(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645859
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】カラーフィルター用緑色顔料分散物
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20200203BHJP
C09B 67/46 20060101ALI20200203BHJP
G03F 7/004 20060101ALN20200203BHJP
C09B 57/04 20060101ALN20200203BHJP
【FI】
G02B5/20 101
C09B67/46 A
!G03F7/004 504
!G03F7/004 505
!C09B57/04
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-21259(P2016-21259)
(22)【出願日】2016年2月5日
(65)【公開番号】特開2017-138561(P2017-138561A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2019年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】林 明
(72)【発明者】
【氏名】平井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】杉江 俊輔
【審査官】
岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−224447(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/104493(WO,A1)
【文献】
特開2014−002314(JP,A)
【文献】
特開2017−062467(JP,A)
【文献】
特開2017−120407(JP,A)
【文献】
特開2017−016132(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0331165(US,A1)
【文献】
特開2012−172003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C09B 67/46
C09B 57/04
G03F 7/004
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、顔料分散剤、C.I.ピグメントイエロー185のスルホン化物および溶剤を含み、顔料としてC.I.ピグメントグリーン59と黄色顔料を含み、C.I.ピグメントグリーン59と該黄色顔料との質量比率が、95/5〜40/60であるカラーフィルター用緑色顔料分散物。
【請求項2】
前記顔料分散剤が3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を有し、3mgKOH/g以上のアミン価を有し、ブロック型構造であるアクリル系重合体を含む請求項1記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物。
【請求項3】
前記黄色顔料がC.I.ピグメントイエロー185を含む請求項1または2に記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物。
【請求項4】
前記顔料が微粒子化処理された顔料である請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物により形成された塗布層を有するカラーフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に透過型または反射型カラー液晶ディスプレイに使用される光学的カラーフィルターの製造に使用される緑色顔料分散物及び緑色着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)を平行に配置したもの、或は微細な画素を縦横一定の配列に配置したものからなっている。画素サイズは、数10〜数100μmという微細な形状であり、しかも色相毎に所定の順序で整然と配列される。このため、カラーフィルターの製造方法については、種々の方法が提案されている。
【0003】
カラーフィルターは高い透明性が必要とされるため、従来、ゼラチン、カゼイン等の染色可能な天然高分子の水溶液に、重クロム酸等の感光剤を加えて感光化し、フォトリソグラフィー法を用いて画素パターンを形成し、上記画素パターンを所望の色に染色して色パターンを得る工程を3回繰り返して3色の透明着色微細パターンを形成する、いわゆる染色法を用いることにより製造されていた。
【0004】
近年、カラー液晶ディスプレイパネルの大型化、用途の多様化に伴い、耐熱性、耐光性といった信頼性向上の要求がなされるようになってきた。
【0005】
この要求に対し、カラーフィルター形成用の色材として、色特性に優れるものの耐熱性や耐光性に限界がある染料のかわりに、耐光性及び耐熱性に優れる有機顔料が用いられるようになった。
【0006】
有機顔料を分散した感放射線性着色樹脂組成物を用いてカラーフィルターを製造するに当たっては、透明基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、有機顔料を分散した感放射線性着色樹脂組成物を塗布、乾燥した後、乾燥した塗膜を所望のパターンに露光、現像することにより、各色の画素を得ている。
【0007】
しかし、有機顔料を分散した感放射線性着色樹脂組成物を用いる場合、例えば、透明基板上にブルー、グリーン、レッドの光の3原色を配列してなるカラーフィルターにおいては、一般に、単一の顔料だけでは、それぞれのカラーフィルターとしての分光スペクトルを得るのは困難であり、顔料を2種以上用いて調製することが必要とされる。
【0008】
緑色カラーフィルターについては、特許文献1〜3等に記載されているように一般的に、C.I.ピグメントグリーン7、36、58等の緑色顔料に、C.I.ピグメントイエロー139、17、128、150、155、185等のイエロー顔料を加えスペクトル及び明度を調整している。
【0009】
しかしながら、透過率、すなわち明度を高め、また色純度を上げるなど、カラーフィルターに対する色特性の要求が高まるなか、これらの顔料種の組合せだけではカラーフィルターとしての色特性の向上に限界があった。
【0010】
色特性に優れる緑色顔料としてはC.I.ピグメントグリーン59があるが、顔料分散液の作成が技術的に困難であるため、これまで実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−237325号公報
【特許文献2】特開平11−14825号公報
【特許文献3】特開2014−2314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、前記従来技術の課題に鑑み、色特性に優れるカラーフィルター用緑色顔料分散物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、かかる課題を解決するために、緑色顔料、必要により黄色顔料との組み合わせ、ならびにこれらを微細に分散させる顔料分散剤について種々検討を行った結果、緑の主顔料、調色顔料としての黄色顔料、顔料を微細に分散させる顔料分散剤として特定のものを組合わせることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、(1)顔料、顔料分散剤および溶剤を含むカラーフィルター用緑色顔料分散物において、顔料としてC.I.ピグメントグリーン59を含むカラーフィルター用緑色顔料分散物に関する。
【0015】
また、本発明は、(2)前記顔料分散剤が3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を有し、3mgKOH/g以上のアミン価を有し、ブロック型構造であるアクリル系重合体を含む前記(1)項記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物に関する。
【0016】
また、本発明は、(3)前記顔料がC.I.ピグメントイエロー185を含む前記(1)項または(2)項に記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物に関する。
【0017】
また、本発明は、(4)前記緑色顔料と前記黄色顔料との質量比率が、95/5〜40/60である前記(1)項〜(3)項のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物に関する。
【0018】
また、本発明は、(5)前記顔料が微粒子化処理された顔料である前記(1)項〜(4)項のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物に関する。
【0019】
また、本発明は、(6)さらに、C.I.ピグメントイエロー185のスルホン化物を含む前記(1)項〜(5)項のいずれかに記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物に関する。
【0020】
また、本発明は、(7)前記(1)項〜(6)項に記載のカラーフィルター用緑色顔料分散物により形成された塗布層を有するカラーフィルターに関する。
【0021】
なお、本発明においてアミン価とは、樹脂の固形分1gを中和するのに必要な塩酸量に対して当量となる水酸化カリウムの質量(mg)を表し、JIS K 7237に記載の方法に準ずる方法により測定される値である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明においては、顔料として緑色顔料を用い、好ましくは黄色顔料を併用する。
【0023】
前記の緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン59(カラーインデックス名)が必須成分として使用される。C.I.ピグメントグリーン59を使用することによって、得られたカラーフィルターの緑色着色組成物からなる層が薄く、明度が高く、かつバランスに優れた発色とすることができる。本発明における緑色顔料及び/又は黄色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン59の光透過率を実質的に低下しない範囲において、他の緑色顔料も併用できる。
そして本発明のカラーフィルター用緑色着色組成物により得られた塗膜は、厚さが2.55μmにおいて、xが0.200〜0.240、好ましくは0.210〜0.230、さらに好ましくは0.215〜0.228であり、yが0.650〜0.705、好ましくは0.660〜0.690、さらに好ましくは0.665〜0.675、Yが37.0〜48.0、好ましくは38.0〜48.0である。
【0024】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー185(カラーインデックス名)等が使用される。中でもC.I.ピグメントイエロー185が本発明の目的を達成する上で好ましく、その他の黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー185の光透過率を実質的に低下しない範囲において、他の黄色顔料を併用してもよい。
【0025】
本発明において、緑色顔料と黄色顔料の配合割合は、重量比で緑色顔料/黄色顔料が95/5〜40/60とされることが好ましい。
【0026】
本発明の顔料は、高い明度や高いコントラストを得るために微粒子化処理した顔料を使用することが好ましい。微粒子化処理を行うことにより、顔料の一次粒子径を更に微細にかつ均一にすることができる。
上記微粒子化処理としては、例えば、未処理着色顔料、水溶性の無機塩(塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム等で好ましくは塩化ナトリウムで、使用する水溶性の無機塩の平均粒子径としては50μm以下のものが好ましい)、及び、上記水溶性の無機塩を実質的に溶解しない水溶性分散媒体(アルコキシアルコール類、グリコール類、エーテル類等)を含む混合物を、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、特開2006−192385号公報に記載のプラネタリーミキサーである井上製作所(株)社製のトリミックス(商標名)、連続式一軸混練機である浅田鉄工(株)社製のミラクルKCK等の混練装置で混練した後、上記水溶性の無機塩及び上記水溶性分散媒体を除去するソルトミリングを行い、微粒子化処理を行うことが好ましい。
【0027】
本発明においては、C.I.ピグメントイエロー185のスルホン化物を併用する事が好ましい。具体的には、黄色顔料の微粒子化処理においてC.I.ピグメントイエロー185のスルホン化物を併用する方法や、単独で微粒子化処理された黄色顔料を分散する工程においてC.I.ピグメントイエロー185のスルホン化物を併用する方法などが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー185のスルホン化物の使用量は、黄色顔料100質量部に対して0.5〜30質量部、好ましくは3〜15質量部である。
【0028】
本発明に用いるカラーフィルター用緑色顔料分散物に使用する顔料分散剤としては、3級アミノ基及び/又は4級アンモニウム基を有し、3mgKOH/g以上のアミン価を有し、ブロック型構造であるアクリル系重合体が必須成分として使用される。
このような顔料分散剤としては、DISPERBYK−2001、DISPERBYK−2000、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116、BYK−LPN22102(いずれもビックケミー社製)等が例示でき、これらは単独でまたは併用して使用できる。
【0029】
本発明の顔料組成物において、前記顔料分散剤の使用量は、顔料100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜60質量部である。前記顔料分散剤の含有量が1質量部より小さいと顔料分散効果が低下する場合があり、一方100質量部を超える場合は、現像性が低下する等のおそれがある。
【0030】
また、前記顔料分散剤以外に、必要に応じ界面活性剤を併用することも可能である。このような界面活性剤としては、イオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤が挙げられ、イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤および両性界面活性剤があげられる。カチオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン類、第4級アンモニウム塩類、アルキルピリジウム塩類が例示できる。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩類、硫酸エステル類、スルホン酸塩類、リン酸エステル類等が例示できる。両性活性剤としては、アミノ酸塩類等が例示できる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類等が例示できる。
【0031】
本発明に用いるカラーフィルター用緑色顔料分散物に使用する溶剤としては、顔料分散剤を溶解し、かつ、顔料を安定的に分散させることができる溶剤が好ましい。
このような溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エステル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸n−ブチル、アセト酢酸メチル、ぎ酸n−アミル、ピルビン酸エチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類を例示できる。これら溶剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、これら溶剤の使用量は、顔料分散物の全量に対して60〜80重量%の割合で使用することが好ましい。
【0032】
本発明のカラーフィルター用緑色顔料組成物は、緑色顔料、黄色顔料、顔料分散剤、溶剤等を混合し、超音波分散機、ビーズミル、3本ロール、ボールミル、サンドミル、ホモジナイザー、ニーダー等を用いて混練し分散処理することにより得られる。
【0033】
前記の分散処理に際しては、顔料分散剤および/または溶剤は、その全量を分散処理時に顔料と共に用いてもよく、顔料分散剤の一部を分散処理後に加えてもよい。
【0034】
本発明のカラーフィルター用緑色顔料分散物は、通常、バインダー樹脂、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する光重合性化合物および光重合開始剤、必要に応じ溶剤、その他の添加剤と混合して顔料分散レジスト組成物として、カラーフィルターの形成に使用される。その際の各種配合剤、調製法などは従来のものがとくに制限されず、使用できる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、本実施例において「部」および「%」は「重量部」および「重量%」を表わす。
<顔料>
D1155(C.I.ピグメントイエロー185、商品名Paliotol Yellow D1155、BASF社製)
6268EC(C.I.ピグメントイエロー150、商品名クロモファインイエロー6268EC、大日精化社製)
L0960HD(C.I.ピグメントイエロー138、商品名PaliotolYellow L0960HD、BASF社製)
Green S(C.I.ピグメントグリーン7、商品名ファーストゲングリーン S、DIC社製)
A110(C.I.ピグメントグリーン58、商品名ファーストゲングリーンA110、DIC社製)
C100(C.I.ピグメントグリーン59、商品名ファーストゲングリーンC100、DIC社製)
<顔料分散剤>
BYK−LPN21116(3級アミノ基及び4級アンモニウム基を有し、約29mgKOH/gのアミン価を有し、ブロック型構造であるアクリル系重合体、固形分40%、ビックケミー社製)
<バインダー樹脂>
BnMA/MAA共重合体(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、理論酸価120mgKOH/g、質量平均分子量25,000)
<溶剤>
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
<光重合性化合物>
DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
<光重合開始剤>
Ir369(2−ベンジル−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン、商品名イルガキュア369、BASF社製)
【0036】
(D1155スルホン化物)
100ml三角フラスコに濃硫酸を30ml仕込み、マグネチックスターラーで撹拌しながらD1155を10g投入し、室温で30分撹拌した。1Lビーカーに水50gと氷50gの混合物を入れ、上記反応物をこの氷水中に注ぎ、マグネチックスターラーで30分撹拌した。これを減圧下で濾過・水洗し、得られた固体を乾燥させてD1155スルホン化物を12g得た。
(微粒子化D1155)
ニーダー(商品名:KHD−2、井上製作所製)のタンクに、D1155を100質量部、粒径20μmの塩化ナトリウム1000質量部、ジエチレングリコール240質量部を投入し、75℃で10時間混練しソルトミリングを行った。次に得られた混練物1300質量部を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌しスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返し塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、40℃にて乾燥し、95質量部の微粒子化D1155を得た。
(微粒子化D1155(スルホン化物含有))
ニーダー(商品名:KHD−2、井上製作所製)のタンクに、D1155を100質量部、粒径20μmの塩化ナトリウム1000質量部、D1155スルホン化物7質量部、ジエチレングリコール240質量部を投入し、75℃で10時間混練しソルトミリングを行った。次に得られた混練物1300質量部を3リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間撹拌しスラリー状とした。ろ過、水洗を繰り返し塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、40℃にて乾燥し、98質量部の微粒子化D1155(スルホン化物含有)を得た。
【0037】
<カラーフィルター用顔料分散組成物>
上記微粒子化顔料、又は微粒子化していない各種顔料、顔料分散剤、D1155スルホン化物、バインダー樹脂(BnMA/MAA共重合体)、有機溶剤(PGMEA)を表1の組成となるように混合し、0.2mmΦのジルコニアビーズを用いてペイントコンディショナーで6時間混練し、カラーフィルター用顔料分散組成物1〜8を得た。
【0038】
【表1】
【0039】
<カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物>
次いで、カラーフィルター用顔料分散組成物1〜8と、BnMA/MAA共重合体、DPHA、Ir369、PGMEAを、表2の組成になるように高速撹拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのメンブランフィルターでろ過し、カラーフィルター用顔料分散レジスト組成物1〜8を得た。
【0040】
【表2】
【0041】
<実施例1〜2及び比較例1〜10のカラーフィルター用緑色顔料分散レジスト組成物>
表3の顔料割合となるようにカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物1〜8から選択された組成物を均一混合し、実施例1〜2及び比較例1〜10のカラーフィルター用緑色顔料分散レジスト組成物を得た。
【0042】
【表3】
【0043】
(評価)
<カラーフィルター用緑色顔料分散レジスト組成物の色特性の評価>
実施例1〜2及び比較例1〜10のカラーフィルター用緑色顔料分散レジスト組成物を、スピンコーターを用いてガラス基板上に塗布した。次いで、100℃で3分間プレベークした後、高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークした。次いで、実施例1〜2及び比較例1〜10の各レジストの色特性(x,y,Y)を分光光度計(島津製作所社製、UV−2500PC、C光源2°視野)で測定した。実施例1〜2及び比較例1〜10では、色度x=0.224、y=0.669での膜厚、明度Yを求めた。
【0044】
本発明に沿った例である実施例1〜2によれば、カラーフィルター用緑色顔料レジスト組成物は、Yの値が高く、かつ膜厚が小さいのでカラーフィルターとして適切な光学的性質を備えることが解る。
一方、C.I.ピグメントグリーン59を使用せずに、ほかの顔料を採用してなる比較例1〜10によれば、xとyの値が実施例と共通しても、Yの値が低いために、カラーフィルター用として適切に使用することができない。
【0045】
表3からわかるように、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン59を使用したカラーフィルター用緑色顔料分散物は、小さい膜厚においても明度が非常に高いことがわかる。