特許第6646592号(P6646592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646592
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】ピンチ流動調整器
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/07 20060101AFI20200203BHJP
   F16K 7/04 20060101ALI20200203BHJP
   F16K 31/365 20060101ALI20200203BHJP
【FI】
   F16K7/07 A
   F16K7/07 Z
   F16K7/04 A
   F16K31/365
【請求項の数】34
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-574000(P2016-574000)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公表番号】特表2017-518471(P2017-518471A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】US2015036071
(87)【国際公開番号】WO2015195692
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年6月1日
(31)【優先権主張番号】62/013,471
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, ジョナサン
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第00870257(GB,A)
【文献】 特開平09−032952(JP,A)
【文献】 特公昭43−028174(JP,B1)
【文献】 英国特許出願公開第02152197(GB,A)
【文献】 特開2003−254459(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0280702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/04−7/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブであって、
下方キャビティを画定するハウジング基部であって、前記ハウジング基部は、前記下方キャビティ内のピンチ構造体と、前記下方キャビティへの外部アクセスを提供するガス入口と、基部流体入口と、基部流体出口とを備えるハウジング基部と、
上方キャビティを画定するハウジングカバーであって、前記ハウジングカバーは、カバー流体入口とカバー流体出口とを備え、前記カバー流体入口は、前記上方キャビティと前記下方キャビティとの間で前記基部流体出口と流体連通し、前記カバー流体出口は前記上方キャビティからの外部アクセスを提供する、ハウジングカバーと、
前記ハウジング基部と前記ハウジングカバーとの間に配置されたダイヤフラムであって、前記ダイヤフラムは、前記下方キャビティを前記上方キャビティから流体的に分離する、ダイヤフラムと、
前記下方キャビティ内に配置されたピンチプレートであって、前記ピンチプレートは、前記ピンチ構造体の反対側に配置されピンチ点を備え、前記ダイヤフラムは、前記上方キャビティ内の流体圧力と前記下方キャビティ内のガス圧力との間の差に応答して、前記ピンチ点を前記ピンチ構造体に対して移動させる、ピンチプレートと、
前記下方キャビティ内で前記基部流体入口と前記基部流体出口との間で流体連通するピンチチューブであって、前記ピンチチューブは、前記ピンチ構造体と前記ピンチ点との間に延在する、ピンチチューブ
を備える、バルブ。
【請求項2】
システムであって、前記システムは、
なくとも2つのリザーバであって、前記少なくとも2つのリザーバの各リザーバは、試薬溶液を含む、少なくとも2つのリザーバと、
前記少なくとも2つのリザーバのそれぞれと流体連通する流体通路と、
センサ流体入口とセンサ流体出口とを含バイオセンサであって、前記バイオセンサの前記センサ流体入口は、前記流体通路と流体連通する、バイオセンサと、
前記バイオセンサの前記センサ流体出口と流体連通するバルブ
を備え
前記バルブは、
下方キャビティを画定するハウジング基部であって、前記ハウジング基部は、前記下方キャビティ内のピンチ構造体と、前記下方キャビティへの外部アクセスを提供するガス入口と、基部流体入口と、基部流体出口とを備えるハウジング基部と、
上方キャビティを画定するハウジングカバーであって、前記ハウジングカバーは、カバー流体入口とカバー流体出口とを備え、前記カバー流体入口は、前記上方キャビティと前記下方キャビティとの間で前記基部流体出口と流体連通し、前記カバー流体出口は前記上方キャビティからの外部アクセスを提供する、ハウジングカバーと、
前記ハウジング基部と前記ハウジングカバーとの間に配置されたダイヤフラムであって、前記ダイヤフラムは、前記下方キャビティを前記上方キャビティから流体的に分離する、ダイヤフラムと、
前記下方キャビティ内に配置されたピンチプレートであって、前記ピンチプレートは、前記ピンチ構造体の反対側に配置されるピンチ点を備え、前記ダイヤフラムは、前記上方キャビティ内の流体圧力と前記下方キャビティ内のガス圧力との間の差に応答して、前記ピンチ点を前記ピンチ構造体に対して移動させる、ピンチプレートと、
前記下方キャビティ内で前記基部流体入口と前記基部流体出口との間で流体連通するピンチチューブであって、前記ピンチチューブは、前記ピンチ構造体と前記ピンチ点との間に延在する、ピンチチューブ
を備える、システム。
【請求項3】
前記ダイヤフラムは、前記下方キャビティ内の前記ガス圧力に対する前記上方キャビティ内の前記流体圧力の増加に応答して、前記ピンチ点を前記ピンチ構造体に向かって移動させることにより、前記ピンチチューブ内の流体の流動を制限する、請求項1〜2のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項4】
前記ピンチプレート接触し、かつ、前記ピンチプレートに横方向支持を提供す弾性構造体をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項5】
前記弾性構造体は、バネを含む、請求項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項6】
前記ピンチプレートは、前記ピンチプレートの横方向の両側に位置付けられ少なくとも1対の支柱を含み、前記弾性構造体は、前記少なくとも1対の支柱に係合して前記横方向支持を提供する、請求項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項7】
前記ハウジングカバーは前記上方キャビティと流体連通する流体通路をさらに画定する、請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項8】
前記流体通路は、横方向チャネルと円形チャネルとを画定する、請求項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項9】
前記円形チャネルは、複数の溝付垂直チャネルを画定する、請求項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項10】
前記横方向チャネルは、内部アイランドを画定する、請求項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項11】
前記内部アイランドは、複数の溝付垂直チャネルを画定する、請求項10に記載のバルブまたはシステム。
【請求項12】
前記上方キャビティ内に配置された圧力分散体であって、前記円形チャネルおよび前記横方向チャネルの上に配置され圧力分散体をさらに備え、れにより前記流体通路と前記圧力分散体との間の流体連通が可能となる、請求項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項13】
前記圧力分散体は、前記円形チャネルおよび前記横方向チャネルの一部分の上に配置されている、請求項12に記載のバルブまたはシステム。
【請求項14】
前記流体通路は、前記圧力分散体を保持するための陥凹部を画定する、請求項12に記載のバルブまたはシステム。
【請求項15】
前記ダイヤフラムは、前記流体通路に侵入することを防止するための圧力分散体をさらに備える、請求項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項16】
前記ハウジングカバーは前記カバー流体入口および前記カバー流体出口から延在する螺旋状構成を有する流体通路をさらに画定する、請求項1〜15のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項17】
前記ハウジングカバーは上方キャビティに開放されている下方領域を有する流体通路をさらに画定する、請求項16に記載のバルブまたはシステム。
【請求項18】
流体通路と前記ダイヤフラムとの間で前記上方キャビティ内に配置され圧力分散体をさらに備え、前記流体通路は、前記カバー流体入口と前記カバー流体出口との間で前記上方キャビティ内に画定される、請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項19】
前記圧力分散体は、フィルタを含む、請求項18に記載のバルブまたはシステム。
【請求項20】
前記フィルタは、焼結金属フィルタを含む、請求項19に記載のバルブまたはシステム。
【請求項21】
前記圧力分散体は、前記ダイヤフラムと前記流体通路との間に配置され膜を含む、請求項19に記載のバルブまたはシステム。
【請求項22】
前記膜は前記流体通路に対応する複数の開口部をさらに画定し、前記複数の開口部は、前記流体通路と前記ダイヤフラムの表面との間の流体連通を提供する、請求項21に記載のバルブまたはシステム。
【請求項23】
前記ハウジング基部と前記ハウジングカバーとの間に配置されガスケットをさらに備える、請求項1〜22のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項24】
前記基部流体出口および前記カバー流体入口は、前記ガスケットを通じて流体連通する、請求項23に記載のバルブまたはシステム。
【請求項25】
前記基部流体出口および前記カバー流体入口は、前記ダイヤフラムを通じて流体連通する、請求項24に記載のバルブまたはシステム。
【請求項26】
前記ハウジングカバーは、前記ハウジングカバーを前記ハウジング基部に固定する固定具を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項27】
流体通路と前記ダイヤフラムとの間で前記上方キャビティ内に配置された圧力分散体をさらに備え、前記流体通路は、前記カバー流体入口と前記カバー流体出口との間で前記上方キャビティ内に画定され、前記ハウジングカバーは、前記ハウジングカバーを前記ハウジング基部に固定する固定具を含み、前記圧力分散体は、前記固定具の形状に対応する突出部を画定する請求項1〜6のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項28】
前記ハウジングカバーは前記上方キャビティと流体連通する流体通路をさらに画定し、前記流体通路は、前記ハウジングカバーの表面に形成される請求項1〜のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項29】
前記流体通路は複数の開口部をさらに画定し、前記流体通路および前記ダイヤフラムは、前記複数の開口部を通じて流体連通する、請求項28に記載のバルブまたはシステム。
【請求項30】
前記流体通路を覆う流体通路カバーをさらに備える、請求項28に記載のバルブまたはシステム。
【請求項31】
前記流体通路カバーと前記流体通路との間に配置されガスケットをさらに備える、請求項30に記載のバルブまたはシステム。
【請求項32】
前記カバー流体出口における流体圧力は、前記基部流体入口における流体圧力に対する前記ガス圧力の第1の範囲については、前記下方キャビティにおける前記ガス圧力に直線的に反応する、請求項1〜31のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
【請求項33】
前記第1の範囲は、前記基部流体入口における前記流体圧力に対する前記ガス圧力の0%〜90%である、請求項32に記載のバルブまたはシステム。
【請求項34】
流体の流れを制御する方法であって、
バルブのガス入口にガス圧力を印加することであって、前記バルブは、
下方キャビティを画定するハウジング基部であって、前記ハウジング基部は、前記下方キャビティ内のピンチ構造体と、前記下方キャビティへの外部アクセスを提供するガス入口と、基部流体入口と、基部流体出口とを備えるハウジング基部と、
上方キャビティを画定するハウジングカバーであって、前記ハウジングカバーは、カバー流体入口とカバー流体出口とを備え、前記カバー流体入口は、前記上方キャビティと前記下方キャビティとの間で前記基部流体出口と流体連通し、前記カバー流体出口は前記上方キャビティからの外部アクセスを提供する、ハウジングカバーと、
前記ハウジング基部と前記ハウジングカバーとの間に配置されたダイヤフラムであって、前記ダイヤフラムは、前記下方キャビティを前記上方キャビティから流体的に分離する、ダイヤフラムと、
前記下方キャビティ内に配置されたピンチプレートであって、前記ピンチプレートは、前記ピンチ構造体の反対側に配置されピンチ点を備え、前記ダイヤフラムは、前記上方キャビティ内の流体圧力と前記下方キャビティ内のガス圧力との間の差に応答して、前記ピンチ点を前記ピンチ構造体に対して移動させる、ピンチプレートと、
前記下方キャビティ内で前記基部流体入口と前記基部流体出口との間で流体連通するピンチチューブであって、前記ピンチチューブは、前記ピンチ構造体と前記ピンチ点との間に延在する、ピンチチューブ
を備えることと、
流体を前記基部流体入口に印加すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、流体流動制御の分野に関し、特に、ピンチバルブ調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来的なバルブは、異なる用途において流体の圧力及び流動を調整するために使用されている。センサアレイを含むフローセルを通して試薬の流動を誘導する流体システムといった一部の用途では、流体の圧力を調整するために、内径の小さな長いチューブが用いられている。これらのシステムでは、フローセル及びセンサアレイから出た後に試薬を廃棄するために、長いチューブと複数のバルブが従来的に用いられている。しかしながら、チューブの長さが増大すると、チューブ内での詰まりの可能性が増え、所望される正確さで長いチューブを製造する費用も同様に高くなる。加えて、そのようなチューブの内径のばらつきは、流体の流動を制御する際の正確さの低下をもたらし、また流体流動システムの較正を行うことが困難になる。上記のことを踏まえると、現行のアプローチの欠点を克服する、流体流動調整のためのデバイスを有することが有利であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
流体流動を制御するための方法及びデバイス、例えば、制御ガス圧力に対して線形応答を有する固定流量を得るための方法及びデバイスが、記載される。様々な実装形態において、本方法またはデバイスは、例えば、流体連通にあるセンサを含む、化学的または生物学的システムにおいて、センサの内外に流体流動を提供するための正確かつ一定な流体流動を提供するために用いることができる。本方法またはデバイスは、多数の実装形態で例示され、その一部が下記及び本明細書を通して要約されている。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
バルブであって、
下方キャビティを画定し、前記下方キャビティ内のピンチ構造体と、前記下方キャビティへの外部アクセスを提供するガス入口と、基部流体入口と、基部流体出口とを備えるハウジング基部と、
上方キャビティを画定し、カバー流体入口とカバー流体出口とを備え、前記カバー流体入口が前記上方キャビティと前記下方キャビティとの間で前記基部流体出口と流体連通にあり、前記カバー流体出口は前記上方キャビティからの外部アクセスを提供する、ハウジングカバーと、
前記ハウジング基部と前記ハウジングカバーとの間に配置され、前記下方キャビティを前記上方キャビティから流体的に分離する、ダイヤフラムと、
前記下方キャビティ内に配置され、前記ピンチ構造体の反対側に配置されるピンチ点を備える、ピンチプレートと、
前記下方キャビティ内で前記基部流体入口と前記基部流体出口との間で流体連通にあり、前記ピンチ構造体と前記ピンチ点との間に延在する、ピンチチューブと、を備える、バルブ。
(項目2)
各リザーバが試薬溶液を含む、少なくとも2つのリザーバと、
前記少なくとも2つのリザーバのそれぞれと流体連通にある、流体通路と、
センサ流体入口とセンサ流体出口とを含む、バイオセンサであって、前記バイオセンサの前記センサ流体入口が前記流体通路と流体連通にある、バイオセンサと、
前記バイオセンサの前記センサ流体出口と流体連通にある、バルブと、を備え、前記バルブが、
下方キャビティを画定し、前記下方キャビティ内のピンチ構造体と、前記下方キャビティへの外部アクセスを提供するガス入口と、基部流体入口と、基部流体出口とを備えるハウジング基部と、
上方キャビティを画定し、カバー流体入口とカバー流体出口とを備え、前記カバー流体入口が前記上方キャビティと前記下方キャビティとの間で前記基部流体出口と流体連通にあり、前記カバー流体出口は前記上方キャビティからの外部アクセスを提供する、ハウジングカバーと、
前記ハウジング基部と前記ハウジングカバーとの間に配置され、前記下方キャビティを前記上方キャビティから流体的に分離する、ダイヤフラムと、
前記下方キャビティ内に配置され、前記ピンチ構造体の反対側に配置されるピンチ点を備える、ピンチプレートと、
前記下方キャビティ内で前記基部流体入口と前記基部流体出口との間で流体連通にあり、前記ピンチ構造体と前記ピンチ点との間に延在する、ピンチチューブと、を備える、システム。
(項目3)
前記ダイヤフラムが、前記上方キャビティ内の流体圧力と前記下方キャビティ内のガス圧力との間の差に応答して、前記ピンチ点を前記ピンチ構造体に対して移動させる、請求項1または項目2に記載のバルブまたはシステム。
(項目4)
前記ダイヤフラムが、前記下方キャビティ内の前記ガス圧力に対する前記上方キャビティ内の前記流体圧力の増加に応答して、前記ピンチ点を前記ピンチ構造体に向かって移動させて、前記ピンチチューブ内の流体の流動を制限する、項目3に記載のバルブまたはシステム。
(項目5)
前記ピンチプレートと接触し、そこに横方向支持を提供する、弾性構造体をさらに備える、項目1〜4のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目6)
前記弾性構造体が、バネを含む、項目5に記載のバルブまたはシステム。
(項目7)
前記ピンチプレートが、前記ピンチプレートの横方向の両側に位置付けられる少なくとも1対の支柱を含み、前記弾性構造体が前記少なくとも1対の支柱に係合して前記横方向支持を提供する、項目5に記載のバルブまたはシステム。
(項目8)
前記ハウジングカバーはさらに、前記上方キャビティと流体連通にある流体通路を画定する、項目1〜7のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目9)
前記流体通路は、横方向チャネルと円形チャネルとを画定する、項目8に記載のバルブまたはシステム。
(項目10)
前記円形チャネルは、複数の溝付垂直チャネルを画定する、項目9に記載のバルブまたはシステム。
(項目11)
前記横方向チャネルは、内部アイランドを画定する、項目9に記載のバルブまたはシステム。
(項目12)
前記内部アイランドは、複数の溝付垂直チャネルを画定する、項目11に記載のバルブまたはシステム。
(項目13)
前記上方キャビティ内に配置され、前記円形チャネル及び前記横方向チャネルの上に配置される圧力分散体をさらに備え、それにより前記流体通路と前記圧力分散体との間の流体連通が可能となる、項目9に記載のバルブまたはシステム。
(項目14)
前記圧力分散体が、前記円形チャネル及び前記横方向チャネルの一部分の上に配置される、項目13に記載のバルブまたはシステム。
(項目15)
前記流体通路は、圧力分散体を保持するための陥凹部を画定する、項目8に記載のバルブまたはシステム。
(項目16)
前記ダイヤフラムが前記流体通路に侵入することを防止するための圧力分散体をさらに備える、項目8に記載のバルブまたはシステム。
(項目17)
前記ハウジングカバーはさらに、前記カバー流体入口及び前記カバー流体出口から延在する螺旋状構成を有する流体通路を画定する、項目1〜16のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目18)
前記ハウジングカバーはさらに、上方キャビティに開放されている下方領域を有する流体通路を画定する、項目17に記載のバルブまたはシステム。
(項目19)
前記上方キャビティ内に配置される圧力分散体をさらに備える、項目1〜18のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目20)
前記圧力分散体が、フィルタを含む、項目19に記載のバルブまたはシステム。
(項目21)
前記フィルタが、焼結金属フィルタを含む、項目20に記載のバルブまたはシステム。
(項目22)
前記圧力分散体が、前記ダイヤフラムと前記流体通路との間に配置される膜を含む、請求項20に記載のバルブまたはシステム。
(項目23)
前記膜はさらに、前記流体通路に対応する複数の開口部を画定し、前記開口部が、前記流体通路と前記ダイヤフラムとの間の流体連通を提供する、項目22に記載のバルブまたはシステム。
(項目24)
前記ハウジング基部と前記ハウジングカバーとの間に配置されるガスケットをさらに備える、項目1〜23のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目25)
前記基部流体出口及び前記カバー流体入口が、前記ガスケットを通じて流体連通にある、項目1〜24のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目26)
前記基部流体出口及び前記カバー流体入口が、前記ダイヤフラムを通じて流体連通にある、項目1〜25のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目27)
前記ハウジングカバーが、前記ハウジングカバーを前記ハウジング基部に固定する固定具を含む、項目1〜26のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目28)
前記固定具の形状に対応する突出部を画定する圧力分散体をさらに備える、項目27に記載のバルブまたはシステム。
(項目29)
前記ハウジングカバーはさらに、前記上方キャビティと流体連通にある流体通路を画定し、前記ハウジングカバーの表面に形成される前記流体通路が、前記上方キャビティを画定する前記ハウジングカバーの表面とは反対側に配置される、項目1〜28のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目30)
前記流体通路はさらに、複数の開口部を画定し、前記流体通路及び前記ダイヤフラムは、前記複数の開口部を通じて流体連通にある、項目29に記載のバルブまたはシステム。
(項目31)
前記流体通路を覆う流体通路カバーをさらに含む、項目29に記載のバルブまたはシステム。
(項目32)
前記流体通路カバーと前記流体通路との間に配置されるガスケットをさらに備える、請求項31に記載のバルブまたはシステム。
(項目33)
前記カバー流体出口における流体圧力が、前記基部流体入口における流体圧力に対する前記ガス圧力の第1の範囲については、前記下方キャビティにおけるガス圧力に直線的に反応する、項目1〜32のいずれか1項に記載のバルブまたはシステム。
(項目34)
前記第1の範囲が、前記基部流体入口における前記流体圧力に対して0%〜90%の前記ガス圧力である、項目33に記載のバルブまたはシステム。
(項目35)
流体の流れを制御する方法であって、
バルブのガス入口にガス圧力を印加することであって、前記バルブが、
下方キャビティを画定し、前記下方キャビティ内のピンチ構造体と、前記下方キャビティへの外部アクセスを提供するガス入口と、基部流体入口と、基部流体出口とを備えるハウジング基部と、
上方キャビティを画定し、カバー流体入口とカバー流体出口とを備え、前記カバー流体入口が前記上方キャビティと前記下方キャビティとの間で前記基部流体出口と流体連通にあり、前記カバー流体出口は前記上方キャビティからの外部アクセスを提供する、ハウジングカバーと、
前記ハウジング基部と前記ハウジングカバーとの間に配置され、前記下方キャビティを前記上方キャビティから流体的に分離する、ダイヤフラムと、
前記下方キャビティ内に配置され、前記ピンチ構造体の反対側に配置されるピンチ点を備える、ピンチプレートと、
前記下方キャビティ内で前記基部流体入口と前記基部流体出口との間で流体連通にあり、前記ピンチ構造体と前記ピンチ点との間に延在する、ピンチチューブと、を備える、印加することと、
流体を前記基部流体入口に印加することと、を含む、方法。
(項目36)
さらに、
前記基部流体入口に印加される前記流体の前記圧力と、前記バルブの前記ガス入口に印加される前記ガス圧力と、を測定することと、
前記バルブの前記カバー流体出口の上流に提供される第2のバルブを閉めることと、
前記ガス圧力を印加するガス圧力源を、前記ガス入口に印加される前記ガス圧力から分離することと、
前記下方キャビティ内の前記分離した印加ガス圧力を測定することと、
前記測定した分離した印加ガス圧力及び前記下方キャビティの初期体積に基づいて、前記バルブに連結されたシステムの抵抗を判定することと、
前記システムの前記判定した抵抗に基づいて、流体流量を判定することと、を含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
さらに、
前記基部流体入口に連結された加圧チャンバの第1のヘッドスペース体積、前記基部流体入口に印加された前記流体の前記圧力、及び前記バルブの前記ガス入口に印加される前記ガス圧力を測定することと、
前記チャンバへの加圧を停止することと、
前記チャンバの第2の圧力及び第2のヘッドスペース体積を測定することと、
前記測定した第1のヘッドスペース体積、前記第2のヘッドスペース体積、前記流体圧力、及び前記第2の圧力に基づいて、前記バルブに連結されたシステムの抵抗を判定することと、
前記判定した前記システムの抵抗に基づいて流体流量を判定することと、を含む、請求項36に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明を理解し、実際にどのように実行することができるかを理解するために、これより、非限定的な例示として、添付の図面を参照していくつかの実装形態について記載する。
【0005】
図1】例示的なバルブを示す分解概略図である。
図2】例示的なバルブを示す断面概略図である。
図3A】例示的なバルブを示す断面概略図である。
図3B】例示的なバルブを示す断面概略図である。
図4】例示的なバルブを示す概略図である。
図5】例示的なバルブを示す分解概略図である。
図6】例示的なバルブを示す分解概略図である。
図7A】例示的なバルブを示す分解概略図である。
図7B】例示的な組み立て済みのバルブを示す斜視図である。
図7C】例示的な流体通路を示す斜視図である。
図7D】例示的な流体通路を示す詳細な斜視図である。
図7E】例示的なバルブを示す平面図である。
図8A】例示的な組み立て済みのバルブを示す斜視図である。
図8B】例示的な流体通路を示す平面図である。
図8C】例示的な流体通路を示す斜視図である。
図8D】例示的な流体通路カバーを示す斜視図である。
図8E】例示的な組み立て済みのハウジングカバーを示す断面図である。
図9】例示的なバルブの性能を示すグラフである。
図10】例示的なシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
これより、実装形態を詳細に参照し、それらの例は、添付の図面において例示される。以下の詳細な説明において、多数の具体的な詳細は、本明細書に提示される主題の十分な理解を提供するために記載される。しかしながら、本主題がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。さらに、本明細書に記載される特定の実装形態は、例示として提供されるものであり、本発明の範囲をこれらの特定の実装形態に限定するために用いられるものではない。他の事例では、周知の構造及び構成要素は詳細に記載されていないが、これは、本発明の実装形態の態様を不必要に不明瞭にしないためである。
【0007】
システムには、システム内での試薬の流動を制御するためのピンチバルブ調整器が含まれる。具体的には、ピンチバルブ調整器は、低流量に調整された流動を提供することができ、特に、流出液の流量調整における用途が見出されている。あるいは、ピンチバルブ調整器は、入口流動内、またはシステム内の他の流体流動の経路に配置することもできる。そのような調整された低流量は、高価な試薬を用いる化学的及び生物学的システムで特に有用である。例えば、ピンチバルブ調整器は、増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)もしくはリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA))、シークエンシング、合成、またはこれらの組み合わせのためのシステムといった、ヌクレオチド試薬溶液を組み込む生物学的システムでの用途を見出し得る。具体的には、そのようなピンチバルブ調整器は、1種類以上のヌクレオチドまたはその類似体を含む試薬の流動を制御することにおける用途を有する。そのような試薬は、例えば、合成によるシークエンシングに使用され得る。
【0008】
図1は、例示的なピンチバルブ調整器100の分解概略図を示す。バルブ100は、ハウジング基部110と基部110の上に配置されるハウジングカバー120を含む。ダイヤフラム130が、ハウジング基部110とハウジングカバー120との間に配置される。ピンチプレート140が、ダイヤフラム130と基部110との間に配置される。動作時には、ピンチプレート140が、ハウジング基部110に対して移動して、ピンチチューブ150をピンチ構造体(図2、3A、及び3Bにより明瞭に示される)に対して挟み、ピンチチューブ150を通る流体の流動を制限する。流体の漏れを防止し、円滑なバルブ操作を確保するために、1つ以上のガスケット160、170が、ハウジング基部110とハウジングカバー120との間に配置されてもよい。
【0009】
図2は、例示的なピンチバルブ調整器の断面概略図を示す。バルブ200は、ハウジング基部210と基部210の上に配置されるハウジングカバー220とを含む。ハウジング基部210は、下方キャビティ212と下方キャビティ212内に突出するピンチ構造体214とを含む。ハウジング基部210は、ガス入口230を含み、下部キャビティ212への外部アクセスを提供している。基部流体入口232により、下部キャビティ212内でピンチチューブ240の一端に接続された外部アクセス経路が提供される。ピンチチューブ240の他端は、基部流体出口234に接続されている。したがって、ピンチチューブ240は、基部流体入口232と基部流体出口234との間の流体連通を提供する。ピンチチューブ240は、ピンチ構造体214とピンチプレート250のピンチ点252との間に延在している。
【0010】
一例では、ピンチ構造体214には、下方キャビティ212に延在する矩形の柱体が含まれる。示されるように、丸みを帯びた先端部としての矩形の柱体。別の例では、矩形の柱体は、平坦な先端部を有してもよい。あるいは、柱体は、三角形の柱体(prims)等、尖端が鋭利な構造を有してもよい。一般には、ピンチ構造体214は、ピンチ点252がピンチチューブ240を固定しそれを押すことができる、反対側の構造を形成する。
【0011】
基部流体出口234は上方キャビティと下方キャビティとの間のカバー流体入口236に接続され、それとの流体連通をもたらし、ハウジング基部210及びハウジングカバー220を通じた流体通路が提供される。カバー流体入口236は、流体通路270を介してカバー流体出口238と流体連通にある。カバー流体出口238は、ハウジングカバー220から流体通路270への外部アクセスを提供する。ダイヤフラム260は、下方キャビティ212を、カバー220とダイヤフラム260との間に画定される上方キャビティ222から流体的に分離するように、ハウジング基部210とハウジングカバー220との間に配置される。
【0012】
ハウジングカバー220には、上方キャビティ222が画定され、ここに、流体通路270が配置される。場合によっては、ガスケット280に、下方キャビティ212の一部または上方キャビティ222の一部が画定されてもよい。ピンチプレート250は、ハウジングカバー220またはガスケット280によって画定されるキャビティ領域内に配置され得る。基部流体出口234とカバー流体入口236は、ガスケット280及びダイヤフラム260を通じて流体連通にある。あるいは、基部流体出口234とカバー流体入口236とが、ハウジング基部210またはハウジングカバー220の外部で流体的に接続されてもよい。ダイヤフラム260は、下方キャビティ212と上方キャビティ222との間の分離を提供する。ピンチプレート250は、ハウジングカバー220及びハウジング基部210内に画定されるキャビティ212、222内に配置される。ピンチプレート250は、ピンチ構造体214の反対側に配置されるピンチ点252を含む。ピンチ点252は、丸みを帯びた先端部を有して示されている。あるいは、ピンチ点252は、鋭利な先端部を有してもよい。ピンチプレート250は、ハウジング基部210に対して移動し、ピンチチューブ240を挟んで、流体通路270内の流体圧力及び下方キャビティ212内のガス圧力に基づいてピンチチューブ240を通る流体の流動を制限する。
【0013】
本明細書に記載されるバルブは、下方キャビティ内のガス圧力の関数として、流体の流動を調整するように動作する。図2は、流体をバルブ200内に印加する前のバルブ構造を示し、図3A〜3Bは、流体が、入力ガス圧力に基づく流量でバルブ300を通って流れる、バルブの平衡状態を示す。動作時のピンチバルブの実装形態を、図2及び3A〜3Bを参照して以下に説明する。
【0014】
ガス圧力を、バルブのガス入口230、330に印加して、下方キャビティ212、312を入力/基準ガス圧力に加圧する。加圧された下方キャビティが、ハウジングカバー220、320に向かってピンチプレート250、350及びダイヤフラム260、360に対して上向きの力を加える。流体が、基部流体入口332に印加され、ピンチチューブ340、基部流体出口334、カバー流体入口336、流体通路370、カバー流体出口338へと順に流れた後、バルブから出る。ハウジングカバー320を通って流れている流体が、ハウジング基部310に向かって、ダイヤフラム360及びピンチプレート350に対して下向きの力を加える。流体通路370における流体圧力が、下方キャビティ312におけるガス圧力と比べて増加すると、ダイヤフラム360がハウジング基部310に向かって移動し、ピンチプレート350に対して下向きの力を加える。具体的には、ダイヤフラム360は、上方キャビティ322内の流体圧力と下方キャビティ312内のガス圧力との差に応答して、ピンチ点352をピンチ構造体314に対して移動させることになる。例えば、ダイヤフラム360は、下方キャビティ312内のガス圧力に対する上方キャビティ322内の流体圧力の増加に応答して、ピンチ点352をピンチ構造体314に向かって移動させて、ピンチチューブ340内の流体の流動を制限することになる。
【0015】
ピンチプレート350がハウジング基部310に向かって移動すると、ピンチ点352はピンチチューブ340に下向きの力を加え、それによってチューブ340がピンチ構造体314に対して挟まれ、流体の流動を制限するか、または入力ガス圧力が上方キャビティ322における流体圧力に対抗して、その後でバルブ300から一定の流体流量が得られるまで、パンチチューブ340全体及び上方キャビティ322に圧力低下を生じさせる。図3Bは、バルブ300を通る流体の流路を示す方向矢印380とともに、バルブ300を示す。
【0016】
ダイヤフラム駆動型ピンチバルブのピンチ作動力は、出力流体圧力が入力ガス圧力によって制御されるようなものである。下方ガスキャビティ312の圧力を既知の値に設定することにより、ハウジングカバー320を出る流体の流動及び圧力が制御される。この様式では、バルブは、平衡に達するように自己調整され、所望される一定の流体流動を提供することができる。まとめると、カバー流体出口での出力流体圧力は、ガス入口における入力ガス圧力に従い、また基部流体入口における流体圧力からは独立していてもよい。これらの特徴は、図9に関してより詳細に開示されている。
【0017】
様々な実装形態において、バルブには、ピンチプレートと接触し、横方向支持を提供する、弾性構造体が含まれる。図4は、ハウジング基部部分が取り除かれた、ハウジングカバー430を含むバルブの断面斜視図を示す。ピンチプレート400が示されており、弾性構造体410が、ハウジング基部の下方キャビティ内に配置されている。弾性構造体410は、薄板ばね等のバネ、またはダイカットフラットポリマーリングを含み得る。弾性構造体410は、ピンチプレート400の横方向の両側に位置付けられた少なくとも1対の支柱420に取り付けることができる。複数の支柱は、ピンチプレート400の外周に沿って位置付けられてもよい。弾性構造体410は、少なくとも1対の支柱420と係合して、横方向支持を提供するが、垂直方向には限定された抵抗性を提供する。ハウジングカバーからの流体圧力によりピンチプレート400が下方向に押されると、弾性構造体410は、ピンチプレート400のあらゆる望ましくない横方向移動に対抗してピンチプレート400のバランスを維持し、またピンチ点がピンチ構造体に対して傾かないようにすることができる。
【0018】
図5〜8は、バルブのハウジングカバーの様々な実装形態を対象としており、特に、流体通路及びダイヤフラムに関する構造を対象としている。流体はハウジング基部の基部流体出口からカバー流体入口へと流れるため、ハウジングカバーには、下方領域が上方キャビティに開放されている流体通路が画定される。流体通路は、カバー流体入口と上方キャビティとの間及び上方キャビティとカバー流体出口との間で流体連通にある。流体は、流体通路を通って、ハウジングカバーから出て、カバー流体出口へと流れる。様々な実装形態において、ハウジングカバーの上方キャビティ内での流体の流動は、流体通路を通って流れ、ダイヤフラム全体に分配される。場合によっては、ダイヤフラムの突出部が流体通路に入ることを防ぎ、流体通路がダイヤフラムによって閉塞するのを防ぐために、フィルタ、メッシュ、多孔性シート、または有孔膜が、流体通路とダイヤフラムとの間に配置される。フィルタ、メッシュ、多孔性もしくはパターン形成シート、または有孔もしくはパターン形成膜は、さらに、ダイヤフラムの表面積全体にわたって流体圧力を分散させ、ピンチプレートに力を与えることを助け得る。
【0019】
図5は、例示的なハウジングカバー500、流体通路510、圧力分散体520、及びダイヤフラム530の分解概略図を示す。ハウジングカバー500には、上方キャビティと流体連通にある流体通路510が画定される。具体的には、ハウジングカバー500には、下方領域が上方キャビティに開放されている流体通路510が画定される。図5の流体通路510は、カバー流体入口502とカバー流体出口504との間に延在している。流体通路510は、カバー流体入口と上方キャビティとの間、ならびに上方キャビティとカバー流体出口との間で流体連通にある。示されるように、ハウジングカバー500内の流体通路510は、流体が螺旋状流体チャネル内を流れることが可能な螺旋状の構成を有し得る。そのような構成は、ダイヤフラム530のより大きな表面積全体に流体の流動をもたらし、バランスが良く均等な下向きの圧力をピンチプレートに与える。あるいは、流体通路は、螺旋形以外の形状を有してもよく、またダイヤフラム530全体にわたって流体の流動をもたらす任意の構成を有してもよい。例えば、流体通路は、直線チャネル、波形チャネル、同心円、またはこれらの任意の組み合わせといった、チャネルセットを提供し得る。
【0020】
図5に示されるように、流体は、外周に沿ってカバー流体入口502から流体通路510に入り、ピンチ点とピンチ構造体がピンチチューブを挟む場所の上の位置でカバー流体出口504から出る。流体の流動を流体通路510からダイヤフラム530全体にさらに分散させ、ダイヤフラム530の流体通路510への侵入を制限するために、圧力分散体520を、流体通路510とダイヤフラム530との間でハウジングカバー500の上方キャビティに配置してもよい。流体の流動は、ダイヤフラム530が下に押される前に、まず螺旋状流体通路を通るため、圧力分散体520により、ダイヤフラム530全体に流体が広がることが可能となる。
【0021】
圧力分散体520は、焼結金属フィルタもしくは焼結セラミックフリットといったフィルタであってもよく、またはワイヤもしくはポリマーメッシュといったメッシュ構造体であってもよい。フィルタまたはメッシュは、流体通路510だけの場合とは対照的に、流体通路510を通って流れている流体が流体通路510から浸出し、圧力分散体520及びダイヤフラム530の実質的に全表面積にわたって流れることを可能にする孔または小さな開口領域をその表面に含み得る。流体通路510内の流体のほとんどが螺旋状チャネル内に留まるが、流体は、流体圧力を分散させるように、孔または開口部を通じてフィルタまたはメッシュ全体に広がる。一例において、フィルタまたはメッシュは、ダイヤフラム530及びピンチプレートに下向きの圧力を提供する際の一貫性を提供する。追加または代替として、フィルタまたはメッシュは、特に、最初に流体の流動を開始するときに、ダイヤフラムの突出部が流体通路に入り、それによって流体通路内の流体の流動を制限するようになることを防止することができる。
【0022】
図6は、例示的なハウジングカバー600、流体通路610、圧力分散体620、及びダイヤフラム630の分解概略図を示す。図6の流体通路610は、カバー流体入口602からカバー流体出口604に延在している。流体通路610は、ダイヤフラム630のより大きな表面積全体に流体の流動をもたらし、バランスの良いまたは均等な下向きの圧力をピンチプレートに与える、螺旋様の構成を有する。流体の流動をダイヤフラム630全体にさらに分散させるために、圧力分散体620を、流体通路610とダイヤフラム630との間でハウジングカバー600の上方キャビティに配置してもよい。具体的には、圧力分散体620は、ダイヤフラム630が、流体通路610に進入し、流体通路610内で流体の流動を制限するのを防ぐことができる。
【0023】
図6において、圧力分散体620は、ダイヤフラム630と流体通路610との間に配置される膜である。この膜は、流体通路610のチャネルの下に、複数の小さな穴または開口部622を有する。例えば、図6の流体通路610は、同心円を形成する螺旋状の構成を有する。したがって、膜620には、螺旋状の流体通路610に対応する同心円を形成する複数の小さな穴622が含まれる。他の例では、膜620は、螺旋状の構成、同心円、直線、波線、規則的もしくは不規則なアレイ、またはこれらの組み合わせといった、流体通路610のパターンに応じた複数の小さな穴を有してもよい。小さな穴622を有する膜620は、流体通路610のみの場合とは対照的に、流体通路610を通って流れている流体が、流体通路610から浸出し、圧力分散体620及びダイヤフラム630の実質的に全表面積にわたって流動することを可能にする。流体通路610内の流体のほとんどは螺旋状チャネル内に留まるが、一部の流体は、流体圧力を分散させるように、穴622を介してダイヤフラム630全体に広がる。膜620の使用により、ダイヤフラム630及びピッチプレートに下向きの圧力を提供する際の一貫性が提供される。
【0024】
ハウジングカバーをハウジング基部に固定するために、ハウジングカバー600には、ハウジング基部の対応する固定穴による組み立てのための、複数の固定具608が含まれ得る。圧力分散体620の縁部は、分散体620を揃えて設置し、回転を防ぐように、縁取りされていてもよく、または固定具608の形状に対応する突出部624を有してもよい。流体通路及びダイヤフラムには、縁取りされた突出部が画定され得る。
【0025】
様々な実装において、膜620には、平均直径が0.001インチ〜0.01インチの範囲、例えばおよそ0.006インチの穴を有し、厚さが0.005インチ〜0.5インチの範囲、例えばおよそ0.01インチのシートが含まれる。圧力分散体620は、製造の容易さ及び費用低減のために、機械加工またはダイカット処理され得る。
【0026】
図7Aは、例示的なハウジングカバー700、流体通路710、圧力分散体720、及びダイヤフラム730の分解概略図を示す。圧力分散体720は、流体通路710とダイヤフラム730との間に配置される。流体通路710を通る流体の流動は、ダイヤフラム730及びピンチプレート740にバランスの取れた下向きの圧力をもたらすように、圧力分散体720によって、ダイヤフラム730の大きな表面積全体に分散される。以下に記載される構成により、流体通路710及び圧力分散体720を製造の容易さ及び費用低減のために機械加工またはダイカットすることが可能となる。
【0027】
図7Bは、例示的な組み立て済みのバルブを示す底部斜視図である。流体通路710は、流体入口702からカバー流体出口704に延在している。流体通路710には、横方向チャネル712と、外周に沿った円形チャネル714が画定される。流体通路710の中心では、流体の流動が内部アイラインド716の中及び周囲に提供されるように、横方向チャネル712が広がっている。内部アイランド716には、1セットの溝または垂直チャネル717が画定される。流体は、内部アイランド716の溝または垂直チャネル717から、圧力分散体720を越えて流れ、ダイヤフラム730全体に流体が分散される。同様に、円形チャネル714には、流体通路710の外縁部に沿って1セットの溝付垂直チャネル718が画定される。圧力分散体720は、円形チャネル714の上に配置されるが、垂直チャネル718によって流体通路710とダイヤフラム730との間の流体連通を可能にする。
【0028】
合わせると、流体通路710及び圧力分散体720は、ダイヤフラム730のより大きな表面積全体に流体の流動をもたらし、バランスの取れたもしくは均等な下向きの圧力をピンチプレートに与えるか、またはダイヤフラム730が流体通路710に侵入するのを防止する。圧力分散体720にはまた、対応する固定具706の周りに嵌合して適正な設置の確保と回転の防止を行う、突出部719も画定され得る。
【0029】
図7Cは、例示的な流体通路を示す底部斜視図である。具体的には、流体通路710の下面が示されており、これには、カバー流体入口702、カバー流体出口704、横方向チャネル712、円形チャネル714、内部アイランド716、及び垂直チャネル717、718が含まれる。流体圧力が流体通路710で上昇すると、チャネル712、714内の流体の流動と、ダイヤフラムに隣接する流体との間の一時的な圧力の差により、流体が垂直チャネル717、718を通って、ダイヤフラムへと移動し、ダイヤフラムに下向きの力を与える。バルブへの流体の流動が停止すると、ダイヤフラムへの上向きの圧力により、それぞれ、垂直チャネル717、718を介して、流体がチャネル712、714へと押し戻される。ハウジングカバー700には、複数の陥凹部715が含まれてもよく、これに圧力分散体(例えば、図7A及び図7Bの圧力分散体720)が嵌合して、フィルタを適正な位置に保持する。
【0030】
図7Dは、例示的な流体通路を示す詳細な斜視図である。垂直チャネル717、718が示されており、圧力分散体720が、チャネル717、718の部分を覆って配置されており、これにより流体がダイヤフラム全体に分散することが可能となる(図7Aに示される)。チャネル712、714は、圧力分散体720によって覆われている。
【0031】
図7Eは、ハウジング基部の側から見たハウジングカバー700の底部平面図である。上述のように、圧力分散体720は、流体がチャネルから出てダイヤフラムへと流れることができ、ダイヤフラムが流体通路に侵入しないように、横方向チャネル及び円形チャネルの上に配置されている。垂直チャネル717、718は、圧力分散体720によって部分的に覆われているだけであり、そのため流体がダイヤフラム全体に分散することが可能である(図7Aに示す)。このように、圧力分散体720は、円形チャネル714及び横方向チャネル712の上に配置され(図7Bに示される)、流体通路と圧力分散体との間の流体連通が可能となり、ここで、圧力分散体は、円形チャネル及び横方向チャネルの一部分の上に配置される。圧力分散体720にはまた、適正な設置の確保と回転の防止を行うように固定具706に対応して成形された突出部722が画定され得る。
【0032】
図8Aは、ハウジングカバー800、流体通路810、及び流体通路カバー820を含む、例示的な組み立て済みのバルブを示す上面斜視図である。ハウジングカバー800は、上述の膜またはフィルタといった圧力分散体の介入なしに、ハウジング基部の上、かつダイヤフラムのすぐ上に提供される。ハウジングカバー800には、カバー流体入口802からカバー流体出口804へと延在する流体通路810が含まれる。流体通路810は、流体が螺旋状流体チャネル内を流れることが可能な螺旋状の構成を有してもよい。この構成は、ダイヤフラムのより大きな表面積全体に流体の流動をもたらし、バランスが良く均等な下向きの圧力をピンチプレートに与える(図示せず)。流体通路は、螺線形とは異なる形状を有してもよく、またダイヤフラム全体にわたって均等に流体の流動をもたらす任意の構成を有してもよい。ハウジングカバー800には、開口部または穴812を介して上方キャビティと流体連通にあり、上方キャビティの反対側に配置される、流体通路810が画定される。円形の穴として示されているが、開口部は、円形であってもよく、または切り込みであってもよく、あるいは代替として、メッシュパターンを有してもよく、またはこれらの任意の組み合わせであってもよい。
【0033】
流体通路カバー820は、流体通路810を覆うように設置され、流体が流体通路810のチャネルの上に浸出するのを防止する。ガスケット814が、流体がハウジングカバー800から漏れるのを防ぐための追加の障壁として提供されてもよく、流体通路カバー820と流体通路810との間に配置され得る。流体通路810は、流体通路とハウジングカバー800の下のダイヤフラムとの間で流体連通にある流体通路810の全長にわたって、複数の開口部または穴812を含む。穴812は、機械加工またはダイカットされ得る。
【0034】
ハウジングカバー800には、ハウジング基部及びハウジングカバーの対応する固定穴による組み立てのための複数の固定具806が含まれ得る。流体通路カバー820の縁部は、流体通路カバー820をハウジングカバー800と係合させ、回転を防ぐように、固定具に対応する陥凹部822を含んで形成され得る。
【0035】
図8Bは、例示的なハウジングカバー800及び流体通路810を流体通路カバーが取り除かれた状態で示す、上面図である。ハウジングカバー800は、カバー流体入口802からカバー流体出口804に延在する流体通路810を含み、流体通路810の全長にわたって、チャネルとハウジングカバー800の下のダイヤフラムとの間に流体が流れることを可能にする、複数の穴812を含む。流体通路810を封止し、ハウジングカバー800から流体が漏れるのを防ぐために、ガスケット814が提供されてもよい。複数の固定具806は、ハウジングカバー800の対応する固定穴807(図8Cに示される)に嵌合し得、また、ガスケット814をハウジングカバー800に固定することができる。
【0036】
図8Cは、固定具とガスケットが取り除かれた、図8Bに示されるハウジングカバー800の上面斜視図である。ハウジングカバー800をハウジング基部に固定するために、対応する固定具806(図8Bに示される)には、1セットの固定穴807が提供される。ガスケット814は、ハウジングカバー800のガスケット陥凹部815に固定され得る。カバー流体入口802、カバー流体出口804、流体通路810、及び穴812は、図8A〜8Bにおいて上述のものに類似であり得る。
【0037】
図8Dは、例示的な流体通路カバー820を示す斜視図である。流体通路カバー820は、ハウジングカバー800に嵌合し(図8Cに示される)、流体が流体通路810の上部から漏れるのを防ぐように(図8Cに示される)、成形される。図8Dにおいて、流体通路カバー820は、流体通路カバー820をハウジングカバー800(図8Cに示される)に固定するように、固定具806の形状に対応する陥凹部822によって、ハウジングカバー800に固定され得る。
【0038】
図8Eは、例示的な組み立て済みのハウジングカバー800及び流体通路カバー820を示す断面図である。流体通路カバー820は、流体が流体通路810の上から流出しないように、ハウジングカバー800の上に固定される。代わりに、流体は、穴812を介して流体通路810の内外へと流れる。流体通路810内にある流体は、さらに、ガスケット814により格納されている。カバー流体入口802、カバー流体出口804、流体通路810、及び穴812は、図8A〜8Bにおいて上述のものに類似であり得る。
【0039】
例示的な印加では、流体流動システムは、ピンチバルブ調整器を用いて較正することができる。流体流動システムにおけるバルブの較正は、バルブと連結されたシステムの抵抗に対するバルブの挙動を理解することをもたらす。システム内の流体抵抗は、特に、ピンチバルブ調整器の下流のバルブ及び絞り弁といった、制限的構造体を通じて、圧力低下を引き起こし得る。ある例では、下流の流体抵抗は、ピンチバルブ調整器を用いて判定することができる。例えば、図3A及び3Bを参照すると、洗浄溶液が、測定圧力(例えば、およそ12psi)で基部流体入口332に供給され、基準ガス圧力は、例えば、測定ガス圧力(例えば、およそ1〜2psi)でガス入口330に供給される。ダイヤフラム360の流体通路は、平衡洗浄溶液体積で充填され、ある流量(例えば、およそ40μL/秒)が、バルブ300から出力される。
【0040】
上流の流体バルブを閉めた場合、基準ガス圧力ラインが、ガス圧力源から分離され、下方キャビティ312内のガス圧力により、ダイヤフラム360の上の上方キャビティ内及び流体通路370内の洗浄溶液体積を、カバー流体出口338を通してピンチバルブ調整器から出す。基準ガスの体積が増え、バルブから出る洗浄液の体積を変化させる。
【0041】
上流の流体バルブを閉め、基準ガス圧力ラインをガス入口330から分離した状態で、ガス圧力を、基準ガス圧力ライン(示されない)上の圧力センサから判定することができる。ハウジング基部内の下方キャビティでのガス膨張により、例えば、圧力と体積の積が一定である理想気体の法則の挙動と一致して、ガス圧力にわずかな圧力減衰がもたらされる。絶対大気圧及び下方キャビティ及び基準ガスラインの初期体積がわかっている場合、圧力減衰曲線により、抵抗の計算が可能となり、したがって、通常の動作中の洗浄液体積の流量が計算できる。
【0042】
ピンチバルブ調整器を用いて流体流動システムを較正する別の方法を、以下に説明する。洗浄溶液は、洗浄溶液をチャンバから出してバルブを通して移動させる、ヘッドスペース有する加圧チャンバ(示されない)から基部流体入口332に供給される。基準ガス圧力が、ガス入口330に供給され、ヘッドスペースが設定圧力に加圧される。チャンバのヘッドスペースの初期体積及び圧力を測定する。チャンバを、圧力源から分離するが、バルブの下方キャビティ内の基準ガス圧力は維持しておく。その後、洗浄溶液がチャンバから移動すると、ヘッドスペースは体積が増加し、圧力が下がる。チャンバの最終圧力を測定し、最終体積を予測することができる。初期及び最終の体積及び圧力を用いて、抵抗を判定する。操作中、流体の流速は、抵抗を用いて判定することができる。
【0043】
バルブは、したがって、バルブを直接利用して測定及び較正することができる圧力の正確かつ厳密な制御を提供することができる。診断及び較正は、バルブを操作することにより行うことができる。
【0044】
図9は、例示的なバルブの性能を示す図である。図9は、1セットの異なる入力液体圧力(Psource)に関する基準ガス圧力(Pref)と出力液体圧力(Pout)との関係性を図示する。基準ガス圧力が入力液体圧力の0%90%の範囲内にあるときに、出力液体圧力が基準ガス圧力に対して線形に応答する場合には、線形挙動が示される。
【0045】
例示的なピンチバルブ調整器は、試薬が1つ以上の反応器または反応部位に送達される、化学的または生物学的プロセスにおいて有用である。反応部位は、化学的、電気的、または光学的センサによって監視することができる。例示的なシステムとしては、DNAシークエンシング、特に、pHに基づくDNAシークエンシングを実行するための方法及び装置が挙げられる。例えば、pHに基づくDNAシークエンシングにおいて、塩基の組み込みは、ポリメラーゼに触媒される伸長反応の天然の副生成物として生成される水素イオンを測定することによって判定される。それぞれがプライマーと操作可能に結合されるポリメラーゼとを有するDNA鋳型を、反応チャンバまたはマイクロウェルに充填し、その後で、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)の添加と洗浄のサイクルを繰り返し行う。そのような鋳型は、典型的には、クローン集団として微小粒子、ビーズ等といった固体支持体に結合しており、そのようなクローン集団を反応チャンバに充填する。サイクルの添加ステップの度に、鋳型の次の塩基が添加したdNTPの成分である場合、ポリメラーゼは添加されたdNTPを組み込むことによってプライマーを伸長させる。1つの相補的な塩基が存在する場合、1つの組み込みが生じ、これが2つであれば、2つの組み込みが生じ、3つであれば、3つの組み込みが生じる。それぞれのそのような組み込みで放出される水素イオンが存在し、集合的に、水素イオンを放出する鋳型集団が、反応チャンバの局所的なpHにごくわずかな変化をもたらし、これを電子センサによって検出する。シークエンシングに加えて、本明細書のデバイスは、流体の保管または送達を必要とする他の生物学的機器に有用であり得る。
【0046】
図10は、例えば、pHに基づく核酸シークエンシングを行うためのバルブを用いたシステムを図式で示す。この装置の各電子センサは、基準電圧の値に基づく出力シグナルを生成する。流体回路により、複数の試薬を反応チャンバに送達することが可能となる。
【0047】
図10において、フルイディクス回路1002を含むシステム1000は、入口によって少なくとも2つの試薬リザーバ1014に、廃液リザーバ1020に、そして流体連通のために流体ノード1030をバイオセンサ1034の入口1038に接続する流体通路1032によってバイオセンサ1034に接続されている。リザーバ1014からの試薬は、圧力、シリンジポンプ等のポンプ、重力送り等を含む様々な方法によって流体回路1002へと移動させることができ、これらは、バルブ1050の制御によって選択される。流体回路1002からの試薬は、制御システム1018からのシグナルを受信するピンチバルブ1042を通って、廃液容器1020へと移動させることができる。流体回路1002からの試薬はまた、制御システム1018からのシグナルを受容するピンチバルブ1044を通って廃液容器1036へと移動させることもできる。制御システム1018には、バルブ1050の制御器、ピンチバルブ1042、1044が含まれ、制御器は、電気接続1016を介して開閉を行うためのシグナルを生成する。
【0048】
制御システム1018には、電気接続1022によってシステムに接続される洗浄溶液バルブ1024、及び基準電極1028といった、システムの他の構成要素のための制御器も含まれる。制御システム1018には、バイオセンサ1034の制御及びデータ取得機能も含まれる。一操作モードにおいて、流体回路1002は、選択された試薬流の間で、流体回路1002がプライム及び洗浄され、バイオセンサ1034が洗浄されるように、制御システム1018のプログラムされた制御下において、選択された一連の試薬1、2、3、4、または5をバイオセンサ1034へと送達する。バイオセンサ1034に入った流体は、ピンチバルブ調整器1044の制御により、出口1040から出て廃液容器1036に溜められる。バルブ1044は、バイオセンサ1034のセンサ流体出力1040と流体連通にある。
【0049】
ハウジング構成要素は、金属、ガラス、セラミック、ポリマー等を含む様々な材料から構築され得る。一例では、材料は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等といった透過性材料であり得る。
【0050】
上述のように、流体回路は、様々な方法及び材料を用いて製造されたものであり得る。材料を選択する際に考慮すべき要因としては、必要とされる化学的不活性の程度、動作条件、例えば、温度等、送達することになる試薬の量、基準電圧必要性の有無、製造可能性等が挙げられる。中規模及び大規模な流体送達については、従来的な切削技法を用いて、流体回路へと組み立てることができる部品を製造してもよい。一態様において、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等といった可塑性材料を用いて、流体回路を製造してもよい。
【0051】
一態様において、バルブには、下方キャビティが画定されるハウジング基部が含まれ、このハウジング基部には、下方キャビティ内のピンチ構造体と、下方キャビティへの外部アクセスを提供するガス入口と、基部流体入口と、基部流体出口とが含まれる。ハウジングカバーには、上方キャビティが画定され、カバー流体入口とカバー流体出口とが含まれる。カバー流体入口は、上方キャビティと下方キャビティとの間で基部流体出口と流体連通にある。カバー流体出口は、上方キャビティからの外部アクセスを提供する。ダイヤフラムが、ハウジング基部とハウジングカバーとの間に配置され、下方キャビティを上方キャビティから流体的に分離する。ピンチプレートが、下方キャビティに配置され、これには、ピンチ構造体の反対側に配置されるピンチ点が含まれる。下方キャビティ内で基部流体入口と基部流体出口との間で流体連通にあるピンチチューブが提供され、ピンチチューブは、ピンチ構造体とピンチ点との間に延在している。
【0052】
関連する態様では、ダイヤフラムは、上方キャビティ内の流体圧力と下方キャビティ内のガス圧力との間の差に応答して、ピンチ点をピンチ構造体に対して移動させる。例えば、ダイヤフラムは、下方キャビティ内のガス圧力に対する上方キャビティ内の流体圧力の増加に応答して、ピンチ点をピンチ構造体に向かって移動させて、ピンチチューブ内の流体の流動を制限する。
【0053】
関連する態様では、弾性構造体は、ピンチプレートと接触し、ピンチプレートに横方向支持を提供する。弾性構造体には、バネが含まれ得る。ピンチプレートには、ピンチプレートの横方向の両側に位置付けられる少なくとも1対の支柱が含まれてもよく、ここで、弾性構造体は、少なくとも1対の支柱に係合して横方向支持を提供する。
【0054】
関連する態様では、ハウジングカバーにはさらに、上方キャビティと流体連通にある流体通路が画定される。ハウジングカバーにはさらに、カバー流体入口及びカバー流体出口から延在する螺旋状構成を有する流体通路が画定される。ハウジングカバーには、カバー流体入口と上方キャビティとの間で流体連通にある流体通路が画定され得る。ハウジングカバーには、上方キャビティとカバー流体出口との間で流体連通にある流体通路が画定され得る。ハウジングカバーには、下方領域が上方キャビティに開放されている流体通路が画定され得る。
【0055】
関連する態様では、圧力分散体が上方キャビティに配置される。圧力分散体には、フィルタが含まれ得る。フィルタには、焼結金属フィルタが含まれ得る。圧力分散体には、分散プレートが含まれ得る。分散プレートにはさらに、流体通路に対応する複数の開口部が画定される。ガスケットが、ハウジング基部とハウジングカバーとの間に配置されてもよい。基部流体出口とカバー流体入口は、ガスケットを通じて流体連通にあり得る。基部流体出口とカバー流体入口は、ダイヤフラムを通じて流体連通にあり得る。
【0056】
別の態様において、ハウジングカバーには、ハウジングカバーをハウジング基部に固定する固定具が含まれる。圧力分散体には、固定具の形状に対応する突出部が画定される。流体通路には、横方向チャネルと円形チャネルとが画定される。円形チャネルには、複数の溝付垂直チャネルが画定される。横方向チャネルには、内部アイランドが画定される。内部アイランドには、複数の溝付垂直チャネルが画定される。圧力分散体は、上方キャビティ内に配置され、また円形チャネル及び横方向チャネルの上に配置され得、それにより流体通路と圧力分散体との間の流体連通が可能となる。圧力分散体は、円形チャネル及び横方向チャネルの一部分の上に配置されてもよい。
【0057】
別の態様では、流体通路には、圧力分散体を保持するための陥凹部が画定され得る。圧力分散体は、ダイヤフラムが流体通路に侵入することを防ぐことができる。ハウジングカバーにはさらに、上方キャビティと流体連通にある流体通路が画定され、これは、上方キャビティの反対側に配置される。流体通路にはさらに、複数の開口部が画定され、ここで、流体通路及びダイヤフラムは、複数の開口部を通じて流体連通にある。流体通路カバーが、流体通路を覆うように提供されてもよい。ガスケットが、流体通路カバーと流体通路との間に配置されてもよい。
【0058】
別の態様では、カバー流体出口における流体圧力は、基部流体入口における流体圧力に対するガス圧力の第1の範囲については、下方キャビティ内のガス圧力に直線的に反応する。第1の範囲は、基部流体入口における流体圧力に対して0%〜90%のガス圧力である。
【0059】
別の態様では、システムには、少なくとも2つのリザーバが含まれ、これらの少なくとも2つのリザーバの各リザーバが、試薬溶液を含んでいる。少なくとも2つのリザーバのそれぞれと流体連通にある流体通路が提供される。センサ流体入口とセンサ流体出口とを含むバイオセンサが提供される。バイオセンサのセンサ流体入口は、流体通路と流体連通にある。バイオセンサのセンサ流体出口と流体連通にあるバルブが提供される。このバルブには、下方キャビティが画定されるハウジング基部が含まれ、このハウジング基部には、下方キャビティ内のピンチ構造体と、下方キャビティへの外部アクセスを提供するガス入口と、基部流体入口と、基部流体出口とが含まれる。ハウジングカバーには、上方キャビティが画定され、カバー流体入口とカバー流体出口とが含まれる。カバー流体入口は、上方キャビティと下方キャビティとの間で基部流体出口と流体連通にある。カバー流体出口は、上方キャビティからの外部アクセスを提供する。ダイヤフラムが、ハウジング基部とハウジングカバーとの間に配置され、下方キャビティを上方キャビティから流体的に分離する。ピンチプレートが、下方キャビティに配置され、これには、ピンチ構造体の反対側に配置されるピンチ点が含まれる。下方キャビティ内で基部流体入口と基部流体出口との間で流体連通にあるピンチチューブが提供され、ピンチチューブは、ピンチ構造体とピンチ点との間に延在している。
【0060】
別の態様では、流体流動を制御する方法には、バルブのガス入口にガス圧力を印加することが含まれる。このバルブには、下方キャビティが画定され、さらに下方キャビティ内のピンチ構造体と、下方キャビティへの外部アクセスを提供するガス入口と、基部流体入口と、基部流体出口とが含まれる、ハウジング基部が含まれる。ハウジングカバーには、上方キャビティが画定され、カバー流体入口とカバー流体出口とが含まれる。カバー流体入口は、上方キャビティと下方キャビティとの間で基部流体出口と流体連通にある。カバー流体出口は、上方キャビティからの外部アクセスを提供する。ダイヤフラムが、ハウジング基部とハウジングカバーとの間に配置され、下方キャビティを上方キャビティから流体的に分離する。ピンチプレートが、下方キャビティに配置され、これには、ピンチ構造体の反対側に配置されるピンチ点が含まれる。下方キャビティ内で基部流体入口と基部流体出口との間で流体連通にあるピンチチューブが提供され、ピンチチューブは、ピンチ構造体とピンチ点との間に延在している。流体が、基部流体入口に印加される。
【0061】
関連する態様では、バルブにおける流体流動を較正する方法には、基部流体入口に印加される流体の圧力と、バルブのガス入口に印加されるガス圧力とを測定することが含まれる。バルブのカバー流体出口の上流に提供される第2のバルブが閉じられる。ガス圧力を印加するガス圧力源を、ガス入口に印加されるガス圧力から分離する。下方キャビティ内の分離した印加ガス圧力を測定する。分離した印加ガス圧力及び下方キャビティの初期体積に基づいて、バルブに連結されたシステムの抵抗を判定する。操作中に、判定されたバルブの抵抗に基づいて、流体の流量を判定することができる。
【0062】
別の関連する態様では、バルブにおける流体流動を較正する方法には、基部流体入口に連結された加圧チャンバの第1のヘッドスペース体積、基部流体入口に印加された流体の圧力、及びバルブのガス入口に印加されるガス圧力を測定することが含まれる。チャンバの加圧を停止させ、チャンバの第2の圧力及び第2のヘッドスペース体積を測定する。バルブに連結されたシステムの抵抗は、測定した第1のヘッドスペース体積、第2のヘッドスペース体積、流体圧力、及び第2の圧力に基づいて、判定される。判定されたシステムの抵抗に基づいて、流体の流量を判定する。
【0063】
上述の態様の特徴は、本明細書において想定される実施形態において互換可能である。
【0064】
本発明の実施は、別途示されない限り、機械工学、電子工学、流体機械工学、及び材料科学の従来的な技法及び説明を用い得るが、これらは、当業者の技能の範囲内である。そのような従来的な技法としては、流体及びマイクロ流体デバイスの設計及び製造等が含まれるがこれらに限定されない。好適な技法に関する具体的な説明は、本明細書の以下の実施例を参照することにより得ることができる。しかしながら、他の同等の従来的な手順も、当然ながら、使用され得る。
【0065】
本方法及びデバイスは、中規模及び微小規模のシステム、例えば、通路断面積が数十平方ミクロンから数平方ミリメートルの範囲のシステム、または流量が数nL/秒から数百μL/秒の範囲のシステムに、特に好適である。ある実施形態において、ピンチバルブ調整器は、試薬の流動を、特に、低流量、例えば、100μL/分〜5.0mL/分の範囲の流量に調整するために使用することができる。具体的な例では、そのようなピンチバルブ調整器は、0.2mL/分〜4.0mL/分、例えば0.4mL/分〜3.0mL/分の範囲内の流量で、試薬の流動を調整することができる。具体的には、本方法及びデバイスは、有効径が0.1マイクロメートル〜500マイクロメートルの範囲内である通路を含む、マイクロ流体デバイスであり得る。
【0066】
概要または実施例に記載される上述の動作が全て必要というわけではなく、特定の動作の一部を必要としない可能性があり、上述の動作に加えて1つ以上の動作をさらに行う可能性があるということを留意されたい。さらには、動作が記載される順序は、必ずしも動作が行われる順序ではない。
【0067】
上述の明細書には、特定の実施形態を参照して概念を記載している。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされてもよいことが、当業者には理解される。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味とみなされるべきであり、そのような全ての修正は本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0068】
本明細書に使用されるとき、「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「有する(have)」、「有している(having)」という用語、またはそれらの他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図する。例えば、プロセス、方法、物品、または装置は、特徴部のリストを含むが、必ずしもそれらの特徴部のみに限定されず、明確に記載されていない特徴部、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の特徴部を含んでもよい。さらに、それとは反対に、明確に記載されない場合、「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を指す。例えば、条件AまたはBは、以下のうちの任意の1つによって満たされる:Aが正しく(または存在する)かつBが誤りである(または存在しない)、Aが誤りであり(または存在しない)かつBが正しい(または存在する)、及びAとBのいずれもが正しい(または存在する)。
【0069】
また、「1つ(a)」または「1つ(an)」の使用を採用して、本明細書に記載される要素または構成要素を記載する。これは、単に便宜上行われるものであり、本発明の範囲の一般的な意味合いをもたらすものである。他に意味することが明らかでない限り、それらの記載は、1つまたは少なくとも1つを含んでいると解釈されるべきであり、また、単数形は複数も含んでいる。
【0070】
実施形態を参照して、利益、他の利点、及び問題の解決策を上述している。しかしながら、任意の利益、利点、または解決策をもたらし得るか、またはそれらをより明白にし得る利益、利点、問題解決策、及び任意の特徴部(複数可)は、任意のまたは全ての特許請求の範囲の重要な、必須の、または必要不可欠な特徴と解釈されるべきではない。
【0071】
当業者であれば、本明細書を読んだ後に、ある特定の特徴部が、個別の実施形態との関連で明確にするために本明細書に記載されており、単一の実施形態に組み合わせでも提供され得ることを理解するであろう。反対に、単一の実施形態との関連で簡潔にするために記載される様々な特徴部が、個別に、または任意の部分組み合わせでも提供され得る。さらに、範囲で記載される値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10