特許第6646611号(P6646611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646611
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/11 20060101AFI20200203BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20200203BHJP
   B60R 7/04 20060101ALN20200203BHJP
【FI】
   H04M1/11 C
   B60R11/02 T
   !B60R7/04 C
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-71590(P2017-71590)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-174455(P2018-174455A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 充
【審査官】 田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103763419(CN,A)
【文献】 国際公開第2004/039628(WO,A1)
【文献】 特開2013−189120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02− 1/23
B60R 9/00−11/06
B60R 3/00− 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のための保持装置であって、
第1支持面を有するベース部材と、
前記ベース部材に所定の回動軸を中心として、前記第1支持面に対向する収納位置と、前記第1支持面に対して起立した使用位置との間で回動可能に設けられ、使用位置において前記第1支持面に載置される前記電子機器に当接する第2支持面を有する回動部材とを有し、
前記ベース部材及び前記回動部材の少なくとも一方に、前記回動軸に沿った方向において前記第1支持面を挟むように間隔をおいて設けられ、前記第1支持面に載置される前記電子機器の前記回動軸に沿った方向への移動を規制する一対の規制壁を有することを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記ベース部材は凹部を有し、
前記凹部の互いに対向する側壁面は、一対の前記規制壁を形成し、
前記凹部の底面は、前記第1支持面を形成することを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記回動部材は、収納位置において前記凹部に収容され、開口端を閉じることを特徴とする請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
一対の前記規制壁は、前記回動部材にも設けられ、
前記回動部材が収納位置あるときに、前記回動部材に設けられた一対の前記規制壁は前記凹部に受容されることを特徴とする請求項3に記載の保持装置。
【請求項5】
前記第1支持面は、前記回動軸側に向けて下方に傾斜していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つの項に記載の保持装置。
【請求項6】
前記回動部材が使用位置にあるときに、前記第2支持面は前記第1支持面に対して90度の角度をなすことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つの項に記載の保持装置。
【請求項7】
前記回動部材が収納位置近傍にあるときに前記回動部材を収納位置側に付勢し、前記回動部材が使用位置近傍にあるときに前記回動部材を使用位置側に付勢する付勢装置を有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つの項に記載の保持装置。
【請求項8】
前記付勢装置は、前記ベース部材及び前記回動部材の一方に設けられたカムと、前記ベース部材及び前記回動部材の他方に設けられ、前記カムに摺接する板ばねとを有することを特徴とする請求項7に記載の保持装置。
【請求項9】
前記回動部材には、前記回動軸と平行な方向に突出した突片が設けられ、
前記ベース部材には前記回動部材が収納位置にあるときに前記突片を、隙間をあけて受容する受容凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つの項に記載の保持装置。
【請求項10】
前記ベース部材には、前記回動部材が収納位置にあるときに当接する第1ストッパと、前記回動部材が使用位置にあるときに当接する第2ストッパとが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1つの項に記載の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォンやタブレットPC等の電子機器のための保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のコンソールパネルに、スマートフォン等の電子機器を支持するための保持装置を設けたものがある(例えば、特許文献1)。保持装置は、凹部を形成するベース枠と、ベース枠に共通の回動軸を中心として回動可能に支持された下ホルダ及び上ホルダとを有する。収納状態では下ホルダ及び上ホルダは互いに重ねられた状態で凹部内に配置され、使用状態では下ホルダ及び上ホルダは凹部から突出し、互いに90°の角度をなして電子機器の角部を支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−11507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の保持装置は、下ホルダを有するため、構造が複雑であると共に部品点数が多くなるという問題がある。また、ベース枠は、上ホルダ及び下ホルダの2つの部品を受容する必要があるため、比較的サイズが大きくなるという問題がある。
【0005】
以上の背景を鑑み、本発明は保持装置を簡素かつ小型化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の一態様は、電子機器(11)のための保持装置(2)であって、第1支持面(21B)を有するベース部材(15)と、前記ベース部材に所定の回動軸(33)を中心として、前記第1支持面に対向する収納位置と、前記第1支持面に対して起立した使用位置との間で回動可能に設けられ、使用位置において前記第1支持面に載置される前記電子機器に当接する第2支持面(31A)を有する回動部材とを有することを特徴とする。
【0007】
この態様によれば、ベース部材と回動部材とによって電子機器の保持が可能になる。そのため、保持装置の部品点数を削減することができると共に、保持装置を小型化することができる。
【0008】
また、上記の態様において、前記ベース部材及び前記回動部材の少なくとも一方に、前記回動軸に沿った方向において前記第1支持面を挟むように間隔をおいて設けられ、前記第1支持面に載置される前記電子機器の前記回動軸に沿った方向への移動を規制する一対の規制壁(22又は32)を有するとよい。
【0009】
この態様によれば、第1支持面及び第2支持面に支持される電子機器の回動軸に沿った方向への移動や倒れが抑制される。
【0010】
また、上記の態様において、前記ベース部材は凹部(18)を有し、前記凹部の互いに対向する側壁面は、一対の前記規制壁(22)を形成し、前記凹部の底面は、前記第1支持面(21B)を形成するとよい。
【0011】
この態様によれば、規制壁が凹部によって形成されるため、規制壁がベース部材の外面に突出することがない。これにより、保持装置を小型化することができる。
【0012】
また、上記の態様において、前記回動部材は、収納位置において前記凹部に収容され、開口端を閉じるとよい。
【0013】
この態様によれば、回動部材が収納位置において凹部を閉じるため、収納状態では凹部が隠され、凹部に異物が侵入することが防止される。また、回動部材が収納位置において凹部に収容されるため、回動部材のベース部材からの突出が抑制され、保持装置を小型化することができる。
【0014】
また、上記の態様において、一対の前記規制壁(32)は、前記回動部材にも設けられ、前記回動部材が収納位置にあるときに、前記回動部材に設けられた一対の前記規制壁は前記凹部に受容されるとよい。
【0015】
この態様によれば、回動部材に設けられた規制壁が電子機器の保持するため、電子機器を安定性良く保持することができる。また、収納位置において回動部材に設けられた規制壁を凹部に収納することができる。
【0016】
また、上記の態様において、前記第1支持面は、前記回動軸側に向けて下方に傾斜しているとよい。
【0017】
この態様によれば、第1支持面に載置された電子機器は回動部材側に移動して第2支持面に当接するため、第1支持面と第2支持面によって電子機器を安定性良く保持することができる。
【0018】
また、上記の態様において、前記回動部材が使用位置にあるときに、前記第2支持面は前記第1支持面に対して90度の角度をなすとよい。
【0019】
この態様によれば、第1支持面と第2支持面とが電子機器の角部に確実に当接することができるため、第1支持面と第2支持面によって電子機器を安定性良く保持することができる。
【0020】
また、上記の態様において、前記回動部材が収納位置近傍にあるときに前記回動部材を収納位置側に付勢し、前記回動部材が使用位置近傍にあるときに前記回動部材を使用位置側に付勢する付勢装置(40、44)を有するとよい。
【0021】
この態様によれば、回動部材の収納位置及び使用位置間の移動が円滑になる。
【0022】
また、上記の態様において、前記付勢装置は、前記ベース部材及び前記回動部材の一方に設けられたカム(44)と、前記ベース部材及び前記回動部材の他方に設けられ、前記カムに摺接する板ばね(40)とを有するとよい。
【0023】
この態様によれば、簡素な構成で回動部材を収納位置及び使用位置に付勢することができる。
【0024】
また、上記の態様において、前記回動部材には、前記回動軸と平行な方向に突出した突片(48)が設けられ、前記ベース部材には前記回動部材が収納位置にあるときに前記突片を、隙間をあけて受容する受容凹部(49)が設けられているとよい。
【0025】
この態様によれば、使用者は突片を把持して回動部材を操作することができる。また、収納位置において突片が受容凹部に受容されるため、ベース部材からの突出を抑制することができる。
【0026】
また、上記の態様において、前記ベース部材には、前記回動部材が収納位置にあるときに当接する第1ストッパ(36)と、前記回動部材が使用位置にあるときに当接する第2ストッパ(21C)とが設けられているとよい。
【0027】
この態様によれば、回動部材の収納位置及び使用位置の位置が安定する。
【発明の効果】
【0028】
以上の構成によれば、保持装置を簡素かつ小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係る保持装置を備えたセンターコンソールの斜視図(収納状態)
図2】実施形態に係る保持装置を備えたセンターコンソールの斜視図(使用状態)
図3】保持装置の分解斜視図
図4】ベース部材の平面図
図5】収納状態における保持装置の断面図
図6】(A)回動部材が収納位置にある状態の保持装置の断面図、(B)回動部材が収納位置と使用位置の中間にある状態の保持装置の断面図
図7】(C)回動部材が使用位置にある状態の保持装置の断面図
図8】収納状態における保持装置の斜視図
図9】使用状態における保持装置の斜視図
図10】他の実施形態に係る保持装置を備えたセンターコンソールの斜視図(使用状態)
図11】他の実施形態に係る保持装置を備えたセンターコンソールの斜視図(使用状態)
図12】他の実施形態に係る保持装置の断面図(使用状態)
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の保持装置を自動車のセンターコンソールに適用した実施形態について説明する。
【0031】
図1に示すように、自動車のダッシュボードの一部をなすセンターコンソール1は、前後に延びている。センターコンソール1の上面には、保持装置2の取付部3が設けられている。センターコンソール1の上面における取付部3の側方には、電子機器11等の物品を収納するための凹部5が設けられている。凹部5には、凹部5内に向けて回動可能な蓋体6が設けられている。
【0032】
取付部3は、上方に向けて突出した中空状の凸部であり、上板部7と、上板部7の左右側縁から下方に延びた左右の側板部8とを有する。上板部7の上面は、後方に向けて下方に傾斜した傾斜面となっている。上板部7には、厚み方向に貫通する取付孔9が形成されている。取付孔9には、電子機器11を保持するための保持装置2が設けられている。図2に示すように、保持装置2が保持する電子機器11は、スマートフォンやタブレット型PC等を含む。電子機器11の外形は、長方形の板状(扁平な直方体)に形成されている。
【0033】
図3図5に示すように、保持装置2は、ベース部材15と、ベース部材15に回動可能に支持された回動部材16とを有する。ベース部材15は、一端から他端に略直線状に延在した部材であり、長手方向における中央部に長手方向に対して直交する方向に凹んだ凹部18を有する。凹部18は、ベース部材15の長手方向に延在した底壁部21と、底壁部21の長手方向に沿った両側縁に設けられた一対の側壁部22と、底壁部21の長手方向における一端端側に設けられた第1端壁部23と、底壁部21の長手方向における他端側に設けられた第2端壁部24とによって形成されている。
【0034】
図5に示すように、底壁部21の長手方向における一端を構成する底壁一端部21Aは、底壁部21の長手方向における中間部を構成する底壁中間部21Bに対して深さが段違いに深く形成されている。底板一端部と底板中間部との境界には、底壁一端部21A及び底壁中間部21Bに対して略直交し、面が一端側を向く底壁段部21Cが形成されている。
【0035】
底壁一端部21Aと第1端壁部23との境界部21Dは、曲面に形成されている。境界部21Dの凹部18側を向く内面は、一対の側壁部22と直交する軸線を中心とした、略90°の円周面に形成されている。
【0036】
底壁部21の長手方向における他端を構成する底壁他端部21Eは、底壁部21の長手方向における中間部を構成する底壁中間部21Bに対して深さが浅く形成されている。底壁中間部21Bと底壁他端部21Eとは、底壁中間部21Bから底壁他端部21Eにかけて深さが漸減するように傾斜した傾斜部21Fによって接続されている。
【0037】
ベース部材15の長手方向における両端には、板状の締結部26が設けられている。各締結部26は、第1端壁部23及び第2端壁部24の外面に設けられている。締結部26には、厚み方向に貫通する締結孔27が形成されている。
【0038】
図3図5に示すように、回動部材16は、基端から先端に略直線状に延在した板状の基板部31と、基板部31の裏面31Aの基端部から突出した一対の支持壁32とを有する。一対の支持壁32は、回動部材16の長手方向に延在し、互いに対向している。一対の支持壁32の互いに相反する側の側面には、それぞれ円柱状の回動軸33が突設されている。回動軸33は、回動部材16の長手方向に直交する方向に延び、かつ互いに同軸に配置されている。
【0039】
ベース部材15の一対の側壁部22の一端側の部分には、それぞれを厚み方向に貫通する支持孔34が形成されている。支持孔34は、断面が円形に形成され、ベース部材15の長手方向に直交する方向に延び、かつ互いに同軸に配置されている。
【0040】
回動部材16の各回動軸33は、ベース部材15の対応する各支持孔34に挿入され、各支持孔34に回動可能に支持されている。回動部材16は、底壁中間部21Bに対向し、先端部がベース部材15の他端側に位置する収納位置と、底壁中間部21Bに対して起立した使用位置との間で、ベース部材15に対して回動可能になっている。基板部31の裏面31Aの先端部が第2端壁部24の凹部18側の側面に突設された凸部36(第1ストッパ)に当接することによって回動部材16の収納位置が定められ、支持壁32の下縁が底壁段部21C(第2ストッパ)に当接することによって回動部材16の使用位置が定められている。凸部36及び底壁段部21Cは、回動部材16の収納位置及び使用位置を規定するストッパとして機能する。凸部36に当接する基板部31の裏面31Aには緩衝材55が貼り付けられ、底壁段部21Cには緩衝材56が貼り付けられている。
【0041】
一対の支持壁32の基端側の縁部は、支持壁32と直交する方向に延びる基端壁38によって互いに連結されている。基端壁38は、基板部31にも結合しており、基板部31の基端側の縁部に沿って延びている。一対の支持壁32及び基端壁38の外側面には、板ばね40を係止するためのばね係止部41が設けられている。板ばね40は、直線状に延びるばね中央部40Aと、ばね中央部40Aに対して略直角に折り曲げられた一対のばね端部40Bとを有して溝形に形成されている。ばね端部40Bのそれぞれは先端側ほど幅が広く形成されている。ばね係止部41は、各支持壁32の外側面に凹設された係止溝41Aと、基端壁38に突設された第1係止凸部41B及び第2係止凸部41Cとを有する。
【0042】
板ばね40は、自身の弾性によって一対のばね端部40Bの間に一対の支持壁32を挟持すると共に、ばね端部40Bのそれぞれが対応する係止溝41Aに嵌合することによって支持壁32に対して固定される。板ばね40の中間部は、基端壁38の外側面に隙間をおいて対向し、かつ第1係止凸部41B及び第2係止凸部41Cによって回動軸33を中心とした周方向への移動が規制されている。板ばね40は、ばね中央部40Aが弾性変形することによって、ばね中央部40Aが基端壁38に近づく方向に変位する。
【0043】
図5図7に示すように、ベース部材15の境界部21Dの凹部18側を向く面には、カム44が突設されている。カム44は、第1端壁部23から底壁一端部21Aに向けて延在する高さが一定のカム中間部44Aと、カム中間部44Aの両端に設けられ、それぞれの端側に向けて突出量(高さ)が漸減するカム傾斜端部44Bを有する。カム44は、板ばね40のばね中央部40Aに摺接することによってばね中央部40Aを弾性変形させ、回動部材16を支持孔34に対して径方向に付勢して支持孔34及び回動軸33間のがた付きを抑制する。また、カム44は、カム傾斜端部44Bにおいて板ばね40のばね中央部40Aに摺接することによってばね中央部40Aを弾性変形させ、回動部材16を収納位置側及び使用位置側に付勢する。このように、カム44及び板ばね40は、回動部材16を収納位置側及び使用位置側に付勢する付勢装置を構成する。
【0044】
本実施形態では、カム44は、2つ設けられ、互いに間隔をおいて並列に配置されている。2つのカム44と接触しないように、第1係止凸部41Bは2つのカム44の間に配置されている。第2係止凸部41Cとカム44とは、互いに接触しない高さに形成され、第2係止凸部41Cは2つのカム44を横切って回動軸33と平行に延在している。
【0045】
基板部31の裏面31Aには、各支持壁32を先端側に延長する一対の延長壁46が設けられている。支持壁32及び延長壁46は、互いに面一となる面に形成されている。
【0046】
基板部31の裏面31A、端壁部の内側面、支持壁32及び延長壁46の内側面は、それぞれ平面に形成され、互いに直交している。回動部材16が使用位置にあるときに、端壁部の内側面は、底壁中間部21Bの上面と接続し、面一となる。
【0047】
図3に示すように、基板部31の先端部の側縁には、回動軸33と平行な方向(長手方向と直交する側方)に突出した突片48が設けられている。ベース部材15の側壁部22には、回動部材16が収納位置にあるときに突片48を、隙間をあけて受容する受容凹部49が設けられている。受容凹部49は、側方に向けて開口している。
【0048】
図5に示すように、一対の締結部26がそれぞれ締結部材51によって上板部7の裏面に締結されることによって、保持装置2は取付部3に取り付けられる。締結部材51は、ねじやファスナ(クリップ)等であってよい。上板部7の裏面の取付孔9の周囲には、締結板の締結孔27を通過した締結部材51が結合する、雌ねじ孔等の結合孔52が形成されている。保持装置2は、ベース部材15の一端側が他端側よりも下位に位置するように(回動部材16の基端側が先端側よりも下位に位置するように)、取付部3に取り付けられている。保持装置2が取付部3に取り付けられた状態で、底壁中間部21Bの上面(凹部18側の面)は一端側が他端側に対して下位に位置するように水平面に対して傾斜している。
【0049】
以上のように構成した保持装置2の動作及び効果について説明する。図1及び図8に示すように、回動部材16が収納位置にあるとき、回動部材16の基板部31は凹部18の開口端を閉じ、基板部31の表面は取付部3の上板部7の表面と面一となる平面を形成する。このとき、延長壁46は凹部18に配置される。また、図6(A)に示すように、板ばね40は、ばね中央部40Aにおいてカム44の一側のカム傾斜端部44Bに当接し、回動部材16を収納位置側に付勢する。これにより、回動部材16は収納位置に保持される。
【0050】
回動部材16を収納位置から使用位置に移動させるには、使用者は突片48に指を引っ掛けて回動部材16を使用位置側に引き起こす。このとき、使用者は、板ばね40の付勢力に抗して、ばね中央部40Aをカム傾斜端部44Bに対して摺動させる。ばね中央部40Aが一側のカム傾斜端部44Bからカム中間部44Aに移動するときには、板ばね40がカム44から受ける抵抗力が変化するため、回動部材16に節度感が生じる。図6(B)に示すように、ばね中央部40Aが一側のカム傾斜端部44Bを通過してカム中間部44Aに乗り上げた状態では、ばね中央部40Aは弾性変形した状態でカム中間部44Aに圧接し、回動部材16の回動に対して摩擦抵抗を付与する。これにより、回動部材16の回動挙動に重厚感が付与され、商品性が向上する。
【0051】
回動部材16が使用位置近傍に移動すると、ばね中央部40Aはカム中間部44Aから他側のカム傾斜端部44B上に移動する。ばね中央部40Aがカム中間部44Aから一側のカム傾斜端部44Bに移動するときには、板ばね40がカム44から受ける抵抗力が変化するため、回動部材16に節度感が生じる。図7に示すように、ばね中央部40Aが他側のカム傾斜端部44Bに当接した状態では、復元力によってばね中央部40Aは他側のカム傾斜端部44B上を下る方向に摺動する。これにより、回動部材16は板ばね40によって使用位置側に付勢される。このようにして、回動部材16は使用位置に近づくと使用位置に引き込まれる。使用位置にあるときに、回動部材16は板ばね40によって使用位置側に付勢され、位置が保持される。
【0052】
回動部材16を使用位置から収納位置に戻すときにも、回動部材16が収納位置近傍に移動すると、ばね中央部40Aが一側の傾斜端部上を摺動し、回動部材16は板ばね40に収納位置側に付勢されて収納位置に引き込まれる。
【0053】
図2図7及び図9に示すように、回動部材16が使用位置にあるとき、回動部材16とベース部材15の凹部18とによって、電子機器11を保持するためのL字形の保持部が形成される。詳細には、第1支持面をなすベース部材15の底壁中間部21Bの上面と、第2支持面をなす回動部材16の基板部31の裏面31Aとが直交するように配置され、これらの面に電子機器11の90度をなす隣り合う側縁が載置される。底壁中間部21Bの上面と基板部31の裏面31Aとが傾斜しているため、電子機器11は重力によって底壁中間部21Bと基板部31の裏面31Aとの境界側に移動し、底壁中間部21Bの上面と基板部31の裏面31Aとに確実に接触する。そのため、保持装置2は電子機器11を安定性良く保持することができる。基端壁38は、底壁中間部21Bと連続した面を形成し、底壁中間部21Bを延長する効果を奏する。
【0054】
また、ベース部材15の一対の側壁部22と、回動部材16の一対の支持壁32及び延長壁46との間に電子機器11の縁部が配置される。側壁部22、支持壁32及び延長壁46は電子機器11の縁部に当接することによって、電子機器11の回動軸33の延在方向への倒れを防止する。すなわち、側壁部22、支持壁32及び延長壁46は電子機器11の倒れを抑制する規制壁として機能する。
【0055】
本実施形態に係る保持装置2は、ベース部材15と回動部材16とによって電子機器11の保持するため、保持装置2の部品点数を削減することができると共に、保持装置2を小型化することができる。
【0056】
電子機器11の倒れを抑制する規制壁として機能する側壁部22がベース部材15に凹設された凹部18の壁部によって構成されるため、規制壁として機能する壁がベース部材15の外面に突出することがない。これにより、保持装置2を小型化することができる。
【0057】
回動部材16が収納位置において凹部18を閉じる蓋として機能するため、収納状態では凹部18が隠され、凹部18に異物が侵入することが防止される。また、回動部材16が収納位置において凹部18に収容されるため、回動部材16のベース部材15からの突出が抑制され、保持装置2を小型化することができる。
【0058】
使用位置において第1支持面をなすベース部材15の底壁中間部21Bの上面と第2支持壁をなす回動部材16の基板部31の裏面31Aとが90°の角度をなすため、90°をなす電子機器11の隣り合う側縁に確実に当接することができる。また、回動部材16の回動範囲が90°であるため、使用者による回動操作量が小さく、操作が容易である。
【0059】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、図10に示すように、保持装置2は水平な面をなす取付部3の上板部7に取り付けられてもよい。また、保持装置2は、ベース部材15が取付部3の上板部7よりも上方に突出してもよい。ベース部材15は、上板部7の上面に結合されてもよく、締結部26において上板部7の裏面に結合され、本体部が取付孔9を通過して上方に突出していてもよい。
【0060】
底壁中間部21Bの上面が水平に配置される場合には、底壁中間部21Bの上面に電子機器11の回動軸33と直交する方向への移動を規制する規制手段が設けられているとよい。規制手段は、例えば図10に示すように底壁中間部21Bに突設された規制壁71や、図11に示すように底壁中間部21Bに貼付された摩擦係数が底壁中間部21Bよりも高いパッド72であってよい。規制壁71の位置は、電子機器11の大きさを考慮して任意の位置に配置されるとよい。パッド72は、例えばゴム等の電子機器11に密着し得る可撓性部材であるとよい。
【0061】
他の実施形態では、図12に示すように、底壁中間部21Bの上面は、ベース部材15の延在方向に対して回動軸側が下位に位置するように傾斜していてもよい。使用位置において、回動部材16の基板部31の裏面31Aは、底壁中間部21Bの上面に対して垂直となるように配置されるとよい。この構成によれば、保持装置2を水平な取付部3に取り付ける場合にも、底壁中間部21Bの上面を傾斜させることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 :センターコンソール
2 :保持装置
3 :取付部
11 :電子機器
15 :ベース部材
16 :回動部材
18 :凹部
21B :底壁中間部(第1支持面)
21C :底壁段部(第2ストッパ)
22 :側壁部(規制壁)
31 :基板部
31A :裏面(第2支持面)
32 :支持壁(規制壁)
33 :回動軸
36 :凸部(第1ストッパ)
40 :板ばね
44 :カム
44A :カム中間部
44B :カム傾斜端部
46 :延長壁(規制壁)
48 :突片
49 :受容凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12