【実施例】
【0019】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0020】
(実施例1)
循環式温風乾燥機(菌興式椎茸乾燥機:全自動KK−45型)に生椎茸(例えば、原木椎茸)を配置し、約25℃の温風を約20時間生椎茸に当てた。この時、循環式温風乾燥機内の循環口を開けて(例えば、全開)乾燥機内で空気を循環させ、この空気がなるべく乾燥機外に出ないようした。続いて、約55℃の温風を約10時間椎茸に当てた。この時も、循環式温風乾燥機内の循環口を開けて(例えば、全開)乾燥機内で空気を循環させ、この空気がなるべく乾燥機外に出ないようした。このような方法により実施例1の乾燥椎茸を得た。なお、循環口は、大きく開けるほど乾燥機内で空気が循環しその空気がなるべく乾燥機外に出ないようにでき、一方、閉じると乾燥機内で空気が循環せず乾燥機外に放出される。
【0021】
(実施例2)
実施例1における約20時間を約40時間とした以外は、実施例1と同じ方法で実施例2の乾燥椎茸を得た。
【0022】
(比較例1)
非特許文献1に開示されている方法により比較例1の乾燥椎茸を得た。ここで、非特許文献1に開示されている方法を簡単に説明する。
循環式温風乾燥機(菌興式椎茸乾燥機:全自動KK−45型)に生椎茸(例えば、原木椎茸)を配置し、約45℃の温風を4時間生椎茸に当てた。この時、循環口を半分開けて、乾燥機内の空気を多少乾燥機外に放出した。次いで、約50℃の温風を約6.5時間椎茸に当てた。この時、循環口を2/3開けて一部の乾燥機内の空気が乾燥機外に出るようにした。次いで、約53℃の温風を約6時間椎茸に当てた。この時、循環口を3/4開けて一部の乾燥機内の空気が乾燥機外に出るようにした。次いで、約55℃の温風を約6時間椎茸に当てた。この時、循環口を全開してなるべく乾燥機内の空気が乾燥機外に出ないようにした。このような方法により比較例1の乾燥椎茸を得た。
【0023】
(味覚の評価)
市販の味覚センサー(TS−5000Z、インセント社製)を使用して味覚を評価した。評価項目は、酸味、塩味、旨味、苦味雑味、渋味刺激、苦味、渋味および旨味コクとした。比較例1の乾燥椎茸の評価サンプルを基準サンプルとして使用して、味覚センサーによる測定を行い、得られたデータを専用の解析ソフトウェアにより解析した。
【0024】
以下に示す方法により、評価サンプルを調製した。
まず、乾燥椎茸をミルで粉末にする。その後、その粉末5gに冷やした蒸留水(約10℃)120mlを加えた。その後、その水溶液を冷蔵庫(約5℃)に1時間置いた。その後、約100℃で20分間煮沸した。その後、約40分間室温に放置し室温まで冷ました。その後、その水溶液を濾紙で濾過し、濾液を得た。この濾液50mlを用いて味覚センサーで測定を行った。
【0025】
解析結果を
図1〜
図4に示す。なお、
図1〜
図4において、比較例1の乾燥椎茸の評価サンプルを基準サンプルとしているため、比較例1の結果は基準である「0」である。さらに、
図1〜
図4において、味覚センサーによる個々の項目の値は基準サンプルに対する相対値であり、+または−で示される。
図1は、味覚センサーで苦味雑味について評価した結果を示すグラフである。
図1において、−の値が大きいほど苦味雑味が少ないことを示す。
図2は、味覚センサーで苦味について評価した結果を示すグラフである。
図2において、−の値が大きいほど苦味が少ないことを示す。
図3は、味覚センサーで渋味刺激について評価した結果を示すグラフである。
図3において、−の値が大きいほど渋味刺激が少ないことを示す。
図4は、味覚センサーで旨味コクについて評価した結果を示すグラフである。
図4において、+の値が大きいほど旨味コクが多いことを示す。
【0026】
図1からわかるように、実施例1および2の乾燥椎茸は非常に苦味雑味が少ない。
図2からわかるように、実施例1および2の乾燥椎茸は苦味が少ない。
図3からわかるように、実施例1および2の乾燥椎茸は渋味刺激が少ない。
図4からわかるように、実施例2は比較例1とほぼ同じ旨味コクであるが、実施例1は旨味コクが比較例1より多い。
【0027】
(一般消費者の評価)
本発明に係る乾燥椎茸の製造方法によって製造された乾燥椎茸(以下、「本発明に係る乾燥椎茸」という)を一般の消費者219人に以下のように評価してもらった。
【0028】
お湯を沸騰させた後に火を止め、その中に本発明に係る乾燥椎茸を入れ、10分経過後にその戻した椎茸を包丁、はさみで切った場合の切り易さを評価してもらった。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1からわかるように、本発明に係る乾燥椎茸は10分という短時間でも十分に戻すことができ、その戻された椎茸は調理し易い。
【0031】
次に、お湯を沸騰させた後に火を止め、その中に本発明に係る乾燥椎茸を入れ、15分〜30分経過後にその椎茸を取り除いて得られただし汁と、従来の椎茸だし汁と、を食味について評価してもらった。その結果を表2に示す。なお、この評価に対する有効回答数は215であり、表2では世代毎に分けて評価結果を示す。
【0032】
【表2】
【0033】
表2からわかるように、だしを取る時間が15分〜30分という短時間であっても本発明に係る乾燥椎茸から得られただし汁は従来の椎茸だしよりもまろやかで旨味が強い。
【0034】
次に、お湯を沸騰させた後に火を止め、その中に本発明に係る乾燥椎茸を入れ、15分〜30分経過後にその椎茸を取り除いて得られた汁と従来の椎茸だし汁とを臭い(椎茸臭)について評価してもらった。その結果を表3に示す。なお、この評価に対する有効回答数は85であり、表3では世代毎に分けて評価結果を示す。
【0035】
【表3】
【0036】
表3からわかるように、本発明に係る乾燥椎茸から得られただし汁は、従来の椎茸だし汁よりも臭い(椎茸臭)が薄い。このため、椎茸特有の臭いに抵抗がある人であっても本発明に係る乾燥椎茸から得られただし汁は受け入れられ易いと考えられる。
【0037】
(プロの評価)
本発明に係る乾燥椎茸を一般社団法人だしソムリエ協会認定のだしソムリエ(上級資格:認定講師)39人に以下のように評価してもらった。
【0038】
お湯を沸騰させた後に火を止め、その中に本発明に係る乾燥椎茸を入れ、10分経過後にその戻した椎茸をそのまま食べてもらい食べ易さについて従来品と比較してもらった。その結果を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
表4からわかるように、本発明に係る乾燥椎茸は従来品よりも食べ易い。また、本発明に係る乾燥椎茸はまろやかで、えぐみがないことがわかる。
【0041】
次に、お湯を沸騰させた後に火を止め、その中に本発明に係る乾燥椎茸を入れ、10分経過後にその椎茸を取り除いて得られただし汁の臭い(椎茸臭)を従来の椎茸だし汁と比較してもらった。その結果を表5に示す。
【0042】
【表5】
【0043】
表5からわかるように、本発明に係る乾燥椎茸から得られただし汁は、従来の椎茸だし汁よりも臭い(椎茸臭)が薄い。このため、椎茸特有の臭いに抵抗がある人であっても本発明に係る乾燥椎茸から得られただし汁は受け入れられ易いと考えられる。
【0044】
次に、上記の食べ易さおよび臭いを評価した上で本発明に係る乾燥椎茸を洋食に利用できるか否かのアンケートを取った。その結果を表6に示す。
【0045】
【表6】
【0046】
表6からわかるように、ほぼ全員が本発明に係る乾燥椎茸を洋食に利用できると考えている。本発明に係る乾燥椎茸は、まろやかで、えぐみが少なく、椎茸臭も抑えられていることから料理の味や香りを壊しにくく、幅広い料理に適用され得ると考えられる。