(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a. 少なくとも一つのニードルであって、円滑な表面を有するシャフトと、尖った先端と、中空内部と、前記先端の近傍の遠位端部において前記ニードルの前記シャフトの側部に配置されたポートと、を含み、前記ポートが、前記ニードルの中空内部と外部との間の流体連通を可能にするように構成されている、ニードルと、
b. ハウジングと、
c. 該ハウジングの内部に収容されたスリーブであって、弾性材料により構成され、該弾性材料を通過する少なくとも一つのチャネルを備え、少なくとも一つのニードルのうちの一つを通して前後に移動させることができるように構成された少なくとも一つのチャネルを含む、スリーブと、
d. 弾性膜と、
を備えるニードル弁であって、
i. 前記少なくとも一つのニードルの前記シャフトの外径は、前記少なくとも一つのチャネルの内径よりも大きく、前記ポートが前記チャネル内に配置されたときに、前記ニードルの中空内部へのまたは中空内部からの流体の流れを阻止するために、前記弾性材料が前記ポートを塞ぎ、
ii. 前記弾性膜は、前記ハウジングの底の凹部に配置され、
iii. 前記スリーブは、前記底の前記弾性膜と、前記ハウジンの壁の肩又は突出部とによって、前記ハウジング内で所定の位置に保持され、
iv. 前記弾性膜は、前記チャネルと該チャネルに保持された前記ニードルの前記先端とが汚染物質により汚染されるのを防止し、それによって滅菌状態を維持する、ニードル弁。
【背景技術】
【0002】
医療の進歩及び手技の改良により、弁及びコネクタを改良する必要性は絶えず増している。種類の豊富さ、品質、ニードルの安全性、微生物の侵入防止、及び漏れ防止に関する要求は、絶えず高まっている。それに加えて、サンプリング技術又は用量分注技術の進歩、自動及び手動の無菌又は非無菌用途の進歩により、サンプリングニードルを安全に隠蔽するための新規な解決法が求められている。極めて要求の高い用途の一つは、有害薬物の調製及び投与に関わる医療関係者及び薬理学関係者が、周囲に漏洩し得る薬物及びそれらの蒸気への曝露の危険にさらされる分野に存在する。本明細書において、「有害薬物」とは、それ自体又はその蒸気との接触が健康被害となり得る、あらゆる注入材料のことである。そのような薬物の例示的且つ非限定的な例には、特に、液体、固体、又は気体の状態の、細胞毒素、抗ウイルス薬、化学療法薬、抗生物質、並びにハーセプチン、シスプラチン、フルオロウラシル、ロイコボリン、パクリタキセル、エトポシド、シクロホスファミド、及びネオサール(neosar)などの放射性医薬品、又はそれらの組合せが含まれる。
【0003】
液体又は気体の形態の有害薬物は、バイアル内に収容され、典型的には、保護衣、口マスク、及び層流安全キャビネット(laminar flow safety cabinet)を備えた薬剤師により、隔離された部屋で調製される。カニューレ、即ち中空のニードルを備えたシリンジが、薬物をバイアルから移送するために使用される。調製の後、有害薬物は、静脈内投与を目的とした食塩水などの、非経口投与を目的とした、袋に収容された溶液に加えられる。
【0004】
有害薬物は毒性を有するので、身体がそれに直接接触するか、又は微量の薬剤蒸気に曝されることですら、皮膚癌、白血病、肝臓障害、奇形、流産、及び早産などの健康災害にかかる恐れが非常に高くなる。そのような曝露は、バイアル、瓶、シリンジ、及び静脈注射バッグなどの、薬物を収容する容器が過度の圧力を受け、それにより有害薬物に汚染された流体又は空気が周囲に漏出したときに起こり得る。有害薬物への曝露はまた、ニードル先端、バイアル、若しくは静脈注射バッグシール上に残留している薬物溶液から、又は、ニードル先端による偶発的な皮膚の穿刺によって生じる。さらに、曝露と同じ経路を介して、周囲環境からの汚染微生物が薬物及び流体内に移送され、それにより滅菌状態が失われて、致命的な結果がもたらされる可能性がある。
【0005】
同時係属のPCT特許出願No.PCT/IL2014/050319では、
a. 少なくとも一つの中空のニードルであって、円滑な表面を有する中空のシャフトと、ニードルの先端近傍の遠位端においてシャフトの側部に配置されたポートとで構成され、ポートが、ニードルの内部と外部との間の流体連通を可能にするように構成されている、ニードルと、
b. 硬質材料で作製された弁座であって、弁座を通して少なくとも一つのニードルのうちの一つを収容するように構成された少なくとも一つのボアを含む、弁座と、
で構成されたニードル弁であって、
i. 前述のニードルを、前述のボアを通して前後に押し込むことができ、
前述のニードルの外径と前述のボアの少なくとも一部分の内径とが、前述のニードルのシャフトが前述のボア内に存在することにより流体が前述のボアの前述の部分を流通するのが阻止されるように厳密に一致している、ニードル弁が説明されている。
【0006】
PCT/IL2014/050319のコネクタは、単一膜シールアクチュエータが、膜の近位側に配置された硬質プラスチックのニードル弁座を備え、ニードル弁座が、ボアを備え、ボアが、それぞれ、ボアを通してニードルを前後に押し込むことを可能にするように構成され、ボアのそれぞれの少なくとも一部分が、ニードルが少なくとも部分的にボア内に配置されたときに、流体がその部分を通過できないように構成され、
コネクタが、第2の流体移送構成要素のヘッド部分がコネクタ部の内部に入ることを可能にするように構成され、且つ、単一膜アクチュエータの遠位端にある膜と第2の流体移送構成要素のヘッド部分に配置された膜とが接触したときに単一膜アクチュエータが近位側に押し込まれることを可能にするように構成され、膜を一緒にさらに押し込むことにより、ニードルの遠位端が、ボアの遠位端から出て、単一膜アクチュエータ内の膜を貫通し、そしてヘッド部分内の膜を貫通し、それにより、ニードルを介した接続ポートと第2の流体移送構成要素の内部との間の流体チャネルが確立されることを特徴とする。
【0007】
しかし、PCT/IL2014/050319で説明されたデバイスは従来技術を大幅に改善するが、ニードルを貫通させて前後に押し込むことをそれぞれ可能にするように構成される、ニードル弁座に設けられるボアが、弾性材料で作製されるのであれば、製造工程及び製造されたデバイスの一定品質をさらに著しく改善できることが分かった。それにより、機械加工における柔軟性をより高くすることが可能になり、また、一定の製品パラメータの低下につながる、製造中に生じ得る穴径のばらつきに起因する問題が克服される。
【0008】
従来技術の別の欠点は、ニードルとボアとの間の高い摩擦であり、そのような摩擦は、接続又は分離の際にニードルを移動させるか又はコネクタを移動させるのに多くの力を必要とする。これは、ユーザにとって厄介である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1から
図3bは、従来技術の装置を概略的に示す図である。
図4aから
図15は、PCT/IL2014/050319の装置を示す図である。
図16から
図23は、本発明を示す図である。
【
図1】有害薬物を移送するための従来技術の装置の概略断面図である。
【
図2a】
図1の装置のコネクタ部とバイアルアダプタとの間の4ステップの接続順序を概略的に示す断面図である。
【
図2b】
図1の装置のコネクタ部とバイアルアダプタとの間の4ステップの接続順序を概略的に示す断面図である。
【
図2c】
図1の装置のコネクタ部とバイアルアダプタとの間の4ステップの接続順序を概略的に示す断面図である。
【
図2d】
図1の装置のコネクタ部とバイアルアダプタとの間の4ステップの接続順序を概略的に示す断面図である。
【
図3a】有害薬物を移送するために
図1の装置を使用することの概念を概略的に示す断面図である。
【
図3b】有害薬物を移送するために
図1の装置を使用することの概念を概略的に示す断面図である。
【
図4a】本発明のニードル弁を概略的に示す図である。
【
図4b】本発明のニードル弁を概略的に示す図である。
【
図4c】本発明のニードル弁を概略的に示す図である。
【
図5a】本発明のニードル弁の様々な実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図5b】本発明のニードル弁の様々な実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図6a】本発明のニードル弁の様々な実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図6b】本発明のニードル弁の様々な実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図7a】本発明のニードル弁の様々な実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図7b】本発明のニードル弁の様々な実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図8a】本発明のニードル弁の様々な実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図8b】本発明のニードル弁の様々な実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図9a】ニードルシャフトの外部と内部との間の流体連通を可能にする二つのポートを備える本発明のニードル弁の一実施形態を概略的に示す図である。
【
図9b】ニードルシャフトの外部と内部との間の流体連通を可能にする二つのポートを備える本発明のニードル弁の一実施形態を概略的に示す図である。
【
図9c】弁の弁座が、ニードルの側部にあるポートを介したニードルシャフトの内部と遠隔位置との間の流体連通を可能にする側部チャネルを備える、本発明のニードル弁の一実施形態を概略的に示す図である。
【
図9d】弁の弁座が、ニードルの側部にあるポートを介したニードルシャフトの内部と遠隔位置との間の流体連通を可能にする側部チャネルを備える、本発明のニードル弁の一実施形態を概略的に示す図である。
【
図10a】従来技術の二重膜シールアクチュエータが本発明のニードル弁の一実施形態を備えたアクチュエータに置き換えられていることを除き、それぞれ
図1及び
図2aに示された装置と同一の、有害薬物を移送するための装置の概略断面図である。
【
図11a】従来技術の二重膜シールアクチュエータが本発明のニードル弁の一実施形態を備えたアクチュエータに置き換えられていることを除き、それぞれ
図1及び
図2aに示された装置と同一の、有害薬物を移送するための装置の概略断面図である。
【
図12】
図10a及び
図10bの装置に使用することができる本発明のニードル弁の別の実施形態を備えたアクチュエータの別の実施形態を示す図である。
【
図13a】本発明のニードル弁を備えたアクチュエータを含むコネクタと、コネクタを薬物移送装置の構成要素に接続するように構成されたアダプタとを概略的に示す図である。
【
図16】ニードルが通過し得る、本発明の一つの実施形態による弾性スリーブを概略的に示す図である。
【
図17】本発明の一つの実施形態による、二重弾性スリーブを含む二重ニードルバブを概略的に示す図である。
【
図18】ハウジング内にあり且つ弾性膜を備えたニードル弁をさらに示す図である。
【
図19】
図17の二重スリーブ303がどのようにして本発明によるデバイス内に嵌合するかを示す図である。
【
図20】相互接続された状態の
図19のデバイスを概略的に示す図である。
【
図21】
図16のスリーブのようなスリーブを使用する弾性ニードル弁を含む単一ニードルコネクタを示す図である。
【
図22】本発明の一実施形態による、二つのニードル及び二つのスリーブを含むコネクタの製品図面を示す図である。
【
図23】本発明の別の実施形態による、一つのニードル及び一つのスリーブを含むコネクタの製品図面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による弾性チャネル(以下の説明においてより詳細に論じられる)に直接関係しない多くの構造上の細部は、本発明によるデバイスとPCT/IL2014/050319のデバイスとで同一であるので、本発明の理解を容易にするには、PCT/IL2014/050319で説明され且つ特許請求された発明を最初に説明することが、好都合である。したがって、
図4から15を参照することもあるが、そのような参照は共通の特徴を説明するために行われると理解されている。PCT/IL2014/050319で説明される発明は、ニードル弁と、ニードル弁を備える液体移送装置で使用するためのコネクタとを提供する。PCT/IL2014/050319のニードル弁は、当技術分野で知られている、弁を通る流れの非常に正確な制御を可能にするねじ式の弁ステムを備えまた封止構成要素としてゴムなどの弾性材料を使用する、従来のタイプのニードル弁ではない。PCT/IL2014/050319のニードル弁は、二つの構成要素を備える。第1の構成要素は、円滑な外表面と円筒形のシャフトの側部に位置するポートとを有する中空のニードルであり、第2の構成要素は、低い摩擦特性を有する、硬質材料、例えばプラスチックで作製された弁座である。ニードルと弁座との間の摩擦をさらに抑えるための潤滑剤が望ましく且つ好ましいが、ニードル弁は、潤滑剤なしでも機能する。
【0016】
図4aは、
図1におけるニードル38及び40のような中空のニードル200の三つの実施形態を示す。ニードル200は、円滑な表面を有する中空のシャフト202、及び、先端206近傍の遠位端部においてシャフトの側部に配置されたポート204を含む。ポート204は、シャフト202の内部と外部との間の流体連通を可能にする。先端206は、通常、
図4aに示されるように尖っているが、本弁の実施形態では、先端は、他の形状、例えば丸い形状又は平らな形状を有する場合もある。
【0017】
図4bは、弁の弁座208の最も単純な実施形態を示す。この実施形態では、弁座208は、アセタールプラスチックなどの硬質材料の円筒状ブロックであり、ボア210がそれを貫通している。
【0018】
図4cは、弁座のボアに挿入されたニードルのシャフトを示す。弁座208は、良好な寸法安定性及び非常に低い摩擦係数を有するアセタールプラスチックなどの硬質材料で作製される。それにより、一方ではボア210を通してニードル200を前後に押し込むことができ、他方ではボア210内にニードル200のシャフト202が存在することにより流体(気体又は液体)がボア210を通過するのが阻止されるように、ニードル200の外径とボア210の内径とを厳密に一致させて弁を製造することが可能になる。
【0019】
図5aから
図8bは、PCT/IL2014/050319のニードル弁の様々な実施形態を概略的に示す断面図である。これらの図のそれぞれは、弁の二つの図を示す。左側の図(aと標識する)では、ポート204は、弁座208のボア210内に配置されており、右側の図(bと標識する)では、ニードルは、ポート204がボア210から出るように、遠位側に押し込まれている。
【0020】
図5a及び
図5bに示されたPCT/IL2014/050319の弁の実施形態では、ポート204を介したシャフト202の外部と内部との間の流体連通は、
図5aでは、ボアの壁によって阻止され、
図5bでは、弁の下方の空間とニードルの内部との間で可能とされている。この実施形態では、弁座208に対するポート204の位置がどうであろうと、ニードルの内部と弁の上方の空間との間に流体連通は生じない。
【0021】
図6a及び
図6bに示されたPCT/IL2014/050319の弁の実施形態では、弁座208のボア210の直径は、ボア210が弁座208を短い距離貫通した後に増大して、ニードル200のシャフト202の直径よりもずっと大きい直径を有するチャンバ210'を作り出している。この実施形態では、ボア210は、ポート204の上方でシャフト202を封止し、それにより、弁の上方の空間とニードルの内部との間の流体連通を防止するが、ポート204を介した弁の下方の空間とシャフト202の内部との間の流体連通を常に可能にしている。
【0022】
図7a及び
図7bに示されたPCT/IL2014/050319の弁の実施形態では、弁座208を貫通するボアは、上部及び下部にチャンバ210'を有するとともにボア210の断面がニードル200のシャフト202の外径と基本的に等しい直径を有するように作られている。この実施形態は、
図7aに示されるように、ポート204を介した弁の上方の空間とシャフト202の内部との間の流体連通を可能にし、且つ、
図7bに示されるように、弁の下方の空間とニードルの内部との間の流体連通を可能にする。
【0023】
図8a及び
図8bに示されたPCT/IL2014/050319の弁の実施形態では、弁は、
図5a及び
図5bに示された弁と同一であるが、さらに、弁座の下部が、弾力性のあるしなやかな弾性膜34bが挿入される凹部212を備えている。この膜は、ポート204と周囲環境との間のバリアとして機能して、微生物などの汚染物質によりボア及びそれに保持されたニードル先端が汚染されるのを防止し、それによって滅菌状態を維持する。他方では、この膜はまた、ニードルを介した流体の移送後にニードル先端に残留物として存在し得る有害物質から、周囲環境を保護する。
【0024】
図9a及び
図9bは、ニードルシャフトの外部と内部との間の流体連通を可能にする二つのポートを備える、PCT/IL2014/050319のニードル弁の一実施形態を概略的に示す。
図9aでは、ポート204は、ボア210の壁によって閉鎖されており、弁の上方の空間とニードルの内部との間の流体連通が、ポート204'を介して可能とされている。
図9bでは、弁の下方の空間とニードルの内部との間の流体連通が、ポート204を介して可能とされているが、ポート204'は閉鎖されている。このニードル弁の実施形態は、ニードルポートによって二つ以上の流体チャンバにアクセスする必要のある、再構成デバイスなどの用途での使用に適している。典型的には、そのようなデバイスは、凍結乾燥粉末のためのチャンバと、希釈剤のためのチャンバとを有する。複数のチャンバを分離するために、シャフトによって穿孔され且つポート204'と弁座208の上部との間に配置される、膜を使用することができる。ニードルの側部に三つ以上のポートを有する、
図9a及び
図9bに示された実施形態と同様のPCT/IL2014/050319のニードル弁の実施形態を製造できることに留意されたい。
【0025】
図9c及び9dは、弁の弁座208が、ニードル200の側部にあるポート204を介したニードルシャフトの内部と遠隔位置(図示せず)との間の流体連通を可能にする側部チャネル216を備える、PCT/IL2014/050319のニードル弁の一実施形態を概略的に示す。
【0026】
図4aから
図9dにおいて説明されたニードル弁の実施形態は、特別な要求に対する様々な使用法を可能にする。それらの実施形態は、既存の弁及びコネクタと比較して改善された設計を可能にし、高圧への耐性を向上させ、それにより全体的な性能を高めることを可能にする。
【0027】
図10a及び
図11aは、有害薬物を移送するための装置の概略断面図である。これらの図に示された装置及びその構成要素の全ては、二つの例外を除いて、
図1及び
図2aに示されたものとそれぞれ同一である。バイアルアダプタ15は、IL224630で説明されるようなフィルタ50を備え、また、コネクタ部14において、二つの膜34a及び34bとアーム35とを備える従来技術の二重膜シールアクチュエータ34を、PCT/IL2014/050319のニードル弁の一実施形態と、単一の膜34bと、アーム35とを備えるアクチュエータ218で置き換えている。
図10aから13bに示された実施形態を含むPCT/IL2014/050319の全ての実施形態において、アクチュエータ218の近位端を何らかの方法で封止する必要はないことに留意することが重要であるが、これは、コネクタが別の流体移送構成要素に接続されていないときに空気及び液体の導管の遠位端におけるボア204を閉じるタスクが、従来技術では膜34a及び34bによって達成されていたが、PCT/IL2014/050319では、ニードル弁の構成及び膜34bだけによって達成され、また、幾つかの実施形態では、ニードル弁それ自体によって達成されるからである。
【0028】
図10aは、コネクタ部14に取り付けられたシリンジ12と、薬物バイアル16に接続されたバイアルアダプタ15とを示す。
図11aは、互いに接続された装置の全ての構成要素を示す。
図10b及び
図11bは、それぞれ、
図10a及び
図11aに示された装置におけるアクチュエータの拡大図である。
【0029】
図10b及び
図11bを参照すると、アクチュエータ218は、空気導管のニードル38及び液体導管のニードル40が通過する二つのボアを備えた弁座208を含む。アクチュエータの全ての部品(膜34b並びにニードル38及び40を除く)は、ニードル38及び40が弁座のボア内に滑合すると同時に液体又は空気がボアを通過するのを防止するように、例えばアセタールといった硬質で低摩擦のプラスチックから作製される。ボアがきついほど、より高い摩擦及び圧力抵抗が生じ、ボアがそれほどきつくなければ、低い摩擦及び程々の圧力抵抗が生じるので、シャフト及びボアの直径は、製品開発段階中の微調整を必要とする。ニードルの表面品質は、製造工程中に適用される潤滑剤と同様に、摩擦に影響を及ぼす。アセタールなどの材料は、優れた低摩擦特性を有しており、接続の繰返し及び薬物中の侵襲性の高い物質への曝露により潤滑剤が除去された後でも、弁が機能することを可能にする。
【0030】
図10bに示されるように、シリンジ及び取り付けられたコネクタが、装置の任意の他の構成要素に接続されていないとき、アクチュエータ218は、コネクタ部14の遠位端にあり、ニードル38及び40の先端は、ニードル弁の弁座208のボア内に配置される。この構成では、ニードルの側部にあるポート204は、両ニードルを互いに完全に隔離するボアの内壁によって閉鎖され、それにより、非常に高圧であっても、空気がシリンジの液体チャンバに入ること、又は、液体が空気チャンバに入ることを防止する。
【0031】
図11bに示されるように、シリンジ及び取り付けられたコネクタが、バイアルアダプタなどの装置の別の構成要素に接続されると、アクチュエータ218は、コネクタ部14の近位端に向かって押し込まれる。ニードル38及び40はニードルホルダ36に固定されているので、アクチュエータ218が近位側に移動するにつれて、ニードル38及び40の先端並びにポート204が、ニードル弁の弁座208にあるボアの遠位端、膜34b、及びバイアルアダプタの膜15aを介して押し出され、それにより、それぞれのチャネルにおいて流体の開経路が確立される。
【0032】
コネクタの第1の目標は、液体が空気チャンバへ移動する可能性を完全に排除することである。これは、例えば、バイアルアダプタからの取外しの後に空気チャンバと液体チャンバとの間に圧力差が存在する場合、及び、空気チャンバ内の圧力が液体チャンバ内の圧力よりも低い場合に発生する可能性があり、空気チャンバへの液体の望ましくない移動をもたらす。第2の目標は、シリンジプランジャの偶発的な押し込みの際の漏れ又はコネクタの損傷を防止することである。病院環境において頻繁に行われている薬物移送オペレーションのうちの一つは、IVプッシュ法又はボーラス注入法として知られている。典型的には、必要量の薬物が病院の薬局においてシリンジ内に調製されて、病棟に送達され、病棟において、資格を持つ看護師が、予め確立されたIVラインを介して薬物を患者に投与する。この手技に関連する共通の問題は、薬局から病棟への移動中、又はベッドサイドにおいて、シリンジのピストンが、故意ではなく押し込まれてシリンジの弁から薬物の一部を排出したり、故意ではなく引っ張られたりする場合があることである。小容量(1〜5ml)のシリンジのプランジャを手で押し込むことにより、20気圧までの高圧が容易に生成され得る。そのような圧力により、コネクタが分解したり、膜が分離したりする場合がある。
図10aから
図11bに示されたコネクタは、そのような空気チャンバと液体チャンバとの間の故意ではない流体の移送に関連する問題を解決するものであり、また、プランジャの偶発的な押し込みの際に生じる高圧に耐えるものである。これらの図から分かるように、コネクタ14がアダプタ15に接続されていないときには、周囲とニードルの中空内部との間の流体の交換を可能にするニードル38及び40の遠位端にあるポート204は、ニードル弁の弁座208にあるボアの内部によって閉鎖されている。シリンジが液体で満たされているか又は部分的に満たされていて、プランジャを押し進めて液体をニードルから流そうとする力がどれだけ加えられても、液体がポート204を通ってニードルから出ることはない。反対に、プランジャを後方に引っ張る力がどれだけ加えられても、空気がポート204から入りニードルの内部を通ってシリンジのバレル内に流れることはない。
【0033】
図12は、
図10a及び
図10bの装置に使用することができるPCT/IL2014/050319のニードル弁の別の実施形態を備えたアクチュエータ218の別の実施形態を示す。この実施形態では、ニードル弁の弁座208は、シリンジ及び取り付けられたコネクタが装置の任意の他の構成要素に接続されていないときにはアクチュエータ218が図示のようにコネクタ部14の遠位端に位置するように、構成される。この構成では、ニードル38及び40の先端及び側部のポート204は、ニードル弁の弁座208と膜34bとの間の閉空間220内に配置される。この構成では、液体及び空気の交換は、二つのニードルを介して行われ得る。
【0034】
このコネクタは、
図6a及び6bに示された実施形態で説明されたニードル弁と同様である。この実施形態では、弁座208は、ポート204の上方でニードル38及び40を封止し、それにより、アクチュエータ218の上方の環境と空間220の内部との間の流体連通を防止する。
【0035】
図1及び
図2aに示された薬物移送装置の実施形態は、空気チャネルを液体チャネルから分離する疎水性フィルタのバリアを備えない。したがって、バイアルからの液体の抜取り中に必然的に生じる気泡を除去する方法は、以下の通りである。バイアルを分離してニードルが上を向くようにシリンジを保持することにより、泡がシリンジから放出され、気泡は必然的にシリンジ内の液体の上方に浮かび、次いでプランジャを押圧すると泡が空気チャンバへ押し出される。この手順のために、
図12に示されるコネクタ14の実施形態に存在するように、両ニードルポート間の連通が必要である。
【0036】
図13aは、PCT/IL2014/050319のニードル弁を備えたアクチュエータ218を含むコネクタ222と、コネクタ222を薬物移送装置の構成要素に接続するように構成されたアダプタ228とを概略的に示す。
図13bは、互いに接続された
図13aのコネクタ222及びアダプタ228を示す。
【0037】
コネクタ222は、その近位端に、例えば不必要なシリンジ又はIVチューブといった薬物移送装置の構成要素に接続されるように構成された接続ポート224、例えば雌ルアーロックと、円滑な表面を有する中空のシャフト、及び、先端近傍の遠位端においてシャフトの側部に配置されたポート204を含む単一のニードル200と、本発明のニードル弁の弁座208を含むアクチュエータ218と、を備える。コネクタ222はまた、弁座208の下方に配置された膜15aと、アーム35と、開口遠位端226とを備える。ニードル200の近位端は、ニードルホルダ36により、コネクタ222のハウジングにしっかりと取り付けられている。ニードルの内部は、接続ポート224の内部と流体連通している。本明細書において上述したように、ニードル200は、弁座208のボア内に滑合して、流体がボアを通過するのを防止する。
【0038】
アダプタ228は、その近位端に、コネクタ222の開口遠位端226内に嵌合するように構成された細長い塊である膜234を備え、また、その遠位端に、例えばIVチューブセットといった薬物移送装置の構成要素に接続されるように構成された、接続ポート230、例えばねじ式雄ルアーロックを備える。チャネル232が、膜234の下方から接続ポート230を通過して、アダプタ228の全体を貫通している。
【0039】
コネクタ222とアダプタ228とを接続するには、アダプタの近位端をコネクタの開口遠位端226に挿入し、膜234が膜15aに接触するまで前進させる。コネクタ及びアダプタをさらに一緒に押し進めることにより、ニードル200の先端が、弁の弁座208から出て、膜15a及び234を貫いてチャネル232に入り、それにより、
図13bに示されるように、コネクタ222及びアダプタ228がアーム35により互いに係止されて、コネクタ222の接続ポート224からアダプタ230の接続ポート230への流体の開経路が確立される。
【0040】
図13aに示されたコネクタは、
図10aから
図11bに示されたコネクタのように、一般的な高圧、及び特にプランジャの偶発的な押し込みの際に生じる高圧に関連する全ての問題を防止するものである。この図から分かるように、コネクタ222がアダプタ234に接続されていないときには、周囲とニードルの中空内部との間での流体の交換を可能にするニードル200の遠位端に位置するポート204は、ニードル弁の弁座208にあるボアの内部によって閉鎖される。液体で満たされた又は液体で部分的に満たされたシリンジが接続ポート224に取り付けられて、プランジャを押し進めて液体をニードルから流そうとする力がどれだけ加えられても、液体がポート204を通ってニードルから出ることはない。反対に、プランジャを後方に引っ張る力がどれだけ加えられても、空気がポート204から入りニードルの内部を通ってシリンジのバレル内に流れることはない。
【0041】
図14及び
図15は、PCT/IL2014/050319によるニードル弁を備えたコネクタの二つの実施形態の製品図面である。
図14に示された実施形態では、空気導管及び液体導管両方の先端近傍のポートは、完全に封止されており、且つ、互いに分離されている。
図15に示された実施形態では、空気導管及び液体導管の先端近傍のポートは、それらの間での流体連通を可能にするように開いている。
【0042】
次に、上記したこのタイプのシステムの一般説明を踏まえ、本発明について説明する。
図16(a及びb)は、固体部材301を通過するニードル300を概略的に示し、固体部材301は、チャネル302の直径をニードル300の外径よりも僅かに小さくすることができるように、弾性材料で作製される。当業者には明らかになるであろうように、各特定のシステムは、前述の直径の差において様々な許容差を利用して、ユーザの利便性を維持するためのニードルを動かすのに許容される最大限の力と、安全性を維持するための漏れを防止するために弁に望まれる圧力抵抗との釣合いを取ることができる。固体部材301は、弁本体に設けられたより大きな直径のチャネル内に嵌合するスリーブであってもよく、又は、弁の弁座全体が、
図4における208と同様に、例えば軟質PVCなどの弾力性のある材料で作製されてもよい。本発明によれば、スリーブ又は弁座の材料、及びニードル300とチャネル302との間の直径の差は、弾力性のある材料を径方向に押しのけることによりニードルをチャネル302に入り込ませるのにニードルに過度の圧力を加える必要がないように、選択される。
【0043】
図17は、スリーブ303に設けられたチャネル302'及び302"をニードル301'及び301"が通過する、二重弁での使用に適した同様の要素を示す。以下の説明では、簡潔さのために、「スリーブ」について言及するときには常に、適切であれば上述のような弾性材料で作製された弁座を準用することが、理解されるべきである。
【0044】
図18(a及びb)は、スリーブ304がどのようにしてハウジング305内に嵌合するか、ニードル300がどのようにしてスリーブ304のチャネル302に押し通されるか、及び、
図18(b)に見られるようにニードル300がどのようにして膜306を穿孔するかを示す。スリーブ304は、本発明の一つの実施形態では、その外表面とハウジング305の内表面307との接触によって生じる摩擦により、所定の位置に保持され得る。この摩擦は、スリーブ304を収容するためにハウジング305内に設けられた内表面307の直径よりも外径の大きいスリーブ304を設けることにより、簡単に得ることができる。したがって、スリーブ304を作製するのに用いられた弾性のある材料は、圧縮されて、内表面307に向かって押しのけられる。スリーブ304の外表面に粗さを与えること、又は、一方若しくは両方の表面上に係留要素を設けることも、可能である。
【0045】
本発明の別の実施形態では、
図18に示されるように、スリーブ304の外径は、内表面307の直径よりも小さく、二つの表面は、接触すらしないか、又は緩やかにのみ接触し得る。この実施形態では、スリーブ304は、片側では膜306により、また、
図19及び21に見られる要素308のような肩又は突出部により、ハウジング305内で所定の位置に保持される。
【0046】
図19は、
図17の二重スリーブ303がどのようにして本発明によるデバイスに嵌合するかを示す。
図20は、相互接続された状態の
図19のデバイスを概略的に示す。
【0047】
図21は、
図16のスリーブのようなスリーブを使用する弾性ニードル弁を含む単一ニードルコネクタを示す。
【0048】
図22は、本発明の一実施形態による、二つのニードル及び二つのスリーブを含むコネクタの製品図面を示し、
図23は、本発明の別の実施液体による、一つのニードル及び一つのスリーブを含むコネクタの製品図面を示す。
【0049】
スリーブを作製するのに用いる材料は、シリコーン又はゴムなどの、薬理学的に適切な任意の弾性材料とすることができるが、チャネルの変形をもたらす力を加えることによりニードルがスリーブを通過するのを可能にすることができる、任意の他の軟質材料とすることもできる。スリーブ材料の弾力的な性質により、流体の適切な封止が維持されるようになる。
【0050】
本発明の実施形態を例示として説明してきたが、本発明は特許請求の範囲に記載の範囲を超えることなく多くの変形、変更、及び適応を伴って実施されてもよいことが理解されるであろう。