【実施例】
【0025】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)チキンナゲットの製造
まず、原料肉として鶏ムネ肉10000gを使用し、これを5mmの大きさに挽いてミンチ肉を得た。
【0027】
次いで、チキンすり身1250gと、粒状の植物性タンパク質(品名:ニューフジニック52、製造者:不二製油株式会社、主成分:脱脂大豆タンパク質、大きさ:約5mm程度のミンチ肉の形状)1250gと、ピックル液(配合物:食塩120g、砂糖100g、グルタミン酸ナトリウム40g、リン酸塩20g、水2220g)2500gとを、真空ロータリータンブラーの内部に投入し、減圧下、室温で約0.5時間マッサージを行った。これにより、チキンすり身中の水分が粒状の植物性タンパク質内に移行し、植物性タンパク質が膨潤して、チキンすり身と膨潤した植物性タンパク質が一体となった混合物5000gが得られた。
【0028】
次に、上記ミンチ肉10000gと前記混合物5000gとをよく混ぜ合わせて、生地を製造した。得られた生地を成型機で成型した後、成型した生地に衣をつけてフライして、チキンナゲットを得た。
【0029】
(比較例1)
粒状の植物性タンパク質を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして、チキンナゲットを得た。
【0030】
(比較例2)
粒状の植物性タンパク質の代りに、粉末の植物性タンパク質(品名:サンラバー10、製造者:不二製油株式会社、主成分:脱脂大豆タンパク質、大きさ:100〜200メッシュ程度の粉体)を同量使用したこと以外は実施例1と同様にして、チキンナゲットを得た。
【0031】
(比較例3)
実施例1における混合物を製造することなく、チキンすり身、粒状の植物性タンパク質、及びピックル液をミンチ肉に直接添加して混ぜ合わせ、生地を製造したこと以外は実施例1と同様にして、チキンナゲットを得た。
【0032】
(評価方法)
実施例1及び比較例1〜3で得られたチキンナゲットを真空包装して、その状態で90℃、30分間湯煎で加熱したものを食し、その風味及び荒挽き感を、従来品と比較して下記基準により評価した。ここで、従来品とは、すり身や植物性タンパク質を使用せずにミンチ肉のみを使用して製造した同等品のことをいう。風味は、食した時に植物性タンパク質の臭いを感じるか否かに基づいて評価し、従来品と同じく植物性タンパク質の臭いを感じないものを良好と判断した。荒挽き感は、食した時に肉粒を感じるか否かに基づいて評価し、従来品と同じく肉粒を十分に感じたものを良好と判断した。結果を表1に示す。
【0033】
○:従来品と遜色がなく良好
△:従来品よりもやや劣る
×:従来品よりも劣る
【0034】
【表1】
【0035】
具体的には各実施例及び比較例は以下のように評価された。
【0036】
実施例1:ピックル液の吐き出しが最も少なく(水分の流出が最も少ない)、弾力が有り、噛んだ時に口の中でほぐれて肉粒感がある。
【0037】
比較例1:ピックル液の吐き出しが最も多く(水分の流出が最も多い)、噛んだ時にボロボロほぐれてまとまりがない。
【0038】
比較例2:ピックル液の吐き出しが2番目に多く(水分の流出が2番目に多い)、全体的に締まった感じで柔らかく肉粒感がない。
【0039】
比較例3:ピックル液の吐き出しが3番目に多く(水分の流出が3番目に多い)、弾力はあるが、噛んだ時のほぐれ感、肉粒感は感じられない。
【0040】
(実施例2)ハンバーグの製造
まず、原料肉として、3mmの牛ミンチ肉700g、及び、香辛料等で味付けをした大きさ3mmの豚ミンチ肉300gを準備した。
【0041】
次いで、チキンすり身125gと、粒状の植物性タンパク質(品名:ニューフジニック52、製造者:不二製油株式会社、主成分:脱脂大豆タンパク質、大きさ:約5mm程度のミンチ肉の形状)125gと、ピックル液(配合物:食塩10g、ナツメグ1.5g、水238.5g)250gとを、真空ロータリータンブラーの内部に投入し、減圧下、室温で約0.5時間マッサージを行った。これにより、チキンすり身中の水分が粒状の植物性タンパク質内に移行し、植物性タンパク質が膨潤して、チキンすり身と膨潤した植物性タンパク質が一体となった混合物500gが得られた。
【0042】
次に、牛ミンチ肉700g、豚ミンチ肉300g、前記混合物500g、ダイス玉ねぎ300g、全卵100g、及び赤パン粉100gをよく混ぜ合わせて、生地を製造した。得られた生地を成型機で成型した後、成型した生地をフライパンで焼いて、ハンバーグを得た。
【0043】
(比較例4)
前記混合物を製造することなく、前記混合物500gの代りに、チキンすり身250gと前記ピックル液250gとを、ミンチ肉等と混ぜ合わせたこと以外は、実施例2と同様にしてハンバーグを得た。
【0044】
(比較例5)
前記混合物を製造することなく、前記混合物500gの代りに、チキンすり身125gと、粉末の植物性タンパク質(品名:サンラバー10、製造者:不二製油株式会社、主成分:脱脂大豆タンパク質、大きさ:小麦粉程度の粉体)125gと、前記ピックル液250gとを、ミンチ肉等と混ぜ合わせたこと以外は、実施例2と同様にしてハンバーグを得た。
【0045】
(比較例6)
前記混合物を製造することなく、前記混合物500gの代りに、チキンすり身125g、前記粒状の植物性タンパク質125g、及び前記ピックル液250gをミンチ肉に直接添加して混ぜ合わせ、生地を製造したこと以外は、実施例2と同様にしてハンバーグを得た。
【0046】
実施例2及び比較例4〜6で得られたハンバークを真空包装して、その状態で90℃、30分間湯煎で加熱したものを食し、その風味及び荒挽き感を下記基準により評価した。結果を表2に示す。
【0047】
○:従来品と遜色がなく良好
△:従来品よりもやや劣る
×:従来品よりも劣る
【0048】
【表2】
【0049】
具体的には各実施例及び比較例は以下のように評価された。
【0050】
実施例2:植物性タンパク質に特有の匂いがない一方、ほぐれ感、及び肉粒感があり、良好である。
【0051】
比較例4:弾力がなく、すり身に由来する鳥の匂いがする。
【0052】
比較例5:植物性タンパク質に特有の匂いがし、また、粉っぽい。
【0053】
比較例6:植物性タンパク質に特有の匂いが強く、また、パサついており、粘着力のある植物性タンパク質独特の食感がある。