(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
座面を形成するシートクッションと背もたれを形成するシートバックとを有する車両シートと、当該シートに収容されるサイドエアバッグ装置とを備えた乗員保護装置において、
前記シートバックは、車幅方向側部(端部)において車両進行方向(車両前方)に膨出したサイドサポート部を備え、
前記サイドサポート部の内部には、水平断面を上方から見たときに車両進行方向に沿って延びるフレーム側壁部を有するサイドフレーム部が配置され、
前記サイドエアバッグ装置は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグと;前記フレーム側壁部の車両幅方向内側に設けられ、前記エアバッグに対して膨張ガスを供給するインフレータとを備え、
前記エアバッグは、前記サイドサポート部の前方に向かって展開するメインチャンバと;前記インフレータを収容し、前記メインチャンバの車幅方向内側で展開するサブチャンバとを備え、
前記メインチャンバと前記サブチャンバの仕切り部には、前記膨張ガスが前記サブチャンバから前記メインチャンバに流れ込む内部ベントホールが設けられ、
前記サブチャンバは、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重なって展開するように設けられ、
前記メインチャンバは、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重ならないで展開するように設けられ、
前記メインチャンバの車両後方側の端部には、前記フレーム側壁部の車外側で前記フレーム側壁部の車両後方部分に締結可能なテザーが設けられていることを特徴とする乗員保護装置。
座面を形成するシートクッションと背もたれを形成するシートバックとを有する車両シートと、当該シートに収容されるサイドエアバッグ装置とを備えた乗員保護装置において、
前記シートバックは、車幅方向側部(端部)において車両進行方向(車両前方)に膨出したサイドサポート部を備え、
前記サイドサポート部の内部には、水平断面を上方から見たときに車両進行方向に沿って延びるフレーム側壁部を有するサイドフレーム部が配置され、
前記サイドエアバッグ装置は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグと;前記フレーム側壁部の車両幅方向内側に設けられ、前記エアバッグに対して膨張ガスを供給するインフレータとを備え、
前記エアバッグは、前記サイドサポート部の前方に向かって展開するメインチャンバと;前記インフレータを収容し、前記メインチャンバの車幅方向内側で展開するサブチャンバとを備え、
前記メインチャンバと前記サブチャンバの仕切り部には、前記膨張ガスが前記サブチャンバから前記メインチャンバに流れ込む内部ベントホールが設けられ、
前記サブチャンバは、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重なって展開するように設けられ、
前記メインチャンバは、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重なる部分に非膨張領域を有し、
前記メインチャンバの車両後方側の端部には、前記フレーム側壁部の車外側で前記フレーム側壁部の車両後方部分に締結可能なテザーが設けられていることを特徴とする乗員保護装置。
座面を形成するシートクッションと背もたれを形成するシートバックとを有する車両シートと、当該シートに収容されるサイドエアバッグ装置とを備えた乗員保護装置において、
前記シートバックは、車幅方向側部(端部)において車両進行方向(車両前方)に膨出したサイドサポート部を備え、
前記サイドサポート部の内部には、水平断面を上方から見たときに車両進行方向に沿って延びるフレーム側壁部を有するサイドフレーム部が配置され、
前記サイドエアバッグ装置は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグと;前記フレーム側壁部の車両幅方向内側に設けられ、前記エアバッグに対して膨張ガスを供給するインフレータとを備え、
前記エアバッグは、前記サイドサポート部の前方に向かって展開するメインチャンバと;前記インフレータを収容し、前記メインチャンバの車幅方向内側で展開するサブチャンバとを備え、
前記メインチャンバと前記サブチャンバの仕切り部には、前記膨張ガスが前記サブチャンバから前記メインチャンバに流れ込む内部ベントホールが設けられ、
前記メインチャンバは、車両側方から見た時に、車両後方側の縁部が前記フレーム側壁部の車両前方側の縁部の形状に沿うように展開することを特徴とする乗員保護装置。
座面を形成するシートクッションと背もたれを形成するシートバックとを有する車両シートと、当該シートに収容されるサイドエアバッグ装置とを備えた乗員保護装置において、
前記シートバックは、車幅方向側部(端部)において車両進行方向(車両前方)に膨出したサイドサポート部を備え、
前記サイドサポート部の内部には、水平断面を上方から見たときに車両進行方向に沿って延びるフレーム側壁部を有するサイドフレーム部が配置され、
前記サイドエアバッグ装置は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグと;前記フレーム側壁部の車両幅方向外側に設けられ、前記エアバッグに対して膨張ガスを供給するインフレータとを備え、
前記エアバッグは、前記サイドサポート部の前方に向かって展開するメインチャンバと;前記インフレータを収容し、前記メインチャンバの車幅方向内側で展開するサブチャンバとを備え、
前記メインチャンバと前記サブチャンバの仕切り部には、前記膨張ガスが前記サブチャンバから前記メインチャンバに流れ込む内部ベントホールが設けられ、
前記サブチャンバの車両後方部は、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重なり、当該サブチャンバの車両前方部は、前記サイドサポートを乗員側方向に押し出すように展開し、
前記メインチャンバの車両後方側の端部には、前記フレーム側壁部の車外側で前記フレーム側壁部の車両後方部分に締結可能なテザーが設けられていることを特徴とする乗員保護装置。
前記サブチャンバの展開により、前記サイドサポート部によって乗員の腰部が押されるように、前記サブチャンバが、少なくとも前記サイドサポート部の下方に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の乗員保護装置。
前記サブチャンバは、前記腰部拘束用チャンバと前記上部後方チャンバにわたって設けられ、前記内部ベントは、前記腰部拘束用チャンバと前記サブチャンバとを連通する第1ベントと、前記上部後方チャンバと前記サブチャンバとを連通する第2ベントとを少なくとも有することを特徴とする請求項12に記載の乗員保護装置。
前記サブチャンバの膨張によって前記サイドサポート部が乗員側に折れ曲がる際の起点となる起点領域が前記サイドサポート部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至17の何れか一項に記載の乗員保護装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、速やか且つ適切に乗員を拘束可能なサイドエアバッグ装置及び、これを備えた乗員保護装置を提供することを目的とする。
また、装置のコンパクト化に寄与するサイドエアバッグ装置及びこれを備えた乗員保護装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明は、座面を形成するシートクッションと背もたれを形成するシートバックとを有する車両シートと、当該シートに収容されるサイドエアバッグ装置とを備えた乗員保護装置に適用される。そして、前記シートバックは、車幅方向側部(端部)において車両進行方向(車両前方)に膨出したサイドサポート部を備える。前記サイドサポート部の内部には、水平断面を上方から見たときに車両進行方向に沿って延びるフレーム側壁部を有するサイドフレーム部が配置される。前記サイドエアバッグ装置は、前記フレーム側壁部の車両幅方向内側に収容される。
前記サイドエアバッグ装置は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグと;前記フレーム側壁部の車両幅方向内側に設けられ、前記エアバッグに対して膨張ガスを供給するインフレータとを備える。
前記エアバッグは、前記サイドサポート部の前方に向かって展開するメインチャンバと;前記インフレータを収容し、前記メインチャンバの車幅方向内側で展開するサブチャンバとを備える。また、前記メインチャンバと前記サブチャンバの仕切り部には、前記膨張ガスが前記サブチャンバから前記メインチャンバに流れ込む内部ベントホールが設けられている。
そして、前記サブチャンバは、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重なるように展開する。一方、前記メインチャンバは、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重ならないように展開する。
【0007】
上記のような構成の本発明によれば、エアバッグ装置の作動初期の段階においてサイドサポート部の内部でサブチャンバが展開し、乗員が車両幅方向外側に移動するのを速やかに拘束することが可能となる。このとき、サブチャンバは、車両側方から見てフレーム側壁部に重なるように展開するため、フレーム側壁部がサブチャンバ展開時の反力を受け止めた状態で、確実にシート中心側に向かって展開する。展開後においても、乗員からの圧力をフレーム側壁部で受け止めることができ、乗員をシート中心方向に対して確実に拘束することが可能となる。
また、サイドサポート部が乗員側に向かって突出変形し、乗員を車両幅方向内側に向かって押しつけるような格好となるため、乗員を背中方向から斜め前方に押し出すような力の発生を回避し又は最小限に抑制することができ、シートベルトを引き出す方向への乗員の移動を避けることが可能となる。すなわち、乗員への加害性を抑え、拘束性能を最大限に発揮することができる。このサイドサポート部の突出変形は、サイドサポート内部でのみ展開するサブチャンバがあれば十分であり、これにより発生するより多くのガスをメインチャンバに振り向けることができる。
一方、メインチャンバが車両側方から見てフレーム側壁部に重ならないように展開するため、サイドフレームやサブチャンバによって展開を阻害されることなく、速やか且つスムーズに展開可能となる。
【0008】
本発明の別の態様によれば、前記メインチャンバは、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重なる部分に非膨張領域を有する構造とする。
このような構造を採用することにより、上述した態様と同様の作用効果が得られるのに加えて、メインチャンバの展開挙動及び展開形状を更に安定化することが期待される。
【0009】
本発明の更に他の態様によれば、前記メインチャンバは、車両側方から見た時に、車両後方側の縁部が前記フレーム側壁部の車両前方側の縁部の形状に沿うように展開する。
このような構成を採用することにより、メインチャンバが車両前方に展開しようとする際に、メインチャンバの後縁とフレーム側壁部の前縁とが密着し、フレーム側壁部の前縁全体が反力面として作用するため、メインチャンバの前方への展開挙動及び展開形状が安定するという効果がある。
【0010】
また、本発明においては、インフレータ及び/又は前記エアバッグ装置全体を前記フレーム側壁部の車幅方向外側に収容するように構成することができる。このような構成を採用することにより、エアバッグ装置の取り付けが容易になる等のメリットがある。
【0011】
前記メインチャンバの車両後方側の端部に、前記フレーム
側壁部の車外側で前記フレーム
側壁部の車両後方部分に締結可能なテザーを設けることができる。ここで、前記テザーは、例えば、前記インフレータを前記フレームに固定する為のスタッドボルトに締結させることができる。
テザーによって前記メインチャンバの後端を固定することにより、当該メインチャンバの前後方向の展開挙動、展開形状を規制することが可能となる。
【0012】
前記メインチャンバは、乗員の腰部を保護する腰部拘束用チャンバを含む複数のチャンバに分割することができる。ここで、前記腰部拘束用チャンバは、前記メインチャンバの下方に設けることが好ましい。そして、前記内部ベントは、前記腰部拘束用チャンバと前記サブチャンバとを連通する第1ベントを含む構造とすることができる。
メインチャンバに腰部拘束用チャンバを設けることによって、車両の前後方向に広い範囲で乗員の腰部を拘束でき、拘束性能の向上を図ることができる。
【0013】
前記メインチャンバの前記腰部拘束用チャンバの上方は、上部前方チャンバと上部後方チャンバとに分割することができる。これによって、メインチャンバは3つのチャンバによって構成される。このような構造を採用することにより、比較的容量の大きなメインチャンバであっても、必要なチャンバをいち早く展開させることができ、乗員を確実に拘束することができる他、速やかに拘束が必要な部位を選択的に展開可能となる。
【0014】
前記サブチャンバは、前記腰部拘束用チャンバと前記上部後方チャンバにわたって設けられ、前記内部ベントは、前記腰部拘束用チャンバと前記サブチャンバとを連通する第1ベントと、前記上部後方チャンバと前記サブチャンバとを連通する第2ベントとを有する構造とすることができる。このような構造を採用することにより、サブチャンバに収容されたインフレータからの膨張ガスをメインチャンバの上下に速やかに送り込むことができる。
【0015】
前記メインチャンバの前記腰部拘束用チャンバと上方との分割は、縫製又は分離壁(バッフル)により形成することができる。
【0016】
前記サブチャンバを、前記サイドサポート部の内部でのみ展開する構造を採用することができる。この場合、必要最小限の容量のサブチャンバによって乗員の横方向への移動を拘束することが可能となる。仮に、サブチャンバがサイドサポート部の外に大きく張り出すような場合には、チャンバ内の内圧を確保するために大きめのインフレータが必要となる。
【0017】
前記サブチャンバを、前記フレーム側壁部の車両進行方向の延長線よりもシート中心側で展開させるとともに、前記メインチャンバを、前記サブチャンバの展開によって車両幅方向の外側に押し出し、前記フレーム側壁部の前方で展開させるように構成することができる。この場合、メインチャンバとサブチャンバの機能を確実に発揮することができる。すなわち、サブチャンバによって乗員の腰部を速やかに拘束し、その後、メインチャンバによって胴部から肩部にかけての広い範囲で乗員を拘束することで、横方向における乗員の保護が確実なものとなる。
【0018】
前記サブチャンバの膨張によって前記サイドサポート部が乗員側に折れ曲がる際の起点となる起点領域を前記サイドサポート部に形成することが好ましい。これにより、エアバッグのサブチャンバが展開する力によってサイドサポート部が折れ曲がりやすくなり、衝突事故発生直後において、乗員が車両幅方向外側に移動するのを確実に拘束することが可能となる。なお、前記起点領域としては、切り込み、凹部又は薄肉領域の何れか又は組み合わせとすることができる。
【0019】
前記サブチャンバの展開により、前記サイドサポート部によって乗員の腰部が横から押されるように、前記サブチャンバが前記サイドサポート部の下方に配置することが好ましい。人間の身体における重心に近い腰部を押すことにより、事故発生時の初期段階における乗員拘束性能が向上する。
【0020】
前記メインチャンバ及び前記サブチャンバの少なくとも一部を覆う力布を更に備えることができる。そして、前記力布は、前記サブチャンバが展開した時に開裂する起点となる脆弱部を有することが好ましい。サイドサポート内部でのみ展開する比較的容量が小さく展開時間も短いサブチャンバによって、力布を開裂させることにより、メインチャンバのスムーズな展開を促すことが出来る。すなわち、力布の開裂した部分からメインチャンバが一気に膨張し、サイドサポートの外側に速やかに展開可能となる。
【0021】
前記力布は、前記サイドエアバッグの車両外側に位置する第1力布と前記サイドエアバッグの車両内側に位置する第2力布とで構成することが出来る。また、前記第1力布の車両後方部分と前記第2力布の車両後方部分とを結合するワイヤを設けることが出来る。
力布自体はエアバッグの展開時にシート(サイドサポート部)表皮の開裂を助けるものであり、ワイヤはその効果を高めるものである。エアバッグ展開時に力布に加わる張力をワイヤによって大きくすることができ、展開時により早いタイミングでシート表皮の開裂を完了することができる。これによって、サブチャンバによる乗員の横方向への移動タイミングを早くすることができ、メインチャンバのフル展開時の乗員拘束効果をより高めることができる。
【0022】
なお、本発明に係るサイドエアバッグは、シートのドア側(外側)に展開するタイプの他、シートの車両中心側に展開するタイプを含むものとする。シートの車両中心側に展開するタイプのサイドエアバッグは、例えば、ファーサイドエアバッグ、フロントセンターエアバッグ、リアセンターエアバッグ等と称される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明に係る乗員保護装置に使用される車両用シートの主に外観形状を示す斜視図であり、エアバッグユニットの図示は省略する。
【
図2】
図2は、
図1に示す車両用シートの骨組みとして機能する内部構造体(シートフレーム)を示す斜視図であり、エアバッグユニットの図示は省略する。
【
図3】
図3は、本発明に係る乗員保護装置の概略側面図であり、エアバッグユニットが収容された状態を車幅方向の外側から観察した様子を示す。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施例に係る乗員保護装置の構造を示す断面図であり、
図3のA1−A1方向の断面の一部に対応する。
【
図5】
図5は、本発明に係る乗員保護装置の概略側面図であり、エアバッグが展開した状態を車幅方向の外側から観察した様子を示す。
【
図6】
図6は第1実施例に対応し、
図5のA2−A2方向の断面に対応するエアバッグの展開状態を示す概略図であり、(A)及び(B)は各々異なる態様を示す。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施例に係る乗員保護装置に使用されるエアバッグの構成部品を示す平面図であり、(A1),(A2)がメインチャンバを構成するパネル、(B1),(B2)がサブチャンバを構成するパネル、(C)が連結パネルを示す。
【
図8】
図8は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す説明図であり、(A)が展開初期、(B)が展開後期の状態を示す。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施例に係る乗員保護装置を示す断面図であり、
図4の方向と一致する。なお、説明の便宜上、エアバッグユニットの内部の図示は省略する。
【
図11】
図11は本発明の第3実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、(A)は
図5のA2−A2方向の断面に対応する。(B)は車両の幅方向外側から見た様子を示す。
【
図12】
図12は、第3実施例に係る乗員保護装置に使用されるエアバッグ(3チャンバ構造)の構成部品を示す平面図であり、メインチャンバを構成するパネルを示す。なお、サブチャンバを構成するパネル及び、
連結パネルについては、
図7に示すものを適用可能である。
【
図13】
図13(A),(B)は、本発明の第4実施例に係る乗員保護装置に使用されるエアバッグ(2チャンバ構造)の構成部品を示す平面図であり、メインチャンバを構成するパネルを示す。なお、サブチャンバを構成するパネル及び、
連結パネルについては、
図7に示すものを適用可能である。
図13(C)は、エアバッグの展開状態を車両幅方向外側から見た様子を示す。
【
図14】
図14は、本発明の第5実施例に係る乗員保護装置の構造を示す断面図であり、
図3のA1−A1方向の断面を示す。
【
図15】
図15は本発明の第5実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、(A)が
図5のA2−A2方向の断面に対応し、(B)が車両幅方向外側から見た様子を模式的に示す。
【
図16】
図16は、第5実施例に係る乗員保護装置に使用されるエアバッグ(3チャンバ構造)の構成部品を示す平面図であり、メインチャンバを構成するパネルを示す。なお、サブチャンバを構成するパネル及び、
連結パネルについては、
図7に示すものを適用可能である。
【
図17】
図17は、第5実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す説明図であり、(A)が展開初期、(B)が展開後期の状態を示す。
【
図18】
図18は、本発明の第6実施例に係るエアバッグ装置の特徴を示す側面図であり、エアバッグが膨張した状態に対応する。
【
図19】
図19は本発明の第7実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す断面図であり、
図5のA2−A2方向の断面に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートについて、添付図面に基づいて説明する。なお、各図に表示する「前」とは車両の前方(進行方向)、「後」とは車両の後方(進行方向と反対側)、「内」とは車幅方向の内側(乗員側)、「外」とは車幅方向外側(ドアパネル側)をそれぞれ示す。
【0025】
図1は、本発明に係る乗員保護装置に使用される車両用シートの主に外観形状を示す斜視図であり、エアバッグ装置(20)の図示は省略する。
図2は、
図1に示す車両用シートの骨組みとして機能する内部構造体(シートフレーム)を示す斜視図であり、ここでも、エアバッグ装置(20)の図示は省略する。
図3は、本発明に係る乗員保護装置の概略側面図であり、車両用シートのドアに近い側面(ニアサイド)にエアバッグ装置20が収容された状態を車幅方向の外側から観察した様子を示す。
【0026】
本発明は、車両シートと、当該シートに収容されるサイドエアバッグ装置(20)とを備えた乗員保護装置である。本実施例に係る車両シートは、部位として観たときには、
図1及び
図2に示すように、乗員が着座する部分のシートクッション2と;背もたれを形成するシートバック1と、シートバック1の上端に連結されるヘッドレスト3とによって構成されている。
【0027】
シートバック1の内部にはシートの骨格を形成するシートバックフレーム1fが設けられ、その表面及び周囲にはウレタン発泡材等からなるパッドが設けられ、当該パッドの表面は皮革、ファブリック等の表皮14によって覆われている。シートクッション2の底側には着座フレーム2fが配置され、その上面及び周囲にはウレタン発泡材等からなるパッドが設けられ、当該パッドの表面は皮革、ファブリック等の表皮14(
図4)によって覆われている。着座フレーム2fとシートバックフレーム1fとは、リクライニング機構4を介して連結されている。
【0028】
シートバックフレーム1fは、
図2に示すように、左右に離間して配置され上下方向に延在するサイドフレーム10と、このサイドフレーム10の上端部を連結する上部フレームと、下端部を連結する下部フレームとにより枠状に構成されている。ヘッドレストフレームの外側にクッション部材を設けることでヘッドレスト3が構成される。
【0029】
(第1実施例)
図4は、本発明の第1実施例に係る乗員保護装置の構造を示す断面図であり、
図3のA1−A1方向の断面の一部に対応する。
図5は、第1実施例に係る乗員保護装置の概略側面図であり、エアバッグが展開した状態を車幅方向の外側から観察した様子を示す。
【0030】
サイドフレーム10は、樹脂又は金属によって成形され、
図4に示すようにL字断面形状又はコの字断面形状とすることができる。サイドフレーム10は、水平断面を上方から見たときに車両進行方向に沿って延びるフレーム側壁部10aを備えている。そして、このフレーム側壁部10aの内側(シート中心側)にエアバッグモジュール(サイドエアバッグ装置)20が固定される。
【0031】
図4に示すように、シートバック1は、車幅方向側部(端部)において車両進行方向(車両前方)に膨出したサイドサポート部12を備える。サイドサポート部12の内部には、ウレタンパッド16が配置されていない隙間にサイドエアバッグ装置20が収容される。サイドエアバッグ装置20は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ(34,36)と;エアバッグ(34,36)に対して膨張ガスを供給するインフレータ30とを備える。
【0032】
シートバック1の表皮14の継ぎ目18,22,24は内側に織り込まれて縫製によって連結されている。なお、前方の継ぎ目18は、エアバッグが展開した時に開裂するようになっている。
また、サイドサポート部12には、サブチャンバ36(
図5,
図6参照)の膨張によってサイドサポート部12が乗員側に折れ曲がる際の起点となる起点領域26が形成されている。起点領域26としては、切り込み、凹部又は薄肉領域の何れか又は組み合わせとすることができる。起点領域26は、サイドサポート部12内部のウレタン16部分にのみ形成されていても良い。また、起点領域26を省略することも可能である。
【0033】
エアバッグ(34,36)は、ファブリック製の柔軟なカバー20aによって覆われている。メインチャンバ34とサブチャンバ36との関係において、エアバッグ(34,36)は蛇腹状に折り畳むもしくはロールする(「折り畳み」にはロールすることも含む)他、適宜最適な圧縮方法を採用することができる。
図4において、符号25はドアトリムを示す。詳細に図示していないが、エアバッグが折り畳まれた収納状態においては、膨張展開時の位置関係を保持するように、平らに広げた平面状態で重なるようにして、サブチャンバとメインチャンバとが一体的に折り畳まれる。サブチャンバとメインチャンバとが個別的に折り畳まれる場合は、折り畳まれたサブチャンバ部分は、折り畳まれたメインチャンバ部分よりも、インフレータに近い位置に配置されるか、もしくは、折り畳まれたメインチャンバ部分とサイドフレームとの間に配置されてもよい。すなわち、折り畳まれたサブチャンバは、折り畳まれたメインチャンバに対して乗員側に配置されてもよい。
【0034】
図5に示すように、エアバッグ(34,36)は、サイドサポート部12の前方に向かって展開するメインチャンバ34と;メインチャンバ34の車幅方向内側で展開するサブチャンバ36とを備える。
基本的に、サブチャンバ36は、車両側方から見てフレーム側壁部10aに重なるように展開するようになっている。一方、メインチャンバ34は、車両側方から見てフレーム側壁部10aに重ならないように展開するようになっている。
【0035】
サブチャンバ36は、サイドサポート部12の少なくとも前側部分14を乗員側に向かって突出変形させるようになっている。また、サブチャンバ36はサイドサポート部12の下方に配置され(
図5参照)、当該サブチャンバ36の展開により、サイドサポート部12が乗員の腰部に接触、押圧するようになっている。人間の身体における重心に近い腰部を押すことにより、事故発生時の初期段階における乗員拘束性能が向上する。サブチャンバ36の容量はメインチャンバ34の容量よりも小さく設定されている。好ましくは、サブチャンバの形状と容量を調節して、サブチャンバ36が、サイドサポート部12の内部でのみで展開するようにしてもよい。言い換えると、展開したサブチャンバ36は、開裂したサイドサポート部12の前端部よりも車両前方にはみ出さないようにしてもよい。これらによって、サブチャンバをメインチャンバよりも早くフル展開とすることができる一方、メインチャンバにより多くのガスを充填することが出来るようになる。
【0036】
メインチャンバ34は、サイドサポート部12の前方の外側に向かって展開するように設定してもよい。この設定は、エアバッグの折り畳み方、折り畳まれたエアバッグの配置、インフレータのガス噴射方向の設定、サブチャンバとメインチャンバ間のガスの流れる方向などによって可能である。これらにより、サブチャンバの展開によるメインチャンバの展開が妨げられることが少なくなり、メインチャンバの展開がスムーズになる。メインチャンバの展開とともにサブチャンバの展開との協働により乗員保護性能が向上する。
【0037】
図6は、
図5のA2−A2方向の断面に対応するエアバッグの展開状態を示す概略図であり、(A)は連結パネル37を使用した態様、(B)は連結パネル37を使用しない態様を示す。
図7は、本発明に係る乗員保護装置に使用されるエアバッグの構成部品を示す平面図であり、(A1),(A2)がメインチャンバ34を構成するパネル、(B1),(B2)がサブチャンバ36を構成するパネル、(C)が連結パネル37を示す。
【0038】
図6に示すように、本実施例においては、インフレータ30はサブチャンバ36の内部に収容される。インフレータ30は、例えば、円柱状のシリンダータイプのインフレータを使用することができる。インフレータ30の外周部からは、車幅方向内側に向かって上下一対のスタッドボルト32が突出している。これらのスタッドボルト32は、ナットによってサイドフレーム10に取り付けられている(締結固定されている)。インフレータ30には、周方向に並んだ複数のガス噴出口が形成されており、当該ガス噴出口から放射状にガスが噴出される。なお、必要に応じてガスの流れを制御するディフューザを設けることができる。
【0039】
このインフレータ30には、車両に搭載されたエアバッグ制御用ECUが電気的に接続されている。このエアバッグ制御用ECUには、側面衝突を検知するサテライトセンサが電気的に接続されている。このサテライトセンサからの信号に基づいてエアバッグ制御用ECUが側面衝突を検知した際にインフレータ30を作動するように構成することができる。
【0040】
図6(A)及び
図7(A1),(A2)に示すように、メインチャンバ34を構成する2枚のパネル34a,34bは同一形状に成形され、縫製35aによって膨張領域34dが形成される。一方、
図6(A)及び
図7(B1),(B2)に示すように、サブチャンバ36を構成する2枚のパネル36a,36bは同一形状に成形され、外縁部の縫製35cによって膨張領域36dが形成される。
【0041】
メインチャンバ34の内側パネル34bには、メインチャンバ34とサブチャンバ36とに連通するベントホールV1a、V1bが形成されており、サブチャンバ36内部の膨張ガスがベントホールV2a,V2bを介してメインチャンバ34に流れるようになっている。
【0042】
図6(A)に示す態様においては、メインチャンバ34の内側パネル34bとサブチャンバ36の内側パネル36bとの間に連結パネル37が介在される。連結パネル37には、パネル34b,36bのベントホール(V1a,V2a)、(V1b,V2b)に対応する位置に、連結ベントホールV3a,V3bが形成されている。なお、
図6(B)に示す態様においては、連結パネル37を省略しただけであり、その他の構造的な相違はない。
【0043】
メインチャンバ34において、膨張領域34dの車両後方側には非膨張領域34cが形成されており、当該領域34cがサイドフレーム10の側壁部10aに密接して配置される。非膨張領域34cには、インフレータ30が貫通する孔34eと、ボルト32が貫通する孔34gが、内外両パネル34a,34bの対応箇所に形成されている。また、サブチャンバ36の内側パネル36bにも同様に、インフレータ30が貫通する孔36eと、ボルト32が貫通する孔36gが形成されている。なお、本実施例では、インフレータをクイックインストールする方式(インフレータのハーネス接続側端部が露出している方式)を例にとって説明しているが、インフレータ全体をバッグ内部に収容し、ボルト貫通孔のみが形成される方式であっても良い。
【0044】
上述したような構造のエアバッグの製造(縫製)に際しては、まず、メインチャンバ34の膨張領域34dの外縁35aを縫製し、その後、連結パネル37を内側パネル34bの該当箇所に縫製35dによって連結する。また、ベントホールV1(V1a,V2a,V3a)の周囲と、ベントホールV2(V1b,V2b,V3b)の周囲を縫製39a,39bによって各々連結する。なお、
図6においては、全体の構造を見易くするために、縫製39a,39bの図示は省略する。並行して、サブチャンバ36の外縁35cを縫製するが、後端部35fだけはこの時点では縫製しない。次に、サブチャンバ36の内部にインフレータ30を配置し、ボルト32をサイドパネル10の外側まで引き出す。また、サブチャンバ36の内側パネル36bと連結パネル37とを縫製部35dにおいて縫製連結する。最後に、サブチャンバ36の後端部35fを縫製によって閉じる。このとき、サブチャンバ36の後端部35fは、メインチャンバ34と縫製によって連結することが好ましい。これによって、エアバッグの展開時に、メインチャンバ34とサブチャンバ
36がバタつくことを防ぐことができる。
【0045】
本発明においては、基本的にメインチャンバ34とサブチャンバ36とは、ベントホール周辺35dでのみ連結される。このように、メインチャンバ34とサブチャンバ36との外縁全体を縫製しないことにより、一方のチャンバが他のチャンバによって展開を妨げられることがない。すなわち、エアバッグの展開時にメインチャンバ34とサブチャンバ36との干渉を最小限に抑えることができ、各チャンバの展開挙動が安定すると共に、厚みを大きく確保でき、衝撃吸収性能がアップするというメリットがある。
【0046】
図8は、第1実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す説明図であり、(A)が展開初期、(B)が展開後期の状態を示す。
図8(A)に示すように、上記のような構成の本発明の第1実施例においては、エアバッグ装置20の作動初期の段階においてサイドサポート部12の内部でサブチャンバ36が展開し、シート表皮14が縫製部18から開裂しながらサイドサポート部12の先端側が領域26を起点として車内側に折れ曲がりまたは突出するように変形し、乗員を車両幅方向内側に押すように拘束する。
【0047】
なお、サブチャンバ36の膨張完了時点ではメインチャンバ34は膨張完了していない。サイドサポート部12の前側部分が乗員側に向かって突出変形するため、乗員を背中方向から斜め前方に押し出すような力の発生を回避し又は最小限に抑制することができ、シートベルトを引き出す方向への乗員の移動を避けることが可能となる。すなわち、乗員への加害性を抑え、拘束性能を最大限に発揮することができる。
【0048】
つづいて、
図8(B)に示すように、エアバッグ(34,36)が更に膨張すると、メインチャンバ34が車両前方に向かってフル展開し、衝突時の乗員の保護をする。
【0049】
(第2実施例)
図9は、本発明の第2実施例に係る乗員保護装置を示す断面図であり、
図4の方向と一致する。
図10は、
図9の態様の変形例を示す断面図である。
図9及び
図10に示す実施例においては、メインチャンバ34及びサブチャンバ36の少なくとも一部を覆う力布(40a,40b)を更に備えている。
【0050】
力布(40a,40b)は、エアバッグが膨張展開するエネルギーを効率よくシートのウレタン構造物等に伝え、シート自体の開裂を早めてバッグの展開速度を向上させ乗員保護性能を向上させるもので、サイドエアバッグの車両外側に位置する第1力布40aと車両内側に位置する第2力布40bとで構成されている。力布(40a,40b)の前端部分は、シートバックの前方部分でシートの継ぎ目18近傍に結合され、力布(40a,40b)の後端部分は、シートフレーム10のエアバッグの後方部分に結合される。
【0051】
力布40a,40bは、サブチャンバ36が展開した時に開裂する起点となる脆弱部を有することが好ましい。脆弱部は通常はシートの開裂部近傍に設けられるが、メインバッグが膨張展開して車両前方に飛び出す際に、残っている力布が邪魔にならない場所に設けられることが好ましい。サブチャンバ36は、サイドサポート12部の内部でのみ展開する比較的容量が小さく展開時間も短いものが好ましい。このため、サブチャンバ36の展開に伴って力布40a,40bを作用させることにより、メインチャンバ34のスムーズな展開を促すことが出来る。すなわち、力布40a,40bの作用によって、エアバッグの膨張展開したエネルギーが効率よくシート内のウレタン部分に伝えられ、すみやかにシートが開裂され、それによって開裂した部分からメインチャンバ34が一気に膨張し突出し、サイドサポート部12の外側に速やかに展開可能となる。
【0052】
図10に示すように、2つの力布のどちらか一方、この場合第2力布40bを短めに作成しておき、その後方部分をワイヤ42で連結するようにしてもよい。第1力布40aの車両後方部分と第2力布40bの車両後方部分に結合されたワイヤ42の車両後方部分とをシートフレーム10のエアバッグ後方部分に結合しても良い。力布40a,40bとワイヤ42との連結に関しては、力布40a,40bの端にワイヤ保持可能な補強部分(布を重ねる)を設けてワイヤ42をホッチキスのようなもので固定する。あるいは、ワイヤ通しのリング金具のようなものを力布40a,40bの端に設け、そこにワイヤ42を通すようにしてもよい。ワイヤ42は1本または複数本設け、複数本の場合、平行、非平行いずれでもよく、場合によっては、網目状であってもよい。
【0053】
力布40a,40b自体はエアバッグ(34,36)の展開時にサイドサポート部12の表皮14の開裂を補助するものであり、ワイヤ42はその効果を高めるものである。ワイヤ42は殆ど伸びないため、エアバッグ展開時に力布40a、40bに加わる張力をワイヤ42によって増大させることができ、展開時により早いタイミングでシート表皮14の開裂を完了することができる。これによって、サブチャンバ36による乗員の横方向への移動タイミングを早くすることができ、メインチャンバ34のフル展開時の乗員拘束効果をより高めることができる。ワイヤを設ける部分は、上記例のほか、第1力布に設けても良いし、第1力布と第2力布の両方に設けても良い。また、力布自体の形状は、幅広のバンド形状が好ましいが、経済的に許すのであれば、可能な限り大きく広い面積を覆うように形成されることが可能である。力布は、収納時のエアバッグの上下方向に対して中央部分を含む位置に設けることが好ましい。
【0054】
(第3実施例)
図11は本発明の第3実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、(A)は
図5のA2−A2方向の断面に対応する。(B)は車両の幅方向外側から見た様子を示す。
図12は、第3実施例に係る乗員保護装置に使用されるエアバッグ(3チャンバ構造)の構成部品を示す平面図であり、メインチャンバを構成するパネルを示す。なお、サブチャンバを構成するパネル及び、
連結パネルについては、
図7に示すものを適用可能であり、図示及び説明を省略する。なお、上述した第1及び第2実施例と共通又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0055】
本実施例は、第2実施例をアレンジしたものであり、メインチャンバ34を3つのチャンバ148a,148b,152に分割している。メインチャンバ34は、乗員の腰部付近に位置する下部チャンバ152と、下部チャンバ152の上方に連結された上部チャンバ148a,148bとから構成されている。上部チャンバは、車両後方に位置する上部後方チャンバ148aと車両前方に位置する上部前方チャンバ148bとからなり、これらのチャンバ148a,148bはバッフルプレート150によって仕切られている。バッフルプレート150は、連結された2つのチャンバ148a,148bに連通する開口部150aが形成されている。
【0056】
図12に示す例においては、メインチャンバ34を2枚のインナーバッフル(150,153)を用いて仕切ることにより、3つのチャンバ148a,148b,152を形成している。なお、メインチャンバ34を構成する3つのチャンバ148a,148b,152の分割については、バッフルプレートで仕切る他に、縫製によって行うこともできる。なお、
図12において、破線150a,150bはインナーバッフル150が配置される位置を示し、破線153aはインナーバッフル153が配置される位置を示す。
【0057】
サブチャンバ36は、ベントホールVaによって上部後方チャンバ148aと連通し、ベントホールVbによって下部チャンバ152と連通している。そして、インフレータ30から放出された膨張ガスが、サブチャンバ36から上部後方チャンバ148aと下部チャンバ152に流れ、更に上部後方チャンバ148aから上部前方チャンバ148bに流れるようになっている。
【0058】
(第4実施例)
図13(A),(B)は、本発明の第4実施例に係る乗員保護装置に使用されるエアバッグ(2チャンバ構造)の構成部品を示す平面図であり、メインチャンバを構成するパネルを示す。なお、サブチャンバを構成するパネル及び、
連結パネルについては、
図7に示すものを適用可能であり、図示及び説明を省略する。
図13(C)は、エアバッグの展開状態を車両幅方向外側から見た様子を示す。なお、上述した第1乃至第3実施例と共通又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0059】
本実施例は、上述した第1実施例の別のアレンジであり、メインチャンバ34を2つのチャンバ148,152に分割している。メインチャンバ34は、乗員の腰部付近に位置する下部チャンバ152と、下部チャンバ152の上方に連結された上部チャンバ148とから構成されている。
【0060】
図13に示す例においては、メインチャンバ34を1枚のインナーバッフル153(153a,153b)を用いて仕切ることにより、2つのチャンバ148,152を形成している。なお、メインチャンバ34を構成する2つのチャンバ148,152の分割については、バッフルプレートで仕切る他に、縫製によって行うこともできる。
【0061】
サブチャンバ36は、ベントホールVaによって上部チャンバ148と連通し、ベントホールVbによって下部チャンバ152と連通している。そして、インフレータ30から放出された膨張ガスが、サブチャンバ36から上部チャンバ148と下部チャンバ152に各々流れ込むようになっている。なお、インナーバッフル153に開口を形成して、上部チャンバ148と下部チャンバ152との間でガスが流れるようにすることもできる。そうすることにより、比較的容量の大きな上部チャンバ148の展開遅れの可能性を低減可能となる。
【0062】
(第5実施例)
図14は、本発明の第5実施例に係る乗員保護装置の構造を示す断面図であり、
図3のA1−A1方向の断面を示す。
図15は本発明の第5実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、(A)が
図5のA2−A2方向の断面に対応し、(B)が車両幅方向外側から見た様子を模式的に示す。
図16は、第5実施例に係る乗員保護装置に使用されるエアバッグ(3チャンバ構造)の構成部品を示す平面図であり、メインチャンバを構成するパネルを示す。なお、サブチャンバを構成するパネル及び、
連結パネルについては、
図7に示すものを適用可能であり、図示及び説明を省略する。
図17は、第5実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す説明図であり、(A)が展開初期、(B)が展開後期の状態を示す。なお、上述した第1乃至第4実施例と共通又は対応する構成要素については、同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0063】
図15(A)に示すように、本実施例においては、エアバッグユニット(20)がサイドフレーム110の外側に配置される。また、
図16に示すように、メインチャンバを構成する2枚のパネル134a,134bには、
図12等に示すような非膨張領域(34c)は存在しない
【0064】
本実施例においては、メインチャンバ(34)は3つのチャンバ148a,148b,152に分割される。そして、メインチャンバは、乗員の腰部付近に位置する下部チャンバ152と、下部チャンバ152の上方に連結された上部チャンバ148a,148bとから構成されている。上部チャンバは、車両後方に位置する上部後方チャンバ148aと車両前方に位置する上部前方チャンバ148bとからなり、これらのチャンバ148a,148bはバッフルプレート150によって仕切られている。バッフルプレート150は、連結された2つのチャンバ148a,148bに連通する開口部151が形成されている。これのようなメインチャンバの構造については、非膨張領域(34c)が形成されない点を除いては、第3実施例と概ね同じである。
【0065】
図15に示す例においては、メインチャンバを2枚のインナーバッフル(150,153)を用いて仕切ることにより、3つのチャンバ148a,148b,152を形成している。なお、メインチャンバを構成する3つのチャンバ148a,148b,152の分割については、バッフルプレートで仕切る他に、縫製によって行うこともできる。
【0066】
サブチャンバ136は、ベントホールVaによって上部後方チャンバ148aと連通し、ベントホールVbによって下部チャンバ152と連通している。そして、インフレータ30から放出された膨張ガスが、サブチャンバ136から上部後方チャンバ148aと下部チャンバ152に流れ、更に上部後方チャンバ148aから上部前方チャンバ148bに流れ込むようになっている。この時、
図15(A)、(B)に示すように、車両の幅方向外側から観察したときに、下部チャンバ152の後方側一部分と上部後方チャンバ148aの一部がサイドフレーム110に重なった状態で展開する。
【0067】
図16において、破線150a,150bはインナーバッフル150が配置される位置を示し、破線153aはインナーバッフル153が配置される位置を示す。なお、
図17において、下部チャンバ152は、実際には上部チャンバ148a,148bの下方(紙面の奥側)に存在するが、便宜上、図示を省略する。
【0068】
図17(A)に示すように、上記のような構成の本発明の第5実施例においては、エアバッグ装置20の作動初期の段階においてサイドサポート部12の内部でサブチャンバ136が展開し、シート表皮14が縫製部18から開裂しながらサイドサポート部12の先端側が領域26を起点として車内側に折れ曲がりまたは突出するように変形し、乗員を車両幅方向内側に押すように拘束する。
【0069】
なお、サブチャンバ36の膨張完了時点ではメインチャンバ34(148a,148b,152)は膨張完了していない。サイドサポート部12の前側部分が乗員側に向かって突出変形するため、乗員を背中方向から斜め前方に押し出すような力の発生を回避し又は最小限に抑制することができ、シートベルトを引き出す方向への乗員の移動を避けることが可能となる。すなわち、乗員への加害性を抑え、拘束性能を最大限に発揮することができる。
【0070】
つづいて、
図17(B)に示すように、サブチャンバ136から膨張ガスがメインチャンバの下部チャンバ(152)、上部チャンバ148a,148bに流れ込むと、これら3つのチャンバ148a,148b,152が膨張して車両前方に向かってフル展開し、衝突時の乗員の保護をする。なお、下部チャンバ(152)は、少なくとも上部前方チャンバ148bよりも先に展開し、サブチャンバ136と同様に乗員の腰部を拘束する。このとき、
図15(B)に示すように、下部チャンバ152はサブチャンバ136よりも車両前方に張り出して展開するため、広い範囲で乗員の腰部や大腿部を拘束することができる。
【0071】
(第6実施例)
図18は、本発明の第6実施例に係るエアバッグ装置の特徴を示す側面図であり、エアバッグが膨張した状態に対応する。
【0072】
以下、本発明の第6実施例について特徴部分を中心に説明する。その中で、上述した第1乃至第5実施例と共通又は対応する構成要素については、重複した説明は避けるものとするが、何れの実施例との組合わせも可能であることは言うまでもない。
【0073】
本実施例においては、メインチャンバ34を車両側方から見た時に、車両後方側の縁部234がフレーム側壁部10aの車両前方側の縁部210の形状に沿うように展開するようになっている。このような構造は、メインチャンバ34の後縁部の形状自体をフレーム側壁部10aの前縁部の形状に合わせる他、メインチャンバ34の膨張領域34dの後縁部の形状をフレーム側壁部10aの前縁部の形状に合わせることによって実現可能である。ここで、メインチャンバ
34の膨張領域34dの後縁部の形状をフレーム側壁部10aの前縁部の形状に合わせる場合には、メインチャンバ34の膨張領域34dの後方は非膨張領域となる。
【0074】
本実施例によれば、メインチャンバ34が車両前方に展開しようとする際に、メインチャンバ34の後縁234とフレーム側壁部10aの前縁210とが密着し、フレーム側壁部10aの前縁全体が反力面として作用するため、メインチャンバ34の前方への展開挙動及び展開形状が安定するという効果がある。
【0075】
(第7実施例)
図19は本発明の第7実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示し、
図5のA2−A2方向の断面に対応する。
【0076】
以下、本発明の第
7実施例について特徴部分を中心に説明する。その中で、上述した第1乃至第6実施例と共通又は対応する構成要素については、重複した説明は避けるものとするが、何れの実施例との組合わせも可能であることは言うまでもない。
【0077】
本実施例においては、メインチャンバ34の車両後方側の端部に、フレーム10の車外側でフレーム40の車両後方部分に締結可能なテザー300を設けている。テザー300は、例えば、インフレータ30をフレーム10に固定する為のスタッドボルト32に締結させることができる。また、テザー300の形状は、幅が概ね一定のストリップ状や、後方に向かって徐々に細くなる三角形状とすることができる。
【0078】
本実施例によれば、テザー300によってメインチャンバ34の後端を固定することにより、当該メインチャンバ34の前後方向の展開挙動、展開形状を規制することが可能となる。
【0079】
本発明を上記の例示的な実施形態と関連させて説明してきたが、当業者には本開示により多くの等価の変更および変形が自明であろう。したがって、本発明の上記の例示的な実施形態は、例示的であるが限定的なものではないと考えられる。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、記載した実施形態に様々な変化が加えられ得る。例えば、発明を実施するための形態では、ニアサイドのサイドエアバッグについて重点的に述べたが、ファーサイドエアバッグ(車両用シートの車両ドアから遠い側の面)や、スモールモビリティなど超小型車両等における単座の車両(ドアの有る無しにかかわらず一列にシートが一つしかない部分を含むような車両)等にも用いることが可能である。