取得装置140は、患者の医用画像を提供することができる。例えば、画像取得装置140は、MRI画像(例えば、2D(2次元)MRI、3D(3次元)MRI、2D(2次元)ストリーミングMRI、4D(4次元)容積MRI、4D(4次元)シネMRI)、コンピュータ断層撮影(CT)画像、コーンビームCT画像、陽電子放射断層撮影(PET)画像、機能的MRI画像(例えば、fMRI、DCE−MRI、拡散MRI)、X線画像、透視画像、超音波画像、放射線治療ポータル画像、シングルフォトエミッションコンピュータ断層撮影(SPECT)画像、などの1つ以上を提供することができる。したがって、画像取得装置140は、MRIイメージング装置、CTイメージング装置、PETイメージング装置、超音波イメージング装置、蛍光透視装置、SPECTイメージング装置、または、患者の医用画像を取得する他の医用イメージング装置を含むことができる。
【0028】
[028]
放射線治療装置130は、制御可能な方法で患者の解剖学的関心領域に放射線を送達することができるレクセルガンマナイフ、LINAC、または他の適切な装置を含むことができる。
【0029】
[029]
図2は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な画像誘導放射線治療装置150を示す。装置150は、コーチ210と、画像取得装置140に対応する画像取得部分と、放射線治療装置130に対応する放射線供給部分とを含む。
【0030】
[030]
コーチ210は、治療セッション中に患者(図示せず)を支持するために使用され、患者支持システムと呼ぶことができる。コーチ210は、水平移動軸(「I」と表示されている)に沿って移動可能であり、それにより、コーチ210上に載置された患者は、装置150の中におよび/または外に移動することができる。いくつかの実施形態では、コーチ210は、並進軸を横切る中心垂直回転軸の周りを回転可能であってもよい。コーチ210をモータ駆動することができ、治療計画に従って患者を適切に配置するために、様々な方向に移動し、様々な軸に沿って回転することができる。
【0031】
[031]
画像取得装置140は、治療セッションの前、治療セッションの最中および/または治療セッションの後に患者の2Dまたは3DMRI画像を取得するために使用されるMRI装置を含むことができる。画像取得装置140は、磁気共鳴撮像のための一次磁場を生成するための磁石146を含むことができる。磁石146の動作によって生成される磁力線は、中心平行移動軸Iに実質的に平行であってもよい。磁石146は、並進軸Iに平行に延びる軸を有する1つ以上のコイルを含むことができる。いくつかの実施形態では、磁石146の1つ以上のコイルは、磁石146の中央窓147がコイルを含まないように間隔を空けて配置されてもよい。他の実施形態では、磁石146内のコイルは、放射線治療装置130によって生成された波長の放射線に対して実質的に透明であるように、十分に薄いか、または密度が低くてもよい。画像取得装置140は、マグネット146の外側の磁場を相殺するために、マグネット146の外側の磁場とほぼ等しい大きさおよび反対の極性の磁場を発生される、1つまたは複数のアクティブシールドコイルを含むことができる。放射線治療装置130の放射線源134は、磁場が少なくとも一次元で打ち消される領域に設けられてもよい。
【0032】
[032]
画像取得装置140は、また主磁場に重畳される勾配磁場を生成することができる2つの勾配コイル148、149を含むことができる。コイル148、149は、陽子の位置を決定することができるように、陽子の空間符号化を可能にする合成磁界に勾配を生成することができる。勾配コイル148、149は、磁石146と共通の中心軸の周りに配置され、その中心軸に沿って別の磁石から変位していてもよい。その変位は、コイル148とコイル149との間にギャップすなわち窓を形成することがある。磁石146がコイル間の中央窓147を含む実施形態では、2つのウィンドウが互いに位置合わせされてもよい。
【0033】
[033]
放射線治療装置130は、X線源または線形加速器などの放射線源134と、マルチリーフコリメータ(MLC)132とを含むことができる。放射線治療装置130は、シャーシ138上に取り付けられてもよい。シャーシ138は、1つまたは複数のシャーシモータによって駆動され、治療領域に挿入されるとき、コーチ210の周りを連続的に回転可能である。放射線検出器は、シャーシ138に取り付けられることが望ましく、放射線源134の反対側で、放射線源134と検出器との間に配置されたシャーシ138の回転軸に取り付けられることが好ましい。放射線治療装置130の制御回路は、装置150内に一体化されていてもよいし、装置150から離れていてもよく、図1の制御コンソール110によって機能的に表されている。
【0034】
[034]
放射線治療セッション中に、患者は、磁気コイル146,148,149とシャーシ138によって画定される治療領域に挿入されるコーチ210上に配置される。制御コンソール110は、放射線源134、MLC132、およびシャーシモータを制御して、コイル148とコイル149の間の窓を通して患者に放射線を送達することができる。
【0035】
[035]
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な解剖学的関心領域を示す例示的な画像300である。本明細書で使用される場合、解剖学的関心領域は、器官、臓器を危険にさらす器官(OAR)、腫瘍、周囲組織、放射線治療標的、アイソセンタ、または放射線治療に関連する任意の他の解剖学的構造を含み得る。画像300は、矢状面に平行な患者の下腹部領域の2DMRI画像である。本明細書で使用される場合、矢状面は、矢状縫合と平行な面であり、本体を左右の部分に分割する面であり、冠状面(前頭面としても知られている)は、身体を背側および腹側(後部および前部、または後部および前部)部分に分割する面であり、横断面は、身体を頭蓋骨および尾骨(上および下、または頭および尾)部分に分割する面である。画像300は、輪郭305によって示される、患者の前立腺である解剖学的関心領域の画像を含む。輪郭305は、画像位置合わせおよび/またはセグメント化技術を用いて得ることができる。放射線治療セッションの間、前立腺の位置、大きさ、および/または形状が変化し得る。例えば、前立腺は、例えば安静または膀胱充填のために、比較的ゆっくりと動くことがある。前立腺は、例えばガスや咳のために、時には比較的速い動きを経験することがある。前立腺の形状/サイズは、また、癌性細胞の変形または減少のために変化し得る。本明細書で使用されるように、解剖学的関心領域の位置、形状、または大きさの変化は、一般に、解剖学的関心領域の動きと呼ばれる。他の例では、子宮頸部は、前立腺と同様に動き得る。本明細書で開示される撮像技術は、放射線送達セッション中に解剖学的関心領域の1つ以上の動きを正確に捕捉することを可能にする。解剖学的関心領域は、前立腺、子宮頸部、子宮、直腸、膀胱、陰茎球、乳房における腫瘍摘出腔、腫瘍、ノードなどを含み得る。
【0036】
[036]
いくつかの実施形態では、前立腺などの解剖学的関心領域の動きは、主に、後方向/前方向および上方向/下方向であり、左右方向の動きは重要ではない。そのような場合には、矢状面を動きの主平面と定義することができる。いくつかの実施形態では、例えば、前立腺癌を有する患者を治療する場合、動きの主平面は、異なる患者について同じ、例えば矢状面であると決定され得る。肝臓癌を有する患者を治療する場合のようないくつかの実施形態では、動きの主平面は患者に依存することもあり、個々の患者の解剖学的関心領域の画像に基づいて決定されてもよい。
【0037】
[037]
図4は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な動きの主平面400および例示的な2Dスライスを示す。図4を参照すると、動きの主平面400は、例えば、解剖学的関心領域の種類、治療計画、解剖学的関心領域の医用画像等に基づいて制御コンソール110によって決定されてもよい。前立腺癌を治療するために、例えば、矢状面は動きの主平面400であると決定されてもよい。制御コンソール110は、次に、スライス412,414,416、418のような、動きの主平面400に平行な複数の2Dスライスを決定することができる。複数の2Dスライスは、前立腺などの解剖学的関心領域420を実質的に囲む3Dボリューム410を画定することができる。各2Dスライスは有限の厚さTを有する。隣接する2つのスライス間の距離はLである。3Dボリューム410を規定する複数の2Dスライスは、ボリューム410の前面(例えば、平面400に垂直な面)上の2D投影によって表すことができる。2D投影は、投影411として示される。図4に示すように、突起411は、厚さT、距離L、および任意の特定のスライスを表すことができる(例えば、4つの小さな矢印によって示されるスライス418は、投影411において陰影付きブロックによって表されることができる)。
【0038】
[038]
複数の2Dスライスは、解剖学的関心領域420に対して複数の空間的位置を画定することができる。例えば、2Dスライスは、放射線治療セッション中に画像取得装置140によって取得される複数の2D画像の空間的位置を示すことができる。スライスの厚さは、動きの主平面に垂直な方向に沿った2D画像の解像度を示す(例えば、動きの主平面が矢状面である場合、矢状面に垂直な方向は左右方向である)。画像取得の過程で、2Dスライスに対応する画像を取得することができる(例えば、スライスによって画定された空間位置で画像を取得することができる)。これらの画像は、放射線治療セッション中に解剖学的関心領域420の動きを決定するために使用されてもよい。
【0039】
[039]
図4において、隣接する2つのスライスの間の距離L(例えば、2つのスライスの中心間で測定された距離L)は、厚さTと同じであり、それは、2つのスライス(例えば、412、416)が隙間なしに接していることを示す。この構成は、複数のスライスが3D容積410全体を覆うことができるという利点を有する。しかし、連続掃引と組み合わせたときに隣接するスライス間に隙間が残さないということは、次の隣接スライスでの取得を開始する前に平衡まで緩和するのに十分な時間を有さない「ブリーディング」現象("bleeding" effect)に導く。したがって、隣接する次のスライスは、前のスライスの不十分な緩和によって影響を受ける可能性がある。ブリーディング現象は、2つの隣接するスライス間に隙間を残すことによって軽減され得る。さらに、隣接する2つのスライスの間にギャップを残すことは、取得速度も向上させる。図5は、5つのスライスの例示的な配置を示す。隣接する2つのスライスLの間の距離は、各スライスの厚さTよりも大きい。その結果、隣接するスライス間に小さな隙間が形成される。
【0040】
[040]
図6Aは、本開示のいくつかの実施形態による、4D画像を構築する例示的プロセスおよび4D画像に基づいて動きを決定する例示的プロセスを示す。図6Aにおいて、左の列は時間をかけて画像取得装置140により取得された画像を示し、右の列は、取得した画像に基づいて構築される4D画像(3Dシネ画像とも称する3Dプラス時間)を示している。図6Aに示す実施例は、図4と同じスライス構成を使用するが、簡単のため、スライス412、414、416、418を示すために数字1、2、3、4を使用する。画像取得中、制御コンソール110は、画像取得装置140を制御して、それぞれがスライスの1つに対応する一連の2D画像を順次取得する(例えば、一度にひとつの画像を取得する)。いくつかの実施形態では、制御コンソール110は、画像取得装置140を制御して、スライスにわたってスイープする(例えば、続々と、またはひとつずつ取得する)。例えば、図6Aに示すように、時点A1において、画像取得装置140は、左の列の第1行の影付きボックスによって示されるように、スライス1に対応する2D画像を取得する。
2D画像がスライス1によって定義される同じ位置での解剖学的構造を示すときに、2D画像はスライス1に対応する。次に、取得された2D画像は、4D画像のスライス1に対応するスロット1に記憶される。
【0041】
[041]
時点A2において、制御コンソール110は、スライス2に対応する別の2D画像を取得するように画像取得装置140を制御する。次いで、取得された2D画像は、4D画像のスライス2に対応するスロット2に格納される。同様に、時点A3および時点A4において、それぞれスライス3およびスライス4に対応する2D画像を獲得し、スロット3およびスロット4にそれぞれ格納する。
【0042】
[042]
4D画像の全ての4つのスロットが充填された後、4D画像のスナップショットを得る。本明細書で使用されるように、4D画像のスナップショットは、特定の時点での複数の2D画像からなる3D容積画像を指す。一方、4D画像は、一連のスナップショットを含む3D容積画像を展開する時間として見ることができる。3D容積画像またはスナップショットは、図4に示すスライスのような複数の2Dスライスによって定義されてもよい。換言すれば、スナップショットは、スライスと同じ方法で配置され、ボリューム410と実質的に同じ3D空間をカバーする複数のスロットを含むことができる。各スロットは、対応するスライスによって画定された空間位置で画像取得装置140によって取得された2D画像で満たされてもよい。いくつかの実施形態では、2D画像の取得は、リアルタイムまたはリアルタイムに近いものとすることができる。例えば、2D画像の取得時間は、200ミリ秒未満であってもよい。
【0043】
[043]
いくつかの実施形態では、初期スナップショットが(例えば、時点A4で)取得されると、4D画像は経過時間を含めて継続することができる。これは、新しいデータが到着すると、2Dスライスを繰り返し掃引し、4D画像の対応するスロットを更新することによって達成される。図6Aを参照すると、例えば、時点B1で、画像取得装置140は、(例えば、新しいスイープの)スライス1に対応する(交差線影付きボックスで示す)新たな2D画像を取得する。新しい2D画像は、以前に取得された2D画像に置き換えられて、4D画像のスロット1に格納されるまたは挿入される。同様に、時点B2、B3、B4において、スライス2,3、4に対応する新しい2D画像が取得され、スロット2,3,4にそれぞれ挿入され、それぞれの古いデータを置き換える。
【0044】
[044]
新しいデータがスロットの古いデータを置き換えると、4Dイメージがリフレッシュされる。すべてのスロットが新しいデータで更新されると、4D画像は完全にリフレッシュされる。リフレッシュ時間とは、4Dイメージのリフレッシュに要する時間を指す。シングルスロットリフレッシュの場合、リフレッシュ時間は、2D画像の取得時間に近い。フルリフレッシュの場合、リフレッシュ時間は、個々の2D画像の取得時間および4D画像内に含まれるスロットの数に依存する。
【0045】
[045]
図6Aにおいて、B4のスナップショットは、完全A4のスナップショットを完全にリフレッシュする。解剖学的関心領域の動きが、B4からA4の期間中に発生した場合、その動きはB4のスナップショットによって捕捉される。制御コンソール110は、B4でのスナップショットをA4でのスナップショットと比較することによって、(丸で囲まれたMで示された)動きを決定することができる。比較により、解剖学的関心領域の位置、大きさ、形状に差異が生じる場合、動きが発生したことを示す。様々な方法を使用して、1つまたは複数の解剖学的構造についての3Dの剛性または変形可能な登録、3Dセグメンテーションを含む、3Dスナップショットを比較することができる。
【0046】
[046]
一方が完全に他方をリフレッシュする2つのスナップショットの比較は、緩和または膀胱充填による前立腺運動のような比較的遅い動きを捕捉するのに適していると思われる。ガスまたは咳による前立腺運動のようなより速い動きのために、制御コンソール110は、一方が部分的に他方をリフレッシュする2つのスナップショットを比較する(例えば、B2のスナップショットをA4のスナップショットと比較する)ようにしてもよい。
【0047】
[047]
このように、図6Aに示す方法のように2D画像を順次取得すると、前回の隣接するスライスは依然として部分的に励起され、したがって次のスライスにブリーディングするというブリーディング現象に導かれることがある。いくつかの実施形態では、ブリーディング現象は重要ではない可能性があり、連続的な取得を使用することができる。他の実施形態では、非連続的に取得することにより、ブリーディング現象を低減または排除することができる。例えば、図6Bは、ブリーディング現象を低減するための例示的な2D画像取得方法を示す。図6Bにおいて、8つのスライスを含むボリュームが取得シーケンスを説明するために使用される。隣接するスライス間のブリーディング現象を低減するために、2D画像を1スライスおきに取得する。例えば、図6Bは、スライス1、3、5、7が順次取得され、その後、スライス2、4、6、8が順次取得された実施例を示している。連続的に取得されたスライスの間には空間的なギャップ(例えば、1つのスライス)が存在するので、ブリーディング現象を低減させることができ、または防止することさえできる。図6Bは非順次取得方法のひとつの実施例を示すが、任意の適切なまたは類似の取得方法を用いることができる。例えば、最初に偶数番号を取得し、続いて奇数番号のスライスを取得する代わりに、奇数番号のスライスの前に偶数番号のスライスを取得するようにしてもよい。別の実施例では、連続的に取得されるスライス間のギャップは、1つ、2つ、またはそれ以上のスライスでもよい。いくつかの実施形態は、スライスはランダムな順番で取得されてもよい。本明細書で使用されるように、ボリューム内のすべての2Dスライスを順次または非順次に走査することは掃引と呼ばれる。したがって、2Dスライスを掃引することには、順次の掃引と非順次の掃引の両方が含まれる。
【0048】
[048]
2D画像が非連続的に取得されると、図6Aにおいて上述された方法と同様に、それらは4D画像内に含まれるスロットに対応して挿入される。
【0049】
[049]
いくつかのアプリケーションでは、2D画像を並列ストリームで別々に処理して、高速な動きをキャプチャすることもできる。図7は、そのようなプロセスの例示的な実施例を示す。図7は、図6Aの一部にバッファリングおよび比較の並列ストリームを加えたものを示す。例えば、時点B2では、図6Aと同様に、スライス2に対応する画像が取得され、スロット2の4D画像に挿入される。さらに、画像は、現在取得された画像を示すバッファCに格納される。現在取得された画像は、同じスライスに対応する古い2D画像(例えば、最後に取得された2D画像)と比較される。例えば、バッファCに格納された画像は、時点B1で4D画像のスロット2に格納された画像と比較される。比較結果は、時点B1からB2までの期間に動きが生じたかどうかを示す。同様に、時点B3において、現在取得されている画像、スライス3に対応する画像が取得され、バッファCに格納され、時点B2で4D画像のスロット3に格納された画像と比較される。図7に示すプロセスは、部分的にリフレッシュされた4D画像に基づいて動きを追跡し、速い動きを捕捉するために使用される。いくつかの実施形態では、この方法は、完全にリフレッシュされた4D画像に基づいて動きを追跡する、図6Aに示す方法と併せて使用することができる。
【0050】
[050]
動きが検出されると、制御コンソール110は、動きを補償するために様々な動きを実行することができる。例えば、制御コンソール110は、特定の動きが閾値を超えた場合に放射線ビームをゲートするように放射線治療装置130を制御することができる。別の実施例では、制御コンソール110は、マルチリーフコリメータ(MLC)の構成を変更してビーム形状を変更することができる。別の実施例では、制御コンソール110は、患者支持システム210を動かして、解剖学的関心領域を放射線ビーム230のアイソセンタと再調整することができる。他の操作または治療パラメータも変更することができる。
【0051】
[051]
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、画像誘導放射線治療セッション中の患者の解剖学的関心領域の動きを管理する例示的な方法800のフローチャートである。方法800は、複数のステップを含み、そのいくつかはオプションであってもよい。
【0052】
[052]
ステップ810において、制御コンソール110は、解剖学的関心領域(例えば、420)の動きの主平面(例えば、平面400)を決定する。いくつかの実施形態では、動きの主平面は、解剖学的関心領域のタイプに基づいて決定される。例えば、前立腺治療の場合、矢状面は、異なる患者の動きの主平面として決定される。いくつかの実施形態では、動きの主平面は患者に依存することがある。例えば、肝臓治療の場合、患者の医用画像の分析に基づいて動きの主平面を決定する。
【0053】
[053]
ステップ820において、制御コンソール110は、主平面に平行な複数の2Dスライス(例えば、スライス412,414,416,418)を決定する。2Dスライスは、解剖学的関心領域(例えば、420)を実質的に囲む3Dボリューム(例えば、410)を定義する。2Dスライスは、解剖学的関心領域への相対的な複数の空間的位置を定義する。例えば、2Dスライスは、放射線治療セッション中に画像取得装置140によって取得されるべき画像の位置を画定することができる。
【0054】
[054]
ステップ830において、制御コンソール110は、画像取得装置140を制御して、スライスに基づいて複数の2D画像を取得する。例えば、図6Aに示すように、画像は、あるスライスから他のスライスまで連続的に順次取得される。別の実施例では、図6Bに示すように、画像は、非順次に取得される。全てのスライスが(順次に又は非順次に)掃引された後、画像取得装置140は掃引を繰り返してスライス毎に画像を連続的に取得する。いくつかの実施形態では、順次の掃引が使用される場合、掃引は、(全部でN個のスライスがある場合)いつもスライス1からスライスNである。この掃引の仕方は、正方向順次掃引と呼ばれる。いくつかの実施形態では、順次掃引は、スライスNからスライス1であり、逆方向順次掃引である。いくつかの実施形態では、順次掃引は、後退方向および前進方向であってもよい。(例えば、スライス1からスライスNまで前進し、次にスライス1まで後退する、等)。非連続掃引(例えば、奇数の次に偶数、偶数の次に奇数、ランダムなど)のような他の掃引マナーを使用することもできる。
【0055】
[055]
ステップ840において、制御コンソール110は、取得された2D画像の少なくともサブセットに基づいて4D画像を構築する。例えば、図6Aに示すように、2D画像を受け取り、それを対応するスロットに挿入することによって、4D画像を構築する。古い画像データが特定のスロットに存在する場合、古いデータは新しいデータに置き換えられる。3D画像は、新しい2D画像が取得されて挿入されるにつれ、時間の経過と共に進化する。
【0056】
[056]
ステップ850において、制御コンソール110は、異なる時間における4D画像の3Dスナップショット間の比較に基づいて、解剖学的関心領域の動きを決定する。例えば、比較は、完全にリフレッシュされた4D画像に基づいて実行されてもよい(例えば、図6A)し、部分的にリフレッシュされた4D画像に基づいて実行されてもよい(例えば、図7)。解剖学的関心領域の動きは、位置、大きさ、または形状の変化を含む。
【0057】
[057]
ステップ860において、制御コンソール110は、決定された動きに基づいて放射線供給を制御する。例えば、放射線ビームのゲート制御、MLCの修正、患者支持システム210の移動など、様々な動作パラメータおよび/または治療パラメータを変更して、動きを補償することができる。
【0058】
[058]
様々な動作または機能が、本明細書で説明され、ソフトウェアコードまたは命令として実装または定義されてもよい。そのようなコンテンツは、直接実行可能(「オブジェクト」または「実行可能」形式)、ソースコード、または差分コード(「デルタ」または「パッチ」コード)であってもよい。本明細書に記載の実施形態のソフトウェア実装は、コードまたは命令が格納された製品を介して、または通信インターフェースを介してデータを送信するための通信インターフェースを操作する方法を介して提供されてもよい。機械またはコンピュータ可読記憶媒体は、機械に説明された機能または動作を実行させることができ、記録可能/記録不可能媒体(例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)のような、機械(例えば、コンピューティングデバイス、電子システムなど)によってアクセス可能な形式で情報を記憶する任意のメカニズムを含む。通信インタフェースは、メモリバスインタフェース、プロセッサバスインタフェース、インターネット接続、ディスクコントローラ、および他のデバイスのような、ハードワイヤード、ワイヤレス、光学などのいずれかとインタフェースする任意のメカニズムを含む。通信インタフェースは、ソフトウェアインタフェースを記述するデータ信号を提供するために、通信インタフェースを準備するための構成パラメータおよび/または送信信号を提供することによって構成することができる。通信インタフェースは、通信インタフェースに送信される1つまたは複数のコマンドまたは信号を介してアクセスすることができる。
【0059】
[059]
本開示はまた本明細書の動作を実行するためのシステムにも関する。このシステムは、必要な目的のために特別に構成することができ、またはコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成された汎用コンピュータを含むことができる。このようなコンピュータプログラムは、限定はしないが、フロッピーディスク、光ディスク、CDROM、光磁気ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気または光カード、または電子命令を格納するのに適した任意のタイプの媒体のような、コンピュータ読み出しストレージメディアに格納することができ、それぞれはコンピュータシステムバスに接続される。
【0060】
[060]
本明細書に例示され説明される実施形態における動作の実行または実行の順序は、他に特定されない限り必須ではない。すなわち、動作は、特に明記しない限り、任意の順序で実行されてもよく、本実施形態は、本明細書に開示された動作よりも多い、または少ない動作を含むことができる。例えば、別の操作の前に、同時にまたは後に特定の操作を実行または実行することは、本発明の態様の範囲内にあると考えられる。
【0061】
[061]
本実施形態は、コンピュータ実行可能命令で実装することができる。コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のコンピュータ実行可能コンポーネントまたはモジュールに編成することができる。本態様は、そのような構成要素またはモジュールの任意の数および構成で実施することができる。例えば、本開示の態様は、特定のコンピュータ実行可能命令、または図に示され、本明細書で説明される特定のコンポーネントまたはモジュールに限定されない。本開示の他の実施形態は、異なるコンピュータ実行可能命令または本明細書に図示および記載されたものより多いまたは少ない機能を有するコンポーネントを含むことができる。
【0062】
[062]
本開示の態様またはその実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つ以上の要素が存在することを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語は、包括的であり、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味することが意図される。
【0063】
[063]
本開示の態様を詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の態様の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。本開示の態様の範囲から逸脱することなく、上記の構造、製品、および方法において様々な変更を行うことができるので、上記の説明に含まれ、添付図面に示された全ての事項は、限定的な意味ではなく例示として解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8