(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
以下、
図1を参照して実施例1の電流検出回路の構成、および動作について説明する。
図1は、本実施例の電流検出回路1の構成を示す回路図である。同図に示すように、本実施例の電流検出回路1は、信号入力部10と、帰還制御部11と、BTLアンプ12と、第1の分圧抵抗13と、第2の分圧抵抗14と、負荷15と、負荷電流検出抵抗16と、差分検出部17を含む構成である。BTLアンプ12は、第1の増幅器121と、第2の増幅器122を含む構成である。なお本実施例においてBTLアンプ12は、正電源電圧+V
cc、負電源電圧−V
eeの両電源アンプである。
【0012】
第1の増幅器121は、所定の信号を出力する。ここで、V(t)を時刻tを変数とする増幅器出力信号の電圧を表す関数とし、第1の増幅器121が出力する信号の直流成分(以下、基準電位V
Bともいう)は0であるものとし、第1の増幅器121の出力信号をnV(t)+0と表すものとする。ただし、nは任意の正の数とする。
【0013】
第2の増幅器122は、第1の増幅器121の出力信号と逆相の信号である−V(t)+0を出力する。負荷15は、第1の増幅器121の出力端子と第2の増幅器122の出力端子を接続している。負荷電流検出抵抗16は、負荷15に直列に接続される。なお、後述する第1、及び第2の分圧抵抗13、14の抵抗値は十分に大きく、負荷15および負荷電流検出抵抗16に流れる電流I
Lは近似的に等しいものと見做せるものとする。
【0014】
第1、および第2の分圧抵抗13、14は、負荷15の両端の電位差を分圧する分圧抵抗である。第1、および第2の分圧抵抗13、14の接続点において、第1の増幅器121の出力信号の振幅と、第2の増幅器122の出力信号の振幅とが打ち消し合うように、各抵抗値が定められている。同図の例において値nを用いて抵抗値を定義するならば、第1の分圧抵抗13の抵抗値がnRであるとき、第2の分圧抵抗14の抵抗値はRである。
【0015】
同図に示すように、負荷電流検出抵抗16と、第2分圧抵抗14の接続点の電位は、―V(t)+0+I
LR
Sと表される。ただし、R
Sは、負荷電流検出抵抗16の抵抗値を示し、既知であるものとする。また、第1の増幅器の出力端子の電位は前述したように、nV(t)+0と表される。第1、および第2の分圧抵抗13、14の接続点の電位V
Cは、
【0016】
【数1】
【0017】
となる。上記計算式に示したように、第1、第2の増幅器121、122の出力信号の電圧の振幅比がn:1であって、第1、第2の分圧抵抗13、14の抵抗値の比が同様にn:1であるとき、第1、第2の増幅器121、122の出力信号の交流成分は互いに打ち消し合い、V(t)の項はキャンセルされる。n=1とすれば、第1、第2の増幅器121、122の出力信号の電圧の振幅比は1:1であって、第1、第2の分圧抵抗13、14の抵抗値の比は1:1、つまり二つの分圧抵抗の抵抗値は等しくなる。
【0018】
同図に示すように、差分検出部17は、第1、および第2の分圧抵抗13、14の接続点と、グラウンドに接続され、二点間の電位差を検出する機能を備える。差分検出部17は、第1、および第2の分圧抵抗13、14の接続点の電位
【0019】
【数2】
【0020】
と基準電位V
B(本実施例においてV
B=0、すなわちグラウンドの電位)の電位差である
【0021】
【数3】
【0022】
に基づき、値nと、負荷電流検出抵抗の抵抗値R
Sに基づいて、負荷に流れる電流I
Lを検出する。差分検出部17は検出した電流I
Lを、帰還制御部11に帰還する。なお、本実施例では差分検出部17を独立した構成要件として表したが、差分検出部17は場合により省略することができる。例えば本実施例の電流検出回路1を単に電圧電流変換回路として用いる場合などには、差分検出部17を省略し、上述のV
Cを単に帰還電圧として入力信号に加算するだけで足りる。
【0023】
帰還制御部11は、電流I
Lに応じた所定の制御を実行する。具体的には、帰還制御部11は、信号入力部10からの信号と差分検出部17からの信号に応じて負荷(装置)を駆動するための元信号を生成する。生成された信号は相補信号出力回路を介して正相信号と逆相信号とされ負荷(装置)を駆動する。
【0024】
最もシンプルな構成では、帰還制御部11を加算回路のみで構成することができる。差分検出部17の出力を入力信号に加えることで帰還をかければ、入力信号に応じて負荷回路に電流を流す、電圧電流変換回路として動作する。前述したように、BTLアンプが両電源の場合、基準電位がGND(グラウンド)となるので差分検出部17は独立な回路として用意しなくてもよい。負荷に与える電力の上限を設定する必要がある場合には、検出電流値の上限を設定し上限値との差分が0に漸近するように相補信号の波形を制御すればよい。
【0025】
本実施例の電流検出回路1によれば、分圧抵抗の接続点において、BTLアンプ12の二つの増幅器の出力信号の交流成分が打ち消されるように構成したため、差分検出部17は分圧抵抗の接続点の電位を参照することにより負荷に流れる電流を検出できる。上記構成は簡易かつ汎用的であるため、負荷に流れる電流の検出が必要なあらゆる製品に利用することができる。
【0026】
また、負荷をパルス波形を有する信号で駆動させる場合、従来の回路構成(負荷電流検出抵抗の両端の電位差を測定する構成)では高速大振幅の波形を扱うことになるため安定な動作を確保することが困難であった。
【0027】
図7に、従来例と本実施例を電圧波形で比較するための電位差検出回路を示し、
図8に、
図7に示した各計測点における電圧波形を示した。
図7に示す電位差検出回路70は、第1抵抗701、第2抵抗702、第3抵抗703、第4抵抗704、オペアンプ705を用いて構成した回路例であり、電位差を計測する場合に従来から一般的に用いられている回路である。オペアンプ705の反転入力端子、非反転入力端子は第1抵抗701、第2抵抗702を介して、負荷電流検出抵抗16の両端に接続される。オペアンプ705の反転入力端子は、オペアンプ705の出力端子に第3抵抗703を介して接続される。オペアンプ705の非反転入力端子は、第4抵抗704を介してグラウンドに接続される。
【0028】
分圧抵抗13、14は本実施例の方式と負荷電流検出抵抗16の両端の電位差を計測する従来方式の効果を同一回路で比較する為に設けた。なおn=1とし、分圧抵抗13、14の抵抗値は何れもRであるものとする。
【0029】
E0は分圧抵抗13、14の接続点の電圧、E1はオペアンプ70の反転入力端子の電圧、E2は非反転入力端子の電圧をそれぞれ計測するために設けた計測点であり、分圧抵抗13,14の抵抗値は何れもR=33kΩであるものとする。波形表示のため、負荷電流検出抵抗16の抵抗値はRs=2Ωとしたが更に低い抵抗値を用いることが望ましい。
【0030】
図8に示した波形は、GND電位(0V)に対するE0、E1,E2の電圧がPWM波形に応じて変化する様子を示している。これらの電圧波形を得るために、正弦波の信号入力に対応するPWM波形でスピーカ負荷15を駆動した。
【0031】
負荷電流検出抵抗16の両端の電位差を計測する方式ではオペアンプ705の入力端子E1、E2にはE0よりも高電圧のパルス波形が加わっていることがわかる。
【0032】
一方、本実施例の電流検出回路1では、分圧抵抗の接続点においてパルス成分を非常に少なくすることができるため、本実施例の電流検出回路1をPWM出力のようなデジタルパワーアンプの出力制御に用いる場合、差分検出部17にスルーレートが高く同相除去比の大きいパルス信号用の特殊なオペアンプを使用する必要がなく、差分検出部17に使用するオペアンプを通常のオペアンプとすることができ、コストの削減に寄与する。
【0033】
なお、PWM出力のようなデジタルパワーアンプの出力制御に用いる場合には正負二値のパルス波形で駆動すればよいので、第1、第2の増幅器121、122には、例えばC−MOSのインバータ回路を直列接続することで得られる相補的な出力をBTL出力として用いることもできる。
【実施例2】
【0034】
実施例1では両電源のBTLアンプを使用した電流検出回路を開示した。実施例2では、片電源のBTLアンプを使用した場合の電流検出回路について説明する。以下、
図2を参照して、本実施例の電流検出回路の構成、および動作について説明する。
図2は、本実施例の電流検出回路2の構成を示す回路図である。同図に示すように、本実施例の電流検出回路2は、信号入力部10と、帰還制御部21と、BTLアンプ22と、第1の分圧抵抗13と、第2の分圧抵抗14と、第3の分圧抵抗23と、第4の分圧抵抗24と、負荷15と、負荷電流検出抵抗16と、差分検出部27を含む構成である。BTLアンプ22は、第1の増幅器221と、第2の増幅器222を含む構成である。なお本実施例においてBTLアンプ22は、正電源電圧+V
cc、負電源電圧0の片電源アンプである。
【0035】
第1の増幅器221は、所定の信号を出力する。時刻tを変数とする増幅器出力信号の電圧を表す関数V(t)、振幅比nを用い、第1の増幅器221が出力する信号の直流成分をV
Bとし、第1の増幅器221の出力信号をnV(t)+V
Bと表すものとする。
【0036】
第2の増幅器222は、第1の増幅器221の出力信号と逆相の信号である−V(t)+V
Bを出力する。負荷15は、第1の増幅器221の出力端子と第2の増幅器222の出力端子を接続している。負荷電流検出抵抗16は、実施例1同様負荷15に直列に接続される。なお、第1〜第4の分圧抵抗13〜24の抵抗値は十分に大きく、負荷15および負荷電流検出抵抗16に流れる電流I
Lは近似的に等しいものと見做せるものとする。
【0037】
第3および第4の分圧抵抗23、24は、第1の増幅器の出力端子と第2の増幅器の出力端子の電位差を所定の比率で分圧する分圧抵抗である。第3の分圧抵抗の抵抗値をnR
Xとし、第4の分圧抵抗の抵抗値をR
Xとすると、第3および第4の分圧抵抗23、24の接続点における電位は、基準電位V
Bと等しくなる。詳細には、第3、および第4の分圧抵抗23、24の接続点の電位V
C’は、
【0038】
【数4】
【0039】
となる。一方、第1、および第2の分圧抵抗13、14の接続点の電位V
Cは、
【0040】
【数5】
【0041】
となる。上記計算式に示したように、第1、第2の増幅器221、222の出力信号の電圧の振幅比がn:1であって、第1、第2の分圧抵抗13、14の抵抗値の比が同様にn:1であるとき、実施例1と同様に、V(t)の項はキャンセルされる。n=1とすれば、第1、第2の増幅器121、122の出力信号の電圧の振幅比は1:1、第1、第2の分圧抵抗13、14の抵抗値の比も1:1、第3、第4の分圧抵抗23、24の抵抗値の比も1:1となる。
【0042】
同図に示すように、差分検出部27は、第1、および第2の分圧抵抗13、14の接続点と、第3、および第4の分圧抵抗23、24の接続点に接続され、二点間の電位差を検出する機能を備える。差分検出部27は、第1、および第2の分圧抵抗13、14の接続点の電位
【0043】
【数6】
【0044】
と第3、および第4の分圧抵抗23、24の接続点の電位V
Bの電位差、すなわち
【0045】
【数7】
【0046】
に基づき、値nと、負荷電流検出抵抗の抵抗値R
Sに基づいて、負荷に流れる電流I
Lを検出する。差分検出部27は検出した電流I
Lを、帰還制御部21に帰還する。帰還制御部21は、電流I
Lに応じた所定の制御を実行する。
【0047】
本実施例の電流検出回路2によれば、実施例1の構成に加え、第3、第4の分圧抵抗の接続点の電位が基準電位となるように構成したため、片電源BTLアンプを用いた場合であっても、実施例1と同様の効果を奏する。
【実施例3】
【0048】
実施例2では、第1の増幅器221の出力端子と第2の増幅器222の出力端子の電位差を分圧する第3および第4の分圧抵抗23、24の接続点の電位を基準電位V
Bとして、片電源BTLアンプを用いた電流検出回路を実現した。本実施例は、BTLアンプの正極電源端子と負極電源端子の電位差を所定の比率で分圧する第5および第6の分圧抵抗の接続点の電位を基準電位V
Bとして取得するように構成した実施例2の変形例である。以下、
図3を参照して本実施例の電流検出回路3の構成、および動作について説明する。
図3は、本実施例の電流検出回路3の構成を示す回路図である。同図に示すように、本実施例の電流検出回路3は、信号入力部10と、帰還制御部21と、BTLアンプ22と、第1の分圧抵抗13と、第2の分圧抵抗14と、第5の分圧抵抗33と、第6の分圧抵抗34と、負荷15と、負荷電流検出抵抗16と、差分検出部27を含む構成であって、第5の分圧抵抗33と第6の分圧抵抗34以外の構成要件については、実施例2と同じである。
【0049】
図3に示すように、第5の分圧抵抗33と、第6の分圧抵抗34は、第1または第2の増幅器221、222の正極電源端子と負極電源端子の電位差を所定の比率で分圧する。第5の分圧抵抗33と、第6の分圧抵抗34の抵抗比をm:1とする。値mは、第5の分圧抵抗33と第6の分圧抵抗34の接続点の電位が基準電位V
Bとなるように調整されているものとする。
【0050】
本実施例の電流検出回路3によれば、実施例1の構成に加え、第5、第6の分圧抵抗の接続点の電位が基準電位となるように構成したため、片電源BTLアンプを用いた場合であっても、実施例1と同様の効果を奏する。
【実施例4】
【0051】
実施例1〜3の電流検出回路では、負荷電流検出抵抗16が逆相出力端子側に接続された。実施例4では、負荷電流検出抵抗16が正相出力端子側に接続された電流検出回路を開示する。以下、
図4を参照して本実施例の電流検出回路について説明する。
図4は、本実施例の電流検出回路4の構成を示す回路図である。同図に示すように、本実施例の電流検出回路4のBTLアンプ12aは、第1の増幅器121aが―nV(t)+0(基準電位V
B=0)の逆相出力、第2の増幅器122aが、V(t)+0の正相出力となっている。電流検出回路4のそれ以外の構成要件については実施例1と同じである。従って、負荷電流検出抵抗16は、正相出力である第2の増幅器122aと負荷15を介さずに直接接続されていることになる。
【0052】
この場合、第1、および第2の分圧抵抗13、14の接続点の電位V
Cは、
【0053】
【数8】
【0054】
となり、V
Cは実施例1と同じ値となる。なお負荷電流検出抵抗は、正相側と逆相側の双方に存在してもよい。この場合、それぞれの抵抗値に差があれば負荷の両端の電位差を分圧して得られる電位と基準電位V
Bの差分から、負荷電流I
Lを検出することが可能である。
【0055】
本実施例の電流検出回路4によれば、負荷電流検出抵抗16が正相出力端子側に接続された構成で実施例1と同様の効果を奏する。
【実施例5】
【0056】
以下、
図5を参照して実施例1の差分検出部17を加算回路で構成した実施例5の電流検出回路の構成、および動作について説明する。
図5は、本実施例の電流検出回路5の構成を示す回路図である。同図に示すように、本実施例の電流検出回路5は、実施例1の差分検出部17の代わりに、オペアンプ57と、第7の分圧抵抗58と、第8の分圧抵抗59を含む。その他の構成要件については、実施例1と同じである。オペアンプ57の反転入力端子と、第1、第2の分圧抵抗13、14の接続点は、第8の分圧抵抗59により接続される。オペアンプ57の非反転入力端子は、グラウンドに接続される。オペアンプ57の反転入力端子と、出力端子は、第7の分圧抵抗58により接続される。オペアンプ57の出力端子の電圧をV
Oとし、第7の分圧抵抗58の抵抗値をR
Yとし、第8の分圧抵抗59の抵抗値をR
Zとすると、オペアンプ57の反転入力端子に流入する電流は0であることから、オペアンプ57の反転入力端子の電位V
−は、以下の式で表される。
【0057】
【数9】
【0058】
電位V
−は、イマジナリグラウンドであるから、
【0059】
【数10】
【0060】
となる。前述同様、
【0061】
【数11】
【0062】
であるから、これを上式に代入して、
【0063】
【数12】
【0064】
従って、
【0065】
【数13】
【0066】
となり、負荷電流I
Lに比例した電圧出力を得る。
【0067】
本実施例の電流検出回路5によれば、加算回路を用いて実施例1の電流検出回路1と同様の効果を奏する。なお、上述したR
Zがほとんど0で、第8の分圧抵抗59を無視できる場合であっても同様の効果を奏する。
【実施例6】
【0068】
以下、
図6を参照して実施例2、3に開示した片電源BTLアンプを用いた電流検出回路の変形例である実施例6の電流検出回路の構成、および動作について説明する。
図6は、本実施例の電流検出回路6の構成を示す回路図である。実施例2、3において基準電位V
Bを取り出すための構成であった第3〜第6の分圧抵抗23〜34の代わりに、本実施例では基準電位V
Bを供給する別電源である電源69を含むことを特徴とする。同図に示すように、差分検出部27は、第1、第2の分圧抵抗13、14の接続点と、電源69が供給する基準電位V
Bの差分に基づいて、負荷15に流れる電流I
Lを検出する。
【0069】
本実施例の電流検出回路6によれば、別電源である電源69を用いて実施例2や実施例3と同様に片電源BTLを用いた電流検出回路を実現することができる。