(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗用作業車両が横転したときに地面に衝突した安全フレームが幅方向に変形すると、オペレーターが危険に晒される可能性がある。また、乗用作業車両が前転、或いは、後転したときに、地面に衝突した安全フレームが前後方向に倒れるとオペレーターが危険に晒される可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、横転、前転、或いは、後転した場合でも、オペレーターの安全を確保できる乗用作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、運転席が載置される車体フレームに固定されて当該運転席に乗車したオペレーターを保護する安全フレームを備える乗用作業車両において、前記安全フレームは、走行方向から見た場合に前記運転席の幅方向の一方側および他方側を前記車体フレームから上方に延びる一対の縦フレーム部分と、前記走行方向から見た場合に前記運転席の上方で前記幅方向に延びて前記一対の縦フレーム部分の上端部分を接続する上側横フレーム部分と、前記一対の縦フレーム部分の高さ方向の途中位置を接続する下側横フレーム部分と、前記一対の縦フレーム部分の後方で前記車体フレームから上方に延び、その上端部が前記一対の縦フレーム部分または前記下側横フレーム部分に接続された後側フレーム部分と、を有
し、前記安全フレームは、第1フレーム部材、第2フレーム部材および第3フレーム部材を備え、前記第1フレーム部材は、前記一対の縦フレーム部分と前記上側横フレーム部分とを一体に備え、前記第2フレーム部材は、前記下側横フレーム部分を備え、前記幅方向の両端部分がそれぞれ前記第1フレーム部材の各縦フレーム部分に接続され、前記第3フレーム部材は、前記後側フレーム部分を備え、前記第1フレーム部材または第2フレーム部材に接続され、前記後側フレーム部分は、走行方向から見た場合に前記運転席の幅方向の一方側および他方側を前記車体フレームから上方に延びる一対の後側縦フレーム部と、前記幅方向に延びて前記一対の後側縦フレーム部の上端部分を接続する後側横フレーム部と、を備え、前記第3フレーム部材は、前記一対の前記後側縦フレーム部および後側横フレーム部を一体に備え、前記後側横フレーム部が前記第2フレーム部材に接続されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、安全フレームは、一対の縦フレーム部分の間に、幅方向に延びてこれら一対の縦フレーム部分を接続する上側横フレーム部分および下側横フレーム部分を備える。従って、安全フレームは、一対の縦フレーム部分が一本の横フレーム部分によって接続されている場合と比較して、幅方向からの力に対する剛性が高い。これにより、乗用作業車両が横転した場合でも、地面からの衝撃によって安全フレームが幅方向に変形することを防止或いは抑制できる。また、安全フレームは、一対の縦フレーム部分または下側横フレーム部分に後方から接続される後側フレーム部分を備える。これにより、乗用作業車両が前転、或いは、後転した場合でも、地面からの衝撃によって、安全フレームが前後方向に倒れることを防止或いは抑制できる。よって、乗用作業車両が転倒した場合でも運転席に乗車したオペレーターの安全を確保できる。
また、このようにすれば、安全フレームを鋼鉄製のパイプなどを用いて形成できる。また、このようにすれば、車体フレームの幅方向における一対の後側フレーム部分の間にバッテリーやエンジンを搭載することできる。また、第2フレーム部材と第3フレーム部材との接続箇所を1か所とすることができるので、安全フレームの組み立てが容易となる。
【0010】
本発明において、前記後側フレーム部分として、走行方向から見た場合に前記運転席の幅方向の一方側および他方側を前記車体フレームから上方に延びる一対の前記後側フレーム部分を備え、一対の前記後側フレーム部分は、その上端部分が前記第1フレーム部材の各縦フレーム部分に接続されるものとすることができる。このようにしても、安全フレームの前後方向への転倒を防止或いは抑制できる。
【0011】
次に、本発明は、運転席が載置される車体フレームに固定されて当該運転席に乗車したオペレーターを保護する安全フレームを備える乗用作業車両において、前記安全フレームは、走行方向から見た場合に前記運転席の幅方向の一方側および他方側を前記車体フレームから上方に延びる一対の縦フレーム部分と、前記走行方向から見た場合に前記運転席の上方で前記幅方向に延びて前記一対の縦フレーム部分の上端部分を接続する上側横フレーム部分と、前記一対の縦フレーム部分の高さ方向の途中位置を接続する下側横フレーム部分と、前記一対の縦フレーム部分の後方で前記車体フレームから上方に延び、その上端部が前記一対の縦フレーム部分または前記下側横フレーム部分に接続された後側フレーム部分と、を有し、前記安全フレームは、第1フレーム部材および第2フレーム部材を備え、前記第1フレーム部材は、前記一対の縦フレーム部分と前記上側横フレーム部分とを一体に備え、前記第2フレーム部材は、前記下側横フレーム部分と前記後側フレーム部分とを一体に備え、前記第2フレーム部材の上端部分が前記第1フレーム部材に接続されていることを特徴とする。このようにすれば、安全フレームを鋼鉄製のパイプなどを用いて形成できる。また、このようにすれば、2部材で安全フレームを構成できるので、3部材から構成する場合と比較して、部品点数を削減できる。
【0012】
この場合において、前記後側フレーム部分として、走行方向から見た場合に前記運転席の幅方向の一方側および他方側を前記車体フレームから上方に延びる一対の前記後側フレーム部分を備え、前記第2フレーム部材では、一対の前記後側フレーム部分の上端部分に前記下側横フレーム部分が接続されているものとすることができる。このようにすれば、車体フレームの幅方向における一対の後側フレーム部分の間にバッテリーやエンジンなどを搭載できる。
【0013】
本発明において、各縦フレーム部分は、前記車体フレームから上方に向かって後方に傾斜する下側フレーム部と、前記下側フレーム部の上端から上方に向かって前方に傾斜する上側フレーム部を備えることが望ましい。このようにすれば、一対の縦フレームが運転席に乗車したオペレーターの幅方向の視界を妨げることを防止しながら、上側横フレームを運転席に乗車したオペレーターの頭上に近い位置に配置できる。
【0014】
本発明において、各縦フレーム部分は、上下方向の途中に前記幅方向の外側に屈曲する屈曲部を備えており、前記一対の縦フレーム部分の間の間隔は、前記屈曲部よりも上側が当該屈曲部よりも下側よりも広いことが望ましい。このようにすれば、転倒などの衝撃によって安全フレームが幅方向に変形してしまう場合でも、オペレーターを保護することが可能となる。
【0015】
本発明において、前記車体フレームに固定され前記運転席の下方で当該運転席よりも前記走行方向の前方に突出するステップ用フレームを有し、前記運転席に乗車したオペレーターは、前記ステップ用フレームの前端と前記上側横フレーム部分の前端とを結ぶ仮想線よりも下方および後方に位置することが望ましい。このようにすれば、乗用作業車両が前転した場合などに、オペレーターが車両の下敷きになることを防止できる。
【0016】
本発明において、前記車体フレームに取り付けられた芝刈ユニットを有するものとすることができる。すなわち、本発明の乗用作業車両は、乗用芝刈機とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の乗用作業車両によれば、安全フレームの幅方向での変形および前後方向への転倒を防止或いは抑制できる。従って、乗用作業車両の転倒時に運転席に乗車したオペレーターを保護できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した乗用作業車両の実施の形態である乗用芝刈機を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1(a)は本発明を適用した乗用芝刈機を前方の斜め上方から見た場合の斜視図であり、
図1(b)は本発明を適用した乗用芝刈機の側面図である。
図2(a)、
図2(b)はそれぞれ
図1の乗用芝刈機の正面図および背面図である。以下の説明では乗用芝刈機1において互いに直交する3方向を前後方向X、幅方向Y、上下方向Zとする。前後方向は乗用芝刈機1の走行方向である。
【0021】
図1(a)に示すように、本例の乗用芝刈機1は前輪2および後輪3を備える4輪の走行車体4を備える。走行車体4の前後方向Xの中央部分にはオペレーターOが乗車する座席部5が設けられている。座席部5の後方X2にはボンネット6が設けられている。
【0022】
図2(a)に示すように、座席部5は、運転席10、安全フレーム11、運転席10の下方で前方X1に突出するステップ12、ステップ12に設けられたステアリングホイール13、操作ペダル14、および、操作レバー15を備える。運転席10はシート16および背凭れ17を備える。背凭れ17は上方に向かって僅かに後方X2に傾斜している。ステップ12は板状であり、車体フレーム21から前方X1に突出するステップ用フレーム22の前端部分の上面に固定されている。ボンネット6は車体フレーム21の後側部分に搭載されたエンジン23やバッテリー24を覆い隠す。
【0023】
また、乗用芝刈機1は、走行車体4における前輪2の前側に、幅方向Yに配列された3
つの前側芝刈ユニット25を備える。各前側芝刈ユニット25はアーム26を介して車体フレーム21に取り付けられている。各前側芝刈ユニットはステップ12よりも下方に位置する。さらに、乗用芝刈機1は、
図2(b)に示すように、前輪2と後輪3の間に幅方向Yに配列された2つの後側芝刈ユニット27を備える。各後側芝刈ユニット27は、
図1(b)に示すように、アーム28を介して車体フレーム21の下方に取り付けられている。前側芝刈ユニット25および後側芝刈ユニットは、それぞれの前端の下端部分に支持されたフロントローラー31、後端の下端部分に支持されたリヤローラー32、および、これらの間に配置された回転刃と固定刃からなるリール式の刈刃33を備える。刈刃33による刈り高さは、例えばフロントローラー31の高さ位置を調整することによって設定される。
【0024】
(車体フレーム、ステップ用フレームおよび中間フレーム)
図3は運転席10、エンジン23、バッテリー24、ボンネット6を外した乗用芝刈機1の側面図である。
図4(a)は安全フレーム11、車体フレーム21、ステップ用フレーム22、および中間フレーム53を前方X1の上方から見た場合の斜視図であり、
図4(b)は安全フレーム11、車体フレーム21、ステップ用フレーム22、および中間フレーム53を後方X2の上方から見た場合の斜視図である。
【0025】
図4(a)に示すように、車体フレーム21は、前後方向Xに延びる一対のサイドレール35と、サイドレール35に架け渡された3本のクロスメンバ36を備える。一対のサイドレール35は、前後方向Xに水平に延びる前側水平レール部分41と、前側水平レール部分41の後端から後方X2に向かって上方に延びる傾斜レール部分42と、傾斜レール部分42の後端から後方X2に向かって水平に延びる後側水平レール部分43を備える。3本のクロスメンバ36は、一対のサイドレール35における前側水平レール部分41の前端部、傾斜レール部分42の後端部、および、後側水平レール部分43の後端部にそれぞれ架け渡されている。
【0026】
一対のサイドレール35の前端部分には、ステップ用フレーム22が固定されている。ステップ用フレーム22は、各前側水平レール部分41の前端部の上面に取り付けられて前方X1に延びる一対のサイドフレーム部分46と、一対のサイドフレーム部分46の前端部を接続するフロントフレーム部分47を備える。一対のサイドフレーム部分46は、前方X1に向かって水平に延びた後に湾曲して前方X1に向かって上方に延びる。フロントフレーム部分47は、幅方向Yに延びて一対のサイドフレーム部分46の前端部を接続する横フレーム部51を備える。横フレーム部51の幅方向Yの長さ寸法は一対のサイドフレーム部分46の幅方向Yの間隔よりも長く、横フレーム部51の両端は、一対のサイドフレームの幅方向Yの外側に位置する。また、フロントフレーム部分47は、横フレーム部51の両端から後方X2に延びる一対の延設フレーム部52を備える。各延設フレーム部52は各サイドフレーム部分46の前側部分に沿って後方X2に向かって下方に延びる。
図3に示すように、ステップ用フレーム22の上面にはステップ12が載置されている。
【0027】
また、一対のサイドレール35には、ステップ用フレーム22の後方X2に隣り合う位置に、それぞれ中間フレーム53が固定されている。各中間フレーム53は、上方に延びた後に湾曲して後方X2に向かって水平に延びる。各中間フレーム53の前端部は各前側水平レール部分41の上面に取り付けられている。各中間フレーム53の後端部は、各傾斜レール部分42の後端部の上面に固定されている。運転席10は、一対の中間フレーム53の上方であって、幅方向における一対の中間フレーム53の間に位置する。
【0028】
(安全フレーム)
図5(a)、
図5(b)および
図5(c)は、ぞれぞれ、安全フレーム11、車体フレ
ーム21、ステップ用フレーム22、および、中間フレーム53の正面図、側面図、背面図である。
図2および
図5(a)に示すように、安全フレーム11は、乗用芝刈機1を前後方向Xから見た場合にシート16の幅方向Yの第1方向Y1および第2方向Y2を車体フレーム21から上方に延びる一対の縦フレーム部分61と、前後方向Xから見た場合に運転席10の上方で幅方向Yに延びて一対の縦フレーム部分61の上端部分を接続する上側横フレーム部分62を備える。また、安全フレーム11は、
図5(b)および
図5(c)に示すように、一対の縦フレーム部分61の上下方向Zの途中位置を接続する下側横フレーム部分63と、一対の縦フレーム部分61の後方X2において車体フレーム21から上方に延びて下側横フレーム部分63を後方X2から支持する後側フレーム部分64を有する。
【0029】
図5(b)に示すように、各縦フレーム部分61は、その下端部が車体フレーム21の各サイドレール35における傾斜レール部分42の後端部に固定されている。各縦フレーム部分61は、各サイドレール35から上方に向かって後方X2に傾斜する下側フレーム部65と、下側フレーム部65の上端から上方に向かって前方X1に傾斜する上側フレーム部66を備える。また、各縦フレーム部分61は、
図5(c)に示すように、上下方向の途中に幅方向Yの外側に屈曲する屈曲部67を備える。屈曲部67は下側フレーム部65の上下方向Zの途中に設けられている。一対の縦フレーム部分61の間の間隔は、屈曲部67よりも上側が屈曲部67よりも下側よりも広い。
【0030】
ここで、
図3に示すように、乗用芝刈機1を幅方向Yから見た場合に、下側フレーム部65は運転席10の背凭れ17の後方X2に隣り合う位置で、背凭れ17に沿って上下方向Zに延びる。上側横フレーム部分62は、上下方向Zから見た場合に、背凭れ17と重なる位置にある。すなわち、上側横フレーム部分62は背凭れ17の上方に位置する。また、ステップ用フレーム22の先端と上側横フレーム部分62の前端とを結ぶ仮想線Sを設けたときに、運転席10に乗車したオペレーターOは、当該仮想線Sよりも下方および後方X2に位置する。
【0031】
下側横フレーム部分63は、
図5(a)に示すように、一対の縦フレーム部分61の下側フレーム部65を屈曲部67の上側で接続している。
図2(b)に示すように、前後方向Xから見た場合に、下側横フレーム部分63は、運転席10の背凭れ17の上端よりも僅かに下方に位置する。また、
図4に示すように、下側横フレーム部分63は、幅方向Yの中央部分が後方X2に窪む湾曲形状をしている。従って、下側横フレーム部分63は、幅方向Yの両端が幅方向Yの中央部分よりも前方X1に位置する。また、下側横フレーム部分63は、
図5(b)に示すように、幅方向Yの両端が幅方向Yの中央部分よりも僅かに上方に位置する。
図3に示すように、背凭れ17の後方X2には、下側横フレーム部分63との間に空間が設けられている。
【0032】
後側フレーム部分64は、
図5(c)に示すように、前後方向Xから見た場合に運転席10の幅方向Yの一方側および他方を車体フレーム21から上方に延びる一対の後側縦フレーム部71と、幅方向Yに延びて一対の後側縦フレーム部71の上端部分を接続する後側横フレーム部72を備える。各後側縦フレーム部71は、
図5(b)に示すように、その下端部が各サイドレール35における後側水平レール部分43の前後方向Xの中央よりも少し前側に固定されている。各後側縦フレーム部71は後側水平レール部分43から上方に向かって前方X1に延びる。後側横フレーム部72は、下側横フレーム部分63に後方X2から接続されており、下側横フレーム部分63を後方X2から支持する。なお、幅方向Yにおける一対の後側縦フレーム部71の間には車体フレーム21に載置されたエンジン23やバッテリー24が位置する。
【0033】
ここで、本例では、安全フレーム11は、第1フレーム部材81、第2フレーム部材8
2および第3フレーム部材83の3部材から構成されている。第1フレーム部材81および第2フレーム部材82は、それぞれ金属製の一本の角形パイプを屈曲させたものである。第3フレーム部材83は、金属製の一本の丸形パイプを屈曲させたものである。
【0034】
第1フレーム部材81は一対の縦フレーム部分61と上側横フレーム部分62とを一体に備える。第1フレーム部材81は各縦フレーム部分61の下端部分が固定具85によって車体フレーム21の各サイドレール35に固定されている。固定具85は、各縦フレーム部分61の下端部分を各サイドレール35の幅方向Yの外側面に固定する。
【0035】
第2フレーム部材82は下側横フレーム部分63を備える。第2フレーム部材82は、その幅方向Yの両端部分がそれぞれ第1フレーム部材81の各縦フレーム部分61に接続されている。
【0036】
第3フレーム部材83は後側フレーム部分64を備える。第3フレーム部材83は各後側縦フレーム部71の下端部分が固定具86によって車体フレーム21の各サイドレール35に固定されている。固定具86は、各後側縦フレーム部71の下端部分を各サイドレール35の幅方向Yの外側面に固定する。また、第3フレーム部材83は、その後側横フレーム部72の幅方向Yの中央部分が、第2フレーム部材82の幅方向Yの中央部分に接続されている。
【0037】
ここで、第1フレーム部材81において第2フレーム部材82が接続される部位にはフランジ87が設けられている。より具体的には、第1フレーム部材81の各縦フレーム部分61の屈曲部67の上側には、一対の縦フレーム部分61が幅方向Yで対向する対向方向に矩形の固定面を向けた矩形のフランジ87が設けられている。また、第2フレーム部材82の両端には、幅方向Yの外側に矩形の固定面を向けた矩形のフランジ88が設けられている。第1フレーム部材81と第2フレーム部材82は、互いのフランジ87、88を幅方向Yで重ね合わせた後にボルトを用いて締結されている。
【0038】
また、第2フレーム部材82における幅方向Yの中央部分には、後方X2に矩形の固定面を向けた矩形のフランジ89が設けられている。さらに、第3フレーム部材83における後側横フレーム部72の幅方向Yの中央部分には、前方X1に矩形の固定面90aを向けた矩形のフランジ90が設けられている。第2フレーム部材82と第3フレーム部材83は、互いのフランジ98、90を前後方向Xで重ね合わせた後にボルトを用いて締結されている。
【0039】
(作用効果)
本例によれば、安全フレーム11は、運転席10を間に挟んだ幅方向Yの両側に位置する第1フレーム部材81の一対の縦フレーム部分61の間に、幅方向Yに延びてこれら一対の縦フレーム部分61を接続する第2フレーム部材82(下側横フレーム部分63)を備える。従って、安全フレーム11は、第2フレーム部材82(下側横フレーム部分63)を備えていない場合と比較して、幅方向Yからの力に対する剛性が高い。これにより、乗用芝刈機1が横転した場合でも、地面からの衝撃によって安全フレーム11が幅方向Yに変形することを防止或いは抑制できる。
【0040】
また、安全フレーム11は、第2フレーム部材82(下側横フレーム部分63)を前後方向Xの後方X2から支持する第3フレーム部材83(後側フレーム部分64)を備える。これにより、乗用芝刈機1が前転、或いは、後転した場合でも、地面からの衝撃によって安全フレーム11が前後方向Xに倒れることを防止或いは抑制できる。よって、運転席10に乗車したオペレーターOの安全を確保できる。
【0041】
さらに、本例では、第1フレーム部材81の各縦フレーム部分61は、車体フレーム21から上方に向かって後方X2に傾斜する下側フレーム部65と、下側フレーム部65の上端から上方に向かって前方X1に傾斜する上側フレーム部66を備え、下側フレーム部65は運転席10の後側に位置する。従って、一対の縦フレームが運転席10に乗車したオペレーターOの幅方向Yの視界を妨げることを防止できる。この一方で、上側横フレーム部分62を運転席10に乗車したオペレーターOの頭上に近い位置に配置できる。
【0042】
また、本例では、第1フレーム部材81の一対の縦フレーム部分61の間の間隔は、屈曲部67よりも上側が当該屈曲部67よりも下側よりも広い。従って、転倒時に地面から衝撃を受けて安全フレーム11が幅方向Yに変形してしまう場合でも、オペレーターOを保護することが容易となる。
【0043】
さらに、運転席10に乗車したオペレーターOは、ステップ用フレーム22の前端と上側横フレーム部分62とを結ぶ仮想線Sよりも下方および後方X2に位置する。従って、乗用芝刈機1が前転した場合でも、運転席10に乗車したオペレーターOを保護できる。
【0044】
また、本例では、第2フレーム部材82と第3フレーム部材83とを幅方向Yの中央部分で接続しているので、第2フレーム部材82と第3フレーム部材83との接続箇所が1か所で済む。従って、安全フレーム11の組み立てが容易である。
【0045】
さらに、本例では、一本の角形パイプを屈曲させて、第1フレーム部材81、第2フレーム部材82のそれぞれとしている。ここで、第1フレーム部材81、第2フレーム部材82のそれぞれは円形パイプを屈曲させて構成することもできる。しかし、角形パイプを用いた方が、円形パイプを用いた場合と比較して、転倒時などに各フレーム部材81、82を変形させる力(曲げ)に強い。
【0046】
(安全フレームの変形例)
図6(a)は変形例1の安全フレームを後方X2から見た場合の斜視図であり、
図6(b)は変形例2の安全フレームを後方X2から見た場合の斜視図である。
図6(a)に示す変形例1の安全フレーム11Aは、後側フレーム部分64として、前後方向Xから見た場合に運転席10の幅方向Yの一方側および他方を車体フレーム21から上方に延びる一対の後側フレーム部分64を備える。この後側フレーム部分64は、第3フレーム部材83Aからなる。第1フレーム部材81および第2フレーム部材82は、上記の安全フレーム11と同一である。本例では、各第3フレーム部材83A(後側フレーム部分64)は、第1フレーム部材81の各縦フレーム部分61に接続されて、第1フレーム部材81を後方X2から支持する。
【0047】
変形例1の安全フレーム11Aを搭載した乗用芝刈機1においても、横転時における地面からの衝撃によって安全フレーム11Aが幅方向Yに変形すること、および、安全フレーム11Aが前後方向Xに倒れることを防止或いは抑制できる。従って、運転席10のオペレーターを保護できる。なお、本例では、第3フレーム部材83Aを第1フレーム部材81の各縦フレーム部分61に締結する必要があるので、第3フレーム部材83Aを他の部材に締結する箇所は2か所となる。この一方、第3フレーム部材83Aが後側横フレーム部72を備えていない分、安全フレーム11Aを軽量化できる。
【0048】
(変形例2)
図6(b)に示す変形例2の安全フレーム11Bは、後側フレーム部分64として、車体フレーム21の幅方向Yの中央から上方に延びて第2フレーム部材82(下側横フレーム部分63)を後方X2から支持する一本の後側フレーム部分64を備える。この後側フレーム部分64は、一本の第3フレーム部材83Bからなる。
【0049】
ここで、変形例2の安全フレーム11Bを取り付けた乗用芝刈機1では、車体フレーム21に新たなクロスメンバ37が固定されている。クロスメンバ37は一対のサイドレール35の後側水平レール部分43の前後方向Xの途中位置に架け渡されている。そして、第3フレーム部材83Bは、その下端部分が新たなクロスメンバ37の幅方向Yの中央部分に固定され、その下端部が第2フレーム部材82(下側横フレーム部分63)の幅方向Yの中央部分に固定される。変形例2の安全フレーム11Bを搭載した乗用芝刈機1においても、横転時における地面からの衝撃によって安全フレーム11Aが幅方向Yに変形すること、および、安全フレーム11Aが前後方向Xに倒れることを防止或いは抑制できる。従って、運転席10のオペレーターを保護できる。
【0050】
(変形例3)
図7は変形例3の安全フレームを後方X2から見た場合の斜視図である。
図7に示すように、変形例の安全フレーム11Cでは、安全フレーム11Cを第1フレーム部材91と第2フレーム部材92から構成している。
【0051】
本例では、安全フレーム11Cは、一対の縦フレーム部分61と、幅方向Yに延びて、これら一対の縦フレーム部分61の上端部分を接続する上側横フレーム部分62を備える。また、安全フレーム11Cは、一対の縦フレーム部分61の上下方向Zの途中位置を接続する下側横フレーム部分63を備える。また、安全フレーム11Cは、一対の縦フレーム部分61の後方X2において車体フレーム21から上方に延びて一対の縦フレーム部分61に接続された一対の後側フレーム部分64を備える。
【0052】
第1フレーム部材91は、一対の縦フレーム部分61と上側横フレーム部分62とを一体に備える。第2フレーム部材92は、下側横フレーム部分63と一対の後側フレーム部分64とを一体に備える。すなわち、下側横フレーム部分63は、一対の後側フレーム部分64の上端部分の間に配置されて、一対の後側フレーム部分64の上端部分を接続している。これにより、下側横フレーム部分63は一対の後側フレーム部分64と一体の部材(第2フレーム部材92)となっている。第1フレーム部材91は、金属製の一本の角形パイプを屈曲させたものである。第1フレーム部材91は、金属製の一本の角柱パイプ、または、円形パイプを屈曲させたものである。
【0053】
ここで、第2フレーム部材92の上端の幅方向Yの両端部分は、第1フレーム部材91の各縦フレーム部分61に接続されている。すなわち、第2フレーム部材92における一対の後側フレーム部分64の先端部分は、第1フレーム部材91における各縦フレーム部分61に後方X2から当接させて固定されている。これにより、第1フレーム部材91の各縦フレーム部分61は、第2フレーム部材92によって後方X2から支持される。また、第2フレーム部材92の上側横フレーム部分62は、第1フレーム部材91の各縦フレーム部分61の間に架け渡された状態となる。
【0054】
(その他の実施の形態)
上記の安全フレーム11、11A、11B、11Cは、トラクターなどの乗用作業車両に搭載することができる。