(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ルアー本体は、前記中空部より上側であって前記分割部に隣接する位置に、前記釣針の少なくとも一部が当接することにより、前記釣針の針先が前記ルアー本体からはみ出す方向への移動を規制する、中実部を含む、請求項1又は2に記載のルアー。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のルアーは、釣針可動型のジグヘッドを装着しているので、「前記ルアー本体内に前記釣針が格納された状態」、すなわち、釣針が磁石に吸着された状態から、磁石による釣針の吸着が解除されて釣針をルアー本体から大きくはみ出した状態に変化させることができる。「前記ルアー本体内に前記釣針が格納された状態」では、釣針が磁石又は磁性体に吸着されているので、ルアーを水中に投じた際にルアーに加わる衝撃等により、釣針がルアー本体から大きくはみだすことが抑制され、魚が食い付くまでは、水中の障害物への引っ掛かりが防止されている。
【0014】
また、ルアー本体には、錘部を装着する中空部が形成されており、ルアー本体のうちの中空部から開口部にまで達し釣針の回転移動域を含む範囲は、ルアー本体の長手方向に沿って分割された分割部が形成されている。ルアー本体のうち少なくとも、開口部、中空部及び分割部を形成した部分を含む範囲は、軟質材料で形成されている。そのため、ルアーに魚が食い付くと、ルアー本体のうちの開口部及び分割部を形成した部分を含む範囲が上下方向に潰れて開口部及び分割部が開き、釣針の、針先を含む先端部がルアー本体から剥き出しになるとともに、ルアー本体の変形に伴って釣針が磁石又は磁性体から離れ易くなる。この状態で、釣糸を引っ張ると、魚の口に釣針が深く突き刺さる。
【0015】
また、分割部が中空部から開口部にまで達しているので、ジグヘッドのルアー本体に対する着脱が可能であり、ルアー本体が破損しても、ジグヘッドに破損がなければ、ジグヘッドを再利用することができる。
【0016】
本発明のルアーの一態様において、ルアー本体を上面から見たとき、ルアー本体を上面から見てその長手方向に沿って2分割したうちの一方を一方の半身と称し、残りの半身を他方の半身と称することとすると、前記分割部の少なくとも一部において、1対の前記半身の間に隙間が存在していると好ましい。この構成によれば、ルアー本体と釣針との接触による摩擦を低減できるので釣針の回転がよりスムーズに行えるとともに、ジグヘッドのルアー本体に対する着脱が容易であり、好ましい。尚、本発明において「一方の半身」と「他方の半身」は、相互に対称であってもよいが、そうでなくてもよい。
【0017】
本発明のルアーの一態様において、ルアー本体内が、中空部より上側であって、分割部に隣接する位置に、釣針の少なくとも一部が当接することにより、釣針の針先がルアー本体からはみ出す方向への移動を制限する、中実部を含んでいると好ましい。この構成によれば、ルアー本体のうちの中空部周辺の強度を担保できるとともに、釣針が中実部に当接した時に釣針の先端とルアー本体を側面側から見たときの上面との距離が最大となるように、中実部を設ければ、魚の口に釣針がより深く突き刺さり易くなる。
【0018】
本発明のルアーの一態様において、開口部の、ルアー本体の先端に近い端を前方側端とし、ルアー本体の後端に近い端を後方側端とすると、釣針が開口部の前方側端に当接した状態で、釣針の先端とルアー本体の上面との距離が最大となると好ましい。この構成によれば、魚の口に釣針がより深く突き刺さり易くなる。
【0019】
本発明のルアーの一態様において、開口部の、ルアー本体の先端に近い端を前方側端とし、ルアー本体の後端に近い端を後方側端とすると、中実部の分割部に面する面は、前方側端から中空部に達しており、中実部の分割部に面する面の少なくとも一部が、前方側端に当接した状態の釣針に接すると好ましい。この構成によれば、魚がルアーに食い付いた後に釣糸を引いた際に、ルアー本体が裂けることを抑制でき、好ましい。尚、分割部と中実部は互いに隣接しているので、分割部を形成するルアー本体2の内面は、「中実部の分割部に面する面」でもある。
【0020】
本発明のルアーの一態様において、磁石又は磁性体が、ルアー本体内に配置されていると好ましい。この構成によれば、例えば、ルアー本体が魚型である場合、ルアー本体の外に磁石又は磁性体が設けられるよりも、実物の魚に似たルアーを提供できる。
【0021】
本発明のルアーの一態様において、ルアーを側面側から見たときに、釣針が直接見えないように、釣針全体がルアー本体内に格納されていると好ましい。例えば、ルアー本体が、開口部の上に形成された1対の背びれを含んでいる場合、1対の背びれの間に釣針の先端部が配置されていてもよい。ルアーを側面側から見たときに、釣針が直接見えないように、釣針全体がルアー本体内に格納されていると、例えば、ルアー本体が魚型である場合、より実物の魚に似たルアーを提供できる。尚、ルアー本体が、透明又は半透明な材料から形成される場合もある。この場合、釣針がルアー本体越しに透けて見えることがあるが、ルアーを側面側から見たときに、釣針全体がルアー本体内に格納されていれば、「釣針が直接見えない」と言える。
【0022】
本発明のルアーの一態様において、ルアー本体の所定の位置にフックを備え、フックを磁石または磁性体に吸着されることにより、ルアー本体に沿わせて固定可能としてもよい。このような構成の場合、フックはリングアイを介して、ジクヘッドに固定されていると好ましい。
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るルアーの側面図を、
図2は、
図1に示したルアー1の上面図を、
図3は、
図1に示したルアー1の下面図を示している。
図4は、
図1に示したルアー1の部分断面図であり、
図5は、
図1に示したルアー1を構成するルアー本体の断面図であり、
図6は、ルアー1を構成するルアー本体2が上下方向に潰れた状態を説明する斜視図であり、
図7は、
図1に示したルアー1のVII-VII'端面図である。尚、説明の便宜のため、ルアー1の長手方向両端のうちの、釣糸係止部5に近い側の端を「先端」とし、その反対側の端を「後端」と呼び、ある位置から、「先端」に向かう方向を「前方」、「後端」に向かう方向を「後方」と呼ぶ。また、
図1に示したルアー1の長手方向と直交し、上面及び下面を通る方向を「上下方向」と呼ぶ。
【0024】
本図に示したルアー1は、ルアー本体2内に、錘付きの釣針であるジグヘッド3を装着している。ルアー1は、ソフトベイト型のルアーであり、ルアー本体2全体は、軟質ゴム又は軟質樹脂の軟質材料で形成している。ルアー本体2の上面には、外部に開口した開口部10が形成されている。
図2において、ルアー本体2をその長手方向に沿って、上半分を一方の半身2aと称し、下半分を他方の半身2bと称することとすると、一方の半身2aと他方の半身2bは、各々、開口部10の長手方向に沿って、背びれ2c,2bを含んでいる。本図に示したルアー1では、釣針6の針先6eを含む先端部6dが、1対の背びれ2a,2bの間に配置されているので(
図1及び
図4等参照)、ルアー1を側面側から見たとき、釣針6は全く見えない。
【0025】
ジグヘッド3は、例えば、錘部4に、釣糸係止部5と釣針6とを取り付けたものである。釣針6は、錘部4に釣針6の端部を中心に回転可能に取り付けられている。このことにより、ジグヘッド3は、釣針6が錘部4から独立した動きをすることができる釣針可動型のジグヘッドを構成している。ジグヘッド3の構造及び動作の詳細については、後に
図8、9を参照しながら説明する。
【0026】
図8は、ジグヘッド3の斜視図を示し、
図9は、
図8に示したジグヘッド3の長手方向における部分断面図である。錘部4は、釣糸係止部5及び釣針6との接続部4bと、当該接続部4bに装着され、接続部4bよりも比重が大きい錘ボール4aとを含む。釣針6は、一端が錘部4への取付け部6aであり、他端が針先6eである。釣針6は、これらの両端の間に、錘部4から延伸した延伸軸部6b、針先6eが錘部4側に向くように湾曲した湾曲部6c、針先6eを含む先端部6dにより構成されている。
【0027】
図9に示されるように、釣針6の取付け部6aは、リング状に曲げ加工されている。このリング状部分の内側に、軸7が通っている。このことにより、釣針6は、軸7を中心として矢印a方向、及び矢印b方向に回転可能である。
【0028】
図4等に示されるように、ルアー本体2の内部には、接着剤等を用いて磁石9が固定されている。ルアー本体2内に格納された釣針6は、磁石9に当接することにより、矢印a方向の回転移動が制限される。磁石9の釣針6に対する吸着力は、ルアー1を水中に投じた際にルアー1に加わる衝撃や、水中でルアー1が木、岩、水底等の障害物に接触したときに加わる外力程度では、釣針6が磁石9から離れない程度に設定している。このような設定は、磁力の調整により可能である。
【0029】
従って、ルアー1は、想定した外力を超える大きな外力が加わらない限り、ルアー本体2内に釣針6が格納された状態が維持される。磁石9による釣針6の吸着が解除されて釣針6がルアー本体2から大きくはみだすような大きな外力としては、魚が食い付いたときの外力、魚が食い付いた状態で、釣糸を意図的に引っ張ったときに加わる外力を想定している。
【0030】
ルアー本体2は、下面に開口部を有しておらず、当該下面は、ルアー本体2の外部に対して閉じている。また、ルアー本体2内に釣針6が格納された状態では、釣針6が磁石9に当接し吸着している。従って、ルアー本体2内の内面(分割部12を囲う面)及び/又は磁石9によって、釣針6の矢印b方向の回転移動が制限される。釣針6の針先6eは、水中の障害物への引っ掛かりを防止でき、及びより実物の魚に似たルアーを提供できるという理由から、ルアー本体2内に完全に収まっていると好ましい。磁石9が、ルアー本体2内の最も下に位置する部位(ルアー本体内の最下部)に配置されていると、ルアー本体2が上下方向に潰れ易いという理由で好ましいが、磁石9は、「前記ルアー本体内に前記釣針が格納された状態」を保持し易いという理由から、前記ルアー本体内に前記釣針が格納された状態の釣針の最も下に位置する部位(以下「釣針の最下部」とも言う。)又はその近傍と当接する位置に配置されていると好ましく、釣針の最下部と当接する位置に配置されているとより好ましい。
【0031】
このように、釣針6は、矢印a方向の回転移動及び矢印b方向の回転移動の両方が規制されている。従って、ルアー1は、水中の障害物に接触し、姿勢が変化しても、魚が食い付くまでは、
図1に示したルアー本体2と釣針6との位置関係は維持される。すなわち、本実施の形態に係るルアー1は、魚が食い付くまでは、釣針6の針先6eがルアー本体2からはみ出すことが防止されている。
【0032】
図1及び
図2等に示されるように、ルアー本体2には、ルアー本体2の外部に開口した開口部10としてスリットが形成されている。ジグヘッド3はルアー本体2内に装着されている。このため、
図5に示されるように、ルアー本体2の内部には、錘部4を包み込む中空部11が形成されている。また、ルアー本体2のうちの中空部11から開口部10にまで達し釣針6の回転移動域を含む範囲は、ルアー本体2の長手方向に沿って分割された分割部12を含んでいる。ルアー本体2に分割部12が形成されているため、例えば、ルアー1のうちの針先6eよりも前方部分に魚が食いつくと、
図6に示されるように、魚の口の中では、分割部12と長手方向同位置における、一方の半身2aと他方の半身2bとが離れるように、ルアー本体2が上下方向に潰れた状態になる。また、本実施形態では、分割部12において、
図7に示されるように、一方の半身2aと他方の半身2bの間に隙間14が存在するため、ルアー1のうちの針先6eよりも前方部分に魚が食いつくと、ルアー本体2が上下方向により一層潰れやすく、好ましい。
【0033】
図5に示されるように、ルアー本体2を側面側から見たときの分割部12の形成領域は、少なくとも矢印a、b方向に回転した時に釣針が動く領域である回転移動域12aを含んでいる。開口部10のルアー本体2の先端に近い端を前方側端10aとし、ルアー本体2の後端に近い端を後方側端10bとすると、分割部12のうちの回転移動域12aよりも後方部分12bのルアー本体2の上面からの深さW(ルアー本体2が背びれ2c、2dを含む場合は、前方側端10aと前方側端10bとを結ぶ仮想線10c(
図5における一点鎖線)からの深さW)は、開口部10の後方側端10bに近づくにつれて浅くなっていること好ましい。このような形態では、ジグヘッド3のルアー本体2への装着の容易性とルアー本体2の弾性強度の担保の両立が行い易く、好ましい。尚、「弾性強度」とは、ルアー本体を曲げた状態からもとの状態に戻ろうとする強度を意味し、弾性強度が低下するとは、曲がった状態から復元しづらくなることを言う。
【0034】
図4に示されるように、釣針6が矢印a方向に回転して、例えば、開口部10の前方側端10aに当接した状態で、釣針の先端とルアー本体を側面側から見たときの上面との距離Zが最大となるように、開口部10の前方側端10aの位置が設定されていると好ましい。この場合、魚の口に釣針6がより深く突き刺さり易くなる。ルアー本体2内に前記釣針6が格納された状態(釣針6が磁石9に吸着した状態)から、釣針6が開口部10の前方側端10aに当接した状態になるまでの釣針6の回転角度θは、魚の口に釣針6がより深く突き刺さり易いという理由から、30°〜45°が好ましい。
【0035】
分割部12を形成するルアー本体2の内面は、釣針6が矢印a方向に回転して、開口部10の前方側端10aに当接した状態で、釣針の延伸軸部6bが当接する面13a(
図4及び
図5参照)を含んでいると好ましい。また、ルアー本体2は、中空部11より上側であって、分割部12に隣接する位置に、釣針6の少なくとも一部が当接することにより、釣針の針先がルアー本体からはみ出す方向への移動を制限する、中実部13を含んでいると好ましい。中実部13は、釣針6が開口部10の前方側端10aに当接した状態で、釣針6の延伸軸部6bの少なくとも一部が当接する面13aを含む。この構成によれば、釣針6の回転に伴って、開口部10の前方側端10aが裂けることが抑制される。
【0036】
図5に示されるように、ルアー本体2の分割部12よりも後方側部分14は、高い弾性強度を担保する観点から、中身の詰まった中実であると好ましい。
【0037】
図7は、
図1のVII-VII'端面図である。分割部12を構成する一対の半身2a、2b間の距離(隙間14の幅Y)は、大きすぎると、ルアー本体2の弾性強度が低下し、ルアーの泳ぎ姿勢が悪くなるため好ましくない。従って、隙間14の幅Yは、釣針6の矢印a及び矢印b方向の回転がスムーズに行える程度、例えば、釣針の直径と等しいか、好ましくはそれよりも大きく、より好ましくは釣針(但し、針先は除く)の直径の2倍、更に好ましくは3倍以上であり、具体的には、好ましくは4mm以上8mm以下である。
【0038】
隙間14の幅Yは、ルアー本体2の長手方向に沿って一定である必要はなく異なっていてもよい。また、隙間14の幅Yは、上下方向に沿って一定である必要もなく異なっていてもよい(
図7参照)。釣針6の回転がスムーズに行えるという理由から、分割部12のうちの少なくとも回転移動域12a(
図5参照)における隙間14の幅が、上記幅Yの好ましい範囲の値であると好ましい。また、釣針6の回転がスムーズに行え、且つ、ルアー本体2の弾性強度の担保の観点から、分割部12のうちの回転移動域12aにおける幅のみが、上記幅Yの好ましい範囲の値であり、分割部12のうちのそれ以外の部分(例えば、後方部分12b)の幅は、上記幅Yの好ましい範囲の値よりも小さくてもよい。
【0039】
分割部12は、中空部11とつながっている。このことにより、開口部10から、分割部12を通って錘部4を中空部11に収めることができる。このようにして、ルアー本体2内にジグヘッド3を装着することができる。
【0040】
即ち、この構成によれば、ルアー本体2内へのジグヘッド3の着脱が可能になり、軟質材料であるルアー本体2を弾性変形させながら、開口部10を入り口として、ジグヘッド3をルアー本体2に内に押し込むようにして装着することができる。逆の手順により、ルアー本体2からジグヘッド3を取り外すこともできる。
【0041】
ジグヘッド3の着脱を可能としたことにより、ルアー本体2が破損しても、ジグヘッド3に破損がなければ、ジグヘッド3を再利用することができる。すなわち、破損したルアー本体2からジグヘッド3を取り外し、このジグヘッド3を別途用意した新たなルアー本体2に装着すればよい。この場合、完成品のルアーを新たに購入する必要はなく、ルアー本体2のみを購入すればよいことになる。
【0042】
図1から
図9を用いて説明した本発明のルアーの一実施形態では、ルアー本体2が1対の背びれ2c,2dを含んでいるが、ルアー本体2は、背びれ2c,2dを備えていなくてもよい。この場合、釣針6全体は、ルアー本体2の上面より下に配置されていると好ましい。
【0043】
図1から
図9を用いて説明した本発明のルアーの一実施形態では、磁石9全体がルアー本体2内に配置されているが、磁石9の一部又は全部がルアー本体2の外側に配置されていてもよいし、ルアー本体2の下面から突出はしていない状態で磁石9の表面の一部がルアー本体2から露出していてもよい。釣針6が磁石で形成されている場合、磁石9は磁性体で形成されていてもよい。磁石9のルアー本体2への固定方法は特に限定されず、嵌合等による方法でもよい。
【0044】
図1から
図9を用いて説明した本発明のルアーの一実施形態では、釣針6全体が、ルアー本体2の内部にあるが、本発明の効果が損なわれない程度で、釣針6の一部、例えば、針先6eが、ルアー本体2から僅かにはみ出していてもよい。
【0045】
図1から
図9を用いて説明した本発明のルアーの一実施形態では、釣針6の可動機構は、
図9のようにリング状の取付け部6aに軸7を通した構成にしているが、この構成に限るものではない。例えば、軸7に釣針6を接合し軸7が回転する構成であってもよい。すなわち、釣針6の可動機構は、ジグヘッド3を
図9のように側面側から見たときに、釣針6が釣針6の錘部4への取付け部の周りを回転する動きをする構成であればよい。
【0046】
図1から
図9を用いて説明した本発明のルアーの一実施形態では、ルアー本体2全体を軟質材料で形成したソフトベイト型のルアーの例で説明したが、ルアー本体2の一部が硬質材料で形成されていてもよい。
【0047】
図1から
図9を用いて説明した本発明のルアーの一実施形態では、開口部10の前方側端10aに当接した際、中身の詰まった中実部13の分割部12に面する面13aの全面が釣針6と接しているが、前方側端10aの裂けを抑制可能であれば、当該面13aの一部のみ、例えば、当該面13aのうちの開口部10の前方側端10aの近傍のみが当接してもよい。
【0048】
以下、ルアー1の使用時の動作について説明する。
図1において、釣糸係止部5に釣糸を取り付けた状態で、ルアー1は水中に投入される。水中に投入された後のルアー1は、水中を走行し、又は漂うことになる。このとき、
図1に示したように、釣針6全体は、ルアー本体2の内部にあり、針先6eはルアー本体2からはみ出していない。また、前記の通り、本実施の形態に係るルアー1は、ルアー1が水中の障害物に接触しても、釣針6が障害物に引っ掛かることを防止している。
【0049】
このことにより、狙った場所への投入の確実性が高まることになり、ルアー1を、木や岩等の障害物のあるところに、あえて積極的に投入することが可能になる。障害物のある場所には、大型魚が潜んでいる可能性が高く、本実施形態に係るルアー1は、釣り対象を大型魚とする場合に、特に有利になる。
【0050】
尚、
図1等では、ジグヘッド3の錘部4は、ルアー本体2のうち魚の頭部に相当する端部に配置されており、錘ボール4aは、この端部のうち下側よりに配置されている。この錘部4の配置によれば、ルアー1の重心は、錘部4を取り付ける前の状態と比べると、下側に移動し、ルアー1は低重心となる。ルアー1は、水中では頭部が水底側に向くことになるが、釣糸を矢印c方向に引くことにより、低重心であるルアー1は、
図1のような水平状態の姿勢を保ちながら、安定して走行することができる。
【0051】
次に、ルアー1に魚が食い付くと、この感触は釣り竿を持つ使用者に伝わることになる。このとき、ルアー1は魚の口内にあるので、自由な動きが拘束されている。また、釣糸係止部5は錘部4から偏心した位置にある。従って、
図4において、使用者が釣糸を矢印c方向に引っ張ると、錘部4には釣針係止部5を中心として、矢印d方向に回転させる力が作用する。
【0052】
錘部4が矢印d方向に回転すると、釣針6は磁石9に当接した状態で、錘部4とともに回転しようとする。この際、磁石9が支点となって「てこの原理」により、釣針6の先端部6dを持ち上げる方向に力が発生する。加えて、ルアー1に魚が食い付き、ルアー本体1が上下方向に潰れ、釣針6の、針先6eを含む先端部6dがルアー本体2から剥き出しになると、釣針6が磁石9から離れ易くなっているので、釣針6は、
図1の2点鎖線で示したように、上方向に持ち上げられることになる。
【0053】
従って、ルアー1が魚の口内で自由な動きが拘束された状態で、矢印c方向に引っ張られると、釣針6は矢印a方向に持ち上げられることになる。この動作により、釣針6の針先6eが、魚の口に突き刺さって釣針6が魚の口に引っ掛かることになる。また、魚がルアー1に食い付いた際に既に魚の口に釣針6の針先6eが突き刺さっている場合は、上記動作により、針先6eは、さらに魚の口に深く突き刺さることになる。いずれにしても、魚の口内では、ルアー本体2が上下方向に押し潰されることにより、釣針6が大きく露出し得、しかも可動式ゆえに矢印a方向の回転がスムーズに行えることから、ルアー本体2に針先が干渉することなく魚の口に釣針6が深く突き刺さることが可能である。
【0054】
また、ルアー1に魚が食い付く前は、
図1等に示したように、釣針6の先端部6dはルアー本体2の上面に近接している。このことにより、ルアー本体2が上下方向に押し潰されると、釣針6の先端部6dはルアー本体2から直ぐにはみ出すことになり、釣針6が魚の口に引っ掛かり易くなる。
【0055】
釣針6が魚の口に引っ掛かった後においても、魚が暴れると、ルアー1は揺り動かされることになる。本実施の形態に係るジグヘッド3は、前記の通り、釣針6は、ルアー本体2に保持されている錘4から独立して動くことができる。このため、釣針6が魚の口に引っ掛かった状態で、ルアー1が揺り動かされても、釣針6は、
図4の矢印a、b方向に回転しながら、ルアー本体2の動きとは独立した動きをすることも可能になる。すなわち、釣針6はルアー本体2の動きに追従せず、釣針6の引っ掛かり部の動きに追従するといった動作が生じ得ることになる。従って、本実施の形態のような釣針可動型のジグヘッド3を備えたルアー1は、釣針6の外れ防止にも有利になる。
【0056】
図10に示されるように、本発明のルアーの他の実施態様は、例えば、磁石9よりも前方に配置されたフック15を備えていてもよい。フック15は、磁石9の磁力によりルアー本体2に沿わせて固定可能としてもよい。このような構成の場合、フック15は、錘部4に直接又は間接的に固定されたリングアイ16を介して、ジクヘッド3の錘部4に固定されていると好ましい。
【0057】
図7に示されるように、ルアー本体2の分割部12において、一対の半身2a,2b間に、例えば、幅Yの隙間14が存在していると、釣針6とルアー本体2との接触による摩擦を低減でき、釣針6の回転がよりスムーズに行えるとともに、ジグヘッド3のルアー本体2に対する着脱が容易であるという理由から、好ましい。しかし、
図11に示されるように、ルアー本体2の分割部において、一対の半身2a,2b間に隙間が無くても、本発明の効果は奏されるので、このような形態も本発明に包含される。
【0058】
図12及び
図13に示されるように、本発明のルアーの他の実施態様では、ジグヘッド3が、錘部4と釣糸係止部5と釣針6に加えて、磁石または磁性体9を保持するための保持部材8を更に含んでいる。保持部材8は、例えば、棒状体又は板状体であり、保持部材8の所定の位置には、磁石または磁性体9が固定されている。また、保持部材8は、釣針6が保持部材8に当接することにより、釣針6の矢印b方向の回転移動を制限する。このようなジグヘッド3を用いれば、磁石または磁性体9を、ルアー本体2の上下方向中央付近に配置することができる。この実施形態では、釣針6の回転移動域12aは、ルアー本体2のうちの、保持部材8よりも上方に在り、分割部12は、ルアー本体2のうちの、保持部材8よりも上方に在る。保持部材8の、ルアー本体2の後端に近い部分が、ルアー本体2内に埋入されているので、魚がルアーに食いつく等し、釣針6に磁石9から離れる方向の力が加わり、釣針6が矢印a方向に回転移動しても、磁石9は、釣針6に追従することなく、ルアー本体2の上下方向中央付近に保持される。
【0059】
図14及び
図5に示されるように、本発明のルアーの他の実施態様は、ジグヘッド3が、錘部4(第1錘部4)と釣糸係止部5と釣針6に加えて、磁石または磁性体9を保持するための保持部材8と、第2錘部17とを更に含む。第2錘部17は、ルアー本体2内において、第1錘部4に、例えば、金属棒等からなる連結部18を介して連結されており、第2錘部17には、リングアイ16が固定されている。リングアイ16は、ジグヘッド3がルアー本体2に装着された状態で、ルアー本体2の外側に露出しており、リングアイ16には、フック15が装着されている。フック15の3つの針の1つをルアー本体2に差し込めば、フック15を、ルアー本体2に沿わせ、フック15の針先がルアーの先端側を向くように、ルアー本体2に固定できる。