(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この特許文献1に示す水晶振動子では、内部空間内において第2封止部材に貫通孔が設けられ、貫通孔内に電極材料が埋まっている。そのため、この水晶振動子では、第2封止部材の両主面間で導通を図ることができ、さらに貫通孔内が電極材料で埋まることで内部空間(パッケージ内部)は気密封止される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す水晶振動子では、貫通孔を用いて第2封止部材の両主面間の導通を図るために、貫通孔内を埋め尽くすだけの電極材料が使われ、コスト高となる。
【0007】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、コストを削減しながら、貫通孔を用いて第2封止部材の両主面間の導通を図ることができるサンドイッチ構造の圧電振動デバイス、及び圧電振動デバイスと回路基板との接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、基板の一主面に第1励振電極が形成され、前記基板の他主面に前記第1励振電極と対になる第2励振電極が形成された圧電振動板と、前記圧電振動板の前記第1励振電極を覆
い、前記圧電振動板との対向面である他主面が平坦面に形成された第1封止部材と、前記圧電振動板の前記第2励振電極を覆い、
前記圧電振動板との対向面である一主面が平坦面に形成され、外部の回路基板に流動性導電接合材を用いて電気的に接続する外部電極端子が設けられた第2封止部材と、が設けられ、前記第1封止部材と前記圧電振動板とが接合され、前記第2封止部材と前記圧電振動板とが接合されて、前記第1励振電極と前記第2励振電極とを含む前記圧電振動板の振動部を気密封止した内部空間が形成された圧電振動デバイスにおいて、前記第2封止部材には、前記内部空間の封止領域を形成する封止用の接合材よりも外方に一主面と他主面との間を貫通する第2封止部材用貫通孔が形成され、前記他主面に前記外部電極端子が形成され、前記第2封止部材用貫通孔には、前記一主面と前記他主面とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が形成され、かつ、貫通部分があり、当該貫通電極が前記封止用の接合材に電気的に接続されていないことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、前記第2封止部材用貫通孔に、前記貫通電極が形成され、かつ、前記貫通部分があるので、前記貫通部分に前記貫通電極が形成されない。そのため、前記貫通部分を埋める前記貫通電極の量に相当する分だけ、前記貫通電極の材料の使用量を減らすことが可能となり、その結果、コストを削減することが可能となる。さらに、本発明によれば、前記第2封止部材用貫通孔に形成された前記貫通電極により前記第2封止部材の両主面間(前記一主面と前記他主面との間)の導通を図ることが可能となる。そのため、例えば特許文献1の技術などの従来技術に比べて、金属の電極材料を用いて前記第2封止部材用貫通孔を埋める必要がない。
【0010】
また、本発明によれば、外部の回路基板に流動性導電接合材を用いて電気的に接続する接合構造において、前記第2封止部材用貫通孔に、前記貫通電極が形成され、かつ、前記貫通部分があるので、前記外部電極端子を外部の回路基板に流動性導電接合材を用いて電気的に接続した際に、流動性導電接合材が前記外部電極端子から前記第2封止部材用貫通孔に伝って、前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分に這い上がる。また、流動性導電接合材の使用量が多ければ、前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分が埋まる。そのため、外部の回路基板への当該圧電振動デバイスの接合時に前記外部電極端子に接合応力がかかるが、この接合応力は、前記第2封止部材用貫通孔に伝って前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分に這い上がった流動性導電接合材の量だけ分散するので、外部の回路基板への当該圧電振動デバイスの接合時に、前記外部電極端子にかかる接合応力を実質的に低減させることが可能となる。
【0011】
また、前記外部電極端子を外部の回路基板に流動性導電接合材を用いて電気的に接続した際に、前記流動性導電接合材が、前記外部電極端子に付着し、さらに、前記第2封止部材用貫通孔の前記貫通部分にも広がって付着するので、接合領域を実質的に増やすことが可能となる。この作用効果は、小型の当該圧電振動デバイスに有効であり、当該圧電振動デバイスのパッケージサイズを小さくしても、接合領域を実質的に同等もしくは拡大させることも可能となり、その結果、接合強度を高めることが可能となる。
【0012】
本発明の具体的な構成として、前記第2封止部材用貫通孔は、前記内部空間の外方に配されることが好ましい。この構成によれば、前記第2封止部材用貫通孔は、前記内部空間内に形成されないので、前記第2封止部材用貫通孔が形成されることによって前記内部空間の気密封止ができないといった問題は生じない。
【0013】
前記構成において、前記圧電振動板には、
前記内部空間の封止領域よりも外方に一主面と他主面との間を貫通する圧電振動板用貫通孔が形成され、前記圧電振動板用貫通孔には、前記一主面と前記他主面とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が形成され、かつ、貫通部分があり、前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分と前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分との少なくとも一部が重畳してもよい。
【0014】
この場合、前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分と前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分との少なくとも一部が重畳するので、重畳する部分を確認することで、前記圧電振動板用貫通孔と前記第2封止部材用貫通孔とを用いて前記第2封止部材と前記圧電振動板との積層位置ズレを防止することが可能となる。
【0015】
前記構成において、前記第1封止部材には、
前記内部空間の封止領域よりも外方に一主面と他主面との間を貫通する第1封止部材用貫通孔が形成され、前記第1封止部材用貫通孔には、前記一主面と前記他主面とに形成された電極の導通を図るための貫通電極が形成され、かつ、貫通部分が形成され、前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分と前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分と前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分とでは、夫々少なくとも一部が重畳してもよい。
【0016】
この場合、前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分と前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分と前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分とでは、夫々少なくとも一部が重畳するので、重畳する部分を確認することで、第1封止部材と前記第2封止部材と前記圧電振動板との積層位置ズレを防止することが可能となる。
【0017】
また、前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分と前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分と前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分との少なくとも一部が重畳するので、外部の回路基板に電気的に接続するために用いる流動性導電接合材に気泡が存在しても、前記第2封止部材用貫通孔、前記圧電振動板用貫通孔、及び第1封止部材用貫通孔の重畳する部分を通って、前記第1封止部材の一主面から外部に流動性導電接合材の気泡(ガス)を抜くことが可能となる。
【0018】
前記構成において、前記圧電振動板の前記第1励振電極は、前記第1封止部材の前記一主面に形成された第1端子を経由して、前記第2封止部材の前記外部電極端子のうちの一外部電極端子に接続され、前記圧電振動板の前記第2励振電極は、前記第1封止部材の前記一主面に形成された第2端子を経由して、前記第2封止部材の前記外部電極端子のうちの他外部電極端子に接続されていてもよい。この場合、前記第1端子と前記一外部電極端子との間、および、前記第2端子と前記他外部電極端子との間に、前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分と前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分と前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分との重畳部分が夫々設けられていてもよい。
【0019】
本構成によれば、前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分と前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分と前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分との少なくとも一部が重畳するので、外部の回路基板に電気的に接続するために用いる流動性導電接合材に気泡が存在しても、前記第2封止部材用貫通孔、前記圧電振動板用貫通孔、及び第1封止部材用貫通孔の重畳部分を通って、前記第1封止部材の一主面から外部に流動性導電接合材の気泡を抜くことが可能となる。
【0020】
これに加え、外部電極端子(一外部電極端子、他外部電極端子)を外部の回路基板に流動性導電接合材を用いて電気的に接続した際に、流動性導電接合材が前記外部電極端子から前記第2封止部材用貫通孔に伝って、前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分へ這い上がる。この際、貫通部分へ這い上がった流動性導電接合材の侵食作用によって、圧電振動板の振動部を気密封止した内部空間の気密性の低下が懸念される。しかし、前記構成によれば、前記圧電振動板の前記第1励振電極から前記外部電極端子(一外部電極端子)までの経路の長さとして、さらには、前記圧電振動板の前記第2励振電極から前記外部電極端子(他外部電極端子)までの経路の長さとして、長い距離を確保できるので、内部空間の気密性低下への流動性導電接合材の侵食作用の影響を抑制することができる。
【0021】
また、前記第1封止部材の前記一主面に設けられた第1端子及び第2端子を圧電振動板の検査用端子として利用することで、圧電振動板の検査を容易に行うことができる。しかも、第1端子及び第2端子の大きさを容易に変更するができ、これにより、外部電極端子(一外部電極端子、他外部電極端子)から見た圧電振動板の容量を要求に応じて微調整することができる。
【0022】
前記構成において、前記各重畳部分は、前記内部空間の封止領域の外方に夫々設けられていてもよい。
【0023】
本構成によれば、圧電振動板の振動部を気密封止した内部空間の封止領域の外方(気密性が関係ない領域)に前記各重畳部分が設けられているので、流動性導電接合材(半田等)の侵食作用に起因する内部空間の気密性低下をより一層抑制することができる。
【0024】
また、本構成によれば、圧電振動デバイスを外部の回路基板に流動性導電接合材を用いて接合する際、流動性導電接合材が外部電極端子から第2封止部材用貫通孔に伝って、貫通孔(第2封止部材用貫通孔、圧電振動板用貫通孔、第1封止部材用貫通孔)の貫通部分に這い上がり、当該貫通孔の貫通部分が埋まる。そのため、外部の回路基板への圧電振動デバイスの接合時に発生する接合応力が、貫通孔の貫通部分に這い上がった流動性導電接合材の量に相当する分だけ分散されるので、接合時に外部電極端子にかかる接合応力を低減させることが可能になる。
【0025】
また、本構成によれば、封止領域内に設けられた圧電振動板の振動部から離れた位置に貫通孔(圧電振動板用貫通孔、第1封止部材用貫通孔、第2封止部材用貫通孔)が設けられているので、圧電振動デバイスの外部の回路基板への接合時、貫通孔の貫通部分が圧電振動板等とは熱膨張率の異なる流動性導電接合材で埋まったとしても、発生する接合応力の圧電振動板の振動部への影響を抑制することが可能になる。
【0026】
詳細には、圧電振動デバイスの外部の回路基板への接合時、貫通孔の貫通部分が流動性導電接合材で埋まった場合、流動性導電接合材と圧電振動板等との熱膨張率差に起因して発生する応力によって、圧電振動板の振動部に悪影響を及ぼすことが懸念される。しかし、本構成によれば、貫通孔の貫通部分が流動性導電接合材で埋まったとしても、圧電振動板の振動部と貫通孔とが離れた位置に配置されるので、熱膨張率差に起因する上記応力の圧電振動板の振動部への影響を抑制することが可能になる。また、圧電振動板の振動部と貫通孔との間に、封止領域の封止部が介在されることになるので、熱膨張率差に起因する上記応力が、貫通孔に埋まった流動性導電接合材から圧電振動板の振動部へ直接伝達されることがなくなる。このように、熱膨張率差に起因する上記応力の伝達が、封止領域の封止部によって遮られるため、圧電振動板の振動部へ伝達される応力を低減することが可能になる。
【0027】
前記構成において、前記圧電振動板の一主面には、前記第1封止部材に封止接合するための振動側第1接合パターンが形成され、前記圧電振動板の他主面には、前記第2封止部材に封止接合するための振動側第2接合パターンが形成され、前記第1封止部材には、前記圧電振動板に接合するための封止側第1接合パターンが形成され、前記第2封止部材には、前記圧電振動板に接合するための封止側第2接合パターンが形成され、前記封止側第1接合パターンと前記振動側第1接合パターンとが拡散接合され、前記封止側第2接合パターンと前記振動側第2接合パターンとが拡散接合され、前記第1封止部材と前記圧電振動板とは、1.00μm以下のギャップを有し、前記第2封止部材と前記圧電振動板とは、1.00μm以下のギャップを有してもよい。
【0028】
この場合、当該圧電振動デバイスのパッケージの高さにバラつきが生じない。例えば、本構成と異なり、ギャップが1μmより大きくなるSn接合材のような金属ペースト封止材を用いた場合、金属ペースト封止材をパターン(前記振動側第1接合パターン、前記振動側第2接合パターン、前記封止側第1接合パターン、前記封止側第2接合パターン)上に形成する際の高さにバラつきが生じる。また、接合後においても、形成されたパターン(前記振動側第1接合パターン、前記振動側第2接合パターン、前記封止側第1接合パターン、前記封止側第2接合パターン)の熱容量分布により均一なギャップにならない。そのため、従来の技術では、第1封止部材、第2封止部材、圧電振動板の3枚の部材が積層された構造の場合、これら3枚の部材間での各々ギャップに差が生じる。その結果、積層された3枚の部材は、平行を保てない状態で接合されてしまう。特に、この問題は低背化に伴い顕著になる。これに対して、本構成では、上限が1.00μmに設定されているため、前記第1封止部材、前記第2封止部材、前記圧電振動板の3枚の部材を、平行に保った状態で積層させて接合することが可能となり、本構成は低背化に対応可能である。
【0029】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスと回路基板との接合構造は、本発明にかかる圧電振動デバイスが、回路基板に、流動性導電接合材を用いて電気的に接続され、前記外部電極端子が前記回路基板に電気的に接続された際に、前記流動性導電接合材により前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分が埋められたことを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、前記外部電極端子が前記回路基板に電気的に接続された際に、前記流動性導電接合材により前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分が埋められるので、特許文献1の技術などの従来の技術に比べて、前記貫通部分を埋める前記流動性導電接合材の量に相当する分だけ、前記貫通電極の材料の使用量を削減することが可能となる。その結果、従来の技術に比べて、金属の電極材料を用いて前記第2封止部材用貫通孔を埋める必要がない。
【0031】
また、本発明によれば、前記流動性導電接合材が前記外部電極端子から前記第2封止部材用貫通孔に伝って、前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分に這い上がる。また、前記流動性導電接合材の使用量が多ければ、前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分が埋まる。そのため、前記回路基板への前記圧電振動デバイスの接合時に前記外部電極端子に接合応力がかかるが、この接合応力は、前記第2封止部材用貫通孔に伝って前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分に這い上がった前記流動性導電接合材の量に相当する分だけ分散するので、前記回路基板への前記圧電振動デバイスの接合時に、前記外部電極端子にかかる接合応力を実質的に低減させることが可能となる。
【0032】
また、前記外部電極端子が前記回路基板に前記流動性導電接合材を用いて電気的に接続された際に、前記流動性導電接合材が、前記外部電極端子に付着し、さらに、前記第2封止部材用貫通孔の前記貫通部分にも広がって付着するので、接合領域を実質的に増やすことが可能となる。この作用効果は、小型の前記圧電振動デバイスに有効であり、前記圧電振動デバイスのパッケージサイズを小さくしても、接合領域を実質的に同等もしくは拡大させることも可能となり、その結果、接合強度を高めることが可能となる。
【0033】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる別の圧電振動デバイスと回路基板との接合構造は、本発明にかかる圧電振動デバイスが、回路基板に、流動性導電接合材を用いて電気的に接続され、前記外部電極端子が前記回路基板に電気的に接続された際に、前記流動性導電接合材により前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分及び前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分が埋められたことを特徴とする。
【0034】
本発明によれば、前記外部電極端子が前記回路基板に電気的に接続された際に、前記流動性導電接合材により前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分及び前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分が埋められるので、特許文献1の技術などの従来の技術に比べて、前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分及び前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分を埋める前記流動性導電接合材の量に相当する分だけ、前記圧電振動板用貫通孔の貫通電極及び前記第2封止部材用貫通孔の貫通電極の使用量を削減することが可能となる。その結果、従来の技術に比べて、金属の電極材料を用いて前記圧電振動板用貫通孔及び前記第2封止部材用貫通孔を埋める必要がない。
【0035】
また、本発明によれば、前記流動性導電接合材が前記外部電極端子から前記第2封止部材用貫通孔及び前記圧電振動板用貫通孔に伝って、前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分及び前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分に這い上がり、前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分及び前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分が埋まる。そのため、前記回路基板への前記圧電振動デバイスの接合時に前記外部電極端子に接合応力がかかるが、この接合応力は、前記第2封止部材用貫通孔及び前記圧電振動板用貫通孔に伝って前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分及び前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分に這い上がった前記流動性導電接合材の量に相当する分だけ分散するので、前記回路基板への前記圧電振動デバイスの接合時に、前記外部電極端子にかかる接合応力を実質的に低減させることが可能となる。
【0036】
また、前記外部電極端子が前記回路基板に前記流動性導電接合材を用いて電気的に接続された際に、前記流動性導電接合材が、前記外部電極端子に付着し、さらに、前記第2封止部材用貫通孔の前記貫通部分及び前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分にも広がって付着するので、接合領域を実質的に増やすことが可能となる。この作用効果は、小型の前記圧電振動デバイスに有効であり、前記圧電振動デバイスのパッケージサイズを小さくしても、接合領域を実質的に同等もしくは拡大させることも可能となり、その結果、接合強度を高めることが可能となる。
【0037】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる別の圧電振動デバイスと回路基板との接合構造は、本発明にかかる圧電振動デバイスが、回路基板に、流動性導電接合材を用いて電気的に接続され、前記外部電極端子が前記回路基板に電気的に接続された際に、前記流動性導電接合材により前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分,前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分及び前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分が埋められたことを特徴とする。
【0038】
本発明によれば、前記外部電極端子が前記回路基板に電気的に接続された際に、前記流動性導電接合材により前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分,前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分及び前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分が埋められるので、特許文献1の技術などの従来の技術に比べて、前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分,前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分及び前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分を埋める前記流動性導電接合材の量に相当する分だけ、前記圧電振動板用貫通孔の貫通電極,前記第2封止部材用貫通孔の貫通電極及び前記第1封止部材用貫通孔の貫通電極の材料の使用量を削減することが可能となる。その結果、従来の技術に比べて、金属の電極材料を用いて前記圧電振動板用貫通孔,前記第2封止部材用貫通孔及び前記第1封止部材用貫通孔を埋める必要がない。
【0039】
また、本発明によれば、前記流動性導電接合材が前記外部電極端子から前記第2封止部材用貫通孔,前記圧電振動板用貫通孔及び前記第1封止部材用貫通孔に伝って、前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分,前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分及び前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分に這い上がり、前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分,前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分及び前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分が埋まる。そのため、前記回路基板への前記圧電振動デバイスの接合時に前記外部電極端子に接合応力がかかるが、この接合応力は、前記第2封止部材用貫通孔,前記圧電振動板用貫通孔及び前記第1封止部材用貫通孔に伝って前記第2封止部材用貫通孔の貫通部分,前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分及び前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分に這い上がった前記流動性導電接合材の量に相当する分だけ分散するので、前記回路基板への前記圧電振動デバイスの接合時に、前記外部電極端子にかかる接合応力を実質的に低減させることが可能となる。
【0040】
また、前記外部電極端子を前記回路基板に前記流動性導電接合材を用いて電気的に接続した際に、前記流動性導電接合材が、前記外部電極端子に付着し、さらに、前記第2封止部材用貫通孔の前記貫通部分,前記圧電振動板用貫通孔の貫通部分及び前記第1封止部材用貫通孔の貫通部分にも広がって付着するので、接合領域を実質的に増やすことが可能となる。この作用効果は、小型の前記圧電振動デバイスに有効であり、前記圧電振動デバイスのパッケージサイズを小さくしても、接合領域を実質的に同等もしくは拡大させることも可能となり、その結果、接合強度を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、サンドイッチ構造の圧電振動デバイスにおいてコストを削減しながら、貫通孔を用いて第2封止部材の両主面間の導通を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施の形態では、圧電振動を行う圧電振動デバイスとして水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【0044】
−水晶振動子−
本実施の形態にかかる水晶振動子101では、
図1に示すように、水晶振動板2(本発明でいう圧電振動板)と、水晶振動板2の第1励振電極221(
図4参照)を覆い、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221を気密封止する第1封止部材3と、この水晶振動板2の他主面212に、水晶振動板2の第2励振電極222(
図5参照)を覆い、第1励振電極221と対になって形成された第2励振電極222を気密封止する第2封止部材4が設けられている。
【0045】
この水晶振動子101では、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが接合されてサンドイッチ構造のパッケージ12が構成される。
【0046】
そして、水晶振動板2を介して第1封止部材3と第2封止部材4とが接合されることで、パッケージ12の内部空間13が形成され、このパッケージ12の内部空間13に、水晶振動板2の両主面211,212に形成された第1励振電極221及び第2励振電極222を含む振動部23が気密封止されている。なお、内部空間13は、
図1に示すようにパッケージ12の平面視一端側(平面視左側)に偏って位置する。
【0047】
本実施の形態にかかる水晶振動子101は、1.0×0.8mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、本パッケージ12では、キャスタレーションを形成せずに、貫通孔(第1貫通孔261,第2貫通孔441,第3貫通孔442参照)を用いて電極の導通を図っている。
【0048】
次に、上記した水晶振動子101の各構成について
図1〜7を用いて説明する。なお、ここでは、水晶振動板2と第1封止部材3と第2封止部材4が接合されていない夫々単体として構成されている各部材について説明を行う。
【0049】
水晶振動板2は、
図4,5に示すように、圧電材料である水晶からなり、その両主面(一主面211,他主面212)が平坦平滑面(鏡面加工)として成形されている。
【0050】
また、水晶振動板2の両主面211,212(一主面211,他主面212)に一対の(対となる)励振電極(第1励振電極221,第2励振電極222)が形成されている。そして、両主面211,212には、一対の第1励振電極221,第2励振電極222を囲うように2つの切り欠き部24(貫通形状)が形成されて振動部23が構成されている。切り欠き部24は、平面視凹形状体241(1つの平面視長方形の両端から2つの長方形夫々が、長方形の長手方向に対して直角方向に延出して成形された3つの平面視長方形からなる平面視体)と、平面視長方形状体242とからなり、平面視凹形状体241と平面視長方形状体242との間が、第1励振電極221及び第2励振電極222を外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432;下記参照)に引き出すための引出電極(第1引出電極223,第2引出電極224)を配する導通路213となっている。電極パターンに関して、一対の第1励振電極221,第2励振電極222夫々から引き出された第1引出電極223,第2引出電極224は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252を介して、第2封止部材4に形成された外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)に電気的に接続されている。
【0051】
この水晶振動板2では、両主面211,212の振動部23に沿った外方に、振動部23を囲むように第1封止部材3と第2封止部材4とを接合するための振動側封止部25がそれぞれ設けられている。振動側封止部25は、
図4,5に示すように両主面211,212の平面視左側に偏って位置する。
【0052】
この水晶振動板2の一主面211の振動側封止部25に、第1封止部材3に接合するための振動側第1接合パターン251が形成され、第1励振電極221は振動側第1接合パターン251に繋がる。また、水晶振動板2の他主面212の振動側封止部25に、第2封止部材4に接合するための振動側第2接合パターン252が形成され、第2励振電極222は振動側第2接合パターン252に繋がる。内部空間13は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252の内方(内側)に形成されることになる。
【0053】
水晶振動板2の一主面211には、第1封止部材3に接合するための振動側第1接合パターン251が形成され、振動側第1接合パターン251は、一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2511と、下地PVD膜2511上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2512とからなる。また、水晶振動板2の他主面212には、第2封止部材4に接合するための振動側第2接合パターン252が形成され、振動側第2接合パターン252は、他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2521と、下地PVD膜2521上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2522とからなる。つまり、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とは、同一構成からなり、複数の層が両主面211,212の振動側封止部25上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。このように、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とでは、下地PVD膜2511,2521が単一の材料(Ti(もしくはCr))からなり、電極PVD膜2512,2522が単一の材料(Au)からなり、下地PVD膜2511,2521よりも電極PVD膜2512,2522の方が厚い。また、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221と振動側第1接合パターン251とは同一厚みを有し、第1励振電極221と振動側第1接合パターン251との表面(主面)が同一金属からなり、水晶振動板2の他主面212に形成された第2励振電極222と振動側第2接合パターン252とは同一厚みを有し、第2励振電極222と振動側第2接合パターン252との表面(主面)が同一金属からなる。また、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252は、非Snパターンである。なお、同一主面上において同一金属で同一厚みの構成であって、振動側第1,2接合パターン251,252と振動側(第1励振電極221,第2励振電極222)とを比較した場合、最上層(少なくとも露出している面)の金属(電極PVD膜2512,2522等)が同一であれば、その下地金属(下地PVD膜2511,2521)の種類や厚みが異なっても接合を行うことは可能である。また、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252では、それぞれ電極PVD膜2512,2522が平面視うろこ状体の表面となる。ここでいううろこ状体とは、活性化されて微視的に個片状体となった金属が畳敷のように重ね合わされて、平面視において隙間が無い(もしくは殆どない)形態のことをいう。
【0054】
また、水晶振動板2には、
図4,5に示すように、一主面211と他主面212との間を貫通する第1貫通孔261(本発明でいう圧電振動板用貫通孔)が形成され、第1貫通孔261を介して、第1励振電極221に繋がった振動側第1接合パターン251が他主面212側に引き出されている。第1貫通孔261には、
図1,4,5に示すように、一主面211と他主面212とに形成された電極の導通を図るための貫通電極71が第1貫通孔261の内壁面に沿って形成されている。そして、第1貫通孔261の中央部分は、一主面211と他主面212との間を貫通した中空状態の貫通部分72となる。この第1貫通孔261は、内部空間13の外方に配され、
図4に示すように両主面211,212の平面視他端側(平面視右側)に偏って位置し、第1貫通孔261は内部空間13の内方に形成されない。ここでいう内部空間13の内方とは、接合材11上を含まずに厳密に接合材11の内周面の内側のことをいう。
【0055】
第1封止部材3には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm
2]以下の材料が用いられている。具体的には、第1封止部材3は、
図2,3に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第1封止部材3の他主面312(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として成形されている。
【0056】
この第1封止部材3の他主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部32が設けられている。封止側第1封止部32は、
図3に示すように第1封止部材3の他主面312の平面視左側に偏って位置する。
【0057】
第1封止部材3の封止側第1封止部32に、水晶振動板2に接合するための封止側第1接合パターン321が形成されている。封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3の封止側第1封止部32上の全ての位置において同一幅とされる。
【0058】
この封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜3211と、下地PVD膜3211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜3212とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜3211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜3212にはAuが用いられている。また、封止側第1接合パターン321は、非Snパターンである。具体的には、封止側第1接合パターン321は、複数の層が他主面312の封止側第1封止部32上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。また、封止側第1接合パターン321では、電極PVD膜3212が平面視うろこ状体の表面となる。
【0059】
第2封止部材4には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm
2]以下の材料が用いられている。具体的には、第2封止部材4は、
図6に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第2封止部材4の一主面411(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として成形されている。
【0060】
この第2封止部材4の一主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部42が設けられている。封止側第2封止部42は、
図6に示すように第2封止部材4の一主面411の平面視左側に偏って位置する。
【0061】
また、第2封止部材4の他主面412(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、外部に電気的に接続する一対の外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)が設けられている。一外部電極端子431は、振動側第1接合パターン251を介して第1励振電極221に電気的に直接接続され、他外部電極端子432は、振動側第2接合パターン252を介して第2励振電極222に電気的に直接接続される。一外部電極端子431,他外部電極端子432は、
図7に示すように第2封止部材4の他主面412の平面視長手方向両端にそれぞれ位置する。これら一対の外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)は、他主面412上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4311,4321と、下地PVD膜4311,4321上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4312,4322とからなる。また、上記の振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252と封止側第1接合パターン321と封止側第2接合パターン421との各下地PVD膜2511,2521,3211,4211の厚みに対して、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)の下地PVD膜4311,4321の厚みが厚い。また、一外部電極端子431及び他外部電極端子432は、第2封止部材4の他主面412のうち1/3以上の領域をそれぞれ占めている。
【0062】
また、第2封止部材4の封止側第2封止部42には、水晶振動板2に接合するための封止側第2接合パターン421が形成されている。封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4の封止側第2封止部42上の全ての位置において同一幅とされる。
【0063】
この封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4211と、下地PVD膜4211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4212とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜4211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜4212にはAuが用いられている。また、封止側第2接合パターン421は、非Snパターンである。具体的には、封止側第2接合パターン421は、複数の層が他主面412の封止側第2封止部42上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。また、封止側第2接合パターン421では、電極PVD膜4212が平面視うろこ状体の表面となる。
【0064】
また、第2封止部材4には、
図1,6,7に示すように、一主面411と他主面412との間を貫通する2つの貫通孔(第2貫通孔441と第3貫通孔442;本発明でいう第2封止部材用貫通孔)が形成されている。第2貫通孔441と第3貫通孔442とには、一主面411と他主面412とに形成された電極の導通を図るための貫通電極71が、第2貫通孔441と第3貫通孔442との内壁面夫々に沿って形成されている。そして、第2貫通孔441と第3貫通孔442との中央部分は、一主面411と他主面412との間を貫通した中空状態の貫通部分72となる。これら第2貫通孔441及び第3貫通孔442は、内部空間13の外方に配され、
図6,7に示すように第2貫通孔441は両主面(一主面411,他主面412)の平面視右側に偏って位置し、第3貫通孔442は、平面視左上側に位置し、第2貫通孔441及び第3貫通孔442は、内部空間13の内方に形成されない。ここでいう内部空間13の内方とは、接合材11上を含まずに厳密に接合材11の内周面の内側のことをいう。そして、水晶振動板2の第1貫通孔261と第2貫通孔441を介して、水晶振動板2の第1励振電極221に繋がった振動側第1接合パターン251と一外部電極端子431とが導通される。第3貫通孔442及び封止側第2接合パターン421を介して、水晶振動板2の第2励振電極222に繋がった振動側第2接合パターン252が、他外部電極端子432に導通される。
【0065】
上記構成からなる水晶振動子101では、従来の技術のように別途接着剤等の接合専用材を用いずに、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態で拡散接合されて、
図1に示すサンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。また、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態では、圧電振動板用貫通孔(第1貫通孔261)の貫通部分72と第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441)の貫通部分72との少なくとも一部(本実施の形態では貫通部分72の全て)が重畳する。なお、振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321自身が拡散接合後に生成される接合材11となり、振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421自身が拡散接合後に生成される接合材11となる。本実施の形態では、拡散接合を常温で行っている。ここでいう常温は、5℃〜35℃のことをいう。この常温拡散接合により下記する効果(ガスの発生抑制と接合良好)を有するが、これは共晶半田の融点である183℃よりも低い値であって好適な例である。しかしながら、常温拡散接合だけが下記する効果を有するものではなく、常温以上230℃未満の温度下で拡散接合されていればよい。特に、200℃以上230℃未満の温度下において拡散接合することで、Pbフリー半田の融点である230℃未満であり、さらにAuの再結晶温度(200℃)以上となるので、接合部分の不安定領域を安定化できる。また本実施の形態ではAu−Snといった接合専用材を使用していないため、メッキガス、バインダーガス、金属ガス等のガスの発生がない。よってAuの再結晶温度以上にすることができる。
【0066】
また、ここで製造されたパッケージ12では、上記の通り、拡散接合により封止側第1接合パターン321と振動側第1接合パターン251とが接合され、封止側第2接合パターン421と振動側第2接合パターン252とが接合されているが、この接合以外に、封止側第1接合パターン321と振動側第1接合パターン251とが加圧拡散接合され、封止側第2接合パターン421と振動側第2接合パターン252とが加圧拡散接合されてもよい。この場合、加圧することで接合箇所を確保し易くなり(接合面積を実質的に増やすことができ)、高温加熱を用いずに拡散接合のみによる接合をさらに良好に行うことができる。
【0067】
また、ここで製造されたパッケージ12では、第1封止部材3と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材4と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材3と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材4と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本実施の形態のAu−Au接合では0.15μm〜1.00μm)である。なお、比較として、Snを用いた従来の金属ペースト封止材では、5μm〜20μmとなる。
【0068】
また、封止側第1接合パターン321と振動側第1接合パターン251とが拡散接合された接合パターンの厚みは、封止側第2接合パターン421と振動側第2接合パターン252とが拡散接合された接合パターンの厚みと同じで、外部と電気的に接続した外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)の厚みと異なる。
【0069】
また、ここで製造されたパッケージ12では、
図1〜7に示すように、内部空間13が平面視左側に偏って位置する。また、第1封止部材3に形成された封止側第1接合パターン321と、第2封止部材4に形成された封止側第2接合パターン421とは、平面視において重畳しない。具体的には、封止側第1接合パターン321内における平面視領域が、封止側第2接合パターン421内における平面視領域より広い。なお、本実施の形態では、封止側第1接合パターン321内における平面視領域が、封止側第2接合パターン421内における平面視領域より広いが、これに限定されるものでなく、封止側第2接合パターン421内における平面視領域が、封止側第1接合パターン321内における平面視領域より広くてもよい。しかしながら、第2封止部材に、一外部電極端子431,他外部電極端子432を形成しているため、封止側第1接合パターン321内における平面視領域が、封止側第2接合パターン421内における平面視領域より広く、配線パターンの引き回し(導通経路の確保)が容易になり、さらに配線パターンの引き回し領域(導通確保領域)を多くとることが可能となる。
【0070】
また、水晶振動板2に形成された振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252に比べて、第1封止部材3に形成された封止側第1接合パターン321、及び第2封止部材4に形成された封止側第2接合パターン421は、幅が広い。
【0071】
また、ここで製造された水晶振動子101の内部空間13は、
図1,3〜6に示すように、平面視左側に偏って位置する。
【0072】
また、第2封止部材4に、内部空間13の外方に配された貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)が形成され、内部空間13の内方には貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)が形成されていない。
【0073】
そして、上記の通り製造された水晶振動子101は、回路基板61に、流動性導電接合材(半田)62を用いて電気的に接続される。ここで、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)が回路基板61に電気的に接続された接合構造において、
図8,9に示すように、半田62により第2封止部材用貫通孔である第2貫通孔441の貫通部分72及び第3貫通孔442の貫通部分72が埋められ、半田62により圧電振動板用貫通孔である第1貫通孔261の貫通部分72が埋められて、回路基板61に水晶振動子101が接合されている。なお、
図8に示す接合構造では、第1貫通孔261の貫通部分72、第2貫通孔441の貫通部分72、及び第3貫通孔442の貫通部分72が全て半田62により埋められている。また、
図9に示す接合構造では、第2貫通孔441の貫通部分72、及び第3貫通孔442の貫通部分72が全て半田62により埋められ、第1貫通孔261の貫通部分72の一部が半田62により埋められている。
【0074】
上記したように、本実施の形態にかかる水晶振動子101によれば、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)に、貫通電極71が形成され、かつ、貫通部分72があるので、貫通部分72に貫通電極71が形成されない。そのため、貫通部分72を埋める貫通電極71の量に相当する分だけ、貫通電極71の材料の使用量を減らすことができ、その結果、コストを削減することができる。さらに、本実施の形態によれば、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)に形成された貫通電極71により第2封止部材4の両主面間(一主面411と他主面412との間)の導通を図ることができる。そのため、例えば従来技術(特許文献1の技術等)に比べて、金属の電極材料を用いて第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)を埋める必要がない。
【0075】
また、本実施の形態によれば、外部の回路基板61に半田62を用いて電気的に接続する接合構造において、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)に、貫通電極71が形成され、かつ、貫通電極71があるので、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)を外部の回路基板61に半田62を用いて電気的に接続した際に、半田62が外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)から第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)に伝って、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72に這い上がる。また、半田62の使用量が多ければ、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72が埋まる(
図8参照)。そのため、外部の回路基板61への水晶振動子101の接合時に外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)に接合応力がかかるが、この接合応力は、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)に伝って第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72に這い上がった半田62の量に相当する分だけ分散するので、外部の回路基板61への水晶振動子101の接合時に、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)にかかる接合応力を実質的に低減させることができる。
【0076】
また、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)を回路基板61に半田62を用いて電気的に接続した際に、半田62が、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)に付着し、さらに、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通電極71にも広がって付着するので、接合領域を実質的に増やすことができる。この作用効果は、小型の水晶振動子101に有効であり、水晶振動子101のパッケージサイズを小さくしても、接合領域を実質的に同等もしくは拡大させることもでき、その結果、接合強度を高めることができる。
【0077】
また、第1貫通孔261の貫通部分72と第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72との少なくとも一部(本実施の形態では全部)が重畳するので、重畳する部分を確認することで、第1貫通孔261と第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)とを用いて第2封止部材4と水晶振動板2との積層位置ズレを防止することができる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、水晶振動子101のパッケージ12の高さにバラつきが生じない。例えば、本実施の形態と異なり、封止部材(本実施の形態でいう第1封止部材3,第2封止部材4)と水晶振動板2とのギャップが1μmより大きくなるSn接合材のような金属ペースト封止材を用いた場合、金属ペースト封止材をパターン(振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、封止側第1接合パターン321、封止側第2接合パターン421)上に形成する際の高さにバラつきが生じる。また、接合後においても、形成されたパターン(振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、封止側第1接合パターン321、封止側第2接合パターン421)の熱容量分布により均一なギャップ(本実施の形態でいう第1封止部材3と水晶振動板2とのギャップや、本実施の形態でいう第2封止部材4と水晶振動板2とのギャップ)にならない。そのため、従来の技術では、第1封止部材、第2封止部材、圧電振動板の3枚の部材が積層された構造の場合、これら3枚の部材間での各々ギャップに差が生じる。その結果、積層された3枚の部材は、平行を保てない状態で接合されてしまう。特に、この問題は低背化に伴い顕著になる。そこで、本実施の形態では、ギャップの上限が1.00μmに設定されているため、第1封止部材3、第2封止部材4、水晶振動板2の3枚の部材を平行に保った状態で積層して接合することができ、本実施の形態は低背化に対応できる。
【0079】
また、第2封止部材4において内部空間13の外方に配された貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)が形成されるので、第2貫通孔441,第3貫通孔442の影響が内部空間13に及ぶことなく、第2貫通孔441,第3貫通孔442が内部空間13の内方に配された構成に比べて、第2貫通孔441,第3貫通孔442が原因となる気密不良を避けることができる。
【0080】
また、本実施の形態と異なり、貫通孔を内部空間内に配置した場合、内部空間の気密を確保する必要があり、内部空間内の貫通孔を金属等により埋める工程が必要となる。これに対して、本実施の形態によれば、貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)が内部空間13の外方に形成されるので、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252と封止側第1接合パターン321と封止側第2接合パターン421とのパターン形成と同じ工程で配線パターンの引き回しができ、製造コストを抑えることができる。
【0081】
また、内部空間13は、平面視一端側(本実施の形態では平面視左側)に偏って位置するので、平面視他端側(本実施の形態では平面視右側)に貫通孔(第2貫通孔441)や電極パターンを形成し易くなり、内部空間13に配された第1励振電極221及び第2励振電極222に影響が及ぶ電極パターンの形成を容易にすることができる。さらに、内部空間13の気密封止に影響が及ぶ貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の配置を容易にすることもできる。
【0082】
また、第1封止部材3に、全ての位置において同一幅とされた封止側第1接合パターン321が形成され、第2封止部材4に、全ての位置において同一幅とされた封止側第2接合パターン421が形成され、第2封止部材4に、内部空間13の外方に配された貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)が形成されるので、パターンの幅が異なることによってパターンの幅の広い方に接合材11が流れるのを抑制することができ、その結果、水晶振動板2への第1封止部材3及び第2封止部材4の接合状態を安定させることができる。さらに、第2封止部材4において内部空間13の外方に配された貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)が形成されるので、貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の影響が内部空間13に及ぶことなく、貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)が内部空間13の内方に配された構成に比べて、貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)が原因となる気密不良を避けることができる。
【0083】
また、本実施の形態にかかる水晶振動子101と回路基板61との接合構造によれば、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)が回路基板61に電気的に接続された際に、半田62により第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72が埋められるので、従来の技術(特許文献1の技術等)に比べて、貫通電極71を埋める半田62の量に相当する分だけ、貫通電極71の材料の使用量を削減することができる。その結果、従来の技術に比べて、金属の電極材料を用いて第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)を埋める必要がない。
【0084】
また、本実施の形態にかかる水晶振動子101と回路基板61との接合構造によれば、半田62が外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)から第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)に伝って、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72に這い上がる。また、半田62の使用量が多ければ、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72が埋まる(
図8参照)。そのため、回路基板61への水晶振動子101の接合時に外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)に接合応力がかかるが、この接合応力は、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)に伝って第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72に這い上がった半田62の量に相当する分だけ分散するので、回路基板61への水晶振動子101の接合時に、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)にかかる接合応力を実質的に低減させることができる。
【0085】
また、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)が回路基板61に半田62を用いて電気的に接続された際に、半田62が、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)に付着し、さらに、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通電極71にも広がって付着するので、接合領域を実質的に増やすことができる。この作用効果は、小型の水晶振動子101に有効であり、水晶振動子101のパッケージサイズを小さくしても、接合領域を実質的に同等もしくは拡大させることもでき、その結果、接合強度を高めることができる。
【0086】
また、本実施の形態にかかる水晶振動子101と回路基板61との接合構造によれば、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)が回路基板61に電気的に接続された際に、半田62により第1貫通孔261の貫通部分72及び第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72が埋められるので、従来の技術(特許文献1の技術等)に比べて、第1貫通孔261の貫通部分72及び第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72を埋める半田62の量に相当する分だけ、第1貫通孔261の貫通電極71及び第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通電極71の材料の使用量を削減するのに好適である。その結果、従来の技術に比べて、金属の電極材料を用いて第1貫通孔261及び第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)を埋める必要がない。
【0087】
また、本実施の形態にかかる水晶振動子101と回路基板61との接合構造によれば、半田62が外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)から第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)及び第1貫通孔261に伝って、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72及び第1貫通孔261の貫通部分72に這い上がり、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72及び第1貫通孔261の貫通部分72が埋まる。そのため、回路基板61への水晶振動子101の接合時に外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)に接合応力がかかるが、この接合応力は、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)及び第1貫通孔261に伝って第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72及び第1貫通孔261の貫通部分72に這い上がった半田62の量に相当する分だけ分散するので、回路基板61への水晶振動子101の接合時に、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)にかかる接合応力を実質的に低減させるのに好適である。
【0088】
また、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)が回路基板61に半田62を用いて電気的に接続された際に、半田62が、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)に付着し、さらに、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通電極71及び第1貫通孔261の貫通部分72にも広がって付着するので、接合領域を実質的に増やすのに好適である。この作用効果は、小型の水晶振動子101に有効であり、水晶振動子101のパッケージサイズを小さくしても、接合領域を実質的に同等もしくは拡大させることもでき、その結果、接合強度を高めることができる。
【0089】
なお、本実施の形態では、第1封止部材3及び第2封止部材4にガラスを用いているが、これに限定されるものではなく、水晶を用いてもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、圧電振動板に水晶を用いているが、これに限定されるものではなく、圧電材料であれば他の材料であってもよく、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム等であってもよい。
【0091】
また、本実施の形態では、接合材11として、Ti(もしくはCr)とAuを用いているが、これに限定されるものではなく、接合材11を例えばNiとAuとから構成してもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252と封止側第1接合パターン321と封止側第2接合パターン421に、Ti(もしくはCr)とAuが含まれているが、これに限定されるものではなく、Cu(Cu単体かCu合金)が含まれてもよい。この場合、製造時(接合時、加圧等の外力が発生することによる衝撃時等)や使用時(落下等の外力が発生することによる衝撃時、はんだ実装時等)の応力緩和に寄与することができる。つまり、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252と封止側第1接合パターン321と封止側第2接合パターン421にCuが含まれることにより機械的強度が向上する。
【0093】
また、下地PVD膜2511,2521,3211,4211にCrを用いた場合、Crが電極PVD膜2512,2522,3212,4212に拡散するのを、Cuを下地PVD膜2511,2521,3211,4211に含むことで抑制することができる。その結果、Crを用いた層を厚くしても、Crが電極PVD膜2512,2522,3212,4212に拡散するのを抑制することができ、Crを用いた層を厚くすることができて製造ばらつきを抑えることができる。実際に、Crの層を0.2μmとしてもCrが電極PVD膜2512,2522,3212,4212に拡散するのを抑制することができる。
【0094】
また、本実施の形態では、第2封止部材4が1枚のガラスウエハから成形された直方体の基板であるが、これに限定されるものではなく、ガラスウエハから成形された2つの直方体であってもよい。この場合、1つの直方体の基板に、封止側第2接合パターン421と第3貫通孔442と他外部電極端子432とを形成し、この基板により気密封止を行い、もう一方の直方体の基板に、第2貫通孔441と一外部電極端子431を形成する構成となる。本構成によれば、一対の外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)を完全に分離させることができ、短絡を防ぐことができる。また、ガラスウエハではなく、金属材料により2つの直方体の第2封止部材4を成形した場合、さらに第3貫通孔442を形成する必要もなく、貫通孔の数を少なくして小型化に寄与できる。
【0095】
また、本実施の形態では、
図1〜7に示すような第1引出電極223,第2引出電極224を形成しているが、これに限定されるものではなく、第1引出電極223,第2引出電極224の任意の位置の最上層にCrを用い、さらに第1引出電極223,第2引出電極224と振動側第1接合パターン251,振動側第2接合パターン252との間に隙間があってもよい。特に、隙間は、振動側封止部25上に設けられることが好ましい。このような構成とすることで、製造工程において加熱溶融接合を行う前までは、第1引出電極223,第2引出電極224と、振動側第1接合パターン251,振動側第2接合パターン252とが電気接続されないことになる。その結果、振動検査を行う検査工程において励振電極(第1励振電極221、第2励振電極222)のみを対象とした様々な検査を行うことができ、振動検査の自由度が増す。
【0096】
また、上記の通り、
図8に示す形態では、第1貫通孔261の貫通部分72及び第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72の全てが半田62により埋まる作用効果を奏する。この作用効果に関して、本実施の形態が最良であるが、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72のみが半田62により埋まっても一定の上記作用効果を有する。また、
図9に示すように、圧電振動板用貫通孔(第1貫通孔261)の貫通部分72の一部及び第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72全てが半田62により埋まっても一定の上記作用効果を有し、第2封止部材用貫通孔(第2貫通孔441,第3貫通孔442)の貫通部分72の一部が半田62により埋まっても一定の上記作用効果を有する。
【0097】
−水晶発振器−
また、本実施の形態では、圧電振動デバイスとして水晶振動子を用いているが、これに限定されるものではなく、下記のように水晶発振器(
図10参照)であってもよい。以下、圧電振動を行う圧電振動デバイスとして水晶発振器に本発明を適用した場合を示す。なお、便宜上、上記の水晶振動子101と共通の構成について同一符号を付す。また、共通の構成によって生じる作用効果も
図1に示す水晶振動子101と同様であり、以下の説明では省略する。
【0098】
本実施の形態にかかる水晶発振器102では、
図10に示すように、水晶振動板2(本発明でいう圧電振動板)と、水晶振動板2の第1励振電極221(
図13参照)を覆い、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221を気密封止する第1封止部材3と、この水晶振動板2の他主面212に、水晶振動板2の第2励振電極222(
図14参照)を覆い、第1励振電極221と対になって形成された第2励振電極222を気密封止する第2封止部材4と、第1封止部材に搭載された圧電振動素子以外の電子部品素子(本実施の形態ではIC5)とが設けられている。
【0099】
この水晶発振器102では、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが接合されてサンドイッチ構造のパッケージ12が構成される。
【0100】
そして、水晶振動板2を介して第1封止部材3と第2封止部材4とが接合されることで、パッケージ12の内部空間13が形成され、このパッケージ12の内部空間13に、水晶振動板2の両主面211,212に形成された第1励振電極221及び第2励振電極222を含む振動部23が気密封止されている。なお、内部空間13は、
図10に示すようにパッケージ12の平面視一端側(平面視左側)に偏って位置する。
【0101】
本実施の形態にかかる水晶発振器102は、1.2×1.0mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、本パッケージ12では、キャスタレーションを形成せずに、貫通孔(第4貫通孔262〜第18貫通孔446)を用いて電極の導通を図っている。
【0102】
次に、上記した水晶発振器102の各構成について
図10〜16を用いて説明する。なお、ここでは、水晶振動板2と第1封止部材3と第2封止部材4が接合されていないそれぞれ単体として構成されている各部材について説明を行う。
【0103】
水晶振動板2は、
図13,14に示すように、圧電材料である水晶からなり、その両主面(一主面211,他主面212)が平坦平滑面(鏡面加工)として成形されている。
【0104】
また、水晶振動板2の両主面211,212(一主面211,他主面212)に一対の(対となる)励振電極(第1励振電極221,第2励振電極222)が形成されている。そして、両主面211,212には、一対の第1励振電極221,第2励振電極222を囲うように2つの切り欠き部24(貫通形状)が形成されて振動部23が構成されている。切り欠き部24は、平面視凹形状体241(1つの平面視長方形の両端から2つの長方形夫々が、長方形の長手方向に対して直角方向に延出して成形された3つの平面視長方形からなる平面視体)と、平面視長方形状体242とからなり、平面視凹形状体241と平面視長方形状体242との間が、第1励振電極221及び第2励振電極222を外部電極端子(下記参照)に引き出すための引出電極(第1引出電極223,第2引出電極224)を配する導通路213となっている。電極パターンに関して、一対の第1励振電極221,第2励振電極222夫々から引き出された第1引出電極223,第2引出電極224は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252を介して、第1封止部材3に形成された電極パターン33に電気的に接続されている。
【0105】
この水晶振動板2では、両主面211,212の振動部23に沿った外方に、振動部23を囲むように第1封止部材3と第2封止部材4とを接合するための振動側封止部25がそれぞれ設けられている。振動側封止部25は、
図13,14に示すように両主面211,212の平面視左側に偏って位置する。
【0106】
この水晶振動板2の一主面211の振動側封止部25に、第1封止部材3に接合するための振動側第1接合パターン251が形成され、第1励振電極221は振動側第1接合パターン251に繋がる。振動側第1接合パターン251は、一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2511と、下地PVD膜2511上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2512とからなる。また、水晶振動板2の他主面212の振動側封止部25に、第2封止部材4に接合するための振動側第2接合パターン252が形成され、第2励振電極222は振動側第2接合パターン252に繋がる。振動側第2接合パターン252は、他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2521と、下地PVD膜2521上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2522とからなる。内部空間13は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252の内方(内側)に形成されることになる。
【0107】
振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とは、同一構成からなり、複数の層が両主面211,212の振動側封止部25上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。このように、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とでは、下地PVD膜2511,2521が単一の材料(Ti(もしくはCr))からなり、電極PVD膜2512,2522が単一の材料(Au)からなり、下地PVD膜2511,2521よりも電極PVD膜2512,2522の方が厚い。また、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221と振動側第1接合パターン251とは同一厚みを有し、第1励振電極221と振動側第1接合パターン251との表面(主面)が同一金属からなり、水晶振動板2の他主面212に形成された第2励振電極222と振動側第2接合パターン252とは同一厚みを有し、第2励振電極222と振動側第2接合パターン252との表面(主面)が同一金属からなる。また、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252は、非Snパターンである。なお、同一主面上において同一金属で同一厚みの構成であって、振動側第1,2接合パターン251,252と振動側(第1励振電極221,第2励振電極222)とを比較した場合、最上層(少なくとも露出している面)の金属(電極PVD膜2512,2522等)が同一であれば、その下地金属(下地PVD膜2511,2521)の種類や厚みが異なっても接合を行うことは可能である。また、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252では、それぞれ電極PVD膜2512,2522が平面視うろこ状体の表面となる。ここでいううろこ状体とは、活性化されて微視的に個片状体となった金属が畳敷のように重ね合わされて、平面視において隙間が無い(もしくは殆どない)形態のことをいう。
【0108】
また、水晶振動板2には、
図13,14に示すように、一主面211と他主面212との間を貫通する圧電振動板用貫通孔(第4貫通孔262,第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)が形成され、第4貫通孔262を介して、第2励振電極222に繋がった振動側第2接合パターン252が一主面211側に引き出されている。また、第5貫通孔263は、第1封止部材3の第10貫通孔342及び第2封止部材4の第15貫通孔443に繋がるものであり、IC5を第1外部電極端子433に導通するための導通路である。また、第6貫通孔264は、第1封止部材3の第11貫通孔343及び第2封止部材の第16貫通孔444に繋がるものであり、IC5を第2外部電極端子434に導通するための導通路である。また、第7貫通孔265は、第1封止部材3の第12貫通孔344及び第2封止部材4の第17貫通孔445に繋がるものであり、IC5を第3外部電極端子435に導通するための導通路である。また、第8貫通孔266は、第1封止部材3の第13貫通孔345及び第2封止部材4の第18貫通孔446に繋がるものであり、IC5を第4外部電極端子436に導通するための導通路である。これら第4貫通孔262,第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266には、
図10,13,14に示すように、一主面211と他主面212とに形成された電極の導通を図るための貫通電極71が、第4貫通孔262,第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266夫々の内壁面に沿って形成されている。そして、第4貫通孔262,第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266夫々の中央部分は、一主面211と他主面212との間を貫通した中空状態の貫通部分72となる。第4貫通孔262,第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266は、内部空間13の外方に形成されている。また、第4貫通孔262,第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266は、内部空間13の内方に形成されない。ここでいう内部空間13の内方とは、接合材11上を含まずに厳密に接合材11の内周面の内側のことをいう。
【0109】
第1封止部材3には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm
2]以下の材料が用いられている。具体的には、第1封止部材3は、
図11,12に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第1封止部材3の他主面312(水晶振動板2に接合する面)と一主面311(IC5を搭載する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として成形されている。
【0110】
この第1封止部材3の他主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部32が設けられている。封止側第1封止部32は、
図12に示すように第1封止部材3の他主面312の平面視左側に偏って位置する。
【0111】
第1封止部材3の封止側第1封止部32に、水晶振動板2に接合するための封止側第1接合パターン321が形成されている。封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3の封止側第1封止部32上の全ての位置において同一幅とされる。
【0112】
この封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜3211と、下地PVD膜3211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜3212とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜3211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜3212にはAuが用いられている。また、封止側第1接合パターン321は、非Snパターンである。具体的には、封止側第1接合パターン321は、複数の層が他主面312の封止側第1封止部32上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。また、封止側第1接合パターン321では、電極PVD膜3212が平面視うろこ状体の表面となる。
【0113】
また、第1封止部材3には、
図10,11,12に示すように、一主面311と他主面312との間を貫通する6つの貫通孔(第9貫通孔341,第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345,第14貫通孔346;本発明でいう第2封止部材用貫通孔)が形成されている。これら第9貫通孔341,第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345,第14貫通孔346には、
図10,11,12に示すように、一主面311と他主面312とに形成された電極の導通を図るための貫通電極71が、第9貫通孔341,第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345,第14貫通孔346の内壁面夫々に沿って形成されている。具体的には、第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345は、発振器用導通を図るための貫通孔であり、第9貫通孔341(第2励振電極222の導通を図るための貫通孔),第14貫通孔346(第1励振電極221の導通を図るための貫通孔)は、水晶振動板2用導通を図るための貫通孔である。そして、第9貫通孔341,第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345,第14貫通孔346の中央部分は、一主面311と他主面312との間を貫通した中空状態の貫通部分72となる。
【0114】
また、第1封止部材3の一主面311には、発振回路素子であるIC5を搭載する搭載パッドを含む6つの電極パターン33が形成されている。6つの電極パターン33は、それぞれ個別に第9貫通孔341,第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345,第14貫通孔346に導かれている。
【0115】
第2封止部材4には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm
2]以下の材料が用いられている。具体的には、第2封止部材4は、
図15,16に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第2封止部材4の一主面411(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として成形されている。
【0116】
この第2封止部材4の一主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部42が設けられている。封止側第2封止部42は、
図15に示すように第2封止部材4の一主面411の平面視左側に偏って位置する。
【0117】
また、第2封止部材4の他主面412(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、外部に電気的に接続する4つの外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)が設けられている。第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436は、4つの角部にそれぞれ位置する。これら外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)は、他主面412上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4331,4341,4351,4361と、下地PVD膜4331,4341,4351,4361上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4332,4342,4352,4362とからなる。また、上記の振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252と封止側第1接合パターン321と封止側第2接合パターン421との各下地PVD膜2511,2521,3211,4211の厚みに対して、外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)の下地PVD膜4331,4341,4351,4361の厚みが厚い。
【0118】
また、第2封止部材4の封止側第2封止部42には、水晶振動板2に接合するための封止側第2接合パターン421が形成されている。封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4の封止側第2封止部42上の全ての位置において同一幅とされる。
【0119】
この封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4211と、下地PVD膜4211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4212とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜4211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜4212にはAuが用いられている。また、封止側第2接合パターン421は、非Snパターンである。具体的には、封止側第2接合パターン421は、複数の層が一主面411の封止側第2封止部42上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。また、封止側第2接合パターン421では、電極PVD膜4212が平面視うろこ状体の表面となる。
【0120】
また、第2封止部材4には、
図10,15,16に示すように、一主面411と他主面412との間を貫通する4つの貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446;本発明でいう第2封止部材用貫通孔)が形成されている。第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446には、
図10,15,16に示すように、一主面411と他主面412とに形成された電極の導通を図るための貫通電極71が、第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446の内壁面夫々に沿って形成されている。そして、第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446の中央部分は、一主面411と他主面412との間を貫通した中空状態の貫通部分72となる。これら第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446は、内部空間13の外方に配され、第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446は、内部空間13の内方に形成されない。
【0121】
上記構成からなる水晶発振器102では、従来の技術のように別途接合専用材を用いずに、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態で拡散接合されて、
図10に示すサンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。また、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態では、圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72と第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72との少なくとも一部(本実施の形態では貫通部分72の全て)が重畳する。また、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態では、圧電振動板用貫通孔(第4貫通孔262,第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72と第1封止部材用貫通孔(第9貫通孔341,第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72とでは、夫々少なくとも一部(本実施の形態では貫通部分72の全て)が重畳する。
【0122】
なお、振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321自身が拡散接合後に生成される接合材11となり、振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421自身が拡散接合後に生成される接合材11となる。本実施の形態では、拡散接合を常温(5℃〜35℃)で行っている。しかしながら、常温拡散接合だけに限定されるものではなく、常温以上230℃未満の温度下で拡散接合されていればよい。特に、200℃以上230℃未満の温度下において拡散接合することで、Pbフリー半田の融点である230℃未満であり、さらにAuの再結晶温度(200℃)以上となるので、接合部分の不安定領域を安定化できる。また本実施の形態ではAu−Snといった接合専用材を使用していないため、メッキガス、バインダーガス、金属ガス等の発生がない。よってAuの再結晶温度以上にすることができる。
【0123】
また、ここで製造されたパッケージ12では、上記の通り、拡散接合により封止側第1接合パターン321と振動側第1接合パターン251とが接合され、封止側第2接合パターン421と振動側第2接合パターン252とが接合されているが、この接合以外に、封止側第1接合パターン321と振動側第1接合パターン251とが加圧拡散接合され、封止側第2接合パターン421と振動側第2接合パターン252とが加圧拡散接合されてもよい。この場合、加圧することで接合箇所を確保し易くなり(接合面積を実質的に増やすことができ)、高温加熱を用いずに拡散接合のみによる接合をさらに良好に行うことができる。
【0124】
また、ここで製造されたパッケージ12では、第1封止部材3と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材4と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材3と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材4と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本実施の形態のAu−Au接合では0.15μm〜1.00μm)である。なお、比較として、Snを用いた従来の金属ペースト封止材では、5μm〜20μmとなる。
【0125】
また、封止側第1接合パターン321と振動側第1接合パターン251とが拡散接合された接合パターンの厚みは、封止側第2接合パターン421と振動側第2接合パターン252とが拡散接合された接合パターンの厚みと同じで、外部と電気的に接続した外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)の厚みと異なる。
【0126】
また、ここで製造されたパッケージ12では、
図10に示すように、内部空間13が平面視左側に偏って位置する。また、第1封止部材3に形成された封止側第1接合パターン321と、第2封止部材4に形成された封止側第2接合パターン421とは、平面視において重畳しない。具体的には、封止側第1接合パターン321内における平面視領域が、封止側第2接合パターン421内における平面視領域より広い。なお、本実施の形態では、封止側第1接合パターン321内における平面視領域が、封止側第2接合パターン421内における平面視領域より広いが、これに限定されるものでなく、封止側第2接合パターン421内における平面視領域が、封止側第1接合パターン321内における平面視領域より広くてもよい。しかしながら、第2封止部材に、外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)を形成しているため、封止側第1接合パターン321内における平面視領域が、封止側第2接合パターン421内における平面視領域より広くなる。したがって、配線パターンの引き回し(導通経路の確保)が容易になり、さらに配線パターンの引き回し領域(導通確保領域)を多くとることができる。
【0127】
また、第1封止部材3の一主面311には、水晶振動板2の第1励振電極221に対して異極となる水晶振動板2用調整電極(本実施の形態では、第9貫通孔341を導通経路とする電極パターン33)が形成され、
図11,13に示すように、第9貫通孔341を導通経路とする電極パターン33は、第1励振電極221に重畳しない。また、第1封止部材3の一主面311には、水晶振動板2の第1励振電極221に対して同極となる水晶振動板2用調整電極(本実施の形態では、第14貫通孔346を導通経路とする電極パターン33)が形成され、
図11,13に示すように、第9貫通孔341を導通経路とする電極パターン33は、第1引出電極223において一部重畳する。なお、本実施の形態では、第9貫通孔341を導通経路とする電極パターン33は、第1引出電極223において一部重畳するが、第1励振電極221の少なくとも一部と重畳してもよい。
【0128】
また、本実施の形態では、IC5を設けるためのスペースを水晶振動板2に設けなくてもよく、パッケージの低背化を行うことができる。また、第1封止部材3の一主面に形成するIC5用のパターンを変えるだけで任意の発振条件に対応させることができる。また、IC5の裏面にマーキングが可能となり、第1封止部材3に透明部材料を用いた場合であっても特殊マーキングが不要となる。また、従来の技術では、第1封止部材3や水晶振動板2等に凹部を設けて、発振回路素子であるIC5を必ず前記凹部に実装していたため、圧電振動デバイスの外形は必ず発振回路素子よりも大きくなっていた。しかしながら、本実施の形態によれば、第1封止部材3では、一主面311にIC5が設けられ、他主面312が水晶振動板2の一主面211に接合されるので、IC5のサイズと水晶発振器102のサイズとを同じにすることができ、小型化及び低背化に有利である。
【0129】
また、水晶振動板2に形成された振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252に比べて、第1封止部材3に形成された封止側第1接合パターン321、及び第2封止部材4に形成された封止側第2接合パターン421は、幅が広い。
【0130】
そして、上記の通り製造された水晶発振器102は、回路基板61に、流動性導電接合材(半田)62を用いて電気的に接続される。ここで、外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)が回路基板61に電気的に接続された接合構造において、
図17,18に示すように、半田62により第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72が埋められ、半田62により圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72が埋められて、回路基板61に水晶発振器102が接合されている。なお、
図17に示す接合構造では、第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266,第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345,第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446の貫通部分72が全て半田62により埋められている。また、
図18に示す接合構造では、第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266,第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446の貫通部分72が全て半田62により埋められ、第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345の貫通部分72の一部が半田62により埋められている。
【0131】
上記の通り、本実施の形態にかかる水晶発振器102によれば、上記のサンドイッチ構造の水晶振動子101と同様に、コストを削減しながら、第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446を用いて第2封止部材4の両主面411,412間の導通を図ることができる。さらに、上記のサンドイッチ構造の水晶振動子101と同様の構成については同様の作用効果を有する。
【0132】
また、本実施の形態にかかる水晶発振器102によれば、圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72と第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72と第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72との少なくとも一部(本実施の形態では全部)が重畳するので、重畳する部分を確認することで、第1封止部材3と第2封止部材4と水晶振動板2との積層位置ズレを防止することができる。
【0133】
また、圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72と第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72と第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72とでは、夫々少なくとも一部(本実施の形態では全部)が重畳するので、回路基板61に電気的に接続するために用いる半田62に気泡が存在しても、第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)、圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)、及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の重畳する部分を通って、第1封止部材3の一主面311から外部に半田62の気泡(ガス)を抜くことができる。
【0134】
本実施の形態にかかる水晶発振器102と回路基板61との接合構造によれば、外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)が回路基板61に電気的に接続された際に、半田62により圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72,第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72が埋められるので、特許文献1の技術等の従来の技術に比べて、圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72,第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72を埋める半田62の量に相当する分だけ、圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通電極,第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通電極71及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通電極71の材料の使用量を削減することができる。その結果、従来の技術に比べて、金属の電極材料を用いて圧電振動板用貫通孔(特に、第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266),第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)及び第1封止部材用貫通孔(特に、第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)を埋める必要がない。
【0135】
また、本実施の形態にかかる水晶発振器102と回路基板61との接合構造によれば、半田62が外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)から第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446),圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)に伝って、第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72,圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72に這い上がり、第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72,圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72が埋まる。そのため、回路基板61への水晶発振器102の接合時に外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)に接合応力がかかるが、この接合応力は、第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446),圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)に伝って第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72,圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72に這い上がった半田62の量に相当する分だけ分散するので、回路基板61への水晶発振器102の接合時に、外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)にかかる接合応力を実質的に低減させるのに好適である。
【0136】
また、外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)を回路基板61に半田62を用いて電気的に接続した際に、半田62が、外部電極端子(第1外部電極端子433,第2外部電極端子434,第3外部電極端子435,第4外部電極端子436)に付着し、さらに、第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通電極71,圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72及び第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72にも広がって付着するので、接合領域を実質的に増やすのに好適である。この作用効果は、小型の水晶発振器102に有効であり、水晶発振器102のパッケージサイズを小さくしても、接合領域を実質的に同等もしくは拡大させることもでき、その結果、接合強度を高めることができる。
【0137】
また、上記の通り、
図17に示す形態では、圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72、第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72及び第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72の全てが半田62により埋まる作用効果を奏する。この作用効果に関して、本実施の形態が最良であるが、第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72のみが半田62により埋まっても一定の上記作用効果を有する。
【0138】
また、第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72には半田62が付着せずに、圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72の一部、及び第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72全てが半田62により埋まっても一定の上記作用効果を有する。
【0139】
また、
図18に示すように、圧電振動板用貫通孔(第5貫通孔263,第6貫通孔264,第7貫通孔265,第8貫通孔266)の貫通部分72全て、第1封止部材用貫通孔(第10貫通孔342,第11貫通孔343,第12貫通孔344,第13貫通孔345)の貫通部分72の一部及び第2封止部材用貫通孔(第15貫通孔443,第16貫通孔444,第17貫通孔445,第18貫通孔446)の貫通部分72全てが半田62により埋まっても一定の上記作用効果を有する。
【0140】
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0141】
例えば、上記の本実施の形態にかかる水晶発振器102では、外部電極端子を第1外部電極端子433、第2外部電極端子434、第3外部電極端子435、第4外部電極端子436の4端子としているが、これに限定されるものではなく、外部電極端子を6端子や8端子といった任意の端子のものについても本発明を適用することができる。
【0142】
(水晶振動子の変形例)
ここで、上述した本実施の形態にかかる水晶振動子の変形例について説明する。なお、便宜上、
図1に示す水晶振動子101と共通の構成について同一符号を付す。また、共通の構成によって生じる作用効果も
図1に示す水晶振動子101と同様であり、以下の説明では省略する。以下では、主として、本形態の
図19に示す水晶振動子101Aが、
図1に示す水晶振動子101と異なる点について説明する。
【0143】
本形態の水晶振動子101Aでは、
図19に示すように、水晶振動板2の第1励振電極221が、第1封止部材3の一主面311に形成された第1端子37を経由して、第2封止部材4の一外部電極端子431に接続されている。また、圧電振動板2の第2励振電極222は、第1封止部材3の一主面311に形成された第2端子38を経由して、第2封止部材4の他外部電極端子432に接続されていている。この場合、第1端子37と一外部電極端子431との間、および、第2端子38と他外部電極端子432との間に、圧電振動板用貫通孔の貫通部分と第2封止部材用貫通孔の貫通部分と第1封止部材用貫通孔の貫通部分との重畳部分が夫々設けられている。本形態の水晶振動子101Aの特徴について、
図19〜25を参照して詳しく説明する。
【0144】
水晶振動子101Aでは、
図1に示す水晶振動子101とは異なり、水晶振動板2の一対の第1励振電極221,第2励振電極222は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。水晶振動板2では、両主面211,212の振動部23に沿った外方に、振動部23を囲むように第1封止部材3と第2封止部材4とを接合するための振動側封止部25がそれぞれ設けられている。水晶振動板2の一主面211の振動側封止部25に、第1封止部材3に接合するための振動側第1接合パターン251が形成されている。また、水晶振動板2の他主面212の振動側封止部25に、第2封止部材4に接合するための振動側第2接合パターン252が形成されている。
【0145】
水晶振動板2には、
図22,23に示すように、一主面211と他主面212との間を貫通する3つの貫通孔(第19貫通孔267,第20貫通孔268,第21貫通孔269)が形成されている。第19貫通孔267(本発明でいう圧電振動板用貫通孔)は、第1封止部材3の第22貫通孔347及び第2封止部材4の第26貫通孔447に繋がるものである。また、第20貫通孔268(本発明でいう圧電振動板用貫通孔)は、第1封止部材3の第24貫通孔349及び第2封止部材4の第27貫通孔448に繋がるものである。また、第21貫通孔269は、第2励振電極222から引き出された第2引出電極224及び第1封止部材3の第25貫通孔350に繋がるものである。第19貫通孔267及び第20貫通孔268は、水晶振動板2の平面視長手方向両端部にそれぞれ位置する。
【0146】
これら第19貫通孔267,第20貫通孔268,第21貫通孔269には、
図19,22,23に示すように、一主面211と他主面212とに形成された電極の導通を図るための貫通電極71が、第19貫通孔267,第20貫通孔268,第21貫通孔269夫々の内壁面に沿って形成されている。そして、第19貫通孔267,第20貫通孔268,第21貫通孔269夫々の中央部分は、一主面211と他主面212との間を貫通した中空状態の貫通部分72となる。第19貫通孔267,第20貫通孔268,第21貫通孔269夫々の外周囲には、接続用接合パターン73が形成されている。接続用接合パターン73は、振動側第1接合パターン251,振動側第2接合パターン252と同様の構成であり、水晶振動板2の両主面(一主面211,他主面212)上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。第21貫通孔269の接続用接合パターン73は、第2励振電極222から引き出された第2引出電極224と一体的に形成されている。
【0147】
水晶振動子101Aでは、第19貫通孔267,第20貫通孔268は、平面視で内部空間13の外方(接合材11の外周面の外側)に形成されている。一方、第21貫通孔269は、平面視で内部空間13の内方(接合材11の内周面の内側)に形成されている。そして、第19貫通孔267,第20貫通孔268,第21貫通孔269は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
【0148】
水晶振動子101Aでは、
図1に示す水晶振動子101とは異なり、
図19,20に示すように、第1封止部材3の一主面311(水晶振動板2に面しない外方の主面)に、第1端子37及び第2端子38が設けられている。第1端子37は、第22貫通孔347と第23貫通孔348とを繋ぐように設けられ、第2端子38は、第24貫通孔349と第25貫通孔350とを繋ぐように設けられている。第1端子37及び第2端子38は、一主面311上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜3711,3811と、下地PVD膜3711,3811上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜3712,3812とからなる。本形態では、第1端子37及び第2端子38は第1封止部材3の一主面311の平面視長手方向両端部にそれぞれ位置する。
【0149】
第1封止部材3の他主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部32が設けられている。封止側第1封止部32には、水晶振動板2に接合するための封止側第1接合パターン321が形成されている。
【0150】
第1封止部材3には、
図19,20,21に示すように、一主面311と他主面312との間を貫通する4つの貫通孔(第22貫通孔347,第23貫通孔348,第24貫通孔349,第25貫通孔350)が形成されている。第22貫通孔347(本発明でいう第1封止部材用貫通孔)は、第1端子37及び水晶振動板2の第19貫通孔267に繋がるものである。第23貫通孔348は、第1端子37及び水晶振動板2の第1励振電極221から引き出された第1引出電極223に繋がるものである。第24貫通孔349(本発明でいう第1封止部材用貫通孔)は、第2端子38及び水晶振動板2の第20貫通孔268に繋がるものである。第25貫通孔350は、第2端子38及び水晶振動板2の第21貫通孔269に繋がるものである。第22貫通孔347及び第24貫通孔349は、第1封止部材3の平面視長手方向両端部にそれぞれ位置する。
【0151】
これら第22貫通孔347,第23貫通孔348,第24貫通孔349,第25貫通孔350には、
図19,20,21に示すように、一主面311と他主面312とに形成された電極の導通を図るための貫通電極71が、第22貫通孔347,第23貫通孔348,第24貫通孔349,第25貫通孔350夫々の内壁面に沿って形成されている。そして、第22貫通孔347,第23貫通孔348,第24貫通孔349,第25貫通孔350夫々の中央部分は、一主面311と他主面312との間を貫通した中空状態の貫通部分72となる。第22貫通孔347,第23貫通孔348,第24貫通孔349,第25貫通孔350夫々の外周囲には、接続用接合パターン73が形成されている。接続用接合パターン73は、封止側第1接合パターン321と同様の構成であり、第1封止部材3の他主面312上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
【0152】
水晶振動子101Aでは、第22貫通孔347,第24貫通孔349は、平面視で内部空間13の外方に形成されている。一方、第23貫通孔348,第25貫通孔350は、平面視で内部空間13の内方に形成されている。そして、第22貫通孔347,第23貫通孔348,第24貫通孔349,第25貫通孔350は、封止側第1接合パターン321とは電気的に接続されていない。また、第1端子37及び第2端子38も、封止側第1接合パターン321とは電気的に接続されていない。
【0153】
第2封止部材4の一主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部42が設けられている。封止側第2封止部42には、水晶振動板2に接合するための封止側第2接合パターン421が形成されている。
【0154】
第2封止部材4の他主面412(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、外部に電気的に接続する一対の外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)が設けられている。一外部電極端子431,他外部電極端子432は、
図19,25に示すように第2封止部材4の他主面412の平面視長手方向両端にそれぞれ位置する。これら一対の外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)は、他主面412上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4311,4321と、下地PVD膜4311,4321上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4312,4322とからなる。
【0155】
第2封止部材4には、
図19,24,25に示すように、一主面411と他主面412との間を貫通する2つの貫通孔(第26貫通孔447,第27貫通孔448)が形成されている。第26貫通孔447(本発明でいう第2封止部材用貫通孔)は、一外部電極端子431及び水晶振動板2の第19貫通孔267に繋がるものである。第27貫通孔448(本発明でいう第2封止部材用貫通孔)は、他外部電極端子432及び水晶振動板2の第20貫通孔268に繋がるものである。第26貫通孔447及び第27貫通孔448は、第2封止部材4の平面視長手方向両端部にそれぞれ位置する。
【0156】
これら第26貫通孔447,第27貫通孔448には、
図19,24,25に示すように、一主面411と他主面412とに形成された電極の導通を図るための貫通電極71が、第26貫通孔447,第27貫通孔448の内壁面夫々に沿って形成されている。そして、第26貫通孔447,第27貫通孔448の中央部分は、一主面411と他主面412との間を貫通した中空状態の貫通部分72となる。第26貫通孔447,第27貫通孔448夫々の外周囲には、接続用接合パターン73が形成されている。また、一主面411には、封止側第2接合パターン421の内方に、水晶振動板2の第21貫通孔269の外周囲に設けられた接続用接合パターン73と接合する接続用接合パターン73が形成されている。接続用接合パターン73は、封止側第2接合パターン421と同様の構成であり、第2封止部材4の一主面411上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
【0157】
水晶振動子101Aでは、第26貫通孔447,第27貫通孔448は、平面視で内部空間13の外方に形成されている。そして、第26貫通孔447,第27貫通孔448は、封止側第2接合パターン421とは電気的に接続されていない。また、一外部電極端子431,他外部電極端子432も、封止側第2接合パターン421とは電気的に接続されていない。
【0158】
上記構成からなる水晶振動子101Aでは、従来の技術のように別途接着剤等の接合専用材を用いずに、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態で拡散接合されて、
図19に示すサンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。これにより、パッケージ12の内部空間13、つまり、振動部23の収容空間が気密封止される。なお、振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321自身が拡散接合後に生成される接合材11となり、振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421自身が拡散接合後に生成される接合材11となる。
【0159】
この際、第19貫通孔267,第20貫通孔268,第21貫通孔269,第22貫通孔347,第23貫通孔348,第24貫通孔349,第25貫通孔350,第26貫通孔447,第27貫通孔448夫々の外周囲の接続用接合パターン73同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。具体的には、第19貫通孔267及び第22貫通孔347の接続用接合パターン73同士が拡散接合される。第19貫通孔267及び第26貫通孔447の接続用接合パターン73同士が拡散接合される。また、第20貫通孔268及び第24貫通孔349の接続用接合パターン73同士が拡散接合される。第20貫通孔268及び第27貫通孔448の接続用接合パターン73同士が拡散接合される。また、第21貫通孔269及び第25貫通孔350の接続用接合パターン73同士が拡散接合される。第21貫通孔269の接続用接合パターン73は、第2封止部材4の一主面411に設けられた接続用接合パターン73と重ね合わせられた状態で拡散接合される。そして、それぞれの接続用接合パターン73同士が拡散接合後に生成される接合材14となる。第23貫通孔348の接続用接合パターン73は、水晶振動板2の第1励振電極221から引き出された第1引出電極223と重ね合わせられた状態で拡散接合される。そして、接続用接合パターン73及び第1引出電極223自身が拡散接合後に生成される接合材14となる。拡散接合によって形成されたこれらの接合材14は、貫通孔の貫通電極71同士を導通させる役割、及び接合箇所を気密封止する役割を果たす。尚、
図19では、封止用の接合材11の外方に設けられた接合材14を実線で示し、接合材11の内方に設けられた接合材14を破線で示している。
【0160】
本形態では、第1励振電極221が、第23貫通孔348、第1端子37、第22貫通孔347、第19貫通孔267、及び第26貫通孔447を経由して、一外部電極端子431に電気的に接続されている。また、第2励振電極222が、第21貫通孔269、第25貫通孔350、第2端子38、第24貫通孔349、第20貫通孔268、及び第27貫通孔448を経由して、他外部電極端子432に電気的に接続されていている。この際、第1励振電極221、第2励振電極222、一外部電極端子431、及び他外部電極端子432は、振動部23を気密封止するための接合材11(振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321,振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421)には電気的に接続されていない。つまり、第1励振電極221から一外部電極端子431までの電気的な接続経路を、第1封止部材3の一主面311上の第1端子37を経由させることで、この接続経路が接合材11と電気的に接続しないように設けられている。同様に、第2励振電極222から他外部電極端子432までの電気的な接続経路を、第1封止部材3の一主面311上の第2端子38を経由させることで、この接続経路が接合材11と電気的に接続しないように設けられている。
【0161】
パッケージ12では、第1封止部材3と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材4と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材3と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材4と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本形態のAu−Au接合では0.15μm〜1.00μm)である。
【0162】
水晶振動子101Aにおいては、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態では、圧電振動板用貫通孔(第19貫通孔267,第20貫通孔268)の貫通部分72と第2封止部材用貫通孔(第26貫通孔447,第27貫通孔448)の貫通部分72との少なくとも一部(本形態では貫通部分72の全て)が重畳する。また、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態では、圧電振動板用貫通孔(第19貫通孔267,第20貫通孔268)の貫通部分72と第1封止部材用貫通孔(第22貫通孔347,第24貫通孔349)の貫通部分72との少なくとも一部(本形態では貫通部分72の全て)が重畳する。そして、圧電振動板用貫通孔(第19貫通孔267,第20貫通孔268)の貫通部分72と、第1封止部材用貫通孔(第22貫通孔347,第24貫通孔349)の貫通部分72と、第2封止部材用貫通孔(第26貫通孔447,第27貫通孔448)の貫通部分72とでは、夫々少なくとも一部(本形態では貫通部分72の全て)が重畳する。第2封止部材用貫通孔、圧電振動板用貫通孔、及び第1封止部材用貫通孔の重畳部分は、パッケージ12の内部空間13の封止領域(接合材11の内周面の内側の領域)の外方に設けられている。本形態では、水晶振動板2の第21貫通孔269の貫通部分72と第1封止部材3の第25貫通孔350の貫通部分72との少なくとも一部(本形態では貫通部分72の全て)も重畳しており、第21貫通孔269及び第25貫通孔350の貫通部分72は、金属等により埋められている。なお、第21貫通孔269の貫通部分72と第25貫通孔350の貫通部分72とが重畳しないように、第21貫通孔269及び第25貫通孔350の位置をずらして設けてもよい。また、第21貫通孔269及び第25貫通孔350の貫通部分72を金属で埋めない構成としてもよい。
【0163】
上記のように製造された水晶振動子101Aは、回路基板61に、流動性導電接合材(半田)62を用いて電気的に接続される。ここで、外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)が回路基板61に電気的に接続された接合構造において、
図26,27に示すように、半田62により第2封止部材用貫通孔(第26貫通孔447,第27貫通孔448)の貫通部分72が埋められ、半田62により圧電振動板用貫通孔(第19貫通孔267,第20貫通孔268)の貫通部分72が埋められて、回路基板61に水晶振動子101Aが接合されている。なお、
図26に示す接合構造では、第19貫通孔267,第20貫通孔268,第22貫通孔347,第24貫通孔349,第26貫通孔447,第27貫通孔448の貫通部分72が全て半田62により埋められている。また、
図27に示す接合構造では、第19貫通孔267,第20貫通孔268,第26貫通孔447,第27貫通孔448の貫通部分72が全て半田62により埋められ、第22貫通孔347,第24貫通孔349の貫通部分72の一部が半田62により埋められている。
【0164】
本形態にかかる水晶振動子101Aによれば、圧電振動板用貫通孔(第19貫通孔267,第20貫通孔268)の貫通部分72と、第1封止部材用貫通孔(第22貫通孔347,第24貫通孔349)の貫通部分72と、第2封止部材用貫通孔(第26貫通孔447,第27貫通孔448)の貫通部分72との少なくとも一部(本形態では全部)が重畳するので、重畳する部分を確認することで、第1封止部材3と第2封止部材4と水晶振動板2との積層位置ズレを防止することができる。
【0165】
また、圧電振動板用貫通孔(第19貫通孔267,第20貫通孔268)の貫通部分72と、第1封止部材用貫通孔(第22貫通孔347,第24貫通孔349)の貫通部分72と、第2封止部材用貫通孔(第26貫通孔447,第27貫通孔448)の貫通部分72とでは、夫々少なくとも一部(本形態では全部)が重畳するので、回路基板61に電気的に接続するために用いる半田62に気泡が存在しても、第2封止部材用貫通孔、圧電振動板用貫通孔、及び第1封止部材用貫通孔の重畳部分を通って、第1封止部材3の一主面311から外部に半田62の気泡を抜くことができる。
【0166】
これに加え、外部電極端子(一外部電極端子431、他外部電極端子432)を回路基板61に半田62により電気的に接続した際に、半田62が外部電極端子から第2封止部材用貫通孔(第26貫通孔447,第27貫通孔448)に伝って、第2封止部材用貫通孔の貫通部分72へ這い上がる。また、半田62の使用量が多ければ、第2封止部材用貫通孔の貫通部分72が埋まる(
図26参照)。この際、貫通部分72へ這い上がった半田62の侵食作用によって、水晶振動板2の振動部23を気密封止した内部空間13の気密性の低下が懸念される。しかし、本形態によれば、水晶振動板2の第1励振電極221から一外部電極端子431までの経路の長さとして、さらには、水晶振動板2の第2励振電極222から他外部電極端子432までの経路の長さとして、長い距離を確保できるので、内部空間13の気密性低下への半田62の侵食作用の影響を抑制することができる。また、水晶振動板2の振動部23を気密封止した内部空間13の封止領域の外方(気密性が関係ない領域)に、第2封止部材用貫通孔、圧電振動板用貫通孔、及び第1封止部材用貫通孔の重畳部分が設けられているので、半田62の侵食作用に起因する内部空間13の気密性低下をより一層抑制することができる。
【0167】
また、水晶振動子101Aを回路基板61に半田62を用いて接合する際、半田62が外部電極端子(一外部電極端子431、他外部電極端子432)から第2封止部材用貫通孔に伝って、貫通孔(第2封止部材用貫通孔、圧電振動板用貫通孔、第1封止部材用貫通孔)の貫通部分72に這い上がり、貫通孔の貫通部分72が埋まる。そのため、回路基板61への水晶振動子101Aの接合時に発生する接合応力が、貫通孔の貫通部分72に這い上がった半田62の量に相当する分だけ分散されるので、接合時に外部電極端子にかかる接合応力を低減させることが可能になる。
【0168】
また、内部空間13の封止領域内に設けられた振動部23から離れた位置に貫通孔(圧電振動板用貫通孔、第1封止部材用貫通孔、第2封止部材用貫通孔)が設けられているので、水晶振動子101Aの回路基板61への接合時、貫通孔の貫通部分72が水晶振動板2等とは熱膨張率の異なる半田62で埋まったとしても、発生する接合応力の水晶振動板2の振動部23への影響を抑制することが可能になる。
【0169】
詳細には、水晶振動子101Aの回路基板61への接合時、貫通孔の貫通部分72が半田62で埋まった場合、半田62と水晶振動板2等との熱膨張率差に起因して発生する応力によって、水晶振動板2の振動部23に悪影響を及ぼすことが懸念される。しかし、本形態によれば、貫通孔の貫通部分72が半田62で埋まったとしても、水晶振動板2の振動部23と貫通孔とが離れた位置に配置されるので、熱膨張率差に起因する上記応力の水晶振動板2の振動部23への影響を抑制することが可能になる。また、水晶振動板2の振動部23と貫通孔との間に、封止領域の封止部(接合材11により接合される領域)が介在されることになるので、熱膨張率差に起因する上記応力が、貫通孔に埋まった半田62から水晶振動板2の振動部23へ直接伝達されることがなくなる。このように、熱膨張率差に起因する上記応力の伝達が、封止領域の封止部(接合材11により接合される領域)によって遮られるため、水晶振動板2の振動部23へ伝達される応力を低減することが可能になる。
【0170】
また、第1封止部材3の一主面311(水晶振動板2に面しない外方の主面)に第1端子37及び第2端子38が設けられているので、第1端子37及び第2端子38を水晶振動板2の検査用端子として利用することで、水晶振動板2の検査を容易に行うことができる。具体的には、水晶振動子101Aを回路基板61に搭載する前だけではなく、水晶振動子101Aを回路基板61に搭載した後においても、水晶振動板2の検査を容易に行うことができる。また、これに限らず、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合された状態(第2封止部材4が接合されていない状態)においても、水晶振動板2の検査を容易に行うことができる。しかも、第1端子37及び第2端子38の大きさや形状を容易に変更するができ、これにより、外部電極端子(一外部電極端子431、他外部電極端子432)から見た水晶振動板2の容量を要求に応じて微調整することができる。
【0171】
この出願は、2014年1月6日に日本で出願された特願2014−000486号に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。