特許第6645815号(P6645815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645815
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】プロセス用比濁分析濁度計
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/05 20060101AFI20200203BHJP
   G01N 21/53 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   G01N21/05
   G01N21/53 Z
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-232010(P2015-232010)
(22)【出願日】2015年11月27日
(65)【公開番号】特開2016-105089(P2016-105089A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2018年9月6日
(31)【優先権主張番号】14195057.6
(32)【優先日】2014年11月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515315369
【氏名又は名称】ハッハ ランゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HACH LANGE GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】バス ド ヘイジ
(72)【発明者】
【氏名】ペリー パルンボ
【審査官】 伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05446544(US,A)
【文献】 特開2010−078532(JP,A)
【文献】 特開2012−132750(JP,A)
【文献】 特開2002−181690(JP,A)
【文献】 特表2005−526238(JP,A)
【文献】 特開2004−245612(JP,A)
【文献】 特表平06−511554(JP,A)
【文献】 実開昭61−189252(JP,U)
【文献】 特開昭64−13436(JP,A)
【文献】 米国特許第04432642(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0077178(US,A1)
【文献】 米国特許第07659980(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 − 21/83
G01N 33/78 − 33/98
G01J 3/00 − 3/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料(19)の濁度を測定するためのプロセス用比濁分析濁度計(10)であって、
側部内面(22、32)が円筒形の、前記液体試料(19)のための試料容積(18)を協働して画定する透明な試料バイアル(20)および別体のバイアル頭部(30)と、
共に前記バイアル頭部(30)に設けられる、前記液体試料が前記試料容積(18)へと流入する際に通る試料入口開口(40)、および、前記液体試料が前記試料容積(18)から流出する際に通る試料出口開口(50)と
を備え、
前記試料入口開口(40)が、前記バイアル頭部(30)の円筒形表面(32)に配置され、前記試料容積(18)の円筒によって定義される長手方向軸の方向において前記試料出口開口(50)より前記試料バイアル(20)の近くに配置され、
前記試料入口開口(40)の入口開口軸線(a)が、前記試料入口開口(40)の中心を通り前記長手方向軸に対して直角に配置される入口交差平面(h)に対して10°から80°の傾斜角度(A2)で傾斜され、半径(r)に対して15°を超える接線角度(A1)で斜めにされている、プロセス用比濁分析濁度計(10)。
【請求項2】
前記バイアル頭部(30)に光捕捉構造(34)が設けられ、前記試料入口開口(40)が前記長手方向軸の方向において前記光捕捉構造(34)を越えて配置される、請求項1に記載のプロセス用比濁分析濁度計(10)。
【請求項3】
前記光捕捉構造(34)が前記長手方向軸の方向において円錐形の光捕捉体(36)である、請求項2に記載のプロセス用比濁分析濁度計(10)。
【請求項4】
前記試料出口開口(50)が前記試料容積(18)の前記長手方向軸の方向における端に配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載のプロセス用比濁分析濁度計(10)。
【請求項5】
前記バイアル頭部(30)の内面が黒色である、請求項1から4のいずれか1項に記載のプロセス用比濁分析濁度計(10)。
【請求項6】
前記円筒形の試料容積(18)の直径が5〜30mmであり、好ましくは10〜20mmである、請求項1から5のいずれか1項に記載のプロセス用比濁分析濁度計(10)。
【請求項7】
前記試料入口開口(40)から前記試料バイアル(20)の底壁(23)までの距離(H1)が30mmより大きい、請求項1から6のいずれか1項に記載のプロセス用比濁分析濁度計(10)。
【請求項8】
前記入口開口軸線(a)の前記傾斜角度(A2)が45°と75°との間である、請求項1から7のいずれか1項に記載のプロセス用比濁分析濁度計(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な試料バイアル中の、例えば飲料水といった液体試料の濁度を、連続的または準連続的に測定するための、プロセス用比濁分析濁度計に関する。
【背景技術】
【0002】
比濁分析濁度計は、測定光線をバイアル内の液体試料へと投射することで、試料バイアル内の液体試料中に浮遊する固体粒子の濃度を決定する。キュベット本体の外側に設けられる光学的濁度センサが、光線軸に対して典型的には90°の角度において、浮遊する固体粒子によって散乱される光の量を検出する。プロセス用濁度計では、試料バイアルによって画定される試料容積内の液体試料は、液体の濁度を制御するための濁度値を制御回路に連続的に供給するために、連続的に、準連続的に、または定期的に交換される。濁度計の測定頻度または応答時間は、例えば99%といった定義された品質等級でバイアル内の試料を完全に交換するために必要とされる時間である、試料交換時間によって定義される。濁度計の測定頻度が高くなるほど、制御回路の応答時間は短くなり、制御回路の応答時間が短くなるほど、制御回路の制御品質は良くなる。
【0003】
技術水準のプロセス用比濁分析濁度計では、別体のバイアル頭部がバイアル開口に設けられることで、試料バイアルと共に閉じた試料容積を画定する。バイアル頭部には、試料入口開口と試料出口開口とが設けられ、いずれの開口も、円筒形の試料バイアルの長手方向軸に対する交差平面内に位置するバイアル頭部の端壁に配置される。この装置の試料交換時間は、30秒間から120秒間までの範囲である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
試料交換時間が短縮された、液体試料の濁度を測定するためのプロセス用比濁分析濁度計を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を備えたプロセス用比濁分析濁度計によって解決される。
【0006】
透明な試料バイアルおよび別体のバイアル頭部が、液体試料のための試料容積を共に画定する。試料容積の側部内面は円筒形である。液体試料が試料容積へと流入する際に通る試料入口開口、および、液体試料が試料容積から流出する際に通る試料出口開口は、共にバイアル頭部に設けられる。本発明によれば、試料入口開口は、バイアル頭部の上面には配置されず、バイアル頭部の円筒形の側面に配置される。試料入口開口は、試料出口開口より軸方向で試料バイアルのより近くに配置され、その結果、試料バイアルおよびバイアル頭部が鉛直方向に直立している場合、入口開口は出口開口の下方に配置される。
【0007】
試料入口開口の入口開口軸線は、試料出口管の空間的な中心軸線であり、それにより、試料入口開口から試料容積へと流入する液体のその時点での流れベクトルと一致する。入口開口が先細とされるため、入口開口軸線は、入口開口の平面に対して直角に配向されない。
【0008】
試料入口開口の入口開口軸線は、入口交差平面に対して10°から80°の傾斜角度で傾斜される。入口交差平面は、試料容積円筒によって定義される長手方向軸に対して直角に配置される平面である。別の言い方をすれば、試料入口開口は、試料容積へと流入する液体の流れベクトルが鉛直成分を有するように、試料バイアルの方向に鉛直成分を伴って配向される。
【0009】
入口開口軸線も、15°を超える接線角度で円筒の半径線に対して斜めにされ、そのため、試料容積へと流入する液体の流れベクトルは、接線成分を有するか、または、約90°の接線角度に対応することになる、厳密な接線方向に配向される。
【0010】
その結果、試料容積へと流入する液体は、試料容積の側部内面に沿って螺旋経路で試料バイアルの底へと流れる。液体の流れの勢いは、液体が試料容積の中心領域を通ってバイアル頭部の方向に逆流するように、試料バイアルの底壁において後向きに反射され低減される。試料出口開口は、液体が、試料入口開口を通って試料容積へと流入する液体と衝突することなく試料入口開口の後ろで径方向外向きに拡がることができるように、逆流する液体の方向で見て試料入口開口の後ろに配置される。
【0011】
実験によって、試料入口開口および試料出口開口のこの配置が、試料交換間隔を20〜30秒未満へと大幅に短縮し得ることが示された。短い試料交換間隔によって測定頻度の増加がもたらされ、その結果、応答時間が短縮され、それに応じて制御回路の制御品質が向上される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、バイアル頭部に光捕捉構造が設けられ、試料入口開口は軸方向で光捕捉構造を越えて配置される。光捕捉構造は、試料バイアルの底壁と対向して配置され、測定光線がバイアル底壁を通って試料容積へと軸方向で方向付けられる場合、特に有利である。一般に、光捕捉構造は、多くの異なる方法で実現できる。しかし多くの光捕捉構造は、バイアル頭部の軸方向端から試料容積へと軸方向で延在し、それによって、流体断面積が光捕捉構造によって小さくされる。その結果、逆流する試料液体は、光捕捉構造によって径方向外向きに押され得る。試料入口開口が、軸方向で光捕捉構造を越えて、つまり、光捕捉構造までの軸方向距離をもって配置されるため、逆流する試料液体の流れは、流入する試料液体の流れと衝突しない。
【0013】
好ましくは、光捕捉構造は、バイアル頭部の軸方向端から軸方向に延在する円錐形の光捕捉体である。長手方向軸に対する光捕捉体の円錐角は、好ましくは45°より小さい。試料入口開口は、好ましくは、試料出口開口から見て、軸方向で円錐形の光捕捉体の先端を越えて配置される。
【0014】
円錐形の光捕捉体は、効率的な光捕捉構造であり、また、光捕捉円錐に沿って逆流する試料液体の流れを、軸方向の層流にする。円錐が急角度になるほど、光捕捉効果および円錐に沿って流れる液体の層流品質は良くなる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、試料出口開口は、試料容積の軸方向の上端に配置される。光捕捉構造が円錐として設けられる場合、出口開口は、円錐の基底面において円錐基底に隣接して設けられる。光捕捉構造が設けられず、バイアル頭部の軸方向端が平面端壁として設けられる場合、試料出口開口は端壁の中央に配置され得る。
【0016】
好ましくは、バイアル頭部の内面は、バイアル頭部の光吸収品質を向上させるために、完全に黒色で艶消し処理される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、円筒形の試料容積の直径は、5mmから30mmまでであり、好ましくは10mmから20mmまでである。その結果、円筒形の試料容積の直径は、比較的小さくなる。円筒形の試料容積の直径が比較的小さいため、試料容積の全容積が大幅に小さくされる。その結果、試料交換間隔も大幅に短縮される。
【0018】
好ましくは、入口開口軸線の傾斜角度は45°と75°との間である。傾斜角度は、好ましくは、流入する試料の流れがそれ自体に衝突しないように、最大で250°から200°までの回転角度を有し試料バイアルの底壁へと向かうネジ状または螺旋の試料流れ経路をもたらすよう、選択される。回転角度は、バイアルの長手方向長さおよび傾斜角度の影響を受け、液体流の入口速度によっても若干の影響を受ける。
【0019】
好ましくは、試料入口開口から試料バイアルの底壁までの軸方向距離は、30mmより大きく、好ましくは150mm未満である。軸方向の距離は、流入する試料の流れがそれ自体と衝突するのを回避するよう、螺旋の試料の流れが250°から200°までの範囲を超える全回転角度で延びるのを回避するために、できるだけ短くするべきである。
【0020】
本発明の一実施形態が、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】試料バイアルと、試料入口開口および試料出口開口を備えるバイアル頭部とによって画定される試料容積を備えたプロセス用濁度計を示す図である。
図2図1の入口開口平面II−IIにおける断面図である。
図3】バイアル頭部の展開されていない側面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、例えば飲料水といった液体試料19の濁度を準連続的に測定するための、プロセス用比濁分析濁度計10を概略的に示している。
【0023】
濁度計10には、透明で円筒形の試料バイアル20と、試料バイアル20の上部開口を閉じる不透明なバイアル頭部30とが設けられている。バイアル頭部30と試料バイアル20とは、協働して液体試料19で完全に満たされている試料容積18を包囲し画定する。試料バイアル20の側面22とバイアル頭部30の側面32とは、共に円筒形であり、協働して、好ましくは鉛直方向に配向される長手方向の試料容積軸線21を備える円筒形の試料容積18を画定するように、同じ直径D20、D30を有している。
【0024】
コップ形状の試料バイアル20には、長手方向の試料容積軸線21に対する交差平面内にある、平面で透明な底壁23が設けられている。測定光源12が、試料バイアル20の外部で底壁23の下に配置されている。光源12は、バイアル底壁23を通って液体試料19へと実質的に軸方向に方向付けられる光線25を発生する。光線25は、液体試料19の粒子によって散乱され、散乱された光の一部は、散乱された光を光検出器16へと反射する環状プリズム14によって収集され反射される。
【0025】
バイアル頭部30は黒色のプラスチックから作られており、艶消し処理された黒色の内面を備えている。バイアル頭部30の軸方向端部において、バイアル頭部30には、円錐形の光捕捉体36によって画定される光捕捉構造34が設けられている。光捕捉体36の円錐面と長手方向の試料容積軸線21との間の円錐角は最大45°であり、好ましくは45°未満である。バイアル頭部30の軸方向端部に対する円錐形の光捕捉体36の軸方向高さH3は、約15mmである。
【0026】
バイアル頭部30には、液体試料が試料容積18へと連続的に流入する際に通る試料入口開口40を有する試料入口導管41が設けられており、また、液体試料が試料容積18から流出する際に通る試料出口開口50を有する試料出口導管51が設けられている。試料入口開口40は、バイアル頭部30の円筒形表面32に配置され、試料出口開口は、試料容積18の軸方向の上端において、円錐形の光捕捉体36の基底に隣接して配置されている。
【0027】
試料入口開口40は、バイアル頭部30の軸方向端部に対して、20mmの長手方向開口オフセットH2を伴って、軸方向で光捕捉構造34を越えて配置されている。長手方向開口オフセットH2は、試料入口開口40が試料出口開口50から軸方向の距離を伴って配置されると共に、光捕捉構造34と横方向で重ならないように、円錐形の光捕捉体36の軸方向の高さH3より大きくなっている。別の言い方をすれば、試料入口開口40は、試料出口開口50および円錐先端より、軸方向で試料バイアル20のより近くに配置されている。
【0028】
試料出口開口の軸線の配向は、流出流れベクトルが鉛直方向に配向されるように、鉛直である。試料入口開口40は、図3において概略的にのみ示しているように、入口交差平面hに対して約60°の傾斜角度A2で傾斜された開口軸線aを備えている。また、入口開口軸線aは、円筒形のバイアル頭部面32の半径線rに対して、30°超の、好ましくは45°超の、より好ましくはできるだけ90°に近い接線角度A1で斜めにされている。
【0029】
液体試料は、液体の流れが、円筒形のバイアル面22に沿って、螺旋の経路において約200°の全回転角度で、バイアル底壁23へと流れ下るように、下向きに方向付けられる接線流れベクトルをもって、入口開口40を通って試料容積18へと流入し、液体流れは、バイアル底壁23で反射されて減速され、液体試料19の中心の芯(center column)内を上向きに逆流する。そして、液体の流れは円錐形の光捕捉体36に到達し、それによって径方向外向きに流され、最終的に試料出口開口50および出口導管51を経由して試料容積18を出て行く。
【0030】
バイアルの側面22と頭部の側面32の円筒の直径D20、D30は、約15mmから16mmである。試料容積18の軸方向の全長は約80mmであり、その結果、試料容積18の全容積は約14000mm3である。
【0031】
流入する液体の流れ速度は、試料容積18のすべての領域において液体の流れ速度が、例えば50μmの砂粒子の沈降速度より大きくなるように、最も高くなっている。その結果、50μmの砂粒子は、液体流れによって常に運び去られ、試料バイアル20の底壁23に沈降できない。流入する液体の流れ速度は、液体が、径方向外側において試料バイアル20のバイアル面22に沿って下向きに流れ、中心において上向きに流れることができるように、適合されている。
【符号の説明】
【0032】
10 プロセス用比濁分析濁度計
18 試料容積
19 液体試料
20 試料バイアル
22 側面
23 底壁
30 バイアル頭部
32 側面
34 光捕捉構造
36 光捕捉体
40 試料入口開口
50 試料出口開口
図1
図2
図3