特許第6646629号(P6646629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6646629
(24)【登録日】2020年1月15日
(45)【発行日】2020年2月14日
(54)【発明の名称】型締装置用安全カバー
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/84 20060101AFI20200203BHJP
【FI】
   B29C45/84
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-127117(P2017-127117)
(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公開番号】特開2019-10746(P2019-10746A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2018年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227054
【氏名又は名称】日精樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】種村 大樹
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−033411(JP,U)
【文献】 特開2000−161353(JP,A)
【文献】 特開平07−205250(JP,A)
【文献】 実開平04−115632(JP,U)
【文献】 特開平06−293051(JP,A)
【文献】 特開2015−093591(JP,A)
【文献】 特開2013−237175(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103419345(CN,A)
【文献】 特開2010−036386(JP,A)
【文献】 特開2002−018714(JP,A)
【文献】 特開2006−150384(JP,A)
【文献】 実開昭47−23412(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
B22D 15/00−17/32
B61F 1/00−15/00
B23Q 11/00−13/00
B30B 15/10−15/28
F16C 29/00−31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機の型締装置を囲う型締装置用安全カバーであって、
この安全カバーは、前記型締装置に付設される支持枠と、
この支持枠に固定される固定カバーと、
下部に車輪を備え、前記支持枠に設けられている下部レール上を前記車輪が回転することで水平移動可能とされる安全扉とを備え、
この安全扉は、上部が連結機構を介して前記支持枠に連結され、
前記連結機構は、前記支持枠に取付けられ前記安全扉の移動方向に延びている第1レールと、前記安全扉の裏面上部に取付けられ前記安全扉の移動方向に延びている第2レールと、前記第1レールに移動自在に嵌っている一対の第1スライダと、前記第2レールに移動自在に嵌っている一対の第2スライダと、前記一対の第1スライダを一方の面で支え、前記一対の第2スライダを他方の面で支え、前記第1レールと前記第2レールとの間に配置される中間プレートとからなり、
前記安全扉は、全閉時に機械的に結合する結合機構を備えており、
この結合機構は、前記安全扉の上部に突設された先尖りロッドと、前記支持枠に設けられ前記先尖りロッドが嵌る嵌合穴を有する支持ブロックとからなる、
又は、前記支持枠に突設された先尖りロッドと、前記安全扉の上部に設けられ前記先尖りロッドが嵌る嵌合穴を有する支持ブロックとからなることを特徴とする型締装置用安全カバー。
【請求項2】
請求項1記載の型締装置用安全カバーであって、
前記第2レールの長さは、前記安全扉の長さの0.5倍〜1.0倍の範囲に設定されることを特徴とする型締装置用安全カバー。
【請求項3】
請求項2記載の型締装置用安全カバーであって、
前記第2レールの長さは、前記安全扉の2/3の長さに設定されることを特徴とする型締装置用安全カバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の型締装置用安全カバーであって、
前記一対の第1スライダと前記一対の第2スライダは、平面視で、千鳥に配置されていることを特徴とする型締装置用安全カバー。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか1項記載の型締装置用安全カバーであって、
前記第1レールの左右端に、前記第1スライダが脱落することを防止する第1ストッパが各々設けられ、
前記第2レールの左右端に、前記第2スライダが脱落することを防止する第2ストッパが各々設けられていることを特徴とする型締装置用安全カバー。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項記載の型締装置用安全カバーであって、
前記第1スライダと前記第2スライダは、鋼球を内蔵する直動ガイドであることを特徴とする型締装置用安全カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機の型締装置を囲う型締装置用安全カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の型締装置では、可動盤及び可動型が往復移動することから、これらを安全カバーで覆うことで作業員等の安全が図られる。
型締装置用安全カバーは、各種の形態が知られている(例えば、特許文献1(図1図2図3図6)参照)。
【0003】
特許文献1の図6に示される構造では、走行レール(15)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)が邪魔になる。この走行レール(15)を省くことが求められる。
特許文献1の図3に示される構造では、走行レール(15)が省かれている。特許文献1の図3の示される構造の詳細は、特許文献1の図1及び図2で示されている。
【0004】
特許文献1の要部を、図7に基づいて説明する。
図7に示すように、横枠101の先端部分に、C断面のケーシング102が固定され、このケーシング102にC断面の第1の可動部材103が軸方向移動自在に収納され、この第1の可動部材103にH断面の第2の可動部材104が軸方向移動自在に収納され、この第2の可動部材104の先端に想像線で示す安全扉105がボルト106で固定されている。
【0005】
いわゆるテレスコピック(望遠鏡)構造であるため、ケーシング102よりも第1の可動部材103は小径であり、この第1の可動部材103よりも第2の可動部材104は小径である。
【0006】
安全扉105の先端部105aに外から内へ向かう力F1が掛かることがある。第2の可動部材104は片持ち構造であって先端に最大の変位が発生する。加えて、第2の可動部材104は第1の可動部材103やケーシング102に比較して曲げ剛性が小さい。
結果、小さな力F1であっても、安全扉105の先端部105aが変位する心配がある。
【0007】
安全性の観点から安全扉105の剛性が求められる。第2の可動部材104を大径にすることで、変位を抑えることができる。しかし、第2の可動部材104を大径にすると、第1の可動部材103が大径になり、ケーシング102がさらに大径になることから、これらの重量増加、材料費の高騰が避けられない。
【0008】
また、想像線で示す安全扉105に着目すると、ボルト106で第2の可動部材104に連結することから、この連結部位に負担が掛かる。そこで連結部位近傍、すなわち安全扉105の上辺において、安全扉105を補強する必要がある。
【0009】
そこで、安全扉105の上辺の補強に格別のコストが発生せず、且つ、ケーシング102や第1の可動部材103に影響することなく第2の可動部材104を大径にすることができる安全カバーが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3265104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ケーシングや第1の可動部材に影響することなく第2の可動部材を大径にすることができる安全カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、射出成形機の型締装置を囲う型締装置用安全カバーであって、
この安全カバーは、前記型締装置に付設される支持枠と、
この支持枠に固定される固定カバーと、
下部に車輪を備え、前記支持枠に設けられている下部レール上を前記車輪が回転することで水平移動可能とされる安全扉とを備え、
この安全扉は、上部が連結機構を介して前記支持枠に連結され、
前記連結機構は、前記支持枠に取付けられ前記安全扉の移動方向に延びている第1レールと、前記安全扉の裏面上部に取付けられ前記安全扉の移動方向に延びている第2レールと、前記第1レールに移動自在に嵌っている一対の第1スライダと、前記第2レールに移動自在に嵌っている一対の第2スライダと、前記一対の第1スライダを一方の面で支え、前記一対の第2スライダを他方の面で支え、前記第1レールと前記第2レールとの間に配置される中間プレートとからなり、
前記安全扉は、全閉時に機械的に結合する結合機構を備えており、
この結合機構は、前記安全扉の上部に突設された先尖りロッドと、前記支持枠に設けられ前記先尖りロッドが嵌る嵌合穴を有する支持ブロックとからなる、
又は、前記支持枠に突設された先尖りロッドと、前記安全扉の上部に設けられ前記先尖りロッドが嵌る嵌合穴を有する支持ブロックとからなることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の型締装置用安全カバーであって、
前記第2レールの長さは、前記安全扉の長さの0.5倍〜1.0倍の範囲に設定されることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項2記載の型締装置用安全カバーであって、
前記第2レールの長さは、前記安全扉の2/3の長さに設定されることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項記載の型締装置用安全カバーであって、
前記一対の第1スライダと前記一対の第2スライダは、平面視で、千鳥に配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項に係る発明は、請求項1〜のいずれか1項記載の型締装置用安全カバーであって、
前記第1レールの左右端に、前記第1スライダが脱落することを防止する第1ストッパが各々設けられ、
前記第2レールの左右端に、前記第2スライダが脱落することを防止する第2ストッパが各々設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項に係る発明は、請求項1〜のいずれか1項記載の型締装置用安全カバーであって、
前記第1スライダと前記第2スライダは、鋼球を内蔵する直動ガイドであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明では、安全カバーを支える支持枠に第1レールを取付け、安全扉の裏面上部に第2レールを取付ける。そして、第1レールに嵌る第1スライダと第2レールに嵌る第2スライダを両面に備えて中間プレートで、第1レールに第2レールを連結する。
【0020】
第2レールは、第1レールの大きさに影響されることなく、大きさ(サイズ)を決定することができる。
よって、請求項1によれば、ケーシングや第1の可動部材(本発明では第1レールや中間プレート)に影響することなく第2の可動部材(本発明では第2レール)を大径にすることができる安全カバーが提供される。
加えて、請求項1に係る発明では、安全扉は、全閉時に機械的に結合する結合機構を備えており、この結合機構は、安全扉の上部に突設された先尖りロッドと、支持枠に設けられ先尖りロッドが嵌る嵌合穴を有する支持ブロックとからなる、又は、支持枠に突設された先尖りロッドと、安全扉の上部に設けられ先尖りロッドが嵌る嵌合穴を有する支持ブロックとからなる。
先尖りロッドを支持ブロックの嵌合穴に嵌めることにより、全閉時での安全扉の先端の振れや変位を防止することができる。
【0021】
請求項2に係る発明では、第2レールの長さは、安全扉の長さの0.5倍〜1.0倍の範囲に設定されている。
仮に、第2レールが安全扉の長さの0.5倍未満であると、安全扉に対する第2レールの補強効果が期待できない。また、第2レールが安全扉の長さの1.0倍を超えると、第2レールの一部から安全扉から突出するため、外観性が低下すると共に、第2レールの一部が金型の交換時に邪魔になることがある。
この点、請求項2では、第2レールの長さを安全扉の長さの0.5倍〜1.0倍の範囲としたので、請求項2によれば、外観性を維持しつつ、安全扉を第2レールで補強することができ、第2レールの一部が金型の交換時に邪魔になることもない。第2レールは必須要素であるため、安全扉の補強にコストが嵩むことはない。
【0022】
したがって、請求項1の効果を併せることにより、請求項2によれば、安全扉の上辺の補強に格別のコストが発生せず、且つ、ケーシングや第1の可動部材(本発明では第1レールや中間プレート)に影響することなく第2の可動部材(本発明では第2レール)を大径にすることができる安全カバーが提供される。
【0023】
請求項3に係る発明では、第2レールの長さは、安全扉の2/3の長さに設定されている。この長さであれば、第2レールの長さに、第1レールの長さを合わせることができる。
【0024】
請求項4に係る発明では、一対の第1スライダと一対の第2スライダは、平面視で、千鳥に配置されている。
中間プレートの一方の面に第1スライダを当て、他方の面からボルトを通し、ねじ込むことができる。次に、中間プレートの他方の面に第2スライダを当て、一方の面からボルトを通し、ねじ込む。千鳥配置であるため、ボルトが第1・第2スライダに干渉する心配がない。
【0026】
請求項に係る発明では、第1レールの左右端に、第1スライダが脱落することを防止する第1ストッパが各々設けられ、第2レールの左右端に、第2スライダが脱落することを防止する第2ストッパが各々設けられている。
ストッパにより、第1レールから第1スライダが脱落する心配が無くなり、第2レールから第2スライダが脱落する心配が無くなる。
【0027】
請求項に係る発明では、第1スライダと第2スライダは、鋼球を内蔵する直動ガイドである。鋼球を内蔵するため、第1・第2スライダの移動抵抗を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の安全カバーを備える型締装置の斜視図である。
図2図1の2−2線断面図である。
図3図2の要部拡大図である。
図4】安全カバーの分解図である。
図5】安全カバーの作用図である。
図6】安全カバーの変更例を説明する図である。
図7】従来の安全カバーの要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0030】
図1に示すように、射出成形機の型締装置(以下、型締装置と略記する。)10は、互いに平行に配置される固定盤11及び圧受け盤12と、これら固定盤11と圧受け盤12とに渡されるタイバー13と、固定盤11と圧受け盤12との間に配置されタイバー13で案内される可動盤14と、圧受け盤12を起点として可動盤14を固定盤11側へ押圧する機構(図示は省略。)とを主要素とし、固定盤11と可動盤14で金型を型締めする装置である。
【0031】
このような型締装置10は、可動要素を含むため、安全カバー20で覆われる。
安全カバー20は、型締装置10に付設され支持枠21と、この支持枠21に固定される固定カバー22と、支持枠21で水平移動自在に支持される安全扉23とからなる。
【0032】
固定カバー22は、固定盤11の近傍に立てられる前部カバー24と、型締装置10の下辺に沿って配置される下部カバー25と、圧受け盤12から可動盤14に掛けて配置され型締装置10の側面を覆う正面カバー26を含むカバー群である。正面カバー26は、安全扉23を収納する戸袋の役割をも果たす。
【0033】
図2に示すように、支持枠21は、図面表裏方向に延びる上部枠27と下部枠28とを備え、圧受け盤12にも連結されている。なお、支持枠21は鋼製フレームの集合体であり、その構成は任意である。
下部枠28には、下部レール31が敷設され、この下部レール31に車輪32が回転自在に載り、この車輪32で安全扉23が支持される。車輪32は、ローラやころでもよい。
【0034】
下部に設けた車輪32で支持される安全扉23は、上部を支持枠21に移動自在に連結されることで、安定した走行が確保される。
そこで、本発明では、安全扉23の上部を、連結機構40を介して上部枠27に連結するようにした。連結機構40の構造の詳細を、図3に基づいて説明する。
【0035】
図3に示すように、連結機構40は、支持枠21側の上部枠27に取付けられ安全扉23の移動方向(図面表裏方向)に延びている第1レール41と、安全扉23の上部の裏面に取付けられ安全扉23の移動方向に延びている第2レール42と、第1レール41に移動自在に嵌っている第1スライダ43と、第2レール42に移動自在に嵌っている第2スライダ44と、第1スライダ43を一方の面で支え、第2スライダ44を他方の面で支え、第1レール41と第2レール42との間に配置される中間プレート45とからなる。
【0036】
上部枠27は、好ましくは、軽量角パイプ27aと、この軽量角パイプ27aに貼り付けた第1プレート27bとからなる。第1プレート27bは、雌ねじ部27cを設けることができる厚さの鋼材である。
【0037】
第1レール41は、六角穴付きボルト47を収納するねじ穴41aを有する。六角穴付きボルト47は、ボルト頭を含めてこのねじ穴41aに収納され、ボルト先端のみが第1レール41から突出する。このボルト先端を雌ねじ部27cにねじ込むことで、第1プレート27bに第1レール41が取り外し可能に取付けられる。
【0038】
第1レール41に嵌る第1スライダ43は、ボルト48で中間プレート45に固定される。好ましくは、第1スライダ43と第1レール41とに鋼球49を介在させる。このような形態の要素は直動ガイドと呼ばれ、摩擦抵抗が小さくなる。
【0039】
安全扉23の裏面の上部に、雌ねじ部23cを有する第2プレート23bが固定される。
第2レール42も、六角穴付きボルト47を収納するねじ穴42aを有する。六角穴付きボルト47は、ボルト頭を含めてこのねじ穴42aに収納され、ボルト先端のみが第2レール42から突出する。このボルト先端を雌ねじ部23cにねじ込むことで、第2プレート23bに第2レール42が取り外し可能に取付けられる。
【0040】
第2レール42に嵌る第2スライダ44は、ボルト48で中間プレート45に固定される。好ましくは、第2スライダ44と第2レール42とに鋼球49を介在させる。
【0041】
なお、第1・第2レール41、42と第1・第2スライダ43、44との間に鋼球49を介在させる他、鋼球49を介在させない形態のものでも良い。また、鋼球49は鋼製ころでもよい。
【0042】
以上に述べた連結機構40の構造を図4に基づいて、詳述する。
図4に示すように、連結機構40は、支持枠21に取付けられ安全扉23の移動方向に延びている第1レール41と、安全扉23の裏面上部に取付けられ安全扉23の移動方向に延びている第2レール42と、第1レール41に移動自在に嵌まる一対の第1スライダ43と、第2レール42に移動自在に嵌まる一対の第2スライダ44と、一対の第1スライダ43を一方の面で支え、一対の第2スライダ44を他方の面で支え、第1レール41と第2レール42との間に配置される中間プレート45とからなる。
【0043】
好ましくは、一対の第1スライダ43と一対の第2スライダ44は、平面視で、千鳥に配置する。
中間プレート45の一方の面に第1スライダ43を当て、他方の面からボルト48を通し、ねじ込むことができる。次に、中間プレート45の他方の面に第2スライダ44を当て、一方の面からボルト48を通し、ねじ込む。千鳥配置であるため、ボルト48が第1・第2スライダ43、44に当たる(干渉する)心配がなく、ボルト48の取付け及びねじ込みが容易になる。
【0044】
好ましくは、第1レール41の左右端に各々第1ストッパ51を設け、第2レール42の左右端に各々第2ストッパ52を設ける。
第1ストッパ51により、第1レール41から第1スライダ43が脱落する心配が無くなり、第2ストッパ52により、第2レール42から第2スライダ44が脱落する心配が無くなる。
【0045】
第1プレート27bに第1レール41を固定し、この第1レール41に第1スライダ43を介して中間プレート45を取付ける。この中間プレート45側の第2スライダ44に第2レール42を嵌める。以上により、安全扉23は、中間プレート45を介して支持枠21に取付けられる。取付けた後の形態を図5(a)に示す。
【0046】
図5(a)では、安全扉23が全開状態であり、安全扉23の大部分(又は全部)が固定カバー22の一部である正面カバー26に収納されている。
【0047】
好ましくは、図5(c)に示すように、前部カバー24側と安全扉23の間に、結合機構55を設ける。結合機構55は、安全扉23の上部に突設された先尖りロッド56と、支持枠(前部カバー24側)に設けられ先尖りロッド56が嵌る嵌合穴57を有する支持ブロック58とからなる。なお、支持枠(前部カバー24側)に先尖りロッド56を設け、安全扉23側に支持ブロック58を設けてもよい。
【0048】
図5(a)から全開状態の安全扉23を全閉方向へ移動を開始すると、第1スライダ43が第1レール41上を移動し始める。併行して、第2スライダ44に対して第2レール42が移動し始める。
結果、図5(b)に示すように、安全扉23は全閉状態になる。
【0049】
この際に、図5(b)のC部拡大図である図5(c)に示すように、先尖りロッド56が嵌合穴57に嵌る。
図5(b)にて、安全扉23の先端に移動方向と直交する外力F2が加わっても、安全扉23の先端が変位する心配はない。
【0050】
加えて、図4に示すように、安全扉23の裏面に、第2レール42が固定されているが、第2レール42の長さL2は、安全扉23の長さL1の2/3程度に設定することが望まれる。
【0051】
安全扉23を第2レール42で十分に補強することができる。第2レール42は必須要素であるため、安全扉23の補強にコストが嵩むことはない。また、この長さであれば、第2レール42の長さに、第1レール41の長さを合わせることができ、第1・第2レール41、42の調達コストを低減することが可能となる。
【0052】
次に、本発明に係る変更例を、図6に基づいて説明する。
図6(a)に示すように、第2レール42の長さL2を、安全扉23の長さL1とほぼ同じにすることができる。なお、第2レール42をこれ以上長くすると、第2レール42の一部が安全扉23から突出(露出)し、外観性が低下すると共に、第2レール42の一部が金型の交換時に邪魔になることがある。よって、L2≦L1とする。L2≦L1とすることで、外観を良好に維持することができると共に、第2レール42の一部が金型の交換時に邪魔になることも無くなる。
図6(b)に示すように、安全扉23を全閉にすることができる。第1レール41は第2レール42より格段に短くすることができる。
【0053】
または、図6(c)に示すように、第2レール42の長さL2を、安全扉23の長さL1の半分程度にすることができる。第2レール42が短すぎると、安全扉23への補強効果が低下する。よって、0.5×L1≦L2とする。
図6(d)に示すように、安全扉23を全閉にすることができる。第1レール41は第2レール42より格段に長くなる。
【0054】
上述したように、第2レール42が安全扉23の長さの0.5倍未満であると、安全扉23に対する第2レール42の補強効果が期待できない。また、第2レール42が安全扉23の長さの1.0倍を超えると、第2レール42の一部から安全扉23から突出するため、外観性が低下すると共に、第2レール42の一部が金型の交換時に邪魔になることがある。
外観性を維持しつつ補強効果を確保すると共に、第2レール42の一部が金型の交換時に邪魔になることを解消するために、第2レール42の長さは、安全扉23の長さの0.5倍〜1.0倍の範囲に設定する。
【0055】
尚、実施例では、第1・第2スライダ43、44に鋼球49を内蔵したが、鋼球49を省いて、第1・第2スライダ43、44を第1・第2レール41、42に直接摺接させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の安全カバーは、型締装置に好適である。
【符号の説明】
【0057】
10…射出成形機の型締装置(型締装置)、20…安全カバー、21…支持枠、22…固定カバー、23…安全扉、31…下部レール、32…車輪、40…連結機構、41…第1レール、42…第2レール、43…第1スライダ、44…第2スライダ、45…中間プレート、49…鋼球、51…第1ストッパ、52…第2ストッパ、55…結合機構、56…先尖りロッド、57…嵌合穴、58…支持ブロック、L1…安全扉の長さ、L2…第2レールの長さ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7