特許第6645973号(P6645973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6645973
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】3次元印刷オブジェクトの着色
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20200203BHJP
   B29C 64/106 20170101ALI20200203BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B29C64/393
   B29C64/106
   B05D5/06 101D
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-548284(P2016-548284)
(86)(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公表番号】特表2017-516679(P2017-516679A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】IL2015050087
(87)【国際公開番号】WO2015111059
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2017年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/931,634
(32)【優先日】2014年1月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513131464
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ディコブスキー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュリーマン,スタニスラブ
(72)【発明者】
【氏名】ブレスラー,ヨアブ
【審査官】 ▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0195122(US,A1)
【文献】 特開2003−159754(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0079601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 − 64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともいくらかの透明性を有する材料を使用して、3次元の(3D)カラーオブジェクトをレイヤごとに印刷する方法であって、
前記カラーオブジェクトに関する3D形状およびカラーテクスチャーを定義する3D CADファイルを得るステップと、
前記3D形状をコアおよび色シェルへと分割するステップと、
前記色シェルを体積領域へと分割するステップと、
ルックアップテーブル(LUT)に基づき、前記体積領域のそれぞれを、要求されている色の最適な再現につながる色スタックにおけるボクセルの配置へ割り振るステップと、
前記3D形状に基づき、ある領域の色スタックが別の領域の色スタックと対立する対立事象を判定するステップと、
色スタック間に対立がある場合、色補正を適用するステップと、
前記3Dカラーオブジェクトを印刷するステップと
を含む前記方法。
【請求項2】
前記LUTは、様々な色スタックの組成を印刷し、結果として生じる色を測定することにより構築される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ボクセルの配置は、10未満のボクセルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記色シェルの厚さが、用いる前記少なくともいくらかの透明性を有する材料のエクスティンクション深さに対して計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記対立事象は、面間の接合部、鋭いエッジ、および薄い部分から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記薄い部分は薄い壁である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記色補正は、色の組み合わせのライブラリから色スタックのベストマッチを選択するステップ、実際の色と前記ライブラリにより提供される色との間の距離を測定するステップ、および、前記実際の色にさらによくフィットするように、前記ライブラリにより提供された色スタックを修正するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記色スタックを修正するステップは、色の変化をインクの関数として予測するモデルを適用するステップ、または、前記色スタックの内部レイヤに、より明るく着色されたインクを配置するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記色補正は、対立する色スタックのボクセル間でディザリング処理を用いることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ディザリング処理は、前記要求されている色のそれぞれについてのボクセルの異なるディザリングベクトルを選択するステップと、最小の量のボクセルの上書きを必要とする組み合わせを見つけるようにボクセルの前記ディザリングベクトルを組み合わせるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ボクセルの前記ディザリングベクトルを組み合わせるステップは、隣接するディザリングスタック間の対立を考慮する末尾をマッチさせるアルゴリズムを用いて実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記末尾をマッチさせるアルゴリズムは、前記色スタックの内部の共通の色の同じ末尾を有するベクトルを探すステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記末尾をマッチさせるアルゴリズムは、最も長い長さの共通の末尾を有するベクトルの組み合わせを選択するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記LUTは、特定の印刷条件に応じて構築される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのいくつかの実施形態においては、3次元印刷オブジェクトの着色に関し、より詳細には、多色オブジェクトにおける個々の色の均一性を確保する方法に関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
3次元印刷においては、3D印刷デバイスを使用するレイヤの選択的な堆積によって、オブジェクトが形成される。多くのケースにおいて、多色オブジェクトが必要とされ、3Dプリンタから多色オブジェクトを作り出すための技術が知られている。一般には、オブジェクトを作成するために透明または白色の材料が使用され、オブジェクトの別々の面は、別々の方向に面している。全体的な知覚される色は、表面レイヤおよびすぐ下のレイヤによって寄与され、これによって、面間の接合部において、または対向面が互いに近くにある構造の薄い部分において、その他の領域からの色が干渉して、不均一な色の効果を与える場合があるという問題が生じる。同様に、色を硬化させるために使用される場合があるUV放射などの放射が、別々の方向に面している表面にわたって均一に行われない場合があり、または3Dオブジェクトのいくつかの部分に達するのを阻まれるまたは遮られる場合がある。
【0003】
色の均一性は、標準的な2次元印刷において扱われてきたが、角度および隣接している面の問題は当てはまらない。さらに、印刷基材はときおり透明である場合があるが、対向面上で印刷を行う場合には、不透明な基材が使用される。
【0004】
色の均一性は、従来の製造においても扱われてきた。しかしながら、従来の製造においては、プロトタイプが構築され、次いで、必要とされる場合には着色を補正することができる。3次元印刷においては、最初のプロトタイプが最終オブジェクトであり、したがって、そのような色補正オプションは典型的には利用不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、個々のピクセルにおける色の最初の選択が不均一性の効果を補うようにさせることに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、3次元の(3D)カラーオブジェクトをレイヤごとに印刷する方法が提供され、この方法は、
カラーオブジェクトに関する3D形状および表面色配分を定義する3D CAD仕様を得るステップと、
カラーオブジェクトの表面上の領域を定義するステップと、
表面色配分に基づいてそれぞれの領域に関する色を定義するステップと、
色のばらつきを引き起こしやすく、それによって、それぞれの領域において定義されているように色を使用すると着色エラーが生じる可能性があるそれぞれの領域において当てはまる条件を、3D形状を使用して判定するステップと、
それぞれの判定された条件に関して定義されている色補正を選択するステップと、
定義されている補正を用いて、定義された色を補正して、それぞれ対応する着色エラーを補うステップと、
それぞれの領域においてそれぞれの補正された定義された色を使用して3Dカラーオブジェクトを印刷するステップとを含む。
【0007】
一実施形態においては、色は、表面ピクセルにわたって印刷され、条件は、隣り合っているピクセルどうしにおける色を含む。
【0008】
一実施形態においては、色補正は、ルックアップテーブルから得られる。
【0009】
一実施形態においては、オブジェクトは、少なくともいくらかの透明性を有する材料を使用して印刷され、色知覚は、表面への深さによって定義され、それぞれの表面ピクセルは、色スタック内の深さへと延びる所定の数のボクセルの点から定義され、条件は、隣り合っている3D表面どうしの別々の色スタックの間の干渉である。
【0010】
一実施形態は、対応する色干渉に関して定義されているルックアップテーブルからそれぞれの補正を得るステップを含むことができる。
【0011】
一実施形態は、色変更モデルを使用してそれぞれの補正を得るステップを含むことができる。
【0012】
一実施形態は、それぞれ干渉する色スタックのボクセル間においてディザリングプロセスを使用してそれぞれの補正を得るステップを含むことができる。
【0013】
一実施形態は、干渉する色スタックどうしのそれぞれのペアに関する別々のボクセルの組合せを生成するステップと、設計色との間での最小のエラーを与える組合せを見つけ出すステップとを含むことができる。
【0014】
一実施形態においては、最小のエラーを与える組合せを見つけ出すステップは、それぞれの別々のボクセルの組合せを照合して、最小の量のボクセルの上書きを必要とする組合せを見つけ出すステップを含む。
【0015】
一実施形態においては、最小のエラーを与える組合せを見つけ出すステップは、最小の濃さの色を最大の相互干渉のボクセル位置に配置するステップを含む。
【0016】
一実施形態においては、条件は、その他の表面に対する表面角度および表面位置のいずれかを含む。
【0017】
一実施形態は、メンバーに関して定義されているルックアップテーブルから補正を得るステップを含むことができる。
【0018】
一実施形態は、
条件のもとでテスト3Dオブジェクトを印刷することによって補正を得るステップと、
適用されている色に対して、測定された色の偏りを表にするステップとを含むことができる。
【0019】
一実施形態は、
所定の条件のもとでエラーを引き起こす原因となる因子を得ることによって補正を得るステップと、
得られた因子を使用してエラーを計算するステップと、
条件に対して、計算されたエラーを表にするステップとを含むことができる。
【0020】
明るい色または高い輝度の色に伴って生じる不連続性の問題を扱うための一実施形態が提供される。この方法は、明るい色または高い輝度の色の存在を検知するステップと、これらの明るい色または高い輝度の色が検知された場合には、補正として、白色の外側のレイヤおよび白色の下層のコアを明るい色または高い輝度の色のレイヤのいずれの側にも適用するステップとを含む。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、3次元の(3D)カラーオブジェクトをレイヤごとに印刷するための3Dカラープリンタが提供され、このプリンタは、
カラーオブジェクトに関する3D形状および表面色配分を定義する3D CAD仕様を入力するための仕様入力部と、
カラーオブジェクトの表面上の領域を定義するための領域定義部と、
表面色配分に基づいてそれぞれの領域に関する色を定義するための色定義部と、
色のばらつきを引き起こしやすく、それによって、それぞれの領域において定義されているように色を使用すると着色エラーが生じる可能性があるそれぞれの領域において当てはまる条件を、3D形状を使用して判定するためのエラー判定ユニットと、
それぞれの判定された条件に関して定義されている色補正を選択するための選択部と、
定義されている補正を用いて、定義された色を補正して、それぞれ対応する着色エラーを補うための補正部とを含み、
このプリンタは、それぞれの領域においてそれぞれの補正された定義された色を使用して3Dカラーオブジェクトを印刷するように構成されている。
【0022】
別段の定義がなされていない限り、本明細書において使用されているすべての技術的なおよび/または科学的な用語は、本発明が関連している技術分野における標準的な技術者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において説明されている方法および材料と同様のまたは同等の方法および材料を、本発明の実施形態の実施またはテストにおいて使用することができるが、例示的な方法および/または材料について、以降で説明する。矛盾が生じるケースにおいては、定義を含めた本特許明細書が統制を行う。加えて、それらの材料、方法、および例は、例示的なものにすぎず、必ずしも限定することを意図されているものではない。
【0023】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実施は、選択されたタスクを手動で、自動的に、またはそれらの組合せで実行または完了することを含むことができる。その上、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の器具および機器に従って、いくつかの選択されたタスクを、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、もしくはファームウェアによって、またはオペレーティングシステムを使用してそれらの組合せによって実施することができる。
【0024】
たとえば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアをチップまたは回路として実装することができる。ソフトウェアとしては、本発明の実施形態による選択されたタスクを、任意の適切なオペレーティングシステムを使用してコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実施することができる。本発明の例示的な一実施形態においては、本明細書において説明されている方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクが、複数の命令を実行するためのコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサによって実行される。任意選択で、そのデータプロセッサは、命令および/もしくはデータを格納するための揮発性メモリ、ならびに/または命令および/もしくはデータを格納するための不揮発性ストレージ、たとえば、磁気ハードディスクおよび/もしくは取り外し可能なメディアを含む。任意選択で、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイおよび/またはユーザ入力デバイス、たとえば、キーボードまたはマウスも、任意選択で提供される。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態が、本明細書において、単なる例として、添付の図面を参照しながら説明されている。次いで、図面を詳しく具体的に参照しながら、示されている詳細は、例示を目的としたものであり、本発明の実施形態の例示的な論考のためのものであるということが強調されている。これに関連して、説明を図面とともに理解すれば、本発明の実施形態をどのように実施することができるかが当業者にとって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の好ましい一実施形態による、3D印刷オブジェクト上で色を補正する方法を示す簡略化されたフローチャートである。
図2A図1の方法において使用するためのさまざまな条件に関する色補正を得る経験的な方法を示す略図である。
図2B】エラーを引き起こす条件が、隣り合っているピクセルどうしにおける干渉する色に関連している、本発明の一実施形態による色補正を実行する方法を示す略図である。
図3】分析的な技術を使用する、図1または図2Bの方法に関する色補正を得る方法を示す略図である。
図4】エラーを引き起こす条件が、隣り合っているピクセルどうしにおける干渉する色に関連している、本発明の一実施形態による色補正を実行する代替方法を示す略図である。
図5】エラーを引き起こす条件が、隣り合っているピクセルどうしにおける干渉する色に関連している、本発明の一実施形態による色補正を実行するさらなる代替方法を示す略図である。
図6】本発明の実施形態による色補正において使用される仮定を示す略図である。
図7】色補正を使用しないことの問題を示す略図である。
図8】色スタックにおけるボクセルどうしのさまざまな配置がどのようにして同じ表面色につながることが可能であるかの一例を示す略図である。
図9図5の方法によるディザリングを示す略図である。
図10図5の方法によるディザリングのさらなる一例を示す略図である。
図11】所与のオブジェクト表面の放射露出感受性などに起因する条件のケースにおける色補正のためのルックアップテーブルを構築する方法を示す略図である。
図12】放射露出感受性などに起因する条件に関する色補正の方法を示す略図である。
図13】本発明の一実施形態による、特に、明るい色に関する色補正の方法を示す簡略化されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、そのいくつかの実施形態においては、3次元印刷オブジェクトの着色に関し、より詳細には、多色オブジェクトにおける個々の色の均一性を確保する方法に関するが、それに限定されない。
【0028】
着色エラーを引き起こしやすいと3D形状から判定された条件に関する補正を行うためにオブジェクトにわたって色補正が適用される。
【0029】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以降の説明において記載されている、ならびに/または図面および/もしくは例において示されているコンポーネントおよび/または方法の構造および配置の詳細に必ずしも限定されるものではないということを理解されたい。本発明は、その他の実施形態が可能であり、またはさまざまな方法で実施もしくは実行されることが可能である。
【0030】
次いで図面を参照すると、図1は、3次元(3D)のカラーオブジェクト上で色を補正して、次いでそのカラーオブジェクトがレイヤごとに印刷され、色補正を使用して着色される方法を示す簡略化されたフローチャートである。
【0031】
ボックス10は、印刷および着色されることになるオブジェクトに関する3D形状および表面色配分を定義する3D CAD仕様(3D CAD specification)を得ることを示している。
【0032】
加えて、いくつかの実施態様においては、色は、オブジェクトの表面において定義され、それによって、その表面上のそれぞれのロケーションだけでなく、そのロケーションにおける法線に対するさまざまな角度も、それら自体の色特性によって特徴付けられることが可能である。
【0033】
カラーオブジェクトの表面上の領域、典型的には、同じ色および形状を共有するエリアが、ボックス12のように定義される。
【0034】
それぞれの領域に関する色が、ボックス14のように、CAD仕様によって提供される表面色配分に基づいて割り振られる。
【0035】
再び、CAD仕様を使用して、色のばらつきを引き起こしやすいさまざまな領域において当てはまる条件を判定するために3D形状が使用される。言い換えれば、それぞれの領域において定義されているとおりに色を使用すると着色エラーが生じる可能性があるケースを見つけ出すために形状がスキャンされる。たとえば、2つの対向表面が互いに近すぎる場合には、色どうしが干渉する可能性がある。それらの表面が、扱いにくい角度を有している場合、またはその他の部分の後ろに隠れている場合には、硬化させる放射がその領域に届かない可能性がある。
【0036】
ボックス18において、判定された条件に関する色補正が得られる。それらの補正は、以降でさらに詳細に説明されるように、計算されること、またはルックアップテーブルから得られることが可能である。
【0037】
ボックス20において、ステージ18において得られた条件および対応するエラーを補うために、得られた補正を使用して色が再定義される。
【0038】
最後に、ステージ22において、それぞれの領域における補正された色を使用してオブジェクトが印刷される。
【0039】
エラーを引き起こす条件は、たとえば、隣り合っているピクセルどうしまたはボクセルどうしに存在する色を含む場合がある。以降でさらに詳細に説明されるように、典型的には白色またはその他の形で不透明であるがいくらかの透明性を有する材料を使用して、オブジェクトが印刷される場合がある。したがって色知覚は、表面への深さ内のすべての色によって影響される。したがって、それぞれの表面ピクセルは、自分の色を、深さへと延びて本明細書において色スタックと呼ばれているものを形成している特定の数のボクセルの点から定義されることが可能であり、それによって、色エラーを引き起こす条件は、隣り合っている3D表面どうしの別々の色スタックの間の干渉である場合がある。とりわけ、特に鋭いエッジにおいて、または薄い部分どうしにわたって、別々の表面からの色スタックどうしが同一の空間を占める場合がある。
【0040】
この方法は、対応する色干渉に関して定義されているルックアップテーブルから補正を得ることを含むことができる。あるいは補正は、色変更モデルを使用して得られることが可能であり、またはそれぞれ干渉する色スタックのボクセル間においてディザリングプロセスを使用することを含むことができる。
【0041】
この方法は、以降で図9およびその他の図に関連してさらに詳細に説明されているように、干渉する色スタックどうしのそれぞれのペアに関する別々のボクセルの組合せを生成すること、および設計色との間での最小のエラーを与える組合せを見つけ出すことを含むことができる。したがって、たとえば、別々のボクセルの組合せを照合して、最小の量のボクセルの上書きを必要とする組合せを見つけ出すことによって、最小のエラーを与える組合せを得ることができる。
【0042】
あるいは、以降で図8において論じられているように、最小の濃さの色を最大の相互干渉のボクセル位置に配置することによって、最小のエラーを与える組合せを得ることができる。「最小の濃さの色」という用語は、より明るい色およびより高い輝度の色を含む。
【0043】
あるいは、条件は、その他の表面に対する表面角度または表面位置である場合があり、エラーは、硬化させる放射に対する別々の露出などに起因する場合がある。前述のように、特定の条件、たとえば、所与の放射露出に関して定義されているルックアップテーブルから補正を得ることができる。
【0044】
補正を得る1つの方法は、経験的に、図2Aにおいて示されているように、前記条件のもとでテスト3Dオブジェクトを印刷すること、および適用されている色に対して、測定された色の偏りを表にすることによる。
【0045】
補正を得る代替方法は、分析的に、図3のように、所定の条件のもとでエラーを引き起こす原因となる因子を得ること、それらの得られた因子を使用してエラーを計算すること、および条件に対して、計算されたエラーを表にすることによる。
【0046】
エラーを扱うさらなる方法は、白色である外側のレイヤ、色のついた中間のレイヤ、および白色のコアという3つのレイヤへのモデルの分割を含む。これは、色の微妙な変更上での品質における利点を有する。入力は、隣り合っているロケーション間に色の急激な変化がないことを特徴とするビネットであることが可能である。しかしながら、入力内に何も存在しなかった場合にアーティファクトとしてそのような急激な変化が導入されないということが、印刷プロセスの望ましい属性である。それにもかかわらず、本明細書において論じられている種類のエラーは、別々の明るい色どうしまたは高い輝度の色どうし、すなわち白色に近い色間に急激な変化がある場合に導入されるアーティファクトを含む。上および下に白色のレイヤを使用すると、そのようなアーティファクトを除去することができる。
【0047】
さらに詳細には、3D印刷における色の再現性は、別々の材料バッチまたは別々のプリンタおよび印刷イベントを比較した場合には、相対的に正確である。しかしながら着色は、印刷された形状の別々の領域にわたって、より大きな色合いの偏りを示す場合がある。色の偏りの原因のうちの1つは、薄い形状の近接した表面間のクロストーク、すなわち、色材料の部分的な透明性に起因して1つの色表面が別の色表面上に及ぼす影響である。
【0048】
本発明の実施形態は、予想される色の偏りを考慮することができ、次いで最終的な部分の最適な外観を得るために色の組成を調節することができる。
【0049】
3D印刷された色部分の外観は、典型的には、印刷された部分の外側の領域の組成の結果である。印刷される材料は、完全に不透明ではなく、いくらかの度合いの透明性を有するので、目に見える色は、ドロップレットもしくはボクセルまたはドロップレットもしくはボクセルの組合せである最も外側の材料セグメントだけでなく、さらなる材料内のセグメントにも依存する。下層の着色されているセグメントが部分の外観に影響を与える深さの程度は、エクスティンクション深さと呼ばれる場合がある。当然、エクスティンクション深さは、着色されている材料の透明性に比例する。したがって、色材料の所与の部分および所与のセットに関して、部分の外観を決定する外側の領域、すなわち色シェルを定義することができる。シェルの厚さは、所与の材料のエクスティンクション深さとほぼ等しいと言える。
【0050】
色シェルの体積内に別々の色の材料が配置されている場合には、それらの全体的な光学特性、たとえば、光の屈折、反射、吸収、拡散などを考慮して、結果として生じる表面色を予測することができる。表面上のそれぞれのポイントの外観は、下層の色材料セグメントのスタック、すなわち色スタックによって決定付けられる。薄い形状においては、いくつかの色材料セグメントは、複数の表面に影響を与える場合があり、たとえば、薄い壁においては、内部のセグメントは、その壁の両対向面に影響を与える場合があるということに留意されたい。すなわち、2つの異なる表面が、同じ色スタックを共有する場合がある。この現象は一般に、色クロストークと呼ばれている。
【0051】
したがって、3D印刷された部分における色の正しい表示を生み出すために、本発明の実施形態は、部分の表面上のポイントにおいて現れる色を下層の色スタックの組成に関連付けるための方法を提供する。そのような関係を得る1つの方法は、分析的なアプローチを使用することにより、その分析的なアプローチでは、色スタック成分の光学パラメータが、適切な物理方程式へと入力される。別の方法は、経験的なアプローチを使用することにより、その経験的なアプローチでは、さまざまなスタックのばらつきが印刷されて、測色計によって測定される。
【0052】
色スタックの組成と、目に見える色との間の関係が確立されると、必要とされる色にマッチするように色シェルに色スタックを投入することが可能である。しばしば、投入中に、特に部分の形状が、薄い特徴を含む場合、および/またはエクスティンクション深さが大きい場合には、複数の色スタックが対立することがある。このケースにおいては、アルゴリズムを使用して、利用可能な色スタックを絞り込んで、すべての表面の要件を最適に満たす組合せを見つけ出すことができる。
【0053】
次いで図2Aを参照し、図2Aは、上述の経験的な方法、すなわち、色の測定値を使用してルックアップテーブルを構築することを含むカラー3D印刷のための方法の一例を示す略図である。
【0054】
図2Aにおいては、110でさまざまな色スタック組成を使用してカラーキャリブレーションターゲットが印刷される。次いで、結果として生じる色が、たとえばカラー分光光度法を使用して、112で測定され、114でルックアップテーブル内に配置される。色の値は、標準的なRGB色座標またはCIE Lab、HSL、LCHまたはその他の任意のものを含めて、任意の適切な方法で表されることが可能である。
【0055】
次いで図2Bを参照し、図2Bは、色シェルのそれぞれの領域に関する必要とされている印刷される色スタック組成を計算するために、結果として生じるLUTをどのように使用するかを示す簡略化された流れ図である。
【0056】
はじめに、3D形状およびそのカラーテクスチャーを記述しているCADファイルが、120で受け取られる。
【0057】
次いでその形状は、コアおよび色シェルへと122で分割される。
【0058】
その後、色シェルは、ボックス124で体積領域へと分割される。
【0059】
次いで、ボックス126でLUTを使用して、それぞれの領域に、要求されている色の最適な(すなわち、最小のdEの)再現につながる色スタックを割り振る。
【0060】
ボックス128で、1つの領域に関する色スタックが別の領域の色スタックに入る場合を見つけ出すために、色スタック間に対立がないか設計がテストされる。すなわち、ボックス120および122において判定された3D形状を観察することによって、色スタックどうしが対立するすべての領域を判定して、しかるべくマークすることが可能である。
【0061】
そのような領域がない場合には、手順は130で終了する。隣接した色スタック間に対立のケースにおいては、1つのオプションは、要求されている色を最適に再現する色スタックの組合せを選択することである。別のオプションは、以降でさらに詳細に論じる色ディザリングを含む。
【0062】
次いで図3を参照し、図3は、上述の分析的な方法を使用するカラー3D印刷のための方法の一例を示す簡略化されたフローチャートである。
【0063】
この方法は、3D印刷において使用されるすべての色材料成分、とりわけ、レイヤリング材料および色成分、さらには、含まれることが可能であるあらゆるコーティングおよびその他のあらゆる材料に関する光学的な特徴を140で判定することを含む。
【0064】
色スタックの範囲が142で提供される。次いで144で、光学的な特徴を分析的に使用して、範囲内の色スタックのそれぞれに関して、結果として生じる色を計算する。結果を数学的なモデルまたは式として表すことが可能な場合がある。しかしながら146で、そのようなモデルに到達することが常に可能であるとは限らず、そのようなモデルに到達できない場合には、ルックアップテーブルLUTを構築することができる。
【0065】
次いでルックアップテーブルまたはモデルは、図2Bに関連して上述したように使用される。
【0066】
次いで図4を参照し、図4は、3Dオブジェクト内の材料が少なくともいくらか透明であって色スタックが互いに干渉する場合に色スタックを構築する方法を示している。
【0067】
問題定義は、薄い壁を、どちらの側にも別々の色を有するように着色して、それぞれの面の色が、反対側の色にかかわらずに、意図されているように見えるようにする方法を見つけ出すことである。
【0068】
この方法においては、不透明な色で壁を塗るために、nボクセルの深さを有する色スタックが定義される。2n未満の厚さを有するいかなる壁も、両方の側から着色されるという問題を、それらの色どうしが異なる場合には有する。なぜなら、両方の側が色スタックのピクセルのうちのいくつかを共有するためである。
【0069】
テーブルまたはモデルを使用して、色の組合せの限られたライブラリの外観を直接指定することができる。3つの着色されている平面の交点における3面からなる角を想定されたい。6つの基本的な色に関して、その角に関する色の約100個の興味深い組合せがある。これは、管理可能な数であり、1つの可能性は、それぞれのばらつきに関する工場ソリューションを、たとえばルックアップテーブルとして提供することである。実際のモデルは、任意の色の角を含むことができ、次いで補間またはヒューリスティックスを使用して、ルックアップテーブルを補足することができる。たとえば、それぞれの側が自分のスタックにおいて必要とする色のセットが与えられれば、より明るい色が内部のレイヤに配置されるように、共有される色ができるだけ小さな影響を及ぼすように、スタックを並べることができる。
【0070】
次いで図4を参照して、対立している色スタックのケース150に関して、インクの所与のセットを用いて印刷されることになる、および着色されることになるそれぞれのモデルを取り上げ、152でモデル定義を角のセットへと分解する。
【0071】
それぞれの角は、ファセットのセットから構成されることが可能であり、実質的に並列なファセットの薄い壁であることが可能である。それぞれの角に関して、上述のような角のライブラリを調べて、ボックス154のように、ライブラリ内のまたはモデルからのベストマッチを見つけ出す。
【0072】
次いでボックス156で、指定された色と、ライブラリによって提供された色との間の距離が測定される。距離の測定は、ファセットごとの色の距離の測定を含む基準に従うことが可能である。
【0073】
次いで、ライブラリによって提供された色スタックは、指定された実際の色にさらによくフィットするように修正され、そのような修正のための2つの選択肢が、代替のボックス158および160において示されている。
【0074】
ボックス158の方法は、色の変化をインクの関数として予測するモデルを使用する。
たとえば、
Lab aを増大させるためには、マゼンタのインクを加え、
Lab bを増大させるためには、黄色のインクを加え、
Lab Lを減少させるためには、黒色のインクを加え、
Lab Lを増大させるためには、白色のインクを加える。
【0075】
ボックス160の方法は、ヒューリスティックスを使用する。たとえば、より明るく着色されたインクを、最も高い干渉が生じるスタックの内部のレイヤに、その干渉を最小化する目的で配置することができる。
【0076】
壁がより厚く、それによって2つのファセットのみがボクセル色上に著しい影響を及ぼす場合には、はるかに簡略化されたモデルを使用することができるということに留意されたい。
【0077】
次いで図5を参照し、図5は、やはり色スタック間に対立がある場合に使用するためのディザリング(dithering)を示している。
【0078】
3Dオブジェクトは、典型的には、白色のおよびいくらか透明なモデル材料から構築されて、着色された深さ領域によって取り囲まれることが可能であり、その着色された深さ領域が、色スタックを構成する。前述のように、問題は、スタックの部分がその他の表面との間で共有されている場合にそのスタックをどのように着色するかということである。
【0079】
設計されたオブジェクト表面色に対するベストマッチを提供するためにサポート色を選択することができる。論じたように、色は、表面のすぐ下のレイヤを介して拡散して、色を歪める。
【0080】
目的は、ベストマッチを提供するディザリングベクトルを170で見つけ出すことである。以降の図9は、図5の方法の機能した例を示している。図9は、選択されることが可能であるさまざまなディザリングベクトルの例を示している。
【0081】
それらのベクトルを構築する際には、それぞれの表面色は、半透明であるボクセルのサイズn(この例においてはn=6)のディザリングベクトルによって提示されることが可能である。ピクセルがモデル内をより深く進む間に最終的な色に対するボクセルの影響が幾何学的に減少する非常にシンプルな数学的モデルを想定することができる。より複雑なモデルは、別々の方向上でのボクセルの別々のサイズおよび透明性を考慮に入れることができる。
【0082】
あらゆる色チャネルに関して、C=C1+C2/a+C3/aa+...Cn/(a^n)(1)に従って色を計算することができる。ここで、Cnは、0または1であることが可能である。
【0083】
厚い壁は、nV<T<2V(Vはボクセルサイズ)である厚さを有する壁として定義される。そのような壁においては、両側に関するディザリングベクトルが交差し、結合されることが可能である。nV未満の壁に関しては、nパラメータを減少させることができる。
【0084】
ボックス172において、ボクセルのあらゆる組合せによって作り出された色を計算し、次いでボックス174において、必要とされている設計色に関するエラーを見つけ出す。2個の可能性があり、これは、n<10である場合に計算を行う際の管理可能な数であるということに留意されたい。可能性の数は、必要な場合には、必要とされている表面色に応じて、特定のヒューリスティックスを使用して減少させることができる。
【0085】
色およびエラーを計算した後に、グッドマッチどうしが別々のチャネルにおいて結合されて、単一のベクトルになる。グッドマッチを判定するために、ボックス176においてベクトルどうしが、上で見つかったエラーに従って順序付けられ、リストの上位部分におけるよいベクトルのみが、結合のために選択される。
【0086】
ボックス178において、両方の表面上での所望の色に関して十分に小さなエラーを伴う組合せが見つかると、次いで、同じ末尾を有し、すなわち、色スタックの内部に共通の色を有し、それによって、上書きする際に、変更が行われることを必要としないベクトルどうしを探す。そのようなベクトルの組合せがある場合には、その組合せが、ベストフィットとして選択される。そのような組合せがない場合には、代わりに、最も長い長さの共通の末尾を有する組合せが選択され、それによって、最小限の上書きで済む。末尾のサイズは、あらゆる壁に関して、K=2n−T/V+1として計算されることが可能である。選択されたベクトルは、ディザーを提供し、したがって、それらのK個の末尾を統一する。
【0087】
表面色のモデルが、別々の深みにあるボクセル色から逸脱し始めた場合、または必要とされる計算が複雑すぎる場合には、上記に対するある種の力ずくの代替策を使用することができる。両方の側からの最良の可能な飽和色を作り出すさまざまな長さ(n〜2n)を有する事前に定義されたベクトルを使用することができる。そのようなベクトルは、どちらの側にも色を作り出すことができ、次いで黒色および白色のピクセルを加えることによって明度および彩度が提供されることが可能である。
【0088】
図6図9は、色スタックを、対向する薄い壁上の所望の色に関連付けるさまざまな例を示している。
【0089】
図6は、最初の仮定を示している。設計色200は、色スタック202の生成へつながる。色スタック202は、表面色204を生成する。印刷されるピクセルは、部分的に透明であり、それにより、別々の色のピクセルどうしのオーバーレイによって特定の色を形成することができる。示されているように、黄色−シアンまたはシアン−黄色のオーバーレイから、同じ緑色が形成される。
【0090】
すなわち、仮定としては、厳密な順序、つまり、どの色が表面上にあって、どの色が下にあるかは、二次的な重要性を有するだけであり、結果として生じる色の陰影にわずかに影響するが、それ以上のものではない。
【0091】
図7において、設計面は、ブロック206において示されている色を必要としている。透明性は、2〜3ピクセルを超えるだけであり、形状の隣接したエリア間にクロストークを引き起こす可能性がある。色スタック208は、それぞれの表面に正しい色を提供する一方で反対側の表面および隣接しているピクセルを無視するように単純にセットアップされる。このケースにおいては、両方のファセットが、下層の色の存在に起因して彩度を低減しており、最終結果210は、設計結果206とは非常に異なっている。
【0092】
次いで図8を参照し、図8は、薄い壁の両側に関する色の指定されたペアを生成するための4つの異なるオプションを示している。具体的には、ターゲット220は、左の面が緑色で右の面がオレンジ色であることを必要とし、緑色はシアン+黄色であり、オレンジ色はマゼンタ+黄色である。
【0093】
4つの可能なソリューションが示されている。オプション222においては、壁の色が、スタックの中側の共通の色として中側に黄色のピクセルを、および外側にシアン/マゼンタを伴って形成されている。
【0094】
オプション224においては、壁の色が、外側に黄色のピクセルを、および中側にシアン/マゼンタを伴って形成されている。
【0095】
オプション226および228においては、壁の色が、外側に黄色のピクセルの一方の列を、および中側に他方の列を伴って形成されている。
【0096】
それぞれの壁またはファセットが、隣接したファセットを考慮に入れずに別々にディザリングされる場合には、結果として生じる配置は、4つのオプション222〜228のうちのいずれか1つ、またはこれらのオプションの間の混合であることが可能である。しかし最も正確な色の再現は、オプション222において達成され、オプション222では、下層の色が、ファセットの両方にとって共有されており、したがって、結果として最小のクロストークしか生じない。実際に222のソリューションは、図5の共通の末尾のアルゴリズム、そしてまた、最も明るい色が真ん中に配置されるという図4におけるオプションボックス160のヒューリスティックソリューションを満たしている。
【0097】
図9は、上述の図5の末尾をマッチさせるアルゴリズムを使用する一例である。この例は、隣り合っているディザリングスタック間のすべての対立を考慮に入れるディザリングオプションのスマートな絞り込みが、最適な配置を生み出すことができ、その場合、2つの表面にわたる最終的なCMY組成は、要求されている値との整合性がより高くなるということを示している。設計ターゲットは、オブジェクト230であり、オブジェクト230は、横に並んだ9個のピクセルであり、両対向ファセット上に別々の色を有している。このシステムは、CMY親カラーを使用し、典型的なディザリング深さ=6ピクセルである。
【0098】
左側のファセットのディザリングオプションが5つ、232に示されており、色1、すなわちターゲット色=2C+2M+2Yである。
【0099】
右側のファセットのディザリングオプションが5つ示されており、色2=1C+2M+3Yである。
【0100】
アイテム236は、2つの6ピクセルの深さのディザリングが結合される場合の結果として生じる配置を5つ示しており、対立の場合には、左側のオプションが右側によって上書きされる。238においては、236のマッチしているピクセルが緑色で示されており、置き換えられたピクセルが赤色で示されている。バージョン#5は、ピクセルの置き換えをまったく必要とせず、すべてが緑色であり、したがってベストマッチを有している。
【0101】
次いで図10を参照し、図10は、両対向面上の2つの指定された色に関する5つのディザリングオプションのさらなるシリーズを示す略図である。240は、色1=2C+1M+3Yに関する左側のファセットのディザリングオプションを5つ示している。242は、色2=1C+2M+3Yに関する右側のファセットのディザリングオプションを5つ示している。246は、組合せベクトルを示しており、238は、このケースにおいてはすべてのペアが完全なマッチをもたらしているということを示している。したがって、さらなるパラメータに従って最良のオプションを絞り込むことができる。たとえば、最も明るい色を中側に有すること、したがって配置#5を選択することを選ぶことができる。
【0102】
上述のように、色の再現は、別々の材料バッチまたは別々のプリンタおよび印刷イベントを比較した場合には、相対的に正確である(dE<3)が、印刷された形状の別々の領域にわたって、より大きな色合いの偏りを示す(dE<8)場合がある。色スタック内のピクセル間の干渉以外の、これらの偏りの別の理由は、印刷される表面の向き、近隣のサポート材料(光沢または艶消し)の存在、およびUV露出の量に関係している。
【0103】
幸い、結果として生じる色の陰影は、部分の形状およびトレイレイアウトに関連している場合が多く、そこにおいては、隣り合っている部分の形状どうしが、たとえば予測可能な形でUV露出に影響を与える場合がある。したがって本発明の実施形態は、予想される色の偏りを考慮し、着色剤のバランスを動的に調節して、角度およびレイアウトを補い、それによって最終的な部分の均一な外観を目指す。
【0104】
現在、さまざまな色を形成するための最も簡単な方法は、印刷されたボクセルを、要求されている色と、それぞれの成分の対応する濃度との間の相関付けを行うルックアップテーブル(LUT)に従ってランダムに投入することである。赤色は、たとえば、40%のマゼンタおよび60%の黄色を混合することによって形成されることが可能である。LUTは、さまざまな組成のばらつきを印刷すること、およびそれらの色を測定することによって作成される。
【0105】
加えて、正確な着色は、上述のように、部分の外側の領域、表面、および表面のすぐ下にのみ適用され、その一方で内部のバルク組成は、重要性を有しておらず、本発明の実施形態とは関連性のない考慮事項に応じて、一定であることも可能であり、または変わることも可能である。したがって所与の部分の領域に関する色補正は、その部分の外側の表面の領域における要求されている濃度の修正を含むことができる。そのような領域は、実際には、法線に沿って部分の表面上のポイントまで延びる薄い体積である。
【0106】
色補正を導入するためのさまざまな方法がある。1つの可能な方法は、別々の印刷ばらつきに関して別々のLUTを構築することである。それらのテーブルは、条件の経験的な測定を使用して構築されることが可能である。UV露出の例を想定されたい。効果的な色補正戦略を策定するために、最小の、中ぐらいの、および高いUV露出のもとでLUTの計算のために使用されるターゲットを印刷することができる。さまざまな条件に関して、色の偏りおよび必要とされている補正がテーブル内に配置される。
【0107】
次いで、特定のオブジェクトに関する3D CAD設計が提供される。予想されるUV露出を計算するために、所与のトレイに関する表面形状上のそれぞれのポイントが分析される。次いで、そのポイントの要求されている色の値が読み取られ、予想される放射露出にマッチする関連したLUTを使用して、要求されている色の濃度へと変換される。
【0108】
次いで図11を参照し、図11は、LUTを構築するためのフローチャートを示している。カラー3D印刷のための方法は、さまざまな印刷された色の組成を含むカラーキャリブレーションターゲットを印刷すること(ボックス250)、ボックス252で放射線量などのさまざまな印刷条件にさらすこと、およびボックス254で測色デバイスを使用して、結果として生じる色の値を測定することによって、色の値、たとえば、RGB、CIE、Lab、RGB、グレー値、または、色を表すその他の任意の適切な方法を、実際の印刷された色の組成(CMY、白色、黒色、またはその他)に関連付けるためのLUTを構築することを含む。色の組成に対する測定値どうしはともに、ボックス256でLUTにおいて表にされる。
【0109】
次いでLUT構築プロセスが、UV露出レベル、トレイ上でのサンプルの向き、または印刷モード(光沢/艶消し)など、さまざまな印刷条件に関して繰り返される。
【0110】
次いで図12を参照し、図12は、形状のそれぞれの領域に関する必要とされている印刷される色の組成を、その予想される印刷条件に従って計算するために、結果として生じるLUTを使用することを示している。
【0111】
ボックス260は、3D形状および対応する要求されている色の値を記述するCADファイルを受け取ることを示している。
【0112】
任意選択のステージ262は、形状をコアおよび外側のシェルへと分割することを示している。
【0113】
ボックス264は、形状を複数の領域へと分割することを示している。任意選択で、形状の外側のシェルのみが複数の領域へと分割される。
【0114】
それぞれの領域に関して、ボックス266は、予想される印刷条件を計算することを示している。
【0115】
次いでそれぞれの領域が、その領域の予想される印刷条件に対応する印刷される色の組成をLUTに従って計算している間に、親カラー材料のボクセルを投入される。
【0116】
次いで図13を参照し、図13は、本発明のさらなる一実施形態を示す簡略化されたフローチャートである。図13においては、エラーを扱うさらなる方法が、モデル300が明るい色または高い輝度の色を302で含んでいるかどうかを判定することを含む。そうである場合には、モデルは、白色である外側のレイヤ、色のついた中間のレイヤ、および白色のコアという3つのレイヤへと304で分割される。これは、色の微妙な変更上での品質における利点を有する。入力は、隣り合っているロケーション間に色の急激な変化がないことを特徴とするビネットであることが可能である。しかしながら、入力内に何も存在しなかった場合にアーティファクトとしてそのような急激な変化が導入されないということが、印刷プロセスの望ましい属性である。それにもかかわらず、本明細書において論じられている種類のエラーは、別々の明るい色どうし、すなわち白色に近い色間に急激な変化がある場合に導入されるアーティファクトを含む。上および下に白色のレイヤを使用すると、そのようなアーティファクトを除去することができる。
【0117】
さらに詳細には、印刷プロセスは、明るい色を用いた色再現において強い非線形性を導入し、それによって出力色対入力色の導関数は、1よりもはるかに大きくなる。たとえば、出力色対入力色に関する関数は、y=xの1/3乗であることが可能であり、その場合、両方とも、0〜1にわたるように正規化される。y=x1/3の導関数は、
【数1】
であり、これは、x=0において無限大に達し、したがってx=0である場合には、
【数2】
である。
【0118】
ソリューションは、図13において示されているように印刷プロセスを修正することである。
【0119】
一実施形態においては、いかなるユーザコントロールも存在しない。システムは、色が0に近いということを自動的に検知し、まとめられているソリューションを適用する。
【0120】
「comprises(含む)」、「comprising(含む)」、「includes(含む)」、「including(含む)」、「having(有する)」という用語、およびそれらの活用形は、「including but not limited to(含むが、それ(ら)には限定されない)」を意味する。
【0121】
「consisting of(から構成される)」という用語は、「including and limited to(含み、それ(ら)に限定される)」を意味する。
【0122】
本明細書において使用される際には、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別段の内容が明示されていない限り、複数の参照を含む。
【0123】
明確にするために、別々の実施形態の文脈において説明されている本発明の特定の特徴どうしは、単一の実施形態において組み合わせて提供されることも可能であり、上述の説明は、あたかもこの組合せが明示されているかのように解釈されるべきであるということがわかる。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈において説明されている本発明のさまざまな特徴は、別々に、または任意の適切な下位組合せで、または本発明のその他の任意の説明されている実施形態において適切であるものとして提供されることも可能であり、上述の説明は、あたかもこれらの別々の実施形態が明示されているかのように解釈されるべきである。さまざまな実施形態の文脈において説明されている特定の特徴は、それらの実施形態の必要不可欠な特徴とみなされるべきではない。ただし、それらの要素がなければその実施形態が機能できない場合は除く。
【0124】
本発明について、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替形態、修正形態、および変形形態が当業者にとっては明らかであろうということは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範疇内に収まるすべてのそのような代替形態、修正形態、および変形形態を包含することが意図されている。
【0125】
本明細書において言及されているすべての公表文献、特許、および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の公表文献、特許、または特許出願が参照によって本明細書に組み込まれていると具体的に個々に示されているのと同じ程度に、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれている。加えて、本出願におけるいかなる言及の引用または識別も、そのような言及が本発明に対する従来技術として利用可能であると認めたものと解釈されてはならない。セクションの見出しが使用されている限りにおいては、それらの見出しは、必ずしも限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0126】
200 設計色
202 色スタック
204 表面色
206 設計結果
208 色スタック
210 最終結果
220 ターゲット
222 オプション
224 オプション
226 オプション
228 オプション
230 オブジェクト
236 アイテム
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13