【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、本発明によると、請求項1に記載されている方法を用いて達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項中に再現されている。
【0018】
請求項1に記載されている通り、こうして本発明は、搬送装置のコンベヤベルトの搬送表面上に堆積し固形残渣出口の方向に搬送される燃焼プロセスの固形残渣を冷却するための方法において、搬送中、固形残渣から気体冷却剤まで熱が伝導される方法に関する。
【0019】
本発明によると、コンベヤベルトには、このとき、その搬送表面の反対方向に配向した側でのみ冷却剤が作用し、コンベヤベルトは、本質的に冷却剤に対する不浸透性を有する。
【0020】
典型的には、搬送装置上に堆積した固形残渣の温度は200℃〜500℃、好ましくは200℃〜300℃の範囲内にある。
【0021】
これらの固形残渣は、固形残渣出口まで搬送される間に150℃未満、好ましくは100℃未満まで冷却される。
【0022】
本発明によると、冷却剤は気体である。以下で説明される通り、冷却剤として好ましくは空気が使用される。したがって、本発明に係る熱の伝導または、それによって得られる固形粒子の冷却は、他の材料特性、詳細には気体冷却剤と比べて大きい密度を理由として冷却すべき表面上に合理的な力を用いても非常に不充分な形でしか分布できない液体噴霧媒体を使用している技術とは根本的に異なるものである。
【0023】
本発明によると、コンベヤベルトとの接触によって加熱された冷却剤の少なくとも一部は、搬送表面の反対方向に配向した側で抽出される。換言すると、加熱された冷却剤は、搬送表面の直下の空間から抜き出され、こうして、システムから熱が除去される。
【0024】
こうして、本発明は、固形残渣出口の方向に固形残渣を搬送するのに役立つだけでなく、冷却剤からまたは固形残渣を冷却するための冷却システムから固形残渣を空間的に分離することをも可能にするコンベヤベルトに基づいている。
【0025】
これは、コンベヤベルトが本質的に冷却剤に対する不浸透性を有し、コンベヤベルトにはその搬送表面の反対方向に配向した側にのみ冷却剤が作用するという事実によって達成される。換言すると、冷却のために必要とされる冷却剤循環は、固形残渣が内部に配置されている空間とは分離した1つの空間内でのみ行なわれる。こうして、本発明は、冷却剤−固形物の混合物を回避する。
【0026】
特許文献2、特許文献3および特許文献5の教示とは対照的に意外にも、固形残渣から気体冷却剤への熱の間接的伝導によって充分な冷却を得ることができるということが発見された。詳細には、充分な冷却を達成するために、冷却剤との直接的接触も液体噴霧媒体のさらなる使用も必要とされないことが発見されている。
【0027】
特許文献2、特許文献3および特許文献5に係る方法において発生し、かつ灰床上にまたは灰床の内部を通って空気が導入されることで必然的に固形残渣の輸送中に空気−固形物混合物が生成されるという事実によってひき起こされる粉塵発生の問題は、こうして本発明を用いて回避することができる。最後に、こうして、固形残渣、詳細にはクリンカーまたは灰を冷却するためのあまり手のかからない単純な方法が提供される。
【0028】
固形残渣を間接的に、すなわち固形残渣と冷却剤との間の直接的接触なく冷却することにより、本発明はさらに、冷却システムを介して燃焼室に到達する停滞空気を可能な限り少なくするように保証することができる。こうして、一次燃焼のために燃焼室に補給される空気量ひいては燃焼室内の温度をより良く制御することが可能になり、このことは燃焼プラントのエネルギー収支に対してプラスの効果を有する。
【0029】
このことも同様に、無制御の量の空気が燃焼室内に導入されそのためにエネルギー収支および焼却にとって有害である燃焼室内の温度降下が導かれる、特許文献2、特許文献3および特許文献5に係る構成と違っている。
【0030】
燃焼プラントの有利なエネルギー収支を目的として、同様に、本発明に係る方法の別の好ましい実施形態によると、燃焼に必要とされる空気の加熱のために、加熱された冷却剤を抽出後に加熱媒体として使用すること、あるいは、例えば隣接する全く異なる加熱プラント内または別のタイプのエネルギー回収プラント内で、別の形でこの冷却剤を使用することも想定可能である。
【0031】
上述の通り、冷却剤は気体、詳細には空気である。このため、特に水を冷却剤として使用した場合に発生し得る潜在的な腐食の問題を有効に防止することが可能であり、したがってメンテナンスの費用をさらに最少化することが可能である。無水冷却法は、具体的にはクリンカーの乾燥放出と組合さって、水処理コストが全く発生しないという追加の利点を有する。
【0032】
したがって、本発明の特に好ましい実施形態によると、気体冷却剤のみが使用される。詳細には、この実施形態によると、特許文献3の教示によると必須であるとみなされる液体噴霧媒体は全く使用されない。したがって、特許文献3中にも同様に記載されている、再利用の前に噴霧媒体を捕捉し清浄しなければならないという液体噴霧媒体の使用の結果としてもたらされる問題は、本発明によると発生しない。
【0033】
本発明の1つの好ましい実施形態によると、コンベヤベルトには、作用の対象となるコンベヤベルトの表面から30cm未満、好ましくは20cm未満そして最も好ましくは10cm未満の距離のところに少なくとも一部が配置されている気体ノズル開口部を介して冷却剤が作用する。
【0034】
図面と併せて説明されている通り、冷却剤が抜き出される時に通る出口開口部は、少なくとも部分的に、作用の対象となるコンベヤベルトの表面から類似の距離のところに配置され得る。したがって、別の好ましい実施形態によると、出口開口部は、作用の対象となるコンベヤベルトの表面から30cm未満、好ましくは20cm未満そして最も好ましくは10cm未満の距離のところに配置される。その結果として、加熱された冷却剤は早く抽出され、このことが最終的に冷却の最適化をもたらす。詳細には、この実施形態は、冷却剤の流路を短く保つことを可能にし、こうして、加熱された冷却剤が搬送表面の反対方向に配向したコンベヤベルトの側にある空間内に過度に長く滞留して冷却効率に対してマイナスの効果を及ぼし得る事態が回避される。
【0035】
上述の方法に加えて、本発明は同様に方法を実施するための搬送装置にも関する。
【0036】
方法に関連して記述した通り、搬送装置は、固形残渣を搬送するための搬送表面を伴うコンベヤベルト、好ましくはエンドレスコンベヤベルトを含み、ここで、搬送装置は、固形残渣を冷却するための手段をさらに含み、これらの手段は気体冷却剤を導入するための冷却剤供給部と固形残渣(32)により加熱された冷却剤の少なくとも一部を抽出するための冷却剤排出部とを含む。
【0037】
コンベヤベルトは、本質的に冷却剤に対する不浸透性を有する。さらに冷却剤供給部および冷却剤排出部は、冷却剤が搬送表面の反対方向に配向したコンベヤベルトの側のみと接触するような形で構成されている。
【0038】
詳細には、冷却剤供給部は、コンベヤベルトが、搬送表面の反対方向に配向した側のみで冷却剤による作用を受けるような形で構成されている。
【0039】
詳細には図と併せて説明されている通り、搬送装置は同様に、概して、コンベヤベルトと共に、冷却剤供給部および冷却剤排出部が連結されている空間を包囲する細長いハウジングを含んでいる。
【0040】
同様に図と併せて説明される通り、搬送装置またはそれが画定する搬送方向Fは、その第1の区分内で水平方向に走行し、この区分に対し、対角線方向上に向けられた第2の区分が連結し、固形残渣は詳細には第2の区分内で冷却剤により冷却されるということを、想定することが可能である。
【0041】
特に好ましい実施形態によると、コンベヤベルトは、少なくとも2つのローラーの周りで誘導され送りレーンおよび戻りレーンを伴う1つのループを形成するエンドレス搬送ベルトである。これに関連して、固形残渣は、送りレーンの搬送表面上に収容され、搬送方向Fに搬送される。
【0042】
本発明に関連して、送りレーンは、コンベヤベルトの引っ張られた側であるものと理解され、一方コンベヤベルトの引っ張られていない緩んだ側は、戻りレーンを形成する。
【0043】
コンベヤベルトのこのような構造は、例えば、コンベヤベルトの幅全体にわたり延在し重畳する金属プレートを用いて可能である。固形残渣と冷却剤の間の良好な熱伝導のためには、例えば鋼製プレートが選択される。送りレーンの下の、冷却剤が内部を流れている空間は、例えば金属シートの構造的構成を用いて最も効率良く封止することができ、この金属シートは、側壁上に配置され送りレーンの縁部を超えて突出して金属シートと送りレーン間の空隙を可能な限り小さく保ち、「整合」により高い流れ抵抗を達成するようになっている。
【0044】
冷却剤供給部と排出部の構造的構成については、多数の可能性が存在する。単純な一実施形態には、各々がハウジングの側壁内に配置された対応する冷却剤入口に直接または供給結合管を介して通じている冷却剤供給管内に冷却剤が分配される時に通りかつ、冷却剤圧縮機に連結されている冷却剤供給分配管が含まれている。対応する側壁を介して、冷却剤供給ノズル管は、送りレーン下の空間内に突出することができ、これらの管は、その最上領域において、コンベヤベルト搬送表面の反対方向に配向した側に冷却剤が導入される時に通る開口部を有している。
【0045】
冷却剤の排出に関して言えば、冷却剤の吸引を用いてまたは側壁内の冷却剤出口を通して、直接的にまたは排出結合管を介して対応する冷却剤排出管内へ加熱済み冷却剤を誘導し、かつその後この加熱済み冷却剤を冷却剤排出収集管内で収集することを想定することができる。
【0046】
詳細には同様に、搬送装置の冷却剤排出部と同じ側に、あるいはそれぞれの相対する側に冷却剤供給部を配置することも想定可能である。したがって、冷却剤入口および冷却剤出口は、同じ側壁内またはそれぞれの相対する側の側壁内に配置される。
【0047】
別の実施形態によると、送りレーンと戻りレーンとの間の空間は、送りレーンの平面に対して本質的に平行に走る壁で分割されて、送りレーンとこの壁との間の隙間を形成し、冷却剤供給部と冷却剤排出部をこの隙間に対して割当てる。この配置は、冷却剤が内部を流れる空間のサイズを削減すること、ひいては冷却剤の所要量を削減することを可能にする。
【0048】
さらに、別の実施形態によると、送りレーンと戻りレーンとの間の空間は、搬送方向で少なくとも2つの区画に分割され得、ここで各々のケースにおいて、導入されるべき冷却剤の量を制御するための少なくとも1つのバルブが、異なる区画に割当てられるかまたは異なる区画に連結された冷却剤供給部および/または排出に対して割当てられる。送りレーンと戻りレーンとの間の空間のこのような分割により、冷却または導入される冷却剤量を必要に応じて局所的に適応できるように保証することが可能になる。
【0049】
本発明に係る方法に関連して記述した好ましい実施形態は、搬送装置の好ましい実施形態も同様に表わしている。反対に、搬送装置に関連して説明された好ましい特徴は全て、方法の好ましい特徴を表わす。
【0050】
詳細には、搬送装置は、冷却剤としての空気の使用向けに構成されている。方法について記載された好ましい実施形態に対するさらなる類推において、冷却剤供給部には好ましくは、作用の対象となるコンベヤベルトの表面、詳細には送りレーンの下側から30cm未満、好ましくは20cm未満そして最も好ましくは10cm未満の距離のところに少なくとも一部が配置されている開口部を有する気体ノズルが含まれている。
【0051】
図に関連して以下で論述する通り、1つの特に好ましい実施形態によると、気体ノズルは、冷却剤供給ノズル管の形をしている。これらの冷却剤供給ノズル管は、冷却剤供給管に連結され、その最上位領域内にノズル管開口部を有する。
【0052】
この点において、コンベヤベルトの幅全体にわたり分布した形で多数の気体ノズル開口部を配置して、冷却剤が幅方向でもできる限り均等に作用ように保証することがさらに好ましい。気体ノズルが冷却剤供給ノズル管の形をしている場合には、これらは搬送方向に対し横断方向に、すなわちコンベヤベルトの幅方向に走行していることが好ましい。
【0053】
言及した通り、本発明の方法および搬送装置は、詳細には、特に燃焼室内の燃焼プロセスの端部において結果としてもたらされるクリンカーの冷却についての、廃棄物の燃焼に関連する。
【0054】
別の態様によると、本発明はこうして、上述の搬送装置を収納する廃棄物燃焼プラントにも関する。
【0055】
本発明は、添付図面を参照して、さらに明らかにされる。