【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しながら、この発明によるナビゲーション装置およびナビゲーション方法の一実施の形態について説明する。この発明のナビゲーション装置、ナビゲーション方法は、通信機能を備えたいわゆるスタンドアロン型のナビゲーション装置にも、また、ネットワークを通じて構成されるシステム型のナビゲーション装置にも適用可能である。
【0016】
スタンドアロン型のナビゲーション装置には、自動車に固定的に搭載されて使用される車載用ナビゲーション装置やPND(Portable Navigation Device)など呼ばれる、自動車への着脱が容易な小型のナビゲーション装置がある。また、システム型のナビゲーション装置には、インターネット上に設けられる案内サービス提供サーバー装置と端末装置がインターネットを通じて接続されて構成されるものがある。端末装置は、スマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末やタブレットPC(Personal Computer)などの他、車載用の専用の端末装置の場合もある。
【0017】
以下においては、説明を簡単にするため、この発明のナビゲーション装置、ナビゲーション方法を、ネットワークを通じて接続される案内サービス提供サーバー装置と車載用の専用の端末装置とで構成されるシステム型のナビゲーション装置に適用した場合を例にして説明する。
【0018】
[駐車場案内システムの概要]
図1は、この実施形態のナビゲーション装置が用いられて構成される駐車場案内システムの概要を説明するための図である。
図1に示すように、この実施形態の駐車場案内システムは、案内サービス提供サーバー装置(以下、単にサーバーと記載する)1と、ネットワーク2と、端末装置3(1)、3(2)、…と、駐車場システム4(1)、4(2)、…とからなる。
【0019】
ネットワーク2は、主にはインターネットであるが、携帯電話網、公衆交換電話網などの広域通信網(広域ネットワーク)やWi−Fi(登録商標)規格の無線LANなどの端末装置3とインターネットとを接続する種々のネットワークをも含むものである。
図1においては、例えば、携帯電話網の基地局21(1)、21(2)、…を通じて、端末装置3(1)、3(2)、…のそれぞれがネットワーク2に接続可能になっている場合を示している。すなわち、端末装置3は、移動中であってもネットワーク2に接続可能である。
【0020】
そして、この実施形態の駐車場案内システムは、駐車場システム4(1)、4(2)、…のそれぞれと、サーバー1とがネットワーク2を通じて接続され、端末装置3(1)、3(2)、…のそれぞれと、サーバー1とがネットワーク2を通じて接続されて構成される。なお、通常は、端末装置3(1)、3(2)、…のそれぞれと、駐車場システム4(1)、4(2)、…のそれぞれとが直接接続されることはない。
【0021】
駐車場システム4(1)、4(2)、…のそれぞれは、基本的にはネットワーク2に接続可能な管理端末装置を備え、自機が管理する駐車場についての駐車場情報を、サーバー1に登録すると共に、必要に応じて更新する機能を実現する。駐車場情報は、詳しくは後述するが、当該駐車場の所在地、名称、形態、自動駐車に関する情報などの固定的な情報と、満空情報などの変動情報との両方を含む。ここで満空情報は、駐車場が満車か空車かだけを示すものではなく、駐車スペースが何台空いているかを示す情報である。
【0022】
このため、各駐車場システム4(1)、4(2)、…の管理端末装置は、固定的な情報について、最初にサーバー1に登録した後に変更が生じた場合には、変更が生じた情報を更新する。また、各駐車場システム4(1)、4(2)、…の管理端末装置は、満空情報については、リアルタイムにサーバー1に登録されている自駐車場の満空情報を更新する。すなわち、各駐車場システムは、画像認識技術やセンサ技術を用いた満空状態の管理機能を備えており、満空状態をリアルタイムに把握し、管理端末装置を介して、サーバー1に更新することができるようにしている。
【0023】
サーバー1は、駐車場システム4(1)、4(2)、…からの駐車場情報を駐車場ごとに管理する。また、サーバー1は、地図情報データベース、道路ネットワークデータベースなどを備えると共に、駐車場探索機能、経路探索機能を備える。そして、サーバー1は、端末装置3(1)、3(2)、…からの駐車場探索要求や経路探索要求に応じて、駐車場探索や経路探索を行って、その結果を要求元の端末装置3(1)、3(2)、…に返信する。この場合、探索結果には、地図情報や駐車場情報を含む。
【0024】
これにより、要求元の端末装置3(1)、3(2)、…では、探索結果を受信すると、地図上において有料駐車場等の不特定多数の者の利用が可能な駐車場を示す場合に、自動駐車機能の利用が可能な駐車場
か否かを区別可能な態様で表示する。つまり、自動駐車機能を利用した駐車が可能な駐車場、自動駐車機能を利用した駐車を禁止している駐車場、自動駐車機能を利用した駐車と運転者の操作による駐車との両方が認められている駐車場などを区別可能に表示する。
【0025】
さらに、サーバー1からの駐車場情報には、満空情報も含まれており、各駐車場の満空状態を示すこともできるようになっている。また、端末装置3(1)、3(2)、…において、利用したい駐車場を指示すると、端末装置3(1)、3(2)、…からサーバー1にその駐車場までの経路探索を要求し、探索結果を得て、当該駐車場までの経路案内もできるようになっている。
【0026】
また、利用したい駐車場が、例えば、自動駐車機能を利用した駐車と運転者の操作による駐車との両方が認められている駐車場であって、それぞれの利用エリアが決まっている場合には、当該駐車場内の案内もできるようにしている。この駐車場内の案内は、サーバー1からの駐車場情報に含まれる案内情報によりできるようになっている。また、端末装置3(1)、3(2)、…のそれぞれは、例えば、使用者からの指示に応じて、自動駐車機能の実行を自動車側に指示することもできるようになっている。
【0027】
このように、サーバー1に集められる駐車場システム4(1)、4(2)、…からの情報を、サーバー1を介して、端末装置3(1)、3(2)、…のそれぞれが利用し、自機が搭載された自動車の使用者が利用したい駐車場を適切に案内できるようにしている。これにより、自動駐車機能が実用化された場合に生じる駐車場環境の変化に適切に対応でき、使用者の利便性を向上させることを実現している。
【0028】
なお、駐車場システム4(1)、4(2)、…のそれぞれは、同様の構成を有するものであるので、特に区別して示す必要がある場合を除き、駐車場システム4(1)、4(2)、…のそれぞれを駐車場システム4と総称する。同様に、端末装置3(1)、3(2)、…のそれぞれは、同様の構成を有するものであるので、特に区別して示す必要がある場合を除き、端末装置3(1)、3(2)、…のそれぞれを端末装置3と総称する。
【0029】
[実施の形態のナビゲーション装置の構成]
次に、この実施の形態のナビゲーション装置を構成するサーバー1の構成例と端末装置3の構成例について具体的に説明する。
図2は、この実施形態のナビゲーション装置を構成するサーバー1の構成例と端末装置3の構成例とを説明するためのブロック図である。
【0030】
[サーバー1の構成例]
図2の上側のブロック図が、この実施の形態のサーバー1の構成例を示すものである。
図2の上側に示したサーバー1において、通信I/F101は通信機能を、制御部102はサーバー1の各部を制御する機能を、記憶装置103は情報記憶保持機能を実現する。なお、通信I/F101との記載における「I/F」は、インターフェース(interface)の略称である。そして、通信I/F101は、ネットワーク2に接続されており、後述する端末装置3などとの通信は、通信I/F101を通じて行われる。
【0031】
また、サーバー1は、地
図DB104、道路ネットワークDB105、駐車場DB106を備えている。これらは、ハードディスクなどの大容量記録媒体に作成されたデータベースである。すなわち、地
図DB104、道路ネットワークDB105、駐車場DB106との記載における「DB」は、データベース(Data Base)の略称である。また、
図1において、道路ネットワークDB105は、道路NWDB105と記載している。
【0032】
地
図DB104は、経路案内を行うために使用する市街図、道路図、広域図、地方図、全国図を表示するための地図データを記憶する。市街図、道路図、広域図、地方図、全国図を表示するための地図データは、地図を描画するための例えばベクトルデータやラスタデータ、注記(注釈)データなどを含む。
【0033】
道路ネットワークDB105は、自動車用の道路ネットワークデータを記憶保持する。
図3は、道路ネットワークDB105に格納される自動車用の道路ネットワークデータの例を説明するための図である。
図3(A)は、道路ネットワークの一例を示している。道路ネットワークデータは、ノードデータとリンクデータとからなる。ノードデータは、ランドマーク、建物、施設、交差点、分岐点、屈曲点などの地点を表す。リンクデータは、ノードデータを結ぶ線分によって、国道、県道などの自動車が通行可能な道路などを示す。
図3(A)に示したネットワークの例は、4つのノードデータ(N1〜N4)と4つのリンクデータ(L1〜L4)とによって構成されている。
【0034】
図3(B)は、
図3(A)に示した例のネットワークの場合のリンクデータの構成を示している。各リンクデータには、各リンクの識別情報(L1、L2、…)と、そのリンクを構成するノードの識別情報(N1、N2、…)と、リンクコストと、リンク種別とが対応付けられている。通常、リンクコストは、そのリンクの長さ(距離)、あるいは、通行に要する時間によって定められる。
【0035】
そして、リンクコストは、いわゆるダイクストラ法により、リンクコストが最小となるルート(経路)を探索する場合に参照される。リンク種別は、当該リンク部分が、国道、県道、市道、私道などのどれであるかを示すものである。そして、
図2(B)に示した例の場合、リンクL1、L3、L4は、国道で、リンクL3は県道であることが示されている。
【0036】
図3(C)は、
図3(A)に示した例のネットワークの場合のノードデータの構成を示している。各ノードデータには、各ノードの識別情報(N1、N2、…)と、そのノードの位置を示す緯度、経度情報と、ノード種別とが対応付けられている。ノード種別は、当該ノード部分が、交差点、分岐点などのどれであるかを示すものである。そして、
図3(C)に示した例の場合、ノードN1〜N4は全て交差点であることが示されている。この
図3を用いて説明したような、リンクデータとノードデータとが道路ネットワークDB105に格納されており、経路探索時において用いられる。
【0037】
駐車場DB106は、上述したように、各駐車場の駐車場システム4(1)、4(2)、…からの駐車場情報を記憶保持する。
図4は、この実施形態の駐車場DB106に記憶保持される駐車場情報の例を説明するための図である。駐車場情報は、ID(識別情報)、代表点、名称及び住所、種別、形態、収容台数、自動駐車可否、自動駐車スペース、自動駐車種別、満空状態、入口位置1、入口位置2、…、駐車場内案内用画像データ、駐車場内案内用メッセージデータからなる。このような、駐車場情報が駐車場システム4(1)、4(2)、…のそれぞれにおいて形成され、サーバー1に登録されることになる。
【0038】
そして、ID(識別情報)は、各駐車場を識別することが可能な駐車場ごとに固有の情報であり、例えば、都道府県コード、市区町村コード、地区コード、登録番号などからなる。このID(識別情報)は、登録時において、後述する駐車場情報管理部111により、駐車場システムからの当該駐車場の住所と登録順とに基づいて付与される。代表点は、その駐車場の所在地を示す緯度、経度であり、例えば、当該駐車場の住所から地図上においてその駐車場の所在範囲を特定し、その所在範囲の中心位置として求めることができる。
【0039】
種別は、民間駐車場、都道府県や市区町村などが運営する公営駐車場などの別を示す。形態は、平地自走式駐車場、立体自走式駐車場、立体機械式駐車場、これらを組み合わせた複合式駐車場などの別を示す情報である。収容台数は、その駐車場に駐車可能な自動車の台数である。自動駐車可否は、自動駐車機能を利用した駐車ができる駐車場か否かを示す情報である。また、自動駐車スペースは、当該駐車場が自動駐車機能を利用した駐車ができる駐車場である場合であって、自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車スペースが決められている場合に、その専用の駐車スペースが何台分用意されているかを示す情報である。
【0040】
自動駐車種別は、当該駐車場が自動駐車機能を利用した駐車ができる駐車場である場合に、対応可能な自動駐車の機能が、アシスト型駐車機能なのか、全自動型駐車機能なのかを示す情報である。上述したように、アシスト型駐車機能は、運転者が乗車した状態で機能し、ステアリング操作やギヤチェンジ操作は自動で行われるが、アクセル及びブレーキ操作は運転者が行うものである。全自動型自動駐車機能は、運転者が乗車している必要もなく、全て自動で行われるものである。
【0041】
満空状態は、その時点の当該駐車場の空き状態を示す情報である。なお、自動駐車機能を利用した駐車と運転者の操作による駐車との両方が認められている駐車場においては、自動駐車機能を利用して駐車が可能なスペースと運転者の操作により駐車が可能なスペースとのそれぞれの満空状態が管理される。入口位置1、2、…は、駐車場に複数の入口が設けられている場合に、そのそれぞれの位置を示す緯度、経度である。これら入口位置1、2、…の情報により、利用する入口に応じて、駐車場内の案内を適切に行うことなどが可能にされる。なお、
図4において、入口位置は、入口位置1、2、の2つを示しているが、入口が1だけの場合は1つであるし、2つ以上の複数存在する場合には、入口の数に応じて登録される。
【0042】
駐車場内案内用画像データは、駐車場内を案内するための画像データである。具体的には自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車スペースが決められている場合や完全自動駐車機能を用いて駐車を行う場合に自動車を停車させる位置(スタート位置)が決められている場合に、それらの位置まで案内するための画像データである。駐車場内案内用メッセージデータは、駐車場内を案内するためのメッセージデータである。これも例えば自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車スペースが決められている場合や完全自動駐車機能を用いて駐車を行う場合に自動車を停車させる位置(スタート位置)が決められている場合に、それらの位置まで案内するために用いられるメッセージデータである。なお、駐車場内案内用画像データと駐車場内案内用メッセージデータとは、例えば、非常口の案内、トイレの案内など、駐車場なの種々の案内を行うためのものも含まれる。
【0043】
そして、
図4に示した例では、IDが「…001」で、代表点が「X1,Y1」である名称が「○○パーキング」である駐車場は、「民間」の「平地」の駐車所であり、収容台数が「64台」であることが示されている。そして、当該駐車場は、自動駐車機能の利用が「可」で、自動駐車機能を利用して駐車できる駐車スペースが「8台」あり、利用可能な自動駐車機能は「アシスト型」であり、現在の満空状態は「40台の空きがありその内8台」が自動駐車機能を利用して駐車できる駐車スペースであることが示されている。また、当該駐車場は、2つの入口位置1,2を有し、駐車場内案内用画像データと駐車場内案内用メッセージデータとを有していることが示されている。
【0044】
また、IDが「…002」で、代表点が「XA,YA」である名称が「××駐車場」である駐車場は、「市営」の「立体」の駐車所であり、収容台数が「120台」であることが示されている。そして、当該駐車場は、自動駐車機能の利用が「可」で、自動駐車機能を利用して駐車できる駐車スペースが「20台」あり、利用可能な自動駐車機能は「アシスト型と全自動型」の両方であり、現在の満空状態は「78台の空きがありその内20台」が自動駐車機能を利用して駐車できる駐車スペースであることが示されている。また、当該駐車場は、2つの入口位置1,2を有し、駐車場内案内用画像データと駐車場内案内用メッセージデータとを有していることが示されている。
【0045】
駐車場DB106には、多数の駐車場についての
図4を用いて説明した態様の駐車場情報が記憶保持されており、駐車場探索に用いられる他、地図上に駐車場の位置などを表示する場合などに用いられる。
【0046】
そして、駐車場情報管理部111、駐車場探索部112、経路探索部113、提供情報形成部114が、この実施形態のサーバー1の主要な機能を実現するためのものである。これらは、制御部102の制御の下に機能する。すなわち、制御部102は、通信I/F101を通じて受信した駐車場システム4や端末装置3からの種々の要求を分解し、必要となる情報を抽出して、抽出した情報を関係する処理部に供給して制御する。
【0047】
例えば、受信した要求の種別を示す情報から当該要求が駐車場システム4からの駐車場情報の登録要求である場合、制御部102は、当該駐車場情報を駐車場情報管理部111に供給する。駐車場情報管理部111は、制御部102の制御の下、これに供給された駐車情報を駐車場DB106に登録する。また、制御部102は、受信した要求の種別を示す情報から当該要求が駐車場システム4からの駐車場情報の更新要求である場合、制御部102は、提供された更新情報を駐車場情報管理部111に供給する。駐車場情報管理部111は、制御部102の制御の下、これに供給された更新情報に応じて、駐車場DB106の該当する駐車場情報の該当する項目(情報)を更新する。
【0048】
また、制御部102は、受信した要求の種別を示す情報から当該要求が端末装置3からの駐車場端探索要求である場合には、当該駐車場探索要求を駐車場探索部112に供給する。駐車場探索部112は、制御部102の制御の下、これに供給された駐車場探索要求から要求元の端末装置3の現在位置などの基準位置を示す情報を抽出し、当該基準位置を中心として所定範囲内に位置する駐車場の駐車場情報を駐車場DB106から抽出する。また、駐車場探索部112は、駐車場探索を行ったエリアの地図情報を地図情報DB104から抽出する。そして、駐車場探索部112は、抽出した駐車場情報や地図情報を提供情報形成部114に供給する。
【0049】
また、制御部102は、受信した要求の種別を示す情報から当該要求が端末装置3からの経路探索要求である場合には、当該経路探索要求を経路探索部113に供給する。経路探索部113は、制御部102の制御の下、これに供給された経路探索要求から出発地、目的地、経由地などの必要情報を抽出する。そして、経路探索部113は、抽出した情報に基づいて、道路ネットワークDB105のネットワークデータを参照し、出発地から目的地までの経路を探索する。また、経路探索部113は、経路探索結果に応じて、経路を示すために必要になる地図情報を地図情報DB104から抽出すると共に、当該地図情報により示されるエリアの駐車場情報を抽出して、これらの情報と経路の探索結果とを提供情報形成部114に供給する。
【0050】
提供情報形成部114は、これに供給される情報に基づいて、要求元の端末装置3に対して送信する形式の送信情報を形成し、これを通信I/F101を通じてネットワーク2に送出し、要求元の端末装置3に提供する。すなわち、提供情報形成部114は、駐車場の探索結果や経路の探索結果を受け付けて、これらを要求元の端末装置3において利用できるようにするための情報を形成し、これを通信I/F101を通じて要求元の端末装置に提供する処理を行う。
【0051】
なお、端末装置3が経路案内中においては、端末装置3からの要求に応じて、制御部102と提供情報形成部114とが協働し、経路案内に必要となる地図情報を地図情報DB104から抽出して、適切なタイミングで端末装置3に提供することができる。これにより、端末装置3に対して経路案内に必要となる地図情報を一度に全部を提供することなく、端末装置3の現在位置に応じて必要になったエリアの地図情報を適切なタイミングで提供することができるようにしている。
【0052】
[端末装置3の構成例]
図2の下側のブロック図が、この実施の形態の端末装置3の構成例を示すものである。
図2の下側に示した端末装置3において、送受信アンテナ301A及び無線通信部301は通信機能を、制御部302は端末装置3の各部を制御する機能を、記憶装置303は情報記憶保持機能を実現する。操作部304は、電源のオン/オフスイッチや幾つかのファンクションボタンなどが設けられたものである。
【0053】
I/F部(I/Fはinterfaceの略称。)305及び入出力端306は、自動車側の制御部との情報の送受を行う部分である。I/F部305及び入出力端306を通じては、自動車側からは例えば自立航法のための種々のセンサ情報や自動車の動作状態を示す情報の提供を受けたり、自動車側へは自動駐車機能の実行を指示する情報を提供したりする。GPSアンテナ307A及びGPS部307は、現在位置取得機能を実現する。
【0054】
表示部310D及びタッチセンサ310Sとからなるタッチパネル311と、音声出力部312と、スピーカ313とは、ユーザーインターフェースを構成する。表示部310Dに地図と、端末装置3の現在位置とを表示し、音声出力部312とスピーカ313とを通じて、ナビゲーション用の案内音声メッセージを放音することにより、端末装置3の使用者に対して、ナビゲーションサービスを提供する。
【0055】
要求等形成部321は、制御部102の制御の下、駐車探索要求や経路探索要求を形成してサーバー1に送信したり、また、経路案内中において、必要になる地図情報の提供要求を形成してサーバー1に送信したりする。駐車探索要求は、探索の基準位置を示す情報を含み、この基準位置を中心にして所定の範囲内に位置する駐車場の探索を要求するものである。基準位置は、例えば端末装置3の現在位置であったり、目的地の住所や施設の名称であったりする。これにより、現在位置近傍の駐車場を探索したり、目的地において利用する駐車場を探索したりできる。また、所定の範囲内は、例えば、基準位置を中心にして半径2kmの範囲、半径3kmの範囲というように、端末装置3の使用者が設定可能である。
【0056】
経路探索要求は、経路探索の実行をサーバー1に要求するものであり、上述したユーザーインターフェースを通じて使用者により入力される、出発地、経由地、目的地などを含む。また、地図情報の提供要求は、例えば経路案内中に次に案内するエリアの地図情報の提供を要求するものであり、GPS部307を通じて取得する自機の現在位置を示す情報を含むものである。
【0057】
要求等形成部321において形成された種々の要求等は、無線通信部301、送受信アンテナ301Aを通じてインターネットに送出され、サーバー1に送信される。そして、経路探索要求に応じてサーバー1から提供される駐車場探索結果や経路探索結果や地図情報の提供要求に応じてサーバー1から提供される地図情報などは、送受信アンテナ301A及び無線通信部301を通じて受信される。受信した探索結果や地図情報は、記憶装置303に一時記憶して、表示部310Dに表示することにより、使用者に提供して選択を促したり、ナビゲーション処理に利用したりできる。
【0058】
案内処理部322は、自機からの要求に応じてサーバー1から提供される駐車場探索結果や経路探索結果を表示部310Dに表示して
使用者に提示する。そして、探索結果から目的とする駐車場までの経路や目的地までの経路が設定された場合には、地図データとGPS部307からの現在位置とに基づいて、経路案内(ナビゲーション)処理を実行する。具体的に、案内処理部322は、探索されたルートと自機の現在位置とを示した地図を表示部310Dに表示し、ユーザーに対して経路を案内する処理行う。
【0059】
この場合、案内処理部322は、必要に応じて、曲がり角などを指示する音声データを、記憶装置303から読み出して、音声出力部312に供給して、これに応じた音声をスピーカ313から放音し、音声メッセージによっても、ユーザーを誘導できる。この経路案内(ナビゲーション)処理の実行時においては、案内処理部322は、GPS部307を通じて順次に取得する自機の現在位置を含む地図の提供要求を適宜のタイミングでサーバー1に供給することにより、経路案内処理に必要となる地図データの提供をサーバー1から順次に受けられる。
【0060】
例えば自動駐車機能を利用して駐車が可能な目的とする駐車場に到着して当該駐車場に入場し、当該端末装置3がタッチパネル311を通じて自動駐車機能を利用して駐車を
行うことの指示入力を受け付けたとする。この場合に、自動車制御部323は、制御部302の制御の下、自動駐車を行うことを指示する制御信号を形成し、これをI/F部305及び入出力端306を通じて、自動車側の制御部に提供する処理を行う。これにより、端末装置3と自動車とを連携させ、自動車の状態をスムーズに自動駐車機能による駐車動作に移行させることができる。なお、サーバー1から提供される地図情報や駐車場情報などの種々の情報は、記憶装置303に格納され、これを順次に読み出して利用できるようになっている。
【0061】
このように構成されるこの実施形態のナビゲーション装置では、自動駐車機能を用いて駐車が可能な駐車場とそうでない駐車場とを、ナビゲーション装置の使用者に明確に通知し、使用者の要望に合致した駐車場に案内できるようにしている。更に、自走駐車機能を利用する場合に、駐車場内の案内や自機が搭載された自動車において、自動駐車機能を利用した駐車の実行までをシームレスに行うことができるようにしている。
【0062】
[ナビゲーション装置で行われる処理の詳細]
次に、この実施形態のナビゲーション装置を構成するサーバー1と端末装置3とのそれぞれにおいて実行される駐車場探索時の処理や経路案内時の処理の詳細について、フローチャート等を参照しながら説明する。以下においては、まず、処理の起点となる操作が使用者によって行われる端末装置3の処理について説明し、この後、サーバー1の処理について説明する。
【0063】
[端末装置3で行われる処理]
上述した構成を有する端末装置3において、サーバー1と協働することにより行われる駐車場探索時や経路案内時の処理の詳細について説明する。
図5、
図6は、端末装置3で行われる処理を説明するためのフローチャートであり、
図7〜
図9は、
図5、
図6に示した処理において端末装置3の表示部310Dに表示される表示画面の例を説明するための図である。
【0064】
図5、
図6に示す処理は、端末装置3のタッチパネル311の表示部310Dに表示される所定のメニューから駐車場探索処理や経路探索処理に対応する項目を、タッチパネル311を通じて選択することにより、制御部302によって実行される。まず、制御部302は、メニューから選択された実行する項目に応じて、地図表示やナビ表示を行うことをサーバー1に対して要求する地図/ナビ表示要求処理を実行する(ステップS101)。すなわち、ステップS101において制御部302は、選択された処理に応じた入力画面を表示部310Dに表示し、タッチパネル311を通じて必要な情報の入力を受け付ける。そして、ステップS101において制御部302は、要求等形成部321を制御して、タッチパネル311を通じて受け付けた情報を含む探索要求を形成し、これをサーバー1に送信する。
【0065】
例えば、選択された項目が駐車場探索処理の場合には、探索する場所と探索対象が駐車場であることを示す情報の入力を受け付けて、これらを含む駐車場探索要求を形成してサーバー1に送信する処理がステップS101で行われる。なお、探索する場所としては、GPS部307を通じて取得した現在地の緯度、経度を用いたり、目的地の住所や駅名などの施設の名称を入力して用いたりできる。また、選択された項目が経路探索処理の場合には、出発地、目的地、経由地、有料道路優先、一般道路優先等の経路探索に必要な情報の入力を受け付けて、これらを含む経路探索要求を形成してサーバー1に送信する処理がステップS101で行われる。
【0066】
この後、サーバー1からは、ステップS101において端末装置3から送信した要求に応じた探索処理を行って、地図情報や駐車場情報等を含む探索結果を返信してくる。このため、制御部302は、サーバー1からの自機宛の探索結果を受信して、これを出力する処理を行う(ステップS102)。このステップS102の処理では、駐車場探索の実行が指示されている場合には、駐車場の位置を示した地図表示が行われる。また、ステップS102の処理では、経路探索の実行が指示されているときには、複数の経路が探索された場合にはそれらを提示し、経路案内に用いる経路の選択設定を受け付けて、その設定された経路を案内するように地図表示を用いて経路案内が実行される。
【0067】
いずれの場合にも、地図表示においては、サーバーから提供された駐車場情報に基づいて、駐車場の所在位置には、駐車場マークが表示される。そして、地図上に表示された駐車場マークとこれに対応する駐車場情報とは、端末装置3において、1対1に対応するように管理される。すなわち、地図上に表示された駐車場マークを指示すれば、その駐車マークに対応する駐車場情報が特定できるように対応キー(数字キー)などにより対応付けられている。
【0068】
図7(A)は、ステップS102において表示部310Dに表示される地図表示の例を示す図である。地図には種々の施設等の表示もなされるが、ここでは説明を簡単にするため、この発明の特徴である駐車場の表示に絞って地図表示が行われている場合を示している。
図7(A)において、番号1、2、5、6、8、9を付した丸印の駐車場マークで示した位置には、自動駐車機能を用いて駐車のできない従来型の駐車場があることを示している。換言すれば、従来型の駐車場は、種々の理由から、自動駐車機能を用いた駐車を認めていない(禁止している)駐車場である。
【0069】
また、この実施形態の場合には、
図4に示した駐車場情報を用いることにより、番号4を付し、四角形の駐車場マークMK1で示した位置には、アシスト型自動駐車機能により駐車が可能な駐車場があることを示している。また、番号3を付し、ひし形の駐車場マークMK2で示した位置には、全自動型自動駐車機能により駐車が可能な駐車場があることを示している。そして、番号7を付し、二重線の四角形の駐車場マークMK3で示した位置には、全自動型駐車機能とアシスト型自動駐車機能の両方により駐車が可能な駐車場があることを示している。
【0070】
この
図7(A)に示すように、従来型の駐車場と自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車場とは、異なる駐車場マークで示される。これにより、自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車場がどこにあるのかが明確に把握できる。したがって、自動駐車機能を利用して駐車したい自動車の使用者にとっては、迷わずに目的とする駐車場を見つけることができる。なお、
図7(A)に示したように、ステップS102において表示部310Dに表示される表示画面には、例えば右上端部に「終了」ボタンが設けられている。この「終了」ボタンを操作することにより、使用者の意思により、この
図5、
図6に示す処理を終了させることができるようにしている。
【0071】
そして、ステップS102の処理の後、制御部302は、タッチパネル311を通じて操作入力を受け付ける(ステップS103)。この例において、ステップS103では、終了操作、駐車場の詳細情報の表示指示操作、目的とする駐車場の特定指示操作が受け付けられる。ここで、終了操作は、上述した「終了」ボタンへのタップ操作である。駐車場の詳細情報の表示指示操作は、目的とする駐車場の駐車場マークへの1回のタップ操作である。目的とする駐車場の特定指示操作は、目的とする駐車場の駐車場マークへのダブルタップ操作である。
【0072】
この後、制御部302は、ステップS103で受け付けた操作入力は、終了操作か否かを判断する(ステップS104)。ステップS104の判別処理において、終了操作を受け付けたと判別したときには、詳しくは後述するが、
図6のステップS123の処理に進み、所定の終了処理を行って、この
図5、
図6に示す処理を終了する。また、ステップS104の判別処理において、終了操作は受け付けていないと判別したときには、制御部302は、ステップS103で受け付けた操作入力は、目的とする駐車場についての詳細情報の表示指示操作か否かを判別する(ステップS105)。
【0073】
ステップS105の判別処理において、目的とする駐車場についての詳細情報の表示指示操作を受け付けたと判別したときには、その指示された駐車場についての詳細情報を表示する処理を行う(ステップS106)。上述したように、地図上の駐車場マークと対応する駐車場情報とは対応付けられている。このため、ステップS106において、制御部302は、案内処理部322を制御し、指示された駐車場マークに対応する駐車場情報から必要情報を抽出して、指示された駐車場マークの近傍に、その駐車場の詳細情報を表示する処理を行う。
【0074】
図7(B)は、駐車場の詳細情報の表示例を説明するための図である。駐車場マークMK1が指示されたときには、その近傍に、詳細表示H1が表示される。詳細表示H1では、当該駐車場はアシスト型自動駐車機能により駐車が可能な駐車場であり、現在、40台の空きスペースがあり、その内8台は自動駐車機能により駐車が可能な空きスペースであることが示されている。
【0075】
また、駐車場マークMK2が指示されたときには、その近傍に、詳細表示H2が表示される。詳細表示H2では、当該駐車場は全自動型自動駐車機能により駐車が可能な駐車場であり、現在、78台の空きスペースがあり、その内20台は自動駐車機能により駐車が可能な空きスペースであることが示されている。また、駐車場マークMK3が指示されたときには、その近傍に、詳細表示H3が表示される。詳細表示H3では、当該駐車場はアシスト型自動駐車機能と全自動型自動駐車機能との両方により駐車が可能な駐車場であり、現在、60台の空きスペースがあり、その内15台は自動駐車機能により駐車が可能な空きスペースであることが示されている。
【0076】
このように、指示された駐車場の詳細表示を行った後には、制御部302は、ステップS103からの処理を繰り返す。なお、詳細表示H1、H2、H3などは、タッチパネル311のその表示部分上をタップ操作したり、別の駐車場マークをタップ操作したりすることにより、ステップS106の処理において表示を消去させることができる。もちろん、指示した駐車場の全部の詳細表示を表示したままにしておくようにすることも可能である。
【0077】
また、ステップS105の判別処理において、目的とする駐車場についての詳細情報の表示指示操作は受け付けていないと判別したとする。この場合、制御部302は、ステップS103で受け付けた操作入力は、目的とする駐車場についての特定指示操作か否かを判別する(ステップS107)。ステップS107の判別処理において、目的とする駐車場についての特定指示操作は受け付けていないと判別したときには、制御部302は、ステップS103からの処理を繰り返す。
【0078】
また、ステップS107の判別処理において、目的とする駐車場についての特定指示操作を受け付けたと判別したとする。この場合、制御部302は、要求等形成部321を制御して、GPS部307を通じて取得する現在位置を出発地とし、特定指示した駐車場を目的とする経路の探索要求を形成し、これをサーバー1に送信する(ステップS108)。この後、サーバー1からは経路探索結果が返信されて来るので、制御部302は、サーバー1からの経路探索結果を受信して、探索された経路を表示部310Dに表示された地図上に出力する(ステップS109)。そして、目的とする駐車場への経路案内を開始する(ステップS110)。
【0079】
図8(A)は、ステップS109で表示される現在位置から目的とする駐車場までの探索された経路の経路案内表示の例を示す図である。
図8(A)に示すように、この例では、現在位置Pから特定指示した駐車場までの経路が矢印で示され、音声案内も併用されて、特定指示した駐車場への経路案内が行われる。なお、
図8(A)に示した経路は単純な場合を示しているが、目的とする駐車場までの距離は長くないが、分かり難い場所にある場合などにおいて有効となる。
【0080】
ステップS110の処理の後において制御部302は、
図6の処理に進み、特定指示した駐車場に到着したか否かを判別する(ステップS111)。ステップS111の判別処理は、GPS部307を通じて取得する現在位置が、特定指示した駐車場の駐車場情報に含まれる入口位置1、2、…のいずれかの近傍に至ったか否かにより判別可能である。
【0081】
ステップS111の判別処理において、特定指示した駐車場に到着していないと判別したときには、制御部302は、使用者からの操作入力を受け付けるようにし(ステップS112)、終了操作が行われたか否かを判別する(ステップS113)。ステップS113の判別処理において、終了操作は行われていないと判別されたときには、制御部302は、ステップS111からの処理を繰り返す。また、ステップS113の判別処理において、終了操作が行われ他と判別されたときには、制御部302は、ステップS123の処理に進み、所定の終了処理を実行し(ステップS123)、この
図5、
図6に示す処理を終了する。
【0082】
また、ステップS111の判別処理において、特定指示した駐車場に到着したと判別したときには、自動駐車エリアに向かうか否かの確認画面を表示し、確認入力を受け付ける(ステップS114)。
図8(B)は、ステップS114で表示される自動駐車エリアに向うか否かの確認画面の例を示す図である。
図8(B)に示すように、当該確認画面では、自動駐車エリアに向う場合には、「YES」ボタンに対してタップ操作を行い、自動駐車エリアに向わない場合には、「NO」ボタンに対してタップ操作を行うようになっている。なお、自動駐車エリアに向わない場合は、自動駐車機能を用いた駐車を行わなくてもよくなった場合や当該駐車場の利用をやめる場合などにおいて選択することになる。
【0083】
そして、制御部302は、ステップS114において、自動駐車エリアに向うことが指示されたか否かを判別する(ステップS115)。ステップS115の判別処理において、自動駐車エリアに向わないことが指示されたと判断した場合には、ステップS123の処理に進み、所定の終了処理を行って、この
図5、
図6に示す処理を終了する。また、ステップS115の判別処理において、自動駐車エリアに向うことが指示されたと判断した場合には、制御部302は、案内処理部322を制御し、駐車場内の案内処理を実行する(ステップS116)。
【0084】
ステップS116において、案内処理部322は、当該駐車場の駐車場情報に含まれる、駐車場内案内用画像データ及び駐車場内案内用メッセージデータを用いて駐車場内の案内処理を行う。
図9(A)は、駐車場内の案内処理時に表示される表示画像の例であり、自動駐車可能エリアへの案内表示の例を示している。
図9に示すように、この例の場合、ステップS116では、入口INから入場した当該端末装置3の使用者に対して、自動駐車エリアに誘導する案内表示が行われる。
【0085】
なお、
図9(A)に示した例は、比較的に分かりやすい例である。しかし、自動駐車可能エリアが、例えば立体駐車場の3階の特定部分にあるといったように、比較的に分かり難い場合もある。このような場合には、入口から自動駐車可能エリアに至るまでの経路が細かく、かつ、分かり易く、画像と音声メッセージとによって案内できるようになっている。
【0086】
このため、駐車場情報には、その駐車場が複数の入口を備えている場合には、そのそれぞれの入口の位置を示す位置情報を備えているので、GPS部307からの現在位置との突き合せにより、どの入口から入場したかを特定できる。そして、駐車場情報に含まれる、駐車場内案内用画像データ及び駐車場内案内用メッセージデータも、各入口に応じて用意しておくことにより、案内処理部322は、自機が搭載された自動車が入場した入口に応じて駐車場内の案内ができるようになっている。
【0087】
なお、全自動駐車機能を利用して駐車可能な駐車場の場合には、例えば、全自動駐車機能を実行させる所定の位置までの案内になる。当該所定の位置が、運転者を含む乗車者が当該自動車から降りる位置であり、安全に自動車から降りることができる、例えば、駐車場の出入口の近傍の位置などである。
【0088】
この後、制御部302は、タッチパネル311を通じて使用者からの操作入力を受け付ける(ステップS117)。そして、制御部302は、ステップS117において、終了操作を受け付けたか否かを判別する(ステップS118)。このステップS118の判別処理は、表示部310Dに表示された「終了」ボタンがタップ操作されたか否かを判別する処理である。
【0089】
ステップS118において、「終了」ボタンが押されたと判別したときには、ステップS123の処理に進み、所定の終了処理を行って(ステップS123)、この
図5、
図6に示す処理を終了する。一方、ステップS118の判別処理において、「終了」ボタンは押されていないと判別したときには、制御部302は、自機が搭載された自動車が停車したか否かを判別する(ステップS119)。当該判別は、例えば、入出力端306及び
I/F部305を通じて自動車側から提供される速度情報が、「0km」になったか否かにより判別可能である。また、
図2には図示していないが、端末装置3が備える例えば6軸センサの出力から、自機が停止状態にあると判別できたときには、自機が搭載された自動車が、停車したと判別できる。
【0090】
そして、ステップS119の判別処理において、自機が搭載された自動車は停車していないと判別したときには、ステップS117からの処理を繰り返す。また、ステップS119の判別処理において、自機が搭載された自動車が停車したと判別した時には、自動駐車を行うか否かの確認画面を表示し、確認入力を受け付ける(ステップS120)。
図9(B)は、自動駐車を行うか否かの確認画面の例を示す図である。
図9(B)に示すように、当該自動駐車を行うか否かの確認画面は、自動駐車を実行する場合には、「YES」ボタンを、自動駐車を実行しない場合には、「NO」ボタンを選択できるようになっている。「NO」ボタンを操作する場合は、例えば、自動駐車可能エリアに到達していない段階で停車した場合など、自動駐車が実行できる状態にない場所で一時停止するなどして
図9(B)に示した確画面が表示された場合に操作される。
【0091】
そして、制御部302は、ステップS120において、自動駐車を実行する指示が行われたか否かを判別する(ステップS121)。ステップS121で、自動駐車を実行する指示は行われていないと判別した時には、制御部302は、ステップS116からの処理を繰り返す。また、ステップS121で、自動駐車を実行する指示が行われたと判別した時には、制御部302は、自動車制御部323を制御して、自動駐車実行指示を形成し、これをI/F部305及び入出力端を通じて、自動車側の制御部に提供する(ステップS122)。これにより、自動車側の制御部は、自動駐車機能を実行し、自動駐車を行うようにする。
【0092】
そして、制御部302は、表示部310Dへの表示を、この
図5、
図6に示す処理を実行する前の状態にもどしたり、サーバー1との接続を解放したりするなどの所定の終了処理を行って(ステップS123)、この
図5、
図6に示す処理を終了する。そして、自動車側の制御部により、自動駐車機能を用いた駐車処理が開始され、自動車側の制御部から提供される情報を用いて、使用者に対するガイダンスメッセージや画像情報を端末装置3の表示部310Dに表示して提供するなどのことができる。また、必要に応じて、自動車の制御部の制御の下、端末装置3を通じて使用者からの確認操作等を受け付けて、自動車の制御部に戻し、自動駐車機能を適切に動作させるなどのことも可能となる。
【0093】
[サーバー1で行われる処理]
次に、端末装置3からの駐車場探索要求(周辺探索要求)や経路探索要求の提供を受けて、あるいは、駐車場システム4からの駐車場情報の登録要求や更新要求の提供を受けて、これに応じた処理を行うサーバー1の処理の詳細について説明する。
図10は、サーバー1で実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【0094】
この
図10に示す処理は、サーバー1の制御部102において常時実行されている処理である。そして、制御部102は、通信I/F101を通じて自機宛の要求を受信するようにしており(ステップS201)、自機宛の要求を受信したか否かを判別する(ステップS202)。ステップS202の判別処理において、自機宛の要求を受信していないと判別した時には、制御部102は、ステップS201からの処理を繰り返す。
【0095】
ステップS202の判別処理において、ステップS201におい自機宛の要求を受信したと判別した時には、制御部102は、受信した要求は駐車場探索要求か否かを判別する(ステップS203)。ステップS203の判別処理において、受信した要求は駐車場探索要求であると判別した時には、制御部102は、駐車場の探索を実施する(ステップS204)。このステップS204において、制御部102は、駐車場探索部112を制御して、目的する位置の周辺の駐車場情報を駐車場DB106から抽出し、これらの駐車場の所在位置を含むエリアの地図を表示するための地図情報を地図情報DB104から抽出する。
【0096】
次に、制御部102は、駐車場の探索結果を要求元の端末装置3に送信する(ステップS205)。具体的に、ステップS205において、制御部102は、提供情報形成部114を制御し、駐車場探索部112により抽出された駐車場情報と地図情報とを提供情報形成部114に供給し、これらの情報から送信用の情報を形成して、要求元の端末装置3に送信する処理を行う。ステップS205の処理後には、制御部102は、ステップS201からの処理を繰り返す。
【0097】
また、ステップS203の判別処理において、受信した要求は駐車場探索要求ではないと判別した時には、制御部102は、ステップS201において受信した要求は経路探索要求か否かを判別する(ステップS206)。ステップS206の判別処理において、受信した要求は経路探索要求であると判別した時には、制御部102は、経路探索を実施する(ステップS207)。このステップS207において、制御部102は、経路探索部113を制御して、端末装置3から指示された出発地から目的地までの経路を、道路ネットワークDB105の道路ネットワークデータを用いて探索し、探索した経路を示すための地図情報を地図情報DB104から抽出する。
【0098】
次に、制御部102は、経路探索結果を要求元の端末装置3に送信する(ステップS208)。具体的に、ステップS208において、制御部102は、提供情報形成部114を制御し、経路探索部113により探索された経路を示す情報と地図情報とを提供情報形成部114に供給し、これらの情報から送信用の情報を形成して、要求元の端末装置3に送信する処理を行う。ステップS208の処理後には、制御部102は、ステップS201からの処理を繰り返す。
【0099】
また、ステップS206の判別処理において、受信した要求は経路探索要求ではないと判別した時には、制御部102は、受信した要求に応じた処理を実行する(ステップS209)。このステップS209では、駐車場システム4からの駐車場情報の登録要求や更新要求に応じた処理など、駐車場探索要求や経路探索要求以外の種々の要求に応じた処理が行われる。このステップS209の処理の後においては、制御部102は、ステップS201からの処理を行う。
【0100】
このように、この実施形態のナビゲーション装置は、サーバー1と端末装置3とが協働することによって、駐車場探索や経路探索を行うことができる。そして、地図情報を端末装置3の表示部310Dに表示する場合には、単に駐車場のある位置を示すのではなく、自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車場を考慮した情報提供や案内処理が実現でき、更には、自動車側の制御機能との連携も実現できるようにしている。
【0101】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態のサーバー1と端末装置3とからなるナビゲーション装置では、駐車場探索やナビゲーション処理の実行時において、地図情報を表示部310Dに表示する場合に、自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車場とそうでない駐車場とを明確に区別して示すことができる。これにより、自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車場を確認して、その駐車場を利用するようにできる。
【0102】
また、目的とする駐車場までの経路探索や経路案内を、地図上に表示された目的とする駐車場位置をタップ操作するといった簡単な操作だけで実行できる。また、自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車場を利用する場合であって、自動駐車可能エリアが設けられている場合には、駐車場内の自動駐車可能エリアまでの案内を実現できる。
【0103】
さらに、自動駐車機能を利用して駐車を行う場合には、端末装置3から自動車側の制御部に自動駐車機能の実行を指示できるので、現在位置から駐車場までの経路案内、当該空車上の入口から自動駐車可能エリアまでの案内、自動駐車機能を利用した駐車の実行をシームレスに、すなわち一連の処理として行うようにすることができる。
【0104】
これらが実現されることにより、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法に関し、自動駐車機能が実用化された場合に生じる駐車場環境に適切に容易に対応でき、使用者の利便性を向上させることができる。すなわち、自動駐車機能の利用が可能な駐車場を確実に見つけて、その駐車場に向かい、自動駐車機能を利用した駐車を行うことができるので、自動車の駐車操作が苦手な運転者による駐車時の事故などのリスクを効果的に回避できる。
【0105】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、従来型の駐車場と、アシスト型自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車場と、全自動型自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車場と、アシスト型と全自動型の両方の自動駐車機能を利用して駐車が可能な駐車場とを異なる駐車場マークを用いて表示するものとして説明したが、これに限るものではない。文字、図形、記号、色彩の違いにより、あるいは、これらの組合せの違いにより、上記の異なる駐車場の種類を表示することができる。すなわち、駐車場の種類は、種々の態様で表示することができる。
【0106】
なお、上述した実施の形態では、サーバー1が地図情報DB104、道路ネットワークDB105、駐車場DB106、駐車場探索部112、経路探索部113を備え、駐車場探索や経路探索をサーバー1で行うようにした。そして、サーバー1から地図情報を含む探索結果を端末装置3に提供し、これを端末装置3で利用するようにした。しかし、これに限るものではない。
【0107】
端末装置3側に、地図情報DB104、道路ネットワークDB105、駐車場DB106、駐車場探索部112、経路探索部113を設けるようする。そして、サーバー1では、駐車場DB106の管理だけを行うようにする。そして、端末装置3は、最新の駐車場情報をサーバー1から提供を受けて、駐車場探索を行って駐車場案内をおこなったり、経路探索を行って経路案内を行ったりするようにしてもよい。
【0108】
また、上述した実施の形態では、駐車場までの案内と駐車場内の案内を行うようにしたが、これに限るものではない。例えば、目的とする駐車場を特定して指示した場合、その駐車場の駐車スペースの予約を、サーバー1を介して、当該駐車場の駐車場システムに対して行うこともできる。この場合には、予め端末装置3に登録しておく車両番号情報(自動車のナンバープレートに記載されている番号情報)や確保したい駐車スペースの種類を、サーバー1を介して駐車場システムに送信する。ここで、駐車スペースの種類は、通常、アシスト型自動駐車用、全自動型自動駐車用などの区別である。
【0109】
このようにすれば、当該駐車場においては、予約された駐車スペースを他の自動車によって利用できないようにし、車両番号情報により予約元の自動車であることが確認できた場合に、当該予約された駐車スペースに駐車できるようにすればよい。具体的には、駐車スペースへの侵入防止機構と、カメラを用いた車両番号情報の認識機構とを設け、予約元の自動車が予約されや駐車スペースに到達したことを検知した場合に、当該駐車スペースへの侵入防止機構を解除して、駐車できるようにすればよい。
【0110】
また、使用者(ユーザ)が指示した駐車場で利用可能な自動駐車機能と、使用者の自動車に搭載された自動駐車機能とが合致しない(指示した駐車場で自動駐車ができない)場合には、別の駐車場を選ぶように促すか、当該駐車場は選択できないように制御される。すなわち、端末装置3に対して、使用者が乗車する自動車の自動駐車機能が、駐車のアシスト機能なのか、全自動の自動駐車機能なのかを予め設定おく。
【0111】
そして、
図7を用いて説明したようにサーバー1から提供される駐車場探索結果に含まれる駐車場情報の自動駐車種別と自機の自動駐車機能とを比較し、使用者が指示した駐車場で利用可能な自動駐車機能と自車の自動駐車機能とが一致しなかったとする。この場合には、制御部302が機能して、別の駐車場を選ぶように促すか、当該駐車場は選択できないように制御する。
【0112】
例えば、自車の自動駐車機能が駐車のアシスト機能であり、指示した駐車場が全自動の自動駐車機能にだけ対応している場合には、制御部302は、「指示された駐車場は、駐車のアシスト機能には対応していません。全自動の自動駐車機能に対応の駐車場を指示してください。」とメッセージを表示部310Dに表示したり、音声出力部312を通じてスピーカ313から放音したりして、駐車場の指示のやり直しを求める。
【0113】
同様に、自車の自動駐車機能が全自動の自動駐車機能であり、指示した駐車場が駐車のアシスト機能にだけ対応している場合には、制御部302は、「指示された駐車場は、全自動の自動駐車機能には対応していません。駐車のアシスト機能に対応の駐車場を指示してください。」とメッセージを表示部310Dに表示したり、音声出力部312を通じてスピーカ313から放音したりして、駐車場の指示のやり直しを求める。
【0114】
このようにすることによって、自車の自動駐車機能に合致しない駐車場を間違って指示してしまった場合であっても、確実に適切な駐車場を指示することができるようにされ、自車に搭載された自動駐車機能に合致しない駐車場への案内を確実に防止することができる。
【0115】
[その他]
また、上述した実施の形態の説明から分かるように、駐車場情報記憶手段の機能は、サーバー1の駐車場DB106が実現し、地図情報記憶手段の機能は、サーバー1の地図情報DB104が実現し、第1の表示制御手段は、端末装置3の主に案内処理部322が実現している。また、表示指示受付手段の機能は、端末装置3のタッチパネル311が実現し、第2の表示制御手段の機能は、主に案内処理部322が実現している。
【0116】
また、ネットワークデータ記憶手段の機能は、サーバー1の道路ネットワークDB105が実現し、出発地指定手段や駐車場指示受付手段の機能は、端末装置3のタッチパネル311が実現し、現在位置取得手段の機能は、端末装置3のGPS部307及びGPSアンテナ307Aが実現し、経路探索手段の機能は、サーバー1の経路探索部113が実現し、経路案内処理手段は、端末装置3の案内処理部322が実現している。
【0117】
また、判別手段の機能は、端末装置3の制御部302が実現し、駐車場内案内手段の機能は、端末装置3の案内処理部322が実現している。また、動作指示受付手段の機能は、端末装置3のタッチパネル311が実現し、自動車制御手段の機能は、端末装置3の自動車制御部323が実現している。
【0118】
また、
図5及び
図6と、
図10に示したフローチャートの処理は、この発明のナビゲーション方法の一実施の形態が適用されて実現されたものである。また、
図5及び
図6に示したフローチャートを実行するプログラムを形成し、スマートフォンやタブレットPCに搭載することにより、上述した実施の形態の端末装置3を実現できる。また、
図10に示したフローチャートの処理を実行するプログラムを形成し、地図情報DB、道路ネットワークDB、駐車場DBを備えたサーバーに搭載することにより、上述した実施の形態のサーバー1を実現できる。