特許第6646528号(P6646528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646528
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】角栓分解促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20200203BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20200203BHJP
   A61K 36/42 20060101ALI20200203BHJP
   A23L 33/105 20160101ALN20200203BHJP
【FI】
   A61K8/9789
   A61Q19/00
   A61K36/42
   !A23L33/105
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-118505(P2016-118505)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-128560(P2017-128560A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】特願2016-4908(P2016-4908)
(32)【優先日】2016年1月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】大隅 和寿
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】市川 雛代
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−037764(JP,A)
【文献】 特開2015−168628(JP,A)
【文献】 特開2007−269757(JP,A)
【文献】 特開平04−009313(JP,A)
【文献】 特開2001−226249(JP,A)
【文献】 特開2014−055121(JP,A)
【文献】 特開2005−255527(JP,A)
【文献】 特表2005−502612(JP,A)
【文献】 特開2007−023038(JP,A)
【文献】 特開2015−030675(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/015816(WO,A1)
【文献】 特開2014−015462(JP,A)
【文献】 特開2015−135659(JP,A)
【文献】 特開2012−206962(JP,A)
【文献】 NEWS RELEASE, FUJIFILM GROUP ,2015年11月 5日,p.1-4,URL,https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1446691328.pdf[retrieved on 2019-10-08]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−99、36/00−9068
A61Q 1/00−90/00
A23L 5/40−49、31/00−33/29
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユウガオ果実の水及び/又はアルコールによる抽出物を含有することを特徴とするカテプシンV活性促進剤(但し、ユウガオにはトウガンは含まず、用途として美白を除く)。
【請求項2】
ユウガオ果実の水抽出物を含有することを特徴とする角栓縮小(但し、ユウガオにはトウガンは含まず、用途として美白を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユウガオエキスを含有することを特徴とする角栓分解促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
角栓とは、周囲の角質や皮脂腺から分泌された皮脂が、毛孔内で凝固、発達したものと考えられており、毛穴の目立ちの原因の一つと考えられている。そのため、角栓を物理的に取り除くなどの施術が提案されており、洗顔などにより取り除く方法(特許文献1)、粘着シートなどに角栓を張り付けて除去する方法(特許文献2)や、角栓除去器具(特許文献3)などが考案されている。また、代替方法として、高濃度の有機酸に界面活性剤を添加した角栓再生を抑制する方法や製剤(特許文献4)が示されるようになった。
【0003】
ユウガオは、カンピョウとして食用に利用されているが、化粧品原料としても利用されており、その主要な特許文献としては、抗酸化作用を有する化粧品(特許文献5)、美白作用を有する化粧品(特許文献6、7)、コラーゲン産生促進作用を有する化粧品(特許文献8)、育毛剤(特許文献9)、乾燥肌を改善して肌のツヤ・ハリを与える効果を有する化粧品(特許文献10)が挙げられる。
【0004】
ザクロには、エラグ酸等の抗酸化成分が含まれ、抗老化作用が期待できること、また、女性ホルモン様成分が含まれ、美容と健康に対する効果が期待できることから、その花、果実、種子等が健康食品や化粧品原料として利用されている。また、ザクロの乳酸発酵液は、角栓形成に関与する内毛根鞘の形成抑制や男性ホルモンの活性化抑制作用を示し、角栓や毛穴の目立ちを予防的に抑制する作用を示すことが報告されている(特許文献11)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−119394
【特許文献2】特開2007−55933
【特許文献3】特開2009−82376
【特許文献4】特開2013−49667
【特許文献5】特開2002−138028
【特許文献6】特開2014−55121
【特許文献7】特開2014−224081
【特許文献8】特開2005−255527
【特許文献9】特開平6−247832
【特許文献10】特開2001−226249
【特許文献11】特開2015−168628
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまで開発されてきた粘着シートや器具により角栓を除去する方法では、表皮の角質も失われてしまうため、肌荒れを起こす懸念があった。また、高濃度の有機酸に界面活性剤を添加した角栓再生を抑制する方法においても角栓を化学的に溶解することに基づいたものであり、肌荒れを起こす懸念は未だ払拭されたとは言えない。この背景には、角栓の形成や分解に関与するメカニズムの詳細が不明であり、また角栓構成成分に注目した研究はほとんどないなど、角栓に関して不明な点が多いことに起因する。最近、角栓の約70%はタンパク質で構成されていることが明らかとなり(水越興冶ら、J.Soc.Cosmet.Chem.Jpn. 41, 262−268(2007))、タンパク質が角栓形成に対して重要な要因と考えられた。さらに、角栓のタンパク質解析により、ケラチン17が角栓中に存在することが報告されたが(山崎浩子ら、第73回SCCJ研究討論会要旨集 p14−15 2013年11月29日開催)、角栓を構成するタンパク質がすべて明らかになったわけではなく、依然として角栓形成メカニズム、角栓分解メカニズムや構成タンパク質については不明な点が多い。以上の背景から、肌荒れを起こさずに角栓を除去するために、角栓中の構成タンパク質に基づいた新たな角栓分解促進剤の開発が望まれていた。
【0007】
かかる状況に鑑み、本発明の課題は、角栓分解メカニズムに基づいた生薬成分含有の角栓分解促進剤、カテプシンV活性促進剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、毛包中のタンパク質解析から、角栓内部にはタンパク質分解酵素であるカテプシンVが局在していることを明らかにした。また、角栓中のカテプシンV酵素活性は小さい角栓ほど高かった。さらに、角栓中の細胞接着因子であるコルネオデスモシン量とカテプシンV量は逆相関の関係にあり、毛穴や角栓が目立つほどコルネオデスモシン量が多い一方でカテプシンV量が少ないが、目立たない場合はこの関係が逆転していた。このような事情により、カテプシンVが角栓分解酵素であり、カテプシンVの活性促進が角栓の分解を促進する手段になりうると考え鋭意研究を重ねた結果、ユウガオエキスが、カテプシンVの活性促進作用、及び角栓の分解を促進する作用を有することを見出した。さらに、ユウガオエキスとザクロエキスを併用することで、毛穴の目立ちの改善に対して相乗効果が発揮されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
【0010】
ユウガオエキスを含有することを特徴とするカテプシンV活性促進剤。
【0011】
ユウガオエキスを含有することを特徴とする角栓分解促進剤。
【0012】
ユウガオエキスを含有することを特徴とする毛穴の目立ちの改善剤。
【0013】
ユウガオエキス及びザクロエキスを含有することを特徴とする毛穴の目立ちの改善剤。
【発明の効果】
【0014】
本発明のユウガオエキスは、天然で安全性の高い素材であり、優れたカテプシンV活性促進効果を認めたことから、角栓中のタンパク質を分解することによる毛穴の目立ちの改善効果が期待でき、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等への応用が可能である。本発明のユウガオエキスは、角栓分解促進作用を有しており、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品の分野において利用できるものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0016】
本発明に用いるユウガオエキスとは、ユウガオの果実の抽出物である。ユウガオは、ウリ科、ユウガオ属、ユウガオで、学名がLagenaria siceraria(L. siceraria Standle.、L. siceraria var. hispida.、Lagenaria leucantha var. clavata Makino等を含む)であり、例えば栽培品を用いることができ、その果実は、果肉、果皮、種子を含めても良く、絞りかすを含めても良い。本発明で使用できるユウガオの果実の抽出物では、抽出する溶媒としては例えば、水、アルコール類、アセトンの使用が挙げられる。これら水溶性溶媒の1種又は2種以上の混合溶媒を用いて抽出したものであっても良い。また、加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。
【0017】
ユウガオエキスは、そのまま用いても良く、必要に応じて抽出、濃縮、希釈、濾過等の処理及び活性炭等による脱色、脱臭処理をして化粧品原料として用いることができる。
【0018】
本発明に用いるザクロエキスとは、ザクロ(Punica granatum)の花、実、種子、茎、葉、根等の植物体の一部又は全草からの抽出物、果汁、又は抽出物や果汁の発酵液である。その抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。好ましくは果汁であり、これは果肉、果皮、種子を含めてもよく、絞りかすを含めてもよい。果汁は、そのまま未調整、又は濃縮果汁を用いてもよく、希釈して用いても良い。また、水酸化ナトリウム等のアルカリでpHを3〜8に調整して用いても良い。さらに、より好ましくは、乳酸桿菌の生育促進を目的として、酵母エキスや大豆ペプチド等の有機物、硫酸マグネシウム等のミネラルを添加しても良い。また、本発明の果汁には、水やエタノールなどの溶媒を用いて抽出した、ザクロの溶媒抽出物も含めるものとする。
【0019】
発酵液では、例えば乳酸菌を用いることができ、使用する乳酸菌としては、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、又はペディオコッカス属(Pediococcus)に属する乳酸菌が挙げられる。特に好ましくは、発酵による有効性向上の点でラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する乳酸菌であって、特に植物又はその発酵食品である漬け物などから分離した菌株であっても、菌株保存機関に登録されたものであっても良い。また、特にザクロ果汁をpH3〜5の範囲で効率よく発酵させ得るものが好ましい。培養条件は適宜設定でき、目安として25〜40℃で行うことが望ましい。
【0020】
本発明の外用剤又は内用剤への応用は、上記抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範囲内で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料、酸味料等の成分を適宜含有することもできる。
【0021】
本発明の剤型としては、例えば、化粧水、クリーム、マッサージクリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、散剤、丸剤、錠剤、注射剤、坐剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤(チンキ剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナーデ剤等を含む)、錠菓、飲料等が挙げられる。
【0022】
本発明で用いる、ユウガオエキスを、溶液の状態で用いる場合の含有量は特に限定されないが、固形物に換算して0.00001重量%以上、好ましくは0.001〜5.0重量%が良い。0.00001重量%未満であると本発明の効果が十分に発揮されにくい場合がある。添加の方法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
【0023】
本発明で用いる、ザクロエキスを、溶液の状態で用いる場合の含有量は特に限定されないが、固形物に換算して0.001重量%以上、好ましくは0.001〜5.0重量%が良い。0.001重量%未満であると本発明の効果が十分に発揮されにくい場合がある。添加の方法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
【0024】
本発明におけるカテプシンVとは、システインプロテアーゼに属するタンパク質分解酵素であり、別名としてカテプシンL2と表記される場合がある。皮膚表皮細胞、毛包中の内毛根鞘などで発現しており、角質の落屑に関与する酵素として同定されたことから、角質細胞間の接着分子を切断する作用があると考えられている(D.Bernard,et al. J.Invest.Dermatol.120, 592−600(2003)、及びPatrick L.J.M.Zeeuwen,et al. J.Invest.Dermatol.127,592−600(2007))。また、細胞内のリソソーム中にも局在し、タンパク質分解に関与していることが示されている(Y.Miwa,et al. FEBS Lett.586,3601−3607(2012))。皮膚色とカテプシンVとの関連性についての指摘がされており、美白化粧品などへの応用が期待されている(N.Chen,et al.J.Invest.Dermatol.126,2345−2347(2006))。さらに、カテプシンVは、がん細胞にて発現しており(I.Santamaria, et al. Cancer Res. 58, 1624−1630 (1998))、がんの転移などがんの病態進行に関与すると考えられることから、がんの診断や処置など医療への応用が期待されている。
【0025】
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いるユウガオエキスの製造例、処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例中の含有量は、全て重量%とする。
以下に、ユウガオエキス、及びザクロエキスの製造例を示す。
【実施例1】
【0026】
製造例1
ユウガオの果実500gを細断し、水500mlで2時間ずつ2回加熱抽出、さらに真空凍結乾燥により濃縮することにより抽出物1g(99%以上の固形物を含む)を得た。
【0027】
製造例2
カンピョウ(市販品)100gを十分水洗した後、水1000mlで2時間ずつ2回加熱抽出した。残渣を濾過後、濾液を減圧下で濃縮し、さらに、真空凍結乾燥し、抽出物6g(99%以上の固形物を含む)を得た。
【0028】
製造例3
乾燥したユウガオの果実60gを粉砕し、水−エタノール混液(1:1)600mlで5時間加熱抽出して、さらに濃縮することにより抽出物2g(50%の固形物を含む)を得た。
【0029】
製造例4
乾燥したユウガオの果実60gを粉砕し、エタノール300mlを加え、常温で1ヶ月放置した。さらに濃縮することにより1g(99%以上の固形物を含む)を得た。
【0030】
製造例5
乾燥したユウガオの果実60gを粉砕し、プロパノール600mlで2時間ずつ常温で2回抽出し、さらに濃縮することにより抽出物1g(70%の固形物を含む)を得た。
【0031】
製造例6 ザクロ果汁
圧搾法にて調製された市販の濃縮ザクロ果汁(Brix65)を用いた。
【0032】
製造例7 ザクロ果汁の発酵液
市販の濃縮ザクロ果汁(Brix65)を、水で希釈してBrix15に濃度調整し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH5に調整した。調整液500gにラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌(漬物由来)の種菌を加えた。30℃にて2日間発酵してろ過し、ザクロ果汁の発酵物450gを得た。
【0033】
製造例8 ザクロ果汁の発酵液
市販の濃縮ザクロ果汁(Brix65)を、水で希釈してBrix11に濃度調整し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH4.5に調整した。調整液500gにラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌(漬物由来)の種菌を加えた。30℃にて2日間発酵してろ過し、ザクロ果汁の発酵物450gを得た。
【0034】
製造例9 ザクロ果汁の発酵液
市販の濃縮ザクロ果汁(Brix65)を、水で希釈してBrix8に濃度調整し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH4.5に調整した。調整液500gにラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌(漬物由来)の種菌を加えた。30℃にて2日間発酵してろ過し、ザクロ果汁の発酵物450gを得た。
【0035】
製造例10 ザクロ果汁の発酵液
市販の濃縮ザクロ果汁(Brix65)を、水で希釈してBrix5に濃度調整し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH4.5に調整した。調整液500gにラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌(漬物由来)の種菌を加えた。30℃にて2日間発酵してろ過し、ザクロ果汁の発酵物450gを得た。
【0036】
製造例11 ザクロ果汁の発酵液
製造例8のザクロ果汁の発酵物210gに1,3−ブチレングリコール90gを加えてろ過し、ザクロ果汁の発酵物280gを得た。
【実施例2】
【0037】
以下に、ユウガオエキス、及びザクロエキスを用いた処方例を示す。
【0038】
処方例1 化粧水
(成分) (重量%)
1.ユウガオエキス(製造例2) 0.5
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜6及び11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
【0039】
比較例1 従来の化粧水
処方例1において、ユウガオエキス(製造例2)を精製水に置き換えたものを従来の化粧水とした。
【実施例3】
【0040】
処方例2 乳液A
(成分) (重量%)
1.ユウガオエキス(製造例4) 0.5
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1、及び10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0041】
比較例2 従来の乳液
処方例2において、ユウガオエキス(製造例4)を精製水に置き換えたものを従来の乳液とした。
【実施例4】
【0042】
処方例3 クリーム
(成分) (重量%)
1.ユウガオエキス(製造例1) 0.5
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.1,3−ブチレングリコール 8.5
14.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1、及び11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【0043】
比較例3 従来のクリーム
処方例3において、ユウガオエキス(製造例1)を精製水に置き換えたものを従来のクリームとした。
【実施例5】
【0044】
処方例4 ゲル剤
(成分) (重量%)
1.ユウガオエキス(製造例5) 0.5
2.エタノール 5.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
5.香料 適量
6.1,3−ブチレングリコール 5.0
7.グリセリン 5.0
8.キサンタンガム 0.1
9.カルボキシビニルポリマー 0.2
10.水酸化カリウム 0.2
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜5と、成分1及び6〜11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
【実施例6】
【0045】
処方例5 浴用剤
(成分) (重量%)
1.ユウガオエキス(製造例2) 1.0
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号(1) 適量
4.香料 適量
5.硫酸ナトリウムにて全量を100とする
[製造方法]成分1〜5を均一に混合し製品とする。
【実施例7】
【0046】
処方例6 錠剤
(成分) (重量%)
1.ユウガオエキス(製造例1) 5.0
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 20.0
4.微結晶セルロース 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
[製造方法]成分1〜4を混合し、次いで成分5の水溶液を結合剤として加えて顆粒成型する。成型した顆粒に成分6を加えて打錠する。1錠0.52gとする。
【実施例8】
【0047】
処方例7 錠菓
(成分) (重量%)
1.ユウガオエキス(製造例2) 2.0
2.乾燥コーンスターチ 49.8
3.エリスリトール 40.0
4.クエン酸 5.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 3.0
6.香料 0.1
7.精製水 0.1
[製造方法]成分1〜4及び7を混合し、顆粒成型する。成型した顆粒に成分5及び6を加えて打錠する。1粒1.0gとする。
【実施例9】
【0048】
処方例8 乳液B
(成分) (重量%)
1.ユウガオエキス(製造例4) 0.5
2.ザクロ発酵液(製造例11) 0.5
3.スクワラン 5.0
4.オリーブ油 5.0
5.ホホバ油 5.0
6.セタノール 1.5
7.モノステアリン酸グリセリン 2.0
8.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
9.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
10.香料 0.1
11.プロピレングリコール 1.0
12.グリセリン 2.0
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分3〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1〜2、及び11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【実施例10】
【0049】
処方例9 乳液C
(成分) (重量%)
1.ザクロ果汁の発酵液(製造例11) 0.5
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1、及び10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
【実施例11】
【0050】
以下、本発明を効果的に説明するために、実験例を挙げる。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0051】
実験例1 カテプシンV活性測定1
カテプシンVの酵素活性促進効果を下記の条件にて測定した。
【0052】
カテプシンVの酵素反応は、50ngヒト組み換えカテプシンVタンパク質(R&D社)、基質として9μM(最終濃度)Z−Leu−Arg−7−Amino, 4−Methyl Coumarin(R&D社)、及び10μg/ml(最終濃度)のユウガオエキスの試料を含む110μlの反応緩衝液(25mM Sodium Acetate、0.1M NaCl、5mM dithiothreitol、pH5.5)中、37℃の条件で行った。蛍光プレートリーダーSpectraMax Gemini EM(Molecular Device社)にて酵素反応中における反応生成物(7−Amino, 4−Methyl Coumarin)量を測定した。
【0053】
試験結果を表1に示した。未添加条件におけるカテプシンV酵素活性は57.6pmol/min・μg酵素であった。一方、ユウガオエキス添加条件におけるカテプシンV酵素活性は80.6pmol/min・μg酵素であり、未添加条件に比べ140%となり、ユウガオエキスにカテプシンVの酵素活性を促進させる作用があることが示された。
【0054】
ユウガオエキスのカテプシンV活性促進効果
【表1】
【0055】
実験例2 カテプシンV活性測定2
カテプシンVの酵素活性促進効果を下記の条件にて測定した。
【0056】
カテプシンVの酵素反応は、被験者の頬部より毛穴除去シートにて採取した角栓の超音波破砕物を酵素源とした。140μgの角栓超音波破砕物、基質として9μM(最終濃度)Z−Leu−Arg−7−Amino, 4−Methyl Coumarin(R&D社)、及びユウガオエキス、又はキュウリエキスを含む110μlの反応緩衝液(25mM Sodium Acetate、0.1M NaCl、5mM dithiothreitol、pH5.5)中、37℃の条件で行った。蛍光プレートリーダーSpectraMax Gemini EM(Molecular Device社)にて酵素反応中における反応生成物(7−Amino, 4−Methyl Coumarin)量を測定した。尚、キュウリエキスは、キュウリエキスを0.2%含む一丸ファルコス社製のキューカンバーオーガニックを目的の濃度に希釈して用いた。
【0057】
試験結果を表2に示した。未添加条件におけるカテプシンV酵素活性は0.105pmol/min・μgタンパク質であった。一方、ユウガオエキス添加条件におけるカテプシンV酵素活性はユウガオエキスを1.0μg/ml添加した場合0.117pmol/min・μgタンパク質、10.0μg/ml添加した場合0.138pmol/min・μgタンパク質、100.0μg/ml添加した場合0.142pmol/min・μgタンパク質であり、未添加条件に比べそれぞれ、112、132、135%となり、ユウガオエキスには角栓中に含まれるカテプシンVの酵素活性を促進させる作用を有することが示された。また、キュウリエキス添加条件におけるカテプシンV酵素活性は、0.096pmol/min・μgタンパク質であり、未添加条件に比べ91%、同濃度のユウガオエキス添加条件に比べ68%となり、ユウガオエキスによるカテプシンV活性促進作用の特異性が確認された。
【0058】
ユウガオエキス、及びキュウリエキスの角栓中のカテプシンV活性に対する影響
【表2】
【0059】
実験例3 連用試験1
ユウガオエキスを含有した乳液Aの処方例2及び比較例2を用いて、20代〜50代の男性、及び女性被験者8名を対象に1ヵ月間の連用試験を行った。被験者には有効成分の有無を告知しない、ブラインドテストとし、被験者の一方の半顔頬部に有効成分含有の処方例2を、他方の半顔頬部に比較例2を連用させるハーフサイドテストとし、1日2回、朝、晩、1ヶ月間連用させた。連用前と連用1ヶ月後のそれぞれにおいて頬部を対象に、角栓形成の指標であるポルフィリン蛍光を測定した。また、同時に頬部のレプリカをレプリカ剤SILFLO(FLEXICO社)にて採取し、レプリカを用いた毛穴面積率の算出を行った。
【0060】
角栓の指標であるポルフィリン量は、角栓スコープCharm View(モリテックス社)を用いて頬部の紫外線画像を取得し、画像をガウスフィルターにて平滑化後、二値化を行い、白画素として検出される蛍光部位のピクセル数を定量することで得た。有効成分であるユウガオエキスを含む処方例2を連用させた側では、比較例2を連用させた側よりもポルフィリン蛍光(ピクセル数)が減少し、群間差が認められたことから(p<0.05)、ユウガオエキスによる角栓分解作用が示された(表3)。
【0061】
頬部のポルフィリン蛍光の変化量(ピクセル数)
【表3】
【0062】
頬部より採取したレプリカは実体顕微鏡下において、光源入射角を30度に設定して撮影した。得られた画像に対し、気泡等によるノイズの軽減処理を加え、二値化により得られた毛孔について、面積率を計測し、使用前に対する変化量を算出した。その結果、有効成分であるユウガオエキスを含む処方例2を連用させた側では、比較例2を連用させた側よりも毛穴面積率が減少し、群間差が認められたことから(p<0.05)、ユウガオエキスによる毛穴の目立ちの改善効果が示された(表4)。
【0063】
頬部の毛穴面積率の変化
【表4】
【0064】
実験例4 連用試験2
ユウガオエキスを含有した処方例2(乳液A)、処方例2に0.5%のザクロ果汁の発酵液を加えた処方例8(乳液B)、及びザクロ果汁の発酵液を含有した処方例9(乳液C)を用いて、20代〜40代の女性被験者18名を対象に1ヶ月間の連用試験を行った。被験者には有効成分の有無を告知しない、ブラインドテストとし、被験者の全顔にいずれかの処方を連用させ、1日2回、朝、晩、1ヶ月間連用させた。連用前と連用1ヶ月後のそれぞれで、全顔撮影診断装置VISIA(Canfield Scientific社)を用いて撮影し測定した頬部における毛穴の目立ちを示す毛穴スコアを用いて評価した。
【0065】
VISIAにて算出された毛穴スコアは、ユウガオエキスとザクロ果汁の発酵液を両方とも含有した処方例8を連用させた場合では、ユウガオエキスを含有した処方例2やザクロ果汁の発酵液を含有した処方例9を連用させた場合よりも毛穴スコアの顕著な減少が見られたことから(p<0.05)、ユウガオエキスだけ、又はザクロ果汁の発酵液だけよりもユウガオエキスとザクロ発酵液を使用した方がより毛穴の目立ちが著しく改善される効果が示された(表5)。
【0066】
頬部の毛穴スコアの変化
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、角栓構成タンパク質の局在に基づき明らかとなった、角栓内部に局在するカテプシンVの活性を促進させることで角栓の分解を促進できる、角栓分解促進剤、カテプシンV活性促進剤、及び毛穴の目立ちの改善剤を提供できる。