特許第6646435号(P6646435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646435
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】流体混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 15/04 20060101AFI20200203BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   B01F15/04 D
   F16K27/00 C
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-248839(P2015-248839)
(22)【出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2017-113664(P2017-113664A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】小野 茂彦
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−543983(JP,A)
【文献】 特開2006−234020(JP,A)
【文献】 特開平07−012258(JP,A)
【文献】 実開昭51−147323(JP,U)
【文献】 特開平08−285167(JP,A)
【文献】 特開2008−089085(JP,A)
【文献】 特開昭53−007836(JP,A)
【文献】 中国実用新案第202924765(CN,U)
【文献】 中国実用新案第204647420(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 1/00−15/06
B29C 45/00−45/84
F16K 27/00
F16L 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体が流入する第1流入口及び前記第1の流体が流出する第1流出口を有する第1の流路と、第2の流体が流入する第2流入口及び前記第2の流体を前記第1の流路を流れる前記第1の流体に混合させる混合用流出口を有する第2の流路を一体的に形成した合成樹脂製の装置本体と、
前記装置本体の装着部に装着されて前記第2の流路を開閉する開閉弁と
を備え、
前記装置本体は、当該装置本体から突出した状態で設けられる前記第1流入口及び第1流出口の基端部を補強する第1の補強リブと、前記装着部を補強する第2の補強リブを一体的に有することを特徴とする流体混合装置。
【請求項2】
第1の流体が流入する第1流入口及び前記第1の流体が流出する第1流出口を有する第1の流路と、第2の流体が流入する第2流入口及び前記第2の流体を前記第1の流路を流れる前記第1の流体に混合させる混合用流出口を有する第2の流路を一体的に形成した合成樹脂製の装置本体と、
前記装置本体の装着部に装着されて前記第2の流路を開閉する開閉弁と
を備え、
前記装置本体は、前記第1流入口及び第1流出口の基端部に周方向に沿って作用する外力に対抗する第1の補強リブと、前記装着部に作用する前記開閉弁の自重に抗する第2の補強リブとを一体的に有することを特徴とする流体混合装置。
【請求項3】
第1の流体が流入する第1流入口及び前記第1の流体が流出する第1流出口を有する第1の流路と、第2の流体が流入する第2流入口及び前記第2の流体を前記第1の流路を流れる前記第1の流体に混合させる混合用流出口を有する第2の流路を一体的に形成した合成樹脂製の装置本体と、
前記装置本体の装着部に装着されて前記第2の流路を開閉する開閉弁と
を備え、
前記装置本体は、前記第1流入口及び第1流出口の基端部を補強する第1の補強リブと、前記装着部を補強する第2の補強リブと、前記第1の流路を補強する第3の補強リブと、前記第2の流路の少なくとも一部を補強する第4の補強リブとを一体的に有することを特徴とする流体混合装置。
【請求項4】
前記装着部には、前記開閉弁の弁座が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の流体混合装置。
【請求項5】
前記開閉弁は、前記第2の流体の流量制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の流体混合装置。
【請求項6】
前記第2の補強リブは、前記開閉弁の弁座と同心円状に形成された円筒部と、前記円筒部を取り囲むように平面略矩形状に形成された矩形部と、前記円筒部と前記矩形部を放射状に連結する連結部とを有することを特徴とする請求項4又は5に記載の流体混合装置。
【請求項7】
前記装置本体は、平板状に形成されたベース板部を有し、
前記ベース板部の一方の面に前記第1流入口、前記第1流出口及び前記装着部が一体的に形成され、
前記ベース板部の他方の面に前記第1の流路及び第2の流路が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の流体混合装置。
【請求項8】
前記第1の流路を形成する前記第1流路形成部と前記第2の流路を形成する前記第2流路形成部とを備え、
前記第1の流路形成部と前記第2の流路形成部は、前記流体混合装置本体の長手方向に沿って一部が重なるように配置され、前記第1の流路形成部及び前記第2の流路形成部は、前記装置本体の長手方向に沿った互いに対向する端部がそれぞれ開口されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の流体混合装置。
【請求項9】
前記第1の補強リブは、前記第1流入口及び第1流出口の基端部に前記装置本体の長手方向及び当該長手方向と交差する方向に延在するよう設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の流体混合装置。
【請求項10】
前記流体混合装置本体は、前記第2の流路に流入する前記第2の流体を開閉する第1の開閉弁と、
前記第1の流体に混合される前記第2の流体を開閉する第2の開閉弁と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の流体混合装置。
【請求項11】
前記装置本体は、当該装置本体を長手方向と交差する方向に沿って互いに連結自在な連結部を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の流体混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体混合装置に関する技術としては、例えば、特許文献1乃至3等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、少なくとも2つの供給ラインに流れる各々の流体を任意の比率で混合させる流体混合装置であって、各々の該供給ラインが、流路の開口面積を変化させることにより流体の流量を制御する流体制御弁と、流体の実流量を計測し該実流量の計測値を電気信号に変換し出力する流量計測器と、該実流量の計測値と設定流量値との偏差に基づいて、流体制御弁の開口面積を制御するための指令信号を、流体制御弁または流体制御弁を操作する機器へ出力する制御部とをそれぞれ具備するように構成したものである。
【0004】
また、特許文献1は、前記各種弁および前記流量計測器が、一つのベースブロックに配設されている態様を含んでおり、ベースブロックは、例えば、金属により直方体状に形成されている。
【0005】
特許文献2は、電磁弁を搭載するための弁搭載面を有するマニホールドベースと、上記弁搭載面に搭載された電磁弁と、上記マニホールドベースに連結されたストップ弁ベースと、該ストップ弁ベースに取り付けられたストップ弁とを有し、上記マニホールドベースが、該マニホールドベースの内部を延びる供給流路及び排出流路と、これらの供給流路及び排出流路から分岐して上記弁搭載面に開口する供給用連通孔及び排出用連通孔とを有していて、上記供給用連通孔は、上記ストップ弁ベースを経由して上記弁搭載面に至るように形成されており、上記ストップ弁ベースにはストップ弁取付面が形成され、該ストップ弁取付面に上記ストップ弁が、上記電磁弁が介在する側からの押し引き操作によって上記供給用連通孔を開放する第1操作位置と該連通孔を閉鎖する第2操作位置とに切換可能なるように取り付けられているように構成したものである。
【0006】
マニホールドベースは、例えば、金属によって矩形か又はそれに類似する断面形状を有する一方向に長いブロックからなる。
【0007】
特許文献3は、同一形状の一対のダイカスト成形されたエンドマニホールドを備え、それぞれのエンドマニホールドが、そのボディに、相互に連接可能な第1連接面と、該第1連接面に背向する配管接続面と、上面に形成された電磁弁を装着するための第1弁装着面とを有し、上記配管接続面に開口する断面円形の一括供給用流路と上記第1連接面に開口して上記弁装着面の内部まで延びる断面縦長の第1供給用連通路、及び上記一括供給用流路の両側の断面円形の一括排出用流路と上記第1連接面における第1供給用連通路の両側に開口してそれぞれ上記第1弁装着面の内部まで延びる断面横長の第1排出用連通路とが、上記ボディ内において相互に連通すると共に、上記第1弁装着面に開口する個別供給用通孔及びその両側の個別排出用通孔が、上記第1供給用連通路及びその両側の第1排出用連通路にそれぞれ連通しており、上記配管接続面に開口する各流路、上記第1連接面に開口する各連通路、及び上記第1弁装着面に開口する各通孔は、ボディにおけるそれらを設けた面に対して垂直で直線的に延びるものとして形成され、上記第1弁装着面の個別供給用通孔とその両側の個別排出用通孔との間隔は、上記配管接続面における一括供給用流路と一括排出用流路との間隔よりも狭く、上記第1供給用連通路の両側に位置する断面横長の両第1排出用連通路が、それぞれ、両側の一括排出用流路及び個別排出用通孔の両者に連通する横長形状に形成されているように構成したものである。
【0008】
一対のエンドマニホールドは、同一形状にダイカスト成形されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−175690号公報
【特許文献2】特開2008−309262号公報
【特許文献3】特開2009−257554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、装置本体を金属や合成樹脂により直方体状に形成した場合に比較して、装置本体が十分な強度を有し、且つ装置のコストダウンが可能な流体混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載された発明は、第1の流体が流入する第1流入口及び前記第1の流体が流出する第1流出口を有する第1の流路と、第2の流体が流入する第2流入口及び前記第2の流体を前記第1の流路を流れる前記第1の流体に混合させる混合用流出口を有する第2の流路を一体的に形成した合成樹脂製の装置本体と、
前記装置本体の装着部に装着されて前記第2の流路を開閉する開閉弁と
を備え、
前記装置本体は、当該装置本体から突出した状態で設けられる前記第1流入口及び第1流出口の基端部を補強する第1の補強リブと、前記装着部を補強する第2の補強リブを一体的に有することを特徴とする流体混合装置である。
【0012】
請求項2に記載された発明は、第1の流体が流入する第1流入口及び前記第1の流体が流出する第1流出口を有する第1の流路と、第2の流体が流入する第2流入口及び前記第2の流体を前記第1の流路を流れる前記第1の流体に混合させる混合用流出口を有する第2の流路を一体的に形成した合成樹脂製の装置本体と、
前記装置本体の装着部に装着されて前記第2の流路を開閉する開閉弁と
を備え、
前記装置本体は、前記第1流入口及び第1流出口の基端部に周方向に沿って作用する外力に対抗する第1の補強リブと、前記装着部に作用する前記開閉弁の自重に抗する第2の補強リブとを一体的に有することを特徴とする流体混合装置である。
【0013】
請求項3に記載された発明は、第1の流体が流入する第1流入口及び前記第1の流体が流出する第1流出口を有する第1の流路と、第2の流体が流入する第2流入口及び前記第2の流体を前記第1の流路を流れる前記第1の流体に混合させる混合用流出口を有する第2の流路を一体的に形成した合成樹脂製の装置本体と、
前記装置本体の装着部に装着されて前記第2の流路を開閉する開閉弁と
を備え、
前記装置本体は、前記第1流入口及び第1流出口の基端部を補強する第1の補強リブと、前記装着部を補強する第2の補強リブと、前記第1の流路を補強する第3の補強リブと、前記第2の流路の少なくとも一部を補強する第4の補強リブとを一体的に有することを特徴とする流体混合装置である。
【0014】
請求項4に記載された発明は、前記装着部には、前記開閉弁の弁座が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の流体混合装置である。
【0015】
請求項5に記載された発明は、前記開閉弁は、前記第2の流体の流量制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の流体混合装置である。
【0016】
請求項6に記載された発明は、前記第2の補強リブは、前記開閉弁の弁座と同心円状に形成された円筒部と、前記円筒部を取り囲むように平面略矩形状に形成された矩形部と、前記円筒部と前記矩形部を放射状に連結する連結部とを有することを特徴とする請求項4又は5に記載の流体混合装置である。
【0017】
請求項7に記載された発明は、前記装置本体は、平板状に形成されたベース板部を有し、
前記ベース板部の一方の面に前記第1流入口、前記第1流出口及び前記装着部が一体的に形成され、
前記ベース板部の他方の面に前記第1の流路及び第2の流路が一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の流体混合装置である。
【0018】
請求項8に記載された発明は、前記第1の流路を形成する前記第1流路形成部と前記第2の流路を形成する前記第2流路形成部とを備え、
前記第1の流路形成部と前記第2の流路形成部は、前記流体混合装置本体の長手方向に沿って一部が重なるように配置され、前記第1の流路形成部及び前記第2の流路形成部は、前記装置本体の長手方向に沿った互いに対向する端部がそれぞれ開口されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の流体混合装置である。
【0019】
請求項9に記載された発明は、前記第1の補強リブは、前記第1流入口及び第1流出口の基端部に前記装置本体の長手方向及び当該長手方向と交差する方向に延在するよう設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の流体混合装置である。
【0020】
請求項10に記載された発明は、前記流体混合装置本体は、前記第2の流路に流入する前記第2の流体を開閉する第1の開閉弁と、
前記第1の流体に混合される前記第2の流体を開閉する第2の開閉弁と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の流体混合装置である。
【0021】
請求項11に記載された発明は、前記装置本体は、当該装置本体を長手方向と交差する方向に沿って互いに連結自在な連結部を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の流体混合装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、装置本体を金属や合成樹脂により直方体状に形成した場合に比較して、装置本体が十分な強度を有し、且つ装置のコストダウンが可能な流体混合装置を提供することを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態1に係る流体混合装置の一例としての流体混合用のマニホールド型電磁弁装置を示す外観斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る流体混合装置の一例としての流体混合用のマニホールド型電磁弁装置を示す分解斜視図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る流体混合装置の一例としての流体混合用のマニホールド型電磁弁装置を示す平面図及び縦断面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る流体混合装置の一例としての流体混合用のマニホールド型電磁弁装置を示す左側面、底面図及び右側面図である。
図5】第1の電磁弁を示す縦断面図である。
図6】第1の電磁弁の要部を示す横断面図である。
図7】第1の電磁弁の要部を示す横断面図である。
図8】ダイヤフラム及びグランドを示す分解斜視図である。
図9】マニホールド型電磁弁装置を2つ連結した状態を示す平面構成図である。
図10】第3の装着部の構成を示す要部斜視図である。
図11】第3の装着部の構成を示す要部斜視図である。
図12】装置本体の補強リブを示す斜視構成図である。
図13】装置本体の補強リブを示す斜視構成図である。
図14】数値解析の結果を示す図表及びグラフである。
図15】数値解析の結果を示す図表及びグラフである。
図16】本発明の実施の形態2に係る流体混合装置の一例としての流体混合用のマニホールド型電磁弁装置を示す正面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る流体混合装置の一例としての流体混合用のマニホールド型電磁弁装置を示す外観斜視図、図2は同分解斜視図、図3は同平面図及び同縦断面図、図4は同左側面図、底面図、右側面図である。
【0026】
マニホールド型電磁弁装置1は、第1の流体と第2の流体を所定のタイミングで混合するマニホールド型の電磁弁装置として構成されている。マニホールド型電磁弁装置1は、図1に示すように、大別して、第1の流体としての主液が流入する第1流入口2及び主液が流出する第1流出口3を有する第1の流路4と、第2の流体が流入する第2流入口5及び第2の流体を第1の流路4を流れる主液に混合させる混合用流出口6(図3(b)参照)を有する第2の流路7が一体的に形成された合成樹脂製の装置本体8と、装置本体8に装着されて第2の流路7をそれぞれ異なる位置で開閉する開閉弁の一例としての第1及び第2の電磁弁9、10とを備えている。
【0027】
装置本体8は、射出成形された合成樹脂により一体的に形成されている。装置本体8を形成する合成樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylenesulfide)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyetheretherketone) など種々のものを使用することができるが、機械的強度、寸法安定性、絶縁性、耐熱性、耐薬品性、自己消火性(難燃性)などを考慮して選択することが望ましい。
【0028】
装置本体8は、図3及び図4に示すように、マニホールド型電磁弁装置1の平面形状に対応した細長い平面矩形の平板状に形成され、且つ所定の肉厚t1を有するベース板部11を備えている。ベース板部11の上面(表面)11aには、円筒形状の第1流入口2及び同じく円筒形状の第1流出口3が上方へ向けて垂直に突出した状態で一体的に形成されている。なお、以降、装置本体8の各部の構成について説明するが、特に「一体的」と言及しない場合であっても装置本体8を構成する各部の構成要素はすべて装置本体8に一体的に形成されているものである。
【0029】
第1流入口2は、ベース板部8の長手方向に沿った一方の端部に配置されている。また、第1流出口3は、ベース板部8の長手方向に沿った他方の端部側である第2の電磁弁10と第1の電磁弁9との間に配置されている。また、第1流入口2及び第1流出口3の上端部2a、3aは、図示しないチューブを圧入して装着することが可能となるよう外径が中間部よりも大きく厚肉に形成されている。また、第1流入口2及び第1流出口3の上端2b、3bは、図示しないチューブの圧入が容易となるようテーパー状に形成されている。
【0030】
第1流入口2及び第1流出口3の基端部(下端部)2c、3cは、所定の高さh1にわたり外径が他の部分より大きく厚肉に形成されて補強されている。この第1流入口2及び第1流出口3の基端部2c、3cには、当該第1流入口2及び第1流出口3の基端部2c、3cを補強する所定の肉厚t2(例えば、4mm程度)を有する平板状の第1の補強用リブ12、13が設けられている。第1の補強用リブ12、13は、ベース板部11の上面11aに当該ベース板部11の長手方向及び短手方向に沿って直交するよう十字状に配置されている。長手方向の第1の補強用リブ12は、ベース板部11の長手方向に沿って全長にわたり所定の肉厚t2及び高さhを有して起立した平板状に設けられている。また、短手方向の第1の補強用リブ13は、ベース板部11の短手方向に沿って全幅にわたり所定の肉厚t2及び高さhを有して起立した平板状に設けられている。なお、第1の補強用リブ12、13は、ベース板部11の長手方向及び短手方向に沿って直交するよう十字状に配置される以外に、これら第1の補強用リブ12、13の間に45度等の所定の角度をなすよう更に追加して配置しても良い。
【0031】
第1の補強用リブ12、13は、第1流入口2及び第1流出口3を補強するためのものである。第1流入口2及び第1流出口3には、当該第1流入口2及び第1流出口3に図示しないチューブを圧入や引き抜く際の操作力が直接作用する。チューブを圧入する際の操作力は、主として、第1流入口2及び第1流出口3を長手方向に沿って押圧する押圧力と、チューブを把持した状態でチューブを回転させる回転力(捩じり力)などである。
【0032】
さらに、ベース板部11の上面11aには、第1及び第2の電磁弁9、10を装着するための第1及び第2の装着部14、15が設けられている。これら第1及び第2の装着部14、15は、同様に構成されている。ここでは、第1の装着部14について代表して説明し、第2の装着部15については、同一の符号に添え字「2」を付すことにより説明を省略する。
【0033】
第1の装着部14の中心部は、第1の電磁弁9の弁本体16を構成している。第1の装着部14の弁本体16には、図3に示すように、円柱形状に形成された第1及び第2の凹部17、18が同心円状に形成されている。第1の凹部17は、直径が第2の凹部18より小さく、且つ深さが第2の凹部18より深く設定されている。第2の凹部18は、第1の凹部17の上部に配置されている。第2の凹部18は、例えば、ベース板部11の上面11aに第1の補強用リブ12、13と同じ高さを有するように突出した円筒部19によって形成されている。また、第1の凹部17は、例えば、ベース板部11の下面11bに下方に向けて突出するように形成された円筒部20によって形成されている。
【0034】
第1の凹部17の底部21には、第1の電磁弁9の弁座22が円筒形状に上方へ向けて突出するよう形成されている。弁座22の上端は、第1の凹部17の上端よりも下方に位置している。弁座22の中心には、図3(b)に示すように、第2流入口5に連通する連通孔23が開口されている。また、第1の凹部17の内周壁には、図5に示すように、第2の流路7に連通した開口部24が設けられている。また、第2の装着部15における第1の凹部17の内周壁には、第2の流路7に連通した開口部としての混合用流出口6が設けられている。
【0035】
さらに、第1の凹部17の上端部17aは、第2の凹部18の底部25よりも上方に円筒形状に突出している。第2の凹部18の底部25には、第1の凹部17の上端部17aによって区画され、後述するように、第1の電磁弁9のダイヤフラム33等を収容する凹部が形成されている。
【0036】
第1及び第2の電磁弁9、10は、同様に構成されている。ここでは、第1の電磁弁9について代表して説明し、第2の電磁弁10については、同一の符号に添え字「2」を付すことにより説明を省略する。
【0037】
第1の電磁弁9は、図6に示すように、大別して、電磁ソレノイド26と、当該電磁ソレノイド26の下端部に設けられた凸部26aに装着された弁体27と、装置本体8に一体的に設けられる弁本体16を備えている。電磁ソレノイド26は、磁性材料からなるケーシング28と、ボビン29aに円筒形状に巻かれたコイル29と、コイル29の中心部に配置された円柱形状の磁性材料からなる固定コア30と、同じくコイル29の中心に配置された円柱形状の磁性材料からなり、固定コア30の下方に配置されて外周に巻装されたスプリング31によって下方に付勢された可動コア32とを有している。弁体27は、可動コア32の下端部に突出した状態で設けられた凸部26aに装着されている。弁体27は、通常、スプリング31によって下方に付勢された可動コア32により弁座22に当接しており、弁座22の内部を貫通するよう設けられた連通孔23を閉塞している。また、第2の電磁弁10においては、弁座22の内部を貫通するよう設けれ、第1の凹部17の内部と第1の流路4とを連通させる連通孔23が設けられている。
【0038】
弁本体16は、上述したように、装置本体8に一体的に設けられている。弁本体16を構成する装置本体8には、図6及び図7に示すように、第1の凹部17の底部21近傍の内周壁に第2の流路7に連通する開口部24が設けられている。また、第2の装着部15における第1の凹部17の内周壁には、上述したように、第2の流路7に連通した開口部としての混合用流出口6が設けられている。弁体27が上方に移動した状態(電磁ソレノイド26がONの状態)では、第2流入口5から連通孔23に流入した第2の流体としての添加液が弁座22から第1の凹部17の内部に流入し、開口部24から第2の流路7へと流れ込むようになっている。
【0039】
第2の凹部18には、ダイヤフラム33が収容されている。ダイヤフラム33は、図8に示すように、弁体27と一体的に形成されている。ダイヤフラム33には、弁体27の上下動に追従するように断面U字状の弾性変形部33aが弁体27の外周に環状に設けられている。弾性変形部33aの内部には、凹状の溝部33bが形成されている。また、ダイヤフラム33の外周端には、下面が平坦に形成されたフランジ部33cが設けられている。ダイヤフラム33は、図6及び図7に示すように、弁本体16と環状のグランド34によって挟持された状態で第2の凹部18に装着されている。グランド34には、ダイヤフラム33の弾性変形部33aに対応した位置に円形状の挿通孔34aが開口されている。ダイヤフラム33のフランジ部33cの下端面は、上述したように、平坦に形成されており、第2の凹部18に圧入により嵌め込まれ、その上方にグランド34を配置することで弁本体16の内部に固定した状態で取り付けられている。
【0040】
第1及び第2の装着部14、15には、図3及び図5に示すように、当該第1及び第2の装着部14、15に作用する第1及び第2の電磁弁9、10の自重及び第1及び第2の電磁弁9、10の動作力等に対抗する第2の補強リブ35が設けられている。なお、第1及び第2の電磁弁9、10の動作力は、第1及び第2の装着部14、15に作用する第1及び第2の電磁弁9、10の自重に比較して大幅に小さいため、通常は、第1及び第2の電磁弁9、10の自重のみを考慮すれば良い。
【0041】
装置本体8のベース板部11の上面11aには、上述したように、第2の凹部18を構成する円筒部19が上方に向けて突出するように設けられている。円筒部19の外周には、図3及び図5に示すように、当該円筒部19の外周を取り囲むように設けられた平面略矩形状の第2の補強リブ35aと、円筒部19を中心にして半径方向に放射状に配置され、当該円筒部19と第2の補強リブ35aを平板状に連結する複数の放射状の第2の補強リブ35bとを備えている。複数の放射状の第2の補強リブ35bは、円筒部19を中心にして、水平方向(0度)、45度、90度、135度、180度、225度、270度、315度の角度にわたり8つ設けられている。また、水平方向(0度)及び180度の方向に配置される放射状の第2の補強リブ35bは、第1の補強用リブ12と一体的に形成されている。平面略矩形状の第2の補強リブ35aには、第1の補強用リブ12と一体的に形成された水平方向(0度)及び180度の方向に配置される放射状の第2の補強リブ35bと交差する位置に凹部36が設けられている。なお、複数の放射状の第2の補強リブ35bの数は、8つより多くても少なくても良い。これらの平面略矩形状の第2の補強リブ35a及び放射状の第2の補強リブ35bは、同一の肉厚t3を有するように形成されている。この第2の補強リブ35a及び放射状の第2の補強リブ35bの肉厚t3は、例えば、第1の補強用リブ12、13の肉厚t2と等しい値に設定される。
【0042】
また、平面略矩形状の第2の補強リブ35aには、図2に示すように、第1及び第2の電磁弁9、10における電磁ソレノイド26のケーシング28を長ネジ37によりネジ止めするための円柱形状の2つの締結部38、39が、弁座22を中心にして対角線上に位置するように設けられている。各締結部38、39には、ネジ孔40、41がそれぞれ形成されている。なお、ネジ孔40、41は、例えば、装置本体8を構成する合成樹脂にインサートされたナットからなる。
【0043】
本実施の形態では、マニホールド型電磁弁装置1を可能な限り小型化且つ軽量化し、しかも十分な強度を持たせるため、図3(a)に示すように、第1及び第2の電磁弁9、10における電磁ソレノイド26のケーシング28を装置本体8に固定するためのネジ孔40、41の中心がベース板部11の端縁と一致するように配置されている。そのため、装置本体8のベース板部11は、ネジ孔40、41が形成された円筒状の締結部38、39の外周端がベース板部11の端部から外側に突出しており、当該締結部38、39の外周端間の距離Lが、マニホールド型電磁弁装置1の幅方向の最大寸法となっている。
【0044】
さらに、第2の電磁弁10に対応した平面略矩形状の第2の補強リブ35aの両外側面には、図9に示すように、マニホールド型電磁弁装置1を複数並列的に連結して使用する場合に、当該マニホールド型電磁弁装置1の装置本体8を互いに連結するための凸部と凹部からなる連結部42、43がそれぞれ設けられている。なお、連結部42、43は、第1の電磁弁9に対応した平面略矩形状の第2の補強リブ35aの両外側面にも設けても勿論良い。また、第1及び第2の電磁弁9、10に対応した平面略矩形状の第2の補強リブ35a、第2の補強リブ35aの両外側面には、マニホールド型電磁弁装置1を複数連結して使用する場合に、隣接するマニホールド型電磁弁装置1の円筒状の締結部38、39と干渉するのを回避するための凹部44、45がそれぞれ形成されている。
【0045】
また、装置本体8のベース板部11の下面(裏面)11bには、図4に示すように、第1の流路4を形成する円筒形状の第1の流路形成部51と、第2の流路7を形成する円筒形状の第2の流路形成部52とが、装置本体8の長手方向に沿って互いに平行に設けられている。また、第1の流路形成部51と第2の流路形成部52は、その長手方向に沿った一部が接合されている。第1及び第2の流路形成部51、52は、図3(b)に示すように、装置本体8を射出成形により一体的に形成する関係上、装置本体8の長手方向に沿って互いに対向する反対側の端面に開口された第1及び第2の開口部53、54をそれぞれ有している。第1及び第2の開口部53、54の内径は、第1及び第2の流路4、7の内径より大きく設定されている。第1及び第2の開口部53、54は、Oリング等のシール部材55、56を介して第1及び第2の閉塞栓57、58が螺着されて密封状態で閉塞されている。
【0046】
また、第1の流路形成部51及び第2の流路形成部52は、図3(b)に示すように、当該第1の流路4及び第2の流路7を形成する図示しない中子の抜き勾配を考慮して、開口された基端部から先端部に向けて小径となるようテーパー状に形成されている。
【0047】
第1の流路形成部51は、図4に示すように、第1の流路4に対応して装置本体8の一端部から第1流出口3の位置までにわたり設けられている。また、第2の流路形成部52は、第2の流路7に対応して装置本体8の他端部から第2の装着部15にわたり設けられている。
【0048】
また、第2の流路形成部52は、ベース板部11の裏面に近接した位置に且つベース板部11の幅方向に沿って一側部に寄った位置に配置されている。これに対して、第1の流路形成部51は、ベース板部11の裏面に第2の流路形成部52よりも離れた位置に且つベース板部11の幅方向に沿った中央部に配置されている。第1及び第2の流路形成部51、52は、ベース板部11の長手方向に沿って略同じ長さを有するように、第1流入口2及び第2流出口3の配置、並びに第2の装着部15の配置が決定されている。これら第1及び第2の流路形成部51、52は、後述する第3の補強リブ51等とともに、装置本体8のベース板部11の長手方向及び幅方向に沿った剛性を高めている。
【0049】
第1の流路形成部51の裏面(下面)には、第1の流路4を形成する当該第1の流路形成部51を補強する第3の補強リブ61が設けられている。また、第2の流路形成部52の裏面(下面)には、第2の流路7を形成する当該第2の流路形成部52を補強する第4の補強リブ62が設けられている。第3及び第4の補強リブ61、62は、第1及び第2の流路形成部51、52の中央に配置されている。これら第3及び第4の補強リブ61、62は、所定の肉厚t4及び高さを有する平板状に形成されている。第3及び第4の補強リブ61、62の肉厚t4は、例えば、ベース板部11の肉厚t1と等しい値に設定される。第1の流路形成部51及び第2の流路形成部52は、ベース板部11からの距離が異なり、第1の流路形成部51の方が第2の流路形成部52よりもベース板部11から離れた下方に位置している。そのため、第3の補強リブ61及び第4の補強リブ62は、高さh2、h3が異なり、第4の補強リブ62の方が第3の補強リブ61よりも高く設定されている。また、第3の補強リブ61及び第4の補強リブ62は、第3の補強リブ61の端部でベース板部11の幅方向に沿って配置された連結用の補強リブ63によって互いに連結されており、第3の補強リブ61及び第4の補強リブ62、並びに連結用の補強リブ63の下端面は、同一の平面を形成している。
【0050】
また、第4の補強リブ62は、図2及び図4に示すように、第2流入口5を構成する流入口構成部材64を装着する第3の装着部65の側壁66、67のうち一方の側壁66と連結されている。第3の装着部65は、図3(b)に示すように、装置本体8の第1の装着部14の裏面側に対応した位置に設けられている。その理由は、第2流入口5に対応した位置に第1の装着部14が配置されているためである。
【0051】
流入口構成部材64は、図2に示すように、平面矩形状の基板68に第2流入口5を構成する円筒部材69を下方へ向けて直交するように設けたものである。また、第2流入口5は、第1流入口2及び第1流出口3と同様に、その上端部5aが図示しないチューブを圧入して装着することが可能となるよう外径が中間部よりも大きく厚肉に形成されている。また、第2流入口5の上端5bは、図示しないチューブの圧入が容易となるようテーパー状に形成されている。さらに、第2流入口5の基端部(上端部)5cは、所定の高さにわたり外径が他の部分より大きく厚肉に形成されて補強されている。なお、第2流入口5の基端部5cには、第1流入口2及び第1流出口3と同様に、当該第2流入口5の基端部5cを補強する図示しない平板状の第5の補強用リブを設けても良い。流入口構成部材64の基板68には、当該流入口構成部材64を装置本体8にネジ70をネジ止めするための挿通孔71、72が開口されている。
【0052】
第3の装着部65には、図4(b)に示すように、その中心に連通孔23が開口されている。また、第3の装着部65の外周には、連通孔23の外周に設けられた円筒形状の第5の補強リブ73aと、当該第5の補強リブ73aの外周を取り囲むように設けられた平面略矩形状の第5の補強リブ73bと、円筒形状の第5の補強リブ73aを中心にして半径方向に沿って放射状に配置され、当該円筒形状の第5の補強リブ73aと平面略矩形状の第5の補強リブ73bとを平板状に連結する複数の放射状の第5の補強リブ73cとを備えている。複数の放射状の第5の補強リブ73cは、円筒形状の第5の補強リブ73aを中心にして、水平方向(0度)、60度、120度、180度、240度、300度の角度にわたり6つ設けられている。また、水平方向(0度)及び180度の方向に配置される放射状の第5の補強リブ73cは、側壁66、67と連結されている。さらに、装置本体8の長手方向に沿った端部側に配置された側壁67には、第4の補強リブ62と同一の直線状に配置された補助の補強リブ74が設けられている。
【0053】
また、平面略矩形状の第5の補強リブ73bには、図4(b)に示すように、流入口構成部材64をネジ70によりネジ止めするための円柱形状の2つの締結部75、76が、連通孔23を中心にして対角線上に位置するように設けられている。各締結部75、76には、ネジ孔77、78がそれぞれ形成されている。なお、ネジ孔77、78は、例えば、装置本体8を構成する合成樹脂にインサートされたナットからなる。
【0054】
各締結部75、76は、図10及び図11に示すように、ネジ孔77、78が貫通した相対的に短い長さに設定し、第1の凹部17の裏面に間隙Gが形成されるように構成しても良い。
【0055】
また、各締結部75、76は、ネジ孔77、78よりも相対的に長く設定し、第1の凹部17の裏面と接触するように構成することで、第1の凹部17の裏面に間隙Gが形成されるのを回避し、第1の装着部14から第3の装着部65にわたる領域の強度を向上させることが可能となる。
【0056】
第5の補強用リブ73は、第2流入口5を補強するためのものである。第2流入口5には、当該第2流入口5に図示しないチューブを圧入する際の操作力が直接作用する。チューブを圧入する際の操作力は、主として、第2流入口5を長手方向に沿って押圧する押圧力と、チューブを把持した状態でチューブを回転させる回転力(捩じり力)である。
【0057】
以上の構成において、本実施の形態に係るマニホールド型電磁弁装置では、次のようにして、装置のコストダウンが可能となっている。
【0058】
すなわち、マニホールド型電磁弁装置1は、図1に示すように、装置本体8が射出成形された合成樹脂により一体的に形成されている。そのため、従来のように、金属や合成樹脂等から直方体形状に形成された素材に切削加工や旋削加工あるいは孔空け加工等を施して装置本体8を形成する場合に比較して、装置本体8を射出成形によって容易にしかも精度良く形成することができ、マニホールド型電磁弁装置1の大幅なコストダウンが可能となる。
【0059】
また、マニホールド型電磁弁装置1の装置本体8は、その上面に第1の補強用リブ12、13が設けられているとともに、その下面に第2乃至第4の補強用リブ61、62、73が設けられているため、装置本体8を小型に形成した場合であっても、当該装置本体8の長手方向及び幅方向に沿って十分な剛性を持たせることができる。さらに、第1流入口2、第1流出口3及び第2流入口5、並びに第1乃至第3の装着部14、15、65を、第1乃至第4の補強用リブ12、13、61、62、73によって補強することができ、装置本体8に作用する操作力に対して十分な強度を有している。
【0060】
さらに、マニホールド型電磁弁装置1の装置本体8は、図12及び図13に示すように、その下面に第2及び第3の補強用リブ61、62が長手方向に沿って略全長にわたり配置されているため、当該装置本体8を合成樹脂製の射出成形により一体的に形成する際に、これら第2及び第3の補強用リブ61、62が合成樹脂が流れるキャビティを形成し、装置本体8を所定の形状に精度良く製造することが可能となる。
【0061】
上記の如く製造されたマニホールド型電磁弁装置1は、装置本体8の第1流入口2に主液を供給するための図示しないチューブを装着するとともに、第1流出口3に主液を排出するための図示しないチューブを装着する。また、マニホールド型電磁弁装置1は、装置本体8の第2流入口5に添加液を供給するための図示しないチューブを装着する。
【0062】
その後、主液が第1の流路4を循環していないタイミングで第1及び第2の電磁弁9、10をONした後、第1流入口3の外部からシリンジポンプ等のポンプにより第2流入口5の外部に設置された容器内の添加液を徐々に(例えば、1分間に50ml程度)吸い上げる。なお、第1流入口3の外部から添加液を吸い上げる代わりに、第2流入口5の外部に設置された容器内の添加液を徐々に送り出すようにしても良い。その後、第1の電磁弁9のみをOFF状態とする。
【0063】
次に、マニホールド型電磁弁装置1では、装置本体8の第1流入口2から主液を供給するとともに、所定のタイミングで第1の電磁弁9をONに切り替えて、主液に添加液を混合した状態で第1流出口3からから主液と添加液の混合液を供給する。
【0064】
本発明者は、本実施の形態に係るマニホールド型電磁弁装置1の装置本体8の強度を次のようにして評価した。
【0065】
まず、装置本体8の第1流入口2、第1流出口3及び第2流入口5に作用する操作力は、チューブを引き抜き又は押し込む際の操作力として約5kgf(≒50N)未満、チューブのねじ込むトルクとして約2Nm未満、電磁弁9、10の重量として約0.2kgf(≒2N)程度と評価した。
【0066】
これに対して、装置本体8を形成する合成樹脂の一例であるポリフェニレンサルファイド(PPS)は、引張強さが155MPa、圧縮強さが150MPa、曲げ強さが220MPaであり、いずれの操作力を大幅に上回るため強度的に問題がない。
【0067】
本発明者は、装置本体8の第1流入口2及び第1流出口3に作用する操作力を更に詳細に検討するため、次のような数値解析を行った。
【0068】
装置本体8の第1流入口2及び第1流出口3に対して、50N及び100Nの荷重を角度を変えて作用させた場合に、最大どの程度の応力が働くか評価した。
【0069】
図14及び図15は上記数値解析の結果を示す図表及びグラフである。
【0070】
これらの図14及び図15から明らかなように、仰角約9度のときに最大で121.3MPaの応力が作用することが判った。この最大応力121.3MPaは、装置本体8を形成する合成樹脂の一例であるポリフェニレンサルファイド(PPS)が有する引張強さ155MPa、圧縮強さ150MPa及び曲げ強さ220MPaのいずれをも下回りため、強度上問題がないことが判った。
【0071】
[実施の形態2]
図16は本発明の実施の形態2に係る流体混合装置の一例としての流体混合マニホールド型電磁弁装置を示す断面図である。
【0072】
本実施の形態2に係る流体混合マニホールド型電磁弁装置は、電磁弁を1つのみ備えている。すなわち、本実施の形態2に係るマニホールド型電磁弁装置1は、図16に示すように、第1の電磁弁9が設けられておらず、第2の電磁弁10のみが装置本体8に設けられている。また、第2の流体が流入する第2流入口5及び第2の流体を第1の流路7を流れる第1の流体に混合させる混合用流出口6を有する第2の流路7が、装置本体8に上下方向に沿って設けられている。なお、第1の流路4は、装置本体8の長手方向に沿って貫通するように設けられており、第1の流路4の両端部に閉塞栓57が配置されている。
【0073】
そのため、本実施の形態2に係るマニホールド型電磁弁装置1では、装置をより一層小型化かつ軽量化することが可能となる。
【0074】
なお、前記実施の形態では、流体として主に主液と添加液とからなる液体に適用した場合について説明したが、本発明は、空気等の気体に対しても広く適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…マニホールド型電磁弁装置
2…第1流入口
3…第1流出口
4…第1の流路
5…第2流入口
6…混合用流出口
7…第2の流路
8…装置本体
9…第1の電磁弁
10…第2の電磁弁
11…ベース板部
12…第1の補強用リブ
13…第1の補強用リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16