(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貨幣管理装置は、各貨幣処理装置から回収する貨幣の回収金額の比が、各貨幣処理装置に収納されている貨幣の在高の比と略一致するように前記回収金額を決定することを特徴とする請求項1に記載の貨幣管理システム。
前記装置情報は、各貨幣処理装置が貨幣の入金のみを行う入金装置、貨幣の出金のみを行う出金装置、及び貨幣を入出金する入出金装置のいずれのタイプであるかを示す情報を含み、
前記貨幣管理装置は、貨幣処理装置がいずれのタイプであるかに応じて、前記回収金額を決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の貨幣管理システム。
前記制御部は、返金用の貨幣を前記金種別貨幣収納部から出金する返金処理が実行されたレジについて、売上金の入金処理が実行された場合には、前記入金処理で入金された貨幣金額と、前記返金処理で出金した貨幣金額とを関連付けて管理することを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の貨幣管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る貨幣処理装置、貨幣管理装置及び貨幣管理システムについて詳細に説明する。貨幣管理システムは大型店舗等で利用されるが、本実施形態では、店舗及びホテルが併設された施設でバックオフィスに設置された貨幣管理システムを例に説明する。
【0025】
まず、本実施形態に係る貨幣管理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る貨幣管理システムの構成を示すブロック図である。貨幣管理システムは、貨幣管理装置10と、ネットワーク15を介して貨幣管理装置10に接続された第1貨幣処理装置20a、第2貨幣処理装置20b及び第3貨幣処理装置20cの複数の貨幣処理装置とを含む。貨幣管理システムに含まれる貨幣処理装置の数は特に限定されないが、本実施形態では3台の貨幣処理装置20a〜20cを例に挙げて説明する。なお、以下では、第1貨幣処理装置20a、第2貨幣処理装置20b及び第3貨幣処理装置20cを区別せずに示す場合には貨幣処理装置20と記載する。
【0026】
店舗及びホテルでは、POSシステムを構成する複数のPOSレジスタ(以下単に「レジ」と記載する)が利用されており、各レジで釣銭として利用するための釣銭準備金は、バックオフィスに設置された貨幣処理装置20から出金した貨幣を利用して準備される。また、各レジから回収した売上金等の貨幣は貨幣処理装置20に入金される。そして、店舗の営業時間終了後等の所定タイミングで、当日の店舗及びホテルの売上金が、貨幣処理装置20から回収され、貨幣集配業者等によって、銀行等の所定の拠点へ向けて運び出される。なお、
図1には示していないが、貨幣管理装置10は、ネットワーク15を介して、POSシステムに含まれるPOSサーバとの間でデータ通信を行えるようになっている。
【0027】
貨幣管理装置10は、例えばコンピュータ装置から成り、各部12〜14を制御して以下に説明する機能及び動作を実現する制御部11と、タッチパネル式の液晶表示装置等から成り各種情報の入力及び出力を行うために利用する操作表示部12と、ネットワーク15を介して貨幣処理装置20やPOSサーバ等の外部装置と通信を行うための通信部13と、制御部11の動作に必要なプログラムや設定情報を含む各種データを保存するための記憶部14とを有している。
【0028】
貨幣管理装置10は、貨幣処理装置20で行われる各貨幣処理に関する情報を記録して管理する機能を有する。また、貨幣管理装置10は、ホテル及び店舗の売上金等を管理するPOSサーバとの間でデータを送受信する機能を有する。これにより、貨幣管理装置10及びPOSサーバで、貨幣処理装置20で行われた貨幣処理や、売上金に関する情報を確認する処理を実行できるようになっている。
【0029】
図2は、貨幣処理装置20の構成概略を示すブロック図である。貨幣処理装置20は、各部40〜70を制御して以下に説明する機能及び動作を実現する制御部30と、貨幣の入金処理及び出金処理を行う貨幣処理部40と、タッチパネル式の液晶表示装置等から成り各種情報の入力及び出力を行うために利用する操作表示部50と、ネットワーク15を介して貨幣管理装置10等の外部装置と通信を行うための通信部60と、制御部30の動作に必要なプログラムや設定情報を含む各種データを保存するための記憶部70とを有している。
【0030】
貨幣処理部40は、入金口41、出金口42、リジェクト口43、識別部44、搬送部45、金種別収納部46及び回収カセット(回収部)47を有している。貨幣を入金する入金処理を行う際には、入金口41に投入された貨幣を1枚ずつ装置内に繰り出して搬送部45によって搬送する。そして、搬送される貨幣を識別部44によって識別計数した後、入金可能な貨幣を装置内に設けられた金種別収納部46又は回収カセット47に収納しながら、識別部44によって識別できない貨幣、偽の貨幣等は入金できないリジェクト貨幣としてリジェクト口43へ排出する。また、貨幣処理部40で、貨幣を出金する出金処理を行う際には、出金するよう指定された金種及び枚数の貨幣を装置内の金種別収納部46から繰り出して出金口42へ排出する。また、貨幣処理部40では、例えば20ドル紙幣を入金して1ドル紙幣20枚を出金するというように、両替処理を行うこともできる。
【0031】
図2には1つの金種別収納部46のみを示しているが、貨幣処理部40は、複数の金種別収納部46を含んでいる。金種別収納部46のそれぞれには収納する貨幣の金種が割り当てられ、貨幣処理部40では、複数金種の貨幣を金種別に収納できるようになっている。
【0032】
回収カセット47は、貨幣処理装置20に対して脱着可能に設けられたカセット式の貨幣収納部で、金種別収納部46に割り当てられていない金種の貨幣や出金処理に利用しない損傷した貨幣等の収納に利用される。また、回収カセット47は、貨幣処理装置20から貨幣を回収する際に、回収対象とする貨幣の収納に利用される。回収する貨幣を金種別収納部46から繰り出して搬送し、回収カセット47に収納した後、回収カセット47を貨幣処理装置20から取り外して、回収対象とする貨幣を内部に収納したまま運搬できるようになっている。なお、貨幣を回収する回収部の構造や貨幣の収納方法は特に限定されず、回収カセット47の他、内部の貨幣を取出可能な固定式の収納部であってもよいし、テープを利用して紙幣を収納するテープ式収納部であってもよい。
【0033】
貨幣処理部40では、硬貨及び紙幣の両方を処理することができる。入金処理、出金処理、両替処理等、硬貨及び紙幣を入出金する貨幣処理部40の機能及び動作は従来知られているため詳細な説明は省略し、以下では、本実施形態の説明に必要な処理について、主に紙幣を例に説明することとする。
【0034】
次に、貨幣処理装置20で行う主な貨幣処理について説明する。
図3は、貨幣処理装置20で貨幣処理を開始する際に操作表示部50の画面上に表示されるスタートメニューを示す図である。画面上に表示された「入金」、「出金」、「返金」及び「両替」のメニューは、入金処理、出金処理、返金処理及び両替処理に対応している。実行したい処理に対応するメニューを選択すると、画面上には、選択された処理を実行するための操作画面が表示される。なお、
図3に示すスタートメニューの画面は、貨幣処理装置20の操作表示部50を操作して利用者IDやパスワードを入力する所定の認証処理を行って、認証された利用者に対して表示される画面であり、認証されなかった利用者は貨幣処理装置20で貨幣処理を行うことができない。
【0035】
ここで、返金処理について説明する。返金処理とは、指定した金額分の紙幣を貨幣処理装置20から出金する処理であるが、出金した紙幣の金額の処理が出金処理と異なっている。このため、スタートメニューには、出金処理と区別して、返金処理専用のメニューが設けられている。
【0036】
例えば、ホテルでチェックインする際に、宿泊客は、保証金として定められている所定金額分の現金をデポジットとしてホテルに預ける。この宿泊客がチェックアウトする際に精算が行われ、宿泊客への商品やサービスの提供にかかった料金が、先にデポジットとして預けた予納金額に達しなかった場合には、デポジットの予納金額から料金分を差し引いて、残った金額分の貨幣が顧客へ返金される。
【0037】
ホテルのレジには宿泊代金等の売上金が収納されるが、このレジでデポジットを預けてチェックインすると、チェックイン日の所定タイミングで、レジからの売上金回収が行われる。その後、このレジで、チェックアウト時にデポジットの残金分の返金が行われると、チェックアウト日の売上金をレジから回収する際に、チェックアウト日の売上金に対して、デポジットの返金分だけ貨幣が不足することになる。このような場合に、貨幣処理装置20のスタートメニューで「出金」ではなく「返金」を選択して返金処理を行う。
【0038】
例えば、ホテルへのチェックイン時に、デポジットとして10万円の現金が顧客からホテルに預けられてレジに収納されたものとする。このとき、レジに収納された10万円の現金は顧客からの預り金であるが、当日の全てのチェックイン処理を終えた後等の所定タイミングで、当日の売上金等と共にレジから回収されて貨幣処理装置20へ入金される。なお、入金時には、入金される貨幣の回収元となるレジを特定するため、貨幣処理装置20で、各レジを識別する識別情報の入力が求められるが、入金処理の操作については後述する。
【0039】
貨幣管理装置10は、入金処理に関する情報として、レジの識別情報とこのレジから回収されて入金された貨幣の金額とを含む情報を貨幣処理装置20から取得して管理する。また、貨幣管理装置10は、取得した入金処理に関する情報を、ホテルのレジを管理するPOSサーバへ送信する。これにより、POSサーバでは、レジから回収して貨幣処理装置20に入金された貨幣がデポジットによる貨幣を含むことを認識して、入金された貨幣の金額に問題がないことを確認することができる。
【0040】
後日、宿泊客がチェックアウトする際に、例えば、先に預けたデポジットの10万円のうち、7万円のみがホテルへの支払いに充てられて、残り3万円が、レジに収納されていた現金を利用して宿泊客に返金されたものとする。例えば、この日レジから回収すべき現金が100万円である場合には、3万円を返金した結果、レジから回収できる現金が97万円となって3万円不足する。このような場合に、貨幣処理装置20で返金処理を実行して、レジを特定する識別情報を入力すると共に、不足分の金額を指定して、不足している3万円分の貨幣を出金する。そして、返金処理で出金した3万円を加えて100万円とした後、貨幣処理装置20で、レジを特定する識別情報を入力して入金処理を実行する。
【0041】
貨幣管理装置10は、同じレジについて、返金処理が実行された後、続いて入金処理が実行されると、入金処理で入金された100万円のうち3万円は返金処理で返金されたものであると認識して、レジの識別情報と、返金金額を含む返金処理に関する情報と、入金金額を含む入金処理に関する情報とを関連付けて管理する。また、貨幣管理装置10は、レジの識別情報と、このレジについて3万円の返金処理及び100万円の入金処理が行われたことを示す情報を、POSサーバへ送信する。これにより、POSサーバでは、レジから回収して貨幣処理装置20に入金された貨幣の金額が、このレジから回収すべき貨幣の金額と一致することを確認することができる。
【0042】
また、POSサーバでは、返金処理で返金された貨幣の金額を、先に入金されていたデポジットに関連するものとして処理することができる。具体的には、先にデポジットとして入金された10万円と、宿泊客が支払った料金の7万円と、宿泊客に返金された3万円との間に矛盾がなく、デポジットに関する処理が正常に行われたことを確認することができる。
【0043】
なお、貨幣処理装置20で行われる返金処理については、指定された金額分の貨幣を実際に出金する態様に限らず、実際には貨幣を出金せずに、返金処理に続いて行われる入金処理の入金金額に、返金処理で指定された金額分を加算して処理する態様であっても構わない。具体的には、先の例で、返金処理で3万円が指定された後、貨幣処理装置20から3万円の貨幣を出金せずに返金処理を終了して、続いて行われた入金処理で入金された97万円に返金金額の3万円を加算して、入金金額を100万円とする態様であってもよい。
【0044】
また、レジから回収して貨幣処理装置20に入金された貨幣の金額と、このレジから回収すべき売上金及びデポジットを含む貨幣の金額とが一致することを確認する処理や、先にデポジットとして入金された金額と、宿泊客が支払った料金と、宿泊客に返金された金額との間に矛盾がなく正常に処理されたことを確認する処理については、POSサーバで実行する態様に限らず、必要な情報をPOSサーバから取得した貨幣管理装置10で実行する態様であっても構わない。
【0045】
次に、ホテルや店舗での営業に必要となる釣銭準備金を準備するための出金処理について説明する。釣銭準備金を出金する際には、
図3に示す画面で「出金」のメニューを選択して出金処理を開始する。
図4は、出金処理時に貨幣処理装置20の操作表示部50に表示される画面例を示す図である。
図4(a)は、
図3に示すスタートメニュー画面で「出金」を選択した際に表示される画面例を示し、同図(b)は同図(a)の画面に一覧表示された選択肢の中から1つを選択した際に表示される画面例を示している。
【0046】
貨幣処理装置20では、複数種類の通貨について入出金を行えるようになっている。例えば、日本の通貨及び米国の通貨の2種類の通貨を金種別収納部46に金種別に収納するように設定した場合には、貨幣処理時に表示される画面上で、金種別収納部46の金種が通貨別に表示される。具体的には、
図4(b)に示すように、出金処理時に表示される画面上では、日本の通貨に含まれる金種がJPYの文字と共に表示され、米国の通貨に含まれる金種がUSDの文字と共に表示される。また、金種別の枚数及び金額と合計金額がそれぞれ通貨別に表示される。
【0047】
出金処理を開始すると、
図4(a)に示すように、制御部30で管理されているレジの識別情報が一覧表示される。貨幣処理装置20には、貨幣処理装置20を利用して釣銭機準備金を出金する店舗及びホテルの各レジを識別するための識別情報と、各レジで必要となる釣銭準備金を構成する貨幣の金種及び枚数(金額)とが予め登録されて管理されている。具体的には、例えば、店舗の識別情報No.01のレジで必要となる釣銭準備金を構成する貨幣の金種と、各金種の枚数とが、このレジを特定する識別情報「店舗−No.01」と関連付けて管理されている。
図4(a)に示す画面で、出金したい釣銭準備金に対応するレジの識別情報を選択すると、この識別情報に関連付けて管理されている釣銭準備金を貨幣処理装置20から出金可能な状態となる。なお、レジを識別するための識別情報として、レジを示す番号の他、レジを担当する担当者の氏名や担当者を識別するための識別番号等を利用することができる。なお、出金処理に必要な情報の管理が貨幣処理装置20で行われる態様に限定されるものではなく、貨幣管理装置10等の他の装置で管理される態様であってもよい。具体的には、貨幣処理装置20を利用して釣銭機準備金を出金する店舗及びホテルの各レジを識別するための識別情報と、各レジで必要となる釣銭準備金を構成する貨幣の金種及び枚数(金額)とが、予め貨幣管理装置10に登録されて管理されており、貨幣処理装置20がこれを参照して利用する態様であってもよい。
【0048】
例えば、店舗のレジを担当する担当者が、
図4(a)に示す画面で、自身の担当するレジを示す識別情報「店舗−No.01」を選択すると、同図(b)に示すように、選択された識別情報と関連付けて管理されている、釣銭準備金を構成する紙幣の内訳が表示される。
【0049】
図4(b)に示すように、釣銭準備金の内訳を示す画面では、釣銭準備金を構成する紙幣の金種、枚数及び金額と、通貨別に紙幣の金額を合計した合計金額とが表示される。画面上で黒地に白文字で示された枚数及び金額の部分は、手入力によって数値を変更できるようになっており、必要があれば、釣銭準備金として出金する紙幣の内訳を変更することができる。なお、この画面で、画面左側に表示された「硬貨」のタブを選択すると、紙幣と同様に、釣銭準備金を構成する硬貨の金種、枚数及び金額と、硬貨の金額を通貨別に合計した合計金額とが表示され、釣銭準備金として出金する硬貨の内訳を変更することができる。
【0050】
必要に応じて釣銭準備金として出金する貨幣の内訳を変更して画面上のスタートボタンを操作することにより、画面上に表示された金種及び枚数の貨幣から成る釣銭準備金を出金することができる。出金処理が行われると、貨幣処理装置20を管理する貨幣管理装置10は、貨幣処理装置20から情報を取得して、出金処理が行われた日時、出金処理時に選択されたレジの識別情報、出金された貨幣の金種及び金額、処理を行った利用者を特定する情報、処理が行われた貨幣処理装置を特定する情報等を関連付けて管理する。
【0051】
次に、ホテルや店舗のレジから売上金を回収して貨幣処理装置20へ入金する入金処理について説明する。売上金を入金する際には、
図3に示す画面で「入金」のメニューを選択して入金処理を開始する。
図5は、入金処理時に貨幣処理装置20の操作表示部50に表示される画面例を示す図である。
【0052】
図5(a)は、
図3に示すスタートメニュー画面で「入金」のメニューを選択した際に表示される画面例を示している。入金処理には、レジから売上金のみを回収して入金する処理と、予め釣銭準備金としてレジに収納されていた貨幣と売上金とを含む全ての貨幣をレジから回収して入金する処理とが含まれる。入金処理の開始時には、
図5(a)に示す画面上で、いずれの入金処理を行うかを選択できるようになっている。売上金のみを入金する場合には、
図5(a)に示す画面で「売上金」のメニューを選択し、売上金及び釣銭準備金を含む全ての貨幣を入金する場合には、同図に示す「売上金+釣銭準備金」のメニューを選択する。
【0053】
図5(a)に示す画面で「売上金」又は「売上金+釣銭準備金」を選択すると、同図(b)に示すように、予め貨幣処理装置20に登録されているレジの識別情報が一覧表示される。この画面で、入金する売上金の回収元となるレジの識別情報を選択して、貨幣処理装置20に貨幣を入金する。入金処理が行われると、貨幣処理装置20を管理する貨幣管理装置10は、貨幣処理装置20から情報を取得して、入金処理が行われた日時、入金処理時に選択されたレジの識別情報、入金された貨幣の金種及び金額、入金された貨幣が売上金のみであるか売上金及び釣銭準備金を含むものであるかを示す情報、処理を行った利用者を特定する情報、処理が行われた貨幣処理装置を特定する情報等を関連付けて管理する。また、貨幣管理装置10は、これらの情報を、貨幣を回収したレジを管理するPOSサーバへ送信する。これにより、POSサーバでは、レジから回収すべき貨幣の金額と、このレジから回収して貨幣処理装置20に入金された貨幣の金額とが一致するか否かを確認する処理を実行することができる。
【0054】
次に、貨幣処理装置20から貨幣を回収する回収処理について説明する。貨幣処理装置20から貨幣を回収する際には、
図3に示す画面下部に表示される「メニュー」を選択して回収処理を開始する。
図6は、回収処理時に貨幣処理装置20の操作表示部50に表示される回収メニューの画面例を示す図である。
【0055】
図6に示すように、貨幣を回収する際には、回収する貨幣を利用者が指定して回収する「回収」と、売上金として自動的に選択された貨幣を回収する「売上金回収」のうち、いずれを実行するかを選択できるようになっている。
【0056】
まず、回収メニューで「回収」のメニューを選択した際の回収処理について説明する。
図7は、
図6に示す画面で「回収」のメニューを選択した際に表示される画面例を示す図である。画面上には「金種」、「リサイクル」、「残置」及び「回収」の項目と、これに対応する情報とが表示される。金種の項目では、貨幣処理装置20の金種別収納部46に割り当てられている金種が通貨別に表示される。リサイクルの項目では、金種別収納部46に収納されているリサイクル使用(循環使用)可能な紙幣、すなわち貨幣処理装置20の金種別収納部46に収納されており出金処理を行う際に出金可能な紙幣の枚数及び金額が金種別に表示される。残置の項目では、回収処理を行う際に、回収することなく金種別収納部46に残置する紙幣の枚数及び金額が金種別に表示される。
【0057】
また、回収の項目では、回収する紙幣の枚数及び金額と、回収する紙幣を通貨別に合計した合計金額とが表示される。回収の項目で黒地に白文字で表示された枚数又は金額を金種別に入力して、回収対象とする紙幣を指定すると、残置の項目の表示が自動的に更新され、貨幣処理装置20に残置する紙幣と回収する紙幣とを画面上で確認できるようになっている。
【0058】
図7に示す画面下部の「全回収」のボタンを操作すると、金種別収納部46に収納されている全ての紙幣を回収対象として指定するように、回収の項目の枚数及び金額が自動的に入力されるようになっている。また、この画面で、画面左側に表示された「硬貨」のタブを選択すると、紙幣と同様に、回収する硬貨の枚数又は金額を指定して、残置する硬貨と回収する硬貨とを画面上で確認できるようになっている。
図7の例は、金種別収納部46に収納されているリサイクル使用可能な200枚の千円券のうち、100枚を残置して、100枚を回収するよう指定した場合の画面を示している。
【0059】
こうして回収したい金種の貨幣の枚数又は金額を手動で指定して、回収対象とする貨幣を決定した後、画面下部にある「回収開始」のボタンを操作すると、貨幣処理装置20内で、指定された金種及び枚数の貨幣が金種別収納部46から繰り出されて回収カセット47へ収納される。回収対象として指定した貨幣全てが回収カセット47へ収納された後、例えば、回収カセット47を貨幣処理装置20から取り外すことにより、回収した貨幣を回収カセット47に収納した状態のまま銀行等へ運搬することができる。
【0060】
次に、
図6に示す回収メニューの画面で「売上金回収」のメニューを選択した際の処理について説明する。
図8は、売上金回収の処理の流れを示すフローチャートである。なお、貨幣管理システムでは、紙幣及び硬貨の両方を回収処理の対象とすることができるが、硬貨は紙幣と同様に処理することができるので、以下では、紙幣のみを対象としてホテル及び店舗の売上金を回収する場合を例に、
図8のフローチャートに示す処理内容を説明する。また、説明を簡単にするため、第1貨幣処理装置20a、第2貨幣処理装置20b及び第3貨幣処理装置20cのそれぞれが、一万円券を収納する金種別収納部46a、五千円券を収納する金種別収納部46b及び千円券を収納する金種別収納部46cの3つの金種別収納部46a〜46cを含むものとして説明する(
図9参照)。
【0061】
例えば、第1貨幣処理装置20aで「売上金回収」のメニューを選択して、売上金回収処理を開始すると、第1貨幣処理装置20aの制御部30は、第1貨幣処理装置20aから売上金として回収する紙幣の回収金額と、回収せずに第1貨幣処理装置20a内に残置する紙幣の残置枚数とを、貨幣管理装置10に問い合わせて取得する(ステップS1)。
【0062】
各貨幣処理装置20a〜20cに残置する紙幣の残置枚数は、予め店舗で定められており、貨幣管理装置10で管理されている。一方、各貨幣処理装置20a〜20cから売上金として回収する紙幣の回収金額は、回収処理時に各貨幣処理装置20a〜20cに収納されている紙幣の在高と、店舗の売上金とに基づいて、貨幣管理装置10によって決定される。
【0063】
ここで、貨幣管理装置10が回収金額を決定する方法について説明する。
図9は、売上金の回収金額を決定する際の第1貨幣処理装置20a、第2貨幣処理装置20b及び第3貨幣処理装置20cの各装置内の紙幣の在高の例を示す図である。
図9の例は、第1貨幣処理装置20aの金種別収納部46aには70枚の一万円券が収納され、金種別収納部46bには80枚の五千円券が収納され、金種別収納部46cには200枚の千円券が収納され、回収カセット47には20万円分の紙幣が収納されており、第1貨幣処理装置20aに収納されている紙幣の在高は、これらを合計した150万円であることを示している。なお、
図9及び後述する
図12では、
図2に示した構成のうち、回収処理の説明に必要な金種別収納部46及び回収カセット47のみを示している。
【0064】
図10は、売上金の金額と、各貨幣処理装置20a〜20cから回収する回収金額との関係を示す図である。ホテル及び店舗での売上には、顧客が現金によって支払った金額と、小切手やクレジットカード等の現金以外の方法で支払った金額とが含まれている。
図10上段の図は、ホテル及び店舗の売上のうち、ホテルのレジ及び店舗のレジから回収されて3台の貨幣処理装置20a〜20cに入金された紙幣の金額が100万円であることを示している。売上金回収処理では、売上全体のうち、現金で得られたこの100万円分の紙幣が、売上金として3台の貨幣処理装置20a〜20cから回収される。
【0065】
貨幣管理装置10の制御部11は、POSサーバから情報を取得して、3台の貨幣処理装置20a〜20cから売上金として合計100万円の紙幣を回収することを認識する。また、制御部11は、各貨幣処理装置20a〜20cから、装置情報として、
図9に示す各貨幣処理装置20a〜20c内の紙幣の在高情報を取得する。そして、制御部11は、取得した在高情報に基づいて、各貨幣処理装置20a〜20cから回収する紙幣の回収金額を決定する。具体的には、
図10上段に示したように3台の貨幣処理装置20a〜20cから回収する売上金の合計金額が100万円で、
図9に示したように3台の貨幣処理装置20a〜20cに収納されている紙幣の在高がそれぞれ150万円、250万円、100万円である場合には、制御部11は、これらの在高の比に基づいて、
図10下段に示すように第1貨幣処理装置20aから回収する紙幣の回収金額を30万円、第2貨幣処理装置20bから回収する紙幣の回収金額を50万円、第3貨幣処理装置20cから回収する紙幣の回収金額を20万円と決定する。すなわち、3台の貨幣処理装置20a〜20cに収納されている紙幣の在高の比と、それぞれの貨幣処理装置20a〜20cから回収する紙幣の回収金額の比とが略一致し、かつ、3台の貨幣処理装置20a〜20cから回収する紙幣の合計金額と回収する売上金の金額とが一致するように、3台の貨幣処理装置20a〜20cから回収する回収金額を決定する。
【0066】
図10の例では、3台の装置に収納されている紙幣の在高の比と、各装置から回収する紙幣の回収金額の比とが一致する例を示しているが、在高の比によっては、在高の比と金額の比とが完全に一致しない場合がある。具体的には、例えば、紙幣を回収対象として、10万円の売上金を2:1の比となる回収金額で回収しようとした場合に、最低額金種の千円単位でも、この比と完全に一致する回収金額とすることはできない。このような場合に、制御部11は、この比と略一致するように、6万6千円と3万4千円というように千円単位で調整したり、6万5千円と3万5千円というように五千円単位で調整したり、7万円と3万円というように一万円単位で調整したりするようになっている。比が略一致するように調整する方法については、演算方法を指定して設定することができる。このように、「略一致」とは、在高の比と金額の比とが完全に一致する場合と、完全に一致しない場合に金種単位で金額を調整する場合とを含む概念である。ただし、これとは逆に、在高の比と金額の比とが完全に一致する場合と、完全に一致しない場合に金種単位で金額を調整する場合とを含めて「一致」と呼ぶこととしてもよい。
【0067】
なお、売上金の金額については、貨幣管理装置10がPOSサーバから情報を取得する態様の他、各貨幣処理装置20a〜20cで行われた貨幣処理を管理する貨幣管理装置10が、貨幣処理内容に基づいて算出する態様であってもよい。また、貨幣管理装置10の制御部11が、POSサーバからの売上金額取得と、各貨幣処理装置20a〜20cで行われた貨幣処理内容に基づく売上金額算出の両方を行って、これらの売上金額が一致することを確認する処理を実行する態様であっても構わない。
【0068】
貨幣処理装置20a〜20cのそれぞれから回収する紙幣の回収金額は、各装置で行われる貨幣処理の内容に応じて決定することも可能となっている。具体的には、貨幣処理装置20が、入金処理のみを行う入金装置、出金処理のみを行う出金装置、入金処理及び出金処理の両方を行う入出金装置のいずれのタイプであるかに応じて、回収金額を調整する。貨幣管理装置10の制御部11は、各貨幣処理装置20a〜20cから、装置情報として、各装置が入金装置、出金装置及び入出金装置のいずれのタイプであるかを示す情報を取得する。そして、制御部11は、取得した情報に基づいて、出金装置からの回収金額及び入出金装置からの回収金額が入金装置からの回収金額より少なくなるように、各装置からの回収金額を決定する。入金装置では紙幣を出金する必要がないのに対して、出金装置及び入出金装置では出金処理に利用する紙幣が必要となるため、出金装置及び入出金装置に、より多くの紙幣を残すように、各装置からの回収金額を調整するものである。例えば、
図10下段に示すように、第1貨幣処理装置20aからの回収金額を30万円、第2貨幣処理装置20bからの回収金額を50万円、第3貨幣処理装置20cからの回収金額を20万円と決定した後、第1貨幣処理装置20aのみが紙幣を入出金する入出金装置であり、第2貨幣処理装置20b及び第3貨幣処理装置20cが入金専用の入金装置である場合には、制御部11は、第1貨幣処理装置20aからの回収金額を半分の15万円に減額して、減額した15万円を2等分して第2貨幣処理装置20b及び第3貨幣処理装置20cからの回収金額に加算して、それぞれの回収金額を57万5千円及び27万5千円とする。ただし、貨幣の処理タイプに応じて減額する金額の割合、減額した金額分を他の装置へ割り当てて加算する割合については、設定により変更できるようになっている。
【0069】
この他、各貨幣処理装置20a〜20cから回収する紙幣の回収金額を、金種別収納部46に収納されている紙幣の金額と、回収カセット47に収納されている紙幣の金額とに基づいて決定することも可能となっている。
【0070】
例えば、回収する売上金の金額、すなわち3台の貨幣処理装置20a〜20cから回収する紙幣の合計金額が100万円であり、
図9に示すように、3台の貨幣処理装置20a〜20cの在高がそれぞれ150万円、250万円、100万円、各貨幣処理装置20a〜20cの回収カセット47に収納されている紙幣の金額がそれぞれ20万円、40万円、10万円であるものとして具体的に説明する。まず、貨幣管理装置10の制御部11は、回収する売上金の金額から、各装置の回収カセット47に収納されている回収対象紙幣の金額を減算し、回収カセット47以外、すなわち各装置の金種別収納部46から回収する紙幣の合計金額を算出する。
図9の例では、各装置の金種別収納部46から回収する紙幣の合計金額は、30万円(=100万円−20万円−40万円−10万円)と算出される。次に、制御部11は、各装置の在高から、各装置の回収カセット47に収納されている紙幣の金額を減算して、各装置の金種別収納部46に収納されている紙幣の金額を算出する。
図9の例では、第1貨幣処理装置20aの金種別収納部46に収納されている紙幣の金額が130万円(=150万円−20万円)、第2貨幣処理装置20bの金種別収納部46に収納されている紙幣の金額が210万円(=250万円−40万円)、第3貨幣処理装置20cの金種別収納部46に収納されている紙幣の金額が90万円(=100万円−10万円)となる。そして、制御部11は、各装置の金種別収納部46から回収する紙幣の金額が、各装置の金種別収納部46に収納されている紙幣の金額の比と略一致し、かつ、合計金額が30万円となるように、回収金額を決定する。
図9の例では、各装置の金種別収納部46から回収する紙幣の合計金額が30万円であり、各装置の金種別収納部46に収納されている紙幣の金額がそれぞれ130万円、210万円、90万円であるから、これらの金額の比と略一致するように、制御部11は、第1貨幣処理装置20aの金種別収納部46から回収する紙幣の金額を9万円、第2貨幣処理装置20bの金種別収納部46から回収する紙幣の金額を15万円、第3貨幣処理装置20cの金種別収納部46から回収する紙幣の金額を6万円と決定する。各装置から回収される紙幣の金額は、回収カセット47に既に収納されている紙幣の金額と、金種別収納部46から回収する紙幣の金額との合計金額として算出され、第1貨幣処理装置20aから回収する紙幣の金額は29万円(=20万円+9万円)、第2貨幣処理装置20bから回収する紙幣の金額は55万円(=40万円+15万円)、第3貨幣処理装置20cから回収する紙幣の金額は16万円(=10万円+6万円)となる。この結果、3台の貨幣処理装置20a〜20cから、合計100万円の紙幣を売上金として回収することができる。
【0071】
このように、各貨幣処理装置20a〜20cから回収する貨幣の回収金額は、貨幣管理装置10によって自動的に決定されるが、決定された回収金額を手動で変更することも可能となっている。
図11は、回収金額を変更する際に、貨幣管理装置10の操作表示部12に表示される画面例を示す図である。
【0072】
図11に示すように、画面上には、当日の日付と共に、「売上金額」として、3台の貨幣処理装置20a〜20cから回収する紙幣の合計金額が通貨別に表示される。
図11の例では、3台の貨幣処理装置20a〜20cから、売上金として回収する紙幣の合計金額が、日本の通貨で100万円分の紙幣であることを示している。なお、これに加えて、例えば、3台の貨幣処理装置20a〜20cから米国の通貨1万ドル分を回収する場合は、画面上に、日本通貨を示す「JPY」と共に表示された100万円の金額表示に加えて、米国通貨を示す「USD」と共に1万ドルの金額が表示されることになる。
【0073】
また、
図11に示すように、画面上には、「処理機名称」として、各貨幣処理装置20a〜20cに対して付けられた名称が表示される。
図11の例では、処理機名称として表示された「DEVICE−001」が第1貨幣処理装置20aを示し、「DEVICE−002」が第2貨幣処理装置20bを示し、「DEVICE−003」が第3貨幣処理装置20cを示している。
【0074】
図11に示すように、画面上には、各貨幣処理装置20a〜20c内の紙幣の在高が「機内在高」として表示され、この在高に基づいて貨幣管理装置10が各貨幣処理装置20a〜20cから回収するよう決定した回収金額が「回収金額」として表示される。また、機内在高の項目では、在高の一部として回収カセット47に収納されている紙幣の金額が「カセット内」として表示される。機内在高及び回収金額は、通貨別に表示される。また、回収状況の項目は、各貨幣処理装置20a〜20cで回収処理が行われたか否かを示し、回収処理が行われた貨幣処理装置20a〜20cでは、回収状況の項目に、回収処理が完了したことを示す情報が表示されるようになっている。
【0075】
図11の表示は
図9及び
図10に対応しており、例えば、処理機名称が「DEVICE−001」の第1貨幣処理装置20aの機内在高は、回収カセット47に収納されている20万円を含む150万円の日本通貨であり、この日本通貨について、第1貨幣処理装置20aから売上金として回収するよう決定された回収金額が30万円であることを示している。また、各貨幣処理装置20a〜20cについて決定された回収金額を合計した金額が「Total」として表示される。
図11に示すように、画面上に「売上金額」として表示される金額と、「Total」として表示される各貨幣処理装置20a〜20cからの回収金額の合計金額とが同じ金額となる。
【0076】
この画面上で、黒地に白文字で示された回収金額は、操作表示部12を操作して変更できるようになっている。回収金額を変更すると、画面上に「Total」として示された回収金額の合計金額が自動的に更新される。手動で回収金額を変更して保存ボタンを操作することにより、回収金額の内訳を決定することができる。
【0077】
なお、貨幣管理装置10で決定された回収金額を手動で変更する際には、変更後の各貨幣処理装置20a〜20cからの回収金額の合計が、画面上部に「売上金額」として表示された金額と一致するように、回収金額の内訳を変更する必要がある。各貨幣処理装置20a〜20cからの回収金額の合計が、画面上部に表示された売上金額と一致しなければ、貨幣管理装置10の画面上で保存ボタンを操作することができず、次の操作に進めないようになっている。
【0078】
第1貨幣処理装置20aの制御部30は、貨幣管理装置10で決定された回収金額と、予め設定されている残置枚数とを含む情報を、貨幣管理装置10から取得した後、回収予定枚数を確認する(
図8ステップS2)。回収予定枚数とは、金種別収納部46a〜46cに収納されている紙幣のうち残置枚数を超える紙幣の枚数である。例えば、第1貨幣処理装置20a、第2貨幣処理装置20b及び第3貨幣処理装置20cの全ての金種別収納部46a〜46cで、残置枚数が130枚と設定されている場合には、この130枚を超えた分の紙幣が回収予定枚数となる。
【0079】
図12は、各貨幣処理装置20a〜20cから回収する紙幣の内訳を決定する方法を説明するための図である。各貨幣処理装置20a〜20cに収納されている紙幣が
図9に示す状態にある場合には、
図12(a)に斜線で示すように、破線で示した130枚の残置枚数を超える紙幣枚数が、回収予定枚数となる。具体的には、第1貨幣処理装置20aでは千円券70枚、第2貨幣処理装置20bでは五千円券30枚、第3貨幣処理装置20cでは千円券70枚が回収予定枚数となる。なお、説明を簡単にするため、全ての貨幣処理装置20a〜20cの全ての金種別収納部46a〜46cで共通する残置枚数が設定されている例を示すが、各貨幣処理装置20a〜20cの各金種別収納部46a〜46cで異なる残置枚数を設定することができる。
【0080】
回収予定枚数が千円券70枚であることを確認した第1貨幣処理装置20aの制御部30は、続いて、回収予定枚数の紙幣の金額と、回収カセット47内に収納されている紙幣の金額との合計金額が、第1貨幣処理装置20aの回収金額と一致するか否かを確認する(
図8ステップS3)。両者が一致する場合には(ステップS3;Yes)、回収予定枚数の紙幣の金種及び枚数を含む情報を操作表示部50に表示して確認する処理が行われる(ステップS7)。一方、両者が一致しない場合には(ステップS3;No)、制御部30は、回収予定枚数の紙幣の金額と、回収カセット47内に収納されている紙幣の金額との合計金額と、第1貨幣処理装置20aの回収金額とを比較する(ステップS4)。
【0081】
そして、回収予定枚数の紙幣の金額と、回収カセット47内に収納されている紙幣の金額との合計金額が、第1貨幣処理装置20aの回収金額より少ない場合には(ステップS4;No)、制御部30は、回収金額に対して不足している金額に相当する紙幣を、回収対象に追加して(ステップS5)、この追加した紙幣と回収予定枚数の紙幣とを回収対象の紙幣とする。一方、回収予定枚数の紙幣の金額と、回収カセット47内に収納されている紙幣の金額との合計金額が、第1貨幣処理装置20aの回収金額を超える場合には(ステップS4;Yes)、制御部30は、回収予定枚数の紙幣から、回収金額を超える金額に相当する紙幣を回収対象から減らす(ステップS6)。すなわち、回収予定枚数の紙幣の金額と、回収カセット47内に収納されている紙幣の金額との合計金額が、第1貨幣処理装置20aの回収金額と一致しない場合には、両者の差額を調整するために、回収対象とする紙幣の金種及び枚数を変更する処理が行われる。
【0082】
図12(b)に示すように、第1貨幣処理装置20aでは、回収金額が30万円であるのに対して、回収カセット47内の紙幣の金額が20万円であり、回収予定枚数の紙幣の金額が7万円である。回収カセット47内の紙幣と回収予定枚数の紙幣の合計金額は27万円であるから、
図12(b)に「過不足金額」として示したように、回収金額の30万円に対して3万円不足している(
図8ステップS4;No)。このため、回収予定枚数の紙幣に、
図12(b)に「過不足分調整紙幣」として示したように3万円分の紙幣を追加して、これらの紙幣を回収対象とする(ステップS5)。具体的には、例えば、不足分の3万円が最小枚数の紙幣で構成されるように、一万円券3枚が回収対象に追加される。
【0083】
また、第3貨幣処理装置20cから紙幣を回収する場合も、
図12(b)に示すように、回収カセット47内の紙幣と回収予定枚数の紙幣の合計金額が17万円で、回収金額20万円に対して3万円分の紙幣が不足するので(
図8ステップS4;No)、不足分の3万円を調整するために一万円券3枚を回収対象に追加して(ステップS5)、回収予定枚数の紙幣と、追加した一万円券3枚とを回収対象の紙幣とする。
【0084】
一方、第2貨幣処理装置20bでは、
図12(b)に示すように、回収金額が50万円であるのに対して、回収カセット47内の紙幣の金額が40万円であり、回収予定枚数の紙幣の金額が15万円である。回収カセット47内の紙幣と回収予定枚数の紙幣の合計金額は55万円となり、回収金額の50万円に対して5万円超過している(
図8ステップS4;Yes)。このため、回収予定枚数の紙幣から、超過分の5万円分の紙幣を減らす(ステップS6)。具体的には、五千円券の回収予定枚数を10枚減らして20枚とすることにより、回収予定枚数の紙幣と回収カセット47内の紙幣の合計金額を、回収金額の50万円と一致させる。そして、この20枚の五千円券を回収対象の紙幣とする。
【0085】
ただし、
図8のステップS5で、不足した金額を構成する紙幣として回収対象に追加する紙幣の金種及び枚数を決定する方法については、最小枚数となるように決定する態様に限定されない。例えば、金種に優先度を設定して、この優先度に基づいて、不足した金額を構成する紙幣を決定してもよい。
【0086】
また、例えば、回収予定枚数の紙幣を除いて、各金種別収納部46a〜46cに収納されている紙幣の収納枚数と、残置枚数とを比較して、収納枚数が残置枚数に近い金種を優先して、回収対象に追加する紙幣を決定してもよい。具体的には、
図12(a)に示すように、第3貨幣処理装置20cでは、回収予定枚数の紙幣である70枚の千円券を除くと、千円券の収納枚数が残置枚数の130枚であるのに対して、一万円券の収納枚数は40枚で残置枚数に対して90枚不足して、五千円券の収納枚数は60枚で残置枚数に対して70枚不足している。このような場合に、収納枚数が残置枚数に最も近い千円券を優先して、不足する3万円分の紙幣を30枚の千円券で構成する。
【0087】
このとき、不足する金額分を一金種の紙幣で構成すると、回収後に、この金種の紙幣の収納枚数と残置枚数との差が、他金種の紙幣の収納枚数と残置枚数との差に比べて大きくなる場合には、不足する金額分を一金種ではなく複数金種の紙幣で構成するように決定することもできる。例えば、説明を簡単にするため、回収予定枚数の紙幣を除くと、残置枚数の130枚に対して、五千円券の収納枚数が115枚、千円券の収納枚数が120枚であって、回収金額に対して不足する金額が2万円であるとする。この場合、不足分の2万円を、五千円券に比べて残置枚数と収納枚数との差が小さい千円券のみ20枚で構成すると、回収後は、五千円券の収納枚数が115枚、千円券の収納枚数が100枚となる。この結果、千円券の収納枚数と残置枚数との差が30枚、五千円券の収納枚数と残置枚数との差が15枚で、金種間で15枚の差が生ずる。このような場合に、回収後の各金種の紙幣の収納枚数と残置枚数との差が各金種間で近い値となるように、不足分の2万円を、五千円券3枚と千円券5枚の複数金種の紙幣で構成する。この場合、回収後は、五千円券の収納枚数が112枚、千円券の収納枚数が115枚となる。この結果、五千円券の収納枚数と残置枚数との差が18枚、千円券の収納枚数と残置枚数との際が15枚で、金種間の差を3枚に縮小することができる。回収後に、特定の金種のみで収納枚数が極端に少なくなることがないように、すなわち回収後の各金種の紙幣の収納枚数と残置枚数との差がなるべく均等になるように回収対象を決定するものである。
【0088】
また、
図8のステップS6で回収予定枚数の紙幣から超過分の紙幣を減らす場合についても、回収予定枚数の紙幣に複数金種の紙幣が含まれる場合には、金種に優先度を設定して、この優先度に基づいて、超過分として減らす紙幣を決定してもよいし、回収予定枚数に含まれる各金種の紙幣枚数と、残置枚数とを比較して、収納枚数が多い金種を優先して、超過分として減らす紙幣を決定してもよい。また、回収後に、特定の金種のみで収納枚数が極端に多くなることがないように、すなわち回収後の各金種の紙幣の収納枚数と残置枚数との差がなるべく均等になるように、超過分として減らす紙幣を決定してもよい。ステップS5及びS6で、回収対象とする紙幣の金種及び枚数をどのように調整するかについては、設定により変更できるようになっている。
【0089】
こうして、貨幣管理装置10で決定された回収金額分ちょうどの紙幣を回収するように、金種別収納部46a〜46cから回収する紙幣の金種及び枚数が決定されると、回収対象とする紙幣の金種及び枚数を含む情報を操作表示部50に表示して確認する処理が行われる(
図8ステップS7)。
【0090】
図13は、貨幣処理装置20から回収する紙幣の金種及び枚数が決定された際に操作表示部50に表示される画面例を示す図である。
図12(b)に示すように、第1貨幣処理装置20aの回収カセット47内に収納されている20万円の紙幣と、金種別収納部46cに収納されている70枚の千円券と、金種別収納部46aに収納されている3枚の一万円券とを回収対象とすることが決定された場合に、
図13に示す画面が表示される。画面上部には、当日の日付と共に、「回収カセット」として、回収カセット47に収納されている紙幣の合計金額が表示され、「金種別収納部」として、金種別収納部46a〜46cから回収する紙幣の合計金額が表示される。また、「回収金額」として、貨幣管理装置10で、第1貨幣処理装置20aから売上金として回収するよう決定された回収金額が表示される。回収カセット、金種別収納部、回収金額の各項目では、金額が通貨別に表示される。このように、回収カセット47に収納されている紙幣の金額と、金種別収納部46a〜46cから回収する紙幣の金額とを合計した金額が、貨幣管理装置10で決定された回収金額と一致するように、金種別収納部46a〜46cから回収する金額が決定されている。
【0091】
画面下部には、金種別収納部46a〜46cから回収する紙幣の内訳が通貨別に一覧表示される。この一覧表示には、「リサイクル」、「残置」及び「回収予定」の項目が表示される。リサイクルの項目では、回収処理を開始する前に、金種別収納部46a〜46cに収納されている紙幣の枚数及び金額が金種別に表示される。残置の項目では、各金種別収納部46a〜46cに残置するよう設定されている設定枚数と、回収後に実際に残置される紙幣の枚数及び金額とが金種別に表示される。回収予定の項目では、制御部30によって決定された、回収対象とする紙幣の枚数及び金額が通貨別かつ金種別に表示され、これらを合計した合計金額が通貨別に表示される。
【0092】
この画面上に表示された情報を確認して、必要があれば(
図8ステップS8;Yes)、操作表示部50を操作して、黒地に白文字で表示された紙幣の枚数及び金額を変更することができる(ステップS9)。なお、画面上で紙幣の枚数又は金額を変更すると、これに伴って、関連する項目の表示が、画面上で自動的に更新されるようになっている。
【0093】
図13に示す画面上の回収予定の項目で、回収する紙幣の枚数及び金額が変更されると、制御部30は、変更後の回収紙幣の合計金額が、貨幣管理装置10で決定された回収金額と一致するか否かを判定する(ステップS10)。すなわち、画面上部の「回収カセット」の項目に表示されている金額と、画面下部の「回収予定」の項目で変更操作を行って更新された「合計金額」の金額とを加算して、算出した合計金額が、画面上部の「回収金額」の項目に表示されている金額と一致するか否かの判定が行われる。そして、両者が一致しない間は、次の処理へ進めないように制御される(ステップS10;No)。具体的には、両者が一致するまでは、画面上の回収開始のボタンを操作することができず、貨幣処理装置20から、回収する紙幣を出金できないようになっている。なお、ステップS10による判定は、通貨別に行われ、全ての通貨で条件を満たすまでは、貨幣処理装置20から貨幣を回収できないようになっている。
【0094】
回収する紙幣の内訳を変更して、変更後の回収紙幣の合計金額が、貨幣管理装置10で決定された回収金額と一致すると(ステップS10;Yes)、画面上の回収開始のボタンを操作することが可能となり、貨幣処理装置20は、次の指示を待つ待機状態となる(ステップS11;No)。そして、画面上に表示された回収開始ボタンが操作されると(ステップS11;Yes)、第1貨幣処理装置20a内で、紙幣を回収するための処理が開始される(ステップS12)。また、
図13に示す画面上の情報を確認して、回収する紙幣の枚数及び金額を変更する必要がない場合にも(ステップS8;No)、次の指示を待つ待機状態となり(ステップS11;No)、回収開始のボタンが操作されると(ステップS11;Yes)、第1貨幣処理装置20a内で紙幣を回収するための処理が開始される(ステップS12)。具体的には、回収カセット47を利用して紙幣を回収するために、
図13に示す画面上で回収対象として設定された金種及び枚数の紙幣を金種別収納部46a〜46cから繰り出して搬送部45によって搬送し、回収カセット47に収納する処理が行われる。そして、回収対象とされた全ての紙幣が回収カセット47内に収納されると、制御部30によって、操作表示部50を利用してこれが報知される。報知を受けた利用者は、例えば、回収カセット47を第1貨幣処理装置20aから取り外して、回収対象とする紙幣を内部に収納したまま運搬することができる。
【0095】
第2貨幣処理装置20b及び第3貨幣処理装置20cでも、第1貨幣処理装置20aと同様に
図8に示す処理を行って、各貨幣処理装置20a〜20cから、それぞれの装置について貨幣管理装置10で設定された回収金額分の紙幣を回収することができる。
【0096】
なお、本実施形態では、複数の貨幣処理装置20から回収する貨幣の合計金額を、貨幣管理装置10が、POSサーバ等の外部装置から取得する態様を示したが、この合計金額を、貨幣処理装置20の在高と、貨幣処理装置20に残置する貨幣の合計金額とに基づいて、貨幣管理装置10が決定することも可能となっている。
【0097】
例えば、
図9に示すように、3台の貨幣処理装置20a〜20cの紙幣の在高がそれぞれ150万円、250万円、100万円であり、各貨幣処理装置20a〜20cに残置するよう設定されている紙幣の合計金額が400万円であるものとして具体的に説明する。まず、貨幣管理装置10の制御部11は、各貨幣処理装置20a〜20cから、装置情報として、各貨幣処理装置20a〜20c内の紙幣の在高情報を取得して、在高の合計金額を算出する。
図9の例では、各装置の在高の合計金額は500万円(=150万円+250万円+100万円)となる。次に、制御部11は、算出した合計金額500万円から、各装置に残置するよう設定されている紙幣の合計金額400万円を減算して、算出した金額100万円を、各装置から回収する紙幣の合計金額とする。こうして、回収する紙幣の合計金額を決定した後、制御部11は、
図9及び
図10を参照しながら説明したように、合計100万円分の紙幣を回収するために、各装置から回収する紙幣の回収金額を決定する。例えば、
図9に示す各装置の在高の比と略一致するように、第1貨幣処理装置20aから回収する紙幣の回収金額が30万円、第2貨幣処理装置20bから回収する紙幣の回収金額が50万円、第3貨幣処理装置20cから回収する紙幣の回収金額が20万円と決定される。このように、複数の貨幣処理装置20a〜20cに残置する貨幣の合計金額を予め設定しておいて、この設定金額と、各貨幣処理装置20a〜20cに収納されている貨幣の在高とに基づいて、各貨幣処理装置20a〜20cから回収する貨幣の合計金額を算出することにより、回収後には常に、複数の貨幣処理装置20a〜20c内に設定金額分の貨幣を残置することができる。
【0098】
上述してきたように、本実施形態に係る貨幣管理システムによれば、複数台の貨幣処理装置20を貨幣管理装置10によって管理して、売上金として回収する貨幣の合計金額と、各貨幣処理装置20に収納されている貨幣の在高とを取得した貨幣管理装置10が、貨幣処理装置20に収納されている貨幣の在高に応じて、各貨幣処理装置20から回収する貨幣の金額を自動的に決定することができる。
【0099】
また、貨幣処理装置20では、貨幣管理装置10で決定された回収金額と、各貨幣処理装置20内に残置するよう予め設定された貨幣の金種別の残置枚数とを取得して、各貨幣処理装置20に収納されている貨幣の金種及び枚数と残置枚数とに応じて、回収金額を構成する貨幣の金種及び枚数を自動的に決定することができる。