特許第6646462号(P6646462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646462
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】地図表示装置及びナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20200203BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20200203BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   G01C21/26 C
   G01C21/34
   G09B29/10 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-28412(P2016-28412)
(22)【出願日】2016年2月17日
(65)【公開番号】特開2017-146212(P2017-146212A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 一哲
(72)【発明者】
【氏名】新妻 栄一
【審査官】 武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−107155(JP,A)
【文献】 特開2009−014435(JP,A)
【文献】 特開平08−110235(JP,A)
【文献】 特開2006−017482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G01C 21/34
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通情報を地図上に提示する地図表示装置であって、
表示装置と、
前記表示装置に、ユーザにより選定された縮尺の地図を表示する地図表示手段と、
存在する交通事象の種別と当該交通事象の存在地点とを表す交通情報を受信する交通情報受信手段と、
前記交通情報受信手段が受信した各交通情報の重要度を、前記重要度を定める所定の基準に従って設定する重要度設定手段と、
前記交通情報受信手段が受信した交通情報を表す交通情報マークとして、当該交通情報が表す交通事象の種別を表すマークを、当該交通情報が表す存在地点に対応する前記表示装置に表示されている前記地図上の位置に表示するマーク表示手段とを有し、
前記マーク表示手段は、
表している存在地点に対応する前記表示装置に表示されている前記地図上の位置が所定のレベル以上、近接し合っている複数の交通情報については、当該複数の交通情報をグループ化し、
重要度が大の交通情報が含まれていないグループに含まれる複数の交通情報については、グループに含まれる交通情報のうちの一つの交通情報を表す交通情報マークのみを、当該一つの交通情報が表す存在地点に対応する前記地図上の位置、もしくは、当該地図上の位置に近接する位置に表示し、
重要度が大の交通情報が複数含まれているグループに含まれる複数の交通情報については、グループに含まれる重要度が大の交通情報を表す交通情報マークを少しずつずらして重ねて、グループに含まれるいずれかの重要度が大の交通情報が表す存在地点に対応する前記地図上の位置、もしくは、当該地図上の位置に近接する位置に表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の地図表示装置であって、
前記マーク表示手段は、重要度が大の交通情報が一つのみ含まれているグループに含まれる複数の交通情報については、当該グループに含まれる重要度が大の交通情報を表す交通情報マークのみを、当該交通情報が表す存在地点に対応する前記地図上の位置、もしくは、当該地図上の位置に近接する位置に表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の地図表示装置であって、
前記重要度を定める所定の基準は、前記交通情報が表す交通事象の種別が所定の種別であった場合に、当該交通情報の重要度を大とする基準を含むことを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の地図表示装置を備えたナビゲーション装置であって、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
前記現在位置を、前記表示装置に表示されている前記地図上に表示する案内手段とを有し、
前記重要度を定める所定の基準は、表している存在地点までの現在位置からの距離または道程距離が所定距離内の地点、または、表している存在地点に現在位置から到達するまで所要走行時間の推定値が所定期間内となる交通情報の重要度は大とする基準を含むことを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の地図表示装置を備えたナビゲーション装置であって、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
目的地までの経路を誘導ルートとして探索する誘導ルート算出手段と、
前記現在位置と前記誘導ルートを、前記表示装置に表示されている前記地図上に表示する案内手段とを有し、
前記重要度を定める所定の基準は、前記誘導ルート上の地点を存在地点として表す交通情報の重要度を大とする基準を含むであることを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
請求項1または2記載の地図表示装置を備えたナビゲーション装置であって、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
目的地までの経路を誘導ルートとして探索する誘導ルート算出手段と、
前記現在位置と前記誘導ルートを、前記表示装置に表示されている前記地図上に表示する案内手段とを有し、
前記重要度を定める所定の基準は、前記現在位置から前記目的地に至る間に走行する可能性があると推定される道路上の地点を存在地点として表す交通情報の重要度を大とする基準を含むであることを特徴とする地図表示装置。
【請求項7】
請求項1、2または3記載の地図表示装置を備えたナビゲーション装置であって、
現在位置を算出する現在位置算出手段と、
目的地までの経路を誘導ルートとして探索する誘導ルート算出手段と、
前記現在位置と前記誘導ルートを、前記表示装置に表示されている前記地図上に表示する案内手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上に交通情報を表示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地図上に交通情報を表示する技術としては、FM多重放送や路側に設置されたビーコン送信機を介して情報を送信するVICS(登録商標)(道路交通情報通信システム、Vehicle Information Communication System)から受信した交通情報に基づいて、交通情報が存在を表している交通事象の種別(通行止め、故障車有り等)を表すマークを、交通情報が表す交通事象の存在地点に対応する地図上の位置に表示する技術が知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【0003】
また、地図上にマークを表示する技術としては、地図上に施設等の地物を表すマークを表示する技術において、全てのマークを表示した場合に、地図上でマークが密集してしまう場合に、位置が近接するマークをグループ化し、グループ内の一つのマークのみを表示する技術が知られている(たとえば、特許文献3)。
【0004】
また、ナビゲーション装置において目的地までの経路を探索する技術として、目的地までの経路として複数の経路を探索する技術や(たとえば、特許文献4、5)、現在設定されている目的地までの経路と異なる経路を探索する技術や(たとえば、特許文献6、7)、目的地までの経路の探索を、現在位置や目的地周辺のエリアでは全ての道路を探索の対象として行い、他のエリアでは高速道路などの主要道のみを探索の対象として行う技術(たとえば、特許文献8、9)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-078544号公報
【特許文献2】特開2010-038713号公報
【特許文献3】特開2014-085142号公報
【特許文献4】特開2014-163793号公報
【特許文献5】特開2007-093462号公報
【特許文献6】特開2003-130669号公報
【特許文献7】特開2011-145068号公報
【特許文献8】特開1996-128843号公報
【特許文献9】特開2003-502680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
交通情報に基づいて、交通情報が存在を表している交通事象の種別を表すマークを、交通情報が表す地点に対応する地図上の位置に表示する技術に、上述した位置が近接するマークをグループ化し、グループ内の一つのマークのみを表示する技術を適用することが考えられる。
【0007】
しかし、このようにすると、交通情報が表す地点が近接する複数の交通情報に対して、一つのマークしか地図上に表示されなくなるため、交通情報が表す地点が近接する複数の交通情報のグループのうちに、重要な交通情報が複数存在する場合には、一つの交通情報を除き、他の重要な交通情報の存在をユーザが認識することができなくなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、全ての重要な交通情報の存在をユーザが認識できるように、交通情報を地図上にマークによって提示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記交通情報を地図上に提示する地図表示装置に、表示装置と、前記表示装置に、ユーザにより選定された縮尺の地図を表示する地図表示手段と、存在する交通事象の種別と当該交通事象の存在地点とを表す交通情報を受信する交通情報受信手段と、前記交通情報受信手段が受信した各交通情報の重要度を、前記重要度を定める所定の基準に従って設定する重要度設定手段と、前記交通情報受信手段が受信した交通情報を表す交通情報マークとして、当該交通情報が表す交通事象の種別を表すマークを、当該交通情報が表す存在地点に対応する前記表示装置に表示されている前記地図上の位置に表示するマーク表示手段とを備えたものである。
【0010】
ここで、前記マーク表示手段は、表している存在地点に対応する前記表示装置に表示されている前記地図上の位置が所定のレベル以上、近接し合っている複数の交通情報については、当該複数の交通情報をグループ化し、重要度が大の交通情報が含まれていないグループに含まれる複数の交通情報については、グループに含まれる交通情報のうちの一つの交通情報を表す交通情報マークのみを、当該一つの交通情報が表す存在地点に対応する前記地図上の位置、もしくは、当該地図上の位置に近接する位置に表示し、重要度が大の交通情報が複数含まれているグループに含まれる複数の交通情報については、グループに含まれる重要度が大の交通情報を表す交通情報マークを少しずつずらして重ねて、グループに含まれるいずれかの重要度が大の交通情報が表す存在地点に対応する前記地図上の位置、もしくは、当該地図上の位置に近接する位置に表示する。
【0011】
または、前記マーク表示手段は、表している存在地点に対応する前記表示装置に表示されている前記地図上の位置が所定のレベル以上、近接し合っている複数の交通情報については、当該複数の交通情報をグループ化し、重要度が大の交通情報が含まれていないグループに含まれる複数の交通情報については、グループに含まれる交通情報のうちの一つの交通情報を表す交通情報マークのみを、当該一つの交通情報が表す存在地点に対応する前記地図上の位置、もしくは、当該地図上の位置に近接する位置に表示し、重要度が大の交通情報が複数含まれているグループに含まれる複数の交通情報については、当該グループに含まれる重要度が大の交通情報を表す交通情報マークを一つずつ循環的に順次、当該交通情報が表す存在地点に対応する前記地図上の位置、もしくは、当該地図上の位置に近接する位置に表示する。
【0012】
ここで、このような地図表示装置は、前記マーク表示手段において、重要度が大の交通情報が一つのみ含まれているグループに含まれる複数の交通情報については、当該グループに含まれる重要度が大の交通情報を表す交通情報マークのみを、当該交通情報が表す存在地点に対応する前記地図上の位置、もしくは、当該地図上の位置に近接する位置に表示するように構成してもよい。
【0013】
また、以上の地図表示装置において、前記重要度を定める所定の基準は、前記交通情報が表す交通事象の種別が所定の種別であった場合に、当該交通情報の重要度を大とする基準を含むものとしてよい。
【0014】
ここで、以上の地図表示装置を用いて、現在位置を算出する現在位置算出手段と、目的地までの経路を誘導ルートとして探索する誘導ルート算出手段と、前記現在位置と前記誘導ルートを、前記表示装置に表示されている前記地図上に表示する案内手段と共にナビゲーション装置を構成するようにしてもよい。
【0015】
また、以上の地図表示装置を用いて、現在位置を算出する現在位置算出手段と、前記現在位置を、前記表示装置に表示されている前記地図上に表示する案内手段と共にナビゲーション装置を構成する場合には、前記重要度を定める所定の基準は、表している存在地点までの現在位置からの距離または道程距離が所定距離内の地点、または、表している存在地点に現在位置から到達するまで所要走行時間の推定値が所定期間内となる交通情報の重要度は大とする基準を含むものとしてもよい。
【0016】
また、以上の地図表示装置を用いて、現在位置を算出する現在位置算出手段と、目的地までの経路を誘導ルートとして探索する誘導ルート算出手段と、前記現在位置と前記誘導ルートを、前記表示装置に表示されている前記地図上に表示する案内手段と共にナビゲーション装置を構成する場合には、前記重要度を定める所定の基準は、前記誘導ルート上の地点を存在地点として表す交通情報の重要度を大とする基準を含むものとしたり、前記現在位置から前記目的地に至る間に走行する可能性があると推定される道路上の地点を存在地点として表す交通情報の重要度を大とする基準を含むものとしてもよい。
【0017】
以上のような地図表示装置やナビゲーション装置によれば、交通事象の存在地点が近いために、そのまま交通情報マークを表示すると、表示している地図上で交通情報マークが重なったり密集する交通情報については、存在地点が近接するもの同士でグループ化し、グループに対して交通情報マークを表示する。そして、このとき、重要度が大の交通情報が含まれていないグループについては、グループに含まれる交通情報のうちの一つの交通情報を表す交通情報マークのみを表示するが、重要度が大の交通情報が複数含まれているグループについては、グループに含まれる重要度が大の交通情報を表す交通情報マークを少しずつずらして重ねて表示したり、グループに含まれる重要度が大の交通情報を表す交通情報マークを順次一つずつ循環的に表示することにより、交通情報マークの表示地点の近傍に重要度が大の交通情報が複数存在することをユーザに対して提示する。
【0018】
よって、ユーザは、交通情報マークの提示により、全ての重要な交通情報の存在を認識できるようになる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、全ての重要な交通情報の存在をユーザが認識できるように、交通情報を地図上にマークによって提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの表示例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る交通情報マーク表示処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る交通情報マークの表示形態を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る交通情報マークの表示形態を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示す。
図示するように、ナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1と、FM放送受信機2と、ビーコン受信機3と、操作部4と、表示装置5と、車両状態センサ6と、GPS受信機7とを備えて構成される。
【0022】
ここで、車両状態センサ6は、角加速度センサや地磁気センサなどである方位センサや、車速パルスセンサなどである車速センサなどの、車両の各種状態を検出する各種センサである。
【0023】
そして、ナビゲーション装置1は、現在状態算出部11、ルート探索部12、地図を表す地図データを記憶したDVDドライブやHDDなどの記憶装置である地図データ記憶部13、メモリ14、制御部15、案内画像生成部16、操作部4や表示装置5を用いたGUIをユーザに提供するGUI制御部17を有する。
【0024】
但し、以上のナビゲーション装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示したナビゲーション装置1の各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置1に提供されるものであって良い。
【0025】
ここで、FM放送受信機2は、FM放送局からFM多重放送によって放送される交通情報を受信する。また、ビーコン受信機3は、路側に設置された電波/光ビーコン送信機付近を走行したときに、電波/光ビーコン送信機から交通情報を受信する。
【0026】
ここで、このようにFM放送局や電波/光ビーコン送信機から受信する交通情報には、交通事象の存在地点の座標、存在する交通事象の種類(通行止め、故障車有り等)等の情報が含まれている。
【0027】
そして、制御部15は、FM放送受信機2やビーコン受信機3が受信した交通情報はメモリ14に格納する処理や、メモリ14に格納されている交通情報のうちの、同内容の交通情報を再度受信した交通情報をメモリ14から削除する処理や、メモリ14に格納されている交通情報のうちの、受信時刻から現在までの経過時間が、所定期間(たとえば、30分)以上となった交通情報をメモリ14から削除する処理を行う。
【0028】
次に、ナビゲーション装置1の現在状態算出部11は、車両状態センサ6やGPS受信機7の出力から推定される現在位置に対して、地図データ記憶部13から読み出した地図データが示す、前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい道路リンク上の座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ14に設定する処理を繰り返し行う。
【0029】
また、制御部15は、ユーザの目的地設定要求に応じて、ユーザから操作部4、GUI制御部17を介して目的地の設定を受け付け、目的地までのルートをルート探索部12に探索させる。ルート探索部12は、必要地理的範囲の地図データを地図データ記憶部13から読み出し、現在位置から目的地までの経路を探索し、探索した経路を誘導ルートに設定し、誘導ルートの経路データをメモリ14にセットする
また、制御部15は、メモリ14にセットされた現在位置が目的地近傍となったならば、目的地到着と判定し、メモリ14にセットされている目的地と誘導ルートをクリアする処理も行う。
【0030】
そして、案内画像生成部16は、案内画像を生成し、GUI制御部17を介して、生成した案内画像を表示装置5に表示する。
ここで、図2に示すように案内画像生成部16が生成する案内画像は、ユーザによって選択的に設定された縮尺の地図21上に、当該地図21上で現在位置を表す現在位置マーク22を表したものである。ただし、誘導ルートが設定されている場合には、地図21上で誘導ルートを表す誘導ルート図形23も案内画像中に表される。また、目的地が設定されている場合に、目的地が案内画像の地図21の表示範囲内に含まれる場合には、地図21上で目的地を表す目的地マークも案内画像中に表されることとなる。
【0031】
さて、このような構成において制御部15は、表示装置5に表示する案内画像上に交通情報を表す交通情報マークを表示するために、交通情報マーク表示処理を実行する。
図3に、この交通情報マーク表示処理の手順を示す。
図示するように、制御部15は、交通情報マーク表示処理において、メモリ14に格納されている交通情報を、交通情報が表す交通事象の存在地点に対応する、表示している案内画像の地図21の位置が、所定レベル以上近接している交通情報同士のグループにグループ化する(ステップ302)。
【0032】
そして、各グループについて(ステップ314、316、318)、以下の処理を行う。
すなわち、グループに含まれる交通情報が一つのみである場合には(ステップ306)、その交通情報が存在を表す交通事象の種別を表す交通情報マークを、案内画像の地図21の上の、当該交通情報が表す交通事象の存在地点に対応する地図21上の位置に表示する(ステップ308)。
【0033】
一方、グループに含まれる交通情報が複数有る場合には(ステップ306)、次に、グループに交通情報の重要度が大の交通情報が複数含まれているかどうかを調べる(ステップ310)。
【0034】
ここで、交通情報の重要度は、以下のルール1-4のうちのいずれかのルールを単独で適用して、または、以下のルール1-4のうちの任意数の任意のルールを組み合わせて適用して算定する。
【0035】
ルール1;交通情報が表す交通事象の種別が、ユーザにとって重要である交通事象として予め定めた交通事象の種別である交通情報の重要度は大とする。たとえば、通行止めを表す交通情報の重要度は、ユーザにとって重要であるので大とする。
【0036】
ルール2:現在位置からの当該地点までの距離が所定距離内または所定道程距離内の地点、または、現在位置から当該地点到達まで所要走行時間の推定時間が所定時間内となる地点を交通事象の存在地点として表している交通情報の重要度は大とする。ここで、所要走行時間はルート探索部12に、現在位置から交通情報が表す存在地点までの経路を探索させ、探索された経路に基づいて当該経路の所要走行時間を算出することなどより求める。
【0037】
ルール3;誘導ルートが設定されている場合において、存在地点として誘導ルート上の地点を、交通事象の存在地点として表している交通情報を重要度は大とする。
ルール4:誘導ルートが設定されている場合において、現在位置から目的地までの間に走行する可能性のある道路上の地点を、交通事象の存在地点として表している交通情報を重要度は大とする。
【0038】
ここで、現在位置から目的地までの間に走行する可能性のある地点は、ルート探索部12に現時点の現在位置から目的地までの複数の経路(候補経路)を探索させ、探索された経路上の地点を、現在位置から目的地までの間に走行する可能性のある道路上の地点とすることにより算定してもよい。
【0039】
または、現在位置から目的地までの間に走行する可能性のある地点は、ルート探索部12に現在の誘導ルートの代替となる経路(代替経路)を探索させ、探索された各経路上の地点を、現在位置から目的地までの間に走行する可能性のある道路上の地点とすることにより算定してもよい。
【0040】
または、現在位置から目的地までの間に走行する可能性のある地点は、ルート探索部12に現時点の現在位置から目的地までの経路を探索させると共に、当該探索において探索の候補となった各道路の探索の候補となった区間上の地点を、現在位置から目的地までの間に走行する可能性のある道路上の地点とすることにより算定してもよい。
【0041】
さて、図3に戻り、グループに交通情報の重要度が大の交通情報が複数含まれていない場合には(ステップ310)、グループの交通情報の交通情報マークの表示を代表表示形態で行う(ステップ312)。
【0042】
ここで、代表表示形態のグループの交通情報の交通情報マーク表示は、たとえば、図4a1の通行止めの交通事象の存在を表す交通情報の交通情報マークが重要度が大の交通情報の交通情報マークであり、図4a2の車線減少の交通事象の存在を表す交通情報の交通情報マークが重要度が大でない交通情報のマークであるものとして、次のように行う。
【0043】
すなわち、グループ内の交通情報の全てが重要度が大でない交通情報である場合、すなわち、所定の縮尺(現在の案内画像の地図21の縮尺よりも小さい縮尺)の地図21にグループ内の交通情報の全てマークを表示した場合には図4b11のように地図21上の比較的近い位置に複数の重要度が大でない交通情報の交通情報マークが表示されるものである場合には、図4b12に示すように、グループ内の任意の交通情報のうちの一つの交通情報を選定し、選定した交通情報の交通情報マークのみを、選定した交通情報が表す存在地点に対応する地図21上の位置や、グループ内の交通情報が表す存在地点の分布範囲の中心に対応する地図21上の位置等に表示する。ここで、表示する交通情報マークには、交通情報マークを表示していない交通情報が存在することを現す装飾(図では「+」マーク)を付加して表示する。
【0044】
また、グループ内の交通情報の一つの交通情報のみが重要度が大の交通情報である場合、すなわち、所定の縮尺(現在の案内画像の地図21の縮尺よりも小さい縮尺)の地図21にグループ内の交通情報の全てマークを表示した場合には図4b21のように地図21上の比較的近い位置に、一つの重要度が大の交通情報マークと、他の重要度が大でない交通情報の交通情報マークが表示されるものである場合には、図4b22に示すように、グループ内の重要度が大の交通情報を選定し、選定した交通情報の交通情報マークのみを、選定した交通情報が表す存在地点に対応する地図21上の位置や、グループ内の交通情報が表す存在地点の分布範囲の中心に対応する地図21上の位置等に表示する。ここで、表示する交通情報マークには、表示していない交通情報マークが存在することを現す装飾(図では「+」マーク)を付加して表示する。
【0045】
図3に戻り、グループに交通情報の重要度が大の交通情報が複数含まれていた場合には(ステップ310)、グループの交通情報の交通情報マークの表示を一部隠蔽表示形態で行う(ステップ314)。
【0046】
ここで、一部隠蔽表示形態のグループの交通情報の交通情報マーク表示は、次のように行う。
すなわち、グループ内の交通情報の全てが重要度が大の交通情報である場合、すなわち、所定の縮尺(現在の案内画像の地図21の縮尺よりも小さい縮尺)の地図21にグループ内の交通情報の全てマークを表示した場合には図4c11のように地図21上の比較的近い位置に複数の重要度が大の交通情報の交通情報マークのみが表示されるものである場合には、図4c12に示すように、グループ内の各交通情報の交通情報マークを少しずつずらして重ねることにより、部分的に重複させて、一番前に配置した重要度が大の交通情報マークに対応する交通情報が表す存在地点に対応する地図21上の位置や、グループ内の交通情報が表す存在地点の分布範囲の中心に対応する地図21上の位置等に表示する。ただし、誘導ルートが設定されており、グループ内の交通情報のうちに誘導ルート上の地点を存在地点として表す交通情報が含まれている場合には、その交通情報マーク一番前に配置するようにする。また、重要度が大の交通情報の各交通情報マークは影の装飾を施して表示する。
【0047】
また、グループ内の交通情報の一部の交通情報のみが重要度が大の交通情報である場合、すなわち、所定の縮尺(現在の案内画像の地図21の縮尺よりも小さい縮尺)の地図21にグループ内の交通情報の全てマークを表示した場合には図4c21のように地図21上の比較的近い位置に、複数の重要度が大の交通情報マークと、他の重要度が大でない交通情報の交通情報マークが表示されるものである場合には、図4c22に示すように、グループ内の重要度が大の交通情報の交通情報マークのみを少しずつずらして重ねることにより、部分的に重複させて、一番前に配置した重要度が大の交通情報マークに対応する交通情報が表す存在地点に対応する地図21上の位置や、グループ内の交通情報またはグループ内の重要度が大の交通情報が表す存在地点の分布範囲の中心に対応する地図21上の位置等に表示し、重要度が大でない交通情報の交通情報マークは表示しない。ただし、誘導ルートが設定されており、グループ内の交通情報のうちに誘導ルート上の地点を存在地点として表す重要度が大の交通情報が含まれている場合には、その交通情報マーク一番前に配置するようにする。
【0048】
ここで、重要度が大の交通情報の各交通情報マークは影の装飾を施して表示する。また、重要度が大の交通情報の各交通情報マークのいずれか(図では一番背後の交通情報マーク)には、交通情報マークを表示していない交通情報が存在することを現す装飾(図では「+」マーク)を付加して表示する。
【0049】
図3に戻り、各グループについて以上のステップ310-314の処理を終了したらば(ステップ316)、ステップ302からの処理に戻る。
以上、制御部15が行う交通情報マーク表示処理について説明した。
ところで、以上の交通情報マーク表示処理においては、一部隠蔽表示形態のグループの交通情報の交通情報マーク表示を、図4c12、c22に示したようにグループ内の重要度が大の各交通情報マークを部分的に重複させて表示することにより行ったが、一部隠蔽表示形態のグループの交通情報の交通情報マーク表示は、次のように行うようにしても良い。
【0050】
すなわち、所定の縮尺(現在の案内画像の地図21の縮尺よりも小さい縮尺)の地図21にグループ内の交通情報の全てマークを表示した場合には図5a1のように地図21上の比較的近い位置に複数の重要度が大の交通情報の交通情報マークが表示されるものである場合には、図5a2に示すように、グループ内の重要度が大の交通情報の交通情報マークを一つずつ、順次、短時間ずつ循環的に表示するようにしてもよい。
【0051】
また、以上の交通情報マーク表示処理においては、誘導ルートが設定されているときには、存在地点として誘導ルート上の地点を表す交通情報の交通情報マークは、一例を図5bに示すように強調表示するようにしてもよい。ここで、図5bは、枠を装飾として付加することにより交通情報マークを強調表示した例を示しているが、交通情報マークの強調表示は、交通情報マークのハイライト表示など他の形態によって行うようにしてもよい。
【0052】
さて、以上のような交通情報マーク表示処理によれば、図6aに示すように、受信した交通情報が表す交通事象を示す交通情報マークは、図3に示した案内画像の地図21上の交通情報が表す交通事象の存在地点に対応する位置に表示される。
【0053】
また、このとき、存在地点が近接しているために、そのまま交通情報マークを表示すると交通情報マークが重なったり密集する交通情報については、存在地点が近接するもの同士でグループ化され、上述した代表表示形態や一部隠蔽表示形態でグループの交通情報マークが表示される。
【0054】
ここで、一部隠蔽表示形態によれば、重要度が大の交通情報の地図21上の存在地点に対応する地図21上の位置が近接している場合でも、当該全ての重要度が大の交通情報の交通情報マークが少なくとも部分的に表示される。
【0055】
したがって、ユーザは、一部隠蔽表示形態の交通情報マークの表示より、当該一部隠蔽表示形態の交通情報マークの表示地点の近傍に重要度が大の交通情報が複数存在することを認識することができる。また、当該認識に基づいて図6bに示すように、案内画像の地図21の縮尺を変更して、一部隠蔽表示形態によって部分的に隠されていた重要度が大の交通情報の交通情報マークを案内画像上に表示させて、当該重要度が大の交通情報を確認することもできる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【符号の説明】
【0057】
1…ナビゲーション装置、2…FM放送受信機、3…ビーコン受信機、4…操作部、5…表示装置、6…車両状態センサ、7…GPS受信機、11…現在状態算出部、12…ルート探索部、13…地図データ記憶部、14…メモリ、15…制御部、16…案内画像生成部、17…GUI制御部、21…地図、22…現在位置マーク、23…誘導ルート図形。
図1
図2
図3
図4
図5
図6