(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
<情報提供装置の構成例>
図1は、本発明の一実施形態における情報提供装置の構成例を示す図である。本実施形態における情報提供装置は、たとえば、保険会社の営業所に設置され、営業所内のLAN(Local Area Network)12で一つ以上の端末装置10と情報通信可能に接続される、ローカルサーバ(以下単にサーバと称す)11である。サーバ11は、自らの記憶部106に提案データベース109等のデータベースを格納し、制御部108の動作により検索部112、出力部113等を構成する。一方、端末装置10は、自らの制御部103の動作により保険提案部111を構成する。
【0013】
情報提供装置は、見込顧客向けの保険契約を提案する販売担当者の操作に応じて、概略次のように動作する。販売担当者は、端末装置10のユーザとして保険提案部111を操作し、見込顧客向けの新規保険提案情報の検索をサーバ11の検索部112に要求する。すると、この要求に応答して、検索部112は、提案データベース109に格納される、既存顧客向けに作成された既存保険提案情報のなかから、見込顧客に適した既存保険提案情報を検索する。そして、検索された既存保険提案情報を出力部113が見込顧客向けの新規保険提案情報として、保険提案部111に向け出力する。すると、保険提案部111が新規保険提案情報を適宜加工して販売担当者に提示する。本実施形態の情報提供装置は、既存保険提案情報という保険会社が既に保有する情報資産を有効活用して、保険提案の効率化と品質向上を可能にする。
【0014】
本実施形態において、既存顧客は、過去に保険提案情報が作成された顧客であり、既に何等かの保険契約を有する既契約者、及び保険契約を有さない未契約者を含む。一方、見込顧客は、販売担当者が保険提案情報を作成する対象となる顧客であって、過去に保険提案情報が作成された既存顧客であってもよいし、保険提案情報が作成されたことがない新規顧客であってもよい。契約転換を希望する既契約者でもある既存顧客に対し保険提案情報を作成する場合、その既存顧客は見込顧客に該当する。
【0015】
次いで、サーバ11及び端末装置10の各構成要素について説明する。
【0016】
サーバ11は、通信部105、記憶部106、及び制御部108を有する。サーバ11は、たとえば、一つまたは互いに通信可能な複数のコンピュータである。
【0017】
通信部105は、各種ネットワークに接続する一つ以上の通信モジュールを含む。たとえば、通信部105は、有線・無線LAN規格に対応する通信モジュールを含む。サーバ11は、通信部105を介してLAN12に接続される。また、サーバ11は、LAN12または中継機器を介してインターネット等の外部ネットワークに接続されてもよい。
【0018】
記憶部106は、一つ以上のメモリを含む。記憶部106に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、またはキャッシュメモリとして機能する。記憶部106は、サーバ11の動作に用いられる任意の情報、制御・処理プログラム、及び提案データベース109、成約データベース110等のデータベースを格納する。提案データベース109及び成約データベース110の構成については後述する。
【0019】
制御部108は、一つ以上のプロセッサを有する。各プロセッサは、汎用のプロセッサ、または特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限られない。制御部108は、記憶部106に格納される制御・処理プログラムに従って動作することで、サーバ11の動作を統括的に制御するとともに、検索部112、出力部113、更新部114、及び管理部115を構成する。検索部112、出力部113、更新部114、及び管理部115の動作の詳細については後述する。
【0020】
端末装置10は、入出力部100、通信部101、記憶部102、及び制御部103を有する。端末装置10は、たとえばパーソナルコンピュータ、可搬型タブレット端末等の情報処理装置である。
【0021】
入出力部100は、ユーザの入力を検出し、入力情報を制御部103に送る入力インタフェースを有する。かかる入力インタフェースは、たとえば、物理キー、静電容量キー、パネルディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、各種ポインティングデバイス、または音声入力を受け付けるマイクロフォン等を含む任意の入力インタフェースである。また、入出力部100は、制御部103が生成したりサーバ11から取得したりする情報を、ユーザに対して出力する出力インタフェースを有する。かかる出力インタフェースは、たとえば、情報を画像・映像として出力する外付けまたは内蔵のディスプレイ、情報を音声として出力するスピーカ、プリンタ等の外部の出力機器との接続インタフェースを含む、任意の出力インタフェースである。
【0022】
通信部101は、有線または無線LAN規格に対応する通信モジュール、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応するモジュール等を含む。端末装置10は、通信部101を介してLAN12に接続される。また、端末装置10は、通信部101を介してインターネット等の外部ネットワークに接続されたり、移動体通信網に接続されたりしてもよい。
【0023】
記憶部102は、一つ以上のメモリを含む。記憶部102に含まれる各メモリは、たとえば半導体メモリ、磁気メモリ、または光メモリ等であるが、これらに限られない。各メモリは、たとえば主記憶装置、補助記憶装置、またはキャッシュメモリとして機能する。記憶部102は、端末装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。たとえば、記憶部102は、制御・処理プログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してもよい。
【0024】
制御部103は、一つ以上のプロセッサを有する。各プロセッサは、汎用のプロセッサ、または特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限られない。制御部103は、記憶部102に格納される制御・処理プログラムに従って動作することで、端末装置10の動作を統括的に制御するとともに、保険提案部111を構成する。保険提案部111は、見込顧客向けの新規保険提案情報を検索するための、アプリケーションプログラムである。その動作の詳細については後述する。
【0025】
図2は、提案データベース109の構成例を示す図である。提案データベース109は、既存顧客の登録情報21と、その既存顧客向けに過去に作成された保険提案情報である既存保険提案情報22とを対応付けて格納する。既存顧客が未契約者の場合、登録情報21は、その既存顧客の属性情報を含み、既存顧客が既契約者の場合、登録情報21は、その既存顧客の属性情報と、既存顧客が既に有する保険契約に関する保険契約情報とを含む。属性情報は、たとえば、性別、年齢、家計状況、家族構成、他保険会社の保険契約の有無等の項目情報を有する。保険契約情報は、たとえば、契約商品名、前契約保障額、責任準備金、月換算保険料、死亡保障額、定期保険保障額、特定疾病保険保障額、特定状態収入保障保険年金額、総合医療保険日額、生活習慣病入院保険日額等の項目情報を有する。そして、1人の既存顧客に対し複数の保険提案情報が作成された場合には、一つの登録情報21に対し複数の既存保険提案情報22が対応付けられる。
【0026】
かかる提案データベース109は、たとえば、一回的にサーバ11に移植され、後述するように随時更新される。たとえば、営業所内の複数の販売担当者が過去、各々が担当する見込顧客向けに作成した保険提案情報が集約され、提案データベース109としてサーバ11に移植される。そうすることで、営業所内で散逸していた既存の情報資産を営業所全体として共有可能なナレッジベース化することができ、各販売担当者は他の販売担当者が作成した既存保険提案情報を利用することが可能となる。
【0027】
あるいは、一または複数の営業所を有する保険会社の本部部門等においてマスタの提案データベース109を作成し、その提案データベース109を各営業所のサーバ11に移植してもよい。さらに、各営業所のサーバ11から提案データベース109を定期的に中央サーバに集約し、集約した提案データベース109を各営業所のサーバ11に再配布することで、営業所間で情報資産を共有することもできる。すなわち、各営業所の販売担当者が、他の営業所の販売担当者が作成した既存保険提案情報を利用することが可能になる。
【0028】
図3は、保険提案部111の機能構成例を示す図である。保険提案部111は、見込顧客向けの新規保険提案情報を検索するためのアプリケーションプログラムとして、各種指示・情報入力インタフェースと、情報出力インタフェースとをユーザに提供する。保険提案部111は、相互に遷移可能な起動画面31、検索画面32及び印刷画面33を有する。保険提案部111は、起動すると起動画面31を表示する。そして、たとえば販売担当者が起動画面31から検索画面32に遷移し、検索画面32から見込顧客向け新規保険提案情報の検索を指示入力すると、これに応答して検索部112による検索が実行される。
【0029】
<情報提供装置の動作例:検索>
図4は、情報提供装置の動作例を説明するフローチャート図である。ここには、端末装置10の保険提案部111と、サーバ11の検索部112及び出力部113の動作手順が示される。
【0030】
まず、保険提案部111は、販売担当者の指示入力に応答して見込顧客の検索対象情報の設定・検索を検索部112に指示する(手順S401)。見込顧客が未契約者である場合は、検索対象情報は見込顧客の属性情報を含み、見込顧客が既契約者である場合は、検索対象情報は見込顧客の属性情報と保険契約情報とを含む。属性情報は、たとえば、見込顧客の性別、年齢、家計状況、家族構成、他社の保険契約の有無等の項目情報のうちの任意の項目情報を含む。また、保険契約情報は、たとえば、契約商品名、前契約保障額、責任準備金、月換算保険料、死亡保障額、定期保険保障額、特定疾病保険保障額、特定状態収入保障保険年金額、総合医療保険日額、及び生活習慣病入院保険日額等の項目情報のうちの任意の項目情報を有する。
【0031】
検索部112は、保険提案部111からの指示に応答して、検索対象情報を設定する(手順S402)。見込顧客が未契約者であり、かつ過去に保険提案情報が作成されていない新規顧客の場合には、その属性情報は提案データベース109に格納されていない。よって、その場合、検索画面32にて販売担当者が見込顧客の属性情報を入力し、入力された属性情報を検索部112が保険提案部111から取得して、検索部112が属性情報を含む検索対象情報40を設定する。また、見込顧客が過去に保険提案情報が作成された既存顧客である場合には、その属性情報は提案データベース109に格納されている。よって、その場合、見込顧客の属性情報は、顧客ID、氏名等を検索項目として提案データベース109から検索・取得することができる。さらに、見込顧客が契約転換を希望する既契約者でもある場合には、その属性情報に加え保険契約情報が提案データベース109に格納されている。よって、その場合、見込顧客の属性情報と保険契約情報は、たとえば一意に定まる証券番号等を検索項目として提案データベース109から検索・取得することができる。属性情報、またはこれに加えて保険契約情報を提案データベース109から取得する場合、たとえば、顧客ID、氏名、証券番号等の検索項目を検索画面32にて販売担当者が入力し、保険提案部111が検索項目を検索部112に送る。すると、検索部112が検索項目に基づき提案データベース109から見込顧客の属性情報、またはこれに加えて保険契約情報を取得して検索対象情報40を設定する。なお、検索部112は、設定する検索対象情報40の全部を販売担当者に向けて出力してもよいし、一部または全部を出力しなくてもよい。
【0032】
次いで、検索部112は、見込顧客の検索対象情報40と類似する、見込顧客以外の既存顧客の登録情報21を近傍計算に基づいて検索する(手順S403)。検索部112は、検索対象情報40と登録情報21の類似の程度を判断してもよい。具体的には、検索部112は、検索対象情報40と登録情報21で共通する項目情報において、k個(kは任意の自然数)の項目情報を変数として選択する。このとき、検索対象情報40が保険契約情報を有さない場合には、属性情報からk個の項目情報が変数として選択され、検索対象情報40が保険契約情報を有する場合には、属性情報と保険契約情報の両方から合計でk個の項目情報が変数として選択される。そして、検索部112は、検索対象情報40と登録情報21の各変数における値同士の差を導出する。そして、検索部112は、各変数の値の差を用いて、登録情報21に対する検索対象情報40の類似の程度(以降、類似度と称す)を判断する。そして、検索部112は、複数の登録情報21を類似度に応じて優先順位付けしてもよい。
【0033】
たとえば、検索部112は、各変数の値の差が任意に設定される所定範囲に収まるような登録情報21を、検索対象情報40に類似すると判断する。さらに、検索部112は、値の差が所定範囲に収まるような変数の数を、類似度として用いてもよい。たとえば、検索部112は、値の差が所定範囲に収まるような変数の数が多い登録情報21ほど、類似度が高いと判断する。
【0034】
かかる類似度判断の例として、
図5には、属性情報の2つの項目情報と保険契約情報の10個の項目情報を変数とする近傍計算に基づいて検索された、検索対象情報40に類似する登録情報21の例が示される。この例は、属性情報のうち性別及び年齢を、保険契約情報のうち契約商品名、前契約保障額、責任準備金、月換算保険料、死亡保障額、定期保険保障額、特定疾病保険保障額、特定状態収入保障保険年金額、総合医療保険日額、及び生活習慣病入院保険日額を変数として用いて検索された、各変数の値の差が所定の類似条件の範囲に収まるような、登録情報21の例である。すなわち、この例は、性別が同一、年齢差が1歳以内、契約商品名が同一、前契約保障額差が100万円以内、責任準備金差が100万円以内、月換算保険料差が1200円以内、死亡保障額差が400万円以内、定期保険保障額差が100万円以内、特定疾病保険保障額差が10万円以内、特定状態収入保障保険年金額差が50万円以内、総合医療保険日額差が1500円以内、生活習慣病入院保険日額差が1500円以内というそれぞれの類似条件の範囲において、各変数の値の差が類似条件の範囲に収まるような検索例である。
【0035】
近傍計算の別の例では、さらに、検索部112は、登録情報21ごとに各変数の値を正規化し、正規化した値の差の二乗和平方根、すなわち検索対象条件30とその登録情報21のk次元空間における距離を導出する。そして、検索部112は、距離が小さい登録情報21ほど、検索対象情報40への類似度が高い登録情報21として検出してもよい。
【0036】
図4に戻ると、検索部112は、検索対象情報40と類似する登録情報21に対応付けられた既存保険提案情報22を、提案データベース109から新規保険提案情報として取得する(手順S405)。このとき、検索部112は、複数の優先順位付けされた登録情報21に対応する複数の既存保険提案情報22を取得してもよい。そして、出力部113が、取得された一つ以上の新規保険提案情報42を、保険提案部111に向けて出力する(手順S406)。このとき、出力部113は、新規保険提案情報42に含まれる複数の項目情報のうちすべての項目情報を出力してもよいし、予め定められる一部の項目情報を出力してもよい。
【0037】
保険提案部111は、出力部113から送られる新規保険提案情報42を販売担当者に向けて出力する(手順S408)。たとえば、保険提案部111は、新規保険提案情報42をディスプレイに表示する。
図6には、検索画面32における検索結果表示例6が示される。この例では、一つの新規保険提案情報42に含まれる項目情報が示される。すなわち、見込顧客の属性情報に含まれる、氏名、性別、年齢といった項目情報60とともに、新規保険提案情報42に含まれる、契約商品名、月換算保険料、死亡保障額、定期保険保障額、特定疾病保険保障額、特定状態収入保障保険年金額、総合医療保険日額、生活習慣病入院保険日額等の項目情報63が表示される。さらに、複数の既存保険提案情報22を取得したことにより複数の新規保険提案情報42を表示する場合には、新規保険提案情報42ごとに優先順位62を表示してもよい。ここでは、単票形式での表示例が示されるが、たとえば複数の新規保険提案情報42が表形式で表示されてもよい。また、たとえば、販売担当者が
図3に示した印刷画面33への遷移を指示し、印刷画面33にて印刷を指示入力することで、保険提案部111は、新規保険提案情報42を印刷出力してもよい。
【0038】
上述のように、本実施形態の情報提供装置は、見込顧客の少なくとも属性を検索対象情報40とし、そのような検索対象情報40に類似する登録情報21を近傍計算に基づいて検索する。見込顧客と属性が類似する既存顧客は、属性に起因する保険に対するニーズも類似する蓋然性が高い。よって、属性情報を検索対象情報40として近傍計算に基づいて類似度を判断することで、見込顧客と保険に対するニーズが類似する既存顧客を検索することができる。
【0039】
さらに、本実施形態の情報提供装置は、見込顧客の属性に加えて、保険契約情報を検索対象情報40として検索を行うことができる。保険契約情報は、見込顧客のニーズをある程度以上反映していると想定されるので、保険契約情報を検索対象情報40に含めることで、見込顧客が既存の保険契約の見直し(契約転換)を希望する場合に、見込顧客と保険に対するニーズが類似する既存顧客を効率的に検索できる。さらに、契約転換が可能な保障内容と保険料の組合せが既存の保険契約の内容によって制約される場合であっても、類似する保険契約、すなわち類似する制約を有する既存顧客に対し過去に提案した実績を有する保険提案を活用できる。すなわち、予め提案可能な保険提案のなかから見込顧客向けに転換用の保険提案をすることができるので、よりきめ細かな、かつより効率的な提案が可能になる。
【0040】
そして、販売担当者は、検索対象情報40に類似する登録情報21を有する既存顧客向けに作成された既存保険提案情報22を新規保険提案情報42として提案することで、保障内容と保険料の膨大な数の組合せの中から見込顧客のニーズに合致する保険提案を効率良く行うことができる。さらに、本実施形態によれば、見込顧客と類似するニーズを有する既存顧客に対し、過去に販売担当者の属人的な技量に依存して作成された既存保険提案情報22を、新規保険提案情報42として別の販売担当者が再利用できる。よって、技量にばらつきのある販売担当者が逐一見込顧客のニーズを聴取して検索条件を設定する場合と比較したとき、検索条件を設定する属人的な技量を販売担当者間で共有することができるので、営業所全体として、提案品質を均一化することができる。そして、技量が低い販売担当者であっても、技量が高い販売担当者による保険提案情報を利用できるので、営業所全体としての提案品質を高品質化することが可能となる。
【0041】
<情報提供装置の動作例:更新>
販売担当者は、新規保険提案情報42を見込顧客に表示、印刷等の態様で提示することで、保険契約を見込顧客に提案する。本実施形態における情報提供装置は、販売担当者が提案に用いた新規保険提案情報42を、その見込顧客を既存顧客としてこれに対応付けて、新たな既存保険提案情報22として提案データベース109に格納する。そうすることで、このときの見込顧客に属性情報(または、属性情報と保険契約情報)が類似するもののそれ以前の既存顧客とは属性情報(または、属性情報と保険契約情報)が類似しないさらに別の見込顧客に対し、新たに格納された既存保険提案情報22を提案することができる。
【0042】
あるいは、販売担当者がたとえば面談を通じて見込顧客のさらなるニーズを聴取し、ニーズに応じて新規保険提案情報42の内容を変更・調整する必要が生じる場合がある。そのような場合に、本実施形態における情報提供装置は、販売担当者が新規保険提案情報42に対する変更を加えると、その変更を提案データベース109に反映し、提案データベース109を更新する。そうすることで、提案データベース109における既存保険提案情報22が見込顧客のニーズを随時きめ細かく反映するものとなり、次回以降の提案品質をさらに向上させることができる。特に、見込顧客のニーズが時流に応じて変化する場合であっても、提案データベース109を随時更新することで、見込顧客のニーズ変化に柔軟かつ迅速に追随した保険提案が可能になる。
【0043】
このように、本実施形態における情報提供装置によれば、提案データベース109が最適化されうる。かかる更新動作を、
図7を用いて説明する。
【0044】
図7は、情報提供装置による提案データベース109の更新動作を示すフローチャート図である。ここには、端末装置10の保険提案部111と、サーバ11の更新部114の動作手順が示される。
【0045】
保険提案部111は、たとえば、
図6で示した検索結果表示例6にて、あるいはさらに別のインタフェース画面にて、販売担当者から項目情報の変更入力を適宜受け付ける(手順S700)。そして、保険提案部111は、変更入力がなされなければ出力したときの新規保険提案情報42のまま、変更入力がなされた場合には新規保険提案情報42の項目情報を入力に応じて変更して、新規保険提案情報42を更新部114に送って更新を指示する(手順S701)。すると、これに応答して、更新部114は、提案データベース109を更新する(手順S702)。たとえば、見込顧客が未契約者であり、かつ過去に保険提案情報が作成されていない新規顧客の場合には、販売担当者が見込顧客の属性情報を入力することでその属性情報を含む検索対象情報40が設定されている。その場合、更新部114は、新規保険提案情報42を、検索部112が
図4の手順S402で設定した検索対象情報40と対応付け、対応付けた検索対象情報40と新規保険提案情報42をそれぞれ登録情報21と既存保険提案情報22として提案データベース109に格納する。あるいは、見込顧客が過去に保険提案情報が作成された既存顧客である場合、または見込顧客が既契約者である場合には、提案データベース109から取得される見込顧客の属性情報、またはこれに加えて保険契約情報を含む検索対象情報40が設定されている。その場合、更新部114は、検索対象情報40に対応付けて検索された新規保険提案情報42に対応するように、検索されたときの既存保険提案情報22を変更して提案データベース109に格納する。さらにこの場合、検索対象情報40が含む属性情報が変更されている場合には、更新部114は、検索対象情報40に類似するとして検索された登録情報21を、変更された検索対象情報40に対応するように変更して提案データベース109に格納する。
【0046】
なお、販売担当者は、たとえば保険提案部111のさらなる機能、あるいは、端末装置10における保険提案部111とは異なるアプリケーションプログラムを用いて、新規保険提案情報42を新たに生成してもよい。その場合、保険提案部111またはこれとは異なるアプリケーションプログラムから提案データベース109の更新を指示されると、更新部114は、設定された検索対象情報40に新たな新規保険提案情報42を対応付け、対応付けた検索対象情報40と新規保険提案情報42をそれぞれ登録情報21と既存保険提案情報22として提案データベース109に格納する。あるいは、更新部114は、設定された検索対象情報40に類似するとして検索された登録情報21に、新たな新規保険提案情報42を既存保険提案情報22として対応付けて、提案データベース109に格納する。
【0047】
<情報提供装置の動作例:成約時以降>
販売担当者が新規保険契約を見込顧客に提案し、見込顧客が提案に合意すると、販売担当者は、新規保険提案情報に基づく保険契約の締結(または転換)手続きを進める。そのような場合、本実施形態における情報提供装置は、成約に至った新規保険提案情報42を成約データベース110に格納する。成約データベース110は、たとえば、見込顧客の属性情報に、成約に至った新規保険提案情報42を成約済保険契約情報として対応付けて格納する。
【0048】
また、本実施形態における情報提供装置は、成約に至った新規保険提案情報42に対応する既存保険提案情報22に、成約実績を示す成約実績情報を付加する。そうすることで、次回以降、検索部112が複数の既存保険提案情報22を検索して優先順位付けする場合に、登録情報21の検索対象情報40との類似度に代わり、またはこれに加えて、成約実績情報を用いることができる。たとえば、検索部112は、成約実績を有する既存保険提案情報22を、成約実績を有さない既存保険提案情報22より高く優先順位付けする。
【0049】
成約時以降の情報提供装置の動作を、
図8、9を用いて説明する。
【0050】
図8は、情報提供装置による成約データベース110と提案データベース109の更新動作を示すフローチャート図である。ここには、端末装置10の保険提案部111と、サーバ11の管理部115の動作手順が示される。
【0051】
保険提案部111は、たとえば、
図6で示した検索結果表示例6にて、あるいはさらに別のインタフェース画面にて、販売担当者から成約実績情報の入力を適宜受け付け(手順S800)、管理部115に成約実績更新を指示する(手順S801)。あるいは、端末装置10における保険提案部111とは異なるアプリケーションプログラムが、販売担当者から成約実績情報の入力の受付け(手順S800)と管理部115への成約実績更新指示(手順S801)を行ってもよい。成約実績更新指示を受けると、管理部115は、成約に至った新規保険提案情報42を見込顧客の検索対象情報40に含まれる属性情報と対応付けて、それぞれ成約済保険契約情報81、既存顧客属性情報80として、成約データベース110に格納する(手順S802)。次いで、管理部115は、成約データベース110から、格納した既存顧客属性情報80と成約済保険契約情報81とを読み出す(手順S803)。そして、管理部115は、提案データベース109から、既存顧客属性情報80に対応する登録情報21を検索し、その登録情報21に対応するとともに、成約に至った新規保険提案情報42に対応する既存保険提案情報22に成約実績情報を付加して、登録情報21と既存保険提案情報22とを提案データベース109に格納する(手順S804)。
【0052】
上述のようにして提案データベース109を更新した後に検索部112が新たに既存保険提案情報22を検索する際、複数の既存保険提案情報22を、成約実績情報を用いて優先順位付けすることができる。成約実績を有する既存保険提案情報は、成約した既存顧客と属性が類似する見込客においても、ニーズに合致する蓋然性が高い。かかる観点から、検索部112は、成約実績を有する既存保険提案情報を、成約実績を有さない既存保険提案情報より高く優先順位付けする。そして、出力部113が、複数の既存保険提案情報を、優先順位に応じて適宜加工して出力する。そうすることで、販売担当者は、見込顧客のニーズに合致する可能性が高い保険提案を優先して、見込顧客に提案することができる。よって、保険提案の効率がさらに向上しうる。
【0053】
図9は、成約実績情報により優先順位付けされた既存保険提案情報の検索例を示す。ここでは、見込顧客の属性情報と保険契約情報とを含む検索対象情報40を用いて検索対象情報40に類似する複数の登録情報21と、それぞれに対応する既存保険提案情報22とが検索され、検索結果が成約実情報等により優先順位付けされて、出力部113により表形式で表示された例が示される。表90では、各行が1件分の既存保険提案情報22に対応する。かかる表90は、保険提案部111により表示出力されてもよいし、印刷出力されてもよい。
【0054】
表90において、見込顧客の検索対象情報40の項目情報と、その検索対象情報40に類似する登録情報21の項目情報と、その登録情報21に対応する既存保険提案情報22の項目情報とが、対応付けて示される。見込顧客の検索対象情報40は、属性情報の項目情報91(年齢、性別)と、保険契約情報の項目情報92(証券番号、契約商品、月額保険料、死亡保障額)とを含む。また、登録情報21は、属性情報の項目情報93(年齢、性別)と、保険契約情報の項目情報95(証券番号、契約商品、月額保険料、死亡保障額)とを含む。そして、既存保険提案情報22は、各種保険オプション・特約(P1〜P6)の有無(有:1、無:0)を示す項目情報96と、成約実績情報97とを含む。そして、各既存保険提案情報について、見込顧客の検索対象情報40の保険契約情報における月額保険料と、登録情報21の保険契約情報における月額保険料との保険料差98、及び近傍計算による類似度99が示される。類似度99は、検索対象情報40と登録情報21との近傍計算による距離が出力部113により変形されることにより、類似するほど高い数値を示す。
【0055】
出力部113は、表90において、既存保険提案情報22(及び対応する検索対象情報40と登録情報21)を、成約実績情報97を第1のソートキーとして成約実績に応じた優先順に、類似度99を第2のソートキーとして類似度に応じた優先順に、ソートして表示する。すなわち、成約実績を有する(成約実績情報97が「1」)既存保険提案情報22の方が、成約実績を有さない(成約実績情報97が「0」)既存保険提案情報22より高く優先順位付けされている。そして、成約実績情報97が同じ値を有する既存保険提案情報22については、類似度に応じて優先順位付けされている。表90では、たとえば、成約実績を有し、類似度が0.95と最も高い既存保険提案情報22(行900)が、最優先順位を有する。かかる既存保険提案情報22は、見込顧客のニーズに合致する蓋然性が最も高い。このような表90を表示出力または印刷出力することで、販売担当者は最適な保険提案とともにこれに次ぐ代替案を容易に認識し、見込顧客に提案することができる。
【0056】
<変形例>
本実施形態における一つの変形例では、複数の営業所の提案データベース109を、サーバ11より上位の中央サーバに集約し、各営業所の端末装置10がインターネット等の広域ネットワーク経由で中央サーバと情報通信可能に接続される。その場合、各営業所の端末装置10が中央サーバと情報通信をしつつ、中央サーバが上述の説明におけるサーバ11と同じ動作を実行する。その場合、中央サーバが情報提供装置に対応する。
【0057】
あるいは、提案データベース109を、各営業所のサーバと一つまたは複数の中央サーバで分散して保有してもよい。さらに、検索部112、出力部113、更新部114、及び管理部115のいずれかまたはすべてを、各営業所のサーバ11と一つまたは複数の中央サーバで分散して実装してもよい。その場合、検索部112、出力部113、更新部114、及び管理部115を実装する一つまたは複数の装置が情報提供装置に対応する。そうすることで、保険会社全体として情報資産を共有しつつ、情報処理の負荷分散が可能になる。
【0058】
さらに、提案データベース109の一部または全部の複製を各端末装置10が有するとともに、検索部112、出力部113、更新部114、及び管理部115を各端末装置10が実装してもよい。その場合、定期的に端末装置10の提案データベース109の複製を各営業所のサーバ11または中央サーバの提案データベース109と同期させることで、営業所内または営業所間で情報資産を共有できる。その場合、各端末装置10が情報提供装置に対応する。
【0059】
本実施形態によれば、保険提案にかかる情報資産と販売担当者の属人的な技量を営業所内、あるいは営業所間で共有することができ、営業所または保険会社全体として、保険契約の提案の効率と品質の向上をはかることが可能となる。
【0060】
本実施形態は、上述において示される情報提供装置に実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。また、本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を一つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0061】
たとえば、本開示におけるコンピュータその他のハードウェアには、たとえば、汎用コンピュータ、PC(パーソナルコンピュータ)、専用コンピュータ、ワークステーション、PCS(Personal Communications System、パーソナル移動通信システム)、データ処理機能を備えた移動電話機、電子ノートパッド、ラップトップコンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータ処理装置が含まれる。種々の動作は、プログラム命令(ソフトウェア)で実装された専用回路(たとえば、特定機能を実行するために相互接続された個別の論理ゲート)や、一以上のプロセッサにより実行される論理ブロックやプログラムモジュール等により実行される。論理ブロックやプログラムモジュール等を実行する一以上のプロセッサには、たとえば、一以上のマイクロプロセッサ、CPU(中央演算処理ユニット)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子機器、ここに記載する機能を実行可能に設計されたその他の装置及び/またはこれらいずれかの組合せが含まれる。
【0062】
また、制御・処理プログラムの命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントであってもよい。そして、命令は、機械読取り可能な非一時的記憶媒体その他の媒体に格納することができる。コードセグメントは、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラスまたは命令、データ構造もしくはプログラムステートメントのいずれかの任意の組合せを示すものであってもよい。コードセグメントは、他のコードセグメントまたはハードウェア回路と、情報、データ引数、変数または記憶内容の送信及び/または受信を行い、これにより、コードセグメントが他のコードセグメントまたはハードウェア回路と接続される。
【0063】
さらに、本実施形態におけるネットワークには、上述した例以外にも、アドホックネットワーク、MAN(Metropolitan Area Network)、セルラーネットワーク、WPAN(Wireless Personal Area Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network)、地上波無線ネットワーク(Terrestrial Wireless Network)、光ネットワークもしくは他のネットワークまたはこれらいずれかの組合せが含まれる。無線ネットワークの構成要素には、たとえば、アクセスポイント(たとえば、Wi-Fiアクセスポイント)、フェムトセル等が含まれる。さらに、無線通信器機は、Bluetooth(登録商標)以外にも、Wi-Fi(登録商標)、セルラー通信技術またはその他の無線技術及び技術標準を用いた無線ネットワークに接続することができる。
【解決手段】情報提供装置に、既存顧客の属性情報を含む登録情報と当該既存顧客向けの既存保険提案情報とを対応付けた提案データベースを有する記憶部と、見込顧客の属性情報を含む検索対象情報と類似する前記登録情報を近傍計算により検索し、検索された前記登録情報に対応付けられた前記既存保険提案情報を、当該見込顧客向けの新規保険提案情報として前記提案データベースから取得する検索部と、前記新規保険提案情報の少なくとも一部を出力する出力部とを設ける。