(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被処理物は、茶、葉茎菜類、海草類、きのこ類、ゴマ、及びコショウから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の殺菌処理方法。
前記被処理物は、殺菌処理前の水分含有量に対する殺菌処理後の水分含有量の増加量が10質量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の殺菌処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した殺菌処理方法の第1の実施形態を
図1,2にしたがって説明する。
【0016】
本実施形態の被処理物に加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を接触させる工程を含む殺菌処理方法は、被処理物として粉末状又は粒状の茎葉体、藻類、菌類、薬味種子、及び香辛料から選ばれる少なくとも一種(以下、「粉末状又は粒状の茎葉体等」という)が適用される。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの中で、粉末状又は粒状の茎葉体及び香辛料に好ましく適用される。
【0017】
茎葉体としては、例えば茶、葉茎菜類等が挙げられる。粉末状の茶としては、粉茶、粉末茶、及び抹茶のいずれも含むものとする。葉茎菜類としては、公知の野菜を適宜採用することができ、例えば白菜、キャベツ、ホウレンソウ、レタス、ブロッコリー、ネギ、玉ねぎ等が挙げられる。藻類としては、例えば海苔、コンブ、ワカメ、ヒジキ等の海藻類が挙げられる。菌類としては、例えばシイタケ、マッシュルーム、エノキタケ、シメジ等のきのこ類が挙げられる。薬味種子としては、例えばゴマ、クルミ、ピーナッツ等が挙げられる。粉末状又は粒状のゴマとしては、ゴマの種そのもの、及びゴマの種をすり潰したもののいずれも含むものとする。香辛料としては、例えばコショウ、山椒、七味唐辛子又はその材料等が挙げられる。粉末状又は粒状のコショウ又は山椒としては、それらの実そのもの、それらの実をすり潰したもののいずれも含むものとする。
【0018】
被処理物の大きさは、具体的には、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が、好ましくは50μm〜5mm、より好ましくは100μm〜3mm、さらに好ましくは200μm〜2mm程度の大きさの範囲内であれば適宜採用することができる。なお、粉末状又は粒状には、例えば造粒した顆粒状、粉砕したもの、微細化したもの等を含むものとする。
【0019】
殺菌処理方法の対象となる被処理物の水分含有量は、特に限定されないが、本実施形態の殺菌処理方法は、例えば乾燥率の高い被処理物にも適用することができる。被処理物の水分含有量は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。乾燥率の高い原料に適用する場合、さらに被処理物中における食物繊維の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。食物繊維の含有量が10質量%以上の場合、加熱媒体により殺菌処理が行われる際に、吸湿が抑制され、水分含有量の増加抑制等の品質保持性をより向上させることができる。
【0020】
加熱媒体である過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体の生成方法は、特に限定されず、公知の装置を使用して生成させることができる。過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体の加熱処理雰囲気中で被処理物を接触させて、殺菌処理する方法としては、例えば
図1に示される殺菌処理装置10を用いて実施することができる。以下、本実施形態の殺菌処理方法に用いられる殺菌処理装置10について説明する。
【0021】
図1に示すように、殺菌処理装置10の搬送手段を構成する搬送ベルト11は、合成樹脂製の無端状のベルトであり、搬送方向の上流及び下流側にそれぞれ配されている駆動ロール12,13に巻き付けられている。搬送ベルト11は、通気性を有する布状に成形され、上面に搬送面11aを有している。搬送ベルトの素材としては、耐熱性を有する合成樹脂であれば特に限定されないが、好ましくはエンジニアリングプラスチックが用いられる。エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ナイロン等のポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン等の芳香族ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの中で、耐熱性及び耐久性に優れ、また搬送ベルト11の再生時における洗浄性及び乾燥性に優れるポリエーテルエーテルケトン等の芳香族ポリエーテルケトンが好ましい。布状としては、例えば編物、織物、不織布等が挙げられる。これらの中で、網目の形成により通気性の確保が容易な編物又は織物が好ましい。
【0022】
搬送ベルト11の搬送方向の上流側の上方には、ホッパー14が図示しない殺菌処理装置10の本体に固定され、ホッパー14の下端部には被処理物を搬送面11a上に吐出量を調整しながら吐出する吐出口15が設けられている。ホッパー14の搬送方向の下流側には、搬送ベルト11上に積載された被処理物の厚み(搬送ベルト11の上面から搬送ベルト11上に積載された被処理物の上面までの高さ)を調整するための厚み調整板16が上下方向に可動可能に殺菌処理装置10の本体に取り付けられている。
【0023】
調整板16の搬送方向の下流側には、加熱処理装置17が殺菌処理装置10の本体に固定されている。加熱処理装置17は、内部に過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体により加熱処理するための加熱処理室17aが設けられている。加熱処理装置17の搬送方向上流側の側面には搬送ベルト11を搬入する入口17bが開口形成されている。加熱処理装置17の搬送方向下流側の側面には搬送ベルト11を搬出する出口17cが開口形成されている。加熱処理装置17は、搬送ベルト11を入口17bから出口17cへ挿通させている。
【0024】
加熱処理室17aの上方には、仕切り板18を介し、加熱室17eが設けられている。仕切り板18の搬送方向の上流側の端部は、加熱処理室17a内の搬送方向の上流側の壁面と離間して設けられ、その離間した隙間により加熱処理室17aと連通させる連通路20が形成されている。仕切り板18の搬送方向の下側の端部は、加熱処理室17a内の搬送方向の下流側の壁面と離間して設けられ、その離間した隙間により加熱処理室17aと連通させる連通路21が形成されている。仕切り板18の左右方向及び前後方向の中央には、加熱処理室17a内の加熱媒体を取り入れるための円形の取り入れ口18aが開口されている。
【0025】
加熱室17eは、仕切り板18の上面18bと加熱処理装置17の天板17dの内面17fとの間に形成されている。加熱室17eは、加熱処理室17a内の加熱媒体を取り入れ口18aから吸い込むための吸い込みファン22、及び加熱手段としてコイル状加熱部23,24が取り付けられている。吸い込みファン22は、複数の羽根から形成され、取り入れ口18aの上方において、天板17dに回転可能に取り付けられている。吸い込みファン22は、図示しないモータに接続され、加熱処理室17a内の加熱媒体を取り入れ口18aから吸い込み、加熱室17e内に送り出すように回転する。コイル状加熱部23,24は、吸い込みファン22の搬送方向の上流側及び下流側のそれぞれにおいてコイルの軸線が搬送方法と平行になるように配されている。コイル状加熱部23,24は、両端部の各配線23a,24aによりそれぞれ天板17dの内面17fに吊り下げられている。加熱処理室17aを構成する内壁には、加熱媒体噴射ノズル25〜27が固定されている。
【0026】
図2に示されるように、加熱媒体噴射ノズル25は、管状に構成され、殺菌処理装置10の正面側から見たときに(搬送方向の下流側から上流方向を見たときに)、左右の長手方向が、搬送方向に対し、垂直になるように配されている。加熱媒体噴射ノズル25の側面には、過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を噴射する噴出口25aが複数形成されている。
図1に示されるように、加熱媒体噴射ノズル25は、搬送ベルト11の下方において、加熱処理室17aの搬送方向の上流側と下流側に1つずつ設けられている。2つの加熱媒体噴射ノズル25は、それぞれ搬送方向の上流及び下流側の方向に噴出口25aを向け、且つ各加熱媒体噴射ノズル25の噴出口25aが互いに対向するように配されている。2つの加熱媒体噴射ノズル25は、2つの加熱媒体生成手段33にそれぞれ接続されている。加熱媒体生成手段33は、加熱処理装置17の外において、殺菌処理装置10本体に固定されている円筒状の加熱チャンバ29と、該加熱チャンバ29と加熱媒体噴射ノズル25とを接続する加熱配管28、及び加熱チャンバ29内に水を供給する供給配管30から構成されている。
【0027】
加熱媒体噴射ノズル26は、加熱媒体噴射ノズル25と同様に、管状に構成され、殺菌処理装置10の正面側から見たときに、左右の長手方向が、搬送方向に対し、垂直になるように配されている。加熱媒体噴射ノズル26の側面には、加熱媒体噴射ノズル25と同様に、過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を噴射する噴出口26aが複数形成されている。
図1に示されるように、加熱媒体噴射ノズル26は、搬送ベルト11の上方において、加熱処理室17aの搬送方向の上流側と下流側に1つずつ設けられている。2つの加熱媒体噴射ノズル26は、それぞれ搬送方向の上流及び下流側の方向に噴出口26aを向け、且つ各加熱媒体噴射ノズル26の噴出口26aが互いに対向するように配されている。2つの加熱媒体噴射ノズル26は、加熱媒体噴射ノズル25と同様に、2つの加熱媒体生成手段33とそれぞれ加熱配管31を介して接続されている。
【0028】
加熱媒体噴射ノズル27は、加熱処理室17aの上部において、取り入れ口18aを殺菌処理装置10の左右方向から挟む位置において一対設けられている。加熱媒体噴射ノズル27の下面には、過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を噴射する噴出口27aが垂直下方の搬送面11aに対向するように配されている。2つの加熱媒体噴射ノズル27は、加熱媒体噴射ノズル25と同様に、2つの加熱媒体生成手段33とそれぞれ加熱配管32を介して接続されている。
【0029】
搬送ベルト11は、加熱処理装置17の搬送方向下流側において駆動ロール13へ向かい、駆動ロール13で下方へ折り返し、搬送面11aが下側に向けられる。駆動ロール13の下方には加熱処理後の処理物を回収するための回収手段34が設けられる。回収手段34は、駆動ロール13の周面を搬送する搬送ベルト11の搬送面11aから処理物が重力落下した際、処理物を受け取る開口部34aを上端に有している。回収手段34の上方に位置し、駆動ロール13から下方へ折り返された搬送ベルト11の搬送面11a上には、殺菌処理装置10の本体に固定される付着物分離用の剥離装置35が配されている。剥離装置35の形状は、処理物の種類、大きさ等により適宜設定することができる。例えば、ヘラ状、刃物状、刷毛状等を採用することができる。
【0030】
剥離装置35の帰路方向の下流側には、張力プーリ36,37を介し、吹き付け手段38が設けられている。吹き付け手段38は、殺菌処理装置10の下部において、図示しない蒸気供給管を介し、殺菌処理装置10の本体に固定されている。吹き付け手段38は、蒸気供給管、及び該蒸気供給管に接続され、搬送ベルト11の幅方向へ延びる2本の管状の蒸気噴射ノズル38aから構成されている。2本の蒸気噴射ノズル38aは、平行に配され、搬送ベルト11の裏面11bと水平になるように配置されている。蒸気噴射ノズル38aの下側には、水蒸気を噴射する噴出口38bが形成されている。噴出口38bは、搬送ベルト11の幅方向全面に蒸気を噴出するために、蒸気噴射ノズル38aの長手方向において等間隔に複数形成されている。噴出口38bは、上側に向けられた搬送ベルト11の裏面11bと対向するように垂直下方に向けられている。
【0031】
吹き付け手段38の帰路方向の下流側には、張力プーリ39を介し、円筒状のドラムドライヤ40,41が殺菌処理装置10の本体に回動可能に取り付けられている。ドラムドライヤ40,41は、回転する円筒状のドラムの内部に加熱媒体、例えば蒸気が投入され、ドラム表面を加熱可能に構成される。ドラムドライヤ40は、帰路方向の上流側に配され、搬送周面が帰路方向へ回動しながら、搬送ベルト11の裏面11bと接するように構成されている。ドラムドライヤ41は、帰路方向の下流側に配され、搬送周面が帰路方向へ回動しながら搬送ベルト11の搬送面11aと接するように構成されている。ドラムドライヤ41を通過した搬送ベルト11は、駆動ロール12に戻る。
【0032】
本実施形態の殺菌処理方法を、殺菌処理装置10を用いて実施する方法について説明する。
まず、ホッパー14の吐出口15から被処理物が搬送方向へ可動している搬送ベルト11の搬送面11aに連続投与され、搬送面11aに被処理物を載せる工程が行われる。搬送面11a上に投与された被処理物は、搬送されながら調整板16の高さ面により厚みが調整される。搬送面11a上の被処理物の厚みは、特に限定されず、被処理物の種類又は大きさ等の観点から、適宜実用上の範囲内において設定される。具体的には、殺菌処理の確実性、効率性、品質保持性等の観点から、好ましくは4〜22mm、より好ましくは6〜20mmの範囲内において設定される。次に、厚みが調整された被処理物は、加熱処理装置17の入口17bから加熱処理室17a内に搬入され、加熱殺菌処理する工程が行われる。
【0033】
加熱処理室17a内に被処理物が搬入された後、加熱媒体噴射ノズル25〜27の各噴出口25a〜27aからそれぞれ加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体Fが噴射される。分散体Fは、加熱媒体生成手段33より供給される。まず、供給配管30より該供給配管30に接続される図示しないポンプを介し、加熱チャンバ29内に所定量の水が供給される。水の供給量は、加熱処理室17a内の温度及び分散体中における微細水滴の含有量等により適宜設定される。加熱チャンバ29内を所定の温度及び所定の圧力で沸騰させることにより加熱配管28,31,32内に水蒸気Mと熱水Hからなる気液混合体が生成する。この加熱配管28,31,32内の水蒸気Mと熱水Hは、供給配管30からの水の圧力及び沸騰により生成した水蒸気の圧力により、加熱媒体噴射ノズル25〜27の各噴出口25a〜27aより、過熱水蒸気と微細水滴が混在する状態の分散体Fとして、加熱処理室17a内に噴出される。加熱チャンバ29内の温度及び圧力は、加熱処理室17a内の温度及び分散体中の微細水滴の含有量等により適宜設定されるが、例えば120℃以上、0.19MPa以上の条件を採用することにより115℃程度に制御された過熱水蒸気と高温の微細水滴が混在する状態の分散体Fを加熱処理室17a内に噴出することができる。
【0034】
加熱処理室17a内における加熱温度は、被処理物の種類又は大きさ等の観点から、適宜実用上の範囲内において設定される。加熱処理室17a内の温度の下限は、殺菌処理の確実性又は効率性向上の観点から、好ましくは103℃以上、より好ましくは105℃以上である。加熱処理室17a内の温度の上限は、品質保持の観点から、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下である。
【0035】
加熱処理室17a内に噴出される分散体F(過熱水蒸気+微細水滴)中における微細水滴の含有量は、被処理物の種類又は大きさ等の観点から、適宜実用上の範囲内において設定される。分散体F中における微細水滴の含有量の下限は、殺菌処理の確実性又は効率性向上の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。分散体F中における微細水滴の含有量の上限は、品質保持の観点から、好ましくは55質量%以下、より好ましくは51質量%以下、さらに好ましくは49質量%以下である。
【0036】
加熱処理室17a内に噴出された分散体Fは、吸い込みファン22により取り入れ口18aから加熱処理室17aの上方に設けられている加熱室17eへ送られる。加熱室17eへ送られた分散体Fは、コイル状加熱部23,24へそれぞれ送られて再加熱される。再加熱された分散体Fは、一部は体積膨張した過熱水蒸気として、加熱処理室17aと連通させる連通路20,21を介して加熱処理室17a内へ戻る。それにより、入口17bと出口17cを有する非閉鎖型の加熱処理室17a内の加熱処理雰囲気は、維持される。
【0037】
加熱殺菌処理する工程において、被処理物は、搬送ベルト11が稼働している状態で処理してもよく、停止した状態で処理してもよい。また、加熱媒体噴射ノズル25〜27の全てから加熱媒体を噴射してもよく、加熱処理室17a内の温度、被処理物の種類又は量等を考慮し、一部は停止するよう設計してもよい。分散体Fと被処理物との接触時間、つまり被処理物の加熱処理室17a内の搬送時間は、被処理物の種類又は大きさ、加熱処理室17a内の温度等の観点から、適宜実用上の範囲内において設定される。分散体Fと被処理物との接触時間の下限は、殺菌処理の確実性又は効率性向上の観点から、好ましくは4秒以上、より好ましくは8秒以上、さらに好ましくは12秒以上である。分散体Fと被処理物との接触時間の上限は、品質保持の観点から、好ましくは150秒以下、より好ましくは100秒以下、さらに好ましくは50秒以下である。
【0038】
熱処理後の処理物は、加熱処理装置17の出口17cから搬出され、搬送方向下流側の回収手段34に送られ、回収工程が行われる。加熱処理された処理物は、駆動ロール13の周面を搬送する搬送ベルト11の搬送面11aから重力落下し、回収手段34の開口部34aより回収される。搬送面11a上に付着している処理物は、剥離装置35により掻き落とされる。
【0039】
回収された処理物の水分含有量は、特に限定されないが、乾燥した被処理物が適用される場合、殺菌処理後の水分含有量は好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。また、殺菌処理前の被処理物の水分含有量に対する殺菌処理後の処理物の水分含有量の増加量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。かかる数値範囲内の場合、乾燥した処理物に対し、水分含有量の増加を抑制しながら殺菌処理することができる。また、増加した水分含有量を低減させるために乾燥処理する工程を新たに設ける必要がない。
【0040】
処理物が回収された後、搬送ベルト11は、剥離装置35の帰路方向の下流側の張力プーリ36,37を介し、吹き付け手段38に送られ、洗浄する工程が行われる。駆動ロール13で下方へ折り返された搬送ベルト11は、搬送面11aを下側に向けられており、上側に向けられた裏面11bに対し、吹き付け手段38の噴出口38bより蒸気供給管から供給される水蒸気が噴射される。それにより、搬送面11aの裏面11b側から、搬送面11aに付着した処理物等を洗浄除去する。
【0041】
洗浄工程に付された搬送ベルト11は、張力プーリ39を介し、円筒状のドラムドライヤ40,41へ送られ、乾燥する工程が行われる。加熱されたドラムドライヤ40の周面に、搬送ベルト11の裏面11bが接することにより、主に裏面11b側が乾燥処理される。次に、加熱されたドラムドライヤ41の周面に、搬送ベルト11の搬送面11aが接することにより、主に搬送面11a側が乾燥処理される。ドラムドライヤ41を通過した搬送ベルト11は、駆動ロール12に戻り、上方へ折り返すことにより、搬送面11aが上側に向けられる。搬送ベルト11は、再び被処理物を積載し、被処理物の連続した殺菌処理が行われる。
【0042】
次に、上記実施形態の殺菌処理方法の作用について説明する。
粉末状又は粒状の茎葉体等の被処理物の殺菌処理方法として、例えば殺菌処理装置10が用いられる。殺菌処理装置10の搬送ベルト11は、搬送面11aに被処理物を積載した状態で加熱処理室17a内へ搬送する。加熱処理室17a内において、加熱媒体噴射ノズル25〜27の各噴出口25a〜27aからそれぞれ加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体Fを加熱処理室17a内に噴出させる。分散体Fは、加熱室17eのコイル状加熱部23,24へ送られて再加熱された後、一部は体積膨張した過熱水蒸気として、加熱処理室17a内へ戻る。このような加熱処理室17a内の加熱処理雰囲気中において、高温の微細水滴により被処理物の表面で凝縮伝熱が発生する。そして、過熱水蒸気により、凝縮伝熱により潜熱を失った微細水滴は、過熱水蒸気中に蒸発する。それにより、被処理物に対する凝縮水による影響が少なく、蒸発による内部水分の減少も少ない加熱特性が得られる。特に水分含有量の低い乾燥した粉末状又は粒状の被処理物は、水分含有量を増加させることなく、乾燥状態を維持した状態で殺菌処理することができる。また、長時間の高温加熱に弱い被処理物は、外観、香り、風味、及び成分等の品質の低下を抑制しながら、殺菌処理することができる。
【0043】
本実施形態の殺菌処理方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、粉末状又は粒状の茎葉体等の被処理物の殺菌処理方法において、加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体Fを適用した。したがって、過熱水蒸気のみを使用した加熱処理と比べて、温度が高すぎないので、粉末状又は粒状の茎葉体等の品質の劣化を抑制できる。
【0044】
殺菌処理において一般的に使用されている飽和水蒸気又は高圧水蒸気は、被処理物が水分を吸収し、品質が変化する場合があったが、分散体Fを適用したことにより、粉末状又は粒状の茎葉体等の品質の劣化をより抑制することができる。
【0045】
また、殺菌処理において過熱水蒸気を適用すると、処理時の温度が高温のため被処理物の品質が変化する場合があるという問題があった。また、過熱水蒸気は、被処理物が殺菌時に乾燥することにより湿熱殺菌効果が得られ難くなり殺菌効果が弱くなるという問題もあった。分散体Fを適用したことにより、粉末状又は粒状の茎葉体等の品質の劣化を抑制しながら、殺菌効果を向上することができる。
【0046】
(2)好適には、殺菌処理の条件として、加熱処理室17a内の温度が103〜145℃であって、分散体Fと被処理物との接触時間が4〜150秒であって、分散体F中における微細水滴の含有量は、5〜55質量%である。したがって、これらの数値範囲を適用することにより、粉末状又は粒状の茎葉体等の被処理物に対し、品質保持しながら、より確実に殺菌処理することができる。
【0047】
(3)殺菌処理装置10は、搬送ベルト11により搬送された被処理物を加熱する加熱処理室17a、加熱処理室17aの内部を加熱するコイル状加熱部23等、及び加熱媒体として分散体Fを発生させ、加熱処理室17a内に連続的に噴射させる加熱媒体噴射ノズル25等を接続する加熱媒体生成手段33から構成した。したがって、本実施形態の殺菌処理方法を簡易且つより確実に実施することができる。
【0048】
また、分散体Fを加熱媒体噴射ノズル25等から加熱処理室内に連続的に噴射させ、被処理物を搬送しながら加熱処理するように構成したことにより、連続的に被処理物を加熱殺菌処理することができ、より効率的な殺菌処理を実施することができる。
【0049】
(4)本実施形態の搬送ベルト11として、好ましくはポリエーテルエーテルケトン等の芳香族ポリエーテルケトンが用いられる。したがって、耐熱性及び耐久性に優れるため、加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体Fを用いた殺菌処理工程及び蒸気を用いた洗浄工程を有する殺菌処理装置10において好適に使用することができる。
【0050】
また、搬送ベルト11に粉末状又は粒状の茎葉体等からなる被処理物が付着しにくく、洗浄時における洗浄性に優れるため、ベルトの衛生状態を維持することができる。また、乾燥工程における乾燥性に優れるため、短時間で乾燥処理することができ、また、乾燥性の被処理物の連続殺菌処理に好ましく適用することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した殺菌処理方法の第2の実施形態を説明する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0052】
本実施形態の被処理物に加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を接触させる工程を含む殺菌処理方法は、被処理物として所定の乾燥した茎葉体、藻類、菌類、薬味種子、及び香辛料から選ばれる少なくとも一種(以下、「乾燥した茎葉体等」という)に適用される。これらは単独で用いられてもよいし、二種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの中で、乾燥処理された藻類に好ましく適用される。
【0053】
本実施形態の殺菌処理方法の対象となる被処理物としての乾燥した茎葉体等について、具体的には被処理物の水分含有量が20質量%以下、好ましくは15質量%以下である。本実施形態の殺菌処理方法は、乾燥率の高い被処理物に対して適用することができる。さらに被処理物中における食物繊維の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。食物繊維の含有量が10質量%以上の場合、加熱媒体により殺菌処理が行われる際に、吸湿が抑制され、水分含有量の増加抑制等の品質保持性をより向上させることができる。
【0054】
被処理物の大きさは、特に限定されず、例えば荒く粉砕又は切断された形状のものから微粉された形状のものまで適宜採用することができる。例えば、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が、好ましくは50μm〜5cm、より好ましくは100μm〜3cm、さらに好ましくは200μm〜1cm程度の大きさの範囲内であれば適宜採用することができる。なお、粉末状又は粒状には、例えば造粒した顆粒状、粉砕したもの、微細化したもの等を含むものとする。
【0055】
被処理物としての乾燥した茎葉体等に過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を接触させて、殺菌処理する方法としては、例えば
図1に示される殺菌処理装置10を用いて、第1の実施形態と同様の方法により実施することができる。
【0056】
本実施形態の殺菌処理方法によれば、第1の実施形態の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(5)本実施形態では、水分含有量が20質量%以下である乾燥した茎葉体等の被処理物の殺菌処理方法において、加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体Fを適用した。したがって、これらの被処理物が加熱媒体により処理された場合であっても、品質劣化を抑制しながら優れた殺菌効果を発揮することができる。つまり、水分含有量の低い乾燥した被処理物は、水分含有量を増加させることなく、乾燥状態を維持した状態で殺菌処理することができる。
【0057】
(6)好適には、被処理物の食物繊維の含有量が10質量%以上の乾燥した茎葉体等に対して適用される。かかる被処理物においても、品質を保持しながら殺菌処理することができる。
【0058】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の殺菌処理方法が適用される被処理物の適用分野は特に限定されない。例えば、食品、医薬品、化粧品、化成品、又はそれらの原料等が挙げられる。
【0059】
・上記実施形態の殺菌処理方法が実施される殺菌処理装置として、搬送ベルト11を有し、連続的な殺菌処理が可能な殺菌処理装置10に限定されず、過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体が発生可能な加熱装置であれば適宜採用することができる。例えば、バッチ式、撹拌加熱型等の装置が挙げられる。
【0060】
・被処理物の搬送面11a上への投入手段は、特に限定されず、ホッパー14以外に、例えばスクリューフィーダ、エアフィーダ、振動フィーダ等の公知の投入手段を適宜採用することができる。それらは、各搬送動力源により、搬出量を調節することができる。また、殺菌処理装置10とは異なる別の工程の搬送手段の一端であってもよい。
【0061】
・搬送ベルト11の通気性は、ベルトの厚み及び耐久性等の観点から適宜設定することができ、好ましくは10cm
3/cm
2・sec以上、より好ましくは100cm
3/cm
2・sec以上である。なお、ベルトの通気性は、JIS L1096の「一般織物試験方法」に基づき、フラジール形通気性試験機を用いて、通過する空気量(cm
3/cm
2・sec)により求めることができる。
【0062】
・搬送ベルト11は、通気性を有する構成であれば、所定の布状以外の構成であってもよい。例えば、所定内径を有する複数の孔が設けられたフィルム、シート等が挙げられる。
【0063】
・殺菌処理装置10において、駆動ローラ又はテンションプーリの数は特に限定されない。ただし、加熱処理室17a内において、分散体Fの拡散、分散体Fの搬送ベルト11の透過等を妨げないように、搬送ベルト11の下面に各種ローラを配しない方が好ましい。
【0064】
・上記実施形態の殺菌処理装置10の正面から見た左右方向の幅は、特に限定されず、処理物の種類、大きさ等により適宜決定することができる。
【実施例】
【0065】
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試験例1:加熱媒体の検討>
試験装置として
図1に示される殺菌処理装置10を使用し、各種加熱媒体について品質保持性及び殺菌性について試験した。被処理物として、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が1136μmの粉末茶(水分含有量2.5質量%)を使用した。なお、各例における処理は、いずれも被処理物の厚み(搬送ベルト11の上面から搬送ベルト11上に積載された被処理物の上面までの高さ。以下同じ)11mm、処理時間15秒の条件とした。
【0066】
実施例1は、加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を使用した。加熱処理室17a内の温度115℃、流量577mL/分、分散体中における微細水滴の含有量36.8質量%の条件を採用した。
【0067】
比較例1は、加熱処理室17a内において温度115℃の熱風のみ循環させた。
比較例2は、温度99℃に設定した以外、比較例1と同様に処理した。
比較例3は、加熱処理室17a内に99℃の飽和水蒸気のみ循環させた。
【0068】
比較例4は、加熱処理室17a内に180℃の過熱水蒸気のみを循環させた。
得られた各例の処理物について、下記に記載されるように基準に従い品質保持性及び殺菌性について評価した。
【0069】
(品質保持性)
殺菌処理した処理物について、未処理物と比較して外観、香り、風味、又は成分(水分含有量等)の品質変化の観点から評価者が次の評価基準に従い評価した。処理物について、未処理物と比較してほとんど品質変化がない場合を優れる「○」、未処理物と比較して品質変化が確認されるが実用性の範囲内の場合を可「△」、未処理物と比較して品質変化が大きく実用性がない場合を不可「×」として評価した。結果を表1に示す。
【0070】
(殺菌性)
まず、Nutrient Broth培地で培養した大腸菌群懸濁液10mLを加熱処理前の各例の被処理物1kgに対して(被処理物の量が少ない場合は、懸濁液と被処理物の比を合わせる)、均一になるように噴霧した後、加熱処理後の処理物中の大腸菌群の菌数を測定した。処理後の処理物10gに、リン酸緩衝生理食塩水90gを加え、ストマッカー処理した液の菌数を測定した。また、大腸菌群を噴霧した未処理品をコントロールとして、殺菌された割合を算出した。
【0071】
塗布した大腸菌のうち殺菌された割合が99.9%以上の場合を優れる「◎」、99%以上且つ99.9%未満の場合を良好「○」、90%以上且つ99%未満の場合を可「△」、90%未満の場合を不可「×」として評価した。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
表1に示されるように、熱風を使用する比較例1,2は、十分な殺菌処理をすることができないことが確認された。また、飽和水蒸気を使用する比較例3は、水分含有量が増加傾向を示すとともに、処理物の品質を維持できないことが確認された。過熱水蒸気を使用する比較例4は、加熱温度が高く、香り、風味等の品質が低下することが確認された。また、過熱水蒸気は、湿熱殺菌効果が十分に得られないため、殺菌性がやや低下する傾向を示すことが確認された。一方、加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を使用した実施例1は、品質を維持しながら、殺菌性に優れることが確認された。
【0073】
<試験例2:被処理物の検討>
加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を使用した殺菌処理方法において、様々な被処理物について試験を行った。各例において、いずれも試験装置として
図1に示される殺菌処理装置10を使用し、加熱処理室17a内の温度115℃、処理時間15秒、流量577mL/分、被処理物の厚み11mm、分散体中における微細水滴の含有量36.8質量%の条件を採用した。
【0074】
実施例2は、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が1146μmのコショウ(水分含有量9.8質量%)を使用した。実施例3は、市販の芽ひじき(水分含有量12.91質量%)を使用した。実施例4は、市販のカットわかめ(水分含有量9.25質量%)を使用した。
【0075】
比較例5は、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が45.8μmの小麦粉(水分含有量12.8質量%)を使用した。比較例6は、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が134μmの寒天粉(水分含有量19.7質量%)を使用した。比較例7は、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が644μmの砂糖(水分含有量0.4質量%)を使用した。
【0076】
各例の被処理物について、試験例1と同様に、品質保持性及び殺菌性について試験した。結果を試験例1の実施例1と併せて表2に示す。
【0077】
【表2】
表2に示されるように、粉末状の食品素材であっても、小麦粉、寒天、又は砂糖が被処理物として適用される各比較例は、品質が低下することが確認された。小麦粉等に対し、過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を加熱媒体として殺菌処理することは、困難であることが確認された。
【0078】
<試験例3:殺菌処理条件の検討>
(1)処理時間
試験装置として
図1に示される殺菌処理装置10を使用し、下記表3に示される各処理時間に関し、品質保持性及び殺菌性について試験した。加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を使用した。被処理物として、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が1136μmの粉末茶(水分含有量2.5質量%)を使用した。
【0079】
各処理時間において、いずれも加熱処理室17a内の温度115℃、流量577mL/分、分散体中における微細水滴の含有量は36.8質量%、及び被処理物の厚み11mmの条件を採用した。各処理時間により得られた処理物について、試験例1と同様に、品質保持性及び殺菌性について試験した。結果を表3に示す。
【0080】
【表3】
表3に示されるように、処理温度が短くなるにつれ、殺菌性が低下する傾向を示すことが確認された。一方、処理温度が長くなるにつれ、品質が低下する傾向を示すことが確認された。
【0081】
(2)処理温度
試験装置として
図1に示される殺菌処理装置10を使用し、下記表4に示される各加熱処理室17a内の温度に関し、品質保持性及び殺菌性について試験した。加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を使用した。被処理物として、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が1136μmの粉末茶(水分含有量2.5質量%)を使用した。
【0082】
各処理温度において、いずれも処理時間15秒、分散体の流量577mL/分、及び被処理物の厚みは11mmの条件を採用した。各処理温度により得られた処理物について、試験例1と同様に、品質保持性及び殺菌性について試験した。結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
表4に示されるように、処理温度が高くなると品質が低下する傾向を示すことが確認された。また、温度の上昇により、微細水滴の減少により、殺菌性も低下する傾向を示すことが確認された。
【0084】
(3)分散体中における微細水滴の含有量
試験装置として
図1に示される殺菌処理装置10を使用し、下記表5に示される分散体中における各微細水滴の含有量に関し、品質保持性及び殺菌性について試験した。加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を使用した。被処理物として、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が1136μmの粉末茶(水分含有量2.5質量%)を使用した。
【0085】
分散体中における各微細水滴の含有量において、いずれも加熱処理室17a内の温度115℃、処理時間15秒、及び被処理物の厚み11mmの条件を採用した。各微細水滴の含有量により得られた処理物について、試験例1と同様に、品質保持性及び殺菌性について試験した。結果を表5に示す。
【0086】
【表5】
表5に示されるように、微細水滴の含有量が高くなると品質が低下する傾向を示すことが確認された。
【0087】
(4)搬送ベルト11上の被処理物の厚み
試験装置として
図1に示される殺菌処理装置10を使用し、下記表6に示される各被処理物の厚みに関し、品質保持性及び殺菌性について試験した。加熱媒体として過熱水蒸気中に微細水滴を分散させた分散体を使用した。被処理物として、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測される平均粒子径が1136μmの粉末茶(水分含有量2.5質量%)を使用した。
【0088】
各被処理物の厚みにおいて、いずれも加熱処理室17a内の温度115℃、処理時間15秒、分散体中における微細水滴の含有量は36.8質量%、及び分散体の流量577mL/分の条件を採用した。各被処理物の厚みにより得られた処理物について、試験例1と同様に、品質保持性及び殺菌性について試験した。結果を表6に示す。
【0089】
【表6】
表6に示されるように、搬送ベルト11上に積載される被処理物の厚みが薄くなると水分含有量が増加する傾向を示すとともに、品質保持性が低下する傾向を示すことが確認された。一方、搬送ベルト11上に積載される被処理物の厚みが増すと、殺菌性が低下する傾向を示すことが確認された。
【0090】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)前記搬送ベルトの通気性は、10cm
3/cm
2・sec以上である前記殺菌処理装置。従って、この(a)に記載の発明によれば、搬送ベルト上の被処理物に対し、効果的に分散体Fを接触させることができる。