特許第6646313号(P6646313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6646313炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法、並びに水和硬化性炭酸マグネシウム材料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646313
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法、並びに水和硬化性炭酸マグネシウム材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/30 20060101AFI20200203BHJP
   C04B 9/00 20060101ALI20200203BHJP
   C01F 5/24 20060101ALN20200203BHJP
【FI】
   C04B28/30 A
   C04B9/00
   !C01F5/24
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-7987(P2016-7987)
(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2016-135738(P2016-135738A)
(43)【公開日】2016年7月28日
【審査請求日】2018年11月26日
(31)【優先権主張番号】特願2015-8562(P2015-8562)
(32)【優先日】2015年1月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 芳行
【審査官】 西垣 歩美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−143433(JP,A)
【文献】 特開平07−267758(JP,A)
【文献】 特開2007−254193(JP,A)
【文献】 特開昭53−003419(JP,A)
【文献】 特開平07−017755(JP,A)
【文献】 特開平01−133919(JP,A)
【文献】 特開昭54−010328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
C01F 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸マグネシウム三水和物を加熱して得られた粉体からなり無水炭酸マグネシウムを20〜100質量%含む水和硬化性炭酸マグネシウム材料を得る工程と、
前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料を水と混和させて水懸濁液を得る工程と、
前記水懸濁液を硬化させる工程を有することを特徴とする、炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法。
【請求項2】
前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料を得る工程が、炭酸マグネシウム三水和物を加熱し、粉砕する工程を含む、請求項1に記載の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製造方法により得られた炭酸マグネシウム三水和物硬化体を水浸漬し、乾燥することを特徴とする、炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法。
【請求項4】
炭酸マグネシウム三水和物を加熱することを特徴とする、粉体からなり無水炭酸マグネシウムを20〜100質量%含む水和硬化性炭酸マグネシウム材料の製造方法。
【請求項5】
炭酸マグネシウム三水和物を加熱し、粉砕することを特徴とする、粉体からなり無水炭酸マグネシウムを20〜100質量%含む水和硬化性炭酸マグネシウム材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法、並びに水和硬化性炭酸マグネシウム材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二水セッコウ(CaSO・2HO)は軽量耐火材として、防火用の石膏ボードや、窓用、彫刻用等の材料に使用されている。火力発電所などの工場の排煙に石灰石や消石灰を反応させて、硫黄酸化物(亜硫酸ガスSO)を除いて回収・副生する排煙脱硫セッコウや、肥料工場でリン鉱石に硫酸を反応させ、リン酸を製造する際に副生するリン酸セッコウ等を原料として二水セッコウを得ることができる。この二水セッコウを焼成して半水セッコウ(CaSO・1/2HO)とし、これを水和させ再び針状結晶の二水セッコウが生成することにより、これらが絡まり硬化する。二水セッコウの含水率は20.9%である。
一方、炭酸マグネシウム三水和物(MgCO・3HO)の含水率は二水セッコウの二倍程度の39.0%であり、安定である。非特許文献1にも開示されている通り、炭酸マグネシウム三水和物を脱水すると、二水和物、一水和物を経て、無水炭酸マグネシウム(MgCO)が生成することが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】土井、加藤、「DTAによる二酸化炭素および窒素中における炭酸マグネシウム三水和物の熱分解過程」、工業化学雑誌、日本化学会、1971年、第74巻第8号、p.1597−1601
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮に、炭酸マグネシウム三水和物を二水セッコウと同様に硬化させることができれば、含水率が高いことからより優れた軽量耐火材として期待できる。
しかしながら、炭酸マグネシウム三水和物を焼成して完全に脱水することを行うと酸化マグネシウム(MgO)が生成してしまい、これを二水セッコウの様に硬化させようとしても、硬化させることができない。また、塩基性炭酸マグネシウム(mMgCO・Mg(OH)・nHO、m:3〜5、n:3〜7)も、同様に硬化しないのが実情である。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、二水セッコウの様に硬化させることが可能な、炭酸マグネシウム三水和物硬化体及びその製造方法、並びに水和硬化性炭酸マグネシウム材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、炭酸マグネシウム三水和物を加熱して得られた粉体からなり無水炭酸マグネシウムを20〜100質量%含む水和硬化性炭酸マグネシウム材料を得る工程と、前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料を水と混和させて水懸濁液を得る工程と、前記水懸濁液を硬化させる工程を有することを特徴とする、炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、炭酸マグネシウム三水和物を加熱することを特徴とする、粉体からなり無水炭酸マグネシウムを20〜100質量%含む水和硬化性炭酸マグネシウム材料の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法に係る水和硬化性炭酸マグネシウム材料を水と混和させると、比較的高濃度で流動性のある水懸濁液とすることができ、この水懸濁液は、室温中で放置して硬化する性質を有する。炭酸マグネシウム三水和物は針状結晶であり、この炭酸マグネシウム三水和物硬化体は優れた機械的強度を有するとともに、炭酸マグネシウム三水和物の比重1.85は、二水セッコウの比重2.23よりも軽く、かつ、高含水率であることから優れた耐火性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】水酸化マグネシウムが二酸化炭素(CO)ガスの吹き込みにより炭酸化する過程を示すX線回折スペクトルである。
図2】炭酸マグネシウム三水和物が加熱により炭酸マグネシウム一水和物に変化する過程を示すX線回折スペクトルである。
図3】炭酸マグネシウム三水和物硬化体の強さに及ぼす混水量の影響を表すグラフである。
図4】炭酸マグネシウム三水和物硬化体の強さに及ぼす水和温度の影響を表すグラフである。
図5】250℃、40minの加熱条件で得られた水和硬化性炭酸マグネシウム材料水懸濁液の、各水和温度における電気伝導度の変化を表すグラフである。
図6】炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真である。
図7】炭酸マグネシウム三水和物硬化体の強さに及ぼす混水量の影響を表すグラフである。
図8】炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真である。
図9】炭酸マグネシウム三水和物硬化体の強さに及ぼす粉砕時間の影響を表すグラフである。
図10】炭酸マグネシウム三水和物硬化体及び二水セッコウ硬化体の強さに及ぼす浸漬の影響を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<水和硬化性炭酸マグネシウム材料>
本発明に係る水和硬化性炭酸マグネシウム材料は、炭酸マグネシウム三水和物を加熱して得られた粉体からなり無水炭酸マグネシウムを20〜100質量%含むことを特徴とする。
【0011】
炭酸マグネシウム三水和物は公知の合成することができるが、例えば、水酸化マグネシウムを水に懸濁させつつCOガスを吹き込んで炭酸化させることにより合成することができる。炭酸マグネシウム三水和物は白色の針状結晶である。
【0012】
本発明の水和硬化性炭酸マグネシウム材料は、炭酸マグネシウム三水和物を加熱して得られた粉体からなる。炭酸マグネシウム三水和物を適当な条件で加熱すると構造水の一部が解かれて、炭酸マグネシウムが生成する。本発明の水和硬化性炭酸マグネシウム材料は、無水炭酸マグネシウムを20〜100質量%含み、20〜80質量%含むことが好ましく、25〜60質量%含むことがより好ましく、28〜50質量%含むことが特に好ましい。炭酸マグネシウム三水和物の加熱温度は、180〜400℃が好ましく、200〜350℃がより好ましく、250〜300℃が特に好ましい。炭酸マグネシウム三水和物の加熱時間は、20〜60minが好ましく、30〜50minがより好ましく、30〜40minが特に好ましい。
【0013】
炭酸マグネシウム三水和物を加熱しただけでも水和硬化性炭酸マグネシウム材料を得ることができるが、更に、粉砕する工程を経ることが好ましい。粉砕方法としては、ボールミル、ロッドミル、ジェットミル等公知の方法を採用することができる。ボールミルによる方法として、プラスチック容器、プラスチック球を用いることができる。
【0014】
本発明の水和硬化性炭酸マグネシウム材料は粉体からなり、その平均粒子径は1〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、20〜40μmが特に好ましい。水和硬化性炭酸マグネシウム材料の脱水の総量は、TG測定により測定することができ、20〜100質量%含み、20〜80質量%含むことが好ましく、25〜60質量%含むことがより好ましく、28〜50質量%含むことが特に好ましい。
【0015】
本発明の水和硬化性炭酸マグネシウム材料は、水と混和させると、比較的高濃度で流動性のある水懸濁液とすることができ、この水懸濁液は、室温中で放置して硬化する性質を有する。
【0016】
<炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法>
本発明に係る炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法は、炭酸マグネシウム三水和物を加熱して得られた粉体からなり無水炭酸マグネシウムを20〜100質量%含む水和硬化性炭酸マグネシウム材料を得る工程と、前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料を水と混和させて水懸濁液を得る工程と、前記水懸濁液を硬化させる工程を有することを特徴とする。
【0017】
前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料を水と混和させて流動性のある水懸濁液を得るには、混水量(前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料100gに対する水の割合,水100g使用する場合は混水量100%)×100)は、80〜150質量%であることが好ましく、85〜120質量%であることがより好ましく、85〜90質量%であることが特に好ましい。混和させる水の温度は通常0〜40℃程度である。
【0018】
前記水懸濁液を硬化させる際の水の温度は、通常0〜40℃程度である。
また、不均一の状態(塊状)の混水量90〜100質量%の前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料と水の混合物に超音波を照射すると、液体のような流動性をもつ均一なスラリーとなる。超音波の照射は、単独の超音波発生源を用いて行なってもよいが、複数の超音波発生源を用いて行なってもよい。超音波の発生方法は特に限定されず、例えばランジュバン型、ホーン型等が挙げられる。複数の超音波の発生源を用いる場合、ランジュバン型の発生源とホーン型の発生源とを併用するのが好ましい。用いる超音波の周波数は20〜500kHzが好ましく、さらに好ましくは20〜200kHzであり、特に好ましくは20〜100kHzである。超音波の照射時間は、前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料と水との混合物がスラリー化して水混濁液となるまで行えばよく、超音波発生源の大きさや前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料の量により異なるが、通常0.5〜30minであり、好ましくは0.5〜10min、特に好ましくは0.5〜5minである。
【0019】
前記水和硬化性炭酸マグネシウム材料と水とを混和させて得られる水懸濁液を通常の手段により成型、乾燥することにより炭酸マグネシウム三水和物硬化体が得られる。成型は、水懸濁液を所望の型枠に流し込み、放置することにより水和を進行させ、炭酸マグネシウム三水和物を凝結させることにより行なわれる。通常、脱水してから乾燥させる。乾燥は、45℃以下で重量変化が認められなくなるまで行なわれる。これにより、炭酸マグネシウム三水和物硬化体が得られる。
【0020】
得られた炭酸マグネシウム三水和物硬化体を水浸漬し、乾燥することも好ましい。この炭酸マグネシウム三水和物硬化体は水硬性を示し、水中に、例えば1日〜30日浸漬することにより、圧縮強さ、曲げ強さを増大させることができる。乾燥工程は、例えば、45℃以下の乾燥機内で行うことができる。
【0021】
<炭酸マグネシウム三水和物硬化体>
本発明に係る炭酸マグネシウム三水和物硬化体は、上記本発明に係る炭酸マグネシウム三水和物硬化体の製造方法により得られたことを特徴とする。
こうして得られる炭酸マグネシウム三水和物硬化体は、圧縮強さが通常1MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは10MPa以上と高い値を示す。
【0022】
本発明においては、炭酸マグネシウム三水和物硬化体の補強、軽量化等の目的で、本発明の効果を損ねない範囲で軽量骨材、繊維、樹脂、添加剤等を添加することができる。
【実施例】
【0023】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0024】
[実施例1]
<炭酸マグネシウム三水和物の合成>
60gの水酸化マグネシウムを1Lの純水に撹拌速度250rpmで懸濁させながら、二酸化炭素(CO)ガスを0.5L/minの流量で2.0h吹き込んで炭酸化させ、炭酸マグネシウム三水和物懸濁液を得た。濾過し、45℃で24時間乾燥して、90gの炭酸マグネシウム三水和物を得た。なお、撹拌時間(COガス吹き込み時間)を0.5h、1.0h、1.5h、2.0hとして得られた炭酸マグネシウムのX線回折スペクトルを図1に示す。図1から、水酸化マグネシウムが炭酸化して、概ね2時間で炭酸マグネシウム三水和物に変化した様子が分かる。
【0025】
<水和硬化性炭酸マグネシウム材料の合成>
得られた炭酸マグネシウム三水和物の約120gを250℃の加熱炉で40min加熱して、約63gの粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)を得た。この粉体をTG測定した結果、脱水・脱炭酸の総量は58%であり、この粉体の無水炭酸マグネシウムの含有量は36質量%、炭酸マグネシウム一水和物の含有量は64質量%であった。無水炭酸マグネシウムの脱炭酸の総量は52.2%であり、炭酸マグネシウム一水和物の脱水・脱炭酸の総量は60.6%である。
この粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)10gを、4℃、25℃、40℃の水200gにそれぞれ添加し、水懸濁液の電気伝導度を測定した結果を図5に示す。
炭酸マグネシウム三水和物のX線回折スペクトル、炭酸マグネシウム三水和物を250℃の加熱炉で10、20、30min加熱して得られた紛体のX線回折スペクトル、並びに、この粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)のX線回折スペクトルを、図2に示す。
【0026】
<炭酸マグネシウム三水和物硬化体の作製>
得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約90gを約90gの純水と25℃、5minで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを2×2×8cmの真ちゅう製型枠に流し込み、45℃以下で、2日間、重量変化が認められなくなるまで放置・乾燥して、硬化させた。得られた硬化体の曲げ強度を、万能強度試験機を用いて測定したところ、曲げ強度は4.0MPaであった。また、硬化体の圧縮試験をJIS R 9112に準じて行ったところ、圧縮強度は9.4MPaであった。これらの結果を、後述する実施例2、3と共に図3、後述する実施例4、5と共に図4に示す。
また、この実施例1の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を図6(b)に示す。
【0027】
[実施例2]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを約110gの純水と25℃で混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は3.2MPa、圧縮強度は8.2MPaであった。これらの結果を、図3に示す。
【0028】
[実施例3]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを約120gの純水と25℃、5minで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は1.2MPa、圧縮強度は3.8MPaであった。これらの結果を、図3に示す。
【0029】
[実施例4]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約90gを4℃の90g純水と、5minで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は4.2MPa、圧縮強度は10.2MPaであった。これらの結果を、図4に示す。この実施例4の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を図6(a)に示す。
【0030】
[実施例5]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約90gを40℃の90g純水と、5minで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は2.2MPa、圧縮強度は9.2MPaであった。これらの結果を、図4に示す。この実施例5の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を図6(c)に示す。
【0031】
[実施例6]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを2℃の100g純水とで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は4.2MPa、圧縮強度は10.4MPaであった。これらの結果を、図7に示す。
【0032】
[実施例7]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを2℃の95g純水とで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は4.4MPa、圧縮強度は10.2MPaであった。これらの結果を、図7に示す。
また、この実施例7の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を図8(a)(b)に示す。
【0033】
[実施例8]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを2℃の90g純水とで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は6.8MPa、圧縮強度は15.0MPaであった。これらの結果を、図7に示す。
また、実施例8の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の空隙率を次の式で求めたところ、51.2%であった。
[1−(硬化体重量/硬化体作製に用いた試料の密度/硬化体の体積)]×100
=[1−(29/1.86/32)]×100=51.2%
【0034】
[比較例1]
実施例1の<炭酸マグネシウム三水和物の合成>において、濾過・乾燥して得られた炭酸マグネシウム三水和物の120gを、120gの純水と混和させて水懸濁液とし、これを2×2×8cmの真ちゅう製型枠に流し込んだが硬化しなかった。
【0035】
[比較例2]
実施例1において、炭酸マグネシウム三水和物の約90gを250℃の加熱炉で40min加熱したところを180℃の加熱炉で30min加熱に変更して、脱水・脱炭酸量が61%の炭酸マグネシウム一水和物(MgCO・HO)を多く含む粉体を得た。
この粉体の120gを、120gの純水と混和させて水懸濁液とし、これを2×2×8cmの真ちゅう製型枠に流し込み、硬化させた。乾燥させた硬化体の曲げ強さは0.5MPa、圧縮強さは1.0MPaであった。
【0036】
[比較例3]
試薬焼セッコウ120gに対して25℃の水を108g添加して硬化させた場合,圧縮強さは9MPa,曲げ強さは6.5MPaであった。同じ混水量であれば炭酸マグネシウム加熱物を用いたほうが強度の発現がみられた。
【0037】
[実施例9〜12]
実施例1において,得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)を15g採取し、プラスチック容器に15g添加し、同じ材質のプラスチック球を入れ、300rpmで1〜5分間粉砕した(実施例9:0分間、実施例10:1分間、実施例11:3分間、実施例12:5分間)。これらを混水量85%、初期水和温度2℃で硬化体を作製し、その曲げ強さおよび圧縮強さを測定したところ、曲げ強さはおよそ5MPaのままであったが、圧縮強さは粉砕時間の延長により増大し、最大16.1MPaまで強くなった(実施例12)。これらの結果を、図9に示す。
【0038】
[実施例13]
実施例7において混水量100%で作製した炭酸マグネシウム三水和物硬化体(浸漬なし)を水中に1日間浸漬させた後の炭酸マグネシウム三水和物硬化体(未乾燥)を、乾燥させたところ、驚くべきことに圧縮強さ、曲げ強さはそれぞれ9.4MPa、5.0MPaまで増大した(乾燥)。これらの結果を、二水セッコウ硬化体の結果と共に、図10に示す。水に浸漬させると、二水セッコウ硬化体より炭酸マグネシウム三水和物硬化体の方が強さは向上し、水硬性を示すことが確かめられた。
この実施例12の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を図8(c)(d)に示す。
【0039】
[実施例14]
実施例13において、水中への浸漬期間を、30日とした他は、同様にして、炭酸マグネシウム三水和物硬化体を、乾燥させたところ、圧縮強さ、曲げ強さはそれぞれ15MPa、0.2MPaであった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の比重1.85は、二水セッコウの比重2.23よりも軽く、かつ、含水量も多い。したがって、本発明の炭酸マグネシウム三水和物硬化体は、二水セッコウに代わる耐火性に優れた軽量耐火材としてとして期待できる。また、環境破壊の原因となる二酸化炭素を生成プロセスの原料に用いることができることから、二酸化炭素削減効果が期待できるほか、二水セッコウの場合の様に廃棄物処理の際に硫化水素を発生する懸念がない。特に、火災が生じやすい場所での耐火材としての使用や、比重が軽く遮音性に優れるために超高層マンションの間仕切り材や道路の遮音壁などとして、代替材としての利用が考えられる。
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