(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
<用語の定義>
本明細書に用いられる用語の定義は、以下のとおりである。
C
2−C
6アルケニル基は、直鎖状又は分岐状であり、例えば、ビニル、アリル、3−ブテニル、5−ヘキセニルが挙げられる。C
2−C
6アルケニル基は、合成が容易で、また硬化前の流動性や、硬化物の耐熱性を損ねないという点から、ビニルが好ましい。
C
1−C
6フルオロアルキル基は、直鎖状又は分岐状であり、例えば、トリフルオロメチル、3,3,3−トリフルオロプロピル(CF
3CH
2CH
2−)等が挙げられる。C
1−C
6フルオロアルキル基は、合成が容易で、透明性が優れているという点から、3,3,3−トリフルオロプロピルが好ましい。
C
1−C
6アルキル基は、直鎖状又は分岐状であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルが挙げられる。C
1−C
6アルキル基は、合成が容易で、流動性や硬化後の機械的強度等のバランスが優れているという点から、メチルが好ましい。
C
6−C
20アリール基は、単環又は多環の芳香族基であり、例えば、フェニル、ナフチル、アントラシルが挙げられる。C
6−C
20アリール基は、合成が容易で、流動性や硬化後の機械的強度等のバランスが優れているという点から、フェニル基が好ましい。
粘度は、回転粘度計を用いて、23℃において測定した値である。
【0010】
<硬化性ポリオルガノシロキサン組成物>
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)に含まれる各成分について説明する。
【0011】
1.(A)アルケニル基含有ポリオルガノシロキサン
(A)アルケニル基含有ポリオルガノシロキサンは、組成物において、ベースポリマーとなる成分である。(A)を配合することによって、硬化時に架橋反応による安定した3次元構造を確保し、硬化収縮を制御し、良好な視認性を確保することができる。(A)は、ケイ素原子に結合したアルケニル基を分子中に平均で2個以上有し、かつ、ケイ素原子に結合したフッ素含有基を平均で1以上有し、(B)のSi−H結合との付加反応により、網状構造を形成することができるものであれば、特に限定されない。
【0012】
アルケニル基は、炭素−炭素二重結合を含む炭化水素基であれば特に限定されないが、C
2−C
6アルケニル基が好ましい。フッ素含有基は、フッ素原子を含有する炭化水素基であれば特に限定されないが、C
1−C
6フルオロアルキル基が好ましい。
【0013】
(A)は、代表的には、一般式(a1):
(R
a1)
n1(R
b1)
n2(R
c1)
n3SiO
(4−n1−n2−n3)/2 (a1)
(式中、
R
a1は、独立して、C
2−C
6アルケニル基であり;
R
b1は、独立して、C
1−C
6フルオロアルキル基であり;
R
c1は、独立して、C
1−C
6アルキル基又はC
6−C
20アリール基であり;
n1は、1又は2であり;
n2は、0〜2の整数であり;
n3は、0〜2の整数であり、ただし、n1+n2+n3は1〜3である)
で示されるアルケニル基含有シロキサン単位を、分子中に少なくとも平均で2個有するアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンである。
【0014】
なお、(A)が、アルケニル基含有シロキサン単位として、n2が0である式(a1)で示される単位のみを有する場合、この(A)は、さらに式(a2):
(R
b2)
n4(R
c2)
n5SiO
(4−n4−n5)/2 (a2)
(式中、
R
b2は、独立して、C
1−C
6フルオロアルキル基であり;
R
c2は、独立して、C
1−C
6アルキル基又はC
6−C
20アリール基であり;
n4は、1〜3であり;
n5は、0〜2の整数であり、ただし、n4+n5は1〜3である)
で示されるフルオロアルキル基含有シロキサン単位を、分子中に少なくとも平均で1個有する。
【0015】
(A)のシロキサン骨格は、直鎖状、分岐状又はその組み合わせであってよい。合成及び平均重合度の制御が容易なことから、(A)は、直鎖状であるのが好ましい。
【0016】
R
a1は、(A)のポリオルガノシロキサン分子鎖の末端又は途中のいずれに存在してもよく、その両方に存在してもよい。硬化後の組成物に優れた機械的性質を与えるためには、R
a1は、(A)のポリオルガノシロキサン分子鎖の両末端に存在していることが好ましい。
【0017】
式(a1)中、合成が容易なことから、n1は1であり、n2は0であり、n3は2であるのが好ましい。また、式(a2)中、合成が容易なことから、n4は1であり、n5は1であるのが好ましい。
【0018】
(A)は、下記式(a3)で示されるアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンからなるのが好ましい。
【化3】
(式中、
R
a2は、独立して、C
2−C
6アルケニル基であり、
R
b3は、独立して、C
1−C
6フルオロアルキル基であり、
R
c3は、独立して、C
1−C
6アルキル基又はC
6−C
20アリール基であり、
R
e1は、独立して、C
1−C
6フルオロアルキル基、C
1−C
6アルキル基又はC
6−C
20アリール基であり、
m1+m2は23℃における粘度を1以上100,000cP未満とする値である)
【0019】
式(a3)で表されるポリオルガノシロキサンは、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。すなわち、式(a3)中、m1及びm2は、m1及びm2で定義された各単位が存在する数を示すものである。式(a3)中、m1及びm2で定義された単位がそれぞれ同一又は異なっていてもよい。
【0020】
式(a3)中、R
a2はビニルであり、R
b3は3,3,3−トリフルオロプロピルであり、R
c3はメチルであり、R
e1はC
1−C
6アルキル基(特にメチル)であるのが好ましい。よって、(A)は、(a4)両末端がジメチルビニルシロキサン単位で閉塞され、中間単位がジメチルシロキサン単位及び3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位からなり、23℃における粘度が1以上100,000cP未満である、アルケニル基含有ポリオルガノシロキサンからなるのがより好ましい。
【0021】
(A)が(a3)又は(a4)からなる場合、組成物は、(a3)又は(a4)以外のアルケニル基含有ポリオルガノシロキサン、例えば、分岐状のアルケニル基含有ポリオルガノシロキサンを含まない。
【0022】
(A)におけるケイ素原子に結合したアルケニル基の数は、一分子中、平均で2〜100個であるのが好ましく、2〜50個であるのがより好ましい。
【0023】
(A)は、作業性の観点から、23℃における粘度が、1以上100,000cP未満であるのが好ましく、10〜50,000cPであるのがより好ましく、100〜25,000cPであるのが特に好ましい。これらの粘度範囲になるように、(A)の重量平均分子量を調整することが好ましい。
【0024】
2.(B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン
(B)ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、分子中に含まれるヒドロシリル基が、(A)のR
a1との間で付加反応することにより、(A)の鎖延長剤及び/又は架橋剤として機能するものである。
【0025】
(B)は、(B1)式(b1):
【化4】
(式中、
R
d1は、水素原子であり、
R
e2は、独立して、C
1−C
6フルオロアルキル基、C
1−C
6アルキル基又はC
6−C
20アリール基であり、少なくとも1つのR
e2は、C
1−C
6フルオロアルキル基であり、
m3は、23℃における粘度を1〜10,000cPとする数である)である、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンを含む。
【0026】
式(b1)で表されるポリオルガノシロキサンは、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。すなわち、式(b1)中、m3は、m3で定義された単位が存在する数を示すものである。式(b1)中、m3で定義された単位がそれぞれ同一又は異なっていてもよい。
【0027】
(B1)は、ケイ素原子に結合したC
1−C
6フルオロアルキル基を1分子中に1個以上有し、かつ、ケイ素原子に結合したH基を両末端に2個有する。(B1)に含まれるヒドロシリル基が、(A)のR
a1との間で付加反応することにより、(A)の鎖長延長剤として機能する。(B1)が、ケイ素原子に結合したH基を1分子中に3個以上有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンのみを含むと、硬化物が網状化するため、架橋密度が高くなりすぎてしまう。これにより、組成物を熱硬化させた後、更に加熱した場合の対変形性が劣る。また、(B1)が、C
1−C
6フルオロアルキル基を有さない直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであると、フッ素含有基を含有するベースポリマーである(A)と相溶しない。
【0028】
R
e2は、合成が容易なことから、C
1−C
6フルオロアルキル基及びC
1−C
6アルキル基が好ましく、メチル及び3,3,3−トリフルオロプロピルがより好ましい。また、C
1−C
6フルオロアルキル基であるR
e2は、m3で定義された単位に存在するのが好ましい。
【0029】
(B1)は、両末端がR
d1R
e22SiO
1/2単位で閉塞され、中間単位がR
b4R
c4SiO
2/2単位(式中、R
d1は、水素原子であり、R
e2は、独立して、C
1−C
6フルオロアルキル基、C
1−C
6アルキル基又はC
6−C
20アリール基であり、R
b4は、独立して、C
1−C
6フルオロアルキル基であり、R
c4は、独立して、C
1−C
6アルキル基又はC
6−C
20アリール基である)からなり、23℃における粘度が1〜10,000cPである、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであるのが好ましい。また、(B1)は、両末端がジメチルハイドロジェンシロキサン単位で閉塞され、中間単位が3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位からなり、23℃における粘度が1〜10,000cPである、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであるのがより好ましい。
【0030】
(B1)は、23℃における粘度の下限は、10cP以上であってもよく、200cP以上であってもよい。また、(B1)は、23℃における粘度の上限が、1,000cP以下であってもよく、500cPであってもよい。(B1)の粘度の範囲は、1〜1,000cP、1〜500cP、10〜1,000cP、200〜10,000cP、200〜500cPであってもよい。(B1)の粘度が200〜10,000cPである場合、加熱処理の柔軟性の変化率がより小さい硬化物が得られる傾向がある。また、(B1)の粘度が1〜500cPである場合、速硬化性が高くなり、より柔軟な硬化物が得られる傾向がある。(B1)の粘度が200〜500cPである場合、加熱処理の柔軟性の変化率がより小さい硬化物が得られ、速硬化性が高くなり、より柔軟な硬化物が得られる傾向がある。
【0031】
2−1.(B1)以外の更なるポリオルガノハイドロジェンシロキサン
(B)は、(B1)以外のケイ素原子に結合したH基を1分子中に2個又は2個超(例えば、3個以上)有する更なるポリオルガノハイドロジェンシロキサン(以下、「更なる(B)」ともいう)を含むことができる。しかし、(B)は、(B1)からなるものであってもよい。
【0032】
更なる(B)が、ケイ素原子に結合したH基を1分子中に2個超有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンである場合、硬化物を網状化できる。また、更なる(B)が、ケイ素原子に結合したH基を1分子中に2個有するポリオルガノハイドロジェンシロキサンである場合、(B1)と同様に鎖長延長剤として機能するため、加熱処理後により優れた柔軟を有する硬化物が得られる。
【0033】
このような更なる(B)は、代表的には、一般式(b1’):
(R
d2)
n6(R
e3)
n7SiO
(4−n6−n7)/2 (b1’)
(式中、
R
d2は、水素原子であり、
R
e3は、独立して、C
1−C
6アルキル基、C
1−C
6フルオロアルキル基又はC
6−C
20アリール基であり;
n6は、1又は2であり;
n7は、0〜2の整数であり、ただし、n6+n7は1〜3である)
で示される単位を分子中に2個以上有する。ただし、更なる(B)は、(B1)を含まないものとする。
【0034】
式(b1’)において、合成が容易なことから、n6は1が好ましい。
【0035】
このような更なる(B)として、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び分岐状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンからなる群より選択される1以上が挙げられ、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン及び環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンからなる群より選択される1以上が好ましく、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンがより好ましい。
【0036】
2−2(1).環状の更なる(B):(B2)及び(B3)
更なる(B)が環状の場合、
(B2)R
d3R
f1SiO
2/2単位(式中、R
d3は、水素原子であり、R
f1は、水素原子、C
1−C
6アルキル基、C
1−C
6フルオロアルキル基又はC
6−C
20アリール基である)、及び、場合によりR
e42SiO
2/2単位(式中、R
e4は、独立して、C
1−C
6アルキル基、C
1−C
6フルオロアルキル基又はC
6−C
20アリール基である)からなり、一分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有し、23℃における粘度が1〜10,000cPである、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン;及び
(B3)R
d4R
f22SiO
1/2単位(式中、R
d4は、水素原子であり、R
f2は、独立して、水素原子、C
1−C
6アルキル基、C
1−C
6フルオロアルキル基又はC
6−C
20アリール基である)及びSiO
4/2単位からなり、一分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有し、23℃における粘度が1〜10,000cPである、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンからなる群より選択される1以上が挙げられる。
【0037】
(B2)は、R
d3R
f1SiO
2/2単位からなるか、R
d3R
f1SiO
2/2単位及びR
e42SiO
2/2単位からなる。(B2)における水素原子は、一分子中、3〜100個であることが好ましく、3〜50個であるのがより好ましい。C
1−C
6アルキル基としてのR
f1は、合成の容易さ等の点から、メチルが好ましい。C
1−C
6フルオロアルキル基としてのR
f1は、合成の容易さ等の点から、3,3,3−トリフルオロプロピルが好ましい。
【0038】
(B2)の粘度は、1〜100cPが好ましく、1〜50cPがより好ましい。(B3)は、単独でも、複数の組合せであってもよい。
【0039】
(B3)における水素原子は、一分子中、3〜100個であることが好ましく、3〜50個であるのがより好ましい。C
1−C
6アルキル基としてのR
f2は、合成の容易さ等の点から、メチルが好ましい。C
1−C
6フルオロアルキル基としてのR
f2は、合成の容易さ等の点から、3,3,3−トリフルオロプロピルが好ましい。
【0040】
(B3)としては、R
d4R
f22SiO
1/2単位とSiO
4/2単位の比率が、SiO
4/2単位1モルに対してR
d4R
f22SiO
1/2単位1.5〜2.2モルが好ましく、1.8〜2.1モルがさらに好ましい。典型的には、[R
d4R
f22SiO
1/2]
8[SiO
4/2]
4又は[R
d4R
f22SiO
1/2]
10[SiO
4/2]
5のように、3〜5個のSiO
4/2単位が環状シロキサン骨格を形成し、各SiO
4/2単位に2個のR
d4R
f22SiO
1/2単位が結合しているものが、好ましく、特に好ましくは、各SiO
4/2単位に2個の(CH
3)
2HSiO
1/2単位が結合しているものである。
【0041】
(B3)の粘度は、1〜100cPが好ましく、1〜50cPがより好ましい。(B3)は、単独でも、複数の組合せであってもよい。
【0042】
2−2(2).直鎖状の更なる(B):(B4)及び(B5)
更なる(B)が直鎖状の場合、例えば、
(B4)両末端がR
e53SiO
1/2単位で閉塞され、中間単位がR
d5R
e6SiO
2/2単位及びR
e72SiO
2/2単位(式中、R
d5は、水素原子であり、R
e5、R
e6及びR
e7は、それぞれ独立して、C
1−C
6アルキル基、C
1−C
6フルオロアルキル基又はC
6−C
20アリール基である)からなり、23℃における粘度が1〜10,000cPである、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン;及び
(B5)両末端がR
d6R
e82SiO
1/2単位で閉塞され、中間単位がR
d7R
e9SiO
2/2単位及びR
e102SiO
2/2単位(式中、R
d6及びR
d7は、水素原子であり、R
e8、R
e9及びR
e10は、それぞれ独立して、C
1−C
6アルキル基、C
1−C
6フルオロアルキル基又はC
6−C
20アリール基である)からなり、23℃における粘度が1〜10,000cPとする数である)である、直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンからなる群より選択される1以上が挙げられる。
【0043】
(B4)において、R
e5、R
e6及びR
e7は、それぞれ独立して定義される。即ち、3つのR
e5は、同一であっても異なっていてもよい。また、2つのR
e7は、同一であっても異なっていてもよい。更に、3つのR
e5、1つのR
e6、及び2つのR
e7は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。本明細書における、それぞれ独立して定義される基についても同じである。
【0044】
(B4)におけるR
d5は、一分子中、2〜5,000個であることが好ましく、3〜5,000個であることがより好ましく、20〜1,000個であることがさらに好ましい。
【0045】
(B4)におけるC
1−C
6アルキル基としてのR
e5、R
e6及びR
e7は、合成が容易で、機械的強度及び硬化前の流動性などの特性のバランスが優れているという点から、メチル基が好ましい。(B4)におけるC
1−C
6フルオロアルキル基としてのR
e5、R
e6及びR
e7は、合成が容易である点から、3,3,3−トリフルオロプロピルが好ましい。(B4)としては、R
d5R
e6SiO
2/2単位とR
e72SiO
2/2単位の比率が、R
e72SiO
2/2単位1モルに対して、R
d5R
e6SiO
2/2単位が0.1〜2.0モルであるものが好ましく、0.5〜1.5モルであるものがさらに好ましい。よって、(B4)として、両末端がトリメチルシロキサン単位で閉塞され、中間単位がジメチルシロキサン単位及びメチルハイドロジェンシロキサン単位からなり、ジメチルシロキサン単位1モルに対して、メチルハイドロジェンシロキサン単位が0.1〜2.0モルであるポリメチルハイドロジェンシロキサンが好ましい。
【0046】
(B4)の粘度は、1〜10,000cPであり、1〜5,000cPがより好ましく、1〜1,000cPがさらに好ましい。(B4)は、単独でも、複数の組合せであってもよい。
【0047】
(B5)におけるR
d6及びR
d7の合計は、一分子中、2〜5,000個であることが好ましく、より好ましくは3〜5,000個であり、さらに好ましくは3〜1,000個である。
【0048】
(B5)におけるC
1−C
6アルキル基としてのR
e8、R
e9及びR
e10は、合成が容易で、機械的強度及び硬化前の流動性などの特性のバランスが優れているという点から、メチル基が好ましい。(B5)におけるC
1−C
6フルオロアルキル基としてR
e7、R
e8及びR
e9としては、合成が容易である点から、3,3,3−トリフルオロプロピルが好ましい。
【0049】
(B5)としては、R
d7R
e9SiO
2/2単位及びR
e102SiO
2/2単位の比率が、R
e102SiO
2/2単位1モルに対して、R
d7R
e9SiO
2/2単位が0.01〜2.0モルであるものが好ましく、0.05〜1.5モルがさらに好ましい。よって、(B5)として、両末端がジメチルハイドロジェンシロキサン単位で閉塞され、中間単位が3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位及びメチルハイドロジェンシロキサン単位からなり、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位1モルに対して、メチルハイドロジェンシロキサン単位が0.01〜2.0モルであるポリメチルハイドロジェンシロキサンが好ましい。組成物が、(B)として(B1)及び好ましい(B5)を含む場合、透明性に優れる硬化物が得られる傾向がある。
【0050】
(B5)の粘度は、1〜10,000cPであり、1〜5,000cPがより好ましく、1〜1,000cPがさらに好ましい。(B5)は、単独でも、複数の組合せであってもよい。
【0051】
2−2(3).分岐状の(B):(B6)及び(B7)
更なる(B)が分岐状の場合、例えば、
(B6)R
d8R
f32SiO
1/2単位(式中、R
d8は、水素原子であり、R
f3は、独立して、水素原子、C
1−C
6アルキル基、C
1−C
6フルオロアルキル基又はC
6−C
20アリール基である)及びSiO
4/2単位からなり、一分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子を3個以上有する分岐状ポリオルガノハイドロジェンシロキサン;及び
(B7)R
f43SiO
1/2単位、R
f5SiO
3/2単位、及び、場合によりR
f62SiO
2/2単位(式中、R
f4、R
f5及びR
f6は、それぞれ独立して、水素原子、C
1−C
6アルキル基、C
1−C
6フルオロアルキル基又はC
6−C
20アリール基を表す)からなり、一分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有する分岐状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンからなる群より選択される1以上が挙げられる。
【0052】
(B6)におけるR
f3としては、合成が容易であるという点から、メチル基が好ましい。よって、(B6)として、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位及びSiO
4/2単位からなり、SiO
4/2単位1モルに対して、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位が0.5〜4モルであり、0.5〜3モルのポリメチルハイドロジェンシロキサンがより好ましい。
【0053】
(B6)の粘度は、1〜10,000cPであり、1〜5,000cPがより好ましく、1〜1,000cPがさらに好ましい。(B6)は、単独でも、複数の組合せであってもよい。
【0054】
(B7)におけるR
f43SiO
1/2単位としては、合成が容易であるという点から、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位が好ましい。また、R
f5としては、合成が容易であるという点から、C
6−C
20アリール基(特にフェニル基)が好ましい。
【0055】
(B7)の粘度は、1〜10,000cPであり、1〜5,000cPがより好ましく、1〜1,000cPがさらに好ましい。(B7)は、単独でも、複数の組合せであってもよい。
【0056】
(B)として、(B1)単独;(B1)及び(B2)の組合せ;(B1)及び(B3)の組合せ;(B1)及び(B5)の組合せ;並びに(B1)及び(B7)の組合せが好ましい。
【0057】
環状の更なる(B)及び直鎖状の更なる(B)のうち、環状の更なる(B)が好ましい。環状の更なる(B)は、直鎖状の更なる(B)に比べて、加熱処理後の柔軟性の変化率がより小さい硬化物が得られる傾向がある。また、環状の更なる(B)は、直鎖状の更なる(B)に比べて、より柔軟性の高い硬化物が得られる傾向がある。
環状の更なる(B)及び分岐状の更なる(B)のうち、環状の更なる(B)が好ましい。環状の更なる(B)は、分岐状の更なる(B)に比べて、より速く硬化し、透明性に優れる硬化物が得られる傾向がある。
環状の更なる(B)である(B2)及び(B3)のうち、(B2)が好ましい。(B2)は、(B3)に比べて、加熱処理後の柔軟性の変化率がより小さい硬化物が得られる傾向がある。また、(B2)は、(B3)に比べて、より柔軟性の高い硬化物が得られる傾向がある。
【0058】
(A)のケイ素原子に結合したアルケニル基の個数Vi
Aの合計に対する、(B)におけるケイ素原子に結合した水素原子の個数H
Bの合計との比(H
B/Vi
A)が、0.80以下であり、0.75未満がより好ましく、0.3〜0.74がさらに好ましく、0.3〜0.72が特に好ましい。(H
B/Vi
A)が0.80超である場合、加熱処理後の柔軟性の変化率が大きい硬化物が得られる。(H
B/Vi
A)が、0.3以上である場合、硬化性が向上し、0.75未満であると、加熱処理後の柔軟性の変化率がより小さい硬化物が得られる。
【0059】
また、(A)のケイ素原子に結合したアルケニル基の個数Vi
Aの合計に対する、(B1)におけるケイ素原子に結合した水素原子の個数H
B1の合計との比(H
B1/Vi
A)は、上記の(H
B/Vi
A)を満足する限り特に限定されないが、0.80以下であり、0.75未満がより好ましく、0.3〜0.74がさらに好ましく、0.3〜0.72が特に好ましい。
【0060】
(B)における(B1)の量は、上記の(H
B/Vi
A)を満足する限り特に限定されないが、(B)の水素の総量に対する(B1)の水素の量(H
B1/(H
B))が、0.1〜1であるのが好ましく、0.2〜1であるのがより好ましく、0.5〜1であるのが特に好ましい。H
B1/(H
B)が、0.1以上であれば、(B1)による効果がより発揮され、加熱処理後の柔軟性の変化率がより小さい硬化物が得られる。
【0061】
3.(C)白金触媒
(C)は、(A)のアルケニル基と、(B)のSi−H基との間の付加反応を促進するための触媒である。触媒活性が良好な観点から、白金、ロジウム、パラジウムのような白金系金属(白金族元素)の化合物が好適に用いられ、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコールの反応生成物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ケトン錯体、白金−ホスフィン錯体のような白金化合物、ロジウム−ホスフィン錯体、ロジウム−スルフィド錯体のようなロジウム化合物、パラジウム−ホスフィン錯体のようなパラジウム化合物が好ましく、白金化合物がより好ましく、白金−ビニルシロキサン錯体がさらに好ましい。
【0062】
(C)の含有量は、硬化物の透明性の確保及び適切な硬化速度の確保の観点から、(A)〜(C)の合計重量に対して、白金系金属原子換算で、0.5〜1,000ppmであり、0.5〜500ppmであるのが好ましく、0.5〜200ppmであるのがより好ましい。(C)の量が0.5ppm未満であると、硬化が遅い。(C)の量が1,000ppm超であると、透明性が著しく低下することに加えて、硬化物の変色が顕著になり、硬化物が黒色になる。
【0063】
4.添加剤
組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(D)窒素原子を有する安定化剤、(E)希釈剤、(F)接着付与剤及び(G)無機質充填剤からなる群より選択される1以上の添加剤を含むことができる。なお、組成物は、(G)成分を含まないのが好ましい。また、組成物は、(H)白金触媒の抑制剤を含まないことが好ましい。
【0064】
組成物は、(D)窒素原子を有する安定化剤を含んでいてもよい。(D)は、(C)白金系触媒を安定化することができる。(D)としては、例えば、一般式:(R
1)
2N−R
3−N(R
2)
2(式中、R
1は、それぞれ独立して、C
1−C
6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)であり、R
2はR
1と同一の意味を有するか、又は水素原子であり、R
3は、C
2−C
4アルキレン基(例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン)である。)で示されるアミン化合物が挙げられる。
【0065】
(D)として、具体的には、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3‐プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミンが挙げられ、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。(D)は、単独又は2種以上を併用することができる。
【0066】
(D)の配合量は、(C)の白金系金属原子1molに対して0.001〜0.5molであるのが好ましく、0.01〜0.1molであるのがより好ましい。このような範囲であれば、得られる触媒の経時的な外観不良を防止し、変色が抑えられるとともに、(C)の触媒活性を極端に低下させずに、所望の時間での硬化が達成できる。
【0067】
組成物は、(E)希釈剤を含んでいてもよい。組成物が(E)を含むことにより、粘度が調整される。(E)は、硬化反応に関与するアルケニル基を含有しないシリコーンオイルであり、両末端がトリメチルシロキサン単位で閉塞され、中間単位がジメチルシロキサン単位からなるポリメチルシロキサンが好ましい。(E)は、23℃における粘度が、1〜5,000cPであるのが好ましく、5〜1,000cPであるのがより好ましい。(E)の配合量は、組成物における(A)〜(C)の合計100重量部に対して、50重量部以下であるのが好ましく、30重量部以下であるのがより好ましく、20重量部以下であるのがさらに好ましい。
【0068】
組成物は、(F)接着付与剤を含んでいてもよい。(F)接着付与剤として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランのようなジ、トリ、テトラアルコキシシラン類;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル(メチル)ジエトキシシランのような3−グリシドキシプロピル基含有アルコキシシラン類;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランのような2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基含有アルコキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、メチルビニルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチルアリルジメトキシシランのようなアルケニルアルコキシシラン類;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシランのような(メタ)アクリロキシプロピルアルコキシシラン類;1,1,3,5,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサンと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物などの有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0069】
有機ケイ素化合物として、例えば、具体的には、下記式:
【化5】
(式中、Q
1及びQ
2は、互いに独立して、アルキレン基、好ましくはC
1−C
4アルキレン基を表し、R
3は、C
1−C
4アルキル基を表す)で示される側鎖を有する有機ケイ素化合物が挙げられる。
【0070】
このような有機ケイ素化合物としては、下記の化合物が好ましい。
【化6】
【0071】
(H)白金触媒の抑制剤は、アセチレン性シラン、3−ヒドロキシ−1−プロペニル(OH−C(CH
3)
2−CH=CH−)基を有するオレフィン性シロキサン及びビニルオルガノシロキサンが挙げられる。このような白金触媒の抑制剤は、特開昭52−47053号公報に記載されている。
【0072】
組成物は、(A)〜(C)、並びに任意成分を配合することにより得ることができる。調製にあたっては、容易に、組成物を均一な状態にし、透明な硬化物を得ることができる点から、(A)と(C)とを含む混合物を用意し、(A)と(B)とを含む混合物を用意し、これらを混合し、均一な組成物とすることが好ましい。任意成分は適宜添加することができる。
【0073】
組成物は、加熱することによって、硬化させることができる。加熱温度は、例えば、50〜80℃とすることができ、60〜70℃が好ましい。また、加熱時間は、例えば、0.5〜10時間とすることができ、0.5〜2時間が好ましい。
【0074】
組成物は、組成物からなる画像表示装置用シール剤として利用することができる。画像表示装置用シール剤を画像表示部と保護部の間に介在させ、加熱により硬化させて、画像表示部と保護部とを封止することができる。
【0075】
組成物は、画像表示装置において好適に使用することができ、特に、フラットパネル型の画像表示装置の保護部と画像表示部との間に介在させる樹脂として好ましい。よって、本発明は、組成物を用いた画像表示装置に関する。具体的には、光学用プラスチック等で形成される透明な保護部を構成する保護パネル上に、組成物を塗布した後、画像表示部を構成する画像表示パネルを貼り合わせ、加熱する工程を含む、画像表示装置の製造方法により製造される画像表示装置に関する。
【実施例】
【0076】
表1〜6に示す組成で、各成分を、混合することにより、実施例及び比較例の(A)及び(B)からなる組成物を調製した。表1〜6において、「MIX」は「(A)」及び「(B)」の合計に対する量を意味する。
【0077】
使用した各成分は、以下のとおりである。ここで、記号は以下を意味する。
M
H:H(CH
3)
2SiO
1/2
M
V:CH
2=CH
2(CH
3)
2SiO
1/2
D:(CH
3)
2SiO
2/2
D
H:H(CH
3)SiO
2/2
D
F:CF
3CH
2CH
2(CH
3)SiO
2/2
T
Ph:C
6H
5SiO
3/2
Q:SiO
4/2(四官能性)
(1)(A)成分
a1:両末端がM
V単位で閉塞され、中間単位がD単位及びD
F単位からなる、分子中に2個以上のアルケニル基及び1個以上のフッ素含有基を含有するポリオルガノシロキサン(23℃での粘度17,000cP)
(2)(B)成分
(2−1)(B1)成分
b1−1:M
HD
F15M
H(23℃での粘度380cP)
b1−2:M
HD
F8M
H(23℃での粘度70cP)
(2−2)更なる(B)成分
b2:平均単位式がD
H3Dの環状物(水素量1.18重量%)(23℃での粘度4cP)
b3:平均単位式がM
H8Q
4(水素量1.05重量%)(23℃での粘度20cP)の環状物
b5:M
HD
F20D
H2M
H(23℃での粘度600cP)の直鎖状物
b7:平均単位式がM
H3T
Ph(水素量0.94重量%)(23℃での粘度6cP)の分岐状物
b’:両末端がM
H単位で閉塞され、中間単位がD単位からなる直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン(23℃での粘度20cP)
(3)(C)成分
c1:塩化白金酸を1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとモル比1:4で加熱することによって得られ、白金含有量が5.0重量%である錯体。
【0078】
<実施例1〜14、比較例1〜7>
物性の評価は、下記のようにして行った。
(1)粘度
回転粘度計(ビスメトロン VDA−L)(芝浦システム株式会社製)を用いて、23℃における粘度を測定した。
(2)タックフリータイム
(A)の組成物及び(B)の組成物を体積比1:1で押し出し、その先にミキシングノズルで混合しながら、5gを平板上に取り出し、2つの液が接触した時間を0とし、エチルアルコールで清浄にした指先で表面に軽く触れ、試料が指先に付着しなくなるまでの時間をタックフリーとした。本測定方法は、JIS−K6249における、タックフリータイム測定に準ずる。
(3)イエローインデックス(YI)
基材として、ガラス板(5cm×5cm×1mm厚)2枚を使用した。予め基材に配置したスペーサーによって、組成物の厚みが200μmになるようにした。組成物を介して2枚のガラス板を、組成物の寸法が50mmx50mm、厚さが200μmになるように貼り合わせて、貼り合せ体を得た。貼り合せ体を、25℃において30分、70℃において30分熱処理して、組成物の硬化物を介して、2枚の基材が接着されている接着体を得た。接着体を25℃の状態に戻した後に、変色の度合いの指標であるイエローインデックスを測定した。イエローインデックスの測定は、分光測式計((株)ミノルタ製CM−3500d)を用いて行なった。
(4)ヘーズ(Haze)
「(3)イエローインデックス」と同様にして、試料を作製した。作製した試料について、JIS K 7105に準拠し、ヘーズメータNDH5000(日本電色工業株式会社製)を用いて、ヘーズを測定した。
(5)針入度
未硬化のシリコーンゲル組成物40mlを、容量100mlの耐熱ガラスビーカーにとり、60℃で30分加熱して硬化させることにより、シリコーンゲルを得た。室温に冷却した後、JIS K 6249により、1/4コーンを用いて針入度を測定した。また、未硬化のシリコーンゲル組成物40mlを、容量100mlの耐熱ガラスビーカーにとり、60℃で30分加熱して硬化させて、加熱処理前のシリコーンゲルを得た。次いで、150℃で1時間、加熱処理することにより、加熱処理後のシリコーンゲルを得た。室温に冷却した後、JIS K 6249により、1/4コーンを用いて針入度を測定した。加熱処理による針入度変化率は、以下の数式(1)により求めた。針入度変化率が小さいことは、加熱処理後の硬化物の柔軟性の変化率が小さいことを意味する。
針入度変化率=(加熱処理前の針入度(1)−加熱処理後の針入度(2))÷加熱処理前の針入度(1)・・・数式(1)
(6)屈折率
屈折率は、JIS K 0062に準じて測定した。
(7)b*(D65)
「(3)イエローインデックス」と同様にして、試料を作製した。作製した試料について、b*(D65)を測定した。
【0079】
結果を表1〜表6に示す。
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
実施例1〜14で得られる硬化物の針入度変化率は小さく、加熱処理後の硬化物の柔軟性の変化率が小さかった。
実施例1と実施例6の比較により、環状の更なる(B)を用いた実施例6は、直鎖状の更なる(B)を用いた実施例1に比べて、加熱処理後の柔軟性の変化率がより小さく、また、より柔軟性の高い硬化物が得られた。
実施例11と実施例12の比較により、環状の更なる(B)を用いた実施例11は、分岐状の更なる(B)を用いた実施例12に比べて、より速く硬化し、透明性に優れる硬化物が得られた。
実施例11と実施例13の比較により、(B2)を用いた実施例11は、(B3)を用いた実施例13に比べて、加熱処理後の柔軟性の変化率がより小さく、より柔軟性の高い硬化物が得られた。
【0086】
比較例1は、H
B/Vi
A比が0.80を超えるため、比較例1で得られる硬化物の針入度変化率は大きかった。比較例2〜4も同様である。
比較例5〜7は、両末端に水素を有し、フッ素含有基を有する直鎖状の鎖延長剤を有さない。
比較例5は、(B)として、C
1−C
6フルオロアルキル基を有さない直鎖状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンであるb’のみを用いている。b’は(A)と混ざり合わず、均一な組成物が得られなかった。
比較例6は、(B)として、b’と、a1に対して相溶性があるb3との組合せが用いられている。しかし、b’は(A)と混ざり合わないことから、全体として均一な組成物が得られなかった。
比較例7は、(B)として、中間単位にも水素を有するb5のみを用いているため、比較例7は、加熱処理後の硬化物の針入度変化率が大きかった。