特許第6646131号(P6646131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6646131乗客コンベア及び乗客コンベアの乗降板の取り外し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6646131
(24)【登録日】2020年1月14日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】乗客コンベア及び乗客コンベアの乗降板の取り外し方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/00 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   B66B23/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-231428(P2018-231428)
(22)【出願日】2018年12月11日
【審査請求日】2018年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】藤原 尚人
【審査官】 羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−155561(JP,A)
【文献】 特開2012−001290(JP,A)
【文献】 特開2012−020799(JP,A)
【文献】 特開2013−154995(JP,A)
【文献】 特開2001−151457(JP,A)
【文献】 特開平01−281284(JP,A)
【文献】 特開2013−154996(JP,A)
【文献】 特開2016−055989(JP,A)
【文献】 特開2010−018424(JP,A)
【文献】 実開昭58−102568(JP,U)
【文献】 特開平9−193032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00−31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びるトラスと、
前記トラスに沿って前後方向に走行する踏段と、
前記踏段の左右両側で、かつ、前記トラスの上部に立設された欄干と、
左右一対の前記欄干の間の乗り込み口に対応する前記トラスの載置部材に載置された乗降板と、
を有し、
前記乗降板は、
基板と、
前記基板の上面に設けられた化粧板と、
前記基板の前記踏段側である前端部に設けられた補強部材と、
を有し、
前記基板と前記化粧板の上面の後部には引き上げ用ネジと、前記引き上げ用ネジに螺合されたナットが設けられ、前記引き上げ用ネジを緩めて前記ナットが前記乗降板に当たるまで前記引き上げ用ネジを前記乗降板から上方に突出させ、この上方に突出させた前記引き上げ用ネジを用いて前記乗降板の後部を引き上げるときに、前記補強部材を前記載置部材に当接させて、前記当接位置を中心とし、前記乗降板の後部を上方に回転させつつ引き上げ可能に構成されている、
乗客コンベア。
【請求項2】
前記基板は、水平板と、前記水平板の前端部から下方に折曲された前壁とを有し、
前記補強部材は、金属板であって、
前記基板の前記前壁に固定される板状の固定部と、
前記固定部の上端から前方に折曲された上面部と、
前記上面部の前端より下方に折曲された板状の当接部と、
を有する請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記上面部が前記化粧板より前方に突出している、
請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記上面部が前記基板と同一面上にある、
請求項3に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記補強部材の前記上面部の左右両端は、切り欠かれている、
請求項4に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記基板の左右両端側の前記前壁は、三角形で形成されている、
請求項5に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記補強部材の左右両端側の前記固定部は、三角形で形成されている、
請求項6に記載の乗客コンベア。
【請求項8】
前記乗降板は、前記トラスの上面の左右両側に設けられた左右一対の載置部材に載置され、
前記補強部材は、左右一対の前記載置部材に対応する位置に設けられている、
請求項7に記載の乗客コンベア。
【請求項9】
請求項に記載の前記乗客コンベアの前記乗降板の後部を、前記引き上げ用ネジを持って持ち上げ、
前記補強部材を前記トラスの前記載置部材に当接させて前記乗降板を取り外す、
乗客コンベアの乗降板の取り外し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベア及び乗客コンベアの乗降板の取り外し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアの乗降口には、乗降板が載置されている。この乗降板を取り外すと、乗降口の下にある機械室が表れ、保守員が点検を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−154995号公報
【特許文献2】特開昭63−017786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一人の保守員が乗降板を持ち上げ取り除くときに、乗降板の端部をトラスに当接したまま引きずると、乗降板の化粧板の端部が折れ曲がったり傷が付いたりするという問題点があった。
【0005】
そこで本発明の実施形態は、上記問題点に鑑み、一人の保守員が乗降板を持ち上げて取り外す場合であっても化粧板が傷付かない乗客コンベア及びその乗降板の取り外し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の実施形態は、前後方向に延びるトラスと、前記トラスに沿って前後方向に走行する踏段と、前記踏段の左右両側で、かつ、前記トラスの上部に立設された欄干と、左右一対の前記欄干の間の乗り込み口に対応する前記トラスに載置された乗降板と、を有し、前記乗降板は、基板と、前記基板の上面に設けられた化粧板と、前記基板の前記踏段側である前端部に設けられた補強部材と、を有し、前記基板と前記化粧板の上面の後部には引き上げ用ネジと、前記引き上げ用ネジに螺合されたナットが設けられ、前記引き上げ用ネジを緩めて前記ナットが前記乗降板に当たるまで前記引き上げ用ネジを前記乗降板から上方に突出させ、この上方に突出させた前記引き上げ用ネジを用いて前記乗降板の後部を引き上げるときに、前記補強部材を前記載置部材に当接させて、前記当接位置を中心とし、前記乗降板の後部を上方に回転させつつ引き上げ可能に構成されている、乗客コンベアである。
【0007】
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態に記載の前記乗客コンベアの前記乗降板の後部を、前記引き上げ用ネジを持って持ち上げ、前記補強部材を前記トラスの前記載置部材に当接させて前記乗降板を取り外す、乗客コンベアの乗降板の取り外し方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態を示すエスカレータの側面説明図。
図2】乗降口の斜視図。
図3】乗降板を取り外す状態の斜視図。
図4】乗降板の下面図。
図5】乗降板を載置部材に載置した状態の要部拡大縦断面図。
図6】乗降板の後部を引き上げた状態の要部拡大縦断面図。
図7図4におけるA−A線端面図。
図8図4におけるB−B線端面図。
図9】補強部材と基板の前部における一部欠裁斜視図であって、化粧板を分解した状態の図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態の乗客コンベアであるエスカレータ1について図1図9を参照して説明する。
【0010】
(1)エスカレータ1の構造
エスカレータ1の構造について図1図3を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、エスカレータ1のトラス2の前後方向の端部には支持アングル3がそれぞれ設けられている。前後一対の支持アングル3は、建屋100の上階側の乗降場所の床面101に切り欠かれた躯体102と下階側の乗降場所の床面101に切り欠かれた躯体103とにそれぞれ架け渡されている。支持アングル3は、モルタル104で覆われ、床面101と同じ高さに調整されている。
【0012】
図1に示すように、トラス2の上には左右一対の欄干8,8が設けられ、左右一対の欄干8,8の間には、複数の踏段4が前後方向に移動自在に配されている。また、欄干8の上端部には、踏段4と同期して移動する手摺りベルト5が設けられている。トラス2の上階側の端部には機械室6が設けられ、その機械室6の内部には、踏段4と手摺りベルト5を移動させるための不図示の駆動装置と制御装置が設けられている。
【0013】
図3に示すように、機械室6の上面に位置するトラス2の上部の左右両側には、載置部材7が設けられている。図2に示すように、左右一対の載置部材7,7には、踏段4側から順番に乗降板9、乗降板10が載置されている。
【0014】
(2)乗降板10
次に、踏段4から離れて載置されている乗降板10の構造について説明する。この乗降板10は、保守員が点検のときに最初に取り外すものである。
【0015】
図4に示すように、乗降板10は、金属板よりなる長方形の基板12を有し、図5に示すように、基板12の踏段4側、すなわち基板12の前端部から前壁14が下方に折曲され、踏段4側とは反対側、すなわち基板12の後端部から後壁15が下方に折曲されている。図9に示すように、基板12の前壁14の図面の右側は、右側に行くほど縦寸法が短くなるように三角形で形成され、図示はしないが左側も同様に形成されていている。図4〜6に示すように、基板12の下面には左右方向に伸びる補強リブ26が複数個(例えば3個)形成されている。
【0016】
図4に示すように、前壁14の左右両側にはそれぞれ補強部材16,16が不図示のボルトなどによって固定されている。この左右一対の補強部材16,16は、左右対称であるため右側のみ説明する。図5図6に示すように、補強部材16は、金属板を折曲して形成したものであり、前壁14に不図示のボルトなどによって固定される固定部18と、固定部18の上端を前方に折曲して形成された上面部20と、上面部20の前端部を下方に折曲した当接部22より形成されている。図9に示すように、上面部20と当接部22の図面における右端部は切欠き部23で切り欠かれ、固定部18よりも長さが短く形成されている。補強部材16の固定部18も、前壁14と同様に右側に行くほど高さが低くなるように三角形で形成されている。
【0017】
補強部材16の上面部20と基板12とは同一面上に形成され、その上に化粧板24が固定されている。化粧板24の表面は、乗客の滑り止め防止用の凹凸や、文字や数字などが刻設されている。化粧板24の前端部は、補強部材16の上面部20の途中まで覆い、残りの上面部20及び当接部22は露出している。
【0018】
基板12の下面であって補強リブ26の左右両側には、図4図7に示すように、金属板を折曲して形成された支持部材28が前後方向に取り付けられている。支持部材28の高さは、基板12の前壁14、補強部材16の固定部18、当接部22よりも高く形成されている。この理由は、左右一対の支持部材28,28が、トラス2の上部に設けられた左右一対の載置部材7,7に載置されるからである。
【0019】
化粧板24と基板12の後部中心には、図8に示すように、貫通孔38,40が開口している。平ネジよりなる引き上げ用ネジ30が貫通孔38,40に挿通されている。引き上げ用ネジ30が設けられる基板12の下面には、金属板を折曲して凹部が形成されたネジ受け部32がボルト34,34によって固定されている。このネジ受け部32の凹部の底部には、ネジ孔36が設けられている。そして、乗降板10の上方から挿通された引き上げ用ネジ30は、化粧板24の貫通孔38、基板12の貫通孔40を貫通し、ネジ受け部32の中で2個のナット42,44が取り付けられ、ネジ孔36に螺合している。
【0020】
下階側の乗降板10も、上階側と同様の構造を有する。
【0021】
(3)乗降板10の取り外し方法
次に、乗降板10の取り外し方法について説明する。1人の保守員が、図6に示すように、乗降板10を取り外すときには、引き上げ用ネジ30をドライバなどで緩め、ネジ孔36から取り外す。引き上げ用ネジ30は、ナット42,44が貫通孔40の縁部に当たるまで上方に突出する。この突出した部分にネジ引き上げ用治具46を取り付け、保守員が引き上げ用治具46を持って乗降板10の後部を引き上げる。
【0022】
保守員が、図3に示すように、引き上げ用治具46で乗降板10の後部を引き上げた後、踏段4とは反対側の後方に向かって乗降板10を引きずる。このとき、図6に示すように、化粧板24は、補強部材16の上面部20の途中までしか覆われておらず、斜めにした場合に補強部材16の当接部22が載置部材7の上面に当接し、この部分を起点にずれていく。また、図9に示すように、基板12の前壁14と補強部材16の固定部18の左右両端は、三角形に形成されているため、載置部材7や他の部材に当たることなく後方にずらすことができる。さらに、図6に示すように、上面部20と当接部22は左右両端が切欠き部23で切り欠かれているため、この位置でも左右両側にある他の部材に当接しない。
【0023】
(4)効果
本実施形態によれば、1人の保守員が引き上げ用ネジ30を持って乗降板10の後部を引き上げ、引きずっても乗降板10の化粧板24の前端部が傷付かない。
【0024】
(5)変更例
上記実施形態では、上階側の乗降板、下階側の乗降板について、2枚の乗降板から構成されていたが、これに限らず3枚の乗降板、4枚以上の乗降板から構成されていてもよい。
【0025】
上記実施形態では、エスカレータ1に適用して説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0026】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1・・・エスカレータ、2・・・トラス、7・・・載置部材、10・・・乗降板、12・・・基板、14・・・前壁、16・・・補強部材、18・・・固定部、20・・・上面部、22・・・当接部、24・・・化粧板、30・・・引き上げ用ネジ
【要約】      (修正有)
【課題】一人の保守員が乗降板を持ち上げて取り外す場合であっても化粧板が傷付かない乗客コンベアを提供する。
【解決手段】前後方向に延びるトラスと、トラスに沿って前後方向に走行する踏段と、踏段の左右両側で、かつ、トラスの上部に立設された欄干と、左右一対の欄干の間の乗り込み口に対応するトラスに載置された乗降板とを有し、乗降板は、基板12と、基板12の上面に設けられた化粧板24と、基板12の踏段側である前端部に設けられた補強部材16,16と、基板12の後面の上部に設けられた乗降板を引き上げるための引き上げ用ネジ30とを有する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9