(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記微細構造化層は、シリコーン、ハイブリッドシリコーン、ケイ酸塩、ハイブリッドケイ酸塩、ゾル−ゲル材料、ポリイミド、ガラス、又は、サファイアといった透明なセラミック、を含む、
請求項1乃至3いずれか一項に記載の照明ユニット。
前記微細構造化層は、メチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、フェニルシロキサン、エポキシ官能性シロキサン若しくは高屈折率シリコーン、メチルケイ酸塩若しくはメチルフェニルケイ酸塩、又はフェニルケイ酸塩若しくは他のアルキルケイ酸塩、或いは金属アルコキシド前駆体、或いは、それらの混合物に由来した材料、を備える、
請求項4に記載の照明ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、支持構造体と、LEDベースの光放射構造体と、支持構造体の上部の上の光学ビーム成形装置とを備えるLEDベースの照明ユニットを提供する。光学ビーム成形装置は、熱的に安定した微細構造化層を備え、ビーム成形装置(の下側)は、LEDベースの発光構造体の上方のわずかな高さにある。この高さは、LEDベースの発光構造体(10)の発光面積の平方根よりも小さい。例えば、1mm
2の発光面積に対して、この高さは、1mm未満、例えば、0.5mm未満である。
【0040】
光学ビーム成形装置は、光学部品を破損せずに、リフロー半田付けによって照明ユニットをキャリアに取り付けることができるように設計される。
【0041】
本発明のシステムで使用される光学ビーム成形装置は、ビーム成形機能を行う。この機能は、所望の視野を照明するために光が制御された出射角度範囲で出射するという意味において、例えば、少なくとも部分的なコリメーション機能とほぼ同じであってもよい。下記の例では、この光学機能は、説明を容易にするために以下「コリメーション(”collimation”)」と呼ばれるが、これは限定していると考えられるべきではないことが理解されるであろう。例えば、様々なビーム成形機能は、異なるタイプのフォイル構造、例えば、対称若しくは非対称のプリズム状の溝、光源を向いた又は光源とは反対向きのプリズム状/円錐形/ピラミッド構造などによって実現されてもよい。これらのビーム成形機能は、例えば、ビーム方向転換、又は、コウモリの翼状の照明パターンを含む。
【0042】
本発明は、単に例として本出願人によって提案されるような幾らかのLEDユニット設計を参照して記載される。本発明は、特に、ビーム処理機能を行う光学層の設計に関する。提供される例は、2つのそのような光学層を含むが、本発明は、1つの光学層のみを必要とする構造に等しく適用され得る。
【0043】
図2は、光学ビーム成形装置12として機能するデュアル層光学層を組み込む「クリックオン」キャップを有する高電力ダイオンセラミック(「DoC」)LEDパッケージ10を使用する様々な例を示す。このデュアル層構造の機能は、コリメーション機能などのビーム成形機能を提供する。各層は、光源とは反対向きの細長い平行な隆起部の規則的なアレイの形態の構造化層を含む。LED10は、反射性混合ボックス構造を形成するハウジング14の基部に取り付けられている。
【0044】
ハウジングは、主として、LED10の上に光学ビーム成形構成部品を取り付けるための支持構造体として機能するが、ハウジングは、任意選択で、LEDによって放射された光をビーム成形構成部品の方に向ける働きもする。この目的のために、ハウジングは、支持を行う側壁及び基部を有することができる。その場合、基部は、LEDを支持するためであってもよい。しかしながら、LEDダイ自体が、ハウジングが側壁構成のみを備えるように基部を規定してもよい。この側壁は、LED光の効率的な送出のために反射性がある。
【0045】
LEDは、例えば、セラミックサブマウント16に取り付けられたダイである、青色InGaNベースのダイオードである。LEDは、裏面に電気コンタクトを有するフリップチップダイであってもよい。典型的には、AlN又はAl
2O
3であるセラミックサブマウント16には電気的なビア(via)があり、それによって、電気コンタクトがセラミックサブマウント16の裏面にも存在し、半田パッドを使用して、組立体全体を裏面で半田付け可能にしている。
【0046】
この半田付けは、構造体を高温にさらす。例えば、リフロー温度処理は、結果としてポリカーボネート及びPETなどの、多くの材料の変形又は収縮をもたらす場合がある。
【0047】
パッケージサイズは、1.5mm未満、例えば、1.3mm未満、及び典型的な幅が3〜5mmの範囲となるように作られてもよい。
【0048】
図2は、蛍光体層が実施されるやり方が異なる5つの例を示す。蛍光体層の機能は、LED光源からの青色放射の一部を緑/黄色のスペクトル範囲に変換することであり、これによって青色LEDエミッタと相まって白色光出力を生成する。
【0049】
図2(a)は、近接蛍光体(proximity phosphor)18を示す。これは、フレネルレンズベースのフラッシュパッケージで使用される従来の蛍光体技術である。蛍光体は、青色LEDチップを直接カバーする。このことは、すべての発光領域(チップ出力及び蛍光体)が最小のサイズを有することを意味する。これによって、エミッタを小さな疑似点光源とし、拡大された光学ビーム成形構造が、フラッシュ動作のための放射光を平行にするようにこの点光源に位置合わせされる。
【0050】
図2(b)は、空気の代わりにハウジング内にオーバモールド19を有する以外は同一の構造を示し、この図は、ハウジングが必ずしもワンピースの構造でないことを示す。
【0051】
図2(c)は、ハウジングを充填する蛍光体20(グープとして知られている場合がある)の使用を示す。この蛍光体は、粘性液として供出され、固体状態に硬化される。蛍光体は、やはりLEDチップをカバーするが、横方向に延在し、典型的には、より厚い層で適用される。たとえ青色LEDエミッタが小さくても、蛍光体層の放射がより大きな領域をカバーするため、光源領域を増大させる。これは、LEDダイ及び/又はLEDダイが上に配置されたパッケージのみをカバーする通常の近接蛍光体よりも効率的な蛍光体システムとなり得る。
【0052】
図2(d)は、近傍蛍光体(vicinity phosphor)22を示す。これは、原理的に最も効率的な蛍光体構成であるが、そのようなパッケージでは一般的でない。蛍光体は、青色LEDの上には直接配置されず、短い距離に、典型的には、パッケージの出射窓に置かれる。そのような構成では、蛍光体層とLEDベースとの間にある材料の選択によって影響を受けることがある、蛍光体層に対する良好な冷却経路が望まれる。
図2(e)は、ガラス又は半透明アルミナ(多結晶アルミナ、PCA)層24の追加を示す。
【0053】
図2(a)〜
図2(e)のそれぞれにおいて、全体のデバイスは、LED照明ユニット1である。ハウジング14は、反射性基部15及び開放上部(
図5の参照番号51)を有する反射性ハウジングとして機能する。
【0054】
2つの構造化層は、上向きの隆起した微細構造を有する。隆起部は、平行で、したがってプリズム状の隆起部/溝構造を形成する。他の可能な光学構造は、例えば、ピラミッド、円錐体、球面レンズ、又は、円柱レンズである。
【0055】
各層は、典型的には、30〜150ミクロンの範囲の厚さ(ベース基板及び隆起部の高さを含む)を有する。各隆起部は、10〜50ミクロンの範囲の典型的な幅を有する。
【0056】
微細構造化層が、再利用される入射光のかなりの部分を反射するため、LEDパッケージは、好ましくは高反射性である(例えば>95%)。
【0057】
低屈折率層がLEDパッケージとビーム成形構造との間に、及び複数の層が使用される場合は個々の微細構造化層間にも設けられる。典型的には、低屈折率層は、空気界面である。構成部品間の中間層(複数可)のこの屈折率は、LEDパッケージの屈折率及び微細構造化層の屈折率に比べて低い。空気層に対して屈折率は1であり、LEDパッケージは、GaN LEDダイに対して2.4の屈折率を有することができ、蛍光体シリコーンは、1.4〜1.53の屈折率を有することができる。
【0058】
空気界面が微細構造化層の構造化表面に対して使用される場合、微細構造化層の構造化層に関する屈折率は、例えば、メチルシロキサンシートに関する1.41であってもよい。
【0059】
図3は、2つの異なる高電力LEDが中電力LEDと比較されているさらなる例を示す。ここでも、各デバイスは、LED照明ユニット1を備える。各デバイスは、高さ3を有し、可能な高さ値の例が
図3に示されている。
図2のダイオンセラミック(DoC)パッケージが、いわゆるPSS(事前に構造化されたサファイア)チップスケールパッケージLED30、並びに、ワイヤボンド接続による中電力LED31と比較されている。
【0060】
チップスケールパッケージPSS技術によるLEDは、セラミックサブマウントを有さないが、InGaN LED層を上に堆積させたサファイア成長基板を上部に維持する。裏面は、構成部品を裏面半田付け可能にするために電気的接続によってめっきされる。PSSパッケージ30は、典型的には0.6mmのセラミックサブマウントを使用するDoCパッケージと比較して、はるかに薄く、約0.2〜0.3mmの高さとなり得る。
【0061】
薄いフラッシュ向けに、PSS構造30は、フラッシュの高さをより薄くすることができる。
【0062】
中電力LEDは、典型的には、エミッタもサファイアなどの成長基板上に配置されたLEDであって、サファイア基板とともに下向きに取り付けられ、通常、ダイ付着接着剤によってパッケージ内部に固着される。電気的接続は、パッケージ内部の電気コンタクトをLEDダイの上部に接続するワイヤボンドによって実現される。必要とされる光量出力を実現するために、パッケージ内で複数のLEDが使用されてもよい。
【0063】
様々な中電力LEDは、ストリング状に接続され、これは、直列接続又は並列接続のいずれであってもよい。また、これらの中電力LEDチップは、典型的には、非常に薄く、典型的には、高さは0.2〜0.3mmのオーダであり、全体的に薄いフラッシュパッケージを可能にする。
【0064】
図3は、様々なLEDタイプを様々な蛍光体タイプと組み合わせている。蛍光体層を、LEDチップに直接堆積させてもよく、これは、近接蛍光体と呼ばれる。そのような蛍光体層は、チップの上部、若しくはセラミックサブマウントを含むパッケージの上部のみをカバーしても、又はエミッタの周囲に巻き付けられ透明なサファイア基板の側部をカバーしてもよい。さらに、蛍光体は、LEDが内部に配置されるパッケージを充填することができる。これは、しばしばグープ蛍光体(goop phosphor)と呼ばれ、このグープ蛍光体では、蛍光体が、典型的には、白色モールドリードフレームパッケージなどのパッケージ内部に供出されたシリコーン樹脂内に埋め込まれた無機蛍光体粒子から構成される。そのような構成は、典型的には、エミッタダイのみをカバーする蛍光体よりも効率的である。さらに、蛍光体は、LEDエミッタを全くカバーしなくてもよいが、わずかな距離で分離され、典型的には、透明材料、例えばシリコーン、ガラス、又はセラミックの層によって分離されることがある。次いで、蛍光体層がパッケージの上部の近傍に配置され、青色光がパッケージから漏れるのを防ぐようにパッケージを横方向にカバーする。そのような近傍蛍光体は、LEDパッケージに高い反射性がある場合は、他の上記の蛍光体タイプよりも、典型的には、より効率的である。
【0065】
図3(a)は、
図2(a)のような近接蛍光体を使用するDoC構造を示す。
【0066】
図3(b)は、近接蛍光体を使用するPSS構造30を示し、パッケージ高さが1mmに低減していることを示す。PSS LEDは、白色シリコーンモールドリードフレームパッケージなどの空胴(cavity)ハウジング内へ半田付けされる。近接蛍光体は、PSSチップの周囲に共形に堆積させられてもよい。空胴ハウジングは、典型的には、フラッシュLEDのPCBへのさらなる組立を可能にする裏面コンタクトを有する。薄いハウジング、薄いPSS、及び、薄いビーム成形装置によって、結果として約0.6〜1.2mmの高さ範囲にある全体的に薄いパッケージが得られる。ビーム成形装置12の微細構造化層は、例えば、接着性のグルーによって、又は接着テープによってハウジングの上部に取り付けられてもよい。
【0067】
図3(c)は、LEDチップ及びハウジング側壁が取り付けられた薄い反射性PCB32上で1.2mmのパッケージ高さでハウジングをここでも充填する蛍光体を使用するPSS LEDパッケージ30を示す。ハウジングは、PCB上に成型された、又は接着剤によって取り付けられた、モールド白色シリコーンフレームであってもよい。蛍光体層がエミッタの上部に閉じ込められる場合、ハウジング及びPCBによって形成された空胴の内部は、好ましくはグープ蛍光体、又はシリコーンなどの透明な封入材料で充填される。薄いPCBは、電気的接続のための裏面への相互接続部を有することができるが、PCBの上部のLEDに接続された供給コンタクトにコンタクトワイヤを半田付けすることができるように横方向にハウジング領域の外側に延在することもできる。
【0068】
図3(d)は、1mmのパッケージ高さを有するハウジングをここでも充填する蛍光体を使用するPSS構造30を示すが、ハウジング基部は、LEDチップの周囲が成型されている。
【0069】
図3(e)は、
図3(d)のような近傍蛍光体を使用するDoC構造を示し、
図3(f)は、
図3(c)に示されるようなグープ蛍光体を使用する、複数の中電力LEDチップ31を示し、チップがワイヤボンド接続によってハウジングの基部の電気コンタクトに取り付けられている。2つの中電力チップが描かれているが、3つ以上のチップを使用して十分な量のフラッシュ光を生成することも可能である。複数の中電力LEDを使用するより広い領域を収容するために、パッケージの横方向の寸法を増大させてもよい。
【0070】
言及したLEDタイプとは別に、縦型薄膜(VTF)LEDも所与の例において使用されてもよく、その場合、LEDは、ワイヤボンドによって接続されたエミッタの上部の1つの電気コンタクト、及びパッケージ又はPCBに半田取り付けするためのチップの裏面への1つの電気コンタクトを有する。
【0071】
したがって、PSSチップは、PSS構成部品の周囲が成型された反射性ハウジングに取り付けられてもよく、或いは、チップは、高反射率基板、例えば、薄いPCB、又はプラスチックリードチップキャリア(PLCC)パッケージ若しくは同様のリードフレーム構成部品、例えばQFNパッケージなどの事前に作製された光混合パッケージに直接半田付けされてもよい。後者の事前に成型されたパッケージは、PSSチップの周囲を直接成型するパッケージよりも容易に実現される。
【0072】
上述したように、本発明は、詳細には、光学的処理を行う一つまたはそれ以上の微細構造化層の設計、及び(光変換に使用される場合、ベアのLEDダイと任意の蛍光体層との組合せを意味する)LEDベースの発光構造体の上の微細構造化層の懸架(suspension)に関する。
【0073】
微細構造化層は、光学的に透明で、熱的に安定した材料を含み、支持構造体は、微細構造化層(又は、必要な場合はベース層)をLEDベースの光エミッタ上方で0.5mm以下の高さに支持する。本発明によって、特に近接蛍光体を使用する場合、
図3に示される高さ寸法を低減させることができることがある。
【0074】
微細構造は、ポリイミド材料で形成されてもよい。微細構造化層は、代りに、射出成型によるガラスで形成されてもよく、又はパターニングされたサファイア(若しくは他のセラミック)プレートを使用して形成されてもよい。
【0075】
幾らかの好ましい実施形態では、微細構造化層は、(高屈折率シリコーンなどの)シリコーン、又は、ハイブリッドシリコーン、例えば、メチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、フェニルシロキサン、エポキシ官能性シロキサン、又は、高屈折率シリコーン、或いはそれらの混合物、などを含んでもよい。通常の(すなわち、ハイブリッドではない)シリコーンは、2つの主なタイプ、すなわち、置換メチルと置換メチルフェニルとに分類され、第3のタイプは、置換フェニルである。
【0076】
ハイブリッドシリコーンは、付加的な機能性、及び、典型的には、より高い有機成分を有する他の基を有する。
【0077】
シリコーンは、主として、シロキサンポリマー鎖に結合されたシロキサン基から構成される材料である。シロキサン基は、(−O−Si(R
1R
2))
nから構成され、これは、酸素原子によってポリマー鎖に結合されたn個のシリコン原子が繰返し結合したものである。
【0078】
この鎖は、R
1及びR
2の側鎖基(side group)によって表わされる、シリコン原子上の側鎖基を有することができる。例えば、メチルシリコーンは、側鎖基としてメチル基を有し、ここで、R
1及びR
2は、同一で、−CH
3メチル基から構成される。
【0079】
メチルフェニルシリコーンは、メチル基から構成された1つの基R
1、及びフェニル基から構成された1つの基R
2を有し、又は、R
1及びR
2の位置に置換メチル基を有するシロキサン基、並びに、R
1及びR
2の位置に置換フェニル基を有するシロキサン基の繰返し単位又はブロックから構成される。
【0080】
他の側鎖基の例は、エチル、プロピル、ブチル、又はビニルである。同一のシロキサン鎖内部で様々な側鎖基の混合物が使用されてもよい。シリコーン材料は、通常、低量で存在する他の化学的性質の基を使用して、いくつかの位置で架橋されている。例えば、シロキサン鎖は、ビニル基が鎖の端部に存在するビニル末端シロキサン鎖などの、炭素−炭素二重結合を有するビニル基を含有していてもよい。ビニル基は、隣接するシロキサン鎖を一緒に連結してネットワークを形成するために、過酸化物などの活性体を使用して、別のシロキサン鎖上のメチル側鎖基と反応することができる。また、ビニル基は、R
1若しくはR
2の位置の一部に、又は、鎖の端部に存在するような、隣接するシロキサン鎖上に存在する水素化物(−H)基と反応することができる。そのような架橋反応は、白金(Pt)触媒によって触媒作用を受けてもよい。次いで、2つのシロキサン鎖は、ビニル基に由来する、−CH
2−CH
2−架橋基を介してシリコンSi原子において相互に接続される。
【0081】
ハイブリッドシリコーンは、有機成分を増加させたシリコーン材料である。このハイブリッドシリコーンは、炭化水素セグメント又はブロックをシロキサン鎖及び/又はシロキサン鎖上の側鎖基に導入することによって実現され得る。炭化水素部分は、材料に特定の性質を与える他の官能基を含有することがある。例えば、炭化水素基は、官能性エポキシ、例えば、脂環式エポキシ基を含有する側鎖基であってもよい。そのような基は、適切なUVイニシエータを使用してハイブリッドシリコーンネットワークを架橋するためにUV硬化を行うことが可能である。
【0082】
別の例として、官能性エポキシは、エポキシプロポキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンなどの鎖の末端基(end group)に存在してもよい。
【0083】
また、シリコーン又はハイブリッドシリコーン樹脂は、例えば、樹脂をシリカ粒子で充填することによって機械的性質に影響を与えるように、充填されてもよい。充てん剤としてシリカを使用することによって、光学的透明性が保持され、わずかなヘイズ/散乱が発生することがあるが、これは、薄層の光学機能では許容され得る。
【0084】
別の例では、微細構造化層は、ケイ酸塩若しくはハイブリッドケイ酸塩、又はゾルゲル材料、特に、イオン構造ではなくT分岐又はQ分岐材料を含んでもよい。シロキサンとは対照的に、このタイプのケイ酸塩又はハイブリッドケイ酸塩中のシリコン原子は、酸素原子を介して3つ以上の結合位置で隣接するシリコン原子に結合されている。例えば、SiO
2などの純粋なケイ酸塩は、通常の結晶の仕方で酸素原子を介して4つの位置でネットワーク中の隣接するSi原子に結合されて、石英と呼ばれ、又は、不規則な非晶質的な仕方ではケイ酸塩ガラスなどと呼ばれる。また、ケイ酸塩は、酸素原子を介してSi原子の3つの結合位置で隣接するSi原子に結合された材料を指すことがある。Si原子の第4の結合位置は、一般にRと呼ばれる、様々な基を含有することがある。
【0085】
そのため、このタイプのケイ酸塩は、化学的に(−(R)SiO
1.5−)
nと呼ばれることがあり、ここで、整数のnは、構造の繰返し結合を表わす。シリコン原子に結合されたR基は、シロキサン中に存在する、1つのシリコン原子当たり2つのR基と同様の様々な化学基から構成されてもよい。例えば、適切な、非常に熱的に安定したケイ酸塩は、メチルケイ酸塩(−CH
3SiO
1.5−)
nである。他の化学側鎖基は、一般に、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基などのアルキル基であってもよい。また、側鎖基は、ビニル、アクリル、又はエポキシ基を含有してもよい。これらの後者の例は、反応性であるため、これらは、適切な光開始剤を使用して、例えば、UV光によってこれらの基を介して層を硬化することができる基として機能することができる。炭素を含有する、有機の基をより多く含むこれらのケイ酸塩は、ハイブリッドケイ酸塩と呼ばれることがある。様々な側鎖基が、同一の層内部で組み合わせられてもよい。
【0086】
クラックが形成されることなくより厚い層を実現することができるように、層は、微粒子によって強化され又は充填されてもよい。添加される粒子は、典型的にはナノ粒子であり、このナノ粒子は、これらの粒子が十分に小さく、例えば、直径が100nm未満で、層の内部でよく分散している場合は、層の透明度を保持することができる。一例は、例えば、10〜20容積%、シリカナノ粒子で充填されたメチルケイ酸塩の層である。比較的薄い微細構造化層に構造のインプリントを可能にするために、シリコーンよりも脆いこれらの材料では、細かな微小サイズの構造が好ましい場合がある。シリコーン又はハイブリッドシリコーンに対しては、層の弾性によって、通常、より容易に厚い、例えば、100ミクロンの厚さの被覆層の実現が可能になり、したがって、比較的粗いピッチの微細構造のインプリントも可能になる。
【0087】
ケイ酸塩層を、シリコーンと同様にベースキャリア層に堆積させてもよい。これは、好ましくは、適切な前駆体(precursor)材料の液体被覆プロセスによって行われる。そのようなプロセスは、典型的には、ゾル−ゲルプロセスと呼ばれ、このプロセスでは、前駆体材料は、通常、適切な溶媒中に溶解された、ベース層上に被覆される液体である。層を乾かす際、ゾル又は溶液が反応し、中間のゲル化フェーズを介して固体のケイ酸塩へと反応し、この反応は、温度を増加させることによって加速され、通常、添加される酸又は添加される塩基のいずれかによって触媒作用を受ける。このゾル−ゲルプロセス中に、液体又はゲル化状態において適切なスタンプを層に押しつけることによって、層がパターニングされ得る。溶媒のタイプ及び量に応じて、スタンプは、層から溶媒を吸収し、除去することができる。原盤スタンプ(master stamp)は、例えば、拡散によって溶媒の吸収及び除去が可能なシリコーンスタンプであってもよい。適切な前駆体材料の一般的な表現は、金属アルコキシドであってもよい。例えば、ゾル−ゲルプロセスによってメチルケイ酸塩の固体層を得るために、シリコンアルコキシドであるメチルトリメトキシシランの溶液が酸性の水に溶解される。この酸は、例えば、マレイン酸又は酢酸である。アルコキシドは、加水分解され、結果としてメチルトリヒドロキシシランが形成され、十分に加水分解されるとメタノールとなる。被覆及び乾燥後、水酸基は、凝縮してケイ酸塩ネットワークを形成し、反応の副産物として水が形成される。
【0088】
また、シリコンアルコキシドとは別の、金属アルコキシド前駆体に由来する他のゾル−ゲル材料としては、例えば、アルミニウムアルコキシド又はジルコニウムアルコキシド又はチタンアルコキシド又はそれらの混合物が使用されてもよい。
【0089】
ゾル−ゲル材料の商品例は、Ormocerの商品名で販売されている材料であり、この材料は、ゾル−ゲルプロセスによって液体状態から堆積させた材料のファミリーから構成されている。典型的には上記のような金属アルコキシド前駆体を使用する、様々な材料のタイプが存在する。UV重合又はUVパターニングが可能になるように、材料は、アクリル又はエポキシ基などのUV反応性基によって官能化されてもよい。
【0090】
上記の例のメチルトリメトキシシランモノマーに由来するメチルケイ酸塩の層などの、ゾル−ゲル由来の材料は、シリコーンよりも本質的に安定である。これは、酸素架橋基を介して3重のネットワークが形成されるためである。これらの材料は、シリコン上の2つの酸素を介して結合された通常のシリコーンが役に立たなくなる300℃以上の長期曝露に耐えることができる。
【0091】
微細構造化層は、自立していてもよい。そうでない場合は、微細構造化層は、ベース層上に設けられてもよい。また、ベース層は、熱的に安定している必要があり、例えば、ポリイミド又は熱安定化PENを含んでもよい。
【0092】
1つ又は複数の微細構造化層は、例えば、レーザーパターニングによってポリカーボネートシートの原盤スタンプを生成することによって製造され得る。次いで、原盤スタンプは、シリコーンに複製され、原盤(master)のネガ(negative)を形成することができる。次いで、この第2の原盤を液体シリコーン前駆体層にインプリントし、これを薄いベースフォイルに被覆し、固体層に硬化し、シリコーン原盤スタンプから剥離する。また、そのような原盤は、オリジナルの金属複製原盤を得るために、ニッケルなどの金属でめっきされカバーされてもよい。或いは、原盤は、金属原盤を生成するために金属部品の精密な切断/機械加工によって製造されてもよい。
【0093】
金属原盤のプレートは、シリコーン液体などの液体前駆物質材料の層をベースフォイルキャリアー支持体上に被覆することによって複製されてもよい。
【0094】
シリコーンを熱的に硬化し、原盤から剥離することができる。
【0095】
或いは、被覆液体は、シリコーン供給業者から市販されているようなUV硬化性シリコーン材料であってもよい。UV光露光によって、固定された微細構造化形状の状態で原盤から剥離することができる程度に層を硬化する。続いて、微細構造化層の完全な硬化を実現するために、層をオーブン中でさらに熱的に硬化することができる。
【0096】
これらのバッチ的なプロセスとは別に、液晶ディスプレイで使用される輝度増強フィルムなどの光学フィルムの生産において一般的なように、ロールツーロール(roll−to−roll)の被覆装置でフォイルを製造することも可能である。そのような機構では、ベースフォイルのロールがローラシステムによって引っ張られ、例えば、スロットダイ被覆を使用して、被覆前駆体の薄い液体層で被覆される。次いで、ロールは、原盤構造、例えば、ニッケル原盤を含む回転ドラムと接触する。UV光でフラッシュすることによって、前駆体は、ドラムとインプリント接触すると同時に硬化され、固体の微細構造化層を形成する。標準のUV硬化アクリル酸塩が使用されてもよい。しかしながら、高い熱的安定性を得るためには、UV硬化性シリコーン又はハイブリッドシリコーン材料などのシリコーン、例えば、シリコーンエポキシ材料が使用されてもよい。
【0097】
ベースフォイル(使用される場合に)は、PET又はPENなどのポリエステルであってもよい。熱安定化PENは、熱サイクルに対してより良好な耐性を示す。しかしながら、三菱瓦斯化学株式会社のNeopulim(商標)などの透明なポリイミドフォイルが好ましく、その理由は、このフォイルが約260度の高い半田温度に対する短期曝露に耐えるため、このフォイルによって、ビーム成形光学系によって形成されるキャップがパッケージのリフロー半田付け中にさらに一層高い温度に耐えることが可能になるためである。ベースフォイルに対する代替案は、可撓性のガラス、例えば、Corning社のWillow Glass、又は、薄い可撓性のサファイアである。薄いアルミナ、或いはYAG若しくはLuAG又はスピネルなどの他の透明セラミックスも可能である。
【0098】
ベースフォイルと、内部に微細構造が複製又はエンボス加工される構造化層との間で適切な接着力を得るために、接着促進中間層が適用されてもよい。典型的には、この接着促進剤は、薄い膜としてベースフォイル上に被膜される。接着促進剤は、ベースフォイルと、或いは、例えば、ベースフォイルのUVオゾン処理又は酸素プラズマ又はコロナ処理を使用することによって、事前に活性処理されたベースフォイルと反応することができる反応性化学基を含有してもよい。また、接着促進剤層は、シリコーン又はハイブリッドシリコーン被覆層と反応することができる、水素化物基又は炭素−炭素二重結合などの反応性基を含有してもよい。
【0099】
接着促進層は、ベース層と微細構造化層との間で十分な接着力を得るために、ベース層を微細構造化層とインタフェースする層である。この層は、典型的には、数ミクロン〜数十ミクロンの厚さの薄い層であってもよく、或いは非常に薄く、サブミクロン層、例えば、数百ナノメートルの厚さなどであってもよい。また、原理的に、接着促進層は、接着促進材料の単層の厚さと同じくらい薄くてもよい。
【0100】
接着促進層は、シリコーン又はシロキサン材料などの、純粋な接着促進材料自体、接着促進材料の混合物、又はバインダー層中に溶解された若しくは混合された接着促進層の混合物から構成されてもよい。適切な接着促進材料の一般的な例は、R
1−(R
2)−SiX
3などの、シランカップリング剤である。この一般式では、R
1基は、有機官能基を表わし、R
2基は、リンカー基を表わし、Siは、シランのシリコン原子を表わし、X基は、加水分解性基を表わす。
【0101】
加水分解性部分がX
3によって表わされる場合、これは、3つのそのような加水分解性基がシリコン原子に連結されていることを意味する。しかしながら、X
2によって表わされる、2つだけのそのような基が存在すること、又はXによって表わされる、1つだけの加水分解性基が存在することも可能である。後者の場合、Si原子に対する欠けている結合は、他の基によって、例えば、Si原子に結合されたメチル(−CH
3)基によって埋め合わされる。加水分解性基Xは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ若しくはブトキシ基などのアルコキシ基、又は、アシルオキシ基、又は、Clなどのハロゲン原子、又は、アミン基から構成される。これらの基は、水と反応することができ、したがって加水分解され、接着促進材料上にシラノール−Si−OH基を形成する。これは、例えば、材料の処理中に行われることがあり、その場合、吸水は、周囲の水分、被覆面上の水分の存在、又は添加された水分によって行われてもよい。
【0102】
シラノール基(silanol group)は、種々様々の酸化物若しくは酸化した表面と、例えば、表面に存在する他のシラノール基と、或いはベース層の酸化物若しくは酸化した表面又はベース層上に生成された水酸基−OH基と反応することができる。
【0103】
また、シランは、1つのSi原子の代わりに2つのSi原子を含有することができ、これは、ジポダールシランと呼ばれる。このシランが1つのSi原子当たり3つの加水分解性基を有する場合、これは、酸化物又は極性面への固定を促進するための加水分解後に1つの分子当たり合計6つの固定シラノール基があることを意味する。
【0104】
物理的な相互作用の促進によって接着力を改善するために、R
1基は、シロキサン鎖と反応して、シロキサン鎖に類似する共有結合又は基を形成することができる官能基を含有していてもよい。例えば、R
1は、水素化物基、ビニル基、アミン基、又はエポキシ基、或いはシロキサン基を含有していてもよい。1つの好ましい例は、メチルビニルジエトキシシラン又はビニルジメチルクロロシランなどのビニルシランであり、このビニルシランは、2成分シリコーン中に存在する、一般的な官能性水素化物と反応し、化学結合を形成する。
【0105】
リンカー基R
2は、種々様々の基から構成されてもよい。典型的には、スペーサ基のこのリンカーは、−(CH
2)
n−によって表わされる炭化水素鎖であり、ここでnは整数である。例えば、メチル(−CH
2−)若しくはプロピルスペーサ基(−(CH
2)
3−)などの短いリンカー、又はデシル基(−(CH
2)
10−)などの長い炭化水素スペーサ鎖である。より長いリンカー基は、分子に、より可撓性/可動性を与える。リンカー基が存在することは必須ではなく、上記のビニルシランの例のように、リンカー基は、存在しなくてもよい。微細構造を含有するシリコーン又はハイブリッドシリコーン層は、通常R
1基上又はX基上で接着促進剤と相互作用することができる反応性基などの官能基を有するシロキサン鎖から構成されてもよい。例えば、シロキサン鎖は、例えば、2成分付加硬化シリコーンにおいて一般的な、ビニル基若しくは水素化物基、又は1液型シリコーン縮合硬化材料において一般的なシラノール末端ポリジメチルシロキサンなどのシラノール基、或いはアミノ基、例えば、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンを含有してもよい。
【0106】
他の官能基は、アミン官能性シロキサン又はエポキシ官能性シロキサンを含んでもよい。さらに他の官能基は、アルコキシ基、又はアセトキシ基を含んでもよい。また、様々な官能基の組合せが使用されてもよい。
【0107】
例えば、シリコーン材料をベース層上に被覆又は投射することによって、シリコーン材料を施している間、これらの反応性基は、典型的にはシリコーン材料の前駆体又は液体状態で存在する。シリコーン前駆体を硬化することによって、固体のシリコーン層が形成される。同時に、接着促進層への結合が相溶性官能基に対して行われる。
【0108】
シランとは別の他の接着促進材料は、チタン酸塩又はジルコン酸塩を含んでもよい。これらは、典型的にはシラン官能基よりも反応性が高い。例えば、アルコキシチタネート又はチタンアセチルアセトネートが使用されてもよい。例えば、テトラエチルチタン酸塩は、適切な接着促進剤である可能性がある。これらは、シロキサン結合剤に組み込まれ又は混合され、接着促進層として堆積させることができる。また、接着促進剤は、性能向上のために、混合されてもよく、例えば、チタン酸塩がビニルシランなどのシランと混合されてもよい。
【0109】
接着促進材料は、層の堆積を容易にするために適切な溶媒と混合されてもよい。
【0110】
また、低濃度の接着促進剤分子を、微細構造化層を形成するシリコーン又はハイブリッドシリコーン樹脂に添加してもよい。これによって、別個の接着促進層を必要とすることなく、ベース層への改善された接着力を可能にするのに十分である場合があるが、別個の界面層が一般にはより効果的である。
【0111】
接着促進剤が反応するベース層上にアンカー基を生成するために、当業者に知られている表面処理、例えば、コロナ処理、UVオゾン処理、酸素プラズマ処理、又は火炎処理などが必要とされる可能性がある。例えば、ベース層がポリイミドである場合、接着促進層の固定を促進するように酸化によって表面を活性化するために、そのような表面処理が望まれる。
【0112】
図4は、ベース層40の形態の1つの微細構造化層及び上記のような形態の微細構造化層42の設計を示す。任意選択の接着促進層は、43として示されている。
【0113】
この例は、コリメーション機能を行う1組の平行な隆起部41の形態の構造を有する。各隆起部は、先端41aを有する。
図4は、隆起部の頂点又は先端41aの上部頂角θを示し、この角度は、例えば、90度又は100度、又は実のところ、例えば、70〜130度の範囲内の他の角度であってもよい。好ましい実施形態では、図示されるように、隆起部の側面は、対称である。
【0114】
隆起部は、湾曲したレンズ面ではなく、平らな側面を有し、これは、光源と微細構造化層との間の距離が光学機能にとって重要ではないことを意味する。
【0115】
図示される例における隆起部41は、直線状で、それによって一次元の繰返し構造を形成する。代りに、二次元の繰返し構造があってもよく、それによって、二次元アレイのプリズム同様な構造を形成する。プリズム同様な構造は、一直線で配置されなくてもよく、代りに、湾曲路に沿って配置されてもよい。
【0116】
隆起部はすべて、同一の設計、すなわち同一の上部頂角、同一の幅(すなわち
図4の左右方向に)、及び、同一の高さ(先端から谷まで)であってもよい。各隆起部の微細素子は、全角拡がり光源によって照明されてもよく、次いで各素子が所望のビームパターンを提供する。したがって、同一の上部頂角を有する構造の繰返しは、全光源領域をカバーすることができ、所望のビーム形状を提供する光学出力窓を可能にする。構造の繰返しピッチ及び高さは、原理的に同一の上部頂角に対して変動してもよく、結果として同様のビームプロファイルが生じる。
【0117】
このコリメーター設計は、適切な熱特性を有する材料の使用と相まって、全体のパッケージを所望の高さに低減させることができ、同時に光学コリメーション機能を効果的なものにすることができるばかりでなく、パッケージのリフロー半田付けを行う能力を維持する。
【0118】
上に挙げた多岐にわたる例の一つとして、低屈折率シリコーン(例えば、メチルシロキサンなどの、メチルシリコーンタイプ)が、屈折率n=l.41を有する構造化層42として使用されてもよい。シリコーン材料は、LED用途に対して優れた光熱的安定性を示す。
【0119】
上に挙げた多岐にわたる例の代替形態は、1.51〜1.53の屈折率を有するメチルフェニルシロキサンタイプである。一般に、微細構造化層は、典型的には、エアギャップを使用する実施態様に対して1.3〜1.65の屈折率を有することができる。また、さらに高い屈折率のシリコーン、例えば1.61の屈折率を有する高屈折率シリコーンが使用されてもよい。そのような高屈折率シリコーンは、典型的には、例えば、高屈折率ナノ粒子をシリコーンに添加することによって、又は屈折率を増加させる特定原子をシロキサン鎖中に導入することによって特別に開発される。
【0120】
ベース層40は、主として、所望の構造特性及び熱的安定性を満たすように選択される。ベース層の屈折率は、ベース層の界面が互いに平行であり、最終的には光線方向に影響を及ぼさないため、それほど重要ではない。しかしながら、空気界面でのフレネル反射が最小化されるような低屈折率が好ましい。
【0121】
上に挙げた多岐にわたる例の1つの好ましい例として、ベース層は、ポリイミド膜であってもよい。
【0122】
本例における微細構造化光学素子の形状は、したがって断面の厚さ方向に延在するプリズム状の溝構造である。
【0123】
ユニットの外形状は、任意の適切な形態を取ることができ、例えば、ロゴ又は他の記号が発光面において目に見えるようにすることができる。全体のハウジングは、代りに、所望の審美的な形状で設計されてもよい。もちろん、周辺部は、単に、正方形若しくは矩形、三角形、細長いストリップ、リング形状、又はビームパターンを変化させることのないその他の形状であってもよい。
【0124】
図5は、より明瞭に示されたビーム成形光学系の1つの例示的な設計を有するLEDフラッシュユニットを示す。ビーム成形光学系は、支持構造体(すなわち、ハウジング14)の開放上部51の上の第1の微細構造化層50、及び、第1の微細構造化層の上の第2の微細構造化層52を有する。これらの微細構造化層それぞれは、光源と反対向きの細長い平行の隆起部の規則的なアレイを提供する構造化層を有する。左の画像は、上部プリズム状構造52が実線であり、底部プリズム状構造50が点線(隠線)であるプリズム配向の平面図であり、この画像は、隆起部が交差角度53で交差していることを示す。右の画像は、鉛直面を通る、すなわち、基板に垂直な断面を示す。また、
図5は、支持構造体(すなわち、ハウジング)によって画成される側壁57を示し、これらは、反射性でもある。
【0125】
2つの層50、52は、
図4を参照して上で説明したような同一の設計特微を有する。したがって、隆起部は、湾曲したレンズ面ではなく、平らな側面を有する。各層の内部では、隆起部はすべて、同一の設計、すなわち同一の上部頂角、同一の幅(すなわち、
図4の左右方向に)、同一の高さ(先端から谷まで)であってもよい。また、2つの層は、互いに同一の設計を有してもよい。
【0126】
図5の例は、LEDダイの上に蛍光体18を有する青色LED10の形態のLEDベースの発光構造体向けである。本発明によって可能になった0.5mmの高さ限界は、この場合、図示されるように、蛍光体層18の上部と、ビーム成形光学装置50、52の第1の微細構造化層底部との間の距離である。
【0127】
(
図3(c)に、(d)及び(f)に示されるような)グープ蛍光体の場合は、高さ要件は、グープ蛍光体の上部と、ビーム成形光学装置の第1の微細構造化層との間の間隔に関連する。そのような場合、LEDベースの発光構造体は、LED及びグープ蛍光体を備える。重要な側面は、光学ビーム成形機能が一体化されたユニットをリフロー半田付けすることが可能であることであるが、薄い蛍光体グープを使用することによって、ユニットの全体的な厚さをここでも低減させることができる。しかしながら、厚さを最小にするためには、
図2(a)及び
図3(a)に示されるような近接蛍光体が好ましい。
【0128】
(図示されるような)2つの、直交して配列された層を使用して、両方向にコリメーションを実現することができる。しかしながら、図示される直交方向は、必須ではない。2つの層の隆起部は、例えば、30〜150度の角度、より好ましくは50〜130度、より好ましくは70〜110度で交差することができる。
【0129】
0.5mm未満に低減させた間隔が示されている。限界では、ビーム成形光学系は、(蛍光体を使用しない場合は)LED、又は、LEDダイの上の蛍光体層に直接張り付けることができる。したがって、間隔は、0.4mm未満、又は、さらには0.3mm未満であってもよい。
【0130】
各層は、エアギャップであってもよい層55によって分離されているが、この層55は、(グルーのような)異なる材料であってもよいが、ここでも構造化層よりも実質的に低屈折率である。このことは、エアギャップを使用する場合よりも構造化層のより高い屈折率を必要とする。また、上部の(第2の)層は、層55、例えば、空気と同じであってもよい材料層56、又は、平坦化保護層を上部に接合するために使用されるグルーによってカバーされる。
【0131】
本質的に、本構造は、機能するために光学的コントラストを必要とする。各層が一緒に固着される場合、構造化層の屈折率を増加させる必要があり、光学的結合部の屈折率が低い必要がある。屈折率1.4のグルーを見い出すことができ、その結果、第1近似として、空気の屈折率1からグルーの屈折率1.4へ増加させるには、光学構造化層の屈折率も同様に0.4だけ増加させ、1.70〜2.05の範囲内にする必要がある。これによって、屈折率差を0.3〜0.65の範囲に維持する。
【0132】
典型的には、グルーは、1.3〜1.6の範囲の屈折率を有する。
【0133】
光は、微細構造化層に向かって上部でハウジングから出射する。微細構造化層の屈折率及び微細光学構造に応じて、光の一部を平行にすることができ、一部を、全反射によって高反射性ハウジングに向けて逆反射させることができ、このハウジング内で光が再利用される。再利用された光は、同一のメカニズムによって再び出射することができる。効率は、ハウジングの反射率、異なる媒体間の界面におけるフレネル損失、及び、媒体の吸収に依存する。
【0134】
図6は、単一の微細構造化層が点光源からの光学出力に影響を与えるシミュレーションを示す。
【0135】
入射角、屈折率(差)、及び隆起部(プリズム)の上部頂角に応じて、幾らかの光線は、全反射により反射されて戻されるが、他の光線は、上面から出射することができる。微細構造化層の平滑面は、光源の方に向けられている。入射角は、光源のサイズ、光源の位置、及び、ビーム成形光学系からの距離によって決定される。通常、遠隔蛍光体アーキテクチャ(
図2(c)〜
図2(e))に対しては、放射プロファイルが、ランバートに近いのに対し、近接蛍光体を有するLEDに対しては、微細構造化層に当たる光線の角度分布は、わずかにより指向性がある場合があるものの、実際的なすべての場合で、ランバート分布から著しくは逸脱しない。変えることができるシステムのパラメータは、したがってプリズムの上部(頂点)角度及び材料の屈折率である。
【0136】
(LEDが置かれる)ハウジング基部と微細構造化層50(又は、スタックの下部微細構造化層)との間のエアギャップのサイズは、全体のモジュールをできるだけ薄くするためにできるだけ小さくしておく。
【0137】
特に、エアギャップは、0.5mm未満、より好ましくは0.2mm未満、例えば、約0.1mm未満である。
【0138】
薄いエアギャップを保証し、かつ下方の微細構造化層がハウジングにくっつくのを防ぐために、任意選択で小さなスペーサ構造、例えば、小さな球状の若しくは棒状の粒子、又は、支柱などを低密度で適用して、2つの構成部品が広い面積にわたって互いに接触するのを防ぐことができる。同様に、下層50の構造化層と上層52の裏面との間の光学接触の可能性を低減させるために、そのような間隔をあけた構造物(spacing structure)が微細構造化層上で設計されてもよい。例えば、光学的隆起部に重畳させて、光学的隆起部の高さの上部で、わずかに、例えば、高さが10〜25ミクロン突き出した低密度の支柱が設計されてもよい。これによって、上層52の平坦面が微細構造の上部に接触するのを防ぐ。また、そのような間隔あけ(spacing)は、上層52の裏面に、例えば、下方の微細構造化層50の隆起部にほぼ垂直に位置合わせされたストライプ状のスペーサ構造の形態で適用されてもよい。
【0139】
取扱い及び使用において、デバイスの上部の微細光学面の構造を引っ掻き及び損傷から保護するために、任意選択の保護シート、典型的には、透明シート、例えば、透明なポリイミドシートが本構造の上に付加されてもよい。
【0140】
駆動信号をLEDに供給することができるように、ハウジングは、回路板に半田付けされる。上記の例は、光の効率的な再利用を提供する反射性基部及び側壁を有するハウジングを示す。しかしながら、これは、必須ではない。
【0141】
図7は、様々な代替パッケージを示す。
【0142】
図7(a)は、側壁がなく、PCBのないパッケージを示す。青色LEDチップ10は、裏面コンタクトを有するサファイアなどのキャリア基板上のエピタキシャル層から構成され、例えば、フリップチップアーキテクチャである。LEDチップ10は、ハウジング、したがって支持構造体を形成する白色シリコーン成型物などの反射層60によって取り囲まれている。蛍光体被覆61は、このパッケージをカバーし、光学構造層50、52は、接着剤によって周辺部でこのパッケージに貼り付けられている。
【0143】
図7のすべての例で、たとえ異なる蛍光体タイプが示されているとしても、蛍光体は、61として示されていることに留意されたい。
【0144】
接着剤は、
図5の層55を形成し、2つの微細構造化層50、52を互いに貼り付けるため、並びに、この組立体をパッケージに貼り付けるために使用される。この接着剤は、液体状態から固体状態に硬化されるグルー、又は、1片の接着テープであってもよい。接着テープは、熱硬化されるテープ、又は、部品の接続後にUV硬化されるテープであってもよい。
【0145】
図7(b)は、蛍光体層61がエミッタの領域に限定された、又はエミッタの領域よりもほんのわずかに大きい代替パッケージを示す。
【0146】
図7(c)では、蛍光体61は、チップよりも大きいが、パッケージの外側寸法よりも小さく、エミッタと蛍光体層との間に距離があり、近傍蛍光体を画成する。このギャップは、典型的には、透明なシリコーンで充填される。
【0147】
図7(d)及び
図7(e)では、リム64がパッケージ上に成型され、したがって、側壁を有する空胴を形成する。
図7(d)では、この空胴は、空か、或いはシリコーンなどの透明材料で充填されている。
図7(e)では、この空胴は、少なくとも単一の蛍光体材料、例えば、シリコーン材料内に埋め込まれた粉末蛍光体材料を含有する少なくとも単一の蛍光体層で充填されている。
【0148】
図7(f)は、フレーム66上の光学フォイル組立体によってキャップされた/カバーされた蛍光体61を含む平坦なLEDパッケージ10を示す。フレーム66は、ギャップを介してパッケージの周囲に配置され、或いは、フレームは、例えば、透明なシリコーン又は反射性シリコーンによってパッケージ10とフレーム66との間のギャップを充填することによって、LEDパッケージの周囲で接合される。
【0149】
図7のパッケージは、顧客がこれらのパッケージをPCBに半田付けすることができるように裏面コンタクトを有してもよい。或いは、これらのパッケージは、すでに薄いPCB裏面に事前に取り付けられていてもよい。この裏面PCBは、LEDパッケージ領域を超えて広がっていてもよい。PCB上には、フラッシュLEDモジュールとも呼ばれるフラッシュLED組立体が静電放電によって破損されるのを防ぐために、過渡電圧抑制器などのESD保護ダイオードが取り付けられてもよい。或いは、この保護ダイオードは、反射壁若しくは反射周辺部の内部など、LEDパッケージの内部に、又は、最も好ましくはないが、空胴の内部に集積化されてもよい。
【0150】
別の例として、
図8に示されるように、複数のLEDエミッタが同一のパッケージ内部で使用され、同一の光学ビーム成形構造によってカバーされ、コンパクトなマルチLEDエミッタとすることができる。フラッシュの発光色は、異なる白色色温度を有する2つのLED間の電流比を制御することによって制御され得る。
【0151】
図8は、共有基板72上の、異なる色温度を有する2つのLEDパッケージ10a、10bを示す。各LEDパッケージは、それ自体の蛍光体層61を有し、単一の全体構造を形成するための透明な充填材70がある。
【0152】
その場合、LEDユニットは、所望の画像知覚に応じて複数の色を放射するように制御可能に作られてもよい。例えば、第1のLEDは、例えば、6000Kの冷白色を放射することができるのに対し、第2のLEDは、例えば、2700Kの暖白色を放射することができる。結果として、カメラによって得られる画像は、写真家の望みに応じて、冷シーン又は暖シーンの設定で保存することができる。両方のLEDを同一のパッケージに入れることができるため、このデュアルチャネルフラッシュは、非常にコンパクトになり得て、それぞれがフレネルレンズを有する2つの別個のフラッシュLEDユニットを必要とする代わりに、1つのパッケージのコストに過ぎないおかげで、2つのレンズのスペース及び高いコストが節約される。
【0153】
また、共有パッケージの上部のビーム成形光学系は、光混合能力を有するため、チャネル間の制御可能な電流比によって両方のLEDを共同して動作させることによって、パッケージまでわずかな距離であっても、放射光分布の非常に良好な光混合がやはり可能になる。電流比を制御することによって、個々のLEDの両極端の色温度間で精密な調整を行うことができる。
【0154】
同様に、色調整可能色空間に広がるように、例えば、黒体放射体からの色点を逸らすことができるように、黒体線を上回る中間の色温度を有する第3のパッケージなどの第3のチャネルが追加されてもよい。同様に、第4のチャネルが追加されてもよく、又は、一般に、多チャンネルパッケージが同一のパッケージ内で実現されてもよい。
【0155】
パッケージを成形して所望の審美的外観を与えることができることを上で述べた。この外観は、所望の形状の外側を遮光することによって得られてもよい。遮光の1つのやり方は、ビーム成形光学系の上部に、打ち抜きされた形状を有する白色の反射フォイル又は鏡面反射鏡フォイルなどの別の反射構成部品を追加することである。そのため、光学系の外周部は、成形されないことがあるが、その場合、ビーム成形光学系をカバーする部分的な遮光層又は反射層を使用することによって、任意の形状が適用されてもよい。
【0156】
遮光された光は、光学層に面する高反射材料を使用して、好ましくは再利用される。遮光された/反射された光は、ビーム成形光学系及びパッケージと相互作用した後に出射する別のチャンスが与えられ、ここで光は、成形された開口部(複数可)を通して送出されるように位置をずらして遮光/反射層に送り戻されてもよい。
【0157】
所望の形状を生成する別のやり方は、微細構造化層、例えば、上部層を反射材料によってカバーすることによる。例えば、上部層は、白色シリコーン層などの、微細光学面構造を局所的に充填/カバーする白色反射材料を層の上に供出する又は印刷することによって部分的にカバーされてもよい。遮光層は、別個の層として、又は微細構造化層に堆積させた層として、ビーム成形光学系の上部に、上部と裏面との中間に配置されてもよい。遮光層が微細構造化層の中間に使用される場合、この遮光層は、光が所望のビームプロファイルで送出される領域の微細構造化層間のギャップを保持したままで、各層を一緒にして1つのフォイル組立体へと接合する機能を有することもできる。
【0158】
このように、デバイスのオフ状態において又は調光動作において、見る人の目をくらませずに、デバイスの所望の外観を与えるように、任意の所望の形状がエミッタ上に重畳され得る。
【0159】
上述したように、蛍光体の黄色の外観を見えなくするために散乱層を施すことが知られている。これは、上記の例に、特にハウジングの空間を充填するグープ蛍光体を使用する例に適用され得る。
【0160】
上記の例は、各微細構造化層上の平行な一直線の隆起部のアレイを使用する。これらの隆起部は、表面の領域の端から端にわたって均一のピッチを有することができる。しかしながら、これは、必須ではなく、ピッチは、局所的に変わってもよい。この場合、ピッチは、不規則である。不規則なピッチを設ける1つの可能性のある恩恵は、不規則なピッチによって隆起部の高さに差が生じ得るということである。その場合、下方の構造化層の最も高い隆起部の頂部は、上部構造化層を支持するためのスペーサとして機能するように使用されてもよく、一方で2つの層間の光学接触を低減させることができる。
【0161】
隆起部は、一直線又は連続的である必要はない。例えば、微細構造化層の領域は、隆起部が領域内部で異なる方向に延在する、例えば、格子縞パターンを形成する領域に分割されてもよい。各局所領域内部では、2つの層の隆起部は、所望の角度で交差し、2つの異なる方向に所望のコリメーションを行う。
【0162】
頂角は、典型的には、各構造化層の全体に対して一定である。しかしながら、これは、必須ではなく、頂角は、層の端から端にわたって変わってもよい。この変化は、典型的には、ほんのわずかであり、例えば、5度以内であり、その結果、すべての頂角が所与の範囲内(例えば、90〜110度)にある。
【0163】
コンパクトな照明ユニットは、典型的には、直径が8mm未満の開孔を有するが、この構成によって、厚さを相応して増加させることなく、デバイスのサイズを増加させることができる。
【0164】
上述のように、ハウジングは、反射性となるように作られてもよい。特に、ハウジングは、LEDチップよりも反射性が高い。拡散反射特性が鏡面反射よりも好ましく、その結果、光は、可能な限り少ない内部反射によってハウジングを出ていく。白色シリコーンは、拡散反射面を形成することができる。
【0165】
例は、2つの微細構造化層を示す。しかしながら、さらなる光学層が、例えば、色制御のために設けられてもよい。さらに、第3の微細構造化層がコリメーション機能の一部として使用されてもよい。
【0166】
さらに、上で明らかにされたように、本構造は、単一層に適用されてもよく、光学機能は、コリメーションである必要はない。レンズ機能などの他のビーム成形機能が実施されてもよい。
【0167】
関心領域の1つは、携帯電話向けのフラッシュLED用途である。また、フラッシュLEDモジュールは、フォトカメラ又はビデオカメラの画像カメラのフラッシュ、又は、タブレットなどの他の機器において一体化されたフラッシュ構成部品の一部として使用することができる。
【0168】
しかしながら、例えば、スポットライトにおいて考えることができる他の数多くのコンパクトな照明用途がある。本構成部品は、一般に、特定の光線ビーム強度分布が必要とされる用途で使用され得る。現在、この機能は、大部分は二次光学部品において実現されている。本発明によって、ビーム成形機能をLEDのすぐ上の、一次光学部品に移行させることができ、一方で本構成部品がリフロー半田付けプロセスに耐えることできる。
【0169】
可能な用途の幾らかの例は、例えば、事前に平行にされているが幅広いビーム分布を有するオフィス照明用のダウンライト、グレアを低減させた光分布を有する照明用途、例えば、垂直からの角度が閾値(例えば、60°)よりも大きな角度で放射される光を抑制することが望まれることがあるオフィス照明、コウモリの翼タイプの分布を提供する照明用途、例えば、オフィス、産業用、及び、アウトドア照明、並びに、例えば、横断歩道照明用の他の指向性/非対称の光分布である。
【0170】
これらの用途の多くでは、構成部品の横幅、使用するLEDの量、及び出力光の総量は、携帯電話に必要とされるものよりも大きいことがある。写真用のフラッシュパルスとは別に、本ユニットは、ビデオフラッシュ用として連続的に動作することもできる。
【0171】
図9は、幾らかの可能性のある所望の光学機能を示し、垂直に対する放射角度の関数としての強度を示している。
【0172】
図9(a)は、グレアの低減を提供する強度特性を示す。
図9(b)は、コウモリの翼状の分布を提供する強度特性を示す。
【0173】
図9(a)及び
図9(b)は、回転対称であってもよい。しかしながら、
図9(c)及び
図9(d)に示されるように非回転対称な機能も可能であり、本図では、回転非対称も示されている。
【0174】
微細構造化層は、LED10と反対向きであってもよく、又はLED10に向いていてもよい。これらの2つの可能性が
図10(a)及び
図10(b)に示され、本図では微細構造化層が80として示されおり、この層は、単一の自立層、又は、組み合されたベース層と微細構造化層、又は、複数の微細構造化層、又は、複数の微細構造化層とベース層の組合せを備えてもよい。図示されるように、層82は、微細構造化層の構造化表面上に設けられ、層84は、平坦面上に設けられている。上記のように、これらの層は、例えば、複数のビーム成形装置を一緒に接合するため、又は、ビーム成形装置をLEDベースの発光構造体に接合するため、又は、平坦化目的のため、又は、微細構造化層を損傷及び汚染から保護するため、又は、所望のエアギャップを画成するための接着層であってもよい。
【0175】
単一層構造は、例えば、ピラミッド形又は円錐形の構造を有することができる。
【0176】
図10は、エアギャップを設ける代わりに接合層80を使用する、単一層構造の2つの設計を示す。ビーム成形層は、80として示されている。
図10(a)では、保護及び平坦化を行う上部被覆層82がある。接合層84は、微細構造化層80とLEDとの間にある。LED層は、(
図10及び
図11において)層10’として概略的に示され、この層10’は、完全なLEDと周りのパッケージと蛍光体とを表わす。
【0177】
図10(b)では、微細構造化層80は、下向きの隆起部を有する。
【0178】
接合は、より良好な機械的安定性を与え、エアギャップを維持して制御する必要がなくなることによって、起こり得る信頼性の問題をなくすことができる。また、パッケージ組立体における利点がある可能性がある。
【0179】
そのような接合アーキテクチャの場合、微細構造の材料と、ビーム成形装置を取り巻く層との間で屈折率のコントラストを維持する必要が依然としてある。これは、
図10に示されるやり方に対して他のいくつかのやり方で実現されてもよい。
【0180】
図11(a)は、エアロゲル(aerogel)などの低屈折率材料85、及び、LED10’と微細構造化層80の平滑面との間の接合層86を示す。例えば、接合層は、低屈折率を有する必要はなく、接合層は、n=l.4を有してもよい。このように、ビーム成形装置80の真下に2つの層85、86がある。
【0181】
図11(b)は、低屈折率材料85、一方の側の(低屈折率材料と微細構造化層80との間の)接合層86、及び、反対側の(低屈折率材料とLED10’との間の)第2の接合層87の三層構造を示す。
【0182】
層間の接合は、全領域の端から端にわたって延在する必要はない。
図12は、2つの例を示す。
【0183】
図12(a)は、ビーム成形装置80、82の真下にエアギャップの形態の低屈折率層を有する部分的な接合アーキテクチャを示す。部分的な接合は、通常の屈折率材料の接合層88(例えば、n=l.4)を使用して実施され、パッケージの側部のみで接合する。接合層88と蛍光体20(又はLED10’のもう一方の上面)との重なり合いはない。
【0184】
図12(b)は、1組のピラーを形成する接合層89を示し、ここでもこの接合層89が今回は、下にある蛍光体20(又はLEDの他の上面)と接触している部分的な接合を提供する。
【0185】
この場合、通常の屈折率材料が接合層に使用されてもよい。エアギャップは、例えば、
図12(b)の例において、比較的小量の領域のみを接合に使用することによって、効果的に維持される。グルーのドットがLED構造の上部に適用されてもよく、或いは、支持構造体がベース層80の裏面上に設けられてもよい。
【0186】
部分的な接合の場合は、異なる設計ルールが適用されてもよい。蛍光体と重なり合う領域の合計は、できるだけ小さくしておく必要がある。特定の屈折率の値及びビーム要件に応じて、可能な領域を設定する基準が導出され得る。
【0187】
したがって、LEDとビーム成形装置との間に複数の層を使用する様々な設計があり、これらの層のうちの1つが低屈折率であり、この低屈折率層は、気体(すなわち、空気)又は固体(例えば、エアロゲル)であってもよい。
【0188】
上述のように、構成部品は、リフロー半田付けに耐えるように設計される。完全性を期すために、時間に対するリフローオーブンの温度プロファイルの一例が
図13に示されている。
【0189】
2つの両極端な曲線90及び92が示されている。予熱温度段(stage)94、ランプアップ段96(最大斜度3度/秒)、ピーク段97、及びランプダウン段98(最大斜度6度/秒)がある。
【0190】
本明細書に記載される様々な材料は、それ自体公知であり、それらの熱的及び機械的性質も公知であることに留意されたい。例えば、適切なシリコーン材料は、その高い安定性の結果としてLED産業においてLEDパッケージに広く使用されている。
【0191】
本用途において適切な材料を使用することによって、粘着性がなく、リフロー半田付けが可能で、例えば、特に光学的な光コリメーションを行うための適切な光学微細構造を有するフォイルの構築が可能になる。
【0192】
図14は、モバイル携帯機器100の一部であるカメラを示す。カメラは、カメラ光学センサ102、及び、フラッシュとして機能する本発明のLEDユニット104を有する。光学センサは、図にも示されるように、行105及び列106が直交するセンサ素子107を備える。
【0193】
上述のように、微細素子は、上部頂点を有する構造を備える。意味するところをより明瞭に示すために、
図15は、2つの可能な例を斜視図で示す。
【0194】
図15(a)は、上で詳細に説明したような平行の隆起部構造を示し、したがって
図4の構造を斜視図で示している。この場合、一次元の繰返しを示す直線状に延在する隆起部41(又は谷)がある。隆起部は、線の形態の上部頂点41aを有する。隆起部の側面は、平らであり、したがって、レンズ機能を有さない。代りに、層42の領域の端から端にわたって光学機能の繰返しがある。
【0195】
隆起部は、二次元の繰返しを形成するピラミッドであってもよい。
【0196】
図15(b)は、円錐体110のアレイを示す。これらの円錐体110は、単一の側面を有し、点の形態の上部頂点に達するように先細りになっている。図示されるように、各点は、規則的なグリッドを形成することができるが、ここでも各コーンは、一直線に又は曲線状に配置されてもよい。円錐体の場合、側壁は、湾曲しており、平らではない。しかしながら、側面は、基部から頂点110aまで一直線に延在し、したがって、ここでも湾曲したレンズ面はない。層42に垂直な面を通り、頂点110aを通過する断面では、側面は、一直線である。
【0197】
光学層42のこれらの設計は、(フレネルレンズのような)結像機能ではなく、光再利用機能を行う。光学構造(円錐体、プリズム、ピラミッド)のパターンは、繰り返しであり、光学窓をカバーする。
【0198】
同一の頂角に対して、異なる、プリズム又は隆起部又は円錐体の高さが使用されてもよいことに留意されたい。したがって、ピッチは、同一の頂角に対して変動してよく、一方で高さを変化させる。これは、同一の光学的効果を与える。対称のピラミッドに対しては、単一の頂角であるが、矩形の基部を有するピラミッドに対しては、考慮すべき2つの頂角がある。2つの頂角を用いて、ビームコリメーションを2つの垂直方向にかなり独立して制御することが可能である。
【0199】
光学層の光再利用機能(light recycling function)が
図16に示されている。この図は、
図11(a)に示されるタイプの層42を示す。光源は、層112によって表わされている。層112は、蛍光体層であり、この光源は、光を蛍光体層の領域の端から端にわたって比較的一様に放射する。
【0200】
層42は、軸上コリメーションを提供する。各微細構造は、受光円錐体を有する。各頂点に通じる先細りの側壁によって、垂直方向の光は通過することができない。この光は、隆起部側面での全反射により、矢印114によって示されるように再利用される。このことは、隆起部、ピラミッド、及び、円錐体に等しく当てはまる。したがって、受容円錐体の外側で光の再利用があり、フォイルの垂直により近い光が(散乱)光源に逆反射され、この光が他の方向に無作為に散乱され、層42を通過する別のチャンスをこの光に与える。
【0201】
LEDは、青色光を一部変換する蛍光体層の真下に(又は内部に)ある。全体の効果は、白色光が蛍光体層から放射されるということである。この蛍光体層は、好ましくは微細構造を有する光学層42とほぼ同一の領域を有する。また、LEDは、白い反射性の空胴内に挿入されてもよい。その結果、輝度が発光領域全体にわたってかなり一定となり、それによって、その領域の端から端にわたる異なる微細構造への入射角が光源の領域全体にわたって極めて均一となる。
【0202】
頂角(
図16のα)及び材料は、いたるところで同様であるため、角度コリメーションの分布も各微細素子に対して同様である。初期の光出力が不均一な場合でさえ、垂直方向に放射された光は、上で説明したように再利用され、次いで散乱される。反射ハウジングの効果と相まって、微細構造化層42の比較的均一な照明が得られる。微細素子それぞれは、本構造の異なる空間領域が入射光を同じように方向付けるように所望のビームパターンを形成する。
【0203】
フレネルレンズでは、屈折レンズ領域及び反射リム領域などの異なる領域が必要とされる。その場合、入射光は、レンズが適切に働くように特定の角度範囲で入る必要がある。本出願に記載されたビーム成形装置では、十分な角度広がりの光源の出力がすべての空間的位置で入射することができる。
【0204】
ひいては、このことは、本設計がデバイスの中心でのLEDの位置合わせに敏感ではないことを意味する。同様の効果を得るために、LEDは、空胴内部の異なる位置に配置されてもよい。また、例えば、同一の分布でより大きな出力パワーを得るために、複数のLEDが空胴内部に設けられてもよい。
【0205】
フレネルレンズに対して、エミッタは、レンズの光軸において配置される必要があり、エミッタは、レンズと比較して、サイズが小さくなければならない。また、フレネルレンズは、LEDエミッタを拡大する。蛍光体変換LEDに対して、このことは、典型的には、黄色の外観を増大させる。集束光学系の代わりに再利用光学系を使用することによって、(LEDからの垂直の角度の光が反射されるため)直接的なLED像が抑制される。白色の、又はLEDの真上の蛍光体と比較して低濃度/黄色の蛍光体を含有することがある空胴の内部の「像」を生成する垂直から外れた角度が主として送出される。したがって、デバイスのオフ状態における黄色の外観を低減させることができる。
【0206】
成形された、(例えば、会社のロゴとして成形された)開孔によってフラッシュモジュールをカバーすることは、上で説明した光学機能を分布させた結果としてビーム成形機能に影響を与えない。効率は、もちろん低下する。フレネルレンズとともに、ビーム形状は、部分的な形状しか送出することができないことによって影響を受ける。
【0207】
開示された実施形態に対する他の変形形態は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲を研究することで、請求項に係る発明を実行する際に、当業者によって理解され、達成され得る。特許請求の範囲において、単語「備える(”comprising”)」は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「一つの(”a”又は”an”)」は、複数を排除しない。ある手段が互いに異なる従属クレームで詳述されているということだけでは、これらの手段の組合せを有利に使用することができないということを示さない。特許請求の範囲におけるいかなる引用符号も範囲を限定していると解釈されるべきではない。