【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決手段は、請求項1の特徴によって特定される。本発明によれば、方法は以下のステップを含む:
a)第1の時点において、結像光学系に対する人間の被検者の眼のベースライン相対位置決めに関連付けて、第1のOCT像を取得するステップ。
b)ベースライン相対位置決めを記憶するステップ。
c)第1の時点とは異なる第2の時点において、結像光学系に対する同一人間の被検者の同一の眼のベースライン相対位置決めを再確立し、第2のOCT像を取得するステップ。
ここで、
d)前記位置決めを再確立するため、結像光学系に対する人間の被検者の眼の現在の相対位置決めを、当該眼の虹彩領域の映像に基づいて求める。
【0010】
本願において「映像」とは、視覚的な像を表現する1つまたは複数のフレームをいい、たとえば、通常の能動的な画素センサを備えたカメラを用いて取得されたフレームをいう。とりわけ、特定の一時点における相対位置決めを求めるためには、1つのフレームが用いられる。しかし原則として、関心対象の近似的に同一の時点における連続する複数のフレームを考慮することも可能である。
【0011】
眼の虹彩領域すなわち眼の前眼部(特に角膜と、瞳孔と、虹彩と、強膜の隣接領域と、を含む部分)の映像は、低コストのハードウェアを用いて、非常に短時間で容易に取得することができる。かかる映像は、容易に使用可能な画像処理手法や画像処理ソフトウェアによって処理することができる。よって、専門技術を有するオペレータを必要とすることなく動作できる、対応する撮像装置のコストは、最小限になり得る。映像は高速レート(たとえば25fpsまたは50fps以上)で取得することができる。これにより、現在の状況を示すごく最新の映像であって、これにより眼の位置の準リアルタイムの追跡を可能とする映像が、常に得られる。近赤外線照明を用いることにより、患者に及ぼされる悪影響を最小限にすることができる。
【0012】
ベースライン相対位置決めは、取得装置のローカル記憶装置または取得装置に接続された装置のローカル記憶装置に記憶することができる。また、データ媒体に記憶すること、または、ネットワークを介して伝送してサーバに記憶することも可能である。ベースライン相対位置決めは、以下に示す量の複数の異なるセットによって定義することができる。
【0013】
本発明の方法は、上掲のステップに限定されることはない。特に、本発明の方法はさらに、OCT像データを最新で取得するステップも含むことができる。
【0014】
有利には再確立ステップは、結像光学系の自動的な再位置決めを含む。この再位置決めは、1つまたは複数の軸に沿って行うことができ、この軸は直進軸および/または回転軸とすることができる。かかる再位置決めは、結像光学系と眼との相対位置決めを、および/または、これらの要素の相対的向きを操作することができる。
【0015】
有利には、人間の被検者の頭部を、取得装置のベースに対して固定位置に保持し、再位置決めを行うためには、結像光学系を当該ベースに対して移動させる。とりわけ、結像光学系は、ベースに対して可動なユニットに保持され、再位置決めは、当該ユニットを所望の位置に移動させるステップモータによって行われる。有利な一実施形態では再位置決めは、2つの回転軸と、結像光学系と検査対象の眼との間の距離を設定するためのデカルト軸と、に沿って行われる。これに代えて、再位置決めを3つのデカルト軸において行うこともでき、これにより、眼の位置に対して所定の位置に結像光学系を移動させることができる。
【0016】
有利には再確立ステップは、人間の被検者がとるべき見通し線の方向を示すターゲット像を、当該人間の被検者に対して表示することを含む。このターゲット像は、人間の被検者の所望の見通し線に対応するターゲットを直接示すことができるが、有利なのは、ターゲット像が、とるべき見通し線に一致させるために見通し線をどのように変化させるべきかについての情報を人間の被検者に提供する相対的な表示であることである。よってターゲット像は、たとえば十字線の形態で特定の位置を示す通常のターゲット、および/または、1つまたは複数の矢印等の方向表示から成ることができる。
【0017】
有利には、結像光学系に対する人間の被検者の眼の現在の相対位置決めを、記憶されたベースライン相対位置決めと比較する。現在の相対位置決めが、記憶されたベースライン相対位置決めと一致しない場合には、表示されるターゲット像を変化させる。すなわち、現在の見通し線を、ベースラインの位置決めに従ってとるべき見通し線の方向に変化させるように、人間の被検者を動かすため、像の位置および/またはその形状またはサイズを変化させる。最終的に現在の見通し線がベースライン相対位置決めに一致した場合、第2のOCT像を取得する。
【0018】
有利には、映像内における角膜縁の位置を求め、眼の現在の相対位置決めの参照として使用する。角膜縁の位置は、UV照明を用いる必要なく、特に近赤外線域の照明を用いることにより高信頼性で求めることができることが判明している。さらに、角膜縁位置は良好に定義されており(well-defined)、角膜縁の外観は安定的であり、とりわけ、角膜形状の日内変動または瞳孔拡大によって影響を受けるものではない。よって角膜縁位置は、OCTにより撮像すべき網膜組織の位置を求めることを可能にする有用な情報を提供するものである。
【0019】
映像から他の位置情報を得て(たとえば瞳孔の中心位置、角膜の3次元表面、虹彩特徴、または強膜における血管等)、角膜縁位置に代えて、または角膜縁位置と共に使用することができる。
【0020】
有利には、結像光学系に対する眼の現在の相対位置決めを求めることは、眼の3次元位置および向きを求めるステップを含む。
【0021】
有利な一実施形態では、上記にて説明した結像光学系の自動的な再位置決めは、眼に対する結像光学系の相対位置決めを取り扱うのに対し、人間の被検者と取得装置とのインタラクションは、ターゲット像による制御下で、眼に対する結像光学系の相対的向きを取り扱う。
【0022】
向きは、3つのオイラー角によって完全に記述される。眼の光軸を、対応する座標系の1軸として使用することにより、オイラー角は「ねじれ角」(眼の光軸まわりの回転)、「方位角」および「仰角」と称し得る。人間の被検者の頭部が結像光学系に対して再現可能に、たとえばヘッドサポートを使用して位置決めされる場合、ねじれは重大なものとはならず、無視できるものとなることが判明している。よって原則的には、眼の向きを示すためには2つの角(方位角および仰角)で十分である。
【0023】
有利には、眼の3次元位置および向きは、以下の量を特定することにより求められる:
a)眼の回転中心
b)角膜縁平面に対する法線ベクトル
【0024】
組み合わせで、これら2つの量は3つのデカルト座標(すなわち距離ベクトルの成分)および上述の2つの角の双方を提供するものである。さらに、これらは網膜すなわち撮像対象の組織の向きおよび位置も表す。これらの量が分かれば、現在の相対位置決めがベースライン相対位置決めと一致するか否かを確認するために複雑な計算は不要となる。
【0025】
有利には、結像光学系に対する眼の現在の相対位置決めを求めることは、眼に照射する少なくとも2つの互いに離隔された光源の反射された光線に基づいて角膜曲率中心を求めるステップを含む。
【0026】
角膜曲率中心は、角膜縁の(2次元の)映像に基づいて角膜縁を3次元で再構成するための有用な開始点となる。2つの光源の反射された光線を用いて求めることは、低コスト、高速かつ高信頼性である。
【0027】
有利には本発明の方法は、人間の被検者の眼の角膜曲率半径を求めるために、角膜の映像を記録すると同時に当該角膜のOCT像を取得することによって、角膜と結像光学系との距離を求め、距離値を映像の位置に対応付け、数値最適化アルゴリズムによって角膜曲率半径を求めるステップを含む。角膜曲率半径は、角膜曲率中心を得るために、少なくとも2つの光源の反射された光線から得られたデータを処理するときに使用できる量である。
【0028】
上記半径は、時間と共に有意に変化することのない安定的な量であることが分かっているため、上述の手順をOCT像の取得の度にその前に繰り返す必要はない。よって、角膜曲率中心を求めることとは異なり、角膜曲率半径を求めることは基本的に、1回だけ、とりわけ最初の(ベースライン)像を取得するときに行うことが可能な較正ステップである。上述のようにして得られた値(ρ)は、ベースライン相対位置決めと共に記憶することができ、また、後の取得のために使用することもできる。
【0029】
有利には本方法は、人間の被検者の眼の回転中心と当該眼の角膜曲率中心との距離を求めるステップを含む。この量は、角膜縁の3次元再構成に基づいて眼の回転中心を発見するときに用いることができる。
【0030】
この量も安定的であり、時間と共に有意に変化するものではない。よって、較正ステップとして1回だけ実施することが可能である。
【0031】
したがって有利な一実施形態では、眼の3次元位置および向きを特定する量は、以下のようにして求められる:
A.被検者固有の較正(ベースライン像データの取得時に1回だけ):
a)角膜曲率半径(ρ)を求める;
b)眼の回転中心と角膜曲率中心(r)との距離を求める;
B.現在の相対位置決めの特定(現在のOCT取得プロセスの直前):
c)ρの値を用いて、少なくとも2つの光源の反射された光線に基づき、角膜曲率中心(C)を求める;
d)位置Cを使用して、虹彩領域の映像に基づき、角膜縁を3次元で再構成する;
e)角膜縁再構成に基づき、角膜縁境界によって定義される平面に対する法線ベクトル(n)を求める;
f)ベクトルnおよびrの値を用いて、角膜縁再構成に基づき、眼の回転中心(E)を求める。
【0032】
人間の被検者の眼の網膜組織の光干渉断層像データを取得するための装置であって、本発明の方法を実施するために適した装置は、
a)結像光学系と、
b)人間の被検者の頭部分が接触するヘッドサポートであって、人間の被検者の眼に入射するサンプルビームの入射位置を定めるヘッドサポートと、
c)眼の虹彩領域の映像を取得するためのカメラと、
d)人間の被検者がとるべき見通し線の方向を示すターゲット像を、当該人間の被検者に対して表示するための表示部と、
e)結像光学系に対する人間の被検者の眼の現在の相対位置決めを前記映像に基づいて求め、結像光学系に対する人間の被検者の眼の現在の相対位置決めと、記憶されたベースライン相対位置決めと、を比較し、現在の相対位置決めが、記憶されたベースライン相対位置決めと一致しない場合には、ターゲット像を操作し、現在の相対位置決めがベースライン相対位置決めと一致する場合には、像データの取得をトリガするためのプロセッサと
を備えている。
【0033】
有利には、上記装置はベースを備えており、ヘッドサポートはベースに固定されており、結像光学系はベースに対して可動である。
【0034】
有利には上記装置は、ベースに対して結像光学系の位置を3次元で自動調整するための調整機構を備えている。
【0035】
他の有利な実施形態および構成の組み合わせは、以下の詳細な説明と、特許請求の範囲の全体とから明らかである。
【0036】
実施形態を説明するために使用される図面は、以下の通りである。