特許第6646064号(P6646064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6646064チップドレス用切削カッター及びチップドレッサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646064
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】チップドレス用切削カッター及びチップドレッサ
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/30 20060101AFI20200203BHJP
   B23B 5/16 20060101ALI20200203BHJP
   B23C 5/12 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B23K11/30 350
   B23B5/16
   B23C5/12 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-553473(P2017-553473)
(86)(22)【出願日】2015年12月1日
(86)【国際出願番号】JP2015005968
(87)【国際公開番号】WO2017094041
(87)【国際公開日】20170608
【審査請求日】2018年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】591260948
【氏名又は名称】株式会社キョクトー
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】手澤 和宏
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102012008257(DE,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第2738518(FR,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2402110(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第0804986(EP,A1)
【文献】 特開2014−176862(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0014761(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0283645(US,A1)
【文献】 米国特許第4436830(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/30,
B23B 5/00−5/48,
B23C 3/00−5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポット溶接用電極チップの先端部が当該電極チップの中心軸を回転軸心に一致させた状態で嵌合可能な嵌合面部を有する回転体と、
該回転体に取り付けられ、且つ、上記嵌合面部に嵌合した電極チップの先端部の形状に対応するように上記回転体の回転軸心と交差する方向に延びる切刃部を有し、上記電極チップの先端部を上記嵌合面部に嵌合させた状態で上記回転体を回転させた際、上記切刃部が上記電極チップの先端部を切削する切削部材とを備え、
上記嵌合面部は、上記回転体の中央部分に行くにつれて次第に縮径する形状で、且つ、上記電極チップの先端部の湾曲形状に対応する形状をなし、その表面には、上記回転軸心を中心として延びる円弧状の複数の溝部が上記回転軸心に向かって互いに隣り合うよう連続で形成され
上記各溝部は、水平方向に延びる底面部及び垂直方向に延びる側面部からなり、隣り合う2つの上記溝部の一方の底面部と他方の側面部との連続部分は、断面直角で尖鋭な形状をなしており、その各連続部分の全領域が上記嵌合面部に嵌合させた状態の上記電極チップの先端部に接触するよう構成されていることを特徴とするチップドレス用切削カッター。
【請求項2】
請求項1に記載のチップドレス用切削カッターにおいて、
上記嵌合面部の表面には、窒化チタンコーティング層が形成されていることを特徴とするチップドレス用切削カッター。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のチップドレス用切削カッターが取り付けられ、該切削カッターを上記回転軸心周りに回転させる回転駆動手段と、
該回転駆動手段に接続され、上記切削部材が上記嵌合面部に嵌合した状態の上記電極チップの先端部を当該電極チップの中心軸方向に長さLだけ切削するよう上記回転駆動手段に作動信号を出力する切削制御手段とを備え、
上記各溝部における側面部の高さHは、上記長さLより大きな値に設定されていることを特徴とするチップドレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポット溶接用電極チップの先端部を切削するために用いるチップドレス用切削カッター及びその切削カッターを備えたチップドレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スポット溶接に用いる電極チップの先端部は、溶接を所定回数行うと磨耗したり、或いは、酸化皮膜等が付着して状態が悪化するので、チップドレッサを用いて周期的に切削する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているチップドレス用切削カッターは、回転軸心が上下方向に延びる平面視で略C字状のホルダを備えている。該ホルダには、側方に開放するとともに上下方向に延びて上下両側にも開放する切欠凹部が形成され、該切欠凹部の内側面には、水平方向に延びる取付面が形成されている。上記ホルダの上下面には、当該ホルダの中央部分に行くにつれて次第に縮径する一対の嵌合面部が形成され、該各嵌合面部の形状は、ホルダの回転軸心に中心軸を一致させた電極チップの先端部形状に対応している。上記取付面には、上記各嵌合面部の形状に対応する一対の切刃部を有する切削部材が取り付けられ、上記各嵌合面部に電極チップの先端部を嵌合させた状態でホルダを回転軸心周りに回転させることにより、上記切削部材の切刃部が電極チップの先端部を切削するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/061710号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の如き切削カッターを用いて電極チップの先端部を切削する際、電極チップの先端部がその中心軸と交差する方向に嵌合面部に対して滑ると、ホルダの回転軸心に対する電極チップの中心軸がずれてしまって切削部材による切削動作が不安定になってしまう。
【0006】
これを防止するために、電極チップの嵌合面部に対する加圧力を上げて電極チップの先端部と嵌合面部との間の摩擦抵抗を上げることにより、嵌合面部に対して電極チップの先端部をその中心軸と交差する方向に滑り難くすることが考えられる。
【0007】
しかし、電極チップの先端部と嵌合面部との間の摩擦抵抗が上がると、ホルダが電極チップの先端部に対して回転軸心周りに回転し難くなってしまうので、返って切削カッターの切削能力が下がってしまうという問題が発生する。また、電極チップの嵌合面部に対する加圧力を上げると、ホルダを回転させる駆動部分に対して加わる負荷が、回転軸心方向にだけでなく、電極チップの先端部と嵌合面部との間の摩擦抵抗が上がることによって回転軸心周りにも大きくなってしまうので、装置の故障が多くなってメンテナンス回数が増えてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置の故障を少なくしてメンテナンス回数を減らすことができ、しかも、切削動作を安定させることができる切削能力の高いチップドレス用切削カッター及びその切削カッターを備えたチップドレッサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、電極チップの先端部を嵌合させる嵌合面部に複数の溝部を設けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
すなわち、第1の発明では、スポット溶接用電極チップの先端部が当該電極チップの中心軸を回転軸心に一致させた状態で嵌合可能な嵌合面部を有する回転体と、該回転体に取り付けられ、且つ、上記嵌合面部に嵌合した電極チップの先端部の形状に対応するように上記回転体の回転軸心と交差する方向に延びる切刃部を有し、上記電極チップの先端部を上記嵌合面部に嵌合させた状態で上記回転体を回転させた際、上記切刃部が上記電極チップの先端部を切削する切削部材とを備え、上記嵌合面部は、上記回転体の中央部分に行くにつれて次第に縮径する形状で、且つ、上記電極チップの先端部の湾曲形状に対応する形状をなし、その表面には、上記回転軸心を中心として延びる円弧状の複数の溝部が上記回転軸心に向かって互いに隣り合うよう連続で形成され、上記各溝部は、水平方向に延びる底面部及び垂直方向に延びる側面部からなり、隣り合う2つの上記溝部の一方の底面部と他方の側面部との連続部分は、断面直角で尖鋭な形状をなしており、その各連続部分の全領域が上記嵌合面部に嵌合させた状態の上記電極チップの先端部に接触するよう構成されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、上記嵌合面部の表面には、窒化チタンコーティング層が形成されていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明のチップドレス用切削カッターが取り付けられ、該切削カッターを上記回転軸心周りに回転させる回転駆動手段と、該回転駆動手段に接続され、上記切削部材が上記嵌合面部に嵌合した状態の上記電極チップの先端部を当該電極チップの中心軸方向に長さLだけ切削するよう上記回転駆動手段に作動信号を出力する切削制御手段とを備え、上記各溝部における側面部の高さHは、上記長さLより大きな値に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、電極チップの先端部を嵌合面部に嵌合させると、当該嵌合面部における隣り合う溝部の連続部分がそれぞれ電極チップの先端部に接触する。この状態で回転体を回転させると、隣り合う溝部の連続部分が電極チップの先端部に対して中心軸と交差する方向に引っ掛かるとともに、電極チップの先端部に対する回転体の回転を案内するようになる。したがって、切削作業時において、回転体の回転時に電極チップの先端部がその中心軸と交差する方向に嵌合面部に対して滑って回転軸心が電極チップの中心軸からずれるといったことがなくなり、電極チップの嵌合面部に対する加圧力を上げて装置の故障が増えるといったことを避けることができるとともに切削部材の切削動作を安定させることができる。また、電極チップの先端部と嵌合面部との間の接触面積が減り、回転体の回転時における電極チップの先端部に対する切刃部の食い込み量が増えるので、切削カッターの切削能力を高めて効率良く電極チップの先端部を切削することができる。
【0014】
また、嵌合面部に複数の溝部を形成する際、加工が施し易い形状であるので、製造コストを低く抑えることができる。
【0015】
第2の発明では、切削作業時において、嵌合面部を保護して各溝部の変形を防ぐとともに嵌合面部の平滑性が向上するので、切削カッターの切削能力をさらに高めることができる
【0016】
第3の発明では、切削作業が終了するまでの間、切削部材の切刃部が電極チップの先端部に食い込んだときに当該電極チップの先端部が溝部の底面部に接触しなくなる。したがって、切削作業時に電極チップの先端部が溝部の底面部に不規則に接触することによって切削カッターに振動が発生してしまい、切削カッターの切削能力が低下してしまうといったことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るチップドレッサの斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る切削カッターの斜視図である。
図3図1のIII−III線における断面図である。
図4図3のIV−IV線における断面図である。
図5図4の切削カッターと電極チップとの接触部分を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るチップドレッサ1を示す。該チップドレッサ1は、溶接ガン(図示せず)のシャンクに嵌め込まれて対向する一対の電極チップ2(図3参照)の先端部2aをそれぞれ切削するためのものであり、水平方向に延びる板状ケース部1aと、該板状ケース部1aの長手方向一方側下方に設けられた筒中心線方向が上下方向に向く円筒状のモータケース部1bと、該モータケース部1bの側面に取り付けられ、上記板状ケース部1a及び上記モータケース部1bに加わる上下方向の衝撃を吸収する衝撃吸収機構部1cとを備え、上記モータケース部1bの内部には、回転軸が上方に向かって延びる駆動モータ8が収容されている。
【0020】
上記板状ケース部1aにおける長手方向他方側の上面及び下面には、図3に示すように、互いに対向する円形状をなす一対の貫通孔1dが形成されている。
【0021】
上記板状ケース部1a内部の上記両貫通孔1dの間には、リング状をなす出力歯車3が上下一対のベアリングBe1を介して上下方向に延びる回転軸心C1周りに回転可能に取り付けられている。
【0022】
上記出力歯車3は、上記駆動モータ8とで本発明の回転駆動手段9を構成していて、上記駆動モータ8の回転駆動により、上記駆動モータ8と出力歯車3との間に設けられた歯車噛合機構(図示せず)を介して回転軸心C1周りに回転するようになっている。
【0023】
上記出力歯車3の中央には、上下に貫通する取付用孔3aが設けられ、該取付用孔3aには、上記電極チップ2の先端部2aを切削するための金属製切削カッター4が装着されている。
【0024】
該切削カッター4は、図2に示すように、側面視で略T字状をなすホルダ5と、該ホルダ5に着脱可能に取り付けられる略三角形板状の切削部材6とを備えている。
【0025】
上記ホルダ5は、平面視で略C字状をなし、上下方向に延びる短い柱状のホルダ本体51を備え、該ホルダ本体51には、側方に開放するとともに上下に亘って延びて上下両端にも開放する平面視で略扇状の切欠凹部51aが形成されている。
【0026】
上記ホルダ本体51の上下面には、当該ホルダ本体51の中央部分に行くにつれて次第に縮径する一対の嵌合面部52が回転軸心方向に対称に形成されている。
【0027】
該各嵌合面部52の形状は、上記電極チップ2の先端部2aの湾曲形状に対応していて、上記電極チップ2の中心軸が回転軸心C1に一致した状態で上記電極チップ2の先端部2aが嵌合するようになっている。
【0028】
上記嵌合面部52には、上記回転軸心C1を中心として延びる円弧状の複数の溝部52aが回転軸心C1に向かって互いに隣り合うよう連続で形成されている。
【0029】
該各溝部52aは、図4及び図5に示すように、水平方向に延びる底面部52b及び垂直方向に延びる側面部52cからなり、上記嵌合面部52の表面は、上記各溝部52aによって階段状となっている。
【0030】
上記各溝部52aにおける側面部52cの高さHは、図5に示すように、後述する切削長さLより大きな値に設定されている。
【0031】
また、上記嵌合面部52の表面には、窒化チタンコーティング層が形成されている。尚、窒化チタンコーティング層は、その厚みが非常に薄いため、便宜上、図面には記載していない。
【0032】
上記ホルダ本体51の上部には、当該ホルダ本体51の上端周縁から外側方に延びるフランジ53が設けられている。
【0033】
上記切欠凹部51aの上記回転軸心C1から外側方に延びる内側面には、段差状に窪む取付段差部51bが形成されている。
【0034】
該取付段差部51bは、上記切削部材6に対応する形状をなしていて、上記取付段差部51bには、上記切削部材6がその板厚方向を上記ホルダ5の回転方向に一致させた姿勢でネジSc1によって取り付けられるようになっている。
【0035】
上記切削部材6の上記回転軸心C1から遠い側の上部及び下部には、側面視で矩形に切り欠かれた形状の位置決め凹部6aが一対形成されている。
【0036】
上記切削部材6の上記回転軸心C1に近い側の上縁部及び下縁部には、一対の切刃部6bが形成され、該切刃部6bは、上記切削部材6を上記取付段差部51bに取り付けた状態で上記嵌合面部52に対応する湾曲形状をなしている。
【0037】
すなわち、上記各切刃部6bは、上記嵌合面部52に嵌合した状態の電極チップ2の先端部2aの形状に対応するように上記回転軸心C1と交差する方向に延びている。
【0038】
上記モータケース部1bに収容された駆動モータ8には、図1に示すように、制御盤7(切削制御手段)が接続されている。
【0039】
該制御盤7は、上記電極チップ2の先端部2aを上記嵌合面部52に嵌合させた状態で上記駆動モータ8に作動信号を出力して上記出力歯車3を回転させることにより、上記切削カッター4を回転軸心C1周りに回転させるようになっている。そして、上記切刃部6bが上記電極チップ2の先端部2aを当該電極チップ2の中心軸方向に切削長さLだけ切削するようになっている。
【0040】
次に、上記チップドレッサ1を用いて電極チップ2の先端部2aを切削する作業について説明する。
【0041】
まず、先端部2aの状態が悪い一対の電極チップ2を上記チップドレッサ1の板状ケース部1aの上方及び下方にそれぞれ移動させるとともに、両電極チップ2の中心軸を回転軸心C1に一致させる。
【0042】
次いで、上記チップドレッサ1の駆動モータ8を回転駆動させて上記切削カッター4を回転軸心C1周りに回転させる。
【0043】
しかる後、各電極チップ2をホルダ5の各嵌合面部52に回転軸心C1に沿って接近させ、各嵌合面部52に各電極チップ2の先端部2aを嵌合させる。すると、図3乃至図5に示すように、嵌合面部52における隣り合う溝部52aの連続部分がそれぞれ電極チップ2の先端部2aに対して中心軸と交差する方向に引っ掛かるとともに、電極チップ2の先端部2aに対する回転体の回転を案内するようになる。そして、切削部材6の各切刃部6bが各電極チップ2の先端部2aに接触して当該先端部2aが切削される。したがって、切削作業時において、ホルダ5の回転時に電極チップ2の先端部2aが当該電極チップ2の中心軸と交差する方向に嵌合面部52に対して滑って回転軸心C1が電極チップ2の中心軸からずれるといったことがなくなり、電極チップ2の嵌合面部52に対する加圧力を上げて装置の故障が増えるといったことを避けることができるとともに切削部材6の切削動作を安定させることができる。
【0044】
また、電極チップ2の先端部2aと嵌合面部52との間の接触面積が減り、ホルダ5の回転時における電極チップ2の先端部2aに対する切刃部6bの食い込み量が増えるので、切削カッター4の切削能力を高めて効率良く電極チップ2の先端部2aを切削することができる。
【0045】
また、嵌合面部52の表面には、窒化チタンコーティング層が形成されているので、切削作業時において、窒化チタンコーティング層が嵌合面部52の表面を保護して各溝部52aの変形を防ぐとともに嵌合面部52表面の平滑性が向上するようになり、切削カッター4の切削能力をさらに高めることができる。
【0046】
さらに、上記各溝部52aは、水平方向に延びる底面部52b及び垂直方向に延びる側面部52cからなるので、嵌合面部52に複数の溝部52aを形成する際、加工が施し易く製造コストを低く抑えることができる。
【0047】
それに加えて、各溝部52aにおける側面部52cの高さHは、図5に示すように、上記切削長さLより大きな値に設定されているので、切削作業が終了するまでの間、切削部材6の切刃部6bが電極チップ2の先端部2aに食い込んだときに当該電極チップ2の先端部2aが溝部52aの底面部52bに接触しなくなる。したがって、切削作業時に電極チップ2の先端部2aが溝部52aの底面部52bに不規則に接触することによって切削カッター4に振動が発生してしまい、切削カッター4の切削能力が低下してしまうといったことを防ぐことができる。
【0048】
尚、本発明の実施形態の嵌合面部52に形成した各溝部52aは、水平方向に延びる底面部52b及び垂直方向に延びる側面部52cからなっているが、底面部52b及び側面部52cの延びる方向がその他の方向に延びる形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、スポット溶接用電極チップの先端部を切削するために用いるチップドレス用切削カッター及びその切削カッターを備えたチップドレッサに適している。
【符号の説明】
【0050】
1 チップドレッサ
2 電極チップ
2a 先端部
4 切削カッター
5 ホルダ(回転体)
6 切削部材
6b 切刃部
7 制御部(切削制御手段)
9 回転駆動手段
52 嵌合面部
52a 溝部
52b 底面部
52c 側面部
図1
図2
図3
図4
図5