(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646074
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】積層材の加工方法
(51)【国際特許分類】
B21D 28/02 20060101AFI20200203BHJP
B21D 39/03 20060101ALI20200203BHJP
B21D 43/04 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
B21D28/02 Z
B21D39/03 B
B21D43/04 B
B21D28/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-563455(P2017-563455)
(86)(22)【出願日】2016年1月27日
(86)【国際出願番号】JP2016052329
(87)【国際公開番号】WO2017130324
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2018年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】橋本 彰博
(72)【発明者】
【氏名】飯田 忠
(72)【発明者】
【氏名】泉 雅宏
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−190570(JP,A)
【文献】
特開2003−289635(JP,A)
【文献】
特開2015−171288(JP,A)
【文献】
特開2013−5692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/02
B21D 39/03
B21D 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねて配置した複数枚の薄板材に、平面視して向きが異なる複数のかしめ部を有するかしめ群を、前記薄板材の幅方向両側にそれぞれ形成し、重ねた状態の前記薄板材の位置を固定した後、前記かしめ群を構成する隣り合うかしめ部の間に形成されたパイロット孔で位置決めされた前記薄板材に対して、予め設定した打ち抜き加工を行うことを特徴とする積層材の加工方法。
【請求項2】
請求項1記載の積層材の加工方法において、前記薄板材の幅方向両側の前記かしめ群の形成位置を、該薄板材の幅方向の中心位置に対して対称の位置とすることを特徴とする積層材の加工方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の積層材の加工方法において、更に、前記かしめ群を、前記薄板材の幅方向中央部に形成することを特徴とする積層材の加工方法。
【請求項4】
重ねて配置した複数枚の薄板材に、平面視して向きが異なる複数のかしめ部を有するかしめ群を、前記薄板材の幅方向中央部で、前記打ち抜き加工によって廃棄される領域、又は、前記打ち抜き加工後に残材となる領域に、形成し、重ねた状態の前記薄板材の位置を固定した後、パイロット孔で位置決めされた前記薄板材に対して、予め設定した打ち抜き加工を行うことを特徴とする積層材の加工方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層材の加工方法において、前記かしめ群は対となる前記かしめ部で構成され、一方の前記かしめ部の向きを、前記薄板材の送り方向とし、他方の前記かしめ部の向きを、前記薄板材の送り方向に直交する方向とすることを特徴とする積層材の加工方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層材の加工方法において、前記かしめ部を、平面視して矩形状に形成し、しかも、該かしめ部の対向する短辺の一辺を前記薄板材から切り離し、他辺を前記薄板材に対し折り曲げて形成することを特徴とする積層材の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ねて配置した複数枚の薄板材に対して打ち抜き加工を行う積層材の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層鉄心の製造においては、生産性の向上を図る目的から、磁性鋼板である薄板鋼板(薄板材)を複数重ねた状態で、打ち抜き加工して積層鉄心を得る方法が、従来から提案されている。
例えば、2枚の薄板材を重ねて打ち抜き加工する場合、重ねた2枚の薄板材を、互いにずれないようにして金型装置(打ち抜き装置)内に送っている。具体的には、重ねた薄板材に対し、送り方向に一定の距離だけ離間した位置にかしめ又はスポット溶接を施して、薄板材同士を接合する方法(例えば、特許文献1参照)や、薄板材の片側端面を溶接して一体化する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。なお、一般的には、生産性の向上と設備等のコスト削減の事情から、かしめによる接合が広く採用されている。
【0003】
ところで、通常、薄板材を金型装置で打ち抜き形成する際には、
図3(A)、(B)に示すように、薄板材70を金型装置71の加工位置に正確に位置決めするため、薄板材70にパイロット孔72を形成し、このパイロット孔72に金型装置71のパイロットピン73を嵌入させて、薄板材70の位置決めを行うと共に打ち抜き加工を行っている。そして、打ち抜き加工が終了すると、上型74を上昇させると共にパイロットピン73を上昇させて、パイロット孔72からパイロットピン73を脱孔して、薄板材70を次の打ち抜きステーションに送っている。なお、
図3(A)、(B)中の番号75はダイが固定された下型を、mはセンターライン(中心線)を、それぞれ示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭52−39880号公報
【特許文献2】特開2005−348456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、
図4(A)〜(C)に示すように、重ねた2枚の薄板材70の幅方向両側の端部近傍をかしめ76で接合する場合、かしめ76の形成位置や形状によっては、薄板材70の送り方向で2枚の薄板材70がずれを起こすことがあるため、2枚の薄板材70にそれぞれ形成されたパイロット孔72の中心位置もずれてしまう。
このため、パイロット孔72へパイロットピン73を挿入して位置決めする際に、パイロット孔72の周辺を変形させたり、また、パイロット孔72からパイロットピン73を脱孔する際にも、パイロットピン73が抜け難くなっていると、これを強引に引き抜くことによってパイロット孔72の周辺を変形させたりするという問題が発生する。
このように、パイロット孔72の周辺が変形すると、以降の工程において、パイロット孔72を用いる位置決め精度が著しく低下するという問題があった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、重ねて配置した複数枚の薄板材に対して打ち抜き加工を行う際に、薄板材同士のずれを防止することで、パイロットピンによってパイロット孔の周辺を変形させることなく、精度の高い打ち抜き加工を行うことができる積層材の加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う
第1の発明に係る積層材の加工方法は、重ねて配置した複数枚の薄板材に、平面視して向きが異なる複数のかしめ部を有するかしめ群を
、前記薄板材の幅方向両側にそれぞれ形成し、重ねた状態の前記薄板材の位置を固定した後、
前記かしめ群を構成する隣り合うかしめ部の間に形成されたパイロット孔で位置決めされた前記薄板材に対して、予め設定した打ち抜き加工を行う。
【0008】
ここで、前記薄板材の幅方向両側の前記かしめ群の形成位置を、該薄板材の幅方向の中心位置に対して対称の位置とするのがよい。
【0009】
第1の発明に係る積層材の加工方法において、更に、前記かしめ群を、前記薄板材の幅方向中央部に形成することが好ましい。なお、薄板材の幅方向中央部とは、完全に幅方向の中央位置である必要はなく、略中央(幅方向両端部を除いた部分)であればよい。
前記目的に沿う第2の発明に係る積層材の加工方法は、重ねて配置した複数枚の薄板材に、平面視して向きが異なる複数のかしめ部を有するかしめ群を、前記薄板材の幅方向中央部
で、前記打ち抜き加工によって廃棄される領域、又は、前記打ち抜き加工後に残材となる領域に、形成す
る。
【0010】
第1又は第2の発明に係る積層材の加工方法において、前記かしめ群は対となる前記かしめ部で構成され、一方の前記かしめ部の向きを、前記薄板材の送り方向とし、他方の前記かしめ部の向きを、前記薄板材の送り方向に直交する方向とするのがよい。
【0011】
第1又は第2の発明に係る積層材の加工方法において、前記かしめ部を、平面視して矩形状に形成し、しかも、該かしめ部の対向する短辺の一辺を前記薄板材から切り離し、他辺を前記薄板材に対し折り曲げて形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
第1、第2の発明に係る積層材の加工方法は、重ねて配置した複数枚の薄板材に、向きが異なる複数のかしめ部を有するかしめ群を形成するので、重ねた状態の薄板材の位置を固定できる。これにより、薄板材同士がずれることがないため、各薄板材に形成されたパイロット孔の中心位置も常に一致する。
従って、パイロットピンをパイロット孔へ挿入する際、あるいは、パイロット孔からパイロットピンを脱孔する際にも、パイロット孔の周辺を変形させることがなく、パイロット孔の位置決め精度に優れ、ひいては、薄板材を高精度に打ち抜き加工できる。
【0013】
更に、かしめ群を、薄板材の幅方向中央部に形成する場合、例えば、重ねた薄板材同士のずれが発生し易い幅広の薄板材でも、ずれの発生を防止できる。
ここで、薄板材の幅方向中央部のかしめ群を、打ち抜き加工によって廃棄される領域、又は、打ち抜き加工後に残材となる領域に、形成することで、かしめ群を形成するための場所を新たに確保する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施例に係る積層材の加工方法の説明図である。
【
図2】(A)〜(C)はそれぞれ変形例に係るかしめ部の説明図である。
【
図3】(A)はパイロット孔へのパイロットピンの嵌入状態を示す説明図、(B)はパイロット孔からのパイロットピンの脱孔状態を示す説明図である。
【
図4】(A)は重ねた2枚の薄板材の接合状態を示す斜視図、(B)は接合部分のかしめの平面図、(C)は(B)の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施例に係る積層材の加工方法は、重ねて配置した複数枚の薄板材10(積層材を構成)に対して打ち抜き加工を行う際に、薄板材10同士のずれを防止することで、位置決め用のパイロット孔12の周辺をパイロットピン11によって変形させることなく、精度の高い打ち抜き加工を行うことができる方法である。
【0016】
以下、本実施例に係る積層材の加工方法を、積層鉄心の製造に適用した場合について説明する。なお、積層鉄心は、回転子(ロータ)と固定子(ステータ)のいずれでもよい。
ここで、積層鉄心の製造に使用する薄板材10は、厚みが、例えば、0.10〜0.5mm(ここでは、0.25mm)程度の電磁鋼板からなる条材である。この薄板材10の積層枚数は2枚であるが、薄板材の厚み等に応じて(薄い場合は)、例えば、3枚以上にすることも可能である。
【0017】
まず、かしめ部形成工程について説明する。
この工程では、重ねて配置した複数枚の薄板材10にかしめ群13を形成する。
かしめ群13は、対となるかしめ部14、15で構成されている。この各かしめ部14、15は切曲げ(片切りや片曲げともいう)加工により形成されるが、例えば、台形、V形、丸平等の従来使用されている様々な形状のものでもよい。なお、切曲げ加工は、平面視して矩形状に形成する加工であり、対向する短辺の一辺16を薄板材10から切り離し、他辺17を薄板材10に対し折り曲げて形成したものである。また、折り曲げの傾斜角度は、薄板材10の表面に対して、例えば、20〜45度である。
【0018】
この対となるかしめ部14、15は、向きが異なっている。
ここで、向きが異なるとは、かしめ部14、15の長辺18の向き(方向)を、平面視して異なる向き(交差する向き)とすることを意味する。
通常かしめ部は、一方の薄板材に形成したかしめ部が、他方の薄板材に向けて突出することにより、重ねた薄板材同士がずれないようにするものである。しかし、かしめ部が1つの場合、かしめ部の向きに沿って薄板材同士にずれが発生し易くなる。
そこで、上記したように、かしめ部の向きを異ならせることで、かしめ部14とかしめ部15の相乗効果により、重ねた状態の薄板材10の位置を固定できる(ずれを発生させない状態にできる)。
【0019】
かしめ群13は、かしめ部14、15を一組(1セット)として、薄板材10の幅方向両側にそれぞれ形成されている。これらかしめ群13の形成位置は、薄板材10の幅方向の中心位置(中心線m)に対して対称の位置としているが、非対称の位置でもよい。
特に、ここでは、かしめ群13を構成する、隣り合うかしめ部14とかしめ部15との間に、後述するパイロット孔形成工程で形成するパイロット孔12の形成予定位置19が設定されるようにする。これにより、2枚の薄板材10にそれぞれ形成されるパイロット孔12の中心位置のずれを、より効果的に防止できる。
【0020】
なお、パイロット孔12(形成予定位置19)に対する各かしめ部14、15の形成位置は、一方のかしめ部14が、薄板材10の送り方向上流側であり、他方のかしめ部15が、薄板材10の送り方向下流側である。
また、一方のかしめ部14の向き(長辺18の向き)を、薄板材10の送り方向(薄板材10の長さ方向)とし、他方のかしめ部15の向きを、薄板材10の送り方向に直交する方向(薄板材10の幅方向)としている。
【0021】
更に、薄板材の幅方向両側に形成される2つのかしめ部14は、薄板材10の送り方向で対向する短辺について、一辺16(切り離した部分)と他辺17(折り曲げた部分)の位置が逆位置となっている(切り離し位置と折り曲げ位置が異なっている)が、同じ位置でもよい。
また、薄板材の幅方向両側に形成される2つのかしめ部15においても、薄板材10の幅方向で対向する短辺について、一辺16と他辺17の位置が逆位置となっているが、同じ位置でもよい。
【0022】
なお、かしめ群13を構成するかしめ部14、15は、上記の構成に限定されるものではなく、例えば、
図2(A)〜(C)に示す構成とすることもできる。
図2(A)に示すかしめ部14、15は、上記した一方のかしめ部14の向きを、薄板材10の幅方向とし、他方のかしめ部15の向きを、薄板材10の送り方向とした(
図1に記載のかしめ部14とかしめ部15の形成位置を入れ替えた)ものである。なお、対となるかしめ部14、15(即ち、かしめ群13)は、薄板材10の幅方向の中心線mに対して対称に形成されている。
【0023】
また、
図2(B)に示すかしめ部14、15は、上記した一方のかしめ部14の向きを、薄板材10の送り方向に対して傾斜させ、他方のかしめ部15の向きを、薄板材10の幅方向に対して傾斜させたものである。なお、対となるかしめ部14、15(即ち、かしめ群13)は、薄板材10の幅方向の中心線mに対して対称に形成されている。
そして、
図2(C)に示すかしめ部14は、
図2(B)に示すかしめ部14の傾斜方向を更に大きくしたものである。なお、対となるかしめ部14、15(即ち、かしめ群13)は、薄板材10の幅方向の中心線に対して非対称に形成されている。
【0024】
更に、上記したかしめ群を、薄板材の幅方向中央部にも形成することができる。これにより、幅広(幅が、例えば、50cm以上、更には100cm以上)の薄板材に対して、より効果的にずれの発生を防止できる。
また、上記したように、薄板材の幅方向中央部にかしめ群を形成する場合は、後述する打ち抜き加工によって廃棄される領域(スクラップ領域)に、又は、打ち抜き加工後に残材となる領域(残材領域)に、形成することが好ましい。これにより、かしめ群を形成するための場所を新たに確保する必要がなく、薄板材を無駄なく利用できる。
【0025】
以上の方法で、重ねて配置した複数枚の薄板材10に対してかしめ部14、15を形成した後は、この薄板材10を、
図1に示すように、パイロット孔形成工程へ送る。
この工程では、かしめ部14、15により、複数枚の薄板材10同士の位置を固定した状態で、パイロット孔12の形成予定位置19に、パイロット孔12を形成する。
そして、図示しない金型装置により、パイロット孔12へのパイロットピン11の挿入と、パイロット孔12からのパイロットピン11の脱孔を繰り返し行いながら、パイロット孔12で位置決めされた薄板材10に対して、以下に示す予め設定した打ち抜き加工を行う。
【0026】
まず、スロット形成工程で、スロット20の形成(打ち抜き)を行う。
次に、製品かしめ孔形成工程で、かしめ孔21の形成(打ち抜き)を行う。また、かしめ孔21の形成を行わない場合は、製品かしめ突起形成工程で、かしめ突起22の形成を行う。
そして、内形抜き工程で、内形抜きを行った後、外形抜き工程で、鉄心片23の打ち抜きを行うと共に、この鉄心片23を複数枚積層することで、積層鉄心を製造できる。
なお、かしめ群を薄板材の幅方向中央部に形成する場合は、かしめ群を、上記したスロットの形成領域や内形抜きの領域に形成することが好ましい。ただし、打ち抜き加工によって廃棄される領域(スクラップ領域)にかしめ群を形成した場合、打ち抜き領域が打ち抜かれた以降の工程で、重ねた薄板材にずれが生じる可能性もある。そのような場合は、薄板材の幅方向中央付近(略中央)で、かつ、外形抜き工程の終了後に残存する薄板材(即ち、打ち抜き加工後に残材となる領域)に、かしめ群を形成することにより、外形抜き工程まで確実に、薄板材同士のずれを防止することができる。
【0027】
これにより、複数枚の薄板材10にそれぞれ形成されたパイロット孔12の中心位置のずれを防止できるため、パイロットピン11をパイロット孔12へ挿入する際に、また、パイロット孔12からパイロットピン11を脱孔する際に、パイロット孔12の変形を防止できる。
従って、パイロット孔12の位置決め精度に優れ、薄板材10を高精度に打ち抜き加工できる。
【0028】
以上、本発明を、実施例を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施例に記載の構成に限定されるものではなく、請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施例や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施例や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の積層材の加工方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施例においては、本発明の積層材の加工方法を用いて、積層鉄心を加工する場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、重ねて配置した複数枚の薄板材に対して金型装置で打ち抜き加工する場合であれば、適用可能である。この場合、重ねる薄板材の枚数、薄板材の厚みや幅等は、適用用途に応じて種々変更できる。
【0029】
また、前記実施例においては、薄板材を複数枚重ねた状態で、かしめ部形成工程とパイロット孔形成工程を、順次行った場合について説明したが、かしめ部形成工程は、パイロット孔形成工程と同時に行うこともでき、また、パイロット孔形成工程を行った後(直後)に行うこともできる。
更に、前記実施例においては、かしめ群を、対となるかしめ部で構成した場合について説明したが、3つ以上の複数のかしめ部で構成することもできる。この場合、少なくとも2つ(全部でもよい)のかしめ部について、向きが異なっていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
重ねて配置した複数枚の薄板材に、向きが異なるかしめ部を有するかしめ群を形成して、薄板材の位置を固定した後、パイロット孔で位置決めされた薄板材に対して、打ち抜き加工を行うので、重合された薄板材のずれ等を防止でき、精度の高い積層材(ロータ又はステータ)を得ることができる。
【符号の説明】
【0031】
10:薄板材、11:パイロットピン、12:パイロット孔、13:かしめ群、14、15:かしめ部、16:一辺、17:他辺、18:長辺、19:形成予定位置、20:スロット、21:かしめ孔、22:かしめ突起、23:鉄心片