【実施例】
【0030】
図1に示すように、射出成形機の型締装置(以下、型締装置と略記する。)10は、互いに平行に配置される固定盤11及び圧受け盤12と、これら固定盤11と圧受け盤12とに渡されるタイバー13と、固定盤11と圧受け盤12との間に配置されタイバー13で案内される可動盤14と、圧受け盤12を起点として可動盤14を固定盤11側へ押圧する機構(図示は省略。)とを主要素とし、固定盤11と可動盤14で金型を型締めする装置である。
【0031】
このような型締装置10は、可動要素を含むため、安全カバー20で覆われる。
安全カバー20は、型締装置10に付設され支持枠21と、この支持枠21に固定される固定カバー22と、支持枠21で水平移動自在に支持される安全扉23とからなる。
【0032】
固定カバー22は、固定盤11の近傍に立てられる前部カバー24と、型締装置10の下辺に沿って配置される下部カバー25と、圧受け盤12から可動盤14に掛けて配置され型締装置10の側面を覆う正面カバー26を含むカバー群である。正面カバー26は、安全扉23を収納する戸袋の役割をも果たす。
【0033】
図2に示すように、支持枠21は、図面表裏方向に延びる上部枠27と下部枠28とを備え、圧受け盤12にも連結されている。なお、支持枠21は鋼製フレームの集合体であり、その構成は任意である。
下部枠28には、下部レール31が敷設され、この下部レール31に車輪32が回転自在に載り、この車輪32で安全扉23が支持される。車輪32は、ローラやころでもよい。
【0034】
下部に設けた車輪32で支持される安全扉23は、上部を支持枠21に移動自在に連結されることで、安定した走行が確保される。
そこで、本発明では、安全扉23の上部を、連結機構40を介して上部枠27に連結するようにした。連結機構40の構造の詳細を、
図3に基づいて説明する。
【0035】
図3に示すように、連結機構40は、支持枠21側の上部枠27に取付けられ安全扉23の移動方向(図面表裏方向)に延びている第1レール41と、安全扉23の上部の裏面に取付けられ安全扉23の移動方向に延びている第2レール42と、第1レール41に移動自在に嵌っている第1スライダ43と、第2レール42に移動自在に嵌っている第2スライダ44と、第1スライダ43を一方の面で支え、第2スライダ44を他方の面で支え、第1レール41と第2レール42との間に配置される中間プレート45とからなる。
【0036】
上部枠27は、好ましくは、軽量角パイプ27aと、この軽量角パイプ27aに貼り付けた第1プレート27bとからなる。第1プレート27bは、雌ねじ部27cを設けることができる厚さの鋼材である。
【0037】
第1レール41は、六角穴付きボルト47を収納するねじ穴41aを有する。六角穴付きボルト47は、ボルト頭を含めてこのねじ穴41aに収納され、ボルト先端のみが第1レール41から突出する。このボルト先端を雌ねじ部27cにねじ込むことで、第1プレート27bに第1レール41が取り外し可能に取付けられる。
【0038】
第1レール41に嵌る第1スライダ43は、ボルト48で中間プレート45に固定される。好ましくは、第1スライダ43と第1レール41とに鋼球49を介在させる。このような形態の要素は直動ガイドと呼ばれ、摩擦抵抗が小さくなる。
【0039】
安全扉23の裏面の上部に、雌ねじ部23cを有する第2プレート23bが固定される。
第2レール42も、六角穴付きボルト47を収納するねじ穴42aを有する。六角穴付きボルト47は、ボルト頭を含めてこのねじ穴42aに収納され、ボルト先端のみが第2レール42から突出する。このボルト先端を雌ねじ部23cにねじ込むことで、第2プレート23bに第2レール42が取り外し可能に取付けられる。
【0040】
第2レール42に嵌る第2スライダ44は、ボルト48で中間プレート45に固定される。好ましくは、第2スライダ44と第2レール42とに鋼球49を介在させる。
【0041】
なお、第1・第2レール41、42と第1・第2スライダ43、44との間に鋼球49を介在させる他、鋼球49を介在させない形態のものでも良い。また、鋼球49は鋼製ころでもよい。
【0042】
以上に述べた連結機構40の構造を
図4に基づいて、詳述する。
図4に示すように、連結機構40は、支持枠21に取付けられ安全扉23の移動方向に延びている第1レール41と、安全扉23の裏面上部に取付けられ安全扉23の移動方向に延びている第2レール42と、第1レール41に移動自在に嵌まる一対の第1スライダ43と、第2レール42に移動自在に嵌まる一対の第2スライダ44と、一対の第1スライダ43を一方の面で支え、一対の第2スライダ44を他方の面で支え、第1レール41と第2レール42との間に配置される中間プレート45とからなる。
【0043】
好ましくは、一対の第1スライダ43と一対の第2スライダ44は、平面視で、千鳥に配置する。
中間プレート45の一方の面に第1スライダ43を当て、他方の面からボルト48を通し、ねじ込むことができる。次に、中間プレート45の他方の面に第2スライダ44を当て、一方の面からボルト48を通し、ねじ込む。千鳥配置であるため、ボルト48が第1・第2スライダ43、44に当たる(干渉する)心配がなく、ボルト48の取付け及びねじ込みが容易になる。
【0044】
好ましくは、第1レール41の左右端に各々第1ストッパ51を設け、第2レール42の左右端に各々第2ストッパ52を設ける。
第1ストッパ51により、第1レール41から第1スライダ43が脱落する心配が無くなり、第2ストッパ52により、第2レール42から第2スライダ44が脱落する心配が無くなる。
【0045】
第1プレート27bに第1レール41を固定し、この第1レール41に第1スライダ43を介して中間プレート45を取付ける。この中間プレート45側の第2スライダ44に第2レール42を嵌める。以上により、安全扉23は、中間プレート45を介して支持枠21に取付けられる。取付けた後の形態を
図5(a)に示す。
【0046】
図5(a)では、安全扉23が全開状態であり、安全扉23の大部分(又は全部)が固定カバー22の一部である正面カバー26に収納されている。
【0047】
好ましくは、
図5(c)に示すように、前部カバー24側と安全扉23の間に、結合機構55を設ける。結合機構55は、安全扉23の上部に突設された先尖りロッド56と、支持枠(前部カバー24側)に設けられ先尖りロッド56が嵌る嵌合穴57を有する支持ブロック58とからなる。なお、支持枠(前部カバー24側)に先尖りロッド56を設け、安全扉23側に支持ブロック58を設けてもよい。
【0048】
図5(a)から全開状態の安全扉23を全閉方向へ移動を開始すると、第1スライダ43が第1レール41上を移動し始める。併行して、第2スライダ44に対して第2レール42が移動し始める。
結果、
図5(b)に示すように、安全扉23は全閉状態になる。
【0049】
この際に、
図5(b)のC部拡大図である
図5(c)に示すように、先尖りロッド56が嵌合穴57に嵌る。
図5(b)にて、安全扉23の先端に移動方向と直交する外力F2が加わっても、安全扉23の先端が変位する心配はない。
【0050】
加えて、
図4に示すように、安全扉23の裏面に、第2レール42が固定されているが、第2レール42の長さL2は、安全扉23の長さL1の2/3程度に設定することが望まれる。
【0051】
安全扉23を第2レール42で十分に補強することができる。第2レール42は必須要素であるため、安全扉23の補強にコストが嵩むことはない。また、この長さであれば、第2レール42の長さに、第1レール41の長さを合わせることができ、第1・第2レール41、42の調達コストを低減することが可能となる。
【0052】
次に、本発明に係る変更例を、
図6に基づいて説明する。
図6(a)に示すように、第2レール42の長さL2を、安全扉23の長さL1とほぼ同じにすることができる。なお、第2レール42をこれ以上長くすると、第2レール42の一部が安全扉23から突出(露出)し、外観性が低下すると共に、第2レール42の一部が金型の交換時に邪魔になることがある。よって、L2≦L1とする。L2≦L1とすることで、外観を良好に維持することができると共に、第2レール42の一部が金型の交換時に邪魔になることも無くなる。
図6(b)に示すように、安全扉23を全閉にすることができる。第1レール41は第2レール42より格段に短くすることができる。
【0053】
または、
図6(c)に示すように、第2レール42の長さL2を、安全扉23の長さL1の半分程度にすることができる。第2レール42が短すぎると、安全扉23への補強効果が低下する。よって、0.5×L1≦L2とする。
図6(d)に示すように、安全扉23を全閉にすることができる。第1レール41は第2レール42より格段に長くなる。
【0054】
上述したように、第2レール42が安全扉23の長さの0.5倍未満であると、安全扉23に対する第2レール42の補強効果が期待できない。また、第2レール42が安全扉23の長さの1.0倍を超えると、第2レール42の一部から安全扉23から突出するため、外観性が低下すると共に、第2レール42の一部が金型の交換時に邪魔になることがある。
外観性を維持しつつ補強効果を確保すると共に、第2レール42の一部が金型の交換時に邪魔になることを解消するために、第2レール42の長さは、安全扉23の長さの0.5倍〜1.0倍の範囲に設定する。
【0055】
尚、実施例では、第1・第2スライダ43、44に鋼球49を内蔵したが、鋼球49を省いて、第1・第2スライダ43、44を第1・第2レール41、42に直接摺接させるようにしてもよい。