(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で、全ての商標は大文字で指定されている。
【0013】
本発明は、繊維基材に撥水性及び任意選択的に汚れ除去性を付与するための化合物を提供する。得られた化合物は、従来の市販の非フッ素化処理剤と比較して、高い撥水性能及び撥水性の耐久性を処理済み基材に提供する。本発明の出発材料は、生物起源材料から誘導することができる。
【0014】
本発明は、(a)ジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1つのイソシアネート基を含有する化合物と;(b)少なくとも1つの−R
1、−C(O)R
1、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1、又はこれらの混合物で置換された、環状又は非環状の糖アルコールからなる群から選択される、少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物と;(c)フッ素化アルコール、フッ素化チオール、又はフッ素化アミンから選択される少なくとも1つのフッ素化イソシアネート反応性化合物と、を含む試薬の反応生成物を含む化合物に関し;環状又は非環状の糖アルコールは、糖、還元糖、アミノ糖、アルドン酸、又はアルドン酸ラクトンから選択され;式中、各nは、独立して、0〜20であり;各mは、独立して、0〜20であり;m+nは、0よりも大きく;各R
1は、独立して、任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい5〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり;各R
2は、独立して、−H、又は任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい6〜30個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基、あるいはこれらの混合物である。
【0015】
適切なイソシアネート基を含有する化合物は、主に2つ以上のイソシアネート基を有する任意のジイソシアネート又はポリイソシアネートであってもよい。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマーが、本明細書で使用するのに好適であり、これは市販されている。少量のジイソシアネートが、複数のイソシアネート基を有する生成物中に残存し得ることが認識されている。その一例は、残存する少量のヘキサメチレンジイソシアネートを含有するビウレットである。
【0016】
炭化水素ジイソシアネートから誘導されるイソシアヌレートトリマーも、ポリイソシアネート反応剤として使用するのに適しており、Qは、イソシアヌレート基を有する三価の直鎖アルキレンである。DESMODUR N−100(Bayer Corporation,Pittsburgh,PAから入手可能なヘキサメチレンジイソシアネート系化合物)が好ましい。本発明の目的に有用な他のトリイソシアネートは、3モルのトルエンジイソシアネートを反応させることによって得られるものであり、Qは、環状イソシアネート基を有する三価の多環芳香族環構造である。メタン−トリス−(フェニルイソシアネート)と同様に、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体及び3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネートのイソシアヌレート三量体は、本発明の目的に有用なトリイソシアネートの他の例である。また、ジイソシアネート等のポリイソシアネートの前駆体も、本発明においてポリイソシアネートのための基材として使用するのに好適である。また、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)製のDESMODUR N−3300、DESMODUR N−3600、DESMODUR Z−4470、DESMODUR H、DESMODUR N3790、及びDESMODUR XP 2410、並びにビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンも、本発明において好適である。
【0017】
好ましいポリイソシアネート反応物質は、ビウレット構造を含有する脂肪族及び芳香族ポリイソシアネート、又はポリジメチルシロキサン含有イソシアネートである。また、このようなポリイソシアネートは、脂肪族置換基及び芳香族置換基の両方を含有することができる。
【0018】
本明細書の本発明の全ての実施形態のための(ポリ)イソシアネート反応剤として好ましいのは、例えば、DESMODUR N−100、DESMODUR N−75及びDESMODUR N−3200としてBayer Corporation(Pittsburgh、PA)から市販のヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマー;例えばDESMODUR I(Bayer Corporation)として入手可能な3−イソシアナトメチル−3,4,4−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート;例えばDESMODUR W(Bayer Corporation)として入手可能なビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、及び式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、及び(Ie)のジイソシアネートトリマーである。
【0020】
ジイソシアネートトリマー(IIIa−d)は、例えば、それぞれ、Bayer CorporationからDESMODUR Z4470、DESMODUR IL、DESMODUR N−3300、及びDESMODUR XP2410として入手可能である。
【0021】
少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物(b)は、少なくとも1つの−R
1、−C(O)R
1、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1、又はこれらの混合物で置換された、環状又は非環状の糖アルコールを含む。置換糖アルコールとイソシアネート成分との反応によって、置換糖アルコールの残基とイソシアネートの残基とを有するウレタン結合が得られる。用語「環状又は非環状の糖アルコールの残基」は、本明細書では、1つ以上のH原子がヒドロキシル基−OHから除去されたときの環状又は非環状の糖アルコールの分子構造であるとして定義される。ウレタン官能基は、任意の適切な方法によって形成されてもよく、この方法は、ジイソシアネート又はポリイソシアネートと、少なくとも1つの−R
1;−C(O)R
1;−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CHO)
mC(O)R
1;又はこれらの混合物で置換された環状又は非環状の糖アルコールと、を反応させることを含む。用語「イソシアネート、ジイソシアネート、又はポリイソシアネートの残基」は、本明細書では、全てのイソシアネート基NCOが除去されたときのイソシアネート、ジイソシアネート、又はポリイソシアネートの分子構造として定義される。
【0022】
環状又は非環状の糖アルコールは、糖、還元糖、アミノ糖、アルドン酸、又はアルドン酸ラクトンから選択され、少なくとも1つの−R
1;−C(O)R
1;−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1;又はこれらの混合物で置換されている。置換糖アルコールは、(b’)少なくとも1つの糖アルコールと、(b”)少なくとも1つの脂肪酸又はアルコキシル化脂肪酸と、を反応させることによって形成されてもよい。この工程は、任意の適切なエステル化プロセスによって行うことができる。例えば、米国特許第4,297,290号は、ソルビタンエステルの合成を記載し、アルカリ触媒存在下、無水ソルビトールを脂肪酸と反応させる。このような糖アルコール(b’)の例としては、限定されないが、アルドース及びケトース、例えば、テトロース、ペントース、ヘキソース、及びヘプトースから誘導される化合物が挙げられる。具体例としては、グルコース、グリセルアルデヒド、エリトロース、アラビノース、リボース、アラビノース、アロース、アルトロース、マンノース、キシロース、リキソース、グロース、ガラクトース、タロース、フルクトース、リブロース、マンノヘプツロース、セドヘプツロース、トレオース、エリスリトール、トレイトール、グルコピラノース、マンノピラノース、タロピラノース、アロピラノース、アルトロピラノース、イドピラノース、グロピラノース、グルシトール、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ボレミトール、グルコン酸、グリセリン酸、キシロン酸、ガラクタル酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸ラクトン、グリセリン酸ラクトン、キシロン酸ラクトン、グルコサミン、ガラクトサミン、又はこれらの混合物が挙げられる。本発明で使用される環状又は非環状の糖アルコールは、少なくとも1つの−R
1;−C(O)R
1;−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;又は−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1で、脂肪酸を用いたエステル化を含む任意の方法によって置換されて、ヒドロキシ官能性置換糖アルコールを生成する。適切な脂肪酸(b”)としては、限定されないが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸(mysteric acid)、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、オレイン酸、エルカ酸、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、R
1は、7〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、別の実施形態において、R
1は、9〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、別の実施形態において、R
1は、11〜21個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。一実施形態において、R
2は、8〜30個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、別の実施形態において、R
2は、10〜30個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、別の実施形態において、R
2は、12〜22個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0023】
一実施形態において、イソシアネート反応性化合物(b)は、式(IIa)、(IIb)、又は(IIc):
【0024】
【化2】
から選択され、あるいはこれらの混合物であり、
式中、各Rは、独立して、−H;−R
1;−C(O)R
1;
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;又は
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1であり;
各R3は、独立して、−H;−R1;−C(O)R1;−(CH2CH2O)n(CH(CH3)CH2O)mR2;又は
−(CH2CH2O)n(CH(CH3)CH2O)mC(O)R1であり;各nは、独立して、0〜20であり;各mは、独立して、0〜20であり;m+nは、0よりも大きく;rは、1〜3であり;aは、0又は1であり;pは、独立して、0〜2であり;但し、rが3のとき、aは0であり;各R
1は、独立して、任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい5〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり;各R
2は、独立して、−H、又は任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい6〜30個の炭素を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル基; あるいはこれらの混合物であり、但し、式(IIa)が選択される場合、少なくとも1つのRは、−Hであり、少なくとも1つのRは、−R
1;−C(O)R
1;
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;又は
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1であり;各R
4は、独立して、−H、任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい6〜30個の炭素を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はこれらの組み合わせ;
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;又は
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1であり;但し、式(IIb)が選択される場合、少なくとも1つの
R3又はR
4は、−Hであり;少なくとも1つの
R3又はR
4は、任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はこれらの組み合わせ;−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;あるいは−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1であり;各R
19は、−H、−C(O)R
1、又は−CH
2C[CH
2OR]
3であり、但し、式(IIc)が選択される場合、少なくとも1つのR
19又はRは−Hであり;少なくとも1つのR
19又はRは、−C(O)R
1、
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;又は
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1である。式(IIa)、(IIb)、又は(IIc)において、−(CH
2CH
2O)−は、オキシエチレン基(EO)を表し、−(CH(CH
3)CH
2O)−は、オキシプロピレン基(PO)を表す。これら化合物は、EO基のみ、PO基のみ、又はこれらの混合物を含有し得る。これら化合物は、例えば、PEG−PPG−PEG(ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコール)と表記されるトリブロックコポリマーとしても存在し得る。
【0025】
イソシアネート反応性化合物(b)が式(IIa)である場合、1,4−ソルビタンエステル、2,5−ソルビタンエステル、及び3,6−ソルビタンエステルを含め、任意の適切な置換還元糖アルコールを使用してもよい。一実施形態において、イソシアネート反応性化合物(b)は、式(IIa’)である式(IIa)から選択される。
【0027】
一実施形態において、少なくとも1つのRはHであり、少なくとも1つのRは、−C(O)R
1又はR
1である。Rのうち少なくとも1つが−Hであり、Rのうち少なくとも1つが、−C(O)R
1から選択される、式(IIa’)の残基を生成するために使用される化合物は、一般的にアルキルソルビタンとして知られている。これらソルビタンは、−C(O)R
1で一置換、二置換、又は三置換されていてもよい。市販のソルビタン(例えば、SPAN)は、各RがHであるソルビタン(非置換)から、各Rが−C(O)R
1(式中、R
1は、5〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である)であるソルビタン(完全に置換されている)に及ぶ種々のソルビタンの混合物;並びにこれら種々の置換体の混合物を含有することが知られている。また、市販のソルビタンは、ある量のソルビトール、イソソルビド、又は他の中間体若しくは副生成物を含んでもよい。
【0028】
一実施形態において、少なくとも1つのRは、−C(O)R
1であり、R
1は、5〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。別の実施形態において、R
1は、7〜21個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、第3の実施形態において、R
1は、11〜21個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。これらの残基を形成するために使用される好ましい化合物としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、及びこれらの混合物から誘導される一置換、二置換、及び三置換のソルビタンが挙げられる。特に好ましい化合物としては、一置換、二置換、及び三置換ソルビタンステアレート又はソルビタンベヘニンが挙げられる。
【0029】
任意選択的に、R
1は、少なくとも1つの不飽和結合を含む5〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。少なくとも1つのRが−C(O)R
1から選択され、R
1が少なくとも1つの不飽和結合を含む、式(IIa’)の残基を形成するために使用される化合物の例としては、限定されないが、ソルビタントリオレエート(すなわち、R
1が−C
7H
14CH=CHC
8H
17)が挙げられる。他の例としては、パルミトレイン酸、リノール酸(lineolic acid)、アラキドン酸、及びエルカ酸から誘導される、一置換、二置換、及び三置換ソルビタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
一実施形態において、式(IIa’)が使用され、Rは、さらに、独立して、−H;−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;又は−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1に限定される。この実施形態において、少なくとも1つのRは、独立して、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2又は−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1である。一態様において、R
2はHであり、mは、置換が疎水性であるような正の整数である。少なくとも1つのRは、
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2又は
−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1であり、各mが独立して0〜20であり、各nが独立して0〜20であり、n+mが0よりも大きい、式(IIa’)の化合物は、ポリソルベートとして知られており、TWEENの商標名で市販されている。これらポリソルベートは、アルキル基R
1又はR
2で、一置換、二置換、又は三置換することができる。市販のポリソルベートは、各R
2がHのポリソルベート(非置換)から、各R
1が5〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であるポリソルベート(完全に置換されている)に及ぶ種々のポリソルベートの混合物;並びにこれらの種々の置換体の混合物を含有することが知られている。式(IIa’)の化合物の例としては、ポリソルベートトリステアレート及びポリソルベートモノステアレートのようなポリソルベートが挙げられる。m+nが0よりも大きく、R
1が少なくとも1つの不飽和結合を含む、式(IIa’)の化合物の例としては、限定されないが、ポリソルベートトリオレエート(R
1がC
7H
14CH=CHC
8H
17である)が挙げられ、ポリソルベート80の名称で市販されている。試薬は、R、R
1、及びR
2が様々な値を有する化合物の混合物を含んでもよく、また、R
1が少なくとも1つの不飽和結合を含む化合物と、R
1が完全に飽和している化合物との混合物を含んでもよい。
【0031】
一実施形態において、イソシアネート反応性化合物(b)は、式(IIb)から選択される。式(IIb)の化合物は、クエン酸アルキルとして知られている。これらのクエン酸エステルは、アルキル基で一置換、二置換、又は三置換された化合物として存在していてもよい。市販のクエン酸エステルは、R及び各R
4が−Hであるクエン酸から、各R
4が任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい6〜30個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であるクエン酸エステルに及ぶ種々のクエン酸エステルの混合物;並びにこれらの種々の置換体の混合物を含有することが知られている。種々の値のR
1、R
2及びR
4を有するクエン酸エステルの混合物を使用してもよく、R
1が少なくとも1つの不飽和結合を含む化合物と、R
1が完全に飽和している化合物との混合物を含んでいてもよい。クエン酸アルキルは、m+nが0よりも大きく、R
4が、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2;又は−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1のものも市販されており、R及び各R
2がHであるものから、各R
1及び/又はR
2が任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい5〜30個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であるものまで、種々の置換体で存在している。式(IIb)の化合物の例としては、限定されないが、クエン酸トリアルキルが挙げられる。
【0032】
一実施形態において、イソシアネート反応性化合物(b)は、式(IIc)から選択される。式(IIc)の化合物は、ペンタエリスリオールエステルとして知られる。これらのペンタエリスリオールエステルは、アルキル基で一置換、二置換、又は三置換されたものとして存在していてもよい。市販のペンタエリスリオールエステルは、R
19及び各Rが−Hであるペンタエリスリオールエステルから、各Rが−C(O)R
1であり、R
1が、任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい5〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であるペンタエリスリオールエステルに及ぶ様々なペンタエリスリオールエステルの混合物、並びにこれらの様々な置換体の混合物を含有することが知られている。また、ペンタエリスリオールエステルは、Rの鎖長が異なる混合物を有する化合物、又はR
1が少なくとも1つの不飽和結合を含む化合物と、R
1が完全に飽和した化合物との混合物を含有してもよい。
【0033】
式(IIa)、(IIb)、及び(IIc)の化合物は、全て生物系由来であってもよい。用語「生物系由来」とは、材料の少なくとも10%を、植物、他の草木、及び獣脂等の非原油源から作製できることを意味する。一実施形態において、置換糖アルコールは、約10%〜100%生物系由来である。一実施形態において、置換糖アルコールは、約35%〜100%生物系由来である。別の実施形態において、置換糖アルコールは、約50%〜100%生物系由来である。一実施形態において、置換糖アルコールは、約75%〜100%生物系由来である。一実施形態において、置換糖アルコールは、100%生物系由来である。置換糖アルコール化合物の平均OH値は、0〜約230の範囲であってもよい。一実施形態において、平均OH値は、約10〜約175であり、別の実施形態において、平均OH値は、約25〜約140である。
【0034】
一実施形態において、少なくとも1つのフッ素化イソシアネート反応性化合物(c)は、下式:
R
f−A
x−Z−H (III)
の少なくとも1つの化合物であり、式中、
R
fは、任意選択的に1個、2個又は3個のエーテル酸素原子で中断されていてもよいC1〜C20直鎖又は分岐鎖ペルフルオロアルキルであり;
Xは、0又は1であり;
Aは、(CH
2)
k、(CH
2CF
2)
m(CH
2)
n、(CH
2)
oSO
2N(CH
3)(CH
2)
p、O(CF
2)
2(CH
2)
r、又はOCHFCF
2OEであり;
Zは、O、S、又はNHであり;
mは、1〜4であり;
k、n、o、p、及びrは、それぞれ独立して、1〜20であり;
Eは、任意選択的に酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子で中断されていてもよいC
2〜C
20直鎖又は分岐鎖アルキル基;環状アルキル基、又はC
6〜C
10アリール基である。
【0035】
さらなる実施形態において、R
fは、中断されていない直鎖C
2〜C
6ペルフルオロアルキルであり、xは1である。
【0036】
一実施形態において、反応性化合物(c)は、フッ素化アルコールであってもよく、これを使用して、最終製品の汚れ除去性能を高めてもよい。任意の適切なフッ素化アルコールを使用してもよい。式(II)を有し、ZがOであり、R
fが、任意選択的にCH
2、CH
2CH
2、SO
2N、CFH、S又はOで中断されていてもよいC
1〜C
20ペルフルオロアルキル基であり;Aが、直接結合又はC
1〜C
6アルキレン基であるフッ素化アルコール。R
f及びAは、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。一態様において、フッ素化アルコールは、テロマー系アルコールであり、R
fは、直鎖ペルフルオロアルキル基であり、Aは、CH
2CH
2である。一態様において、R
fは、C
2〜C
6直鎖又は分岐鎖ペルフルオロアルキル基である。フッ素化アルコールの具体例としては、限定されないが、R
fOH、R
fCH
2CH
2OH、R
fSO
2NHCH
2CH
2OH、R
fCH
2CH
2SCH
2CH
2OH、R
fCH
2CH
2CF
2CF
2CH
2CH
2OH、R
fCH
2CH
2(CF
2CF
2CH
2CH
2)
2OH、R
fCH
2CF
2CH
2CH
2OH、R
fCH
2CF
2CH
2CF
2CH
2CH
2OH、R
fOCF
2CF
2CH
2CH
2OH、R
fCH
2OCH
2CH
2OH、R
fCHFCH
2CH
2OH、R
fCH
2O(CH
2)
6OH、(CF
3)
2CFCH
2CH
2OH、(CF
3)
2CFCH
2CH
2 CH
2OH、R
fCH
2CH
2SO
2NHCH
2CH
2OH、R
fCH
2CH
2SO
2N(CH
3)CH
2CH
2OH、R
fCH
2CH
2SO
2N(CH
2CH
3)CH
2CH
2OH、R−(CF(CF
3)CF
2O)
yCH
2OH、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2CH
2OH、又はR
fCH
2OC
2F
4CH
2OCH
2CH
2OHが挙げられる。
【0037】
さらなる実施形態において、化合物(c)は、フッ素化チオールであってもよく、これを使用して、最終製品の汚れ除去性能を高めてもよい。任意の適切なフッ素化チオールを使用してもよい。式(II)を有し、ZがSであり、R
fが、C
2〜C
20ペルフルオロアルキル基から選択され、但し、(i)ペルフルオロアルキルの1個のフッ素原子は、任意選択的に、少なくとも1つの酸素、メチレン、又はエチレンで中断されていてもよく;Aは、任意選択的に少なくとも1つの二価有機基で中断されていてもよいC
2〜C
12ヒドロカルビレンからなる群から選択される、フッ素化チオール。R
f及びAは、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。
【0038】
さらなる実施形態において、化合物(c)は、フッ素化アミンであってもよく、これを使用して、最終製品の汚れ除去性能を高めてもよい。任意の適切なフッ素化アミンを使用してもよい。式(II)を有するフッ素化アミンであって、ZがNHであり、R
fが、1〜20個の炭素原子を有するフルオロカーボン又はペルフルオロカーボンであり、Aは、接続する二価のC
1〜C
20アルキル、C
6〜C
20アリール、O−R
1−S(O)
k−R
1'、R
1−S(O)
k−R
1'、R
1−NR
2−R
1'、C
1〜C
20置換アルキル、C
6〜C
20置換アリール、又はこれらの組み合わせであり、k=0又は1であり;R
1又はR
1'は、独立して、C
1〜C
10アルキル、C
6〜C
10アリール、C
1〜C
10置換アルキル、C
6〜C
10置換アリール、又はこれらの組み合わせであり、R
2は、H、C
1〜C
10アルキル、C
6〜C
10アリール、C
1〜C
10置換アルキル、又はC
6〜C
10置換アリールである。A、R
1、R
1'、又はR
2は、1個以上のフッ素原子又は他のハロゲン原子を有していてもよく、又は1つ以上のフルオロカーボン基又はペルフルオロカーボン基を有していてもよく、これらの基は、1つ以上の水素原子に対する置換基として、R
fと同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0039】
適切なフッ素化アミンの例は、ポリフッ素化又はペルフッ素化されたメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプチルアミン、トリヘプチルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ノニルアミン、ジノニルアミン、トリノニルアミン、デシルアミン、ジデシルアミン、トリデシルアミン、ウンデシルアミン、ジウンデシルアミン、トリウンデシルアミン、ドデシルアミン、ジドデシルアミン又はトリドデシルアミンである。これらのペルフッ素化アルキル又はポリフッ素化アルキル、ジアルキル又はトリアルキルアミンに関して、アミン中の少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも55%、最も好ましくは70%の水素原子がフッ素原子と置き換わっていることが好ましい。水素原子の一部のみがフッ素原子と置き換わっている場合、残りの水素原子は、可能な限り窒素原子に近いことが好ましい。フッ素化アミンのさらなる例は、ペルフルオロトリペンチルアミン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ−1−デシルアミン(1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルアミンとしても知られる)又は2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロ−1−オクチルアミン(1H,1H−パーフルオロオクチルアミンとしても知られる)である。
【0040】
一実施形態において、ウレタン化合物を作製するために使用される試薬は、さらに、水、
式(IVa):
R
5−D (IVa)
の有機化合物、若しくは
式(IVb):
R
3−(OCH
2CH(OR
3)CH
2)
z−OR
3(IVb)
の有機化合物、
又はこれらの混合物から選択される、少なくとも1つのさらなるイソシアネート反応性化合物(d)を含み、式中、R
5は、任意選択的に少なくとも1つの不飽和基を含んでいてもよい−C
1〜C
30直鎖又は分岐鎖アルキル、ヒドロキシ官能性C
1〜C
30直鎖又は分岐鎖アルキル、ヒドロキシ官能性直鎖又は分岐鎖C
1〜C
30ポリエーテル、ポリエステルポリマー骨格を有するヒドロキシ官能性直鎖又は分岐鎖ポリエステル、ヒドロキシ官能性直鎖又は分岐鎖オルガノシロキサン、アミン官能性直鎖又は分岐鎖オルガノシロキサン、チオール官能性C
1〜C
30直鎖又は分岐鎖アルキル、アミン官能性C
1〜C
30直鎖又は分岐鎖アルキル、
【0041】
【化4】
から選択され;
Dは、−N(R
12)H、−OH、−COOH、−SH、−O−(CH
2CH
2O)
s(CH(CH
3CH
2O)
t−H、又は(C(O)−O−(CH
2CH
2O)
s(CH(CH
3)CH
2O)
tHから選択され;R
3は、独立して、−H;−R
18;又は−C(O)R
18から選択され、但し、少なくとも1つのR
3は、−Hであり;R
12は、−H又は一価C
1〜C
6アルキル基であり;R
7、R
8、及びR
9は、それぞれ独立して、−H、−C
1〜C
6アルキル、又はこれらの組み合わせであり;R
10は、1〜20個の炭素を有する二価アルキル基であり;R
18は、独立して、任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい5〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり;zは、1〜15であり;Yは、Clであり;sは、0〜50の整数であり;tは、0〜50の整数であり;s+tは、0よりも大きい。
【0042】
用語「分岐」とは、本明細書で使用するとき、官能性鎖が、例えば、四級置換炭素として任意の点で分岐することができ、かつ任意の数の分岐置換を含有することができることを意味する。
【0043】
一実施形態において、本発明は、化合物を調製する方法に関し、(a)ジイソシアネート、ポリイソシアネート、又はこれらの混合物から選択される少なくとも1つのイソシアネート基を含有する化合物と;(b)少なくとも1つの−R
1、−C(O)R
1、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1、又はこれらの混合物で置換された、環状又は非環状の糖アルコール;及び少なくとも1つの−R
1、−C(O)R
1、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mR
2、−(CH
2CH
2O)
n(CH(CH
3)CH
2O)
mC(O)R
1、又はこれらの混合物で置換されたフッ素化アルコールと環状又は非環状の糖アルコールの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物と;(c)フッ素化アルコール、フッ素化チオール、又はフッ素化アミンから選択される少なくとも1つのフッ素化イソシアネート反応性化合物と、を反応させる工程を含み、環状又は非環状の糖アルコールは、糖、還元糖、アミノ糖、アルドン酸、又はアルドン酸ラクトンから選択され;式中、各nは、独立して、0〜20であり;各mは、独立して、0〜20であり;m+nは、0よりも大きく;各R
1は、独立して、任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい5〜29個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基であり;各R
2は、独立して、−H、又は任意選択的に少なくとも1つの不飽和結合を含んでいてもよい6〜30個の炭素を有する直鎖又は分岐鎖アルキル基である。
【0044】
化合物(b)の混合物を用いて作られる化合物を含め、反応生成物は、1工程で製造することができる。一実施形態において、1種類より多い化合物(b)が存在する場合、その合成は、連続的に完結させることができる。逐次添加は、OH数が多い置換糖アルコールを使用する場合、又は式(VIa)又は(VIb)の多官能化合物を用いる場合に、特に有用である。
【0045】
この反応は、典型的には、ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネート、少なくとも1つのイソシアネート反応性化合物(b)、及びフッ素化イソシアネート反応性化合物(c)を反応容器に投入することによって行われる。反応物質の添加順序は重要ではないが、水を使用する場合、水は、イソシアネートと化合物(b)及び(c)の後に加えるべきである。
【0046】
投入された反応物質の比重は、その当量及び反応容器の作業効率に基づき、置換糖アルコールが第1の工程で消費されるように調節される。イソシアネート反応性基を含まない好適な無水有機溶媒が、典型的には、溶媒として使用される。利便性及び入手可能性から、ケトンが好ましい溶媒であり、メチルイソブチルケトン(MIBK)が特に好ましい。仕込んだ材料を撹拌し、温度を約40℃〜70℃に調整する。典型的には、次に、有機溶媒中の塩化鉄(III)等の触媒を、典型的には、組成物の乾燥重量を基準として、約0.01〜約1.0重量%の量で添加し、温度を約80℃〜100℃に昇温する。また、炭酸ナトリウム等の共触媒を使用してもよい。水を添加する場合、100%未満のイソシアネート基が反応するように、初期反応を実施する。第2の工程において、数時間保持した後、さらなる溶媒、水、任意選択的に第2の化合物を加える。一実施形態において、この混合物を数時間反応させるか、又は全てのイソシアネートが反応するまで反応させる。次いで、所望な場合、さらなる水を界面活性剤と共にウレタン化合物に加え、十分に混合するまで攪拌してもよい。均質化又は超音波処理工程の後、有機溶媒を減圧して蒸発させることによって除去することができ、本発明の化合物の残留水性溶液又は分散体を、現状のままで、又はさらなる加工を実施して、使用することができる。水性組成物は、本発明の少なくとも1つの化合物と、水担体と、任意選択的に1つ以上の界面活性剤を含む。
【0047】
また、上記手順のいずれか又はその全てに対する多くの変更を用いて反応条件を最適化し、最大収率、最大生産性、又は最高品質の生成物を得ることができることは、当業者にとって明らかであろう。
【0048】
上述の本発明の組成物を、任意の適切な方法によって、繊維基材と接触させる。このような方法としては、吸尽、発泡、フレックスニップ、ニップ、パッド、キスロール、ベック、かせ、ウインス、液噴射、オーバーフローフラッド、ロール、はけ塗り、ローラー、スプレー、ディッピング、浸漬などによる塗布が挙げられるが、これらに限定されない。また、組成物を、ベック染色工程、連続染色工程又は糸条への塗布(thread-line application)を使用して接触させる。
【0049】
本発明の組成物は、基材にそのまま塗布されるか、又は他の任意選択的な布地仕上げ剤又は表面処理剤と組み合わせて塗布される。このような任意の付加成分としては、付加的な表面効果を得るための処理剤若しくは仕上げ剤、又はこのような剤若しくは仕上げ剤と共に一般に使用される添加剤が挙げられる。このような付加成分は、アイロンがけ不要、アイロンがけ容易性、収縮制御、しわ防止性、パーマネントプレス、湿気制御、柔軟性、強度、スリップ防止、静電防止、伝線防止、毛玉防止、汚れ除去性、防汚性、汚れ除去、撥水性、臭気抑制、抗菌性、日焼け防止、洗濯可能性、及び類似した効果などの表面効果を提供する、化合物又は組成物を含む。このような成分は、フッ素化されていてもよく、フッ素化されていなくてもよい。1種又は2種以上のこのような処理剤又は仕上げ剤が、本発明の組成物の前に、後に、あるいは本発明の組成物と同時に、基材に塗布される。例えば、繊維性基材に関して、合成織物又は綿織物が処理される場合、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能な、ALKANOL 6112などの、湿潤剤の使用が望ましい場合がある。綿繊維又は綿混紡繊維が処理される場合、Omnova Solutions(Chester,SC)から入手可能なPERMAFRESH EFCなどの、しわ防止樹脂を使用することができる。
【0050】
また、このような処理剤又は仕上げ剤と共に一般に使用されるその他の添加剤が、任意選択的に存在し、このような添加剤としては、界面活性剤、pH調整剤、架橋剤、湿潤剤、ろう増量剤、及び当業者に既知のその他の添加剤などがある。好適な界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、N−酸化物及び両性の界面活性剤が挙げられる。このような添加剤の例としては、加工助剤、発泡剤、潤滑剤、汚れ防止剤などが挙げられる。組成物は、製造施設、小売業者の所在地で、若しくは設置及び使用に先立って、又は消費者の所在地で適用される。
【0051】
任意選択的に、ブロックイソシアネートを本発明の組成物と共に添加して、更に耐久性を高める(即ち、混合組成物として)。本発明で使用する好適なブロックイソシアネートの一例は、Huntsman Corp(Salt Lake City,UT)から入手可能なPHOBOL XANである。他の市販のブロックイソシアネートも、本明細書で使用するのに好適である。ブロックイソシアネートを添加する望ましさは、コポリマーの具体的な用途に依存する。本明細書で想定される用途の大部分については、鎖又は結合と基材との間に十分な架橋を得るために存在する必要がない。ブレンドイソシアネートとして添加する場合、最大約20重量%の量を添加する。
【0052】
所与の基材のための最適な処理は、(1)本発明の化合物又は組成物の特性、(2)基材表面の特性、(3)表面に塗布される本発明の化合物又は組成物の量、(4)表面上に塗布される本発明の化合物又は組成物の塗布方法、及び多くのその他の要因に依存する。いくつかの本発明の化合物又は組成物は、多くの異なる基材上でよく機能し、撥水性がある。本発明の化合物から調製した分散体は、一般に、吹付け塗り、ディッピング、パディング、又はその他の周知の方法によって繊維性基材に塗布される。例えばスクイズロールによって過剰な液体を除去した後、処理済み繊維性基材を乾燥させ、次に、少なくとも30秒間、典型的には、約60秒〜約240秒、例えば、約100℃〜約190℃に、加熱することによって硬化させる。このような硬化は、撥油性、撥水性、及び防汚性、並びに撥性の耐久性を高める。これら硬化条件が一般的であるが、一部の市販の装置は、その特有の設計特徴のため、この範囲外で作動してもよい。
【0053】
別の実施形態において、本発明は、その表面に、上に開示したような化合物が塗布された繊維基材である。繊維性基材としては、繊維、糸、布地、混紡布、繊維材料、不織布、紙、皮革、及びカーペットが挙げられる。これらは、綿、セルロース、ウール、シルク、レーヨン、ナイロン、アラミド、アセテート、アクリル、黄麻、サイザル麻、海草、コイア、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリアラミド、又はこれらの混紡物を含む、天然繊維又は合成繊維から作製される。「混紡布地」とは、2種類以上の繊維で作られた布地を意味する。典型的には、これらの混紡物は、少なくとも1種類の天然繊維と少なくとも1種類の合成繊維との組み合わせであるが、また、2種類又は3種類以上の天然繊維の混紡物、又は2種類又は3種類以上の合成繊維の混紡物を含むことができる。不織布基材としては、例えば、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から入手可能な、SONTARAなどのスパンレース不織布、及びスパンボンド−メルトブロー−スパンボンド不織布が挙げられる。本発明の処理済み基材は、優れた撥水性、及び任意選択的に、汚れ除去性を有する。
【0054】
本発明の化合物は、処理された基材に対して優れた汚れ除去性をもたらし、市販のフッ素化処理剤に匹敵する組成物をもたらすのに有用である。
【0055】
試験方法及び材料
MPEG 750は、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル750であるとして定義され、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から市販されている。
【0056】
ソルビタントリステアレートは、Croda(East Yorkshire,England)又はDuPont Nutrition & Health(Copenhagen,Denmark)から市販されている。
【0057】
ソルビタントリベヘニン88及びSTS30ソルビタントリステアレートは、Daniscoから入手した。
【0058】
DESMODUR N−100及びDESMODUR N3300は、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から入手した。
【0059】
SPAN 60ソルビタンモノステアレート、SPAN 85ソルビタントリオレエート、及びTWEEN 65ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートは、Croda(East Yorkshire,England)から入手した。
【0060】
デカグリセロールデカステアレートは、Nikkol Chemical Co.(DECAGLYN 10−SV)から購入した。
【0061】
KRYTOX KFA−220ALアルコールは、DuPont Co.(Wilmington、DE)から入手した。
【0062】
以下の試験方法及び材料を、本明細書の実施例で使用した。
【0063】
試験方法1−撥水性
処理済み基材の撥水性を、デュポン(DuPont)実験室用方法に従って、テフロングローバル仕様及び品質管理試験情報パケット(Teflon Global Specifications and Quality Control Tests information packet)に概説されるように測定した。試験は、水性液体による濡れに対する、処理済み基材の耐性を測定する。様々な表面張力の水・アルコール混合物の滴を布地の上に置き、表面の濡れの広がりを目視で測定する。本試験は、水性汚れ防止性の目安を提供する。撥水性評点が高いほど耐性は良好であり、仕上げられた基材は、水系物質によって着色される。標準試験液の組成を下表1に示す。試験液がぎりぎり合格することに関して、表1の数値から1/2を引くことによって、0.5の増分の評点が決定される。
【0065】
試験方法2−撥油性
処理した布地サンプルについて、AATCC標準試験法118の改変法によって、撥油性を試験し、試験は以下のように行った。布地サンプルをポリマーの水性分散物で処理し、これを試験前に23℃+相対湿度65%で最低15時間かけ、平衡状態にした。次いで、下の表2で特定する一連の有機液を布地サンプルに滴下した。最も小さな番号の試験液(撥液性の評点1)から初め、1滴(直径約5mm又は体積0.05mL)を、少なくとも5mm離れた3箇所それぞれに置いた。この液滴を30秒間観察した。この期間の終わりに、3滴のうち2滴が、まだ球形のままであり、液滴の周囲にウィッキングが存在しない場合、次に大きな番号の液体を3滴、隣接部位に置き、同様に30秒間観察した。いずれかの試験液が、3滴のうち2滴で球形から半球形を保つことができないか、又は濡れ現象若しくはウィッキングが起こるまで、この手順を続けた。
【0066】
布地の撥油性の評点は、3滴のうち2滴が球形から半球形を保っており、ウィッキングが30秒間起こらなかった最も大きな番号の試験液であった。評点の0.5の増加は、次の液の合格境界について表2の数から2分の1を引くことによって決定された。評点の数字が大きいほど、撥液性が高いことを示す。撥油性試験液の組成を表2に示す。
【0068】
試験方法3−スプレー試験
処理済み基材の動的撥水性を、繊維化学染色協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)(AATCC)TM−22に従って測定した。サンプルを、公開基準を参照して目視で採点し、100の評点は、水の浸透又は表面付着がないことを示す。評点90は、浸透がなく、ランダムな貼り付き又は濡れ現象がわずかにあることを示す。値が低いほど、濡れ現象及び浸透が多くなることを示す。試験方法2の動的撥水性試験は、要件の厳しい現実的な撥水性の試験である。
【0069】
試験方法4−汚れ除去性
本試験は、家庭での洗濯中に、油っぽい汚れを除去する布地の能力を測定する。
【0070】
処理済み布地を平面上に置く。点眼器を使用して、マゾーラ(MAZOLA)コーン油5滴又は鉱油(0.2mL)を、布地上に置き、油1滴を形成した。重り(2.27kg、5lb)を、1枚のグラシン紙と共に油滴の上に置き、油滴を分離する。重りを所定位置に60秒間置いた。60秒後、重りとグラシン紙を除去する。次に、全自動洗濯機の「高」を使用して、12分間、AATCC 1993年標準的基準洗剤WOB12(AATCC 1993 Standard Reference Detergent WOB12)又は粒状洗剤(100g)で、布地サンプルを洗浄した。次に、布地を「高」で45〜50分、乾燥させた。次に、布地について、残留物汚れを1〜5で評価し、1は、最も多い残留物汚れが残留したものであり、5は、汚れの残留が可視でないものとした。以下の実施例において、コーン油の汚れ除去性の評点は、用語「コーン油」によって示され、鉱油の汚れ除去性の評点は、用語「鉱油」によって示される。
【0071】
試験法5−布地の処理
この試験で処理した布地は、SDL Atlas Textile Testing Solutions(Rock Hill,South Carolina 29732)から入手可能な100重量%のカーキ色の綿ツイル、及びL.Michael OY(Finland)から入手可能な100重量%の赤色ポリエステル布地であった。従来のパッド浴(浸漬)プロセスを用い、種々のエマルションポリマーの水性分散物を用いて布地を処理した。ポリマーエマルションの調製した高濃度分散体を脱イオン水で希釈し、バス中で60g/L又は100g/Lの最終エマルションを有するパッドバスを得た。
【0072】
以下の実施例について、試薬の量は、最終化合物を構成する反応性薬剤の合計量を基準とした重量%で与えられる。本発明の化合物及び組成物の例は、以下の実施例に示されるように、種々のイソシアネート(a)、化合物(b)、化合物(c)、又はこれらの混合物から作製することができる。本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0073】
(実施例1〜10)
以下の一般的な手順に従って、実施例1〜10のサンプルを製造した。各化合物の量を表2に示す。
【0074】
小さなバイアルに攪拌棒と窒素流を取り付け、化合物(b)、化合物(c)及び4−メチル−2−ペンタノン(MIBK、150g)を加え、55℃まで加熱した。温度が安定したら、化合物(a)を加え、溶液を80℃まで加熱した。次に、触媒を加え、温度を95℃まで上げた。4時間後、n−ブタノールを加えた。次いで、温度を80℃まで下げ、一晩維持した。次の朝、活性イソシアネートの存在について生成物を試験し、次いで、綿及びポリエステルに100g/Lで塗布した。性能結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
(実施例11〜27)
実施例11〜27は、表4に示す化合物を用い、実施例1〜10の手順に従う。実施例11〜27を、綿及びポリエステルの布地に100g/Lで塗布した。上述の試験方法に従って布地を試験した。性能データを表5に示す。
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
(実施例28〜32)
以下の一般的な手順に従い、実施例32〜36のサンプルを製造した。
【0081】
4ッ口丸底に、スターラー、熱電対及び凝縮器を取り付け、これに化合物(b)、化合物(c)、炭酸ナトリウム及びMIBKを加え、55℃まで加熱した。温度が安定したら、化合物(a)を加え、溶液を80℃まで加熱した。次に、Fe3Cl触媒を加え、温度を95℃まで上げた。6時間後、反応混合物にn−ブタノールを加え、温度を80℃まで下げ、一晩保持した。
【0082】
その朝に、水(122.8グラム)、酢酸(0.86グラム)、Chemdix S(1.23グラム)、Ethal LA−4(1.61グラム)及びジプロピレングリコール(13.92グラム)を含む界面活性剤水溶液を調製した。溶液を65℃まで加熱した。次いで、上の反応器に、この溶液をゆっくりと加え、白濁状の分散物を生成した。混合物を浸漬混合し(2分間)、6000psiで均質化し、次いで、減圧下で蒸留し、溶媒を除去した。次いで、分散物を冷却し、濾過した。
【0083】
次いで、生成物を綿及びポリエステルの布地に100g/Lで塗布した。試験した布地の性能データを表7に示す。
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
(実施例33〜36)
実施例33〜36は、実施例1〜10の手順に従う。各化合物の量を表8に示す。性能データを表8に示す。
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
(実施例37〜48)
実施例37〜48は、実施例1〜10の手順に従う。各化合物の量を表10に示す。性能データを表11に示す。
【0090】
【表11】
【0091】
【表12】
【0092】
(実施例49及び58)
以下の一般的な手順に従い、実施例49〜58のサンプルを製造した。各化合物の量を表12に示す。
【0093】
小さなバイアルに攪拌棒と窒素流を取り付け、これに化合物(a)、MIBK、及び触媒を加え、60℃まで加熱した。次に、MPEG 750を加え、温度を95℃まで上げた。1時間後、化合物(b)と化合物(c)を加えた。反応を95℃で一晩行い、次いで、その朝に活性イソシアネートを試験した。次いで、サンプルを綿及びポリエステルに100g/Lで塗布した(表13aの性能データ)。さらに、試験した綿布地について、上の試験方法4に従って、汚れ除去性能を試験した(表13bの性能データ)。
【0094】
【表13】
【0095】
【表14】
【0096】
【表15】
【0097】
(実施例59〜75)
実施例59〜75は、実施例49〜58の一般的な手順に従って調製した。各化合物の量を表14に示す。性能データを表15a及び表15bに示す。
【0098】
【表16】
【0099】
【表17】
【0100】
【表18】
【0101】
(実施例76〜78)
実施例76〜78を以下の一般的な手順に従って調製した。4ッ口丸底フラスコにオーバーヘッドスターラー、熱電対、窒素投入口、気体出口及び凝縮器を取り付け、これに化合物(a)(実施例76及び77はDESMODUR N3300を使用し、その他の全ての実施例はDESMODUR N100を使用した)、溶媒(トルエン)、及びMIBKに溶解したFeCl3を加えた。反応混合物を60℃まで加熱した。このフラスコにMPEG 750を加えた。63℃までの発熱反応を示し、次いで、温度を95℃まで上げ、混合物を1時間攪拌し、60℃まで冷却した。化合物(b)の50重量%トルエン溶液及び化合物(c)をこのフラスコに加えた。温度を95℃まで上げ、一晩攪拌した。試験した混合物がイソシアネートに不活性になったら、温かいDI水を加え、混合物を75℃で30分間攪拌した。溶媒を蒸留によって除去した。生成物をソックフィルターで濾過し、固形分が15%になるまで希釈した。生成物を100g/Lで試験した。
【0102】
(実施例79〜84)
実施例79〜84は、実施例76〜78の手順に従うが、表16に示すようなさらなる化合物(b)を用いた。初期の反応混合物を一晩反応させた後、さらなる化合物(b)を反応物に加えた。試験した混合物がイソシアネートに不活性になったら、温かいDI水を加え、混合物を75℃で30分間攪拌した。溶媒を蒸留によって除去した。生成物をソックフィルターで濾過し、固形分が20%になるまで希釈した。生成物を90g/Lで試験した。
【0103】
各成分の量を表16に示す。生成物を実施例59〜75と同様に試験した。性能データを表17a及び表17bに示す。
【0104】
【表19】
【0105】
【表20】
【0106】
【表21】
【0107】
(実施例85〜102)
実施例85〜102は、実施例49〜58の一般的な手順に従って調製した。各化合物の量を表18に示す。性能データを表19a及び表19bに示す。
【0108】
【表22】
【0109】
【表23】
【0110】
【表24】
【0111】
比較例A
未処理の布地サンプルを、上の試験方法に従って試験した。綿布地及びポリエステル布地は、両方とも水滴下の評点が0であり、油滴下の評点が0であり、スプレーの評点が0であった。
【0112】
上の実施例において、化合物(c)を以下の工程に従って調製した。
【0113】
【化5】
【0114】
トリホスゲン(24.5g、82.5mmol)及び無水ジエチルエーテル(約400mL)を1Lの4ッ口フラスコに加えた。混合物を0℃まで冷却し、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール(75g、0.50mol)を加えた。混合物を30分間攪拌した。この混合物に、滴下漏斗によって、ピリジン(40.0g、0.51mol)をゆっくりと加えた。次いで、得られた混合物を穏やかに1時間環流させた。溶液を濾過して白色固体を除去し、希塩酸溶液で洗浄した。次いで、溶液を減圧蒸留してエーテルを除去し、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)カーボネート(CF
3CF
2CH
2O)
2CO(71g、収率88%)を得た。まず、500mLフラスコ中、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−オール(15.0g、100mmol)を、無水テトラヒドロフラン(300mL)中の水素化ナトリウムの懸濁物(鉱油中60%、6.0g、150mmol)にゆっくりと加えることによって、触媒を調製した。得られた混合物を15分間攪拌し、Hastelloy容器(1L)に移し、−20℃まで冷却した。次いで、この容器にビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)カーボネート(CF
3CF
2CH
2O)
2CO(115g、353mmol)を加えた。容器をテトラフルオロエチレン(60g、600mmol)で加圧し、内容物を室温まで加温し、6時間攪拌した。次いで、反応混合物をNaOH(15g、375mmol)の水(100mL)溶液で処理した。テトラヒドロフラン及び水を減圧下で除去し、得られた固体に3.0M塩酸(400mL)を加えることによって溶解した。有機相を分離し、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)プロパン酸C
2F
5CH
2OCF
2CF
2C(O)OH(60g、収率58%)を得た。
【0115】
2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)プロパン酸(65g、220mmol)、エタノール(50mL、過剰)、及び濃硫酸(50g)を250mL丸底フラスコに加えた。得られた混合物を窒素雰囲気下、3時間環流させた。生成物の混合物を水(400mL)にゆっくりと加え、有機層を分離し、水で洗浄し(50mL×2回)、硫酸マグネシウムで乾燥させ、エチル2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)プロパノエートC2F5CH2OCF2CF2C(O)OCH2CH3(70g、収率98%)を得た。
【0116】
リチウム水素化アルミニウム(5.2g、137mmol)及び無水エーテル(100mL)を250mL丸底フラスコに加え、混合物を5℃まで冷却した。温度を5〜20℃に維持しつつ、エチル2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)プロパノエート(77g、240mmol)を滴加した。次いで、混合物を希塩酸溶液で洗浄し、有機相を分離した。有機相を蒸留によって精製し、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)プロパン−1−オールC2F5CH2OCF2CF2CH2OH(57g、収率85%)を得た。
【0117】
上の実施例において、化合物(c)を以下の工程に従って調製した。
【0118】
【化6】
【0119】
トリホスゲン(24.5g、82.6mmol)及び無水ジエチルエーテル(約400mL)を1Lの4ッ口フラスコに加えた。混合物を0℃まで冷却し、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブタノール(100g、0.50mol)を加え、混合物を30分間攪拌した。この混合物に、滴下漏斗によって、ピリジン(40.0g、0.51mol)をゆっくりと加えた。次いで、得られた混合物を穏やかに1時間環流させた。溶液を濾過して白色固体を除去し、希塩酸溶液で洗浄した。次いで、溶液を減圧蒸留してエーテルを除去し、ビス(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)カーボネート(CF3CF2CF2CH2O)2CO(82g、収率80%)を得た。
【0120】
まず、500mLフラスコ中、無水テトラヒドロフラン(130mL)中の2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブタン−1−オール(15.0g、75mmol)を、水素化ナトリウムの懸濁物(鉱油中60%、4.3g、108mmol)にゆっくりと加えることによって、触媒を調製した。得られた混合物を15分間攪拌し、Hastelloy容器(400mL)に移し、−20℃まで冷却した。次いで、ビス(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル)カーボネート(64g、150mmol)を加え、容器をテトラフルオロエチレン(30g、300mmol)で加圧した。容器を周囲温度まで加温し、6時間攪拌した。次いで、反応混合物をNaOH(8g、200mmol)の水(50mL)溶液で処理した。テトラヒドロフラン及び水を減圧下で除去し、得られた固体を塩酸溶液(2.0Mで300mL)に溶解した。有機相を分離し、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシ)プロパン酸C3F7CH2OCF2CF2C(O)OH(36g、収率70%)を得た。
【0121】
2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシ)プロパン酸(34g、99mmol)、エタノール(30mL)、及び濃硫酸(20g)を250mLの丸底フラスコに加えた。得られた混合物を窒素雰囲気下、3時間環流させた。生成物の混合物を水(300mL)にゆっくりと加え、有機層を分離し、水で洗浄し(50mL×2回)、硫酸マグネシウムで乾燥させ、エチル2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシ)プロパノエートC3F7CH2OCF2CF2C(O)OCH2CH3(35g、収率95%)を得た。
【0122】
リチウム水素化アルミニウム(2.2g、58mmol)及び無水エーテル(50mL)を250mL丸底フラスコに加えた。混合物を5℃まで冷却し、攪拌した。エチル2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシ)プロパノエート(37g、99mmol)を滴加し、温度を5〜20℃に維持した。次いで、混合物を希塩酸で洗浄し、有機相を分離した。有機相を蒸留によって精製し、2,2,3,3−テトラフルオロ−3−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブトキシ)プロパン−1−オールC3F7CH2OCF2CF2CH2OH(24g、収率74%)を得た。
【0123】
上の実施例において、化合物(c)、Fraction 6 EVEアルコールを以下の工程に従って調製した。
【0124】
ジャケット付きの5LのRBフラスコ中、EVE(約3mol%のHFを含有、750g、1.77モル濃度)を無水ETOH(750mL)に添加し、−3℃まで冷却した。25% NaOMe(約5M/L、0.185mls)を925mlsのEtOHに加え、次いで、NaBH4(41.7g、0.62eq)を攪拌しながら溶解させることによってNaBH4の4.5重量% EtOH溶液を調製し、少量の固体が懸濁物中に残っていた。このNaBH4溶液を、内温を5℃未満に維持しつつ、−10℃のジャケットで2時間かけてEVEに加えた。反応物を5℃未満にさらに1時間維持し(0℃のジャケットで)、少量ワークアップし、EVEが存在しないことを示した。反応物を、60mLの濃HClが入った2.5Lのウェスターに取り出し、30分間攪拌し、相を沈降させた。底部の有機層を抜き取り、濾過して固体を除去し、計量し、890g(理論上697g)であった。GCは、EtOH、EVE−OH及び高沸点の副生成物のピークを示した。EVE−OHと副生成物の比率は90:10であった。NMRは、EtOHとEVE−OHの比率が2:1(モル:モル)であることを示した。
【0125】
生成物を、Propackを充填した30センチメートル×2.5センチメートル(12×1インチ)のカラムを取り付けた1Lの蒸留装置に移した。9kPa(70mmHg)で27〜35の沸点範囲でエタノールを除去し、次いで、69℃/3kPa(20mmHg)で最終的な除去を行った。生成物を69〜74℃/3kPa(20mmHg)で蒸留した。66〜72/1kPa(10mmHg)の最終留分をとったところ、90%EVE−OHを含んでいた。