【実施例】
【0023】
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0024】
[実施例1]
<炭酸マグネシウム三水和物の合成>
60gの水酸化マグネシウムを1Lの純水に撹拌速度250rpmで懸濁させながら、二酸化炭素(CO
2)ガスを0.5L/minの流量で2.0h吹き込んで炭酸化させ、炭酸マグネシウム三水和物懸濁液を得た。濾過し、45℃で24時間乾燥して、90gの炭酸マグネシウム三水和物を得た。なお、撹拌時間(CO
2ガス吹き込み時間)を0.5h、1.0h、1.5h、2.0hとして得られた炭酸マグネシウムのX線回折スペクトルを
図1に示す。
図1から、水酸化マグネシウムが炭酸化して、概ね2時間で炭酸マグネシウム三水和物に変化した様子が分かる。
【0025】
<水和硬化性炭酸マグネシウム材料の合成>
得られた炭酸マグネシウム三水和物の約120gを250℃の加熱炉で40min加熱して、約63gの粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)を得た。この粉体をTG測定した結果、脱水・脱炭酸の総量は58%であり、この粉体の無水炭酸マグネシウムの含有量は36質量%、炭酸マグネシウム一水和物の含有量は64質量%であった。無水炭酸マグネシウムの脱炭酸の総量は52.2%であり、炭酸マグネシウム一水和物の脱水・脱炭酸の総量は60.6%である。
この粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)10gを、4℃、25℃、40℃の水200gにそれぞれ添加し、水懸濁液の電気伝導度を測定した結果を
図5に示す。
炭酸マグネシウム三水和物のX線回折スペクトル、炭酸マグネシウム三水和物を250℃の加熱炉で10、20、30min加熱して得られた紛体のX線回折スペクトル、並びに、この粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)のX線回折スペクトルを、
図2に示す。
【0026】
<炭酸マグネシウム三水和物硬化体の作製>
得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約90gを約90gの純水と25℃、5minで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを2×2×8cmの真ちゅう製型枠に流し込み、45℃以下で、2日間、重量変化が認められなくなるまで放置・乾燥して、硬化させた。得られた硬化体の曲げ強度を、万能強度試験機を用いて測定したところ、曲げ強度は4.0MPaであった。また、硬化体の圧縮試験をJIS R 9112に準じて行ったところ、圧縮強度は9.4MPaであった。これらの結果を、後述する実施例2、3と共に
図3、後述する実施例4、5と共に
図4に示す。
また、この実施例1の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を
図6(b)に示す。
【0027】
[実施例2]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを約110gの純水と25℃で混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は3.2MPa、圧縮強度は8.2MPaであった。これらの結果を、
図3に示す。
【0028】
[実施例3]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを約120gの純水と25℃、5minで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は1.2MPa、圧縮強度は3.8MPaであった。これらの結果を、
図3に示す。
【0029】
[実施例4]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約90gを4℃の90g純水と、5minで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は4.2MPa、圧縮強度は10.2MPaであった。これらの結果を、
図4に示す。この実施例4の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を
図6(a)に示す。
【0030】
[実施例5]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約90gを40℃の90g純水と、5minで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は2.2MPa、圧縮強度は9.2MPaであった。これらの結果を、
図4に示す。この実施例5の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を
図6(c)に示す。
【0031】
[実施例6]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを2℃の100g純水とで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は4.2MPa、圧縮強度は10.4MPaであった。これらの結果を、
図7に示す。
【0032】
[実施例7]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを2℃の95g純水とで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は4.4MPa、圧縮強度は10.2MPaであった。これらの結果を、
図7に示す。
また、この実施例7の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を
図8(a)(b)に示す。
【0033】
[実施例8]
実施例1において、得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)の約100gを2℃の90g純水とで混和させて流動性の水懸濁液とし、これを実施例1と同様に、硬化させて機械強度を測定したところ、曲げ強度は6.8MPa、圧縮強度は15.0MPaであった。これらの結果を、
図7に示す。
また、実施例8の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の空隙率を次の式で求めたところ、51.2%であった。
[1−(硬化体重量/硬化体作製に用いた試料の密度/硬化体の体積)]×100
=[1−(29/1.86/32)]×100=51.2%
【0034】
[比較例1]
実施例1の<炭酸マグネシウム三水和物の合成>において、濾過・乾燥して得られた炭酸マグネシウム三水和物の120gを、120gの純水と混和させて水懸濁液とし、これを2×2×8cmの真ちゅう製型枠に流し込んだが硬化しなかった。
【0035】
[比較例2]
実施例1において、炭酸マグネシウム三水和物の約90gを250℃の加熱炉で40min加熱したところを180℃の加熱炉で30min加熱に変更して、脱水・脱炭酸量が61%の炭酸マグネシウム一水和物(MgCO
3・H
2O)を多く含む粉体を得た。
この粉体の120gを、120gの純水と混和させて水懸濁液とし、これを2×2×8cmの真ちゅう製型枠に流し込み、硬化させた。乾燥させた硬化体の曲げ強さは0.5MPa、圧縮強さは1.0MPaであった。
【0036】
[比較例3]
試薬焼セッコウ120gに対して25℃の水を108g添加して硬化させた場合,圧縮強さは9MPa,曲げ強さは6.5MPaであった。同じ混水量であれば炭酸マグネシウム加熱物を用いたほうが強度の発現がみられた。
【0037】
[実施例9〜12]
実施例1において,得られた粉体(水和硬化性炭酸マグネシウム材料)を15g採取し、プラスチック容器に15g添加し、同じ材質のプラスチック球を入れ、300rpmで1〜5分間粉砕した(実施例9:0分間、実施例10:1分間、実施例11:3分間、実施例12:5分間)。これらを混水量85%、初期水和温度2℃で硬化体を作製し、その曲げ強さおよび圧縮強さを測定したところ、曲げ強さはおよそ5MPaのままであったが、圧縮強さは粉砕時間の延長により増大し、最大16.1MPaまで強くなった(実施例12)。これらの結果を、
図9に示す。
【0038】
[実施例13]
実施例7において混水量100%で作製した炭酸マグネシウム三水和物硬化体(浸漬なし)を水中に1日間浸漬させた後の炭酸マグネシウム三水和物硬化体(未乾燥)を、乾燥させたところ、驚くべきことに圧縮強さ、曲げ強さはそれぞれ9.4MPa、5.0MPaまで増大した(乾燥)。これらの結果を、二水セッコウ硬化体の結果と共に、
図10に示す。水に浸漬させると、二水セッコウ硬化体より炭酸マグネシウム三水和物硬化体の方が強さは向上し、水硬性を示すことが確かめられた。
この実施例12の炭酸マグネシウム三水和物硬化体の走査型電子顕微鏡写真を
図8(c)(d)に示す。
【0039】
[実施例14]
実施例13において、水中への浸漬期間を、30日とした他は、同様にして、炭酸マグネシウム三水和物硬化体を、乾燥させたところ、圧縮強さ、曲げ強さはそれぞれ15MPa、0.2MPaであった。