(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646330
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】繊維状光発電素子の並列接続構造
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20200203BHJP
H01L 31/0352 20060101ALI20200203BHJP
H01L 31/042 20140101ALI20200203BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H01L31/04 340
H01L31/04 500
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-210132(P2015-210132)
(22)【出願日】2015年10月26日
(65)【公開番号】特開2017-84909(P2017-84909A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉野 和義
【審査官】
岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−143377(JP,A)
【文献】
特開2012−160700(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0338721(US,A1)
【文献】
実開昭61−010594(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04−31/06
H02S 10/00−10/40
H02S 30/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状光発電素子が導電性芯材と電極リード線を備え、並列に接続する複数の前記繊維状光発電素子の導電性芯材が接続部を形成し、
前記接続部は、突起が設けられた金属片を介して前記導電性芯材同士を接触させることで形成され、前記金属片の一部がハウジングから外部に突出しながら、前記導電性芯材の位置を規制する規制板又は前記導電性芯材を挟んで固定する挟圧板の少なくとも一方を内部に備える前記ハウジング内に配され、
前記突起が前記導電性芯材に当接し、
前記規制板又は前記挟圧板によって前記導電性芯材の位置が固定され、
前記接続部の少なくとも一部が導電性接着剤で接着され、
前記接続部が、電気的に接続していることを特徴とする繊維状光発電素子の並列接続構造。
【請求項2】
前記導電性芯材の直径が、40μm〜200μmの範囲である請求項1に記載の繊維状光発電素子の並列接続構造。
【請求項3】
前記電極リード線の直径が、20μm〜100μmの範囲である請求項1又は2に記載の繊維状光発電素子の並列接続構造。
【請求項4】
前記ハウジング内が、硬化性樹脂で固定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の繊維状光発電素子の並列接続構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の並列接続構造で接続された繊維状光発電素子を少なくとも一部に備えたシート状物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の並列接続構造で接続された繊維状光発電素子を少なくとも一部に備えた布帛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維状光発電素子の並列接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力素子モジュール群を構成する各光起電力素子が互いに並列に接続されたモジュールは公知である。光起電力素子から電気を取り出し、外部の配線を行うケーブル線について記載されている。ケーブルとコネクタから構成されたものが接続を容易に行うことができるので好ましく、光起電力素子のリード線配線部材から、取り出したケーブル線を機械的外力等から保護する役目で端子箱について記載されている。光起電力素子モジュールの接続は負極、正極に対応するタブ(銅箔)を設けてタブ同士をハンダ付けにより接続している(特許文献1)。
【0003】
太陽電池モジュール内部で発電された電力をモジュールから取り出すリード線の接続方法が公知である。例えば、発電された電力を外部に取り出す内部リード線が、端子台において外部へ取り出すためのケーブルと電気的に接続する。端子台には挿入溝と挿入型圧着端子を備え、内部リード線を挿入溝と挿入型圧着端子とで挟み込むことで内部リード線を挿入溝内に固定し、挿入型圧着端子と電気的に接続する方法が記載されている。(特許文献2)
【0004】
しかしながら、繊維状光発電素子同士の電極のハンダによる接続ではハンダが160℃以上の高温になることから繊維状光発電素子への悪影響のおそれがある。また、特許文献2に記載の太陽電池モジュールの電力リード線の接続方法は、ハンダコテやネジによる締結も必要とせず、しかも容易に接続することができるものの、リード線が挿入型圧着端子により曲げ部に挿入され固定されるため、リード線が大きく曲がられるので、例えば電極線の太さが0.15mm未満であるような繊維状光発電素子の電極を接続するのには、好ましくなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−195802号公報
【特許文献2】特開2006−128181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、電極線の太さが0.15mm未満の電極線を電気的に確実に接続できる繊維状光発電素子の並列接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1]繊維状光発電素子が導電性芯材と電極リード線を備え、並列に接続する複数の前記繊維状光発電素子の導電性芯
材が接続部を形成し、
前記接続部は、突起が設けられた金属片を介して前記導電性芯材同士を接触させることで形成され、前記金属片の一部がハウジングから外部に突出しながら、前記導電性芯材の位置を規制する規制板又は前記導電性芯材を挟んで固定する挟圧板の少なくとも一方を内部に備える前記ハウジング内に配され、
前記突起が前記導電性芯材に当接し、
前記規制板又は前記挟圧板によって前記導電性芯材の位置が固定され、
前記接続部の少なくとも一部が導電性接着剤で接着され、
前記接続部が、電気的に接続していることを特徴とする繊維状光発電素子の並列接続構造。
【0009】
[2]
前記導電性芯材の直径が、40μm〜200μmの範囲である前項1に記載の繊維状光発電素子の並列接続構造。
【0010】
[3]
前記電極リード線の直径が、20μm〜100μmの範囲である前項1又は2に記載の繊維状光発電素子の並列接続構造。
【0011】
[4]
前記ハウジング内が、硬化性樹脂で固定されている前項1〜3のいずれか1項に記載の繊維状光発電素子の並列接続構造。
【0012】
[5]前項1〜4のいずれか1項に記載の並列接続構造で接続された繊維状光発電素子を少なくとも一部に備えたシート状物。
【0013】
[6]前項1〜4のいずれか1項に記載の並列接続構造で接続された繊維状光発電素子を少なくとも一部に備えた布帛。
【発明の効果】
【0014】
[1]の発明では、繊維状光発電素子を並列に接続する場合に、1つの繊維状光発電素子が備える導電性芯材と、他の繊維状光発電素子の導電性芯材とが接続部を形成して電気的に接続しているので、繊維状光発電素子を電気的に並列に接続することができる。同様に繰り返すことで、複数の繊維状光発電素子を並列に接続することができるので、各繊維状光発電素子を並列接続した電力を得ることができる。
接続部は、突起が設けられた金属片を介して導電性芯材同士を接触させることで形成されているので、電気的に十分に接続することができる。さらに、接続部が、導電性芯材の位置を規制する規制板又は導電性芯材を挟んで固定する挟圧板の少なくとも一方を内部に備えるハウジング内に配され、金属片に設けられた突起が導電性芯材に当接し、規制板又は挟圧板によって導電性芯材の位置が固定されているので、導電性芯材の位置決め又は接触をさらに確実にすることができる。
こうして、少なくとも接続部をハウジング内に配することで、外力による影響をより小さくすることができる。接続部を確実に保護することができるし、取扱いもより容易になる。
また、金属片の一部がハウジングから外部に突出していることで、並列に並べ金属片間接合部を形成することができる。
接続部の少なくとも一部が導電性接着剤で接着されているので、電気的な接続をより安定させることができる。また、接続部を保護することができるし、取扱いが容易になる。
なお、各繊維状光発電素子が直列に接続されることで長い繊維状光発電素子が形成され、高い電圧を得ることができ、さらにこの長い繊維状光発電素子を並列に接続して、高い電流値を得ることができる。
【0015】
[2]の発明では、
前記導電性芯材の直径が、40μm〜200μmの範囲であるので、繊維状光発電糸の太陽電池として、特にシート状物、布帛に適用するのに好ましく、汎用性が高いという利点がある。
【0016】
[3]の発明では、
前記電極リード線の直径が、20μm〜100μmの範囲であるので、繊維状光発電糸の太陽電池として、特にシート状物、布帛に適用するのに好ましく、汎用性が高いという利点がある。
【0017】
[4]の発明では、
前記ハウジング内を固定させることができる。
【0018】
[5]の発明では、繊維状光発電素子の並列接続構造を少なくとも一部に備えたシート状物を提供できる。シート状物であるから、屋外の構築物の表面、側面やこれらの一部に好適に活用できる光発電可能なシート状物となるし、屋内であっても繊維状光発電素子を室内照明用とすることで、発電可能なシート状物になる。シート状物なので屋内の多くの部分や物品に好適に適用することができる。
【0019】
[6]の発明では、繊維状光発電素子の並列接続構造を少なくとも一部に備えた布帛を提供できる。布帛であるから、例えばロールスクリーン、シェード、カーテン、テント、衣料等や、これらの一部に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る並列接続構造で接続された繊維状光発電素子を少なくとも一部に備えたシート状物の一実施形態を示す説明図
【
図2】本発明に係る繊維状光発電素子の並列接続構造の一実施形態を示す説明図
【
図3】
図2における並列接続構造をさらに並列に接続した形態を示す説明図
【
図4】本発明に係る繊維状光発電素子の並列接続構造の接続部及びハウジングの例を示す説明図
【
図5】
繊維状光発電素子の
従来の並列接続構造の例を示す略側面図
【
図6】本発明に係る繊維状光発電素子の並列接続構造
の例を示す略側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る並列接続構造で接続された繊維状光発電素子2を少なくとも一部に備えたシート状物の一実施形態を
図1示す。なお、本発明に係る繊維状光発電素子2の並列接続構造の一実施形態を
図2に示す。
【0022】
本発明の繊維状光発電素子2の並列接続構造は、
図2に示すように繊維状光発電素子2が導電性芯材5と電極リード線を備え、並列に接続する複数の前記繊維状光発電素子2の導電性芯
材5が接続部を形成し、
前記接続部1は、突起9が設けられた金属片3を介して前記導電性芯材5同士を接触させることで形成され、前記金属片3の一部がハウジング4から外部に突出しながら、前記導電性芯材5の位置を規制する規制板8又は前記導電性芯材5を挟んで固定する挟圧板の少なくとも一方を内部に備える前記ハウジング4内に配され、前記突起9が前記導電性芯材5に当接し、前記規制板8又は前記挟圧板によって前記導電性芯材5の位置が固定され、前記接続部1の少なくとも一部が導電性接着剤で接着され、前記接続部1が、電気的に接続していることを特徴とする。
【0023】
さらに、前記接続部1は、前記並列に接続する繊維状光発電素子2の導電性芯材5を、
突起9が設けられた金属片3を介して
前記導電性芯材5同士を接触させることで形成されてい
る。
図2では、3本の繊維状光発電素子2を
前記金属片3の一部がハウジング4から外部に突出しながら、前記導電性芯材5の位置を規制する規制板8又は前記導電性芯材5を挟んで固定する挟圧板の少なくとも一方を内部に備えるハウジング4の上の
突起9が設けられた金属片3の上に並列に並べ接続部1が形成されている。繊維状光発電素子2の本数は特に限定されず1本でもよいし複数本でもよい。図示はしていないが、接続部1の上からハウジングを被せて
ある。そして導電性接着剤でハウジング内の導電性芯材5と
突起9が設けられた金属片3を接着して
いる。
図3には、
図2に示した並列接続構造を3つ並べ、金属片間接合部6にて相互に接合した形態を示している。
【0024】
前記繊維状光発電素子2としては、特に限定されないが、シリコン系、無機系化合物、有機系化合物の光発電素子を挙げることができる。例えば、シリコン系光発電素子としては、単結晶シリコン光発電素子、多結晶シリコン光発電素子、アモルファスシリコン光発電素子を挙げることができる。無機系化合物光発電素子としては、CIS系(銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)などからなる化合物半導体でつくられる)光発電素子、GaAs系光発電素子、CdTe系光発電素子を挙げることができる。有機系化合物光発電素子としては、色素増感光発電素子、有機薄膜光発電素子を挙げることができる。なかでも、繊維状基材の表面に略同芯円状に順に発電層、封止層が積層され、発電層と封止層との間に電極又は電極線を備えてなる光発電素子は、多方向からの光によって発電することが可能な素子であり、優れた発電性能を発揮する。また、繊維状光発電素子2の直径が100μm〜300μmの細いものは接続するのが難しいが、繰り返して並列接続した繊維状光発電素子2は、太陽電池として、特にシート状物、布帛に適用するのに好ましいく、汎用性が高い。
【0025】
前記導電性芯材5は、導電性を有していれば特に限定はされないが、ステンレス線、チタン線、アルミニウム線、銅線、銀線等を挙げることができる。上述の高い汎用性の観点から繊維状光発電素子2の直径を100μm〜300μmとするなら、導電性芯材5の直径としては40μm〜200μmが好ましい。光発電素子の性能に導電性芯材5の寸法精度や表面の粗さが影響を及ぼすので、寸法精度と表面平滑さの点でステンレス線、チタン線、が好ましい。導電性芯材5の材質をステンレス、チタンとすることで発電効率に優れた繊維状光発電素子2とすることができる。また、導電性芯材5は、繊維状光発電素子2の陰極として作用する。
【0026】
前記電極リード線は、導体であれば特に限定はされないが、金線、銀線、銅線、ステンレス線等を挙げることができる。上述の高い汎用性の観点から繊維状光発電素子2の直径が100μm〜300μmとするなら、電極リード線の直径としては20μm〜100μmが好ましい。なかでも、素材表面の酸化による劣化がなく柔軟であるので金線が好ましい。また、電極リード線は、繊維状光発電素子2の陽極として作用する。
【0027】
本発明の接続部1は、特に限定されずどのような接続であってもよいが、例えば導電性芯材5を金属片3を介して接触させることで形成してもよい。さらに、導電性接着剤を用いて導電性芯材5と金属片3を接合して形成してもよい。またこれらの接続を組み合わせてもよい。このようにして、ハンダを使用することなく接続することができるので繊維状光発電素子2を高温にさらしてしまうことがないので、繊維状光発電素子2を破損させる虞がなく、さらに、ネジによる接続ではないので導電性芯材5同士を容易に接続することができる。こうして繊維状光発電素子2同士を電気的に並列に接続することができるので、電極線の太さが0.15mm未満の電極線を電気的に確実に接続でき、その結果、各繊維状光発電素子2を並列接続した電力を得ることができる。
【0028】
前記導電性接着剤としては、電気伝導度の高い金属粉末を接着剤に混入したものが用いられる。金属粉末は、例えば、金、銀、銅、白金、ニッケル等が挙げられる。また、接着剤樹脂としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂を例示できる。
【0029】
図4に、金属片3及びハウジング4の例を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図、(e)は底面図、(f)は裏面図(背面図)である。(a)の正面図で、手前から繊維状光発電素子2の導電性芯材5を導電性芯材用孔7に通し金属片3の上面に達し接触することで接続部1が形成される。導電性芯材用孔7の数は特に限定されないが、
図4(a)では3個の例を示している。金属片3の大きさと枚数は特に限定されないが1枚もしくは2枚が扱いやすいので好ましい。
図4では2枚を例示している。また、金属片3はハウジング4から外部へ突出していることで、並列に並べ金属片間接合部6を形成することができる(
図3)。
【0030】
前記金属片3の材質としては、導電性を有していれば特に限定はされないが、銅、ニッケル、クロム、金等を挙げることができる。なかでも、高い導電率と耐腐食性を有することからニッケルメッキした銅が好ましい
【0031】
前記接続部1をハウジング4内に納めてもよい。また、ハウジング4の材質は特に限定されないが、成形し易いことから熱可塑性樹脂が好ましく、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂を挙げることができる。形状も特に限定されない。例えば接続部1を収納するのにガイドや溝を設け、嵌合できるようにしても良い。接続部1をハウジング4内に納めることで、接続部1を保護することができる。
【0032】
図5に並列接続構造例の側面図を示し、
図6には金属片3に突起9を設け、規制板8のある例を示す。前記金属片3の形状は特に限定はされないが、前記金属片3に突起9を設けてもよい。突起9は少なくとも1箇所設けるのが好ましい。前記突起9の形状は、例えば、矩形でも三角形でも半円等でよい。金属片3の一部に3辺の切り込みを設けて矩形とし、金属片3の平面に対し約90度折り曲げることで形成してもよいし、同様に2辺の切り込みを設けて三角形とし、金属片3の平面に対し約90度折り曲げることで形成してもよいし、同様に半円の切り込みを設けて半円とし、金属片3の平面に対し約90度折り曲げることで形成してもよい。
【0033】
さらに、導電性芯材5の位置決めのための規制板8を設けてもよい。金属片3の端部を金属片3の平面に対し約90度折り曲げることで規制板8としてもよい。また、突起9に替えて導電性芯材5の横方向の位置決めのための溝や柱を設けてもよい。この溝は金属片3に溝を掘ってもよいし、折り曲げて溝を形成してもよいし、プレスして溝を形成してもよい。また、柱は同じ材料で柱を立ててもよいし、また、これらを組み合わせても良い。いずれも接続部の品質の安定性が高まるので好ましい。もちろん突起9や規制板8は金属片3上に限定されずハウジングに設けてもよい。いずれの場合もハウジング4内に設ければよい。
【0034】
前記突起9の材質は特に限定はされないが、銅、ニッケル、クロム、金等を挙げることができる。なかでも、金属片6をワイヤーカット及び単型加工できることから金属片3と同一の材質が好ましい。
【0035】
また、図示していないが、挟圧板を設けてもよいし、突起9を挟圧板に替えてもよい。導電性芯材5を挟圧板と金属片3と間に形成される空間に装填したのち、挟圧板の側から押圧することで、導電性芯材5と金属片3を接触させている。金属片3に挟圧板を備えていなくても良いが、挟圧板は導電性芯材5をさらに確実に接触させることができるので、備えている方が好ましい。
【0036】
前記挟圧板の材質は特に限定はされないが、銅、ニッケル、クロム、金等を挙げることができる。なかでも、金属片3をワイヤーカット及び単型加工できることから金属片3と同一の材質が好ましいく、曲げ加工して形成するなら柔軟であるのが好ましい。この場合、例えば銅、ニッケル、クロム、金めっきした銅等を挙げることができる。
【0037】
前記挟圧板の形状は特に限定はされないが、金属片3の側面に例えば、矩形状や三角形や半円状の挟圧板8を1つ以上設ければよく、後付けで接合して形成してもよいし、金属片3の一部に3辺の切り込みを設けて矩形とし、該矩形を曲げ出すことで形成してもよいし、同様に2辺の切り込みを設けて三角形とし、該三角形を曲げ出すことで形成してもよいし、同様に半円の切り込みを設けて半円とし、該半円を曲げ出すことで形成してもよい。
【0038】
また、前記ハウジング4内を硬化性樹脂で固定してもよい。前記硬化性樹脂は特に限定されないが、硬化による体積変化の小さい樹脂が好ましく、例えばエポキシ樹脂、PVC(塩化ビニル)樹脂、シリコーン樹脂を挙げることができる。
【0039】
本発明に係る並列接続構造で接続された繊維状光発電素子2を少なくとも一部に備えたシート状物(
図1)としては、例えば、並列接続構造で接続された繊維状光発電素子(直径190μm)を重ならないように52本/cmの割合で横一列に並べ、接着剤で相互に接着して、シート状物とすることができる。並列接続構造で接続された繊維状光発電素子を並べ、接合部6で電気的に接続することで、電圧を取り出すことができるので、屋外の構築物の表面、側面やこれらの一部に好適に活用できる光発電可能なシート状物となるし、屋内であっても繊維状光発電素子2を室内照明用とすることで、発電可能なシート状物になる。
【0040】
本発明に係る並列接続構造で接続された繊維状光発電素子2を少なくとも一部に備えた布帛としては、例えば、公知の織機にて、経糸として、総繊度350dtexポリエステル繊維を用い、緯糸として直径190μmの繊維状光発電素子(直径190μm)と総繊度350dtexのポリエステル繊維を引き揃えて平織(緯糸の織込本数は52本/cm)の布帛を製織することができる。繊維状光発電素子を電気的に接続することで、電圧を取り出すことができ、布帛であるから、例えばロールスクリーン、シェード、カーテン、テント、衣料等や、これらの一部に好適に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の繊維状光発電素子の並列接続構造は、電気的に確実に接続できるので高い電流値を取り出すことができる。さらに、繊維状光発電素子をシート状に並べたシート状物や布帛は、それぞれ屋内外の光発電池として用いられる。
【符号の説明】
【0042】
1…接続部
2…繊維状光発電素子
3…金属片
4…ハウジング
5…導電性芯材
6…金属片間接合部
7…導電性芯材用孔
8…規制板
9…突起