特許第6645842号(P6645842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645842
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】歯磨き指導システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/493 20060101AFI20200203BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20200203BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20200203BHJP
   A61C 17/34 20060101ALI20200203BHJP
   A46B 15/00 20060101ALI20200203BHJP
   A46B 13/02 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   H04M3/493
   H04M11/00 302
   H04M1/00 U
   A61C17/34 B
   A46B15/00 K
   A46B13/02
【請求項の数】19
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2016-10496(P2016-10496)
(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公開番号】特開2017-130873(P2017-130873A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021658
【氏名又は名称】株式会社ミック
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【弁理士】
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(72)【発明者】
【氏名】吉田 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝英
(72)【発明者】
【氏名】刀根 正
【審査官】 石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−240760(JP,A)
【文献】 特開2002−007577(JP,A)
【文献】 特表2012−524643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B1/00−17/08
A46D 1/00−99/00
A61C 17/22
17/24
17/26
17/28
17/30
17/32
17/34
17/36
17/38
17/40
H03J 9/00−9/06
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動歯ブラシ装置と利用者装置と指導者装置とを備えた歯磨指導システムであって、
前記電動歯ブラシ装置は、
少なくともブラシの動作を制御するための動作制御データを、直接または他の装置を介して、前記指導者装置から取得して記録部に記録する動作制御データ取得手段と、
前記動作制御データに基づいて、ブラシの動作を制御する制御手段と、
利用者が指導データに基づいて出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサと、
前記センサの検出データを前記利用者装置に送信する検出データ送信手段とを備え、
前記利用者装置は、
少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための利用者装置記録部と、
修正された指導データを取得して、利用者装置記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、
前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、
前記電動歯ブラシ装置からの検出データと前記指導データに基づいて、歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段と、
解析データを、直接または他の装置を介して指導者装置に送信する解析データ送信手段とを備え、
前記指導者装置は、
前記解析データを取得して出力する解析データ出力手段と、
前記出力された解析データに基づいて、指導者による指導データまたは動作制御データの修正を受け付けて、指導データまたは動作制御データを修正するデータ修正手段と、
修正された指導データを、直接または他の装置を介して、前記利用者装置に送信し、修正された動作制御データを、直接または他の装置を介して、前記電動歯ブラシ装置に送信するデータ送信手段とを備えたことを特徴とする歯磨き指導システム。
【請求項2】
請求項の歯磨き指導システムにおいて、
解析データを記録するためのサーバ装置記録部と、
前記利用者装置の前記解析データ送信手段から解析データを受信し、サーバ装置記録部に記録する解析データ取得・記録手段と、
前記サーバ装置記録部から解析データを読み出して、指導者装置に送信する解析データ読出・送信手段と、
を備えたサーバ装置をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項の歯磨き指導システムにおいて、
指導データを記録するためのサーバ装置記録部と、
前記指導者装置の前記指導データ送信手段から指導データまたは動作制御データを受信し、サーバ装置記録部に記録するデータ取得・記録手段と、
前記サーバ装置記録部から指導データまたは動作制御データを読み出して、直接または他の装置を介して、利用者装置または電動歯ブラシ装置に送信するデータ読出・送信手段と、
を備えたサーバ装置をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための記録部と、
修正された指導データを取得して、記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、
前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、
利用者が出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサからの検出データを、電動歯ブラシ装置から受信する検出データ受信手段と、
指導者装置において、解析装置からの解析データを参照して、指導者が指導データまたは電動歯ブラシ装置のブラシの動作を制御するための動作制御データを修正できるように、前記電動歯ブラシ装置からの検出データに基づいて、歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段と、
を備えた利用者装置。
【請求項5】
コンピュータによって利用者装置を実現するための利用者プログラムであって、コンピュータを、
修正された指導データを取得して、記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、
前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、
利用者が出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサからの検出データを、電動歯ブラシ装置から受信する検出データ受信手段と、
指導者装置において、解析装置からの解析データを参照して、指導者が指導データまたは電動歯ブラシ装置のブラシの動作を制御するための動作制御データを修正できるように、前記電動歯ブラシ装置からの検出データに基づいて、歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段として機能させるための利用者プログラム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記解析手段は、前記検出データおよび前記指導データに基づいて、前記解析データを生成することを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記ガイダンス出力手段は、解析データに基づいて、使用中の電動歯ブラシのブラシの位置または姿勢が、指導データによって指導されているブラシの位置または姿勢に合致しているか否かをリアルタイムに出力することを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記指導データには、歯の各部位ごとのブラシの姿勢と各部位における歯磨き時間が含まれており、
前記ガイダンス出力手段は、解析データに基づいて、指導データによって指導されているブラシの姿勢に合致して歯磨きがなされた時間を、各部位ごとに積算し、当該積算時間が指導されている時間に到達すれば、次の部位を歯磨きするように促す出力を行うことを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかのシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記解析手段は、検出データに加えて、指導データによるブラシの当て方を参照して、少なくともブラシの位置または姿勢を推定することを特徴とするシステム、装置またはプ
ログラム。
【請求項10】
請求項のシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記指導データに基づくガイダンスは、ブラシを当てる歯の位置および姿勢を順番に指定するものであり、
当該順番は、隣接する順番において、位置変化または姿勢変化に対して前記センサの検出精度が高い変化を含むように指定されていることを特徴とするシステム、装置またはプログラム。
【請求項11】
検出データと指導データに基づいて歯ブラシ状況の解析を行って生成された解析データを取得して出力する解析データ出力手段と、
前記出力された解析データに基づいて、指導者による指導データまたは動作制御データの修正を受け付けて、指導データまたは動作制御データを修正する指導データ修正手段と、
修正された指導データを、直接または他の装置を介して、利用者装置に送信し、修正された動作制御データを、直接または他の装置を介して、電動歯ブラシ装置に送信するデータ送信手段と、
を備えた指導者装置。
【請求項12】
コンピュータによって指導者装置を実現するための指導者プログラムであって、コンピュータを、
検出データと指導データに基づいて歯ブラシ状況の解析を行って生成された解析データを取得して出力する解析データ出力手段と、
前記出力された解析データに基づいて、指導者による指導データまたは動作制御データの修正を受け付けて、指導データまたは動作制御データを修正する指導データ修正手段と、
修正された指導データを、直接または他の装置を介して、利用者装置に送信し、修正された動作制御データを、直接または他の装置を介して、電動歯ブラシ装置に送信するデータ送信手段として機能させるための指導者プログラム。
【請求項13】
少なくともブラシの動作を制御するための動作制御データを、直接または他の装置を介して、指導者装置から取得して記録部に記録する動作制御データ取得手段と、
前記動作制御データに基づいて、ブラシの動作を制御する制御手段と、
利用者が出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサと、
前記指導者装置において、指導者が前記動作制御データを修正する際に、前記センサの検出データに基づく解析データを参照できるように、前記センサの検出データを直接または他の装置を介して利用者装置に送信する検出データ送信手段と、
を備えた電動歯ブラシ装置。
【請求項14】
請求項13の電動歯ブラシ装置において、
前記指導データを取得して記録部に記録する指導データ取得手段と、
前記センサの検出データに基づいて推定されるブラシの少なくとも位置または姿勢が、前記指導データによって示されるブラシの位置または姿勢と合致しないことを検出し、表示部に注意表示を行う注意表示手段と、
をさらに備えた電動歯ブラシ装置。
【請求項15】
請求項13の電動歯ブラシ装置において、
前記指導データには、歯の各部位ごとのブラシの姿勢と各部位における歯磨き時間が含まれており、
前記指導データを取得して記録部に記録する指導データ取得手段と、
前記センサの検出データに基づいて推定されるブラシの少なくとも位置または姿勢に基づいて、指導データによって指導されているブラシの姿勢に合致して歯磨きがなされた時間を、各部位ごとに積算し、当該積算時間が指導されている時間に到達すれば、次の部位を歯磨きするように促す表示を行う注意表示手段と、
をさらに備えた電動歯ブラシ装置。
【請求項16】
請求項1〜15のシステム、装置またはプログラムにおいて、
前記指導データと動作制御データは、ひとかたまりのデータとされていることを特徴とするシステムまたは装置。
【請求項17】
電動歯ブラシ装置と制御管理装置とを備えた歯磨指導システムであって、
前記電動歯ブラシ装置は、
少なくともブラシの動作を制御するための動作制御データを、前記制御管理装置から取得して記録部に記録する動作制御データ取得手段と、
前記動作制御データに基づいて、ブラシの動作を制御する制御手段と、
前記制御管理装置において指導データに基づいて出力されたガイダンスにしたがって、利用者が歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサと、
前記センサの検出データを前記制御管理装置に送信する検出データ送信手段とを備え、
前記制御管理装置は、
少なくともブラシの当て方データを含む指導データおよび動作制御データを記録するための記録部と、
修正された指導データを取得して、記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、
前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、
前記電動歯ブラシ装置からの検出データに基づいて歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段と、
出力された前記解析データに基づいて、指導者による指導データまたは動作制御データの修正を受け付けて、指導データまたは動作制御データを修正するデータ修正手段とを備えたことを特徴とする歯磨き指導システム。
【請求項18】
少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための利用者装置記録部と、
前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、
利用者が出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサからの検出データを、電動歯ブラシ装置から受信する検出データ受信手段と、
前記電動歯ブラシ装置からの検出データと前記利用者装置記録部に記録された前記指導データの両方に基づいて、前記電動歯ブラシ装置の位置または姿勢を推定する推定手段と、
を備えた利用者装置。
【請求項19】
コンピュータによって利用者装置を実現するための利用者プログラムであって、コンピュータを、
少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための利用者装置記録部と、
前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、
利用者が出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサからの検出データを、電動歯ブラシ装置から受信する検出データ受信手段と、
前記電動歯ブラシ装置からの検出データと前記利用者装置記録部に記録された前記指導データの両方に基づいて、前記電動歯ブラシ装置の位置または姿勢を推定する推定手段として機能させるための利用者プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歯磨きを指導するためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシによる歯磨きは、各個人で長年にわたって繰り返し実施されてきたものであるが、それ故個人ごとの磨き癖が出てしまい、全体を適切に実施することは難しいのが現状である。実際、多くの歯科医院では磨き残しを改善するために歯ブラシ指導が日常的に実施されているのも、個人ごとの磨き癖の存在がそれら要因の一つとなっている。
【0003】
また、歯科医や歯科衛生士などによる指導者による指導を受けても、一時的な改善にとどまり長期にわたってそれを維持することは難しいのが現状である。
【0004】
この問題を解決するため、ブラシの角度や位置をセンサによって検出し、ブラッシングの適否を評価する装置が提案されている。
【0005】
たとえば、特許文献1の装置では、加速度センサおよび接触検知センサによってブラシの三次元姿勢を検出し、ブラシの姿勢に基づいてブラッシング部位を推定するようにしている。また、各部位におけるブラッシング時間を計測する。このようにして、各部位におけるブラシ角、ブラッシング時間などを算出して、その適否を判断するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−240760
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来技術では、歯ブラシを行う各個人に対応した適切なブラッシングを設定することは難しかった。さらに、同じ人であっても、歯の状態によって、適切なブラッシングの仕方は変わるものであるにもかかわらず、これに対応することはできなかった。特に、歯の状態を見て、適切なブラッシング方法を見いだすには専門家の指導が必要であり、従来技術ではこのような点が十分に配慮されていなかった。
【0008】
本発明は、少なくとも上記のいずれかの問題を解決して、指導者の指導により、歯の状況に応じて適切なブラッシングを行うことのできる歯磨き指導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の独立して適用可能な特徴を以下に列挙する。
【0010】
(1)この発明に係る歯磨き指導システムは、電動歯ブラシ装置と利用者装置と指導者装置とを備えた歯磨指導システムであって、
前記電動歯ブラシ装置は、利用者が指導データに基づいて出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサと、前記センサの検出データを前記利用者装置に送信する検出データ送信手段とを備え、
前記利用者装置は、少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための利用者装置記録部と、修正された指導データを取得して、利用者装置記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、前記電動歯ブラシ装置からの検出データに基づいて、歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段と、解析データを、直接または他の装置を介して指導者装置に送信する解析データ送信手段とを備え、
前記指導者装置は、前記解析データを取得して出力する解析データ出力手段と、前記出力された解析データに基づいて、指導者による指導データの修正を受け付けて、指導データを修正する指導データ修正手段と、修正された指導データを、直接または他の装置を介して、前記利用者装置に送信する指導データ送信手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0012】
(2)この発明に係る歯磨き指導システムは、解析データを記録するためのサーバ装置記録部と、前記利用者装置の前記解析データ送信手段から解析データを受信し、サーバ装置記録部に記録する解析データ取得・記録手段と、前記サーバ装置記録部から解析データを読み出して、指導者装置に送信する解析データ読出・送信手段とを備えたサーバ装置をさらに備えることを特徴としている。
【0013】
したがって、解析データをサーバ装置において管理することができる。
【0014】
(3)この発明に係る歯磨きシステムは、指導データを記録するためのサーバ装置記録部と、前記指導者装置の前記指導データ送信手段から指導データを受信し、サーバ装置記録部に記録する指導データ取得・記録手段と、前記サーバ装置記録部から指導データを読み出して、利用者装置に送信する指導データ読出・送信手段とを備えたサーバ装置をさらに備えることを特徴としている。
【0015】
したがって、指導データをサーバ装置において管理することができる。
【0016】
(4)(5)この発明に係る利用者装置は、少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための利用者装置記録部と、修正された指導データを取得して、利用者装置記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、利用者が出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサからの検出データを、電動歯ブラシ装置から受信する検出データ受信手段と、指導者装置において、解析データを参照して、指導者が指導データを修正できるように、前記電動歯ブラシ装置からの検出データに基づいて、歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段とを備えている。
【0017】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0018】
(6)この発明にかかる利用者装置は、解析手段が、前記検出データおよび前記指導データに基づいて、前記解析データを生成することを特徴としている。
【0019】
したがって、磨き方が指導どおりであるかを解析することができる。
【0020】
(7)この発明に係る利用者装置は、ガイダンス出力手段が、解析データに基づいて、使用中の電動歯ブラシのブラシの位置または姿勢が、指導データによって指導されているブラシの位置または姿勢に合致しているか否かをリアルタイムに出力することを特徴としている。
【0021】
したがって、歯磨き中に、指導どおりに磨けているかどうかを知らせることができる。
【0022】
(8)この発明に係る利用者装置は、指導データには、歯の各部位ごとのブラシの姿勢と各部位における歯磨き時間が含まれており、ガイダンス出力手段は、解析データに基づいて、指導データによって指導されているブラシの姿勢に合致して歯磨きがなされた時間を、各部位ごとに積算し、当該積算時間が指導されている時間に到達すれば、次の部位を歯磨きするように促す出力を行うことを特徴としている。
【0023】
したがって、指導どおりの歯磨きを実現する装置を提供することができる。
【0024】
(9)この発明に係る利用者装置は、解析手段が、検出データに加えて、指導データによるブラシの当て方を参照して、少なくともブラシの位置または姿勢を推定することを特徴としている。
【0025】
したがって、より正確に推定を行うことができる。
【0026】
(10)この発明に係る利用者装置は、指導データに基づくガイダンスは、ブラシを当てる歯の位置および姿勢を順番に指定するものであり、当該順番は、隣接する順番において、位置変化または姿勢変化に対して前記センサの検出精度が高い変化を含むように指定されていることを特徴としている。
【0027】
したがって、センサの検出精度を補って、より正確な推定を行うことができる。
【0028】
(11)(12)この発明に係る指導者装置は、検出データに基づいて歯ブラシ状況の解析を行って生成された解析データを取得して出力する解析データ出力手段と、前記出力された解析データに基づいて、指導者による指導データの修正を受け付けて、指導データを修正する指導データ修正手段と、修正された指導データを、直接または他の装置を介して、利用者装置に送信する指導データ送信手段とを備えている。
【0029】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0030】
(13)この発明に係る電動歯ブラシ装置は、利用者が指導データに基づいて出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサと、指導者装置において、指導者が前記指導データを修正する際に、前記センサの検出データに基づく解析データを参照できるように、前記センサの検出データを利用者装置に送信する検出データ送信手段とを備えている。
【0031】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0032】
(14)この発明に係る電動歯ブラシ装置は、前記指導データを取得して記録部に記録する指導データ取得手段と、前記センサの検出データに基づいて推定されるブラシの少なくとも位置または姿勢が、前記指導データによって示されるブラシの位置または姿勢と合致しないことを検出し、表示部に注意表示を行う注意表示手段とをさらに備えている。
【0033】
したがって、指導どおりに歯磨きを行うように注意を与えることができる。
【0034】
(15)この発明に係る電動歯ブラシ装置は、前記指導データには、歯の各部位ごとのブラシの姿勢と各部位における歯磨き時間が含まれており、前記指導データを取得して記録部に記録する指導データ取得手段と、前記センサの検出データに基づいて推定されるブラシの少なくとも位置または姿勢に基づいて、指導データによって指導されているブラシの姿勢に合致して歯磨きがなされた時間を、各部位ごとに積算し、当該積算時間が指導されている時間に到達すれば、次の部位を歯磨きするように促す表示を行う注意表示手段とをさらに備ている。
【0035】
したがって、指導どおりの歯磨きを実現する電動歯ブラシを提供することができる。
【0036】
(16)この発明に係る電動歯ブラシは、電動歯ブラシ装置と制御管理装置とを備えた歯磨指導システムであって、
前記電動歯ブラシ装置は、前記制御管理装置において指導データに基づいて出力されたガイダンスにしたがって、利用者が歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサと、前記センサの検出データを前記制御管理装置に送信する検出データ送信手段とを備え、
前記制御管理装置は、少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための記録部と、修正された指導データを取得して、記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、前記電動歯ブラシ装置からの検出データに基づいて歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段と、出力された前記解析データに基づいて、指導者による指導データの修正を受け付けて、指導データを修正する指導データ修正手段とを備えたことを特徴としている。
【0037】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0038】
(17)この発明に係る歯磨指導システムは、電動歯ブラシ装置と利用者装置と指導者装置とを備えた歯磨指導システムであって、
前記電動歯ブラシ装置は、少なくともブラシの動作を制御するための動作制御データを、直接または他の装置を介して、前記指導者装置から取得して記録部に記録する動作制御データ取得手段と、前記動作制御データに基づいて、ブラシの動作を制御する制御手段と、利用者が指導データに基づいて出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサと、前記センサの検出データを前記利用者装置に送信する検出データ送信手段とを備え、
前記利用者装置は、少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための利用者装置記録部と、修正された指導データを取得して、利用者装置記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、前記電動歯ブラシ装置からの検出データと前記指導データに基づいて、歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段と、解析データを、直接または他の装置を介して指導者装置に送信する解析データ送信手段とを備え、
前記指導者装置は、前記解析データを取得して出力する解析データ出力手段と、前記出力された解析データに基づいて、指導者による指導データまたは動作制御データの修正を受け付けて、指導データまたは動作制御データを修正するデータ修正手段と、修正された指導データを、直接または他の装置を介して、前記利用者装置に送信し、修正された動作制御データを、直接または他の装置を介して、前記電動歯ブラシ装置に送信するデータ送信手段とを備えたことを特徴としている。
【0039】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データ・動作制御データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0040】
(18)この発明に係る歯磨き指導システムは、解析データを記録するためのサーバ装置記録部と、前記利用者装置の前記解析データ送信手段から解析データを受信し、サーバ装置記録部に記録する解析データ取得・記録手段と、前記サーバ装置記録部から解析データを読み出して、指導者装置に送信する解析データ読出・送信手段とを備えたサーバ装置をさらに備えている。
【0041】
したがって、サーバ装置にて解析データの管理を行うことができる。
【0042】
(19)この発明に係る歯磨き指導システムは、指導データを記録するためのサーバ装置記録部と、前記指導者装置の前記指導データ送信手段から指導データまたは動作制御データを受信し、サーバ装置記録部に記録するデータ取得・記録手段と、前記サーバ装置記録部から指導データまたは動作制御データを読み出して、直接または他の装置を介して、利用者装置または電動歯ブラシ装置に送信するデータ読出・送信手段とを備えたサーバ装置をさらに備えることを特徴としている。
【0043】
したがって、サーバ装置にて指導データまたは動作制御データの管理を行うことができる。
【0044】
(20)(21)この発明に係る利用者装置は、少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための記録部と、修正された指導データを取得して、記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、利用者が出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサからの検出データを、電動歯ブラシ装置から受信する検出データ受信手段と、指導者装置において、解析装置からの解析データを参照して、指導者が指導データまたは電動歯ブラシ装置のブラシの動作を制御するための動作制御データを修正できるように、前記電動歯ブラシ装置からの検出データに基づいて、歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段とを備えている。
【0045】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データ・動作制御データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0046】
(22)この発明に係る利用者装置は、解析手段が、前記検出データおよび前記指導データに基づいて、前記解析データを生成することを特徴としている。
【0047】
したがって、磨き方が指導どおりであるかどうかを解析することができる。
【0048】
(23)この発明に係る利用者装置は、ガイダンス出力手段が、解析データに基づいて、使用中の電動歯ブラシのブラシの位置または姿勢が、指導データによって指導されているブラシの位置または姿勢に合致しているか否かをリアルタイムに出力することを特徴としている。
【0049】
したがって、指導データ通りに磨けているかどうかを示すことができる。
【0050】
(24)この発明に係る利用者装置は、指導データには、歯の各部位ごとのブラシの姿勢と各部位における歯磨き時間が含まれており、前記ガイダンス出力手段は、解析データに基づいて、指導データによって指導されているブラシの姿勢に合致して歯磨きがなされた時間を、各部位ごとに積算し、当該積算時間が指導されている時間に到達すれば、次の部位を歯磨きするように促す出力を行うことを特徴としている。
【0051】
したがって、指導どおりに磨くことを実現する装置を提供できる。
【0052】
(25)この発明に係る利用装置は、解析手段が、検出データに加えて、指導データによるブラシの当て方を参照して、少なくともブラシの位置または姿勢を推定することを特徴としている。
【0053】
したがって、より正確に推定を行うことができる。
【0054】
(26)この発明に係る利用者装置は、指導データに基づくガイダンスは、ブラシを当てる歯の位置および姿勢を順番に指定するものであり、当該順番は、隣接する順番において、位置変化または姿勢変化に対して前記センサの検出精度が高い変化を含むように指定されていることを特徴としている。
【0055】
したがって、センサの検出精度を補って、より正確な推定を行うことができる。
【0056】
(27)(28)この発明に係る指導者装置は、検出データと指導データに基づいて歯ブラシ状況の解析を行って生成された解析データを取得して出力する解析データ出力手段と、前記出力された解析データに基づいて、指導者による指導データまたは動作制御データの修正を受け付けて、指導データまたは動作制御データを修正する指導データ修正手段と、修正された指導データを、直接または他の装置を介して、利用者装置に送信し、修正された動作制御データを、直接または他の装置を介して、電動歯ブラシ装置に送信するデータ送信手段とを備えている。
【0057】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データ・動作制御データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0058】
(29)この発明に係る電動歯ブラシ装置は、少なくともブラシの動作を制御するための動作制御データを、直接または他の装置を介して、指導者装置から取得して記録部に記録する動作制御データ取得手段と、前記動作制御データに基づいて、ブラシの動作を制御する制御手段と、利用者が出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサと、前記指導者装置において、指導者が前記動作制御データを修正する際に、前記センサの検出データに基づく解析データを参照できるように、前記センサの検出データを直接または他の装置を介して利用者装置に送信する検出データ送信手段とを備えている。
【0059】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データ・動作制御データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0060】
(30)この発明に係る電動歯ブラシ装置は、指導データを取得して記録部に記録する指導データ取得手段と、前記センサの検出データに基づいて推定されるブラシの少なくとも位置または姿勢が、前記指導データによって示されるブラシの位置または姿勢と合致しないことを検出し、表示部に注意表示を行う注意表示手段とをさらに備えている。
【0061】
したがって、指導どおりに磨けているかどうかを示すことができる。
【0062】
(31)この発明に係る電動歯ブラシ装置は、指導データには、歯の各部位ごとのブラシの姿勢と各部位における歯磨き時間が含まれており、前記指導データを取得して記録部に記録する指導データ取得手段と、前記センサの検出データに基づいて推定されるブラシの少なくとも位置または姿勢に基づいて、指導データによって指導されているブラシの姿勢に合致して歯磨きがなされた時間を、各部位ごとに積算し、当該積算時間が指導されている時間に到達すれば、次の部位を歯磨きするように促す表示を行う注意表示手段とをさらに備えている。
【0063】
したがって、指導どおりの歯磨きを実現する装置を提供することができる。
【0064】
(32)この発明に係る電動歯ブラシ装置は、指導データと動作制御データは、ひとかたまりのデータとされていることを特徴としている。
【0065】
したがって、取り扱いが容易である。
【0066】
(33)この発明に係る歯磨き指導システムは、電動歯ブラシ装置と制御管理装置とを備えた歯磨指導システムであって、
前記電動歯ブラシ装置は、少なくともブラシの動作を制御するための動作制御データを、前記制御管理装置から取得して記録部に記録する動作制御データ取得手段と、前記動作制御データに基づいて、ブラシの動作を制御する制御手段と、前記制御管理装置において指導データに基づいて出力されたガイダンスにしたがって、利用者が歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサと、前記センサの検出データを前記制御管理装置に送信する検出データ送信手段とを備え、
前記制御管理装置は、少なくともブラシの当て方データを含む指導データおよび動作制御データを記録するための記録部と、修正された指導データを取得して、記録部に記録された指導データを更新する指導データ更新手段と、前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、前記電動歯ブラシ装置からの検出データに基づいて歯ブラシ状況の解析を行い、解析データを生成する解析手段と、出力された前記解析データに基づいて、指導者による指導データまたは動作制御データの修正を受け付けて、指導データまたは動作制御データを修正するデータ修正手段とを備えたことを特徴としている。
【0067】
したがって、歯磨き状況に応じて指導者によって指導データ・動作制御データを修正し、適切な歯磨きを行うように指導することができる。
【0068】
(34)(35)この発明に係る利用者装置は、少なくともブラシの当て方データを含む指導データを記録するための利用者装置記録部と、前記指導データに基づいて、少なくともブラシを当てる位置または姿勢を示すガイダンスを出力するガイダンス出力手段と、利用者が出力されたガイダンスにしたがって歯ブラシを行う際のブラシの少なくとも位置または姿勢を検出するためのセンサからの検出データを、電動歯ブラシ装置から受信する検出データ受信手段と、前記電動歯ブラシ装置からの検出データに基づいて、前記電動歯ブラシ装置の位置または姿勢を推定する推定手段とを備えた利用者装置において、前記推定手段は、指導データによって示される位置または姿勢を考慮して、前記推定を行うことを特徴としている。
【0069】
したがって、センサの検出精度を補って、より正確な推定を行うことができる。
【0070】
「位置または姿勢を検出するためのセンサ」とは、少なくとも位置または姿勢のいずれかを決定・推定するために用いるデータを出力するセンサをいう。実施形態では、加速度センサ31、ジャイロセンサ33、位置・姿勢センサ931などがこれに該当する。
【0071】
「検出データ送信手段」は、実施形態においては、ステップS34がこれに対応する。
【0072】
「利用者装置記録部」は、実施形態においては、不揮発性メモリ45がこれに対応する。
【0073】
「指導データ更新手段」は、実施形態においては、ステップS67がこれに対応する。
【0074】
「ガイダンス出力手段」は、実施形態においては、ステップS58がこれに対応する。
【0075】
「解析手段」は、実施形態においては、ステップS65がこれに対応する。
【0076】
「解析データ送信手段」は、実施形態においては、ステップS66がこれに対応する。
【0077】
「解析データ出力手段」は、実施形態においては、ステップS74がこれに対応する。
【0078】
「指導データ修正手段」は、実施形態においては、ステップS75がこれに対応する。
【0079】
「指導データ送信手段」は、実施形態においては、ステップS76がこれに対応する。
【0080】
「動作制御データ取得手段」は、実施形態においては、ステップS671がこれに対応する。
【0081】
「制御手段」は、実施形態においては、ステップS341がこれに対応する。
【0082】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】第1の実施形態による歯磨き指導システムの機能ブロック図である。
図2】歯磨き指導システムのシステム構成図である。
図3】電動歯ブラシ2の外観を示す図である。
図4】電動歯ブラシ装置2のハードウエア構成である。
図5】スマートフォン4aのハードウエア構成である。
図6】指導者装置6のハードウエア構成である。
図7】サーバ装置8のハードウエア構成である。
図8】ペアリング処理のフローチャートである。
図9a】歯磨き指導処理のフローチャートである。
図9b】歯磨き指導処理のフローチャートである。
図10】歯磨き指導処理のフローチャートである。
図11】歯磨き指導処理のフローチャートである。
図12】ガイダンス画面例である。
図13】電動歯ブラシ装置2のLEDとスイッチを示す図である。
図14】ガイダンス画面例である。
図15図15Aは指導データの例である。図15Bは各部位を示す図である。
図16】電動歯ブラシ装置2の基本位置・基本姿勢を示す図である。
図17】センサデータに基づいて、部位を特定する処理を説明するための図である。
図18】診察時処理のフローチャートである。
図19】解析画面を示す図である。
図20】磨き方設定画面(指導データ修正画面)を示す図である。
図21】第2の実施形態による歯磨き指導システムの機能ブロック図である。
図22】電動歯ブラシ装置2のハードウエア構成である。
図23a】歯磨き指導処理のフローチャートである。
図23b】歯磨き指導処理のフローチャートである。
図24】歯磨き指導処理のフローチャートである。
図25】歯磨き指導処理のフローチャートである。
図26】動作制御データの例である。
図27】診察時処理のフローチャートである。
図28】磨き方設定画面(指導データ・動作制御データ修正画面)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
1.第1の実施形態
1.1全体構成
図1に、この発明の一実施形態による歯磨き指導システムの全体構成を示す。このシステムは、電動歯ブラシ装置2、利用者のスマートフォンなどの利用者装置4、歯科医師のPCなどの指導者装置6、サーバ装置8を備えている。
【0085】
利用者装置4のガイダンス出力手段44は、利用者装置記録部46に記録されている指導データに基づいて、歯磨きのガイダンスをディスプレイなどに出力する。利用者は、このガイダンスを参照しながら、電動歯ブラシ2にて歯磨きを行う。
【0086】
電動歯ブラシ装置2のセンサ24は、ブラシの位置および姿勢を推定するための検出データを出力する。検出データは、検出データ送信手段22によって、利用者装置4に送信される。
【0087】
利用者装置4の解析手段42は、検出データおよび指導データに基づいて、歯ブラシ状況を解析する。解析データは、解析データ送信手段50によって、サーバ装置8に送信される。
【0088】
サーバ装置8の解析データ取得・記録手段82は、取得した解析データをサーバ装置記録部84に記録する。解析データ読出・送信手段86は、指導者装置6からの要求を受けて、サーバ装置記録部84に記録されている解析データを送信する。
【0089】
指導者装置6の解析データ出力手段62は、サーバ装置8から受信した解析データを、ディスプレイなどに表示する。歯科医師などの指導者は、この解析データを参照し、ガイダンスとして表示するための指導データを修正するための指示を入力する。指導データ修正手段64は、これを受けて、指導データを修正する。
【0090】
指導データ送信手段66は、サーバ装置8を介して、利用者装置4に対して修正された指導データを送信する。利用者装置4の指導データ更新手段48は、利用者装置記録部46に記録されている指導データを、受信した指導データによって更新する。したがって、次回からのガイダンスは、歯ブラシ状況に基づいて歯科医師などが修正した指導データに基づいて行われることになる。したがって、指導者による適切な歯磨き指導を行って、これを実践することができる。
【0091】
1.2ハードウエア構成
(1)システム構成
図2に、歯磨き指導システムのシステム構成例を示す。電動歯ブラシ2と利用者装置であるスマートフォン4aは、ブルーツース通信によって通信可能である。サーバ装置8は、インターネット5の上のサーバとして構築されている。指導者装置6は、インターネット5に接続可能なPCとして構築されている。
【0092】
(2)電動歯ブラシ装置2のハードウエア構成
図4に、電動歯ブラシ装置2のハードウエア構成を示す。CPU20には、スイッチ21a、21b、21c、LED23a、23b、23c、23d、23e、近距離通信回路25、不揮発性メモリ27、ブラシ制御部29、加速度センサ31、ジャイロセンサ33が接続されている。
【0093】
電源スイッチ21cは、使用者の操作によって、ブラシ制御部29に対し、駆動もしくは停止の信号を与えるものである。開始スイッチ21aは、処理開始などの指示を与えるためのスイッチである。選択スイッチ21bは、選択などの指示を与えるためのスイッチである。
【0094】
告知LED23aは、注意喚起などを表示するためのものである。ユーザ表示LED23b〜23eは、いずれのユーザであるかを示すための表示である。
【0095】
近距離通信回路25は、ブルーツース規格に基づく通信を行う回路である。ブラシ制御部29は、ブラシの駆動強度などを制御するものである。
【0096】
加速度センサ31は、電動歯ブラシ2の位置を推定するためのセンサであり、この実施形態では、互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の加速度を出力する加速度センサを用いている。この各軸成分の加速度を時間によって二重積分すれば、図3に示すX軸、Y軸、Z軸方向の移動距離を算出することができる。したがって、測定開始位置が既知であれば、各時刻における電動歯ブラシ2の位置を推定することができる。
【0097】
ジャイロセンサ33は、電動歯ブラシ2の姿勢を推定するためのセンサであり、この実施形態では、X軸周りの角速度、Y軸周りの角速度、Z軸周りの角速度を検出するジャイロセンサを用いている。この各成分を時間によって積分すれば、図3に示すγ、β、αの各回転角度を算出することができる。したがって、測定開始時の姿勢が既知であれば、各時刻における電動歯ブラシ2の姿勢を推定することができる。
【0098】
図4に戻って、不揮発性メモリ27には、オペレーティングシステム35、歯ブラシプログラム48が記録されている。歯ブラシプログラム48は、オペレーティングシステム35と協働してその機能を発揮する。なお、この実施形態では、オペレーティングシステム35を用いているが、オペレーティングシステムなしで機能する歯ブラシプログラムを設けてもよい。
【0099】
(3)スマートフォン4aのハードウエア構成
図5に、スマートフォン4aのハードウエア構成を示す。CPU40には、タッチディスプレイ41、近距離通信回路43、不揮発性メモリ45、通信回路47が接続されている。なお、電話として機能させるための回路などについては、図示を省略している。
【0100】
タッチディスプレイ41は、表示を行うとともに利用者の操作を受け付けるためのものである。近距離通信回路43は、ブルーツース(商標)規格に基づく通信を行う回路である。通信回路47は、インターネットに接続するための回路である。
【0101】
不揮発性メモリ45には、オペレーティングシステム49、利用者プログラム51が記録されている。利用者プログラム51は、オペレーティングシステム49と協働してその機能を発揮する。この実施形態では、利用者プログラム51は、インターネットを介してダウンロードしたものである。
【0102】
(4)指導者装置6のハードウエア構成
図6に、指導者装置6のハードウエア構成を示す。CPU60には、ディスプレイ61、近距離通信回路63、ハードディスク65、DVD−ROMドライブ67、キーボード/マウス69、通信回路71が接続されている。
【0103】
近距離通信回路67は、ブルーツース(商標)規格に基づく通信を行う回路である。通信回路71は、インターネットに接続するための回路である。
【0104】
ハードディスク65には、オペレーティングシステム73、指導者プログラム75が記録されている。指導者プログラム75は、オペレーティングシステム73と協働してその機能を発揮する。これらプログラムは、DVD−ROM77に記録されていたものを、DVD−ROMドライブ67を介して、ハードディスク65にインストールしたものである。なお、インターネットを介してダウンロードしたものであってもよい。
【0105】
(5)サーバ装置8
図7に、サーバ装置8のハードウエア構成を示す。CPU80には、通信回路81、ハードディスク83、DVD−ROMドライブ85が接続されている。
【0106】
通信回路81は、インターネットに接続するための回路である。ハードディスク83には、オペレーティングシステム87、サーバプログラム89が記録されている。サーバプログラム89は、オペレーティングシステム87と協働してその機能を発揮する。これらプログラムは、DVD−ROM91に記録されていたものを、DVD−ROMドライブ85を介して、ハードディスク83にインストールしたものである。なお、インターネットを介してダウンロードしたものであってもよい。
【0107】
1.3歯磨き指導処理
図8図11図18に、電動歯ブラシ装置2とスマートフォン4aのペアリング処理、歯磨き指導処理、診察時処理のフローチャートを示す。
【0108】
図8に、ブルーツース(商標)通信によって、電動歯ブラシ装置2とスマートフォン4aをペアリングする処理を示す。この処理は、電動歯ブラシ装置2とスマートフォン4aとの組合せにて初めて使用する場合に行うものである。
【0109】
スマートフォン4aの利用者プログラム51が起動されると、スマートフォン4aのCPU40(以下、スマートフォン4aと省略することがある)は、ID、パスワード、使用者名の入力を求める画面を、タッチディスプレイ41に表示する。ユーザは、この入力を行い、タッチディスプレイ41上に表示されたSCANボタンをクリックする(ステップS42)。
【0110】
一方、ユーザは、電動歯ブラシ装置2の開始スイッチ21a(図3参照)を押下する。これにより、電動歯ブラシ装置2のCPU20(以下、電動歯ブラシ装置2と省略することがある)は、歯ブラシプログラム48にしたがって、自身の装置番号(シリアル番号)とこのユーザに割り当てたユーザ番号を、近距離通信回路25によって、スマートフォン4aに送信する(ステップS22)。
【0111】
スマートフォン4aは、これを受けて、上記の電動歯ブラシ装置2を含んで、他の通信可能な(すでにペアリング済みの)ブルーツース(商標)機器の一覧を、タッチディスプレイ41に表示する(ステップS43)。ユーザが、タッチディスプレイ41の一覧表示から電動歯ブラシ装置2を選択すると、スマートフォン4aは、選択信号を電動歯ブラシ装置2に送信する(ステップS44)。
【0112】
これにより、電動歯ブラシ装置2とスマートフォン4aの通信が確立され(ステップS23、S45)、両装置において、互いに相手機器の装置番号が記録される。このようにして、ペアリングが行われる。以後は、近傍に既にペアリングされた機器があれば、自動的に通信を確立する処理が行われる。
【0113】
スマートフォン4aは、次に、歯ブラシ名を入力するための画面をタッチディスプレイ41に表示する。ユーザが、歯ブラシ名を入力すると、スマートフォン4aは、電動歯ブラシ装置2のシリアル番号に対応付けて入力された歯ブラシ名を記録する(ステップS46)。これにより、複数の電動歯ブラシ装置2を用いている場合に、歯ブラシ名にて区別を行うことが可能となる。この際、ステップS41において入力されたユーザ名と、電動歯ブラシ装置2から受けたユーザ番号を対応づけて記録する。
【0114】
図9a、図9b、図10図11図18に、歯磨き指導処理、診察時処理のフローチャートを示す。ここでは、既に、電動歯ブラシ装置2とスマートフォン4aのペアリングが済んでいるものとする。
【0115】
スマートフォン4aの利用者プログラム51が起動されると、CPU40(以下、スマートフォン4aと省略することがある)は、初期画面をタッチディスプレイ41に表示する(ステップS51)。
【0116】
図12Aに、初期画面の例を示す。画面の中央部には、歯の磨き方をガイダンスするための口腔画像領域404が設けられている。上部には、予め、利用者プログラム51によって登録されたユーザ名を表示するユーザ名表示領域400が設けられている。なお、利用者プログラム51の起動時に、IDとパスワードによるログイン処理を行い、IDに対応付けて記録されたユーザ名を用いるようにしてもよい。ユーザ名表示領域400の下には、ユーザに対する開始ガイダンスを表示する開始ガイダンス表示領域402が設けられている。
【0117】
図12Aにおいては、電動歯ブラシ装置2の電源スイッチ21cを押下するように、ガイダンスが表示されている。これを受けて、ユーザが電動歯ブラシ装置2の電源スイッチ21c(図3参照)を押下すると、電動歯ブラシ装置2のCPU20(以下、電動歯ブラシ装置2と省略することがある)は、告知LED23aを点滅させる(ステップS26)。これにより、ユーザは、電動歯ブラシ装置2について、何らかの操作が必要であることを認識することができる。
【0118】
続いて、電動歯ブラシ装置2は、前回に使用したユーザのユーザ番号を、不揮発性メモリ27から読み出す。読み出したユーザ番号に基づいて、図3のユーザLED23b、23c、23d、23eのいずれかを点灯させる(ステップS26)。この実施形態では、電動歯ブラシ装置2の歯ブラシ部分を差し替えることにより、4人のユーザが使用できるようにしている。したがって、ユーザ番号は、「1」〜「4」まで設定されている。たとえば、前回に使用したユーザのユーザ番号が「1」であれば、電動歯ブラシ装置2は、図13Aに示すように、ユーザLED23bを点灯させる。
【0119】
次に、スマートフォン4aおよび電動歯ブラシ装置2は、互いの通信を確立させる(ステップS52、S27)。
【0120】
通信が確立すると、電動歯ブラシ装置2は、前回使用していたユーザのユーザ番号(前回使用時に不揮発性メモリ27に記録したもの)を、スマートフォン4aに送信する(ステップS28)。これを受けて、スマートフォン4aは、タッチディスプレイ41に、電動歯ブラシ装置およびユーザを確認するための画面を表示する(ステップS53)。
【0121】
図12Bに、確認画面例を示す。歯ブラシ選択画面は、複数の電動歯ブラシ装置2が通信可能な位置にある場合に、そのいずれかを選択するためのものである。プルダウンボタン408によって、電動歯ブラシ装置の一覧を表示して選択することができる。
【0122】
また、上述のように、ユーザ名表示領域400には、現在、電動歯ブラシ装置2によって選択されているユーザ名が表示されている。このユーザ名が違っていれば、ユーザは、電動歯ブラシ装置2の選択スイッチ21b(図13A参照)を押下する。これを受けて(ステップS30)、電動歯ブラシ装置2は、次のユーザ番号を、スマートフォン4aに送信する(ステップS28)。現在のユーザ番号が「1」であれば「2」、「2」であれば「3」・・・「4」であれば「1」のように送信する。
【0123】
電動歯ブラシ装置2は、これとともに、ユーザLED23bを消灯し、ユーザLED23cを点灯させる。このようにして、今選択されているユーザが、ユーザ番号「2」のユーザであることが示される。
【0124】
新たなユーザ番号を受けたスマートフォン4aは、このユーザ番号に対応するユーザ名を不揮発性メモリ45から読み出して、ユーザ名表示領域400に表示する(ステップS53)。ユーザによって、決定ボタン410(図12B参照)が押下されると、スマートフォン4aは、決定ボタン410が押されたことを電動歯ブラシ装置2に送信する(ステップS55)。スマートフォン4aは、この時に選択されているユーザを、今回の使用ユーザであると決定する(ステップS56)。
【0125】
決定の通知を受けた電動歯ブラシ装置2は(ステップS29)、この時に選択されているユーザを、今回の使用ユーザであると決定する(ステップS31)。以上のようにして、使用するユーザを決定することができる。
【0126】
次に、スマートフォン4aは、インターネットを介して、前記ユーザに対応付けてサーバ装置8に記録されている指導データのバージョン番号を問い合わせる(ステップS57)。後述のように、指導データが修正されると、サーバ装置8にアップロードされる。したがって、スマートフォン4aは、現在、自らの装置に記録されている指導データが、最新のものであるかどうかを確認するために、上記バージョン番号の問合せを行う。
【0127】
これを受けて、サーバ装置8は、最新のバージョン番号をスマートフォン4aに送信する(ステップS81)。最新のバージョン番号を受信したスマートフォン4aは、自らが不揮発性メモリ45に記録している指導データのバージョン番号と比較する(ステップS58)。
【0128】
バージョン番号が合致しなければ(つまり、スマートフォン4aに記録されている指導データのバージョンが古ければ)、スマートフォン4aは、サーバ装置8に対し、最新の指導データを要求する(ステップS59)。サーバ装置8は、これを受けて、最新の指導データをスマートフォン4aに送信する(ステップS82)。
【0129】
スマートフォン4aは、受信したデータにより、不揮発性メモリ45の指導データを更新する(ステップS60)。このようにして、スマートフォン4aは、当該ユーザに関する指導データを最新のものとすることができる。
【0130】
なお、ステップS58において、バージョンが合致した場合(つまり、スマートフォン4aに記録されている指導データが最新バージョンであれば)、ステップS59、S60、S82は実行されない。
【0131】
次に、スマートフォン4aは、不揮発性メモリ45に記録された指導データに基づいて、初期ガイダンス画面をタッチディスプレイ41に表示する(ステップS64)。
【0132】
図15Aに、指導データの例を示す。歯磨きを行う部位が、順に記録されている。この実施形態では、図15Bに示すように16個の部位を設定している。指導データにおいて、各部位に対応づけて、磨き角度およびその部位を磨く適正時間が記録されている。図15Aの例では、「上顎右奥歯噛み合わせ」について0度にて40秒磨く、その次に「上顎右奥歯外側」について315度にて55秒磨く、その次に「上顎前歯外側」について90度にて35秒磨く・・・ということが示されている。
【0133】
電動歯ブラシ装置2は、指導データの最初に記載された部位(ここでは「上顎右奥歯噛み合わせ」)を初期位置・初期姿勢として、初期ガイダンス画面を表示する。初期ガイダンス画面の例を、図14Aに示す。初期位置・初期姿勢(この例では、右上奥歯の噛み合わせ面に真下から電動歯ブラシ装置2を当てた状態)に当てて、電動歯ブラシ装置2の開始スイッチ21aを押すようにガイダンスが表示されている。
【0134】
ユーザが、このガイダンスにしたがって、開始スイッチ21aを押すと、電動歯ブラシ装置2は、スマートフォン4aに対して、スタートの指示を送信する(ステップS34、S35)。さらに、電動歯ブラシ装置2は、加速度センサ31、ジャイロセンサ33の出力を、所定時間間隔(たとえば0.1秒ごと)でスマートフォン4aに送信する。なお、センサデータの送信は、電動歯ブラシ装置2のスイッチが切られるまで行われる。
【0135】
なお、電動歯ブラシ装置2の位置と姿勢は、図16Aに示すように、ユーザの顔に向かって電動歯ブラシ装置2を水平に置き、図16B(電動歯ブラシ装置2を正面から見た図)に示すように、電動歯ブラシ装置2のブラシを上に向けた状態を基本位置・基本姿勢とする。
【0136】
スマートフォン4aは、指導データに記述された初期位置・初期姿勢(ここでは「上顎右奥歯噛み合わせ」)について、予め記録されている位置・姿勢(上記基本位置・基本姿勢を基準とした位置・姿勢)を読み出す。なお、スマートフォン4aには、予め、各部位を初期位置・初期姿勢とした場合の、基本位置・基本姿勢を基準とした場合の位置・姿勢が記録されている。
【0137】
スマートフォン4aは、スタートの指示を受けて、不揮発性メモリ45に記録されている指導データに基づいて、ガイダンス表示、ガイダンス音声の出力を行う(ステップS65)。また、受信した加速度センサ31、ジャイロセンサ33の出力を、不揮発性メモリ45に記録する(ステップS66)。
【0138】
図14Bに、指導データに基づいて表示されたガイダンス表示を示す。現在磨くべき部位の表示414として「上顎右奥歯外側」が示されている。また、歯ブラシを当てる角度が画像413として表示されている。さらに、この部位を磨くべき時間表示416として「55秒」が示されている。したがって、ユーザに対して、今「上顎右奥歯外側」を「315度の角度」で「55秒」磨くように指示することができる。
【0139】
また、この実施形態では、部位を文字で表示するだけでなく、図14Bの412に示すように、口腔内の画像上において現在磨くべき部位を明るい色(や点滅表示)によって表示するようにしている。これにより、ユーザは、容易に磨くべき部位を知ることができる。
【0140】
スマートフォン4aは、指導データに示された全ての部位の表示が終了したかどうかを判断する(ステップS67)。部位が残っていれば、スマートフォン4aは、現在表示中の部位に代えて、指導データの次の部位を表示すべきタイミングかどうかを判断する(ステップS68)。たとえば、現在、図14Bに示すように、「上顎右奥歯外側」を表示中であれば、この表示を開始してから、55秒が経過したかどうかを判断する。経過していれば、指導データ(図15A)の次の部位を表示する(ステップS69)。
【0141】
上記のようにして、指導データに記述された全ての部位の表示が終了すると、スマートフォン4aは、タッチディスプレイ41において、ユーザに対して電動歯ブラシ装置2のスイッチを切るように指示する画面を表示する(ステップS70)。ユーザは、この指示に従って、電動歯ブラシ装置2の電源スイッチ21cを切って動作を停止させる。
【0142】
次に、スマートフォン4aは、電動歯ブラシ装置2から受信して記録した加速度センサ31、ジャイロセンサ33の出力に基づいて、歯磨き中の電動歯ブラシ装置2の位置と、電動歯ブラシ装置2の姿勢を推定する(ステップS71)。
【0143】
図3に示すように、加速度センサ31は、電動歯ブラシ装置2の本体の延長方向であるX軸方向、電動歯ブラシ装置2に取り付けられたブラシの向かう方向であるY軸方向、これらに垂直なZ軸方向の加速度を検出する。したがって、電動歯ブラシ装置2が移動すれば、上記検出した加速度を2回積分することで、X軸、Y軸、Z軸に関する移動距離を算出することができる。
【0144】
ジャイロセンサ33は、電動歯ブラシ装置2のX軸周り(ロール)の角速度γ、Y軸周り(ピッチ)の角速度β、Z軸周り(ヨー)の角速度αを検出する。したがって、電動歯ブラシ装置2の姿勢が変われば、上記検出した角速度を1回積分することで、X軸周り、Y軸周り、Z軸周りの移動角度を算出することができる。
【0145】
歯磨き開始時の位置と姿勢は、ステップS51において、指導データに基づきスマートフォン4aから指示するので、これを用いることができる。したがって、スマートフォン4aは、開始時の位置を基準に、上記のX軸、Y軸、Z軸方向の移動距離を用いて、歯磨き中の各時刻の位置を推定することができる。さらに、開始時の姿勢(X軸周りの角度、Y軸周りの角度、Z軸周りの角度)を基準に、上記のX軸周り、Y軸周り、Z軸周りの移動角度を用いて、歯磨き中の各時刻の姿勢を推定することができる。
【0146】
この実施形態では、推定した電動歯ブラシ装置2の位置・姿勢に基づいて、図15Bに示した16カ所の領域のいずれを磨いているかを推定するようにしている。このように、最終的に16カ所のいずれの領域を磨いているかを推定するようにすることで、加速度センサ31やジャイロセンサ33の検出精度が十分でなくても、実用に耐える推定を行うことができる。
【0147】
さらに、この実施形態では、指導データに基づいてスマートフォン4aによって表示した歯磨き部位の指示も考慮して、上記領域の推定を行うようにしている。部位の推定は、X軸、Y軸、Z軸方向の位置、X軸周りの角度、Y軸周りの角度、Z軸周りの角度を総合的に判断して行うのが基本である。ただし、この実施形態では、ユーザに対してガイダンス表示をしているので、この情報を組み合わせることにより、より正確に部位の推定を行うことができる。
【0148】
たとえば、図17Bに示すように、スマートフォン4aにて、指導データに基づいて、「上顎右奥歯噛み合わせ」から「上顎右奥歯外側」に部位の表示を変えたとする。このとき、図3のロール角の変化が顕著であるはずである。したがって、スマートフォン4aは、指導データに基づくガイダンス表示の変化点CPの近傍において、ロール角が45度程度変化(上記部位の変化に合致するセンサ検出角度が変化)する点AP(図17A参照)を見いだすことで、精度良く部位の推定を行うことができる。つまり、上記のように、ガイダンスにて指示した部位の変更時刻の前後近傍で、当該ガイダンスによって指示した部位変化に伴う変化が大きくなるであろうセンサ出力成分のウエイトを大きくして、部位の推定を行うことができる。
【0149】
以上のようにして、歯磨き部位の推定を行うと、スマートフォン4aは、指導データと推定データとの比較を行う(ステップS72)。たとえば、指導データにて示された各部位の歯磨き時間と、各部位を実際に磨いた時間との差を算出する。
【0150】
続いて、スマートフォン4aは、歯磨き開始日時、ユーザID、上記推定した各部位の歯磨き時間、指導データとの比較等を、インターネットを介して、サーバ装置8に送信する(ステップS73)。これを受けたサーバ装置8は、これら解析データをハードディスク83に記録する。
【0151】
以上のようにして、ユーザが指導データに基づいて歯磨きを行った記録が、サーバ装置8に記録されることになる。1日1回の歯磨きを行う場合、1日ごとに解析データが蓄積されることになる。
【0152】
次に、ユーザが、歯科医院に来院した場合の処理について説明する。歯科医院には、指導者装置6が設置されている。歯科医院の歯科医は、来院したユーザの歯や歯茎の状況を診察する。この際、歯科医は歯や歯茎の問題点(汚れ、腫れなど)を把握する。
【0153】
図18に、診察時処理のフローチャートを示す。指導者である歯科医は、指導者装置6からサーバ装置8にアクセスし、医師ID・パスワードを入力してログインする(ステップS74)。サーバ装置8は、医師ID・パスワードを受けて、ログイン処理を行う(ステップS91)。次に、歯科医は、指導者装置6を操作し、患者のユーザIDを伴って解析データの要求を入力する。これを受けて、指導者装置6は、サーバ装置8に対し、当該ユーザIDの解析データの要求を行う(ステップS75)。
【0154】
サーバ装置8は、ハードディスク83に記録されている当該ユーザの解析データを読み出して、指導者装置6に送信する(ステップS92)。この際、指導者装置6は、未送信の解析データのみを選択して送信する。したがって、サーバ装置8からは、前回受診してからの解析データが送信されてくることになる。
【0155】
解析データを受信した指導者装置6は、この解析データに基づいて、解析図を生成し(ステップS76)、ディスプレイ61に表示する(ステップS77)。図19に、解析図の例を示す。この実施形態では、磨き時間と磨き角度についての解析図を示すようにしている。各部位ごとに指導データと実際の磨き時間との差を、口腔画像上に色づけして表示している。なお、実際の磨き時間は、解析データが複数日分あれば、その平均値をとって比較する。
【0156】
この実施形態では、実際の磨き時間が指導データにて指示された磨き時間に達していれば(指導データの95%以上であれば)、当該部位を白色にて表示する。実際の磨き時間が、指導データの80%〜95%であれば、当該部位を薄い灰色にて表示する。実際の磨き時間が、指導データの80%以下であれば、当該部位を濃い灰色にて表示する。
【0157】
図19において、上顎左奥歯前300および上顎右噛み合わせ302は、指導データの80%以下の時間しか磨かれていないことがわかる。また、下顎前歯外側304は、指導データの80%〜95%の時間しか磨かれていないことがわかる。
【0158】
また、磨き角度については、指導データにて指定された角度を保っていた時間(指定角度とのずれが10%以内)が、当該部位の磨き時間(指導データによる磨き時間)の95%以上であれば、当該部位を白色にて表示する。指導データにて指定された角度を保っていた時間が、指導データの80%〜95%であれば、当該部位を薄い灰色にて表示する。指導データにて指定された角度を保っていた時間が、指導データの80%以下であれば、当該部位を濃い灰色にて表示する。なお、磨き角度の合致度は、複数日(複数回)のデータがある場合、各日の合致度の平均値として算出する。
【0159】
図19においては、全ての部位が、正しい角度で磨かれていることが表示されている。
【0160】
次に、歯科医は、先に行った診察の結果と、この解析画面に表示された解析結果に基づいて、指導データの修正を行う。まず、図19のラジオボタン306を、マウスなどによって選択する。これを受けて、指導者装置6は、図20に示すような指導データ修正画面を表示する(ステップS78)。指導者は、この画面において、診察結果と解析結果に基づいて、指導データの修正を行う。たとえば、指導データどおりに磨かれているのに、診察の結果として磨き残しがある場合には、当該部位の磨き時間を長く設定し直す(あるいは、磨き角度を変更する)等を行う。
【0161】
指導データ修正画面においては、各部位ごとにタグ312が設けられ、その磨き順に並べられている。磨き順を変更する場合には、このタグ312をマウスなどで移動させる。また、各タグ312において、時間を修正する場合には、時間入力領域308にて修正を行う。また、角度を修正する場合には、角度入力領域310にて修正を行う。
【0162】
修正が終了し、歯科医によって登録ボタン314がクリックされると、指導者装置6は、修正された指導データ、ユーザIDを、インターネットを介して、サーバ装置8に送信する(ステップS79)。サーバ装置8は、指導データを受信し(ステップS93)、ユーザIDに対応付けてハードディスク83に記録する(ステップS94)。なお、サーバ装置8は、指導データのバージョンを管理しており、修正された指導データに対し、新たなバージョン番号を付して記録する。
【0163】
以上のようにして、サーバ装置8に修正された指導データが、最新バージョンの指導データとして記録される。したがって、ユーザが、次回、電動歯ブラシ装置2を使用する際に、スマートフォン4aの指導データが更新されることになる(図9b参照)。
【0164】
このようにして、次回からの歯磨きにおける指導データとして、修正された指導データが用いられることになる。
【0165】
1.4その他
(1)上記実施形態では、スマートフォン4aの側において、解析画面を生成するようにしている。しかし、サーバ装置8において解析画面を生成し、スマートフォン4aでは、それを表示するだけにしてもよい。この場合、スマートフォン4aには、ブラウザプログラムがあればよい。
【0166】
(2)上記実施形態では、加速度センサ31、ジャイロセンサ33のセンサデータを、所定時間間隔で順次、スマートフォン4aに送信するようにしている。しかし、歯磨き処理が終了してから、まとめて、送信するようにしてもよい。また、前者の場合であっても、送信が上手く行われなかった時のために、電動歯ブラシ装置2にセンサデータを蓄積しておき、送信状況が良くなった時に送信するようにしてもよい。
【0167】
(3)上記実施形態では、スマートフォン4aは、歯磨き終了後に解析処理を行うようにしているが、センサデータが送られてくるとともにリアルタイムに解析処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、実際に磨いている位置や角度が指導データと異なる場合、リアルタイムに、その旨をスマートフォン4aに表示して注意を喚起することができる。
【0168】
(4)各部位を磨いている際に、図14Bのガイダンス画面に加えて、スマートフォン4aから当該部位を磨くべき残り秒数を音声として出力するようにしてもよい。また、磨くべき部位や角度を音声で出力するようにしてもよい。さらに、ガイダンスを画面表示ではなく、音声のみによって行うようにしてもよい。
【0169】
(5)歯磨きが終了した際に、スマートフォン4aにおいて、解析画面を表示するようにしてもよい。たとえば、図19に示すような指導者装置6に表示するような画面と同様の画面や、これを簡易にした画面(たとえば、各部位における指導データとの合致の程度までは表示せず有無だけを表示)を表示するようにしてもよい。
【0170】
(6)上記実施形態では、解析データをサーバ装置8に送信し、これを介して、指導者装置6がこれを取得するようにしている。しかし、患者が歯科医を訪れた際に、スマートフォン4aに蓄積された解析データを、指導者装置6に近距離通信などで送信するようにしてもよい。
【0171】
(7)上記実施形態では、スマートフォン4aが、加速度センサ31、ジャイロセンサ33のセンサデータを受けて、位置および姿勢を推定し、さらに、指導データとの比較を行うようにしている。しかし、位置および姿勢の推定をスマートフォン4aで行い。指導データとの比較は、サーバ装置8または指導者装置6にて行うようにしてもよい。
【0172】
(8)上記実施形態では、指導データにおいて位置と姿勢(角度)を指示するようにしている。しかし、位置のみ姿勢のみを指導データにおいて指示するようにしてもよい。また、姿勢については、歯ブラシを当てる角度だけでなく、歯ブラシ自体の角度(図3のヨーまたはローまたはその双方)も指導データにて指示するようにしてもよい。
【0173】
(9)上記実施形態では、スマートフォン4a、サーバ装置8、指導者装置6によって制御管理装置を構成している。しかし、これらを1つまたは2つのPCや携帯端末によって構成してもよいし、さらに4つ以上のPCや携帯端末によって構成してもよい。
【0174】
(10)上記実施形態では、指導データによる部位の変化も考慮して、ブラシ位置や姿勢を推定するようにし、その推定精度をあげるようにしている。したがって、指導データにおいて、磨く部位の順番を指定する際には、位置および姿勢の双方が変化するように部位の順番を指定することが好ましい。特に、加速度センサやジャイロセンサなどのセンサにおいては、加速度センサによる位置変化よりもジャイロセンサによる姿勢の変化の方が精度良く検出を行うことができる。したがって、隣接する順番において、必ず姿勢変化が生じるように順番を指定すれば、加速度センサの検出精度を補って、精度良く推定を行うことができる。すなわち、隣接する順番において、位置変化または姿勢変化に対して前記センサの検出精度が高い変化を含むように、順番を指定することが好ましい。
【0175】
(11)上記実施形態では、スマートフォン4aにより、指導データに記述された各部位の歯磨き時間が経過すれば、次の部位を磨くようにガイダンスを変えるようにしている。しかし、指導データと合致した状態(X、Y、Z、α、β、γのいずれもが指導データの所定割合以内の誤差である状態)で磨かれた時間を積算し、この積算時間が指導データに記述された当該部位の歯磨き時間に達すれば、次の部位を磨くようにガイダンスするようにしてもよい。
【0176】
また、これらの処理を電動歯ブラシ装置2において行うようにしてもよい。
【0177】
(12)上記実施形態では、スマートフォン4aにより、指導データに記述された各部位の歯磨き時間にしたがって、次の部位を磨くようにガイダンスを変えるようにしている。しかし、電動歯ブラシ装置2に指導データを記録するようにし、電動歯ブラシ装置2において、LEDを点灯させるなどしてガイダンスを行うようにしてもよい。
【0178】
(13)上記実施形態では、口腔内を16個の部位に分けているが、これよりも細かく(たとえば、歯一本ずつを部位とするなど)分けても、大きく分けてもよい。
【0179】
(14)上記実施形態では、電動歯ブラシ装置2を用いたシステムについて説明した。しかし、人体に対して位置と姿勢を変化させながら接触もしくは近接させて使用する機器において、その好ましい位置と姿勢を指導データとしてスマートフォンで表示し、実際の位置と姿勢をセンサによって検出するような場合に適用することができる。
【0180】
たとえば、電極の貼り付け位置を変えながら使用する低周波治療器などにも適用することができる。この場合、指導データとしては時間ごとの電極の貼り付け位置を用い、センサデータとしては実際に貼り付けられた電極の位置(筋肉の脈動位置などにより推定できる)を用いることができる。
【0181】
(15)上記実施形態では、加速度センサ31、ジャイロセンサ33が設けられており、このセンサ出力を受けて、スマートフォン4aが位置・姿勢を推定している。しかし、電動歯ブラシ装置2に、位置・姿勢の推定を行って出力するセンサを設けてもよい。
【0182】
(16)上記実施形態では、指導者装置6によって修正された指導データは、サーバ装置8を介して、スマートフォン4aに送信されるようにしている。しかし、指導者装置6から、近距離通信やインターネットなどにより、直接、スマートフォン4aに送信するようにしてもよい。
【0183】
(17)上記実施形態では、歯磨き中に、ユーザは移動したり、方向を変えたりしないものとして説明した。しかし、歯磨き中に、ユーザの移動や方向を変えることを許容する場合には、これを検出するセンサを設け、ユーザの移動や向きの変化をキャンセルして、ユーザの口と電動歯ブラシ装置2との位置関係を正確に推定することが好ましい。
【0184】
(18)上記実施形態およびその他の例は、その本質に反しない限り、他の実施形態においても適用可能である。
【0185】
2.第2の実施形態
2.1全体構成
図21に、第2の実施形態による歯磨き指導システムの全体構成を示す。このシステムは、電動歯ブラシ装置2、利用者のスマートフォンなどの利用者装置4、歯科医師のPCなどの指導者装置6、サーバ装置8を備えている。
【0186】
利用者装置4のガイダンス出力手段44は、利用者装置記録部46に記録されている指導データに基づいて、歯磨きのガイダンスをディスプレイなどに出力する。利用者は、このガイダンスを参照しながら、電動歯ブラシ装置2にて歯磨きを行う。この際、電動歯ブラシ装置2の動作(歯ブラシの振動数など)は、電動歯ブラシ装置記録部904に記録されている動作制御データに基づいて、制御手段902の制御により制御される。
【0187】
電動歯ブラシ装置2のセンサ24は、ブラシの位置および姿勢を検出する。検出されたブラシの位置および姿勢(検出データ)は、検出データ送信手段22によって、利用者装置4に送信される。
【0188】
利用者装置4の解析手段42は、検出データおよび指導データに基づいて、歯ブラシ状況を解析する。解析データは、解析データ送信手段50によって、サーバ装置8に送信される。
【0189】
サーバ装置8の解析データ取得・記録手段82は、取得した解析データをサーバ装置記録部84に記録する。解析データ読出・送信手段86は、指導者装置6からの要求を受けて、サーバ装置記録部84に記録されている解析データを送信する。
【0190】
指導者装置6の解析データ出力手段62は、サーバ装置8から受信した解析データを、ディスプレイ61などに表示する。歯科医師などの指導者は、この解析データを参照し、ガイダンスとして表示するための指導データを修正するための指示を入力する。また、電動歯ブラシ装置2の動作を制御するための動作制御データを修正するための指示を入力する。データ修正手段64は、これを受けて、指導データおよび動作制御データを修正する。
【0191】
データ送信手段66は、サーバ装置8を介して、利用者装置4に対して更新された指導データを送信する。利用者装置4の指導データ更新手段48は、利用者装置記録部46に記録されている指導データを、受信した指導データによって更新する。したがって、次回からのガイダンスは、歯ブラシ状況に基づいて歯科医師などが修正した指導データに基づいて行われることになる。
【0192】
また、データ送信手段66は、電動歯ブラシ装置2に対して更新された動作制御データを送信する。電動歯ブラシ装置2の動作制御データ取得手段906は、電動歯ブラシ装置記録部904に記録されている動作制御データを、受信した動作制御データによって更新する。したがって、次回からの電動歯ブラシ装置2の動作は、歯ブラシ状況に基づいて歯科医師などが修正した動作制御データに基づいて行われることになる。
【0193】
したがって、指導者による適切な歯磨き指導を行って、これを実践することができる。
【0194】
2.2ハードウエア構成
システム構成並びに各装置のハードウエア構成は、第1の実施形態と同様である。ただし、図22に示すように、電動歯ブラシ装置2には、位置・姿勢センサ931が設けられている。第1の実施形態では、加速度センサ31、ジャイロセンサ33が設けられており、このセンサ出力を受けて、スマートフォン4aが位置・姿勢を推定していた。しかし、この実施形態では、電動歯ブラシ装置2に、位置・姿勢の推定を行って出力するセンサ931を設けている。
【0195】
2.3歯磨き指導処理
この実施形態では、ガイダンスのための指導データと、電動歯ブラシ装置2の動作を制御する動作制御データを、一体化した指導・制御データとしている。
【0196】
この実施形態においても、ペアリング処理は、第1の実施形態の図8と同様である。
【0197】
図23a、図23b、図24図25に、歯磨き指導処理のフローチャートを示す。ここでは、既に、電動歯ブラシ装置2とスマートフォン4aのペアリングが済んでいるものとする。
【0198】
使用ユーザの決定処理は、図23aに示すとおりである。この処理は、第1の実施形態における図9aの処理と同様である。
【0199】
使用ユーザの決定がなされると、スマートフォン4aは、自らが記録する指導・制御データが最新であるかどうかを判断し、最新でなければサーバ装置8からダウンロードして更新する(ステップS57〜S60)。この点は、第一の実施形態の図9bと同様である。
【0200】
次に、スマートフォン4aは、電動歯ブラシ装置2に記録されている指導・制御データが最新のものであるかどうかを判断するため、電動歯ブラシ装置2に対し、指導・制御データのバージョン番号を問い合わせる(ステップS61)。電動歯ブラシ装置2は、これを受けて、不揮発性メモリ27に記録されている指導・制御データのバージョン番号をスマートフォン4aに送信する(ステップS32)。バージョン番号を受信したスマートフォン4aは、自らが不揮発性メモリ45に記録している指導・制御データのバージョン番号と比較する(ステップS62)。
【0201】
バージョン番号が合致しなければ(つまり、電動歯ブラシ装置2に記録されている指導・制御データのバージョンが古ければ)、スマートフォン4aは、電動歯ブラシ装置2に対し、指導・制御データを送信する(ステップS63)。電動歯ブラシ装置2は、受信したデータにより、不揮発性メモリ27の指導・制御データを更新する(ステップS33)。このようにして、電動歯ブラシ装置2は、当該ユーザに関する指導・制御データを最新のものとすることができる。
【0202】
なお、ステップS62において、バージョンが合致した場合(つまり、電動歯ブラシ装置2に記録されている指導・制御データが最新バージョンであれば)、ステップS63、S33は実行されない。
【0203】
続いて、スマートフォン4aは、不揮発性メモリ45に記録された指導・制御データに基づいて、初期ガイダンス画面をタッチディスプレイ41に表示する(図24、ステップS64)。
【0204】
図15Aに、指導・制御データのうちの指導データの部分の例を示す。歯磨きを行う部位が、順に記録されている。この実施形態では、図15Bに示すように16個の部位を設定している。指導データにおいて、各部位に対応づけて、磨き角度およびその部位を磨く適正時間が記録されている。図15Aの例では、「上顎右奥歯噛み合わせ」について0度で40秒磨く、その次に「上顎右奥歯外側」について315度で55秒磨く、その次に「上顎前歯外側」について90度で35秒磨く・・・ということが示されている。
【0205】
電動歯ブラシ装置2は、指導・制御データの最初に記載された部位(ここでは「上顎右奥歯噛み合わせ」)を初期位置・初期姿勢として、初期ガイダンス画面を表示する。初期ガイダンス画面の例を、図14Aに示す。初期位置・初期姿勢(この例では、右上奥歯の噛み合わせ面に真下から電動歯ブラシ装置2を当てた状態)に当てて、電動歯ブラシ装置2の開始スイッチ21aを押すようにガイダンスが表示されている。
【0206】
ユーザが、このガイダンスにしたがって、開始スイッチ21aを押すと、電動歯ブラシ装置2は、スマートフォン4aに対して、スタートの指示を送信する(ステップS34、S35)。さらに、電動歯ブラシ装置2は、位置・姿勢センサ931による位置・姿勢データを、所定時間間隔(たとえば0.1秒ごと)でスマートフォン4aに送信する(ステップS36)。なお、センサデータの送信は、電動歯ブラシ装置2のスイッチが切られるまで行われる。
【0207】
電動歯ブラシ装置2は、スタート指示を受けて、不揮発性メモリ27に記録されている指導・制御データ中の動作制御データに基づいて、ブラシ制御部29を制御する(ステップS361)。動作制御データの例を、図26に示す。指導データと同じように、磨く順番に部位が記録され、これに対応付けて磨き強度、磨き時間が記録されている。
【0208】
磨き強度は、数字が大きいほど強度が大きく、小さいほど強度が小さいことを示している。ブラシ制御部29は、磨き強度が大きい場合にはブラシの振動数を上げ、磨き強度が小さい場合にはブラシの振動数を下げるように制御する。
【0209】
スマートフォン4aは、スタートの指示を受けて、不揮発性メモリ45に記録されている指導データに基づいて、ガイダンス表示、ガイダンス音声の出力を行う(ステップS65)。また、受信した位置・姿勢データを、不揮発性メモリ45に記録する(ステップS66)。
【0210】
図14Bに、指導・制御データに基づいて表示されたガイダンス表示を示す。現在磨くべき部位の表示414として「上顎右奥歯外側」が示されている。また、歯ブラシを当てる角度が画像413として表示されている。さらに、この部位を磨くべき時間表示416として「55秒」が示されている。したがって、ユーザに対して、今「上顎右奥歯外側」を「315度の角度」で「55秒」磨くように指示することができる。
【0211】
また、この実施形態では、部位を文字で表示するだけでなく、図14Bの412に示すように、口腔内の画像上において現在磨くべき部位を明るい色(や点滅表示)によって表示するようにしている。これにより、ユーザは、容易に磨くべき部位を知ることができる。
【0212】
スマートフォン4aは、受信した位置・姿勢データが、指導・制御データの指導データと合致しているかどうかを判断する(ステップS661)。この実施形態では、位置データにおけるX値、Y値、Z値のいずれかが所定割合以上(たとえば10%以上)ずれていれば合致していないと判断する。また、姿勢データにおけるα値、β値、γ値のいずれかが所定割合以上(たとえば10%以上)ずれていれば合致していないと判断する。
【0213】
指導データと合致していなければ、スマートフォン4aは、タッチディスプレイ41にその旨を表示するとともに、電動歯ブラシ装置2に対して、警告の指示を送信する(ステップS662)。電動歯ブラシ装置2は、これを受けて、告知LED23aを点滅させて、指導データとずれた磨き方であることを警告する(ステップS362、S363)。
【0214】
次に、 スマートフォン4aは、指導データに示された全ての部位の表示が終了したかどうかを判断する(ステップS67)。部位が残っていれば、スマートフォン4aは、現在表示中の部位に代えて、指導データの次の部位を表示すべきタイミングかどうかを判断する(ステップS68)。たとえば、現在、図14Bに示すように、「上顎右奥歯外側」を表示中であれば、この表示を開始してから、55秒が経過したかどうかを判断する。経過していれば、指導データ(図15A)の次の部位を表示する(ステップS69)。
【0215】
一方、電動歯ブラシ装置2は、指導・制御データに示された全ての部位の制御が終了したかどうかを判断する(ステップS364)。部位が残っていれば、電動歯ブラシ装置2は、現在制御中の動作に代えて、指導・制御データ中の動作制御データの次の動作に切り替えるべきかどうかを判断する(ステップS365)。つまり、次の部位に対する制御に切り替えるべきかどうかを判断する。
【0216】
たとえば、現在、図26に示すように、「上顎右奥歯外側」に対応する制御(つまり、磨き強度「1」として制御)を行っているのであれば、この制御を開始してから、55秒が経過したかどうかを判断する。経過していれば、動作制御データの次の部位に対する制御(「上顎前歯外側」に対して設定された磨き強度「2」の制御)に切り替える(ステップS366)。
【0217】
なお、この実施形態では、この切替時に、所定時間(たとえば、0.5秒)だけ、歯ブラシの振動を停止させるようにしている。これにより、ユーザは、切替のタイミング(つまり、歯磨き部位を移動させるタイミング)を容易に知ることができる。音声など、その他の方法にて告知するようにしてもよい。
【0218】
上記のようにして、スマートフォン4aは、指導データに記述された全ての部位の表示が終了すると、タッチディスプレイ41において、歯磨きが終了した旨の表示を行う(ステップS70)。また、電動歯ブラシ装置2は、全ての部位に対する制御が終了すると、電源を自ら切断する。
【0219】
続いて、スマートフォン4aは、位置・姿勢データに基づいて各時刻においていずれの部位を磨いているかを推定して、各部位の歯磨き時間を算出する。また、各部位における歯磨き時間や角度などについて、指導データとの比較を算出する。この解析データは、サーバ装置8に送信される(ステップS73)。これを受けたサーバ装置8は、これら解析データをハードディスク83に記録する。
【0220】
以上のようにして、ユーザが指導データに基づいて歯磨きを行った記録が、サーバ装置8に記録されることになる。1日1回の歯磨きを行う場合、1日ごとに解析データが蓄積されることになる。
【0221】
次に、ユーザが、歯科医院に来院した場合の処理について説明する。歯科医院には、指導者装置6が設置されている。歯科医院の歯科医は、来院したユーザの歯や歯茎の状況を診察する。この際、歯科医は歯や歯茎の問題点(汚れ、腫れなど)を把握する。
【0222】
図27に、診察時処理のフローチャートを示す。この処理は、第1の実施形態における図18のフローチャートと同様である。ただし、この実施形態では、歯科医は、電動歯ブラシ装置2の動作を制御する動作制御データ(図26参照)も修正できるようになっている。
【0223】
図28に、設定画面の例を示す。磨き強さの設定領域315が設けられている。歯科医は、患者による歯磨きの状況を確認して、磨き強さを変更することができる(ステップS75)。
【0224】
修正が終了し、歯科医によって登録ボタン314がクリックされると、指導者装置6は、修正された指導・制御データを、電動歯ブラシ装置2に送信する(ステップS761)。電動歯ブラシ装置2は、近距離通信などによりこれを受信する(ステップS671)。さらに、受信した修正指導・制御データによって、不揮発性メモリ27に記録されている指導・制御データを更新する(ステップS681)。患者は、来院の際に電動歯ブラシ装置2を持参するようにしているので、これが可能となる。
【0225】
さらに、指導者装置6は、修正された指導・制御データをサーバ装置8に送信する(ステップS76)。これにより、患者による次回の歯磨き時に、修正された指導・制御データがサーバ装置8からスマートフォン4aにダウンロードされる(図23b参照)。
【0226】
また、来院の際に、患者が電動歯ブラシ2を持参していない場合には、電動歯ブラシ装置2の指導・制御データが、更新されないことになる。この場合、患者による次回の歯磨き時に、スマートフォン4aを介して、最新の指導・制御データに更新される(図23b、ステップS61〜S63、S32、S33参照)。
【0227】
このようにして、次回からの歯磨きにおける指導・制御データとして、修正された指導・制御データが用いられることになる。
【0228】
2.4その他
(1)上記実施形態では、指導データと動作制御データを合体した指導・制御データを用いている。しかし、2つのデータを分離し、指導データはスマートフォン4aに送信し、動作制御データは電動歯ブラシ装置2に送信して用いるようにしてもよい。
【0229】
(2)上記実施形態では、指導者装置6から直接、電動歯ブラシ装置2に動作制御データを送信するようにしている。しかし、動作制御データを、指導者装置6から一旦、サーバ装置8やスマートフォン4aに送信して記録し、これを介して、電動歯ブラシ装置2に動作制御データを送信するようにしてもよい。
【0230】
(3)上記実施形態では、動作制御データとして、磨き強さの設定を行った。しかし、磨きパターン(歯ブラシの振動数をごく短い時間で周期的に変化させるパターン)や歯ブラシの振動方向などを設定するようにしてもよい。
【0231】
(4)なお、指導者装置6にて表示する解析画面において、動作制御データの内容を各部位ごとに併せて表示するようにしてもよい。
【0232】
(5)上記実施形態では、指導データの位置・姿勢と検出データによって推定された位置・姿勢の合致をスマートフォン4aにて判定し、合致していない場合に、電動歯ブラシ装置2にその旨を送信するようにしている。しかし、電動歯ブラシ2において、上記の合致度合いを判定するようにしてもよい。
【0233】
(6)上記実施形態では、電動歯ブラシ装置2に、位置・姿勢の推定を行って出力するセンサを設けている。しかし、第1の実施形態と同じように、電動歯ブラシ装置2に加速度センサ31、ジャイロセンサ33を設け、このセンサ出力を受けて、スマートフォン4aが位置・姿勢を推定するようにしてもよい。
【0234】
(7)上記実施形態では、スマートフォン4aによるガイダンス画面の部位変更タイミングと、電動歯ブラシ装置2による制御の部位変更タイミングは、それぞれ独立して行うようにしている。しかし、いずれか一方が部位変更タイミングを決定し、他方に対してこのタイミングを送信し、両者の同期をとるようにしてもよい。
【0235】
特に、指導データと合致した状態(X、Y、Z、α、β、γのいずれもが指導データの所定割合以内の誤差である状態)で磨かれた時間を積算し、この積算時間が指導データに記述された当該部位の歯磨き時間に達すれば、次の部位を磨くようにガイダンスないし動作制御を行う場合には、このような同期をとる必要がある。
【0236】
(7)上記実施形態およびその他の例は、その本質に反しない限り、他の実施形態においても適用可能である。

図1
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