(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多孔質炭素材料の、X線回折による回折ピーク(10X)(38°〜49°)の半値幅(2θ)が、4.3°以上5.5°以下である請求項1から4のいずれかに記載の合成反応用触媒。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(多孔質炭素材料)
本発明の多孔質炭素材料は、0.4g/ccの充填密度において、比抵抗値が、10Ω・cm以上10,000Ω・cm以下である。
【0013】
本発明者らは、2つ以上の水素化還元可能な基を有する化合物の選択的な水素化還元反応に有用な触媒、及びその担体について鋭意検討を行った。
その結果、触媒の担体である多孔質炭素材料において、0.4g/ccの充填密度における比抵抗値を10Ω・cm以上10,000Ω・cm以下とすることにより、当該多孔質炭素材料を用いた担持触媒において、選択的な水素化還元反応が可能であることを見出し本発明の完成に至った。
【0014】
具体的には、本発明者らは、比抵抗値を変えた多孔質炭素材料を用いてパラジウム担持触媒を調製し、当該触媒を用いて、4−クロロスチレンの水素化還元反応を行った。
なお、4−クロロスチレンは、2つ以上の水素化還元可能な基を有する化合物の選択的水素化還元反応における触媒の選択性を確認するためのモデル化合物としての位置づけで用いられた。
4−クロロスチレンの水素化還元反応では、ベンゼン環に結合するビニル基の水素化還元反応と、4−クロロ基の水素化還元反応とが起こる。ベンゼン環に結合するビニル基の水素化還元反応のほうが、4−クロロ基の水素化還元反応よりも起こりやすい。そのため、4−クロロスチレンの水素化還元反応では、1−クロロ−4−エチルベンゼンと、エチルベンゼンとが主に合成される。ここで、選択性が低いと、1−クロロ−4−エチルベンゼンを合成したい場合でも、副生成物としてエチルベンゼンがかなりの量で合成される。
本発明者らは、多孔質炭素材料の比抵抗値を特定の範囲とすることで、上記水素化還元反応における選択性を向上できることを見出した。
【0015】
<比抵抗値>
前記多孔質炭素材料は、0.4g/ccの充填密度において、比抵抗値が、10Ω・cm以上10,000Ω・cm以下であり、10Ω・cm以上1,000Ω・cm以下であることが好ましい。
前記比抵抗値が、10Ω・cm未満であると、前記多孔質炭素材料を用いた担持触媒において、水素化還元反応の選択性が低下する。前記比抵抗値が、10,000Ω・cmを超えると、前記多孔質炭素材料を用いた担持触媒において、水素化還元反応の反応率が低下する。
【0016】
前記比抵抗値は、例えば、以下の方法で測定することができる。
直径9.0mm×長さ17mmのアクリル製の円筒に、多孔質炭素材料を充填密度が0.4g/ccになるように充填する。そして、円筒の長さ方向の両端に取り付けた電極にデジタル・マルチメータ(岩崎通信機株式会社製、VOAC7412)を接続して測定する。
ここで、多孔質炭素材料の充填密度を0.4g/ccとしたのは、多孔質炭素材料を適度に充填した場合に、密度が0.4g/ccであったためである。
【0017】
<半値幅>
前記多孔質炭素材料において、X線回折による回折ピーク(10X)(38°〜49°)の半値幅(2θ)は、4.3°以上5.5°以下が好ましい。
【0018】
ここで、「10X」とは、黒鉛における101面近傍に見られる疑似ピークを意味する。
【0019】
前記X線回折測定、及び半値幅の測定は、公知のX線回折装置により行うことができ、例えば、PANalytical社製のPHILIPS X’Pertにより行うことができる。
【0020】
前記半値幅(2θ)は、例えば、多孔質炭素材料の熱処理の有無により調整することができる。
【0021】
<孔容積>
前記多孔質炭素材料は、細孔(ポア)を多く有している。細孔は、メソ孔、マイクロ孔、マクロ孔に分類される。ここで、メソ孔は孔径が2nm〜50nmの細孔をいい、マイクロ孔は孔径が2nmよりも小さい細孔をいい、マクロ孔は孔径が50nmよりも大きい細孔をいう。
【0022】
<<メソ孔容積>>
前記メソ孔容積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.15cm
3/g以上1.00cm
3/g以下が好ましく、0.20cm
3/g以上0.60cm
3/g以下がより好ましく、0.20cm
3/g以上0.50cm
3/g以下が特に好ましい。
【0023】
前記メソ孔容積は、例えば、以下の装置を使用して測定することができる。
マイクロメリテックスジャパン合同会社製の3Flexを使用して、窒素吸着等温線を測定し、BJH法で算出することができる。
前記BJH法は、細孔分布解析法として広く用いられている方法である。BJH法に基づき細孔分布解析をする場合、先ず、多孔質炭素材料に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより、脱着等温線を求める。そして、求められた脱着等温線に基づき、細孔が吸着分子(例えば窒素)によって満たされた状態から吸着分子が段階的に着脱する際の吸着層の厚さ、及び、その際に生じた孔の内径(コア半径の2倍)を求め、下記式(1)に基づき細孔半径r
pを算出し、下記式(2)に基づき細孔容積を算出する。そして、細孔半径及び細孔容積から細孔径(2r
p)に対する細孔容積変化率(dV
p/dr
p)をプロットすることにより細孔分布曲線が得られる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第85頁〜第88頁参照)。
【0024】
r
p=t+r
k (1)
V
pn=R
n・dV
n−R
n・dt
n・c・ΣA
pj (2)
但し、R
n=r
pn2/(r
kn−1+dt
n)
2 (3)
【0025】
ここで、
r
p:細孔半径
r
k:細孔半径r
pの細孔の内壁にその圧力において厚さtの吸着層が吸着した場合のコア半径(内径/2)
V
pn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔容積
dV
n:そのときの変化量
dt
n:窒素の第n回目の着脱が生じたときの吸着層の厚さt
nの変化量
r
kn:その時のコア半径
c:固定値
r
pn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔半径
である。また、ΣA
pjは、j=1からj=n−1までの細孔の壁面の面積の積算値を表す。
【0026】
[メソ孔容積の具体的な測定方法]
多孔質炭素材料を30mg用意し、相対圧(P/P0)0.0000001から0.995の範囲を測定する条件に設定した3FLEXを使用して、メソ孔容積を測定することができる。
【0027】
<多孔質炭素材料の原材料>
前記多孔質炭素材料の原材料は、植物由来の材料であることが好ましい。即ち、前記多孔質炭素材料は、植物由来であることが好ましい。植物由来であると、メソ孔容積値を上記所望の値に調整することが容易となる。また、環境負荷が少ない点でも、植物由来とする利点がある。
【0028】
前記植物由来の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、米(稲)、大麦、小麦、ライ麦、稗(ヒエ)、粟(アワ)等の籾殻や藁、あるいは、葦、茎ワカメを挙げることができる。更には、例えば、陸上に植生する維管束植物、シダ植物、コケ植物、藻類、海草を挙げることができる。尚、これらの材料を、原料として、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。また、植物由来の材料の形状や形態も特に限定はなく、例えば、籾殻や藁そのものでもよいし、あるいは乾燥処理品でもよい。更には、ビールや洋酒等の飲食品加工において、発酵処理、焙煎処理、抽出処理等の種々の処理を施されたものを使用することもできる。特に、産業廃棄物の資源化を図るという観点から、脱穀等の加工後の藁や籾殻を使用することが好ましい。これらの加工後の藁や籾殻は、例えば、農業協同組合や酒類製造会社、食品会社から、大量、且つ、容易に入手することができる。
【0029】
前記多孔質炭素材料の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、吸着剤、触媒用の担体などが挙げられる。これらの中でも、前記多孔質炭素材料は、触媒用の担体として好適に用いることができる。
【0030】
前記多孔質炭素材料の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する多孔質炭素材料の製造方法が好ましい。
【0031】
(多孔質炭素材料の製造方法)
本発明の多孔質炭素材料の製造方法の一例では、ケイ素成分を含む原材料から、前記ケイ素成分を酸処理又はアルカリ処理により取り除いた後、炭化処理を行う。即ち、多孔質炭素材料の製造方法の一例では、ケイ素成分除去素処理と、炭化処理とをこの順で含む。
【0032】
本発明の多孔質炭素材料の製造方法は、例えば、ケイ素成分除去処理と、炭化処理とを含み、好ましくは賦活処理を含み、更に必要に応じて、熱処理などのその他の処理を含む。
【0033】
前記多孔質炭素材料の前記比抵抗値は、前記炭化処理、前記賦活処理、前記熱処理などの条件を適宜変更することで調整することができる。
【0034】
前記多孔質炭素材料の製造方法は、本発明の前記多孔質炭素材料を製造する方法である。
【0035】
<ケイ素成分除去処理>
前記ケイ素成分除去処理としては、ケイ素成分を含む原材料から、前記ケイ素成分を酸処理又はアルカリ処理により取り除く処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸水溶液又はアルカリ水溶液に前記原材料を浸漬する方法などが挙げられる。
【0036】
前記ケイ素成分を含む原材料としては、例えば、前述の多孔質炭素材料の原材料などが挙げられる。
【0037】
前記ケイ素成分除去処理を経ることにより、炭化処理、賦活処理において、メソ孔容積、マイクロ孔容積が調整しやすくなる。
【0038】
<炭化処理>
前記炭化処理としては、ケイ素成分除去処理が行われた原材料を炭化(炭素化)し、炭化物(炭素質物質)を得る処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記炭化(炭素化)とは、一般に、有機物質(本発明においては、例えば、植物由来の材料)を熱処理して炭素質物質に変換することを意味する(例えば、JIS M0104−1984参照)。尚、炭素化のための雰囲気として、酸素を遮断した雰囲気を挙げることができ、具体的には、真空雰囲気、窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガス雰囲気を挙げることができる。炭素化温度に至るまでの昇温速度として、係る雰囲気下、1℃/分以上、好ましくは3℃/分以上、より好ましくは5℃/分以上を挙げることができる。また、炭素化時間の上限として、10時間、好ましくは7時間、より好ましくは5時間を挙げることができるが、これに限定されるものではない。炭素化時間の下限は、前記原材料が確実に炭素化される時間とすればよい。
【0039】
前記炭化処理の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、600℃以上が好ましく、600℃以上1,000℃以下がより好ましい。
【0040】
<賦活処理>
前記賦活処理としては、前記炭化物を賦活する処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガス賦活法、薬品賦活法などが挙げられる。
ここで、賦活とは、炭素材料の細孔構造を発達させ、細孔を付加することをいう。
【0041】
前記ガス賦活法とは、賦活剤として酸素や水蒸気、炭酸ガス、空気等を用い、係るガス雰囲気下、例えば、700℃以上1,000℃以下にて、数十分〜数時間、前記炭化物を加熱することにより、前記炭化物中の揮発成分や炭素分子により微細構造を発達させる方法である。尚、加熱温度は、植物由来の材料の種類、ガスの種類や濃度等に基づき、適宜、選択すればよいが、好ましくは、750℃以上1,000℃以下である。
前記薬品賦活法とは、ガス賦活法で用いられる酸素や水蒸気の替わりに、塩化亜鉛、塩化鉄、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸等を用いて賦活させ、塩酸で洗浄、アルカリ性水溶液でpHを調整し、乾燥させる方法である。
【0042】
前記賦活処理の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5時間以上20時間以下が好ましく、1時間以上10時間以下がより好ましい。
【0043】
<熱処理>
前記熱処理としては、前記賦活処理の後の前記炭化物を加熱する処理であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。この処理により、前記炭化物の炭素密度を上げることができ、製造される前記多孔質炭素材料の電気伝導性を向上させることができる。
【0044】
前記熱処理の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1,200℃以上であってもよいし、1,200℃以上2,800℃以下であってもよいし、1,200℃以上2,700℃以下であってもよいし、1,200℃以上2,500℃以下であってもよい。
なお、本発明の前記多孔質炭素材料を製造する際には、前記熱処理は行なわなくてもよい。
【0045】
前記熱処理の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間以上24時間以下が好ましく、5時間以上15時間以下がより好ましい。
【0046】
前記熱処理は、炉への負荷を低減させるために還元性ガス存在下で行われることが好ましい。前記還元性ガスとしては、例えば、水素ガス、一酸化炭素ガス、有機物の蒸気(例えば、メタンガス)などが挙げられる。
前記還元性ガスは、不活性ガスと共に使用されることが好ましい。前記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられる。
【0047】
前記多孔質炭素材料の製造方法の一例を、
図1を用いて説明する。
図1は、多孔質炭素材料の製造方法の一例のフローチャートである。
まず、原材料としての植物を用意する(S1)。植物にはケイ素成分が含まれている。
続いて、原材料について、アルカリを用いてケイ素成分除去処理を行い、原材料からケイ素成分を除去する(S2)。
続いて、ケイ素成分が除去された原材料を炭化処理に供する(S3)。炭化処理に供することにより、炭化物が得られる。
続いて、得られた炭化物を賦活処理に供する(S4)。賦活処理に供することにより、炭化物中の細孔構造を発達させる。
以上により多孔質炭素材料が得られる。
【0048】
(合成反応用触媒)
本発明の合成反応用触媒は、本発明の前記多孔質炭素材料と、前記多孔質炭素材料に担持された金属又は金属化合物とを有し、更に必要に応じて、その他の成分を有する。
【0049】
前記金属としては、触媒活性成分であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、白金族元素(白金、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム)、レニウム、金、銀などが挙げられる。
前記金属化合物としては、触媒活性成分であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記金属の合金などが挙げられる。
これらの中でも、前記金属又は前記金属化合物としては、パラジウムが価格及び入手容易性の点で好ましい。
【0050】
前記多孔質炭素材料に前記金属又は前記金属化合物を担持させる方法としては、例えば、以下の方法などが挙げられる。
(1)触媒活性成分である金属の溶液に、触媒担体である前記多孔質炭素材料を分散し、さらに還元剤を加えて、前記溶液中の金属イオンを還元して、触媒担体である前記多孔質炭素材料に金属を析出させる方法
(2)触媒担体である前記多孔質炭素材料を分散させた、触媒活性成分である金属の溶液を加熱撹拌して、触媒活性成分を触媒担体上に析出させた後に、ろ過、洗浄、乾燥などを適宜行い、水素ガスなどにより還元処理する方法
【0051】
前記合成反応用触媒における前記多孔質炭素材料と、前記金属又は前記金属化合物との割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
前記合成反応用触媒は、水素化還元反応に好適に用いることができる。前記水素化還元反応としては、2つ以上の水素化還元可能な基を有する化合物の水素化還元反応が好ましい。
前記2つ以上の水素化還元可能な基を有する化合物における少なくとも2つの水素化可能な基は、異なる基である。前記水素化還元可能な基としては、例えば、ハロゲン基、ビニル基などが挙げられる。
【0053】
(化合物の合成方法)
本発明の化合物の合成方法は、還元工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0054】
<還元工程>
前記還元工程としては、本発明の前記合成反応用触媒を用いて、化合物を還元する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記化合物としては、例えば、水素化還元可能な基を有する化合物が挙げられ、選択的な水素化還元反応を行うことができる点で、2つ以上の水素化還元可能な基を有する化合物が好ましい。前記2つ以上の水素化還元可能な基を有する化合物における少なくとも2つの水素化可能な基は、異なる基である。前記水素化還元可能な基としては、例えば、ハロゲン基、ビニル基などが挙げられる。
【0055】
前記化合物の合成方法における前記合成反応用触媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化合物100質量部に対して、0.5質量部以上5.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。
【0056】
前記化合物の合成方法においては、加熱を行ってもよいし、常温で反応を行ってもよい。
【0057】
前記化合物の合成方法は、還元性ガス存在下で行われることが好ましい。前記還元性ガスとしては、例えば、水素ガス、一酸化炭素ガス、有機物の蒸気(例えば、メタンガス)などが挙げられる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0059】
<原材料>
原材料として、宮城県産のもみ殻を使用した。
【0060】
<アルカリ処理>
ケイ素成分を除去するためのアルカリ処理(ケイ素成分除去処理)は、もみ殻を水酸化ナトリウム5.3質量%水溶液90℃に14時間浸漬することで行った。
【0061】
<炭化処理>
炭化処理は、炭化炉にて、窒素雰囲気下(N
2=30L/min)、600℃、3時間で行った。
【0062】
<賦活処理>
賦活処理は、ロータリーキルンを使用し、窒素バブリング(N
2=10L/min)条件下、水蒸気により、所定温度、所定時間で行った。
【0063】
<熱処理>
熱処理は、アルゴンガス供給下(30L/min)、所定温度、所定時間で行った。
【0064】
(実施例1〜4)
もみ殻に対する処理を、表1に示すとおりの条件で、アルカリ処理、炭化処理、及び賦活処理の順で行い、多孔質炭素材料を得た。
【0065】
(比較例1)
もみ殻に対する処理を、表1に示すとおりの条件で、アルカリ処理、及び炭化処理の順で行い、多孔質炭素材料を得た。
【0066】
(比較例2〜4)
もみ殻に対する処理を、表1に示すとおりの条件で、アルカリ処理、炭化処理、賦活処理、及び熱処理の順で行い、多孔質炭素材料を得た。
【0067】
得られた多孔質炭素材料について、以下の評価を行った。
【0068】
<比抵抗値の測定>
多孔質炭素材料の比抵抗値は、以下の方法で測定した。
直径9.0mm×長さ17mmのアクリル製の円筒に、多孔質炭素材料を充填密度が0.4g/ccになるように充填した。そして、円筒の長さ方向の両端に取り付けた電極にデジタル・マルチメータ(岩崎通信機株式会社製、VOAC7412)を接続して測定した。結果を表2に示した。
【0069】
<半値幅>
X線回折による(10X)(38°〜49°)の半値幅(2θ)の測定には、PANalytical社製のPHILIPS X’Pertを用いた。結果を表2に示した。
【0070】
<メソ孔容積>
メソ孔容積の測定には、マイクロメリティックス社製の多検体高性能比表面積・細孔分布測定装置3Flexを用いた。結果を表2に示した。
【0071】
<触媒性能>
<<パラジウム炭素触媒の製造>
多孔質炭素材料1gに対して、Pd金属が5質量%になるように調整された塩酸溶液に、多孔質炭素材料を浸漬させた。その後、100℃で2時間減圧乾燥させた。更に、水素含有ガス雰囲気内で、400℃、3時間還元処理を行った。その結果、多孔質炭素材料にパラジウムが担持されたパラジウム炭素触媒を得た。
【0072】
<<4−クロロスチレンの選択的還元>>
下記組成を10ml試験管に投入し、水素ガスをバルーン供給しながら、500rpmの回転数で撹拌し1時間水素化反応を行った。
生成物は、1−クロロ−4−エチルベンゼン及びエチルベンゼンであり、反応収率は、その生成量を4−クロロスチレンの投入量から算出した。反応収率は、Agilent 6890N/5975MSD(GC/MS)を用いて求めた。結果を表3に示した。
〔組成〕
・4−クロロスチレン:89.1mg
・上記パラジウム炭素触媒:1.3mg
・溶媒としての重メタノール:1ml
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
実施例1〜4で作製した多孔質炭素材料は、比較例1〜4で作製した多孔質炭素材料と比較して、触媒とした場合に、選択性に優れていた。