特許第6645829号(P6645829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーエヌエル ホールディングス エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645829
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】薬剤送達ポンプ用制御送達駆動機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   A61M5/168 500
【請求項の数】10
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-530058(P2015-530058)
(86)(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公表番号】特表2015-526253(P2015-526253A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】US2013057367
(87)【国際公開番号】WO2014036308
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月24日
【審判番号】不服2018-11177(P2018-11177/J1)
【審判請求日】2018年8月16日
(31)【優先権主張番号】61/694,534
(32)【優先日】2012年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/731,744
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/748,667
(32)【優先日】2013年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517295698
【氏名又は名称】ユーエヌエル ホールディングス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】UNL Holdings LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン,イアン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ビーバー,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ベンチ,ポール エフ.,4世
(72)【発明者】
【氏名】ボケルマン,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】マジェッテ,マーク
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 倉橋 紀夫
【審判官】 沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−217975号公報(JP,A)
【文献】 特表2002−503122号公報(JP,A)
【文献】 特表2010−538799号公報(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/085029号(WO,A1)
【文献】 特表2011−523873号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 - 5/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレル58及びプランジャ封止材60を有する薬剤容器50と、
接合面110C及び駆動ラック110Aを有するピストン110の一部分が少なくとも最初は駆動ハウジング130内に存在し、前記接合面110Cは前記駆動ハウジング130の外部である、前記駆動ハウジング130と、
駆動ピニオン120と直接又は間接的に結合されたぜんまい122であって、前記駆動ピニオン120が前記ピストン110の駆動ラック110Aと噛み合うことにより、前記ぜんまい122及び前記駆動ピニオン120の回転運動を変換し、前記駆動ラック110Aを軸方向平行移動させる、前記ぜんまい122と、
レバー564とガンギ車562を有する脱進調整機構500と、
を備える制御送達駆動機構100、1000であって、
前記ピストン110は、前記バレル58内で軸方向平行移動されるように構成されており、且つ、前記バレル58内で前記プランジャ封止材60に接触して前記プランジャ封止材60を軸方向平行移動させるように構成されており、前記ピストン110が、制御された速度で軸方向平行移動するように、前記脱進調整機構500が前記駆動ピニオン120を計量調節し、前記ピストン110を制御レートで前記バレル58内で軸方向平行移動させる、
制御送達駆動機構100、1000。
【請求項2】
前記薬剤容器50は、制御された流量での薬剤送達の為に薬剤流体を薬剤チャンバ21内に収容する、請求項1に記載の駆動機構100、1000。
【請求項3】
前記脱進調整機構500は、前記ぜんまい122と、1つ以上の歯車512、514、516を有する歯車トレーン510と、回転シャフト518と、1つ以上の歯車520、522、524を有する歯車トランスミッション550と、に結合され、前記歯車トランスミッション550のうちの少なくとも1つの歯車520が前記駆動ピニオン120と係合することが可能であり、前記歯車トランスミッション550の少なくとも一つの前記歯車520が回転することによって、前記駆動ピニオン120が回転して前記ピストン110の前記駆動ラック110Aと係合し、前記駆動ラック110Aを軸方向平行移動させ、これによって、前記駆動ピニオン120の回転運動が前記駆動ラック110Aの軸方向平行移動に変換される、請求項1から2のいずれか一項に記載の駆動機構100、1000。
【請求項4】
前記レバー564は、ピン564A、B及びプロング564Cを有し、前記プロング564Cは、ポスト566Aと可動に係合し、はずみ車566のインパルスピン566Bと取り外し可能に係合するように構成されており、前記はずみ車566は、ひげぜんまい568と係合し、前記ひげぜんまい568との組み合わせで、前記ポスト566Aを中心として振動することが可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動機構100、1000。
【請求項5】
前記ガンギ車562は、大径ガンギ歯車562A及び小径歯車562Bを有する複合歯車であって、前記大径ガンギ歯車562Aは、前記大径ガンギ歯車562Aの外周の周りにガンギ歯を有しており、前記小径歯車562Bは、前記歯車トレーン510と係合して、前記歯車トレーン510を計量調節するように構成されている、請求項4に記載の駆動機構100、1000。
【請求項6】
前記脱進調整機構500による前記駆動ピニオン120及び/又は前記歯車トレーン510の計量調節により、ユーザへの薬剤送達の流量又は特性が制御される、請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動機構100、1000。
【請求項7】
状態読み取り器600が、対応する1つ以上の状態トリガを読み取るか認識するように構成され、前記駆動機構100の動作時には、前記状態読み取り器600と前記状態トリガとの間の相互作用により、ユーザにフィードバックを提供する為の信号が電源/制御系400に送信される、請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動機構100、1000。
【請求項8】
前記状態読み取り器600は光学式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは駆動歯車520の歯車歯である、請求項7に記載の駆動機構100、1000。
【請求項9】
前記状態読み取り器600は機械式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは前記駆動歯車520の歯車歯である、請求項7に記載の駆動機構100、1000。
【請求項10】
ハウジング12及びアセンブリプラットフォーム20を備え、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御送達駆動機構100、1000を有する薬剤送達ポンプ10であって、前記アセンブリプラットフォーム20の上に、起動機構14、挿入機構200、流体経路接続部300、電源/制御系400、及び、請求項1からのいずれか一項に記載の制御送達駆動機構100、1000が取り付けられている、薬剤送達ポンプ10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年8月29日に出願された米国特許仮出願第61/694,534号、2012年11月30日に出願された米国特許仮出願第61/731,744号、並びに2013年1月3日に出願された米国特許仮出願第61/748,667号の優先権を主張するものであり、これらは、あらゆる目的のために参照により全体が本明細書に含まれている。
【0002】
本発明は、薬剤送達ポンプに関する。より具体的には、本発明は、薬剤物質の制御送達の為の駆動機構、そのような駆動機構を有する薬剤送達ポンプ、そのような装置の動作方法、及びそのような装置の組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な薬剤の非経口送達、即ち、消化路を通る以外の手段での送達は、幾つかの理由により、望ましい薬剤送達方法になっている。この、注射による薬剤送達の形式は、送達物質の効果を高めることが可能であり、薬剤を、変質させずに有効な濃度でその目標部位に到達させることを確実に行うことが可能である。同様に、非経口送達によれば、他の送達経路に伴う、全身毒性のような望ましからぬ副作用を潜在的に回避することが可能である。哺乳類の患者の消化系を迂回することにより、消化管及び肝臓にある触媒酵素に起因する活性成分の分解を回避することが可能であり、必要な量の薬剤を所望の濃度で目標部位に到達させることを確実に行うことが可能である。
【0004】
従来は、非経口薬剤を患者に送達する為に、手動操作式のシリンジや注射ペンが用いられてきた。より最近では、液状薬剤の、体内への非経口送達は、針及びリザーバを使用するボーラス注入を、重力駆動式定量供給器によって連続的に施すか、経皮パッチ技術を用いて施すことにより、行われてきた。ボーラス注入は、患者の臨床的必要量と完全に一致する量にならない場合が多く、通常は、1回分の用量を、個々の投与時刻に必要な量より多くしなければならない。重力送りシステムによる薬剤の連続送達の場合は、患者の移動性及び生活様式が損なわれ、治療が、過度に単純な流量及び特性に限定される。別の形式の薬剤送達である経皮パッチにも、同様にそれなりの制限がある。経皮パッチは、有効性の為に特定の薬剤分子構造を必要とする場合が多く、経皮パッチによる薬剤投与の制御には厳格な制限がある。
【0005】
液状薬剤を患者に送達する為に、歩行型輸液ポンプが開発されてきた。こうした輸液装置は、ボーラス要件、連続輸液、及び可変流量送達を達成する先進的な流体送達特性を提供することが可能である。通常は、こうした輸液機能により、薬剤及び治療の有効性が高められ、患者の身体に対する毒性が抑えられる。現時点で利用可能な歩行型輸液装置は、高価であり、輸液の為のプログラム及び準備が面倒であり、傾向として、かさばり、重く、非常に壊れやすい。これらの装置の充填は、面倒な場合があり、患者は、装置の充填の為に、本来の薬剤と充填用アクセサリの両方を持ち歩かなければならない場合がある。これらの装置は、意図された長期使用における適正な機能性及び安全性を保証する為に特殊なケア、メンテナンス、及びクリーニングを必要とする場合が多く、患者又は医療機関にとっては費用対効果が高くない。
【0006】
シリンジ及び注射ペンと比べると、ポンプ式の送達装置は、患者にとって非常に便利である可能性があり、これは、日中又は夜間のいつでも自動的に薬剤の用量が計算されて薬剤が患者に送達されることが可能である、という点においてである。更に、代謝センサ又は代謝モニタと併用されると、ポンプは、自動制御されて、検知又は監視された代謝レベルに基づいて、必要とされる適切なタイミングで適切な用量の流体薬剤を供給することが可能である。その結果、ポンプ式送達装置は、糖尿病などのような様々なタイプの疾患に対する現代的な医療処置の重要な側面になっている。
【0007】
ポンプ式送達システムは、様々な患者ニーズを解決する為に利用されてきたが、手動操作式のシリンジ及び注射ペンも、薬剤送達の為の好ましい選択肢として存続している場合が多く、これは、それらのシリンジ及び注射ペンが、現在では、統合的な安全機能を提供しており、且つ、薬剤送達の状態、及び用量の定量供給の終了を識別する為の読み取りが容易に可能である為である。しかしながら、手動操作式のシリンジ及び注射ペンは、あらゆる用途に適用可能というわけではなく、あらゆる薬剤の送達にとって好ましいわけではない。そこで、精度及び信頼性が高く、液状薬剤の非経口送達の為の小型で低コストで軽量で使いやすい選択肢を医療従事者及び患者に提供しうる、調節可能(且つ/又はプログラム可能)な輸液システムが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、薬剤物質の制御送達の為の駆動機構、そのような駆動機構を有する薬剤送達ポンプ、そのような装置の動作方法、及びそのような装置の組み立て方法を提供する。特に、本発明の駆動機構は、薬剤物質を薬剤容器から押し出す為に利用されるプランジャ封止材の自由軸方向平行移動を、計量調節、抵抗付与、又は他の方法で妨げることによって、薬剤送達の流量を制御するものである。従って、本発明の新規な実施形態は、薬剤物質を可変の流量で送達することが可能である。本発明の駆動機構は、所望の送達流量又は送達特性を満たすように、(例えば、電源/制御系による制御によって)事前構成可能又は動的構成可能であってよく、これについては後で詳述する。更に、本発明の駆動機構は、薬剤送達の前、途中、及び後にユーザにフィードバックを与える統合された状態表示機能を提供する。例えば、ユーザは、本システムが動作していて薬剤送達の準備ができていることを識別する為の初期フィードバックを与えられてよい。その後、本システムは、起動後ただちに、1つ以上の薬剤送達状態表示をユーザに提供してよい。薬剤送達の完了時には、駆動機構及び薬剤ポンプは、用量終了表示を提供してよい。用量終了表示は、駆動機構の1つ以上の構成要素の軸方向平行移動の物理的終了に関連付けられている為、駆動機構及び薬剤ポンプは、真の用量終了表示をユーザに提供する。これらの機構を通じて、薬剤用量送達の確証がユーザ又は投与者に正確に与えられることが可能である。従って、本発明の新規な装置は、上記で言及されたものなど、先行技術の装置に伴う問題のうちの1つ以上を軽減する。
【0010】
第1の実施形態では、本発明は、制御送達駆動機構を提供し、この制御送達駆動機構は、バレル及びプランジャ封止材を有する薬剤容器と、接合面及び駆動ラックを有するピストンの一部分が少なくとも最初は駆動ハウジング内に存在する、その駆動ハウジングと、駆動ピニオンと直接又は間接的に結合されたぜんまいであって、駆動ピニオンがピストンの駆動ラックと噛み合うことにより、ぜんまい及び駆動ピニオンの回転運動が駆動ラックの軸方向平行移動に変換される、ぜんまいと、を含む。ピストンは、バレル内でプランジャ封止材に接触してプランジャ封止材を軸方向平行移動させるように構成されている。この構成により、駆動ピニオンの回転運動が駆動ラックの軸方向平行移動に変換される。ピストンが、制御された速度で軸方向平行移動するように、調整機構が駆動ピニオンを計量調節する。薬剤容器は、制御された流量での薬剤送達の為に薬剤流体を薬剤チャンバ内に収容してよい。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、制御送達駆動機構を提供し、この制御送達駆動機構は、バレル及びプランジャ封止材を有する薬剤容器と、直線状ぜんまい、並びに接合面及び駆動ラックを有するピストンの一部分が少なくとも最初は駆動ハウジング内に存在する、その駆動ハウジングであって、直線状ぜんまいが、ピストンと直接又は間接的に結合されて、直線状ぜんまいの軸方向の力が駆動ピニオンのトーション運動に変換される、駆動ハウジングと、を有する。ピストンは、バレル内でプランジャ封止材に接触してプランジャ封止材を軸方向平行移動させるように構成されている。ピストンが、直線状ぜんまいによって、制御された速度で軸方向平行移動するように、調整機構が駆動ピニオンを計量調節する。
【0012】
少なくとも1つの実施形態では、調整機構は、ぜんまいと結合された、或いは、ぜんまいとともに動作する脱進調整機構である。脱進調整機構は更に、1つ以上の歯車を有する歯車トレーンと、回転シャフトと、1つ以上の歯車を有する歯車トランスミッションと、を含み、歯車トランスミッションのうちの少なくとも1つの歯車が、この歯車が回転することによって駆動ピニオンが回転するように、駆動ピニオンと係合することが可能である。一特定実施形態では、脱進調整素子は更に、歯車トレーンと係合して歯車トレーンの回転運動を計量調節するように構成されたレバー及びガンギ車を含む。レバーは、ピン及びプロングを有し、プロングは、ポストと可動に係合し、はずみ車のインパルスピンと取り外し可能に係合するように構成されており、はずみ車は、ひげぜんまいと係合し、ひげぜんまいとの組み合わせで、ポストを中心として振動することが可能である。ガンギ車は、大径ガンギ歯車及び小径歯車の外周の周りにガンギ歯を有する複合歯車であって、歯車トレーンと係合して歯車トレーンを計量調節するように構成されている。脱進調整機構による駆動ピニオン及び/又は歯車トレーンの計量調節により、ユーザへの薬剤送達の流量又は特性が制御される。
【0013】
少なくとも1つの実施形態では、駆動機構は、対応する1つ以上の状態トリガを読み取るか認識するように構成された状態読み取り器を利用し、駆動機構の動作時には、状態読み取り器と状態トリガとの間の相互作用により、ユーザにフィードバックを提供する為の信号が電源/制御系に送信される。状態読み取り器は、光学式状態読み取り器であって、対応する状態トリガは駆動歯車の歯車歯であるか、機械式状態読み取り器であって、対応する状態トリガは駆動歯車の歯車歯であるか、機械式状態読み取り器であって、対応する状態トリガはピストン及び/又は駆動ラックの外形であるか、光学式状態読み取り器であって、対応する状態トリガはピストン及び/又は駆動ラックの外形であってよい。
【0014】
更なる実施形態では、本発明は、制御送達駆動機構を有する薬剤送達ポンプを提供する。薬剤ポンプは、ハウジング及びアセンブリプラットフォームを含み、アセンブリプラットフォーム上には、駆動機構、挿入機構、流体経路接続部、電源/制御系、及び制御送達駆動機構が取り付けられてよい。薬剤容器は、制御された流量での薬剤送達の為に薬剤流体を薬剤チャンバ内に収容する。
【0015】
薬剤ポンプは、第1の実施形態において上述された第1の制御送達駆動機構を利用してよく、その構成は、ぜんまいを利用して、駆動ピニオンの回転運動を駆動ラックの軸方向平行移動に変換し、或いは、薬剤ポンプは、第2の実施形態において上述された第2の制御送達駆動機構を利用してよく、その構成は、直線状ぜんまいを利用して、軸方向の力を駆動ピニオンのトーション運動に変換する。いずれの実施形態でも、ピストンは、バレル内でプランジャ封止材に接触してプランジャ封止材を軸方向平行移動させるように構成されている。各実施形態は、ピストンが、直線状ぜんまいによって、制御された速度で軸方向平行移動するように、駆動ピニオンを計量調節する調整機構を利用してもよい。
【0016】
少なくとも1つの実施形態では、調整機構は、ぜんまいと結合された、或いは、ぜんまいとともに動作する脱進調整機構である。脱進調整機構は更に、1つ以上の歯車を有する歯車トレーンと、回転シャフトと、1つ以上の歯車を有する歯車トランスミッションと、を含み、歯車トランスミッションのうちの少なくとも1つの歯車が、この歯車が回転することによって駆動ピニオンが回転するように、駆動ピニオンと係合することが可能である。一特定実施形態では、脱進調整素子は更に、歯車トレーンと係合して歯車トレーンの回転運動を計量調節するように構成されたレバー及びガンギ車を含む。レバーは、ピン及びプロングを有し、プロングは、ポストと可動に係合し、はずみ車のインパルスピンと取り外し可能に係合するように構成されており、はずみ車は、ひげぜんまいと係合し、ひげぜんまいとの組み合わせで、ポストを中心として振動することが可能である。ガンギ車は、大径ガンギ歯車及び小径歯車の外周の周りにガンギ歯を有する複合歯車であって、歯車トレーンと係合して歯車トレーンを計量調節するように構成されている。脱進調整機構による駆動ピニオン及び/又は歯車トレーンの計量調節により、ユーザへの薬剤送達の流量又は特性が制御される。
【0017】
少なくとも1つの実施形態では、薬剤ポンプは、対応する1つ以上の状態トリガを読み取るか認識するように構成された状態読み取り器を利用し、駆動機構の動作時には、状態読み取り器と状態トリガとの間の相互作用により、ユーザにフィードバックを提供する為の信号が電源/制御系に送信される。状態読み取り器は、光学式状態読み取り器であって、対応する状態トリガは駆動歯車の歯車歯であるか、機械式状態読み取り器であって、対応する状態トリガは駆動歯車の歯車歯であるか、機械式状態読み取り器であって、対応する状態トリガはピストン及び/又は駆動ラックの外形であるか、光学式状態読み取り器であって、対応する状態トリガはピストン及び/又は駆動ラックの外形であってよい。
【0018】
本発明の新規な実施形態が提供する駆動機構は、薬剤物質を薬剤容器から押し出す為に利用されるプランジャ封止材の自由軸方向平行移動を、計量調節、抵抗付与、又は他の方法で妨げることによって、薬剤物質の送達の流量を制御することが可能である。新規な制御送達駆動機構は更に、本装置の動作前、動作中、及び動作後の薬剤送達のインクリメンタルな状態表示を提供することが可能である。本明細書全体において、特に断らない限り、「備える(comprise、comprises、及びcomprising)」、或いは、「含む(includes)」又は「からなる(consists of)」などの関連表現は、排他的ではなく包括的に使用されており、従って、記述された整数又は整数群は、1つ以上の他の記述されていない整数又は整数群を含んでよい。後で詳述するように、本発明の実施形態は、医療機器業界において標準的な構成要素と見なされうる1つ以上の追加構成要素を含んでよい。例えば、実施形態は、本発明のモータ、駆動機構、及び薬剤ポンプへの給電に利用される1つ以上のバッテリを含んでよい。それらの構成要素、及びそのような構成要素を含む実施形態は、本発明の企図の範囲内にあり、本発明の広さ及び範囲に収まるものとして理解されたい。
【0019】
本明細書では、以下の図面を参照しながら、本発明の以下の非限定的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の一実施形態による、可変流量制御送達駆動機構を有する薬剤送達ポンプの等角図である。
図1B図1Aに示された薬剤送達ポンプの内部構成要素の等角図である(粘着パッチがない状態を示す)。
図1C図1Aに示された薬剤送達ポンプの底部の等角図である(粘着パッチがない状態を示す)。
図2】本発明の少なくとも1つの実施形態による、制御送達駆動機構の等角図である。
図3A図2に示された駆動機構の、軸「A」に沿った部分分解図である。
図3B図2に示された駆動機構の特定の構成要素の、軸「A」及び垂直軸「B」に沿った完全分解図である。
図4A】乃至
図4C】本発明の少なくとも1つの実施形態による、駆動機構の脱進調整機構の拡大図である。
図4D】乃至
図4H図4A乃至図4Cに示された実施形態による、脱進調整機構の動作時の推移を示す図である。
図5A図2に示された駆動機構の等角図であり、最初の起動前の状態を示す図である。
図5B図2に示された駆動機構の等角図であり、薬剤送達の流量又は特性を制御している作動状態を示す図である。
図5C図2に示された駆動機構の等角図であり、薬剤送達を完了する状態を示す図である。
図6A図5Aに示された、最初の起動前の状態にある駆動機構の断面図である。
図6B図5Bに示された、薬剤送達の流量又は特性を制御している作動状態にある駆動機構の断面図である。
図6C図5Cに示された、薬剤送達を完了し、任意選択で、薬剤送達の完了を確実にする為のコンプライアンス押しを実施する状態にある駆動機構の断面図である。
図7】本発明の少なくとも1つの実施形態による、状態表示器が組み込まれた制御送達駆動機構の等角図である。
図8】本発明の別の実施形態による制御送達駆動機構の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、薬剤物質の制御送達の為の駆動機構、並びに、そのような駆動機構が組み込まれた薬剤送達ポンプを提供する。本発明の駆動機構は、薬剤物質を薬剤容器から押し出す為に利用されるプランジャ封止材の自由軸方向平行移動を、計量調節、抵抗付与、又は他の方法で妨げることによって、薬剤送達の流量を制御するものであり、従って、薬剤物質を可変の流量及び/又は送達特性で送達することが可能である。更に、本発明の駆動機構は、薬剤送達の前、途中、及び後にユーザにフィードバックを与える統合された状態表示機能を提供する。例えば、ユーザは、本システムが動作していて薬剤送達の準備ができていることを識別する為の初期フィードバックを与えられてよい。その後、本システムは、起動後ただちに、1つ以上の薬剤送達状態表示をユーザに提供してよい。薬剤送達の完了時には、可変流量駆動機構及び薬剤ポンプは、用量終了表示を提供してよい。
【0022】
駆動機構、薬剤送達ポンプ、又は、本発明の構成要素の任意の相対位置を説明する為に本明細書で使用されている、「軸方向の」又は「軸方向に」という用語は、駆動機構が好ましくはその周りに位置する長手軸「A」を大まかに指すが、その駆動機構は、必ずしもその周りに対称に位置するわけではない。明確にする為に、添付図面では、軸「A」に垂直な軸「B」も利用している。「半径方向の」という用語は、軸Aに垂直な方向を大まかに指す。「近位の」、「後方の」、「後方へ」、「後ろの」、又は「後ろへ」という用語は、方向「P」の軸方向を大まかに指す。「遠位の」、「前方の」、「前方へ」、「押下された」、又は「前へ」という用語は、方向「D」の軸方向を大まかに指す。本明細書で使用されている、「ガラス」という用語は、通常であればガラスを必要とするであろう医薬品グレードの用途での使用に好適な、他の同様に非反応性である材料を含むものと理解されたい。このような材料として、環状オレフィンコポリマー(COC)及び環状オレフィンポリマー(COP)などの特定の非反応性ポリマーがあり、これらに限定されない。「プラスチック」という用語は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方を包含してよい。熱可塑性ポリマーは、加熱により再軟化させて元の状態に戻すことができるが、熱硬化性ポリマーは、元の状態に戻すことができない。本明細書で使用されている、「プラスチック」という用語は、主に、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、又はアクリル樹脂などの成形用熱可塑性ポリマーを指し、これらは、典型的には、硬化剤、充填剤、補強剤、着色剤、及び/又は可塑剤等のような他の成分も含み、加熱及び加圧による形成又は成形が可能である。本明細書で使用されている、「プラスチック」という用語は、プラスチックと相互作用する可能性がある治療液、或いは、相互作用以外でプラスチックから入り込む可能性がある置換基によって劣化する可能性がある治療液と直接接触する用途での使用が是認されているガラスも非反応性ポリマーもエラストマも含まないものとする。「エラストマ」、「エラストマの」、又は「エラストマ材料」という用語は、主に、プラスチックより容易に変形可能でありながら、医薬品グレードの流体との使用が是認されていて、周囲温度及び周囲圧力下では浸出又はガス移行の影響を受けにくい架橋熱硬化性ゴム状ポリマーを指す。「流体」は、主に液体を指すが、液体内に固体が分散している懸濁液、及び、薬剤ポンプの流体収容部分内で、液体に溶けているか、それ以外の形態で液体内に一緒に存在するガスも包含してよい。本明細書に記載の様々な態様及び実施形態によれば、「付勢部材」への参照が、例えば、プランジャ封止材に対する力の行使の為の1つ以上の付勢部材という文脈において行われる。付勢部材は、エネルギの蓄積及び放出が可能な任意の部材であってよいことを理解されたい。非限定的な例として、ばねがあり、例えば、コイルばね、圧縮又は伸張ばね、トーションばね、或いは板ばねなどがあり、或いは、弾性圧縮可能な、又は伸縮性のバンドがあり、或いは、他の任意の、同様の機能を有する部材がある。本発明の少なくとも1つの実施形態では、駆動機構において利用される付勢部材はばねであり、好ましくはトーションばね又はぜんまいである。
【0023】
本発明の新規な装置は、状態表示が組み込まれた可変流量制御送達駆動機構、並びに、そのような駆動機構が組み込まれた薬剤送達ポンプを提供する。そのような装置は、安全で使いやすく、見た目や使い勝手の点でも自己投与患者に対する訴求力がある。本明細書に記載の装置には、訓練を積んでいないユーザであっても本装置の起動、操作、及びロックアウトを簡単に行えるようにする機能が組み込まれている。本発明の新規な装置は、これらの望ましい機能を、従来技術による既知の装置に付随していた問題が全くない状態で提供する。以下では、これらの新規な薬剤送達ポンプ、駆動機構、及びそれらのそれぞれの構成要素の特定の非限定的な実施形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0024】
本明細書では、「ポンプ」という用語は、起動直後からユーザに流体を定量供給することが可能なあらゆる薬剤送達システムを包含するものとする。そのような薬剤送達システムとしては、例えば、注射システム、輸液ポンプ、ボーラス注入装置などがある。図1A乃至図1Cは、本発明の少なくとも1つの実施形態による一例示的薬剤送達装置又は薬剤ポンプを示す。本薬剤送達装置は、ユーザの体内への治療用薬剤の送達を管理することに利用されてよい。図1A乃至図1Cに示されるように、薬剤ポンプ10は、ポンプハウジング12を含む。ポンプハウジング12は、薬剤ポンプの製造、組み立て、及び操作をより容易にする為に固定的に係合可能なハウジング副構成要素を1つ以上含んでよい。例えば、薬剤ポンプ10に含まれるポンプハウジング12は、上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bを含む。薬剤ポンプは更に、起動機構14、状態表示器16、及び窓18を含んでよい。窓18は、薬剤ポンプの動作を目視できる、何らかの半透明又は透光性の面を有してよい。図1Bに示されるように、薬剤ポンプは更に、アセンブリプラットフォーム20、無菌流体導管30、薬剤容器50を有する駆動機構100、挿入機構200、流体経路接続部300、及び電源/制御系400を含む。そのような薬剤ポンプの構成要素の1つ以上が、モジュール式であってよく、例えば、個別構成要素として事前に組み立てられていて、製造時に薬剤ポンプ10のアセンブリプラットフォーム20上の所定位置に配置されるモジュール式であってよい。
【0025】
ポンプハウジング12は、本装置の全ての構成要素を収容し、装置10をユーザの皮膚に取り外し可能に装着する手段を備える。ポンプハウジング12は又、装置10の内部構成要素を環境の影響から保護する。ポンプハウジング12は、訓練を積んでいないユーザ、及び/又は、身体に障害があるユーザでも梱包、保管、運搬、及び使用が容易であるように、サイズ、形状、及び関連機能の点で使い勝手や見た目がよい設計がなされている。更に、ポンプハウジング12の外側表面は、製品ラベル、安全上の注意書きなどの為に利用されてよい。更に、上述のように、ハウジング12は、動作のフィードバックをユーザに与えることが可能な、状態表示器16や窓18などの特定の構成要素を含んでよい。
【0026】
少なくとも1つの実施形態では、薬剤ポンプ10は、起動機構14を備え、ユーザは、起動機構14の位置を動かすことにより、電源/制御系400に対する開始コマンドをトリガする。好ましい一実施形態では、起動機構は開始ボタン14であり、開始ボタン14は、ポンプハウジング12を貫通して配置されており、例えば、上部ハウジング12Aと下部ハウジング12Bとの間の開口を貫通して配置されており、開始ボタン14は、電源/制御系400の制御アーム40と接している。少なくとも1つの実施形態では、開始ボタン14は、押しボタンであってよく、別の実施形態では、オン/オフスイッチ、トグル、又は任意の同様の、当該技術分野において既知である起動機能であってよい。ポンプハウジング12は又、状態表示器16及び窓18を備える。別の実施形態では、起動機構14、状態表示器16、窓18、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上が、上部ハウジング12A上又は下部ハウジング12B上に設けられてよく、例えば、薬剤ポンプ10がユーザの身体に装着されたときにユーザが目視できる側面に設けられてよい。以下では、本発明の他の構成要素及び実施形態を参照して、ハウジング12をより詳細に説明する。
【0027】
薬剤ポンプは、次のように構成される。即ち、ユーザが起動機構を押下することによって起動されると、薬剤ポンプは、ただちに始動して、流体経路をユーザに挿入し、薬剤容器、流体経路、及び無菌流体導管の間の必要な接続を有効化するか、つなぐか、開き、薬剤容器に貯蔵されている薬剤流体を、流体経路及び流体導管に押し出してユーザ内に送達する。1つ以上の任意選択の安全機構が利用されてよく、例えば、薬剤ポンプの起動が早すぎないようにする為に利用されてよい。例えば、一実施形態では、薬剤ポンプ10がユーザの身体と接触しない限り、電源/制御系400、又は起動機構が関与できないようにする安全機能として、任意選択の(図1Cに示された)体表センサ24が設けられてよい。そのような一実施形態では、体表センサ24は、下部ハウジング12Bの底部に配置され、ここで、ユーザの身体と接触することが可能である。体表センサ24が変位すると、ただちに、起動機構の押下が可能になる。従って、少なくとも1つの実施形態では、体表センサ24は、起動機構14によって薬剤ポンプ10がトリガされないようにする、例えば機械式ロックアウトなどの機械式安全機構である。別の実施形態では、体表センサは、電気機械式センサであってよく、例えば、起動を可能にする信号を電源/制御系400に送信する機械式ロックアウトであってよい。更に別の実施形態では、体表センサは、電気式であってよく、例えば、組織を検出しないと、電源/制御系400が起動可能にならない、容量式又はインピーダンス式のセンサなどであってよい。これらの概念は、相互に排他的ではなく、1つ以上の組み合わせが本発明の広さの範囲内で利用されてよく、例えば、薬剤ポンプの起動が早すぎないようにする為に利用されてよい。好ましい一実施形態では、薬剤ポンプ10は、1つ以上の機械式体表センサを利用する。本明細書では、更なる統合的な安全機構の説明を、新規な薬剤ポンプの他の構成要素に関して行う。
電源/制御系
【0028】
電源/制御系400は、薬剤ポンプ内の様々な電気的構成要素にエネルギを供給する電源と、1つ以上のフィードバック機構と、マイクロコントローラと、回路基板と、1つ以上の導電パッドと、1つ以上の相互接続と、を含む。そのような複数の電気的システムにおいて共通に使用される他の構成要素も含まれてよく、これについては、当業者であれば理解されるであろう。1つ以上のフィードバック機構は、例えば、圧電アラームなどの可聴アラーム、及び/又は、発光ダイオード(LED)などの光表示器を含んでよい。マイクロコントローラは、例えば、マイクロプロセッサであってよい。電源/制御系400は、装置とユーザとの幾つかの相互作用を制御し、駆動機構100とインタフェースする。一実施形態では、電源/制御系400は、制御アーム40とインタフェースして、体表センサ24及び/又は起動機構14がいつ起動されたかを識別する。電源/制御系400は又、ポンプハウジング12の状態表示器16とインタフェースしてよく、状態表示器16は、可視フィードバックをユーザに与える為に、光の伝達を可能にする透光性又は半透明の材質であってよい。電源/制御系400は、1つ以上の相互接続を通して駆動機構100とインタフェースすることにより、起動、薬剤送達、用量終了などの状態表示をユーザに中継する。そのような状態表示は、可聴アラームによるなどして可聴音でユーザに提示されてよく、且つ/又は、LEDによるなどして可視表示器でユーザに提示されてよい。好ましい一実施形態では、電源/制御系と、薬剤ポンプの他の構成要素との間の制御インタフェースは、ユーザによって起動されない限り、係合又は接続されない。これは、薬剤ポンプの偶発的動作を防ぐ、望ましい安全機能であり、更に、貯蔵、輸送などが行われている間、電源に含まれるエネルギを温存することも可能である。
【0029】
電源/制御系400は、幾つかの異なる状態表示器をユーザに提供するように構成されてよい。例えば、電源/制御系400は、体表センサ及び/又はトリガ機構が押された後に、装置のスタートアップチェックにおいてエラーがなかった場合には、電源/制御系400が状態表示器16を介して開始準備完了状態信号を出力するように構成されてよい。開始準備完了状態信号が出力され、且つ、任意選択の体表センサを有する一実施形態において体表センサがユーザの身体に接触したままであれば、電源/制御系400は、駆動機構100に給電して、流体経路接続部300及び無菌流体導管30経由での治療用薬剤の送達を開始させる。本発明の好ましい一実施形態では、挿入機構200及び流体経路接続部300は、ユーザによる起動機構14の操作によって直接起動されてよい。電源/制御系400は、薬剤送達過程の間、状態表示器16から定量供給状態信号を出力するように構成されている。薬剤がユーザの体内に投与された後、いくらかの追加ドウェル時間を経て、ほぼ全用量がユーザに送達されたことが確認されたら、電源/制御系400は、状態表示器16から取り外しOK状態信号を出力してよい。これは、ユーザがポンプハウジング12の窓18を通して駆動機構及び薬剤用量送達を目視することによって、単独で検証されてよい。更に、電源/制御系400は、状態表示器16から1つ以上のアラート信号を出力するように構成されてよく、例えば、故障状態や動作不良状態を表すアラートを出力するように構成されてよい。
【0030】
他の構成の電源/制御系も、本発明の新規な薬剤ポンプとともに利用されてよい。例えば、薬剤送達中に、何らかの起動遅延が利用されてよい。上述のように、システム構成に任意選択で含まれるそのような遅延の1つがドウェル時間であり、これは、ほぼ全薬剤用量が送達されたことを確認してから薬剤用量の終了を信号でユーザに通知する為の時間である。同様に、本装置の起動は、薬剤ポンプの起動の前に薬剤ポンプ10の起動機構14の遅延押下(即ち、長押し)を必要とする場合がある。更に、本システムは、ユーザが用量終了信号に応答したり薬剤ポンプを非アクティブ又は電源オフにしたりすることを可能にする機能を含んでよい。そのような機能は、本装置が偶発的に非アクティブになることを防ぐ為に、同様に起動機構の遅延押下を必要としてよい。そのような機能は、望ましい安全統合及び使いやすさのパラメータを薬剤ポンプに与える。不完全な押下、従って、薬剤ポンプの不完全な起動を防ぐ為に、更なる安全機能が起動機構に組み込まれてよい。例えば、起動機構及び/又は電源/制御系は、本装置が完全にオフになるか、完全にオンになることによって不完全な起動を防ぐように構成されてよい。そのような機能については、後で、新規な薬剤ポンプの他の態様に関して詳述する。
流体経路接続部
【0031】
本発明の実施形態においては、幾つかの流体経路接続部が利用されてよい。一般に、適切な流体経路接続部は、無菌流体導管と、穴あけ部材と、薬剤容器又は薬剤容器に組み込まれた穴あけ可能な摺動封止材に取り付けられた無菌スリーブと、を含む。流体経路接続部は更に、1つ以上の流量制限器を含んでよい。本装置10が適正に起動されると、ただちに、流体経路接続部300は、無菌流体導管30を駆動機構100の薬剤容器に接続することが可能になる。そのような接続は、駆動機構100の薬剤容器の穴あけ可能封止材に穴をあける、針などの穴あけ部材によって促進されてよい。この接続の無菌状態は、フレキシブル無菌スリーブ内で接続を行うことによって維持されてよい。挿入機構が実質的に同時に起動されると、薬剤容器と挿入機構との間の流体経路が完結して、ユーザの体内への薬剤送達が可能になる。
【0032】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、流体経路接続部の穴あけ部材は、ユーザが起動機構を押下するなどの、ユーザの直接操作によって、駆動機構の薬剤容器の穴あけ可能封止材を貫通する。例えば、起動機構自体は、起動機構が最初の位置から変位すると流体経路接続部も変位するように、流体経路接続部に当たっていてよい。そのような一実施形態では、流体経路接続部は、あらゆる目的のために参照により全体が本明細書に含まれている、国際特許出願第PCT/US2012/054861号に記載されているものと実質的に同様であってよい。そのような実施形態によれば、接続は、ユーザが起動機構を押下することにより、穴あけ部材が穴あけ可能封止材を貫通するように駆動されて有効になる。これは、ユーザが望むまで、穴あけ可能封止材が薬剤容器からの流体流を阻止している為である。そのような実施形態では、薬剤容器のキャップと流体経路接続部の接続ハブとの間に、圧縮可能な無菌スリーブを固定的に取り付けてよい。穴あけ部材は、流体経路接続部と薬剤容器との間の接続が必要になるまで、無菌スリーブ内にあってよい。無菌スリーブは、起動前の穴あけ部材及び流体経路の無菌状態を確保する為に滅菌されてよい。
【0033】
或いは、流体経路接続部は、例えば、あらゆる目的のために参照により全体が本明細書に含まれている、国際特許出願第PCT/US2013/030478号に記載されているように、薬剤容器と一体化されてよい。そのような実施形態によれば、薬剤容器は、穴あけ可能封止材とプランジャ封止材との間のバレル内に薬剤チャンバを有してよい。薬剤チャンバには、薬剤流体が収容される。本装置がユーザによって起動されると、ただちに、駆動機構が、薬剤容器に収容されているプランジャ封止材に力をかける。プランジャ封止材が薬剤流体及び空気/ガスギャップ又は泡(あれば)に力をかけていくと、空気/ガス及び薬剤流体の圧縮によって空気圧及び液圧を合わせた圧力が高まり、この力が、穴あけ可能な摺動封止材に伝わる。それによって、穴あけ可能な摺動封止材は、キャップに向かって摺動して、一体化された無菌流体経路接続部の中に保持されている穴あけ部材によって、穴をあけられる。従って、一体化された無菌流体経路接続部は、駆動機構の起動によって生成された、薬剤チャンバ内の空気/ガス及び薬剤流体の気圧/液圧を合わせた圧力によって接続される(即ち、流体経路が開かれる)。一体化された無菌流体経路接続部が接続されると、即ち、流体経路が開くと、薬剤流体が、薬剤容器から流れ出て、一体化された無菌流体経路接続部、無菌流体導管、及び挿入機構を通って、薬剤送達の為にユーザの体内に入ることが可能になる。少なくとも1つの実施形態では、流体は、挿入機構のマニホールド並びにカニューレ及び/又は針のみを通って流れ、これによって、薬剤送達前及び薬剤送達中の流体経路の無菌状態が維持される。
【0034】
薬剤ポンプによって利用される注射器経路接続部がどのようなものであれ、薬剤ポンプは、粘度及び量が様々な、ある範囲の薬剤を送達することが可能である。薬剤ポンプは、制御された流量(流速)での薬剤送達、及び/又は指定された量の薬剤送達を行うことが可能である。一実施形態では、薬剤送達プロセスは、流体経路接続部内で、且つ/又は無菌流体導管内で、1つ以上の流量制限器によって制御される。別の実施形態では、流体流路又は送達導管の形状を変更すること、又は、薬剤容器内の薬剤を定量供給する為に駆動機構の構成要素が薬剤容器内に進む際の速度を変更すること、或いは、これらの組み合わせによって、別の流量が与えられてよい。流体経路接続部300及び無菌流体導管30については、後のセクションで、別の実施形態を参照して更なる詳細を説明する。
挿入機構
【0035】
本発明の薬剤ポンプ内で、幾つかの挿入機構が利用されてよい。本発明のポンプ式送達装置は、流体流連通によって患者又はユーザとつながってよく、これは、例えば、任意の好適な中空チューブを介して行われてよい。患者の皮膚に穴をあけ、しかるべき送達位置に中空カニューレを配置する為に、非中空ボア針が使用されてよく、この非中空ボア針は、患者への薬剤送達の前に取り外されるか引き込まれる。上述のように、流体を体内に投入することは、様々な手段によって可能であり、そのような手段として、例えば、自動的に挿入される針、カニューレ、顕微針アレイ、又は輸液セットのチューブなどがあり、これらに限定されない。患者への針装入を起動する為に、幾つかの機構が使用されてもよい。例えば、患者の皮膚に穴をあけるのに十分な力を針及びカニューレに与える為に、ばねなどの付勢部材が使用されてよい。針を患者から引き込む為には、同じばね、又は追加のばね、又は別の同様な機構が利用されてよい。好ましい一実施形態では、挿入機構は、おおむね、あらゆる目的のために参照により全体が本明細書に含まれている、国際特許出願第PCT/US2012/53174号に記載されているとおりであってよい。そのような構成は、患者の痛みを最小限に抑えるように、薬剤送達経路を患者の皮膚(又は筋肉)の中又は下に挿入する為に利用されてよい。流体経路を挿入する為の、他の知られた方法も利用されてよく、それらも本発明の範囲内で考えられる。
【0036】
少なくとも1つの実施形態では、挿入機構200は、1つ以上のロックアウト窓を有する挿入機構ハウジングと、(図1B及び図1Cに示されるように)アセンブリプラットフォーム及び/又はポンプハウジングとつながる為の基部と、を含む。基部をアセンブリプラットフォーム20に接続することは、例えば、基部の底部がアセンブリプラットフォーム内の穴を貫通することを可能にして、基部がユーザの身体に直接接触することを可能にするように、行われてよい。そのような構成では、基部の底部は、薬剤ポンプ10を使用する前に取り外すことが可能な封止メンブレンを含んでよい。挿入機構は更に、1つ以上の挿入付勢部材、針、引き込み付勢部材、カニューレ、及びマニホールドを含んでよい。マニホールドは、薬剤送達時に流体がマニホールド、カニューレを通ってユーザの体内へ流れることを可能にするように、無菌流体導管30に接続されてよい。
【0037】
本明細書で使用されている「針」は、様々な針を意味するものとし、そのような針として、従来の中空針、例えば、剛直な中空鋼針や、「トロカール」という呼称がより一般的な非中空コア針があり、これらに限定されない。好ましい一実施形態では、針は、27ゲージの非中空コアトロカールであり、別の実施形態では、針は、意図されたタイプの薬剤及び薬剤投与(例えば、皮下、筋肉内、皮内など)の為のカニューレを挿入することに好適な任意のサイズの針であってよい。針挿入機構内では、無菌ブーツが利用されてよい。無菌ブーツは、折りたたみ式無菌メンブレンであって、これは、近位端においてマニホールドと固定係合し、遠位端において基部と固定係合する。少なくとも1つの実施形態では、無菌ブーツは、基部と挿入機構ハウジングとの間で、遠位端の固定係合が保持される。基部は、挿入機構の動作中に針及びカニューレが貫通できる基部開口を含み、これについては後で詳述する。カニューレ及び針の無菌状態は、それらが最初に挿入機構の無菌部分内で位置決めされることによって保持される。具体的には、上述のように、針及びカニューレは、マニホールド及び無菌ブーツの無菌環境内で保持される。基部の基部開口は、非無菌環境に対しては閉じられていてもよく、これは、例えば、(図1Cに示される)封止メンブレン254などによって行われてよい。
【0038】
本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、挿入機構は、最初は、ロックアウトピンによって使用準備完了段階にロックされており、ロックアウトピンは、最初は、挿入機構ハウジングのロックアウト窓内に配置される。この最初の構成では、挿入付勢部材及び引き込み付勢部材は、それぞれが、それぞれの圧縮されてエネルギが蓄積された状態で保持されている。図1Bに示されるように、ロックアウトピン208は、ユーザが起動機構14を押下することによって直接変位させられてよい。ユーザがいずれかの安全機構、例えば、(図1Cに示される)任意選択の体表センサ24の係合を解除すると、起動機構14を押下して薬剤ポンプを始動させることが可能になる。起動機構14の押下により、制御アーム40を直接平行移動又は変位させることが可能であり、且つ、ロックアウトピン208を、挿入機構ハウジング202のロック窓202A内のそれぞれの最初の位置から直接又は間接的に変位させることが可能である。ロックアウトピン208の変位により、挿入付勢部材は、その最初の圧縮されてエネルギが蓄積された状態から減圧されることが可能になる。この、挿入付勢部材の減圧によって、針及びカニューレがユーザの体内に向かって駆動される。挿入段階の最後には、引き込み付勢部材は、その最初のエネルギ蓄積状態から近位方向に伸張することが可能になる。この、引き込み付勢部材の近位方向の軸方向伸張によって、針は引き込まれるが、カニューレは、ユーザの身体と流体連通している状態が維持される。従って、挿入機構は、針及びカニューレをユーザに挿入し、その後、針を引き込み、カニューレを、ユーザの身体に薬剤を送達する為の定位置に保持する為に、使用されてよい。
駆動機構
【0039】
図2及び図3に示される実施形態を参照すると、駆動機構100は、駆動ハウジング130と、キャップ52、穴あけ可能封止材56、バレル58、及びプランジャ封止材60を有する薬剤容器50と、を含む。バレル58内の、穴あけ可能封止材とプランジャ封止材60との間に位置する薬剤チャンバ21が、挿入機構及び薬剤ポンプを介してユーザの体内に送達される薬剤流体を収容してよい。本明細書に記載の封止材は、幾つかの材料からなるものであってよいが、好ましい一実施形態では、1つ以上のエラストマ又はゴムからなる。駆動機構は更に、流体経路接続部の穴あけ部材の挿入を薬剤容器50のバレル58内へガイドする接続マウント54を含んでよい。駆動機構100は更に、1つ以上の駆動付勢部材、1つ以上の解放機構、及び1つ以上のガイドを収容してよく、これらについては、本明細書において詳述する。駆動機構の各構成要素は、流体を、流体経路接続部、無菌流体導管、及び挿入機構を介してユーザの体内へ送達すべく、薬剤容器から、穴あけ可能封止材を通して、又は好ましくは流体経路接続部の穴あけ部材を通して押し出すように機能する。
【0040】
一特定実施形態では、駆動機構100は、1つ以上のばねを、駆動付勢部材として使用する。薬剤ポンプがユーザによって起動されると、ただちに、電源/制御系は、ばねを、エネルギ蓄積状態から直接又は間接的に解放するように作動してよい。ばねは、解放後ただちに、プランジャ封止材を駆動して流体薬剤を薬剤容器から押し出すことに、直接又は間接的に利用されてよい。より具体的には、ばねは、プランジャ封止材に作用するピストンを駆動して流体薬剤を薬剤容器から押し出すことに、直接又は間接的に利用されてよい。薬剤送達の為に流体が薬剤容器から流体経路接続部、無菌流体導管、及び挿入機構を通ってユーザの体内へ流れることを可能にする為に、流体経路接続部は、駆動機構の起動前に、又は起動と同時に、又は起動後に、穴あけ可能封止材を貫通して接続されてよい。少なくとも1つの実施形態では、流体は、挿入機構のマニホールド及びカニューレのみを通って流れることにより、薬剤送達前及び薬剤送達中の流体経路の無菌状態を維持する。そのような構成要素及びそれらの機能については、後で、より詳細に説明する。
【0041】
次に、図2及び図3に示された駆動機構の実施形態を参照すると、駆動機構100は、キャップ52、穴あけ可能封止材56、バレル58、及びプランジャ封止材60を有する薬剤容器50と、任意選択で接続マウント54と、を含む。薬剤容器50は、駆動ハウジング130の遠位端に取り付けられている。接合面110C及び駆動ラック110Aを有するピストン110の少なくとも一部分が、駆動ハウジング130内の、薬剤容器50とハウジング130の近位端との間で保持される。任意選択で、ピストン110と係合し、駆動ラック110Aを覆うカバースリーブが利用されてよく、これは、そのような構成要素を、その最初の位置からの伸張時にユーザから見えなくする為に利用される。カバースリーブは、ピストン110と駆動機構ハウジング130の遠位端との間でピストン110と係合し、ピストン110上を摺動するように構成されてよく、これは、駆動ラック110Aを、その最初のエネルギ蓄積状態からの伸張時にユーザから見えなくする為に行われる。
【0042】
図3A及び図3Bに示されるように、本発明の制御送達駆動機構100は、ぜんまい122を利用してよく、ぜんまい122は、直接又は間接的に駆動ピニオン120と結合されており、駆動ピニオン120は、ピストン110の駆動ラック110Aと接合して駆動ピニオン120の回転運動を駆動ラック110Aの軸方向平行移動に変換しており、これによって、バレル58内でプランジャ封止材60が押されて、流体が薬剤チャンバ21から押し出される。特に、ぜんまい122は、駆動ピニオン120などの歯車アセンブリにトルクを与え、これによって、薬剤物質を収容するバレル58の中でプランジャ封止材60が押される。代替として、図8に示されるように、直線状ぜんまい1122が、駆動ラック110Aを有するピストン110と直接又は間接的に結合されて、軸方向の力がトーション運動に変換されてよく、このトーション運動が駆動ピニオン120と結合され、調整機構500内に伝えられる。いずれの構成においても、プランジャ封止材60は、薬剤容器50の中へ進み、薬剤物質は、薬剤送達の為に、無菌経路接続部300、導管30、挿入機構200を通って、ユーザの体内へ定量供給される。プランジャ封止材に対する特定の反力、例えば、薬剤物質の流れに起因する流体力学的抵抗や、バレルに対するプランジャ封止材の摩擦などは、大きく変動する可能性がある。そこで、これらの力が変動しても送達流量を一定に保つ調整機構500を駆動機構100内に有することが望ましい。本発明の実施形態では、調整機構500は、脱進調整機構である。脱進調整機構は、歯車アセンブリを制動又は拘束して、歯車アセンブリが、安定化されたペース又は望ましいペースで進行することだけを可能にする。そのような構成では、ぜんまい122は、流体力学的力及び摩擦力の最大変動に十分打ち勝つだけのトルクを供給するように設計されている。理論的には、定格を超える反力条件の下で過剰な力が発生しても、これは脱進調整機構によって吸収され、送達流量は一定に保たれる。
【0043】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、駆動機構100は、脱進調整素子500及びぜんまい122を利用する。ぜんまい122は、歯車トレーン510の1つ以上の歯車512、514、516(及び/又は歯車トランスミッション550の歯車522)に、軸「B」を中心とする回転運動を与えるように構成されている。歯車512、514、516のそれぞれは、例えば、大径歯車の共通中心点に小径歯車が取り付けられた複合歯車であってよい。例えば、第1の複合歯車512は、大径歯車512Aに小径歯車512B(見えない)が取り付けられている。歯車トレーン510において、各複合歯車の小径歯車は、例えば、次の複合歯車の大径歯車と係合しており、これによって、第1の複合歯車512の回転運動は、歯車同士の係合により(例えば、対応する歯車歯同士の係合により)第2の複合歯車514に伝わり、以降も同様に歯車トレーン510内を伝わっていく。そのような、歯車トレーン510の回転運動は、駆動歯車520をはじめとする1つ以上の歯車を有する歯車トランスミッション550に、回転シャフト518によって伝えられてよい。例えば、歯車トランスミッション550は、駆動歯車520の他に歯車522及び歯車524を含んでよい。駆動歯車520は、(例えば、接続用突起120Aにより)駆動ピニオン120に接続されており、駆動歯車520が回転すると、駆動ピニオン120の回転が引き起こされる。駆動ピニオン120は、ピストン110の駆動ラック110Aと係合して、駆動ピニオン120の回転運動を駆動ラック110Aの軸方向平行移動に変換するように構成されており、この軸方向平行移動によってバレル58内でプランジャ封止材60が押されて、薬剤チャンバ21から流体が押し出される。駆動歯車520の回転運動、従って、駆動ラック110A及びプランジャ封止材60の軸方向平行移動は、本明細書に記載のように、脱進調整素子500の他の構成要素によって、計量調節、拘束、又は他の方法で自由軸方向平行移動を妨げられる。
【0044】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、回転シャフト518は、第1の複合歯車512、及び歯車トランスミッション550の第1の歯車522の両方に楔固定されている。この構成により、ぜんまい122と直接の回転配列及び/又は回転関係にある第1の複合歯車512の回転運動が、楔固定されて、動力の伝達、並びに歯車トランスミッション550の(例えば、歯車522における)回転を引き起こすことが可能である。この構成では、ぜんまい122からの動力の少なくとも一部が、ピストン110の駆動ラック110Aとプランジャ封止材60とを軸方向平行移動させることに使用されるように仕向けられ、一方、ぜんまいばね122からの動力の少なくとも一部が、脱進調整素子500の構成要素であるガンギ車562、はずみ車566、ひげぜんまい568、及びレバー564によって使用されるように仕向けられる。従って、ぜんまいは、プランジャ封止材60の軸方向平行移動に使用される力を供給するとともに、そのような軸方向平行移動の為に供給される力を計量調節又は抑制するように機能する脱進調整素子500にも動力を供給する。歯車トレーン510の複合歯車構造により、ぜんまい122から供給される力を分割することが可能になっている。ぜんまい122からの動力の一部は、歯車トランスミッション550の歯車522、回転シャフト518、及び第1の歯車522に直接分配され、一方、動力の一部は、はずみ車566及びひげぜんまい568との相互作用による調整又は計量調節の為に、歯車514、歯車516、レバー564、及びガンギ車562に分配され、これによって、ガンギ車562の小径歯車562Bが歯車トレーン510の調整又は計量調節を行うことが可能になる。
【0045】
脱進調整素子500は更に、ガンギ車562及びレバー564を含む。ガンギ車562は、大径ガンギ歯車562Aの外周の周りにおけるガンギ歯と、小径歯車562B(見えない)とを有する複合歯車であり、当該小径歯車562Bは、歯車トレーン510と係合して、歯車トレーン510の自由回転運動を計量調節、拘束、又は他の方法で妨げるように構成されている。レバー564は、ピン564A、Bと、プロング564Cと、を有する。プロング564Cは、ポスト566Aと可動に係合し、はずみ車566のインパルスピン566Bと取り外し可能に係合するように構成されている。はずみ車566は、ひげぜんまい568と係合し、ひげぜんまい568との組み合わせで、枢着点564Dを中心とする振動子として機能する。ぜんまい122は、巻き取り機502内でぜんまい122の自由回転運動が可能であるように、巻き取り機502内で保持又は固定されてよい。歯車トレーン510、ガンギ車562、はずみ車566、ひげぜんまい568、及びレバー564は、プレート504上に取り付けられてよく、プレート504上で自由に回転したり動いたりすることが可能であってよい。同様に、歯車トランスミッション550は、プラットフォーム506上に取り付けられてよく、プラットフォーム506上で自由に回転することが可能であってよい。巻き取り機502、プレート504、及びプラットフォーム506は、構成要素間で所望の間隔を維持する為に1つ以上のスペーサカラムを利用してよく、且つ、構成要素の取り付け及び自由回転が可能となる1つ以上の枢動ピンを利用してよい。
【0046】
脱進調整素子500の構成要素であるガンギ車562、はずみ車566、ひげぜんまい568、及びレバー564の機能について、図3B及び図4A乃至図4Hを参照しながら説明する。ガンギ車562は、大径ガンギ歯車562Aの外周の周りにおけるガンギ歯と、小径歯車562B(見えない)とを有する複合歯車であり、当該小径歯車562Bは、歯車トレーン510と係合して、歯車トレーン510の自由回転運動を計量調節、拘束、又は他の方法で妨げるように構成されている。レバー564は、ピン564A、Bと、プロング564Cと、を有する。プロング564Cは、ポスト566Aと可動に係合し、はずみ車566のインパルスピン566Bと取り外し可能に係合するように構成されている。はずみ車566は、ひげぜんまい568と係合し、ひげぜんまい568との組み合わせで、枢着点564Dを中心とする振動子として機能する。ガンギ車562及びレバー564は、最初は、図4Aに示されるように、起動位置にあってよい。ガンギ車562及びレバー564は、主に、ロック動作及びインパルス動作と呼ばれる2つのステップを実施するように機能する。これら2つの動作は、図4B及び図4Cにそれぞれ示されており、そこでは歯車トレーン510がガンギ車562に対して時計回りのトルクをかけている。ロック動作では、2つのレバーピン564A、Bのうちの一方が、ガンギ歯車562Aの1つの歯の半径方向面上でガンギ車562の回転を阻止する。これにより、歯車トレーン510は、インパルス動作間にロックされる。インパルス動作では、レバー564に対するはずみ車566の動作により、レバーピン564A、Bがこの歯面まで摺動する。ガンギ車は、ロックが解除され、レバーピン564A、Bに対して、摺動動作により機械的に作用し、これを受けてレバーピン564A、564Bははずみ車566に運動エネルギを与える。レバー564は、反対側のピン564A、Bがガンギ歯車562A上のガンギ車歯と係合するまで、枢着点564Dを中心に回転し、ガンギ車562が半歯分進んだところで再度ロックされた状態になる。ロック動作からインパルス動作への移行は、はずみ車566によってトリガされ、はずみ車566は、ひげぜんまい568との組み合わせで振動子として機能する。はずみ車566は、固有振動数で振動して、速度制御を行う。はずみ車566は、インパルスピン566Bを含み、インパルスピン566Bは、プロング564Cにおいてレバー564と相互作用を行う。図4Cに示されたインパルス段階においては、レバー564にかかる時計回りのモーメントが、はずみ車566にかかる反時計回りのモーメントに作用して、その運動エネルギが増強される。はずみ車566は、その運動エネルギがひげぜんまい568に吸収されるまで回転する。はずみ車566は、停止し、反転し、インパルスピン566Bをレバー564と再係合させる。全サイクルを、図4Dから図4Hにかけての推移で示す。
【0047】
脱進調整機構500のロックを解除する為には、はずみ車566の運動エネルギが、レバーピン564A、Bを引きずってガンギ車562のガンギ歯車562Aの歯面を上らせるのに十分でなければならない。インパルス動作によって加えられるエネルギが、摩擦によって失われるエネルギより小さいと、はずみ車566は、回転がどんどん小さくなり、最終的に失速して、脱進調整機構500がロックされる。負荷がかかった状態で脱進がこのように停止すると、再始動は容易ではない。自力始動する為には、図4Aに示されるように、ひげぜんまい568が、レバー564を、ガンギ車562の回転軸とはずみ車566の回転軸とを結ぶ軸に揃えなければならない。レバーピン564A、Bは、駆動トルクがかかると、ベベル歯面がただちにインパルス動作を開始できるように配置される。この並びが起こりうるのは、脱進調整機構500が無負荷状態にある場合だけである。ぜんまい122のトルクは、送達開始まで、脱進調整機構500から切り離されていなければならない。この動作の開始は、ユーザが起動機構に力をかけ、直接又は間接的に電源/制御系400を通して、駆動トルクを与えて初期インパルス動作を開始させることによって行われてよい。脱進調整機構500は、一旦起動されると、歯車トレーン510、歯車トランスミッション550、駆動歯車520、及び駆動ピニオン120の自由回転運動、従って、駆動ラック110A及びプランジャ封止材60の自由軸方向平行移動を、計量調節、拘束、又は他の方法で妨げることに効果的に利用されることが可能である。一特定実施形態では、ガンギ車562は、大径ガンギ歯車562Aの外周の周りにおけるガンギ歯と、小径歯車562B(見えない)とを有する複合歯車である。ガンギ歯車562の小径歯車562Bは、駆動トレーン510と係合し、駆動トレーン510は、回転シャフト518を介して歯車トランスミッション550と係合する。この新規な構成により、ぜんまい122によって与えられる駆動トレーン510の回転をガンギ車562が調整することが直接可能になり、それによって、駆動トランスミッション550、駆動歯車520、駆動ピニオン120、及びピストン110の駆動ラック110Aの調整が効果的に行われる。
【0048】
本発明の新規な実施形態は、制御送達駆動機構100の構成要素の自由回転運動、従って、自由軸方向平行移動を、計量調節、拘束、又は他の方法で妨げることに利用されてよい。従って、脱進調整機構500は、駆動機構の動きを制御するだけであり、薬剤送達の為の力をかけるものではない。ピストン110の駆動又は駆動支援を行う為に、(図8に示されるように)圧縮ばねなどの1つ以上の追加付勢部材が利用されてよい。例えば、この目的のために、駆動ハウジング130内で圧縮ばねが利用されてよく、この場合、ぜんまい122は、ピストン110及びプランジャ封止材60をある程度駆動するとともに、脱進調整素子500をある程度駆動することにより、上述のように計量調節を実施する。従って、流量を制御する手段は、ピストン110及びプランジャ封止材60にかかる負荷から切り離されている。ぜんまい122からかかる力は、薬剤送達の為にピストン110及びプランジャ封止材60を駆動することに利用されるが、脱進調整機構500は、そのような動作を制御、計量調節、又は調整するだけである。本明細書に記載の脱進調整機構のような機械式タイミングシステムは、ピストン110及びプランジャ封止材60が、制御された距離、又は制御された体積にわたって軸方向平行移動することを可能にする為に利用されてよく、所望の送達流量又は送達特性を満たす為に利用されてよい。このタイミングシステムは、当業者であれば理解されるように、機械式タイミングの代わりに水晶タイミングによって制御されることも可能である。水晶タイミングの場合は、バッテリがマイクロチップ及び回路に電力を供給する。水晶振動子は、精密な周波数で振動する。代替の電気式タイミング機構も使用されてよく、例えば、マイクロプロセッサに一般的に内蔵されているクロック機能を含むRCタイミング機構などが使用されてよい。送達の実施が予定されている時間長に応じて、マイクロチップは、水晶振動子の振動数又は他のタイミング信号に基づいてモータを駆動する。モータは、機械式タイミングシステムに関して本明細書に記載されている方法と同様に、駆動トレーン、駆動トランスミッション、及び/又は駆動ラックの動きを緩めることによって、プランジャの軸方向平行移動を制御する
【0049】
脱進調整機構500を有する駆動機構100は、薬剤容器50のバレル58内でのピストン110及びプランジャ封止材60の軸方向平行移動によって実行される薬剤送達の流量を制御するように機能する。これは、図5Aから図5C、並びに図6Aから図6Cにかけての推移で示されている。上述のように、ぜんまい122は、駆動機構に力をかけ、この力が、脱進調整機構500によって調整、計量調節、又は他の方法で制御されて、薬剤送達の為のピストン110及びプランジャ封止材60の軸方向平行移動の速度が制御される。ユーザによって起動されると、ただちに、ぜんまい122は、システムに力又はトルクをかけることが可能になり、この力又はトルクは、脱進調整機構500によって調整される。これにより、図5A及び図6Aに示された駆動機構によって、バレル58内での遠位方向の(即ち、ハッチング矢印の方向の)ピストン110及びプランジャ封止材60の軸方向平行移動が起動され、この軸方向平行移動の計量調節が可能になる。この計量調節される動作は、図5B及び図6Bに示されるように、制御された流量又は薬剤送達特性での薬剤送達を通して継続され、図5C及び図6Cに示されるように、薬剤流体のほぼ全量が薬剤チャンバ21から無菌経路接続部300を通って定量供給されるまで継続される。
【0050】
駆動機構100の各構成要素は、起動後ただちに、薬剤容器50のプランジャ封止材60の遠位方向への軸方向平行移動を駆動することに使用されてよい。駆動機構100は、任意選択で、プランジャ封止材60の更なる軸方向平行移動を可能にするコンプライアンス機能を1つ以上含んでよく、これは、例えば、実質的に全薬剤用量がユーザに送達されたことを確認する為である。例えば、プランジャ封止材60自体は、薬剤容器からの薬剤流体のコンプライアンス押しが可能となる、ある程度の圧縮性があってよい。プランジャ封止材60自体は、薬剤容器からの薬剤流体のコンプライアンス押しが可能となる、ある程度の圧縮性があってよい。例えば、ポップアウトプランジャ封止材、即ち、最初の状態からの変形が可能なプランジャ封止材が用いられた場合、このプランジャ封止材は、薬剤容器からの、薬剤流体のコンプライアンス押しが行われるように、変形又は「ポップアウト」を引き起こされてよい。同様に、バレル58内でピストン110が軸方向平行移動しているときに駆動ラック110A及び他の内部構成要素をユーザから見えないようにするために、任意選択のカバースリーブが利用されてよい。
【0051】
本発明の新規な可変流量駆動機構は、任意選択で、状態表示を薬剤用量送達に組み込んでよい。1つ以上の状態トリガ及び対応する状態読み取り器を使用して、動作前、動作中、及び動作後の駆動機構の状態を、電源/制御系に中継することにより、ユーザにフィードバックを与えることが可能である。そのようなフィードバックは、上述のように触覚的、視覚的、及び/又は聴覚的であってよく、ユーザが本装置を使用している間に複数の信号又は複数のタイプのフィードバックがユーザに与えられるように、冗長であってよい。例えば、ユーザは、初期フィードバックを与えられることにより、システムが動作していて薬剤送達の準備ができていることを確認することが可能である。そして、システムは、起動後ただちに、1つ以上の薬剤送達状態表示をユーザに提供することが可能である。薬剤送達の完了時には、駆動機構及び薬剤ポンプは、用量終了表示を提供することが可能である。用量終了表示は、ピストンがその軸方向平行移動の終点に達することに関連付けられている為、駆動機構及び薬剤ポンプは、真の用量終了表示をユーザに提供する。追加又は代替として、電気機械式状態スイッチ及び相互接続アセンブリを利用して、接触、接続、又は他の方法で、用量終了を信号でユーザに伝える為の電源/制御系への伝送を可能にしてよい。例えば、状態スイッチは、穴あけ可能封止材56の遠位側に配置されてよく、相互接続は、プランジャ封止材60の近位側に配置されてよく、これによって、バレル58内でのプランジャ封止材60の軸方向平行移動(及び任意選択でコンプライアンス押し)が実質的に完了すると、ただちに、状態スイッチ及び相互接続は、連係して、用量終了を信号でユーザに伝える為の電源/制御系への伝送を可能にする。この構成は更に、ユーザに対する真の用量終了表示を可能にする。
【0052】
少なくとも1つの実施形態では、図7に示されるように、駆動歯車520の回転運動を読み取るか認識することにより、インクリメンタル状態表示がユーザに提供されてよい。駆動歯車520の回転時に、状態読み取り器600が、対応する、駆動歯車520上の1つ以上の状態トリガを読み取るか認識することにより、可変流量制御送達駆動機構の動作前、動作中、及び動作後のインクリメンタル状態表示を提供してよい。本発明の実施形態においては、幾つかの状態読み取り器が利用されてよい。例えば、図7に示された駆動機構では、駆動歯車520の歯車歯が物理的に接触する機械式状態読み取り器600が利用されてよい。この例示的実施形態では駆動歯車520の歯車歯(又は、駆動歯車520上の穴、ピン、隆線、マーキング、電気的接点など)であってよい状態トリガが状態読み取り器600に接触すると、状態読み取り器600は、駆動歯車520の回転位置を計測し、ユーザに対して状態を表示する為の信号を電源/制御系に送信する。追加又は代替として、図7に示された駆動機構では、光学式状態読み取り器600が利用されてよい。光学式状態読み取り器600は、例えば、動きを認識して信号を電源/制御系に送信することが可能な光ビームであってよい。例えば、駆動機構では、駆動歯車520の歯車歯(又は、駆動歯車520上の穴、ピン、隆線、マーキング、電気的接点など)の動きを認識するように構成された光学式状態読み取り器600が利用されてよい。同様に、状態読み取り器600は、駆動歯車520上の電気的接点を認識するように構成された電気的スイッチであってよい。これらの実施形態のいずれにおいても、認識後に、ユーザにフィードバックを提供する為の信号を電源/制御系400に中継する為に、センサ602が利用されてよい。
【0053】
当業者であれば理解されるように、本明細書の実施形態では、インクリメンタル状態表示をユーザに提供する為に、光学式状態読み取り器及び対応するトリガ、電気機械式状態読み取り器及び対応するトリガ、及び/又は、機械式状態読み取り器及び対応するトリガの全てが利用可能である。図7に示された歯車トランスミッション、歯車トレーン、及び脱進調整機構を参照して本発明の駆動機構を説明したが、これらの構成要素の代わりに、ある範囲の構成が利用されてよく、選択された負荷及びぜんまいに基づく適切な歯車減速が、本発明の実施形態において受け入れ可能であり、使用可能であり、これについては、当業者であれば容易に理解されるであろう。従って、本発明の実施形態は、制御送達駆動機構及び薬剤送達ポンプにおいて使用されるそのような機構の一例示的実施形態として提示されている、本明細書に記載の特定の歯車トランスミッション、歯車トレーン、及び脱進調整機構に限定されない。
【0054】
次に、図5A乃至図5C、並びに図6A乃至6Cに示された実施形態を再度参照すると、薬剤流体などの流体が、ユーザへの送達の為に、バレル58内の、プランジャ封止材60と穴あけ可能封止材56との間の薬剤チャンバ21内に収容されてよい。穴あけ可能封止材は、キャップ52に隣接するか、少なくとも一部分がキャップ52内に保持される。ユーザによって起動されると、ただちに、流体経路接続部が、穴あけ可能封止材を貫通して薬剤容器に接続されてよい。上述のように、この流体接続は、流体経路接続部の穴あけ部材によって促進されてよく、この穴あけ部材は、ユーザの身体への薬剤流体の送達の為に、穴あけ可能封止材に穴をあけ、流体経路接続部、流体導管、挿入機構、及びカニューレを通る、薬剤容器からの流体経路を完結させる。本明細書に記載の駆動機構及び調整機構による、ピストン110及びプランジャ封止材60の遠位方向の平行移動は、流体が穴あけ可能封止材56を通してバレル58から押し出されるように継続される。少なくとも1つの実施形態では、ピストン110及びプランジャ封止材60の軸方向移動の終了にほぼ対応する、駆動歯車上に配置された状態トリガを状態読み取り器が認識したら、用量終了状態表示がユーザに提供されてよい。従って、本発明の新規な脱進調整機構500及び駆動機構100は、付勢部材122の自由軸方向伸張を可能にするか、計量調節するか、別の方法で抑制することにより、薬剤送達の流量又は特性を制御する。従って、本発明の新規な実施形態は又、インクリメンタル状態表示をユーザに提供する。
【0055】
可変流量制御送達駆動機構100、薬剤送達ポンプ10、又は任意の個別構成要素の組み立て及び/又は製造において、幾つかの、当該技術分野において知られている材料や方法が利用されてよい。例えば、各構成要素及び/又は本装置の洗浄のために、イソプロピルアルコールやヘキサンなど、幾つかの既知の洗浄液が利用されてよい。幾つかの既知の粘着剤又は接着剤も同様に、製造工程で使用されてよい。更に、既知の、シリコン処理及び/又は注油の為の液体及び工程も、この新規な構成要素及び装置の製造時に使用されてよい。更に、最終製品の無菌状態を確保する為に、製造又は組み立ての1つ以上の段階において、既知の滅菌工程が使用されてよい。
【0056】
駆動機構の組み立て方法は、幾つかあってよい。ある組み立て方法では、まず、薬剤容器50が組み立てられ、これに、ユーザに送達される流体が充填されてよい。薬剤容器50は、キャップ52、穴あけ可能封止材56、バレル58、及びプランジャ封止材60を含む。穴あけ可能封止材56は、キャップ52とバレル58との間の、バレル58の遠位端に固定係合されてよい。バレル58は、開放近位端を通して薬剤流体が充填されてから、バレル58の近位端からプランジャ封止材60が挿入されてよい。穴あけ可能封止材56の遠位端には、任意選択の接続マウント54が取り付けられてよい。接続マウント54は、流体経路接続部の穴あけ部材の、薬剤容器50のバレル58への挿入をガイドすることが可能である。その後、薬剤容器50は、駆動ハウジング130の遠位端に取り付けられてよい。駆動ラック110Aを有するピストン110は、駆動機構ハウジング130内に取り付けられてよく、駆動ピニオン120及び駆動歯車520に接続されてよい。駆動ピニオン120は、駆動機構ハウジング130に隣接する定位置に配置され、少なくとも一部分が駆動ハウジング130内に延びて、動作の為に駆動ラック110Aと係合する。
【0057】
薬剤容器のキャップ及び/又は穴あけ可能封止材には、流体経路接続部、特に流体経路接続部の無菌スリーブが接続されてよい。流体経路接続部の他端には流体導管が接続されてよく、流体導管自体は挿入機構に接続され、流体経路は、開かれるか、接続されるか、他の方法で有効化されるときには、ユーザの体内への薬剤送達の為に、薬剤容器、流体経路接続部、流体導管、挿入機構から直接延びてカニューレを通る。かくして、この流体流経路を構成する各構成要素が組み立てられる。これらの構成要素は、幾つかの既知の方法で滅菌されてよく、その後、図1Bに示されるように、薬剤ポンプのアセンブリプラットフォーム又はハウジングに、固定的に、又は取り外し可能に取り付けられてよい。
【0058】
駆動機構100又は薬剤ポンプ10の特定の任意選択の標準的な構成要素又は変形形態も、本発明の広さ及び範囲に収まる中で企図されている。例えば、ユーザが、薬剤ポンプ10の動作を目視したり、或いは、薬剤用量が終了したことを確認したりできるように、図1Aに示されたように、上部ハウジング又は下部ハウジングが任意選択で透明又は半透明の窓18を1つ以上含んでよい。同様に、薬剤ポンプ10は、ハウジング12の底面上に粘着パッチ26及びパッチライナ28を含んでよい。粘着パッチ26は、薬剤用量の送達の為にユーザの身体に薬剤ポンプ10を粘着させる為に利用されてよい。当業者であれば容易に理解されるように、粘着パッチ26は、薬剤ポンプをユーザの身体に粘着させる為の粘着面を有してよい。粘着パッチ26の粘着面は、最初は非粘着性パッチライナ28で覆われていてよく、パッチライナ28は、薬剤ポンプ10をユーザの身体に接触させて配置する前に、粘着パッチ26から剥がされる。パッチライナ28を剥がすことによって、挿入機構200の封止メンブレン254も剥がれてよく、これによって、(図1Cに示されるように)挿入機構は、薬剤送達の為にユーザの身体に対して開かれる。
【0059】
同様に、機能性を本発明の広さ及び範囲に収めながら、制御送達駆動機構100及び薬剤ポンプ10の構成要素の1つ以上を修正してよい。例えば、上述のように、薬剤ポンプ10のハウジングは、2つの別々の構成要素である上部ハウジング12A及び下部ハウジング12Bとして示されているが、これらの構成要素は、単一の一体型構成要素であってよい。上述のように、可変流量制御送達駆動機構及び/又は薬剤ポンプの1つ以上の構成要素同士を貼り合わせる為に、接着剤、粘着剤、或いは他の既知の材料又は方法が利用されてよい。或いは、可変流量制御送達駆動機構及び/又は薬剤ポンプの1つ以上の構成要素が、一体型構成要素であってよい。例えば、上部ハウジング及び下部ハウジングは、接着剤又は粘着剤、ねじ嵌合接続、干渉嵌合、溶融接合、溶着、超音波溶着などによって貼り合わせられる別々の構成要素であってよく、或いは、上部ハウジング及び下部ハウジングは、単一の一体型構成要素であってよい。そのような標準的な構成要素や機能的改変は、当業者であれば明らかであると考えられ、従って、本発明の広さ及び範囲に収まる。
【0060】
上述の説明から明らかなように、本明細書に開示の駆動機構及び薬剤ポンプは、薬剤容器からの自動化された薬剤送達の為の効率的で操作しやすいシステムを提供する。本明細書に記載の新規な実施形態は、薬剤物質の制御送達の為の駆動機構、並びに、そのような駆動機構が組み込まれた薬剤送達ポンプを提供する。本発明の駆動機構は、薬剤物質を薬剤容器から押し出す為に利用されるプランジャ封止材の自由軸方向平行移動を、計量調節、抵抗付与、又は他の方法で妨げることによって、薬剤送達の流量を制御するものであり、従って、薬剤物質を所望の流量及び/又は送達特性で送達することが可能である。更に、本発明の駆動機構は、薬剤送達の前、途中、及び後にユーザにフィードバックを与える統合された状態表示機能を提供する。例えば、ユーザは、本システムが動作していて薬剤送達の準備ができていることを識別する為の初期フィードバックを与えられてよい。その後、本システムは、起動後ただちに、1つ以上の薬剤送達状態表示をユーザに提供してよい。薬剤送達の完了時には、駆動機構及び薬剤ポンプは、用量終了表示を提供してよい。本発明の新規な駆動機構は、ユーザによって直接又は間接的に起動されてよい。更に、本発明の制御送達駆動機構及び薬剤ポンプの新規な構成は、貯蔵時、輸送時、及び本装置の動作中の流体経路の無菌状態を維持する。本装置内の薬剤流体の移動経路は完全に無菌状態に維持される為、製造工程では、これらの構成要素の滅菌のみを行えばよい。そのような構成要素として、駆動機構の薬剤容器と、流体経路接続部と、無菌流体導管と、挿入機構と、がある。本発明の少なくとも1つの実施形態では、電源/制御系、アセンブリプラットフォーム、制御アーム、起動機構、ハウジング、及び他の、薬剤ポンプの構成要素は、滅菌不要である。このことにより、本装置の製造しやすさが大幅に高まり、関連する組み立てコストが下がる。従って、本発明の装置は、組み立て完了時の最終滅菌が不要である。
【0061】
薬剤ポンプの製造方法は、制御送達駆動機構及び薬剤容器の両方を、別々に、又は一体型構成要素として、薬剤ポンプのアセンブリプラットフォーム又はハウジングに取り付ける工程を含む。本製造方法は更に、流体経路接続部、薬剤容器、及び挿入機構をアセンブリプラットフォーム又はハウジングに取り付ける工程を含む。上述のように、電源/制御系、起動機構、及び制御アームを含む、薬剤ポンプの更なる構成要素も、アセンブリプラットフォーム又はハウジングに取り付けられるか、事前形成されているか、事前組み付けされていてよい。本装置の動作時にユーザと接触する薬剤ポンプのハウジング面には、粘着パッチ及びパッチライナが取り付けられてよい。
【0062】
薬剤ポンプを動作させる方法は、ユーザが起動機構を起動するステップと、制御アームを変位させて挿入機構を作動させるステップと、制御された流量又は薬剤送達特性に従って薬剤ポンプ内を流れるように流体薬剤を駆動すべく、制御送達駆動機構を起動するように電源/制御系を作動させるステップと、を含む。本方法は更に、起動機構を起動する前に任意選択の体表センサを作動させるステップを含んでよい。本方法は同様に、流体経路接続部と薬剤容器との間の接続を確立するステップを含んでよい。更に、本動作方法は、制御送達駆動機構内でプランジャ封止材を平行移動させるステップを含んでよく、この平行移動は、ユーザの身体に流体薬剤を送達する為に、ねじりぜんまいによってかけられる力が薬剤容器内のピストンに(直接又は間接的に)作用して、薬剤容器、流体経路接続部、無菌流体導管、及び挿入機構を通って流れるように流体薬剤を押し出すことによって行われ、ピストンの自由軸方向平行移動を計量調節する為に、ぜんまいによってかけられる力を抑制するように動作する調整機構が利用される。挿入機構及び薬剤ポンプを動作させる方法は、上述のように、図5A乃至図5C、並びに図6A乃至図6Cを参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【0063】
本明細書全体での意図は、本発明をいかなる1つの実施形態又は具体的な機能集合体にも限定することなく、本発明の好ましい実施形態を説明することであった。本発明から逸脱しない限り、説明及び図解された実施形態に対して、様々な変更及び修正が行われてよい。本明細書中で参照された特許文献、科学文献、コンピュータプログラム、及びアルゴリズムのそれぞれの開示は、参照によってその全体が組み込まれている。
〔付記1〕
バレル58及びプランジャ封止材60を有する薬剤容器50と、接合面110C及び駆動ラック110Aを有するピストン110の一部分が少なくとも最初は駆動ハウジング130内に存在する、前記駆動ハウジング130と、駆動ピニオン120と直接又は間接的に結合されたぜんまい122であって、前記駆動ピニオン120が前記ピストン110の駆動ラック110Aと噛み合うことにより、前記ぜんまい122及び前記駆動ピニオン120の回転運動が前記駆動ラック110Aの軸方向平行移動に変換される、前記ぜんまい122と、を備える制御送達駆動機構100であって、前記ピストン110は、バレル58内で前記プランジャ封止材60に接触して前記プランジャ封止材60を軸方向平行移動させるように構成されており、前記ピストン110が、制御された速度で軸方向平行移動するように、調整機構500が前記駆動ピニオン120を計量調節する、制御送達駆動機構100。
〔付記2〕
前記薬剤容器50は、制御された流量での薬剤送達の為に薬剤流体を薬剤チャンバ21内に収容する、請求項1に記載の駆動機構100。
〔付記3〕
前記調整機構500は、前記ぜんまい122と、1つ以上の歯車512、514、516を有する歯車トレーン510と、回転シャフト518と、1つ以上の歯車520、522、524を有する歯車トランスミッション550と、に結合された脱進調整機構500であり、前記歯車トランスミッション550のうちの少なくとも1つの歯車520が前記駆動ピニオン120と係合することが可能であり、前記歯車520が回転することによって、前記駆動ピニオン120が回転して前記ピストン110の前記駆動ラック110Aと係合し、前記駆動ラック110Aを軸方向平行移動させ、これによって、前記駆動ピニオン120の回転運動が前記駆動ラック110Aの軸方向平行移動に変換される、請求項1から2のいずれか一項に記載の駆動機構100。
〔付記4〕
前記脱進調整素子500は更に、前記歯車トレーン510と係合して前記歯車トレーン510の回転運動を計量調節するように構成されたレバー564及びガンギ車562を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動機構100。
〔付記5〕
前記レバー564は、ピン564A、B及びプロング564Cを有し、前記プロング564Cは、ポスト566Aと可動に係合し、はずみ車566のインパルスピン566Bと取り外し可能に係合するように構成されており、前記はずみ車566は、ひげぜんまい568と係合し、前記ひげぜんまい568との組み合わせで、ポスト566Aを中心として振動することが可能である、請求項4に記載の駆動機構100。
〔付記6〕
前記ガンギ車562は、大径ガンギ歯車562A及び小径歯車562Bの外周の周りにガンギ歯を有する複合歯車であって、前記歯車トレーン510と係合して、前記歯車トレーン510を計量調節するように構成されている、請求項4から5のいずれか一項に記載の駆動機構100。
〔付記7〕
脱進調整機構による前記駆動ピニオン120及び/又は前記歯車トレーン510の計量調節により、ユーザへの薬剤送達の流量又は特性が制御される、請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動機構100。
〔付記8〕
状態読み取り器600が、対応する1つ以上の状態トリガを読み取るか認識するように構成されてよく、前記駆動機構100の動作時には、前記状態読み取り器600と前記状態トリガとの間の相互作用により、ユーザにフィードバックを提供する為の信号が電源/制御系400に送信される、請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動機構100。
〔付記9〕
前記状態読み取り器600は光学式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは駆動歯車520の歯車歯である、請求項8に記載の駆動機構100。
〔付記10〕
前記状態読み取り器600は機械式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは前記駆動歯車520の歯車歯である、請求項8に記載の駆動機構100。
〔付記11〕
前記状態読み取り器600は機械式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは、前記ピストン110及び/又は前記駆動ラック110Aの外形である、請求項8に記載の駆動機構100。
〔付記12〕
前記状態読み取り器600は光学式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは、前記ピストン110及び/又は前記駆動ラック110Aの外形である、請求項8に記載の駆動機構100。
〔付記13〕
バレル58及びプランジャ封止材60を有する薬剤容器50と、直線状ぜんまい1122、並びに接合面110C及び駆動ラック110Aを有するピストン110の一部分が少なくとも最初は駆動ハウジング130内に存在する、前記駆動ハウジング130であって、前記直線状ぜんまい1122が、前記ピストン110と直接又は間接的に結合されて、前記直線状ぜんまい1122の軸方向の力が駆動ピニオン120及び調整機構500のトーション運動に変換される、前記駆動ハウジング130と、を備える制御送達駆動機構1000であって、前記ピストン110は、バレル58内で前記プランジャ封止材60に接触して前記プランジャ封止材を軸方向平行移動させるように構成されており、前記直線状ぜんまい1122が前記ピストン110を制御された速度で軸方向平行移動させるように、前記調整機構500が前記駆動ピニオン120を計量調節する、駆動機構1000。
〔付記14〕
前記薬剤容器50は、制御された流量での薬剤送達の為に薬剤流体を薬剤チャンバ21内に収容する、請求項13に記載の駆動機構1000。
〔付記15〕
前記調整機構500は、1つ以上の歯車512、514、516を有する歯車トレーン510と、回転シャフト518と、1つ以上の歯車520、522、524を有する歯車トランスミッション550と、を有する脱進調整機構500であり、前記歯車トランスミッション550のうちの少なくとも1つの歯車520が前記駆動ピニオン120と係合することが可能であり、前記脱進調整要素500は、前記直線状ぜんまい1122に作用するように構成されている、請求項13から14のいずれか一項に記載の駆動機構1000。
〔付記16〕
前記脱進調整素子500は更に、前記歯車トレーン510と係合して前記歯車トレーン510の回転運動を計量調節するように構成されたレバー564及びガンギ車562を備える、請求項13から15のいずれか一項に記載の駆動機構1000。
〔付記17〕
前記レバー564は、ピン564A、B及びプロング564Cを有し、前記プロング564Cは、ポスト566Aと可動に係合し、はずみ車566のインパルスピン566Bと取り外し可能に係合するように構成されており、前記はずみ車566は、ひげぜんまい568と係合し、前記ひげぜんまい568との組み合わせで、ポスト566Aを中心として振動することが可能である、請求項16に記載の駆動機構1000。
〔付記18〕
前記ガンギ車562は、大径ガンギ歯車562A及び小径歯車562Bの外周の周りにガンギ歯を有する複合歯車であって、前記歯車トレーン510と係合して、前記歯車トレーン510を計量調節するように構成されている、請求項16から17のいずれか一項に記載の駆動機構1000。
〔付記19〕
脱進調整機構による前記駆動ピニオン120及び/又は前記歯車トレーン510の計量調節により、ユーザへの薬剤送達の流量又は特性が制御される、請求項13から18のいずれか一項に記載の駆動機構1000。
〔付記20〕
状態読み取り器600が、対応する1つ以上の状態トリガを読み取るか認識するように構成されてよく、前記駆動機構100の動作時には、前記状態読み取り器600と前記状態トリガとの間の相互作用により、ユーザにフィードバックを提供する為の信号が電源/制御系400に送信される、請求項13から19のいずれか一項に記載の駆動機構1000。
〔付記21〕
前記状態読み取り器600は光学式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは駆動歯車520の歯車歯である、請求項20に記載の駆動機構1000。
〔付記22〕
前記状態読み取り器600は機械式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは前記駆動歯車520の歯車歯である、請求項20に記載の駆動機構1000。
〔付記23〕
前記状態読み取り器600は機械式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは、前記ピストン110及び/又は前記駆動ラック110Aの外形である、請求項20に記載の駆動機構1000。
〔付記24〕
前記状態読み取り器600は光学式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは、前記ピストン110及び/又は前記駆動ラック110Aの外形である、請求項20に記載の駆動機構1000。
〔付記25〕
ハウジング12及びアセンブリプラットフォーム20を備え、制御送達機構100を有する薬剤送達ポンプ10であって、前記アセンブリプラットフォーム20上には、駆動機構14、挿入機構200、流体経路接続部300、電源/制御系400、及び、請求項1に記載の制御送達駆動機構100又は請求項13に記載の制御送達駆動機構1000が取り付けられてよい、薬剤送達ポンプ10。
〔付記26〕
前記薬剤容器50は、制御された流量での薬剤送達の為に薬剤流体を薬剤チャンバ21内に収容する、請求項25に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記27〕
前記調整機構500は、前記ぜんまい122と、1つ以上の歯車512、514、516を有する歯車トレーン510と、回転シャフト518と、1つ以上の歯車520、522、524を有する歯車トランスミッション550と、を有する脱進調整機構500であり、前記歯車トランスミッション550のうちの少なくとも1つの歯車520が前記駆動ピニオン120と係合することが可能であり、前記歯車520が回転することによって、前記駆動ピニオン120が回転して前記ピストン110の前記駆動ラック110Aと係合し、前記駆動ラック110Aを軸方向平行移動させ、これによって、前記駆動ピニオン120の回転運動が前記駆動ラック110Aの軸方向平行移動に変換される、請求項25から26のいずれか一項に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記28〕
前記脱進調整素子500は更に、前記歯車トレーン510と係合して前記歯車トレーン510の回転運動を計量調節するように構成されたレバー564及びガンギ車562を備える、請求項26から27のいずれか一項に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記29〕
前記レバー564は、ピン564A、B及びプロング564Cを有し、前記プロング564Cは、ポスト566Aと可動に係合し、はずみ車566のインパルスピン566Bと取り外し可能に係合するように構成されており、前記はずみ車566は、ひげぜんまい568と係合し、前記ひげぜんまい568との組み合わせで、ポスト566Aを中心として振動することが可能である、請求項28に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記30〕
前記ガンギ車562は、大径ガンギ歯車562A及び小径歯車562Bの外周の周りにガンギ歯を有する複合歯車であって、前記歯車トレーン510と係合して、前記歯車トレーン510を計量調節するように構成されている、請求項28から29のいずれか一項に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記31〕
脱進調整機構による前記駆動ピニオン120及び/又は前記歯車トレーン510の計量調節により、ユーザへの薬剤送達の流量又は特性が制御される、請求項25から30のいずれか一項に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記32〕
状態読み取り器600が、対応する1つ以上の状態トリガを読み取るか認識するように構成されてよく、前記駆動機構100の動作時には、前記状態読み取り器600と前記状態トリガとの間の相互作用により、ユーザにフィードバックを提供する為の信号が電源/制御系400に送信される、請求項25から31のいずれか一項に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記33〕
前記状態読み取り器600は光学式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは駆動歯車520の歯車歯である、請求項32に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記34〕
前記状態読み取り器600は機械式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは前記駆動歯車520の歯車歯である、請求項32に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記35〕
前記状態読み取り器600は機械式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは、前記ピストン110及び/又は前記駆動ラック110Aの外形である、請求項32に記載の薬剤送達ポンプ10。
〔付記36〕
前記状態読み取り器600は光学式状態読み取り器であり、前記対応する状態トリガは、前記ピストン110及び/又は前記駆動ラック110Aの外形である、請求項32に記載の薬剤送達ポンプ10。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8